特許第6403314号(P6403314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6403314ワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器、それを用いた電気式保温保冷装置、および電気式保温保冷容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403314
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器、それを用いた電気式保温保冷装置、および電気式保温保冷容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20181001BHJP
   A47J 27/21 20060101ALI20181001BHJP
   A47J 36/24 20060101ALI20181001BHJP
   B65D 81/18 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A47G19/22 C
   A47J27/21 101B
   A47J36/24
   B65D81/18 A
   B65D81/18 E
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-119647(P2014-119647)
(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公開番号】特開2015-231473(P2015-231473A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022437
【氏名又は名称】株式会社テーケィアール
(73)【特許権者】
【識別番号】514146922
【氏名又は名称】株式会社ディサプライング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 源太郎
(72)【発明者】
【氏名】末留 克徳
(72)【発明者】
【氏名】池田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 茂彦
(72)【発明者】
【氏名】安藤 亮
【審査官】 西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−504167(JP,A)
【文献】 特開2013−128784(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0175158(US,A1)
【文献】 特開2007−312932(JP,A)
【文献】 特表2008−525078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/00
19/22
A47J 41/02
27/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電コイルと熱交換素子を有し、ワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器であって、
内側容器と、外側容器と、底蓋とを備え、
前記受電コイルが、容器の底部に配置され、
面状の前記熱交換素子が、前記内側容器の側面に、前記内側容器を取り囲むように配置されており、
前記内側容器の底部に取り付け金具が固定され、
前記取り付け金具に、放熱シートを介して、回路基板が取り付けられ、更に、
前記取り付け金具に、前記受電コイルを貼り付けたコイルホルダーが取り付けられていることを特徴とする電気式保温保冷容器。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器において、
前記面状の熱交換素子が、前記内側容器の側面の下側に、前記内側容器を取り囲むように貼り付けられていることを特徴とする電気式保温保冷容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器において、
前記内側容器と前記外側容器とは、それぞれの上部において、上側パッキンにより密封され、
前記底蓋と前記外側容器とは、前記外側容器の下部において、下側パッキンにより密封されていることを特徴とする電気式保温保冷容器。
【請求項4】
請求項1〜の何れか1つに記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器において、
前記熱交換素子の表面に、サーモスタットまたはサーミスタが取り付けられていることを特徴とする電気式保温保冷容器。
【請求項5】
請求項1〜の何れか1つに記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器において、
前記熱交換素子は、面状ヒーターまたはペルチエ素子であることを特徴とする電気式保温保冷容器。
【請求項6】
請求項1〜の何れか1つに記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器において、
前記容器は、カップまたはタンブラーであることを特徴とする電気式保温保冷容器。
【請求項7】
請求項1〜の何れか1つに記載の電気式保温保冷容器と、
送電側制御部と送電コイルを有し、電磁誘導により前記受電コイルに電力を送る給電台とを備えるワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷装置。
【請求項8】
請求項に記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷装置において、
前記熱交換素子として、ペルチエ素子を用い、
前記給電台に、保温と保冷の切換スイッチを設けて、切換制御信号を発生し、
前記送電コイルおよび前記受電コイルを介して、前記切換制御信号を前記容器側に伝達し、
前記切換制御信号に基づいて、前記電気式保温保冷容器の受電側制御部により、前記ペルチエ素子の加熱と冷却とを切り換えることを特徴とする電気式保温保冷装置。
【請求項9】
受電コイルと熱交換素子を有するワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器の製造方法であって、
内側容器の底部に取り付け金具を固定する工程と、
前記取り付け金具に、放熱シートを介して回路基板を取り付ける工程と、
前記取り付け金具に、前記受電コイルを貼り付けたコイルホルダーを取り付ける工程と、
前記内側容器の側面に、面状の熱交換素子を前記内側容器を取り囲むように配置して、内側容器組み立て体を作成する工程と、
外側容器の上部に、上側パッキンを嵌め込み、外側容器組立て体を作成する工程と、
底蓋に下側パッキンを嵌め込んで、底蓋組み立て体を作成する工程と、
前記内側容器組立て体に、前記外側容器組立て体を嵌め込んで、前記上側パッキンにより、前記内側容器組立て体と前記外側容器組立て体とを密封する工程と、
前記底蓋のダボを、前記取り付け金具のスリットに嵌め込み、前記底蓋を回転させて、前記取り付け金具に固定すると共に、前記下側パッキンにより、前記外側容器組立て体と前記底蓋組立て体とを密封する工程と
を含む電気式保温保冷容器の製造方法。
【請求項10】
請求項に記載のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器の製造方法において、
前記面状の熱交換素子は、前記内側容器の側面の下側に前記内側容器を取り囲むように貼り付けられていることを特徴とする電気式保温保冷容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー等の高温の液体を保温する、或いは、冷水などの低温の液体を保冷する、ワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カップに注いだコーヒーを暖かく保温しておきたいという要請があり、カップの周りに真空層を設けた真空2重構造のカップなどが用いられている。しかし、加熱手段を持たない容器では、時間とともにいずれは冷めてしまう。そのため、容器に電気ヒーター等の加熱手段を設けることが考えられるが、容器に給電用の電気コードを取り付けると、電気コードが邪魔になって容器の取り扱いが困難になる。また、電気コードを取り付けると、容器の水洗いが困難になる。そのため、容器に設けた加熱手段にワイヤレスで給電することが提案されている。
【0003】
ワイヤレス給電を用いた電気式の保温保冷容器として、特許文献1の図7には、加熱または冷却を行う熱交換素子および電力を蓄える蓄電素子を備える容器側に、受電コイルおよび充電回路を設けるとともに、給電回路および給電コイルを有する充電ユニットを備え、受電コイルの誘導電圧により蓄電素子の充電を行う容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−312932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のワイヤレス給電を用いた電気式の保温保冷容器は、可搬もしくは携帯可能で、いつでもどこでも好きなときに保温または冷却が可能な容器を提供するために、電力を蓄える蓄電素子を内蔵している。一般に、蓄電素子は重量が重くまた形状が大きいため、保温保冷容器の重量が重くなり、また、形状も大きくなる。また、特許文献1に記載の保温保冷容器では、加熱または冷却を行う熱交換素子が容器の底部に配置されており、容器内の液体、特に容器上部の液体を充分に保温することができない。さらに、特許文献1には、ワイヤレス給電を用いた保温保冷容器の概念図が記載されているのみで、保温保冷容器の具体的な形状構造は記載されていない。
【0006】
本発明は、容器が軽量で、形状が大きくなることなく、また、中に入れた液体を充分に保温または保冷することができるワイヤレス給電を用いた保温保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電気式保温保冷容器の一例を挙げるならば、受電コイルと熱交換素子を有し、ワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器であって、内側容器と、外側容器と、底蓋とを備え、前記受電コイルが、容器の底部に配置され、面状の前記熱交換素子が、前記内側容器の側面に、前記内側容器を取り囲むように配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の電気式保温保冷容器において、前記面状の熱交換素子が、前記内側容器の側面の下側に、前記内側容器を取り囲むように貼り付けられていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の電気式保温保冷容器において、前記内側容器の底部に取り付け金具が固定されており、前記取り付け金具に、放熱シートを介して、回路基板が取り付けられ、更に、前記取り付け金具に、前記受電コイルを貼り付けたコイルホルダーが取り付けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の電気式保温保冷容器において、前記内側容器と前記外側容器とは、それぞれの上部において、上側パッキンにより密封され、前記底蓋と前記外側容器とは、前記外側容器の下部において、下側パッキンにより密封されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の電気式保温保冷容器において、前記熱交換素子の表面に、サーモスタットまたはサーミスタが取り付けられていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の電気式保温保冷容器において、前記熱交換素子は、面状ヒーターまたはペルチエ素子でよい。
【0013】
また、本発明の電気式保温保冷容器において、前記容器は、カップまたはタンブラーでよい。
【0014】
本発明の電気式保温保冷装置の一例を挙げるならば、上記の電気式保温保冷容器と、送電側制御部と送電コイルを有し、電磁誘導により前記受電コイルに電力を送る給電台とを備えるワイヤレス給電を用いたものである。
【0015】
また、本発明の電気式保温保冷装置において、前記熱交換素子として、ペルチエ素子を用い、前記給電台に、保温と保冷の切換スイッチを設けて、切換制御信号を発生し、前記送電コイルおよび前記受電コイルを介して、前記切換制御信号を前記容器側に伝達し、前記切換制御信号に基づいて、前記電気式保温保冷容器の受電側制御部により、前記ペルチエ素子の加熱と冷却とを切り換えることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の電気式保温保冷装置の製造方法の一例を挙げるならば、受電コイルと熱交換素子を有するワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器の製造方法であって、内側容器の底部に取り付け金具を固定する工程と、前記取り付け金具に、放熱シートを介して回路基板を取り付ける工程と、前記取り付け金具に、前記受電コイルを貼り付けたコイルホルダーを取り付ける工程と、前記内側容器の側面に、面状の熱交換素子を前記内側容器を取り囲むように配置して、内側容器組み立て体を作成する工程と、外側容器の上部に、上側パッキンを嵌め込み、外側容器組立て体を作成する工程と、底蓋に下側パッキンを嵌め込んで、底蓋組み立て体を作成する工程と、前記内側容器組立て体に、前記外側容器組立て体を嵌め込んで、前記上側パッキンにより、前記内側容器組立て体と前記外側容器組立て体とを密封する工程と、前記底蓋のダボを、前記取り付け金具のスリットに嵌め込み、前記底蓋を回転させて、前記取り付け金具に固定すると共に、前記下側パッキンにより、前記外側容器組立て体と前記底蓋組立て体とを密封する工程とを含むものである。
【0017】
また、本発明のワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器の製造方法において、前記面状の熱交換素子は、前記内側容器の側面の下側に前記内側容器を取り囲むように貼り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内側容器の側面に、面状の熱交換素子が、内側容器を取り囲むように配置し、貼り付けられているため、熱伝導特性が良く、中に入れた液体を充分に保温または保冷することができる。また、電力を蓄える蓄電素子を内蔵していないため、軽量で、形状が大きくなることがない保温保冷容器を提供することができる。さらに、コンパクトで製造が容易な、ワイヤレス給電を用いた電気式保温保冷容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のワイヤレス給電を用いた電気式保温装置の全体斜視図である。
図2】本発明の実施例1の電気式保温カップの断面図である。
図3】本発明の実施例1の電気式保温カップの分解図である。
図4A】本発明の実施例1の電気式保温カップの製造方法を示す図である。
図4B】本発明の実施例1の電気式保温カップの製造方法を示す図である。
図4C】本発明の実施例1の電気式保温カップの製造方法を示す図である。
図5】本発明の給電台の分解図である。
図6】(a)は本発明の給電台の斜視図、(b)は断面図である。
図7】本発明の実施例1の電気式保温保冷装置の電気的なブロック図である。
図8】本発明の電気式保温装置の変形例の全体斜視図である。
図9】本発明の実施例1の電気式保温カップの、お湯の温度の時間変化を示す図である。
図10】本発明の実施例2の電気式保温保冷装置の電気的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、実施の形態を説明するための各図において、同一の機能を有する要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0021】
実施例1は、例えばコーヒー、紅茶などを入れる保温カップに、本発明を適用したものである。
【0022】
図1に、本発明の実施例1の、ワイヤレス給電を用いた電気式保温装置の全体斜視図を示す。電気式保温装置は、電気式保温カップ10と給電台50とで構成されている。
【0023】
図2に実施例1の電気式保温カップ10の断面図を、図3に電気式保温カップ10の分解図を示す。カップは、容器としての構成として、内側カップ11、外側カップ12、底蓋13、取っ手14、上側パッキン16、下側パッキン17を備えている。内側カップ11は、コーヒーなどの高温の液体を入れる部分で、ステンレス、チタン、銅等の金属でできている。外側カップ12は、容器の外側を構成する部分で、ステンレス、チタン等の板金、あるいは硬質プラスチックでできている。上側パッキン16は、カップの上部において内側カップ11と外側カップとの間を密閉し、また、下側パッキン17は、カップの下部において底蓋13と外側カップ12との間を密閉する。
【0024】
内側カップ11の底には、取り付け金具21が、スポット溶接等で取り付けられている。取り付け金具21には、放熱シート22を介して回路基板23が取り付けられている。放熱シート22を設けることにより、回路基板23で発生した熱を放熱することができる。回路基板23の下側には、受電コイル24を貼り付けたコイルホルダー25を配置し、コイルホルダー25を取り付け金具21に取り付ける。動作時には受電コイル24が発熱するので、回路基板23と受電コイル24との間に間隙を設けるのがよい。受電コイル24は、例えばシートコイルで構成される。
【0025】
内側カップ11の側面には、内側カップを取り囲むように面状ヒーター27が配置され、貼り付けられている。面状ヒーター27としては、フレキシブル基板を用いたフィルムヒーターを用いる。面状ヒーターの貼り付けには、両面テープで固定するなどの方法がある。面状ヒーター27は、内側カップ11の側面で、下側に貼り付けられている。
【0026】
面状ヒーター27には、サーモスタット28が取り付けられている。サーモスタット28は、例えば80°Cで切断し、65°Cで導通するもので、面状ヒーター27の回路に直列に接続することにより、加熱し過ぎに対する保護回路(高温保護ヒューズ)となる。サーモスタット28に代えて、或いは、サーモスタット28に加えて、サーミスタ等の温度検知素子を設け、図7の受電側制御部72で、検知した温度に応じて面状ヒーター27に供給する電力を制御して、温度制御を行うようにしてもよい。
【0027】
図4A乃至図4Cを用いて、実施例1の電気式保温カップ10の製造方法を説明する。
図4Aの(a)に示すように、内側カップ11の底部に、取り付け金具21をスポット溶接で取り付ける。そして、取り付け金具21に放熱シート22を貼り付ける。
図4Aの(b)に示すように、放熱シート22上に回路基板23を載せて、板金をねじりカシメて取り付ける。
図4Aの(c)に示すように、受電コイル24をコイルホルダー25に貼り付ける。
図4Aの(d)に示すように、ネジでコイルホルダー25を取り付け金具21に固定する。また、内側カップ11の側面に、内側カップを取り囲むように、面状ヒーター27を巻き付けて両面テープで貼り付ける。さらに、面状ヒーター27に、サーモスタット28を接着剤で固定する。図4Aの(a)〜(d)の工程により、内側カップ組立て体を作成する。
図4Bの(e)に示すように、外側カップ12の上端に上側パッキン16を嵌め込む。そして、取っ手14を外側カップ12にネジで取り付ける。この工程により、外側カップ組立て体を作成する。
【0028】
図4Bの(f)に示すように、底蓋13に下側パッキン17を嵌め込む。この工程により、底蓋組立て体を作成する。
【0029】
図4Cの(g)に示すように、図4Aの(d)で組み合わせた内側カップの組み立て体に、図4Bの(e)で組み合わせた下側カップの組み立て体を嵌め込む。そして、図4Bの(f)で組み合わせた底蓋組立て体を、底蓋13のダボ31の4個所を、取り付け金具21のスリット32にはめ込み(1)、底蓋13を回転(2)させて固定する。なお、このとき、底蓋13の隅にボンドを盛っておき、分解できない程度の保持力で固定する。
【0030】
図5に、給電台50の分解図を示す。また、図6(a)に給電台の上蓋を取り外した図を、図6(b)に給電台の断面図を示す。
【0031】
上蓋51の裏側には、両面テープ53で送電コイル54が貼り付けられている。そして、送電コイル54の下には、スポンジ55が貼り付けられている。スポンジ55の下には、回路基板57が配置される。上蓋51組立て体には、下蓋52がネジで固定される。符号56は保温カップとの通信時に発光する発光部品、符号58は外部電源から直流電圧が供給される、DCジャックである。
【0032】
図7に、本発明の電気式保温装置の電気的なブロック図を示す。
外部電源76からの電力は、給電台50の送電側制御部75に供給される。外部電源76としては、商用電源に接続するACアダプター、電源機能を有するUSBや車のシガーライターソケットなどを利用できる。送電側制御部75では、例えば100KHz程度の交流を作成し、送電コイル54へ供給する。給電台50の送電コイル54とカップ10の受電コイル24との間では、電磁誘導により電力が伝送される。受電コイル24で受け取った電力は、受電側制御部72で調整してヒーター等の熱交換素子71に供給される。
【0033】
図8に、本発明の実施例1の電気式保温装置の変形例の全体斜視図を示す。この電気式保温装置は、電気式保温カップ10に上蓋40を備えるものである。
【0034】
図9に、図8に示す実施例1の変形例の電気式保温カップと、市販の真空2重構造の保温カップの、お湯の温度の時間変化を示す。比較例として示した、市販の真空2重構造の保温カップでは、85°C程度のお湯を入れた場合、時間の経過と共に温度が低下し、90分後には約60°Cとなる。これに対して、実施例1の電気式保温カップでは、初めのうちは時間の経過と共に温度が低下するが、温度の低下は緩やかとなり、60分以降には73°C程度でほぼ一定となる。
【0035】
本実施例によれば、内側カップの側面に、面状のヒーターを、内側カップを取り囲むように配置し、貼り付けたので、カップの底部にヒーターを設けるものに比べて、熱伝導特性が良く、カップ内の液体を効率良く保温することができる。また、ヒーターを、底部に設けるに代えて、従来、真空2重層が位置する内側カップの側面に設けたので、カップの高さを高くすることなく、従来のカップと同様の外径のカップを得ることができる。
【0036】
また、特許文献1記載の電気式保温カップに比べて、電力を蓄える蓄電素子を内蔵していないため、軽量で小型のカップを得ることができる。
【0037】
さらに、内側カップの底部に取り付け金具を固定し、取り付け金具に回路基板や受電コイルを取り付けたので、また、取り付け金具のスリットに底蓋に設けたダボを嵌め込んで固定するようにしたので、コンパクトで製造が容易な電気式保温カップを提供することができる。また、カップの上部において内側カップと外側カップとを上側パッキンで密閉し、また、カップの下部において底蓋と外側カップとを下側パッキンで密閉したので、密閉構造の電気式保温カップとすることができ、カップの水洗いが可能となる。
【実施例2】
【0038】
実施例1は、面状ヒーターを用いて電気式の保温カップとしたものであるが、実施例2は、熱交換素子としてペルチエ素子を用い、カップに保温と保冷の機能を持たせるようにしたものである。ペルチエ素子は、電流の極性を逆転させることにより、吸熱と発熱を行う面を切り替えることができる。図3のカップにおいて、面状ヒーター27に代えて、内側カップの周囲に面状のペルチエ素子を取り付ける。
【0039】
図10に、本実施例の電気式保温保冷カップの電気的なブロック図を示す。給電台50には、保温と保冷の切換スイッチ77を設ける。給電台50とカップ10とは、送電コイル54と受電コイル24とを介して通信を行っており、保温保冷の切換制御信号は、送電側制御部75から送電コイル54をアンテナとして、他方のアンテナである受電コイル24へ伝送される。受電コイル24で受信された切換制御信号は受電側制御部72に送られ、受電側制御部72でペルチエ素子78の保温と保冷を切り換える。なお、図10において、太い線は、ペルチエ素子を駆動する電力の流れを示し、細い一点鎖線は、制御信号の流れを示す。
【0040】
本実施例によれば、実施例1の効果に加えて、カップに保温と保冷の機能を持たせることができる。カップを保冷側にすると、例えば15°C程度カップ内の液体の温度を下げることができる。
【0041】
また、給電台に保温と保冷の切換スイッチを設け、切換制御信号をカップ側に伝送してペルチエ素子の極性を切り換えるようにしたので、カップ側に切換スイッチを設ける必要がなく、電気式保温保冷カップを密閉構造とすることができ、カップの水洗いが可能となる。
【0042】
実施例1および実施例2では、コーヒー、紅茶等を入れるカップについて説明したが、本発明は、タンブラーや、さらにはお茶を入れる湯飲みなど、液体を入れて保温或いは保冷する容器であれば、何れも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 電気式保温カップ(容器)
11 内側カップ
12 外側カップ
13 底蓋
14 取っ手
16 上パッキン
17 下パッキン
21 取り付け金具
22 放熱シート
23 回路基板
24 受電コイル
25 コイルホルダー
27 面状ヒーター
28 サーモスタット
31 ダボ
32 スリット
40 上蓋
50 給電台
51 上蓋
52 下蓋
53 両面テープ
54 給電コイル
55 スポンジ
56 発光窓部品
57 回路基板
58 DCジャック
71 熱交換素子
72 受電側制御部
75 送電側制御部
76 外部電源
77 切換スイッチ
78 ペルチエ素子
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10