特許第6403315号(P6403315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403315
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】移動式消火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/02 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   A62C35/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-129991(P2014-129991)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-7393(P2016-7393A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073324
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134898
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 克子
(72)【発明者】
【氏名】寺田 一貴
【審査官】 松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−023361(JP,U)
【文献】 実開昭57−023362(JP,U)
【文献】 特開平09−135918(JP,A)
【文献】 特開平11−299918(JP,A)
【文献】 特開2012−192003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に収納する消火剤充填容器と、一端が該消火剤充填容器に接続されて他端が消火用ノズルに接続されている消火用ホースと、前記筐体内の上部においてその幅方向に所定の間隔で取り付けられ、前記消火用ホースを懸架する複数のホース支持具とを備え、前記消火用ホースが前記複数のホース支持具に懸架されて筐体内に巻回して収納されている移動式消火装置であって、
更に、可動部を備え、前記複数のホース支持具が前記可動部に接続されており、前記複数のホース支持具が前記消火用ホースの引き出し力に応じて前記筺体の中心線に向かって向きを変えることができるようになした移動式消火装置において、
前記可動部は弾性体を備え、前記複数のホース支持具は正面方向の向きを定位とし、消火用ホースの引き出し力に応じて前記筺体の中心線に向かって向きを変えるようになしたことを特徴とする移動式消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式消火装置に関し、更に詳細には、消火用ホースの引き出し、特に左右方向への引き出しをスムーズに行うことができるようになした移動式消火装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
パッケージ型の移動式消火装置は、消火器のイメージで簡単に使え、しかも消火能力は消火栓なみのパワーを有するコンパクトな消火装置であり、建物の構造や立地条件等が原因で消火栓の配管等の設備工事ができない場所等に設置される。
【0003】
また、斯かる移動式消火装置は、例えば、特許文献1に示されるように、筐体と、前記筐体内に収納する消火剤充填容器と、一端が該消火剤充填容器に接続されて他端が消火用ノズルに接続されている消火用ホースと、前記筐体内の上部においてその幅方向に所定の間隔で取り付けられ、前記消火用ホースを懸架する複数のホース支持具とを備え、前記消火用ホースが前記複数のホース支持具に懸架されて筐体内に巻回して収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−299918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
斯かる従来の移動式消火装置にあっては、火災発生時において筐体内から消火用ホースを引き出すときに、特に正面からずれて左右方向に引き出すときにおいて引き出しにくい場合があるという問題点がある。
【0006】
それは、消火用ホース自体がガスの内圧に耐えられるように堅牢な作りとなっており、相当な重みを有すると共に折れ曲がりにくいことと、筐体内に幅方向に沿って取り付けられた複数のホース支持具が、いずれも正面方向に真直に向いて不動の状態に固定されていることによるものである。
【0007】
即ち、消火用ホース自体が相当な重みを有すると共に折れ曲がりにくいことから、これを引き出す際にホース支持具との接触面での摩擦抵抗が大きく、また、特に消火用ホースを正面からずれて左右方向に引き出すときにおいては、各ホース支持具が正面方向に真直に向いていることから、消火用ホースが、引き出す方向と反対側に位置するホース支持具の先端に引っ掛かることによるものである。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、筐体から消火用ホースを引き出すときに、特に正面からずれて左右方向に引き出すときにおいて、従来の装置におけるよりもはるかにスムーズに引き出すことができるようになした移動式消火装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して、本発明の要旨とするところは、筐体と、前記筐体内に収納する消火剤充填容器と、一端が該消火剤充填容器に接続されて他端が消火用ノズルに接続されている消火用ホースと、前記筐体内の上部においてその幅方向に所定の間隔で取り付けられ、前記消火用ホースを懸架する複数のホース支持具とを備え、前記消火用ホースが前記複数のホース支持具に懸架されて筐体内に巻回して収納されている移動式消火装置であって、
更に、可動部を備え、前記複数のホース支持具が前記可動部に接続されており、前記複数のホース支持具が前記消火用ホースの引き出し力に応じて前記筺体の中心線に向かって向きを変えることができるようになした移動式消火装置において、
前記可動部は弾性体を備え、前記複数のホース支持具は正面方向の向きを定位とし、消火用ホースの引き出し力に応じて前記筺体の中心線に向かって向きを変えるようになしたことを特徴とする移動式消火装置にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記の如き構成であり、筐体内に幅方向に沿って取り付けられた複数のホース支持具の夫々が可動部に接続され、消火用ホースの引き出し力に応じて筺体の中心線に向かって向きを変えるように構成されているから、筐体から消火用ホースを引き出すときに、特に正面からずれて左右方向に引き出すときにおいて、消火用ホースのホース支持具への引っ掛かりが低減され、従来の装置におけるよりもはるかにスムーズに引き出すことができるようになるものである。
【0011】
そしてまた、可動部は弾性体を備え、複数のホース支持具は正面方向の向きを定位とし、消火用ホースの引き出し力に応じて筺体の中心線に向かって向きを変えるようになしているから、消火用ホースの引き出しによって向きを変えられたホース支持具を、弾性体の作用によって定位の正面方向に戻すことができ、もって引き出された消火用ホースを巻き戻して再びホース支持具に懸架する作業をスムーズに行い易くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る移動式消火装置の正面図である。
図2】同ホース支持具部分の正面図である。
図3】同ホース支持具部分の平面図である。
図4】同ホース支持具部分の底面図である。
図5】同一方のホース支持具の向きが変わった状態におけるホース支持具部分の正面図である。
図6】同一方のホース支持具の向きが変わった状態におけるホース支持具部分の平面図である。
図7】同一方のホース支持具の向きが変わった状態におけるホース支持具部分の底面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る移動式消火装置におけるホース支持具部分の底面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る移動式消火装置におけるホース支持具部分の底面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る移動式消火装置におけるホース支持具部分の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
先ず、図1乃至図7に示した本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
図中、1は移動式消火装置である。また、該移動式消火装置1は、筐体2と、前記筐体2内に収納する消火剤充填容器3と、一端が該消火剤充填容器3に接続されて他端が消火用ノズル4に接続されている消火用ホース5と、前記筐体2内の上部においてその幅方向に所定の間隔で取り付けられ、前記消火用ホース5を懸架する複数のホース支持具6、6とを備え、前記消火用ホース5が前記複数のホース支持具6、6に懸架されて筐体2内に巻回して収納されてなるものである。
【0016】
また、該移動式消火装置1は、ガス(例えば二酸化炭素)が加圧された状態で充填された消火剤充填容器3が2個並列して収納されており、火災発生時に、図示しない安全ピンを引き抜き、スイッチを押して容器弁開放器7を起動すると、図におけるレバー8の部分まで消火剤が送出される。尚、並列する2個の消火剤充填容器3、3は、そのうちのいずれかの容器弁開放器7が起動すると連動開放管9から他の容器弁開放器7に圧力がかかり、これにより両方の容器弁開放器7、7が起動するようになっている。そして、消火用ホース5を取り外し、これを引き出しながら火災現場に向かい、レバー8を操作することにより消火用ノズル4から消火剤を放出するものである。
【0017】
また、前記複数のホース支持具6、6は、夫々消火用ホース5の引き出し力に応じて筺体2の中心線に向かって水平に向きを変えることができるようにするため、可動部10に接続されている。
【0018】
該可動部10は、前記筐体2内の頂部に、該筐体2の幅方向に水平に固定された長方形の支持基板11と、該支持基板11の長さ方向の両端近傍の下面に、該支持基板11の前縁側の位置に設けた支軸12、12をもって水平方向回動自在に取り付けられ、前記支軸12と反対側の位置に垂直な回動規制ピン14、14を固定した長方形の回動板13、13と、前記支持基板11に穿設されて、前記回動規制ピン14、14が夫々摺動自在に嵌合する、前記支軸12、12の夫々を中心とした円弧とし、一端側はホース支持具6が正面方向の定位にあるときに前記回動規制ピン14、14が夫々位置する位置とし、他端側はホース支持具6が消火用ホース5の引き出し力に応じて筺体2の中心線に向かって最大角度に回動したときに前記回動規制ピン14、14が夫々位置する位置としたガイド長孔15、15とをもって構成されている。
【0019】
そして、前記ホース支持具6、6は、夫々L字形に形成され、その垂直部6aの上端部を、前記可動部10における回動板13の、前記支軸12と回動規制ピン14とを結ぶ線上において接続され、その水平部6bは前記支軸12と回動規制ピン14とを結ぶ線に沿わせている。
【0020】
また、本実施形態においては、前記支持基板11の下面における前記回動板13、13の夫々の内側の位置にばね掛け体16、16を垂設し、該ばね掛け体16、16と前記ホース支持具6の垂直部6aとの間に緊縮コイルばね17、17を張設している。これにより前記回動板13、13を、常時ホース支持具6が正面の定位を向くよう付勢している。そしてまたこれにより、前記回動板13、13が支軸12、12を支点として回動したときには、該緊縮コイルばね17、17の復元力により該回動板13、13を元の位置に戻すように作用するものである。
【0021】
本実施形態は、上記の如き構成であり、消火用ホース5が引き出されたときには、図6に示す如く、ホース支持具6は消火用ホース5の引き出し力に応じて筺体2の中心線に向かって向きを変えるものである。したがって、筐体2から消火用ホース5を引き出すときに、特に正面からずれて左右方向に引き出すときにおいて、消火用ホース5のホース支持具6、6への引っ掛かりが低減され、従来の装置におけるよりもはるかにスムーズに引き出すことができるようになるものである。
【0022】
また、消火用ホース5の引き出しによって向きを変えられたホース支持具6、6を、緊縮コイルばね17、17の作用によって図3に示す定位の正面方向に戻すことができるから、引き出された消火用ホース5を巻き戻して再びホース支持具6、6に懸架する作業をスムーズに行い易くなるものである。
【0023】
次に、図8に示す本発明の第2実施形態について説明する。
【0024】
本実施形態と前記第1実施形態とは、回動板13、13に対するばねによる付勢作用を変えた点において相違するものである。
【0025】
即ち、本実施形態においては、支持基板11の下面における回動板13、13の夫々の外側の位置にばね掛け体16、16を垂設し、該ばね掛け体16、16と前記ホース支持具6の垂直部6aとの間に拡圧コイルばね18、18を張設しているものである。尚、その他の構成並びに作用は前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
次に、図9に示す本発明の第3実施形態について説明する。
【0027】
本実施形態と前記第1実施形態とは、回動板13、13の夫々の支軸12、12の位置、ガイド長孔15、15の位置、並びに緊縮コイルばね17、17の位置において相違するものである。
【0028】
即ち、本実施形態においては、回動板13、13の夫々の支軸12、12の位置が支持基板11の後縁側であり、そして、これに伴い回動板13、13の夫々に固定した回動規制ピン14が支持基板11の前縁側となると共に、該回動規制ピン14が摺動自在に嵌合するガイド長孔15が回動板13、13の夫々の内側になる。そして更に、緊縮コイルばね17が回動板13、13の夫々の外側になるものである。尚、その他の構成並びに作用は前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、図10に示す本発明の第4実施形態について説明する。
【0030】
本実施形態と前記第1実施形態とは、回動板13、13の夫々の支軸12、12の位置、ガイド長孔15、15の位置、並びにばねの種類において相違するものである。
【0031】
即ち、本実施形態においては、回動板13、13の夫々の支軸12、12の位置が支持基板11の後縁側であり、そして、これに伴い回動板13、13の夫々に固定した回動規制ピン14が支持基板11の前縁側となると共に、該回動規制ピン14が摺動自在に嵌合するガイド長孔15が回動板13、13の夫々の内側になる。そして更に、第1実施形態における緊縮コイルばねから拡圧コイルばね18に変わるものである。尚、その他の構成並びに作用は前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0032】
1 移動式消火装置
2 筐体
3 消火剤充填容器
4 消火用ノズル
5 消火用ホース
6、6 ホース支持具
10 可動部
11 支持基板
12、12 支軸
13、13 回動板
14、14 回動規制ピン
15、15 ガイド長孔
16、16 ばね掛け体
17、17 緊縮コイルばね
18、18 拡圧コイルばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10