【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明においては、洗浄液を下方から上向きに流し込んで排出するため、シリンジ(シリンダ)内の原料が内部に残留しやすいという問題があった。また、シリンダ内の原料が空室内に流れ込み、原料の噛み込みが装置の破損の起因となる可能性があった。
【0005】
本発明は、シリンダ内に原料が残留することを防止することによって、原料の汚染を防止し、かつ、原料の収容室への流入を防止するとともに、洗浄及び滅菌を容易に行えるピストンポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明のピストンポンプは、後端部が開放されたシリンダ室を有する原料圧縮用シリンダと、後端部からシリンダ室内へ液密状態で貫入され、原料送り出しのための上死点と下死点との間を往復移動するプランジャと、原料圧縮用シリンダを、プランジャの往復移動方向に沿った中心軸が、シリンダの頭部が重力方向下側になるように僅かな傾斜角度をもって支持固定する台と、原料圧縮用シリンダの後端部に同軸状に連設され、シリンダ室に比較して大径の円筒空間からなり、シリンダ室外で前記往復移動するプランジャを受け入れる収容室と、収容室内の流体を排出する排出口とを有する、中空円筒状の収容室部材と、前記プランジャの上死点と下死点との距離よりも長いストロークで前記プランジャと平行に直線往復駆動する往復部材を有し、この往復部材を介してプランジャを往復移動させる直線駆動装置と、原料圧縮用シリンダの頭部に重力方向上向きに配設され、原料供給源と洗浄液供給源と蒸気供給源とに切り換え可能に連通している吸込み口と、吸込み口を前記シリンダ室に連通する吸込み流路と、原料圧縮用シリンダの頭部に重力方向下向きに配設された吐出し口と、吐出し口をシリンダ室に連通する吐出し流路と、吸込み流路に配設されている第1のチェック弁と、吐出し流路に配設されている第2のチェック弁と、を備え、収容室部材は、直線駆動装置の往復部材が前記ストロークの最終端まで移動したときに、前記プランジャが収容室内に引き込まれると共にシリンダ室と収容室との連通状態が得られる。
【0007】
上述の構成を備えるため、本発明のピストンポンプは、次の作用効果をもつ。
(1)原料圧縮用シリンダが、その頭部が重力方向下側になるように僅かに傾いて台に固定されているため、洗浄又は滅菌後にシリンダ室内に液溜りができない。
(2)吸込み口がシリンダ頭部に方向上向きになるように配設されているため、原料は、重力およびプランジャが後退してシリンダ室内が負圧になることによって、シリンダ室内に流入する。
(3)原料圧縮用シリンダの傾斜状態によって重力方向下側になるシリンダ頭部に、重力方向下向きに吐出し口を備えているため、シリンダ室内に流入した原料は、プランジャの前進により、シリンダ室内に残留することなく良好に吐出し口から排出される。
(4)原料圧縮用シリンダの後端に、シリンダ室内に比較して大径の円筒空間からなる収容室を有する中空円筒状の収容室部材を連設し、直線駆動装置によって、プランジャが収容室内まで引き込まれる構造を備えているため、吸込み口から洗浄液又は蒸気をシリンダ室内に注入し、収容室内でプランジャを洗浄又は滅菌できる。
(5)洗浄又は滅菌時に、プランジャが収容室内まで引き込まれると、シリンダ室と収容室とが連通されるため、連通領域もまた洗浄及び滅菌される。従って、シリンダ室に対するプランジャの貫入を液密状態とする封止手段、例えばシリンダ室開放端領域に配置されるパッキン等も洗浄及び滅菌される。
(6)収容室部材に、収容室内の流体を排出できるように排出口を配設しているため、洗浄液又は蒸気は、いずれの場合もシリンダ頭部の吸込み口からシリンダ室内に流れ込み、シリンダ室内面と接触した後に収容室に流れ込み、排出口を介して収容室外へ排出される。この構成によって、洗浄液が収容室側からシリンダ室の頭部へ流れる従来タイプのような場合に生じていた問題、即ち、収容室に付着した不純物が洗浄液に溶解してシリンダ室内に再付着するという問題が生じる恐れがない。
【0008】
本発明のピストンポンプは、好ましくは、傾斜角度を0.5度以上、5度未満とする。上記構成によって、シリンダ室内に液溜まりが生じることなく、原料は良好に吸込み、吐出しが行われ、洗浄液、蒸気は良好に洗浄、滅菌の後排出される。
【0009】
本発明のピストンポンプにおける直線駆動装置は、好ましくは、収容室部材の後部に同軸状に連設されるシリンダ部材と、往復部材であって、シリンダ部材内に摺動可能に設けられ、シリンダ部材の内部空間を第1室と第2室とに区画し、シリンダ部材内を往復するピストンと、ピストンに後端側が固定され先端側がプランジャを保持しシリンダ部材の内部から収容室内にわたって直線駆動するピストン軸と、を有する駆動シリンダと、第1室と第2室とに対する作動流体の供給および排出を切り換え制御してピストンの往復移動を駆動制御する作動流体供給手段と、を備えている。
【0010】
上記構成により、簡便な構成でピストンポンプを構成することができる。駆動シリンダは、シリンダ部材内でピストンが往復移動し、このピストンの先端側のピストン軸を介して原料圧縮用シリンダ側のプランジャを往復移動させる。単に原料圧縮用シリンダを重力方向下向きで設置した場合、ピストン軸と収容室部材との間に設けられている封止体が破れると、ピストン軸とシリンダとの間から、作動流体が重力方向にある収容室内に浸入する。この作動流体は、さらに重力方向に位置する原料圧縮用シリンダのシリンダ室内へも流入する。しかし、本発明による構成のピストンポンプにおいては、原料圧縮用シリンダは、ほぼ水平に近い僅かな傾斜状態であるため、封止体が破れて作動流体が収容室内に浸入した場合にも、作動流体は原料圧縮用シリンダにまで浸入しない。従って、作動流体によって原料圧縮用シリンダが汚染されにくい。
【0011】
本発明のピストンポンプは、好ましくは、原料圧縮用シリンダの後端部と収容室部材の前端部とを解除可能に連結する連結手段を備える。この構成によれば、原料圧縮用シリンダと収容室部材とを互いに取り外し、再組み立てできる。したがって、ピストンポンプの使用時における随時の洗浄とは別に、一つの原料処理工程の終了の後、原料圧縮用シリンダと収容室部材を分解し、それぞれの部材を念入りに洗浄できる。このとき、例えば、パッキン等の部材間の封止手段も容易に着脱でき、洗浄、交換も簡便におこなえる。このような連結手段としては、簡便な構成であり、原料圧縮用シリンダと収容室部材とを互いに同軸状に堅固に連設でき、かつ、容易に取り外し、再組み付けができるものが望ましい。
【0012】
上記連結手段は、好ましくは、原料圧縮用シリンダの後部側から円筒状に延設された挿入部と、挿入部より前側位置で外周上に突設された第1のフランジ部と、収容室部材の前端部に設けられ、前記挿入部を受け入れて嵌合する凹状受容部と、該受容部の開口縁周上に突設され、挿入部の嵌合状態にて第1のフランジ部の後側平面と面接する前側平面を有する第2のフランジ部と、第1のフランジ部と第2のフランジ部を挟持して、原料圧縮用シリンダと収容室部材とを結合するクランプ装置と、を備えている。
【0013】
上記構成によれば、原料圧縮用シリンダの円筒状挿入部が、収容室部材の凹状受容部に嵌合して挿入されるため、容易に、シリンダ室及びプランジャと収容室とが同軸状となるように原料圧縮用シリンダと収容室部材とが同軸に組立てられる。このとき、第1のフランジ部と第2のフランジ部とが互いに後側平面と前側平面との面接状態で当接するため、クランプ装置でこの第1と第2のフランジ部とを挟持するだけで、原料圧縮用シリンダと室部材との同軸状の連結を容易に固定することができる。また、クランプ装置を取り外すだけで容易に連結固定を解除できる。
【0014】
本発明のピストンポンプにおいては、好ましくは、排出口は、収容室部材の重力方向下側であって、かつ、収容室の原料圧縮用シリンダ寄りの端部に設けられている。
【0015】
上記構成により、排出口は、収容室の内部のうち、重力方向で最も低い位置に設けられる。このため、洗浄後の洗浄液は収容室内に殆ど残留しない。したがって、ピストンポンプを清浄、清潔に保つことができる。
【0016】
本発明のピストンポンプにおいては、好ましくは、排出口から連通する排出流路に配設されて収容室内側への流体逆流を阻止する第3のチェック弁を更に備えている。
【0017】
上記構成により、排出口が閉じることなく収容室内が負圧になったとしても、第3のチェック弁により廃液の逆流を常に防止することができる。
【0018】
本発明のピストンポンプは、好ましくは、原料圧縮用シリンダのシリンダ室の開放端と収容室との間に、内径が収容室側に向かって徐々に拡径し、プランジャが内部を通過できる貫通穴を有するプランジャガイドを備えている。
【0019】
上記構成により、洗浄後に収容室内に引き込まれていたプランジャを、プランジャガイドに沿ってシリンダ室の開放端から内側へ確実に貫入できる。
【0020】
本発明のピストンポンプは、好ましくは、吸込み口に外側から連通する配管の途中に設けられた分岐口と、排出口からの排出流路に連通して設けられる蒸気ドレンと、をさらに備えている。
【0021】
上記構成により、吸込み口は分岐口を介して原料供給源と洗浄液供給源と蒸気供給源とそれぞれ連通することができる。洗浄時には、分岐口から配管に供給された洗浄液が、吸込み口に注入され、第1のチェック弁を通ってシリンダ室内に流入し、収容室内へ流れ込んだ後、排出口から排出流路を通って排出される。また、滅菌時には、前記分岐口から配管に供給され、吸込み口へ注入された蒸気が、ピストンポンプと熱交換し凝縮した場合、蒸気が凝縮して生成した水分は、蒸気ドレンから排出される。未凝集の蒸気自体は、蒸気ドレンより排出されないため、シリンダ室および収容室を満たし、効果的にピストンポンプ内部を滅菌できる。
【0022】
本発明のピストンポンプは、望ましくは、第1のチェック弁は、球体である弁体と、スーパーエンジニアリングプラスチック製の弁座と、弁体を前記弁座に付勢して原料を封止し、
第1のチェック弁のクラッキング圧力を0.003〜0.02MPaとするばねと、を備えている。
【0023】
上記構成により、原料注入のために原料を加圧する別のポンプが不要となる。このようなポンプは、接液面積が広く、洗浄および滅菌が困難である。原料を加圧注入するためのポンプが不要であるため、原料に不純物及び雑菌が混入されにくい。
【0024】
本発明の原料処理装置は、好ましくは、ピストンポンプと、原料を貯留する
原料容器と、
原料容器と吸込み口とを連通する吸込み配管と、を備えている。
【0025】
上記構成により、原料は、プランジャの後退に伴って
原料容器からシリンダ室内に吸引され、プランジャの前進によって吐出し口から吐出され、このプランジャの往復移動によって、原料の微粒化や乳化等の連続処理が良好に行われる。
【発明の効果】
【0026】
上記構成を備えるため、本発明のピストンポンプは、シリンダ内の原料の残留を防止することで、原料の汚染を防止し、かつ、洗浄室となる洗浄又は滅菌を容易に行える効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態におけるピストンポンプは、内部に後端部が開放された円筒形状のシリンダ室22を有する原料圧縮用シリンダ21と、後端部からシリンダ室22内へ一端側が貫入され、原料送り出しのための上死点と下死点との間を往復移動するプランジャ11と、シリンダ室22の開放端側内壁面に配置されてプランジャ11の間をシールするパッキン23と、シリンダ21の円柱形状をした頭部21aが重力方向下側になるように原料圧縮用シリンダ21の中心軸Xが水平軸Hに対して僅かな傾斜角度でほぼ水平に近い傾斜状態で原料圧縮用シリンダ21を支持固定する台14と、原料圧縮用シリンダ21の後部に同軸状に連設され、シリンダ室22外で往復移動するプランジャ11の他端側を受け入れる収容室32と収容室32内の洗浄液又は蒸気を排出する排出口33を有する中空円筒状の収容室部材31と、プランジャ11を往復駆動させる直線駆動装置40として、プランジャ11を直接的に駆動させる駆動シリンダ46及びこの駆動シリンダ46を作動流体の給排制御により作動させる油圧装置50と、原料、蒸気又は洗浄液をシリンダ室22へ供給する重力方向上向きに配設された吸込み口61と、シリンダ室22でプランジャ11によって加圧された原料を排出する重力方向下向きに配設された吐出し口62と、吸込み口61をシリンダ室22に連通する吸込み流路63に配置されている第1のチェック弁71と、吐出し口62をシリンダ室22に連通する吐出し流路64に配置されている第2のチェック弁72と、排出口33から連通する排出流路30に配設されて収容室32内への流体逆流を阻止する第3のチェック弁36と、を備えている。
【0029】
なお、本実施形態において、便宜上、原料圧縮用シリンダ21の中央部より、頭部21a寄りの方向を前方、中央部より収容室部材31寄りの方向を後方と呼ぶことがある。
【0030】
台14による原料圧縮用シリンダ21の傾斜状態での支持固定において、傾斜角度αは0.5度以上、5度未満に設けられることが望ましい。特に好ましい傾斜角度αは1/100(0.573度)以上1°以内の傾斜である。1/100の勾配は、無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針(厚生労働省発行)に記載されている。この勾配は、シリンダ室22内の液が自重により流れる勾配である。原料圧縮用シリンダ21は、頭部21aが重力方向下側になるように僅かな傾斜角度でほぼ水平に近い傾斜状態で設置されているため、シリンダ室22の内部に原料が残留しない。傾斜角度αが5度を超えると、ピストンポンプ10の分解洗浄並びに組立の操作性が悪くなる。また、吸込み口61は、原料圧縮用シリンダ21の上面に、シリンダ中心軸Xに対して垂直方向に設けるのが簡便なところ、吸込み口61の傾きが5度以上では自重による原料供給がスムーズに行われない場合がある。1°の傾斜状態においては、原料は、自重とプランジャ11の後退による負圧のみで良好に供給される。
【0031】
原料圧縮用シリンダ21はほぼ水平に近い傾斜状態で台14に配置されているため、収容室部材31と駆動シリンダ46のピストン軸45との間に設けられたパッキン35bの封止が破れた場合であっても、作動流体が原料圧縮用シリンダ21のシリンダ室22内に浸入することがない。このため、シリンダ室22内は清浄に保たれ得る。
【0032】
シリンダ室22の原料の圧力は、100MPa〜245MPaの高圧に到達する。原料圧縮用シリンダ21はこの高圧に耐えられる厚みを有する。このシリンダ21は、薬液を用いて洗浄されるため、析出硬化系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼などの耐食性金属材料で製作されている。
【0033】
ここで、洗浄液は、無機塩基水溶液、無機酸水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基と界面活性剤を主成分とする塩基系洗浄剤、無機酸と界面活性剤からなる酸系洗浄剤、次亜塩素酸ナトリウム、活性塩素、界面活性剤を主成分とする塩基性消毒剤、無極性溶媒その他の薬液が使用される。
【0034】
原料圧縮用シリンダ21のシリンダ室22は、開放端側領域の内壁面に凹設されたパッキン収納部22bを有しており、プランジャ11との間をシールする封止手段としてのパッキン23がこのパッキン収納部22b内から収容室部材31側まで延在している。パッキン23は少なくとも1つ、好ましくは複数のシール部材を密接させて配置されている。複数のシール部材で構成したパッキン23は、それぞれ密封性に適した形状に製作されている。パッキン23は、プランジャ11の位置をシリンダ21の軸心に支えるサポート部材を含み得る。
【0035】
パッキン23は、原料を加圧する圧力に対する耐圧性、滅菌のためにシリンダ室に注入する蒸気の温度に対する耐熱性、及び、蒸気又は洗浄液である薬液に対する耐薬品性、耐腐食性を同時に満たすあらゆる材料で製作され得る。パッキン23は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PFE)、ポリイミド(PI)その他のスーパーエンジニアリングプラスチック、これらを含む共重合体、CFRP等で製作される。
【0036】
パッキン23は密接して配置されているため、原料がパッキン収納部22b内面とパッキン23との間に付着して、パッキンが固着することを防止する。前述のように、連結手段のクランプ装置13を外せば、原料圧縮用シリンダ21と収容室部材31とは互いに容易に取り外しできるため、この取り外した状態ではシリンダ室22のパッキン収納部22bからパッキン23も容易に分解して取り出しできる。また、原料圧縮用シリンダ21と収容室部材31との連結の際にパッキン23をパッキン収納部22bに容易に組み立てることもできる。
【0037】
プランジャ11は、円柱形状をした棒部材であり、超鋼金属、ファインセラミックスその他の高剛性材料で製作される。このプランジャ11は、原料や使用状況に合わせてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング、TiCN(炭窒化チタン)コーティングなど、耐摩耗性を与える表面処理を施されてもよい。
【0038】
プランジャ11は、後方端が固定部材17によって、駆動シリンダ46内を往復摺動するピストン42と一体に形成されたピストン軸45に、傾きや位置に自由度をもって保持されている。従って、プランジャ11は、ピストン42及びピストン軸45の直線駆動に伴って、一端側がシリンダ室22内を往復移動する。プランジャ11が自由度をもって保持されているため、プランジャ11は、パッキン23によってその姿勢を維持されながら、シリンダ室22の内部を往復移動する。
【0039】
原料を加圧するときは、プランジャ11は、シリンダ室22内の上死点および下死点の間を往復移動する。そして、洗浄又は滅菌するときは、後述するように、プランジャ11は、シリンダ室22内を後退して、原料圧縮用シリンダ21の後部に連設された収容室部材31の内部の、シリンダ室22後方に連通する収容室32内に引き込まれる。
【0040】
収容室部材31は、中空円筒状の部材であり、内部の円筒状空間によって収容室32が形成されている。収容室部材31が、原料圧縮用シリンダ21の後部に同軸状に連結され、収容室部材31の後端部に駆動シリンダ46のシリンダ部材41が同軸状に連設されており、原料圧縮用シリンダ21と収容室部材31と駆動シリンダ46のシリンダ部材41とが一体となってシリンダポンプ10のハウジングとなっている。収容室部材31に対するシリンダ部材41の連設は、例えばねじ締結によって実現できる。
【0041】
収容室部材31の前方は、原料圧縮用シリンダ21側の隔壁31aで仕切られており、収容室32は、この隔壁31aの内面と、ピストン軸45とで区画された部屋として設けられている。従って、収容室32は、原料圧縮用シリンダ21のシリンダ室22の後端側でピストン42との間に設けられ、シリンダ室22よりも径方向に大きく、且つ、プランジャ11を軸方向にシリンダ室22からパッキン23の後方へ引き抜ける長さを備える空間である。隔壁31aの中央部には、略円筒状の貫通穴31bが形成されており、プランジャガイド12がこの貫通穴31bに収まっている。
【0042】
ピストンポンプ10は、原料圧縮用シリンダ21と収容室部材31とを解除可能に連結する連結手段を備えている。この連結手段は、原料圧縮用シリンダ21の後部側から円筒状に延設された挿入部21cと、挿入部21cより前側位置で外周上に突設された第1のフランジ部21bと、収容室部材31の隔壁31aの前方に設けられ、前記挿入部21cを受け入れて嵌合する凹状受容部31cと、受容部31cの開口縁周上に突設され、挿入部21cとの嵌合状態にて第1のフランジ部21bの後側平面と面接する前側平面を有する第2のフランジ部31dと、互いに当接状態にある第1のフランジ部21bと第2のフランジ部31dを挟持するクランプ装置13とで構成されている。挿入部21cと凹状受容部31cとの挿入嵌合状態でシリンダ室22と収容室32とは、同軸状に連設され、この嵌合状態で互いに当接する第1と第2のフランジ部21b、31dをクランプ装置13で挟持することにより、原料圧縮用シリンダ21と収容室部材31との同軸状の連結が固定され、クランプ装置13を取り外すだけで連結を解除できる。
【0043】
クランプ装置13は、例えば、内部に溝13aを持つ円環状の部材で構成される。クランプ装置13は、それぞれが半円をなすように2つ割に製作される。クランプ装置13の2つの部材の両端はボルト、ナット、ピンその他の結合部材で結合される。クランプ装置13は、溝13aをもって、第1のフランジ部21bと、第2のフランジ部31dとを挟み込み、固定する。このときに、第1のフランジ部21bを第2のフランジ部31dに付勢する。クランプ装置13は、シリンダ室22内でプランジャ11によって圧縮された原料の圧力に抗して、原料圧縮用シリンダ21を収容室部材31に固定する。クランプ装置13は、その2つの部材を結合部材で締め上げることで固定するため、容易に着脱できる。クランプ装置13は、単純な形状をしているため、洗浄しやすく、装置を清潔に保ちやすい。
【0044】
収容室部材31は、ピストン42のピストン軸45を検知するセンサ34(34a、34b、34c)を備えている。センサ34aは、プランジャ11が上死点に到達したときに、ピストン軸45の位置を検出する。センサ34bは、プランジャ11が下死点に到達したときに、ピストン軸45の位置を検出する。センサ34cは、ピストン42がストローク最終端まで移動し、プランジャ11が収容室32内に引き込まれたときに、ピストン軸45を検出する。センサ34には、近接スイッチ又はリミットスイッチが利用できる。下死点を検知するセンサ34bは、自己診断機能付きセンサを用いることが望ましい。自己診断機能付きセンサを用いることにより、センサが故障した際に故障を検知し、装置の動力を遮断できる。センサ34bが下死点を検出できない場合、プランジャは後退端まで後退する可能性がある。原料加圧工程において、プランジャ11が後退端まで後退すれば、原料が収容室32内にまで流入するため、プランジャ11のかじりつき、第3のチェック弁36、温度計38、蒸気ドレン37の破損等、ピストンポンプ10装置の予期せぬ不具合が生ずる。センサ34bが自己診断機能付きセンサであるため、ピストンポンプ10の不具合、原料の流出を防止できる。
【0045】
なお、センサ34bは、自己診断機能付きB接点センサの採用に替えて、通常のセンサとプランジャ11の往復時間を計測するタイマーを設けても良い。タイマーを設けた場合、プランジャ11を直線駆動させる駆動シリンダ46の上死点から下死点までの後退時間が所定時間を超過したときに警告を発し、又は駆動シリンダ46の動力を遮断できる。この場合に、ピストンポンプ10は、センサ34bの故障を検出できる。
【0046】
収容室部材31の後方にはドレン穴35が設けられている。ドレン穴35の前方には、パッキン35aが設けられている。ドレン穴35、及びパッキン35aが設けられることで、パッキン35bの封止が破れた場合であっても、作動油の収容室32側への漏れ又は蒸気・洗浄液のシリンダ部材41側への漏れを防止する。
【0047】
排出口33は、収容室32の重力方向下側、好ましくは、収容室32の前方側(圧縮原料用シリンダ21側)の重力方向下側に設けられている。排出口33は、シリンダ室22に流入された洗浄液、蒸気凝縮水を排出する。ピストンポンプ10はシリンダ頭部21aが重力方向下側になるように僅かな角度であるが傾斜状態で配置されているため、収容室32に流入した蒸気凝縮水又は洗浄液が収容室32内に滞留せず、良好に排出される。
【0048】
排出流路30には、蒸気ドレン37、第3のチェック弁36、が接続される。第3のチェック弁36により、排出口33から収容室32内への流体の流入が防止される。蒸気ドレン37は、ピストンポンプ10の各部品と蒸気が熱交換を行い蒸気の温度が低下したときに、蒸気が凝縮して生じた水を排出する。蒸気ドレン37が収容室32の最下部に位置する排出口33からの排出流路30に設けられているため、収容室32内に生じた水が収容室32内に残留しにくい。収容室32に洗浄液等が残留すると、洗浄液の溶質が収容室32の壁面へ析出し、洗浄液により洗いだされた異物が付着し、又は残留した洗浄液、析出した溶質、付着した異物若しくは蒸気ドレン内に雑菌が繁殖するおそれがある。排出口33が収容室32のシリンダ室22寄りの端部の重力方向下側に配置しているため、これらを予防できる。
【0049】
蒸気滅菌時に、シリンダ室22および収容室32が所定温度に達していることを確認するため、排出口33と蒸気ドレン37との間に熱電体、測温抵抗体、サーミスタ等の抵抗温度計38その他の温度計測手段を設けることが好ましい。所定の温度に一定期間保持することで滅菌効果を保証し得る。
【0050】
プランジャガイド12は、隔壁31aに形成された貫通穴31bに、原料圧縮用シリンダ21側から挿入されて納められている。貫通穴31bは、前方に拡径部を有する段付き穴である。プランジャガイド12は、外面が貫通穴31bに嵌合されて挿入される段付き円筒形状であり、その内部に、プランジャ11が通過する貫通穴12aを備えている。貫通穴12aは、シリンダ室22に設けられているパッキン収納部22bに連通している。貫通穴12aの後端は、収容室32側に向かって徐々に断面が広がる略円錐面12bを有している。プランジャ11が収容室32内に引き込まれたときは、プランジャ11は、シリンダ室22側が重量方向下側に傾いて横たわっている。プランジャ11を、収容室32も内部に引き込んだ位置から、シリンダ室22内に再び貫入するときに、プランジャ11の一端側は略円錐面12bにガイドされてスムーズに貫通穴12aを通り、パッキン23の内側を通ってシリンダ室22内に良好に挿入される。
【0051】
なお、略円錐面12bは、プランジャ11をガイドしてシリンダ室22へ導く機能を備えていればよく、円錐面、紡錘面、朝顔状の曲面などを広く含む。
【0052】
プランジャガイド12は、冷却配管15を備えている。冷却配管15は、収容室部材31の上側外面から、収容室部材31を通り、貫通穴12aに連通開口し、さらに貫通穴12aから、下方へ延び、収容室部材31の下側外面に開口する冷却液の排出口20に連通している。冷却液発生装置81が、純水である冷却液を生成し、冷却配管15へ送水する。冷却液は、冷却配管15、貫通穴12aを通り、パッキン23に供給される。冷却液はパッキン23を湿潤し、かつ、パッキン23とプランジャ11との摺動熱を奪い、排出口20から排出される。冷却液は、更に、プランジャ11とパッキン23の間の潤滑剤としても作用する。排出口20に連通する排出流路には、ドレン19とチェック弁18が設けられている。原料処理時は、パッキン23が摩耗により漏れを生じた場合、漏れた原料を排出口20へ排出し、原料の収容室32への侵入を防ぐことができる。排出口20は、洗浄又は滅菌時には、洗浄液または蒸気凝縮水を排出する。
【0053】
図1及び
図2に従って、直線駆動装置40について説明する。直線駆動装置40は、駆動シリンダ46と、作動流体供給手段である油圧装置50とを備えている。油圧装置50は、台14の内部に設け得る。
【0054】
図1を参照して、駆動シリンダ46について説明する。駆動シリンダ46は、内部に空洞部43を有した中空円筒形状のシリンダ部材41と、空洞部43内を往復移動する円筒形状のピストン42と、ピストン42に一体に成形されているピストン軸45とを備えたものである。シリンダ部材41は、一方が収容室部材31の後端部にねじ機構等を介して連結されている。ピストン軸45は収容室32の内壁面に対して摺動し、ピストン42と一体となってシリンダ部材41の内部を往復移動する。空洞部43は、ピストン42によって、作動流体室である第1室43aと第2室43bとに仕切られている。ピストン42の後端とシリンダ部材41の内面とで区画される空間が第1室43aであり、ピストン42の前端面と、ピストン軸45と、シリンダ部材41の内面とで区画される空間が第2室43bである。
【0055】
駆動シリンダ46の全ストロークは、原料処理時におけるプランジャ11の上死点から下死点までの距離(往復ストローク)に、下死点から更にプランジャ11を収容室32内へ引き込むための追加ストローク分を加えた長さを有する。
【0056】
なお、本実施形態では、ピストン42とピストン軸45とが一体に成形されているが、それぞれ別部材で構成して互いを結合する構成としても良い。
【0057】
シリンダ部材41には、第1室43aと第2室43bそれぞれに対する作動流体の供給および排出のための作動流体給排口44a、44bが設けられている。本実施形態においては、作動油を作動流体とし、駆動シリンダ46を油圧シリンダとした場合を例にとり、説明するが、本発明における作動流体は、作動油、高圧水その他の非圧縮性流体が利用できる。プランジャ11を収容室32方向へ後退させるときは油圧装置50の方向切換弁54を切換えて第2室43bへ作動油を供給する。
【0058】
油圧装置50は、駆動シリンダ46の第1室43aと第2室43bに対して作動油の供給・排出を制御する装置であり、作動油を貯留するタンク51と、タンク51から作動油を吸引して作動油供給流路へ吐出する油圧ポンプ52と、油圧ポンプ52を駆動するモータ53と、第1室43aに連通する第1流路と第2室43bに連通する第2流路と、作動油供給流路との接続を切り換える方向切換弁54と、リリーフ弁55と、を備えた油圧開回路を構成している。
【0059】
なお、方向切換弁54を備える油圧装置50に替えて、可逆モータと双方向吐出型油圧ポンプを備えた閉回路の油圧装置を使用し、油圧ポンプの2つのポートをそれぞれ作動油給排口44a、44bに接続して、応答性の高い効率的なシステムとすることもできる。この場合には、第1室43aと第2室43bとのピストン軸49の有無による作動油供給量と排出量との差分を相殺するために可変容量型油圧ポンプとしたもの、また作動油補充回路等を有する油圧装置を用いればよい。なお、種々の油圧装置が製品として構築されているため、本発明のピストンポンプ10の実際の規模や処理条件に応じて適宜選択し、使用することができる。
【0060】
また、本発明における直線駆動装置40は、上記実施形態のような油圧シリンダ及び油圧装置の構成にかぎらず、直線駆動ガイド、ボールねじ及びサーボモータからなるサーボ機構、リニアモータその他の直線駆動手段を利用できる。もちろん、作動流体に高圧水を用いた場合には、油圧装置50に替えて高圧水発生装置を利用する。
【0061】
原料圧縮用シリンダ21において、頭部21aのシリンダ室22よりも重力方向上側で吸込み口61とシリンダ室22とを連通する吸込み流路に配置される。第1のチェック弁71は、吸込み口61へ投入された原料、蒸気又は洗浄液をシリンダ室22へ供給するとともに、プランジャ11で加圧された原料の吸込み口61への逆流を阻止する。この第1のチェック弁71は、球である弁体73と、弁体73を受け止める円錐面状の弁座面を有する弁座74と、ばね76及びハウジング75からなる。弁座74は、略円柱状をなし、両面にテーパ面74aを備える。テーパ面74aとシリンダ21及び吸込み口61周囲のハウジング75とがそれぞれ当接して液密状態で組み立てられてる。ばね76は、弁体73を弁座74に向けて付勢する。チェック弁71を構成する部品が単純な形状をしているため、洗浄、滅菌に適している。弁体73、ハウジング75、ばね76は、耐腐食性金属で形成される。
【0062】
弁座74は、PTFE、PEEK、PES、PIその他のスーパーエンジニアリングプラスチックで製作できる。弁座74の材料は、耐摩耗性を備えた樹脂であればより望ましい。弁座74は、耐熱水性、耐圧性、そして耐薬品性を備えた樹脂製であるため、蒸気温度及び、加圧時の原料の圧力に耐えられるだけでなく、各種薬液による定置洗浄が可能となる。また樹脂製である弁座74は、弁体73との接触による有害な摩耗粉の発生および摩耗粉の原料への混入を防止できる。また、弁座74は、樹脂であるため、ハウジング75の締め込みにより弾性変形し、ハウジング75とシリンダ室22との間を封止できる。
【0063】
第1のチェック弁71のクラッキング圧力は、0.003〜0.02MPaに設定されている。クラッキング圧力は、望ましくは、0.003〜0.01MPaとする。クラッキング圧力が非常に低く設定されているため、原料容器91内の原料の自重およびプランジャ11の後退によってシリンダ室22内に発生する負圧により、ばね76の付勢に抗して第1のチェック弁71が開弁する。このため、プランジャ11が後退すると、原料が原料容器91からシリンダ室22内へ流入する。即ち、ピストンポンプ10はプランジャ後退時に原料を吸い込む。
【0064】
上記のように、プランジャ11が後退することによって原料がシリンダ室22内に吸い込まれるため、原料注入のための別のポンプが不要となる。このようなポンプは、接液面積が広く、洗浄および滅菌が困難である。ピストンポンプ10は、このような原料加圧用の別のポンプが不要であるため、原料に不純物及び雑菌が混入されにくい。
【0065】
吸込み口61は、第1のチェック弁71と同軸上に設けられ、吸込み口61が形成された部材は、原料圧縮用シリンダ21にボルト16で締結され、第1のチェック弁71が、シリンダ21と吸込み口61の部材との間で同軸上に固定されている。第1のチェック弁71および吸込み口61の部材は、洗浄、滅菌、又は交換が必要になったときは、シリンダ21から容易に分解、再組み立てできる。
【0066】
吐出し口62は、重力方向下側に開口するようにシリンダ頭部21aに設けられており、第2のチェック弁72は、シリンダ頭部21aのシリンダ室22よりも重力方向下側であって、吐出し口62とシリンダ室22を連通する吐出し流路64に配置されている。第2のチェック弁72は、プランジャ11が原料又は洗浄液、蒸気をシリンダ室22内に吸込むときは閉弁し、プランジャ11が原料を加圧したときに開弁する。従って、シリンダ室22内でプランジャ11の前進によって加圧された原料は、吐出し口62から吐出され、チャンバ92へ送られる。第2のチェック弁72の構造は第1のチェック弁71と同様であり、吐出し口62が形成された部材の原料圧縮用シリンダ21に対する取り外し可能な固定構造も吸込み口61と同様であるため、これらの詳細な説明は省略する。
【0067】
吐出し口62の近傍に温度計39を設け、滅菌時に吐出し口62から排出される蒸気の温度を計測できる構成とすることが望ましい。
【0068】
本実施形態によるピストンポンプ10の動作を、
図4を参照して以下に説明する。
【0069】
原料を加圧するときは、次のように動作する。油圧装置50によって第1室43aに作動油が供給されると、第2室43bから作動油がタンク51へ排出され、プランジャ11が前方へ移動する。このとき、シリンダ室22内の原料は圧縮されてその圧力が高くなる。圧力が第2のチェック弁72のクラッキング圧力を超えたときに、第2のチェック弁72が開弁し、加圧された原料は、吐出し口62から吐出される。
【0070】
図4(a)に示すように、プランジャ11が前進して上死点に達すると、センサ34aがピストン軸45を検出する。このとき、油圧装置50は、作動油の供給を第2室43bへと切り換える。作動油が第2室43bへ供給されると、第1室43aの作動油がタンク51へ排出されて、プランジャ11が後方へ移動する。プランジャ11が後退していき、原料に加わる原料容器91の液面からの静圧とシリンダ室22の負圧の差圧が第1のチェック弁71のクラッキング圧力を超過すると、第1のチェック弁71が開弁し、吸込み口61から原料がシリンダ室22内に流入する。
【0071】
図4(b)に示すように、プランジャ11が下死点に達すると、センサ34bがピストン軸45を検出する。すると再び油圧装置50は、作動油の供給を第1室43aへと切り換える。以上の動作を繰り返すことによって、ピストンポンプ10は、原料の吸込み、吐出しを連続的に繰り返す。
【0072】
ピストンポンプ10の洗浄又は滅菌を行う場合には、油圧装置50は、ピストン42をシリンダ部材41の後端へ向けて移動させる。プランジャ11が下死点に達するとセンサ34bはこれを検知する。引き続き油圧装置50は、第2室43bへ作動油を供給し、
図4(c)に示すように、ピストン42はストローク端であるシリンダ部材41の最後端まで移動する。ピストン42が最後端に到達すると、センサ34cはピストン軸45を検知する。
【0073】
ピストン42がシリンダ部材41の最後端まで後退すると、プランジャ11の先端部は、プランジャガイド12の略円錐面12bの中程からその後方の位置まで後退している。このときプランジャ11先端部もパッキン23を抜けているため、シリンダ室22と収容室32とが連通する。パッキン23の表面が完全に露出するため、パッキン23は、その全面が洗浄液又は蒸気と接触できる。プランジャ11の全面が、洗浄液又は蒸気と接触できる。プランジャ11が略円錐面12bの中程からその後方までの位置にあるため、プランジャ11先端部の周囲において、洗浄液又は蒸気が通過する有効断面積が大きくなる。したがって、洗浄液又は蒸気は、シリンダ室22からスムーズに収容室32に流れ込む。
【0074】
この状態において、吸込み口61から洗浄液又は蒸気を供給する。シリンダ室22から収容室32内にわたって洗浄液又は蒸気が流入し、ピストンポンプ10の接液部全体に対して、洗浄又は滅菌が行われる。洗浄液としては、有機系の原料の場合は、アルカリ洗浄液、医薬品には、中性洗浄液などが適している。洗浄液の濃度は、原料に応じて調整される。流速は、原料シリンダ室22の内部において1〜2m/sが適している。
【0075】
なお、プランジャ11が洗浄又は滅菌のための位置まで後退したときに、プランジャ11の先端は、パッキン23を抜けることは必須であるが、その後退位置は、特に限定がない。しかしながら、本実施形態のように、プランジャ11とその周囲との間に、洗浄液又は蒸気が流通する十分な空間が設けられることが望ましい。この空間は円錐形状の空間に限らず、円筒形状、スプライン溝、らせん溝が利用できる。また、プランジャ11の全体が、完全に収容室32に収まっても良い。
【0076】
洗浄工程において、吸込み口61から第1のチェック弁71を通過した洗浄液は、シリンダ室22へ流入してパッキン23に接触して通り、収容室32に流れ込んで排出口33から排出される。このように、洗浄液はシリンダ室22から収容室32へ流れるため、収容室32に汚れが付着していた場合であっても、その汚れは洗浄液に溶解し、シリンダ室22へ侵入することなく排出される。
【0077】
また、パッキン23は、構造上、汚れが付着しやすく、雑菌が繁殖しやすいところ、パッキン23に接して流通した洗浄液は、収容室32から排出されるため、その汚れがシリンダ室22へ逆流しない。本実施形態では、洗浄液が専らシリンダ頭部21aから流入し、収容室32から排出されるため、原料が加圧される重要な部位であるシリンダ室22内を清浄に保ちやすい。
【0078】
吸込み口61から供給された洗浄液の一部は、シリンダ室22へ流入せず、第2のチェック弁72を通って吐出し口62から排出される。
【0079】
滅菌工程において、本実施形態のピストンポンプ10を蒸気により滅菌するときも、上記のようにプランジャ11は収容室32に引き込まれるまで後退される。次いで、吸込み口61から121℃以上(ゲージ圧:0.12MPa以上)の蒸気を供給する。供給された蒸気は、洗浄液と同様に、シリンダ室22へ流入してパッキン23に接して通り、収容室32に流れ込む。凝縮した凝縮水は吐出し口62または排出口33から排出される。装置内が121℃以上の蒸気で満たされると、排出口33に設けた温度検知手段が121℃以上を示す。滅菌は、日本薬局方に記載のように、排出口33に設けた温度検知手段が121℃以上を連続して少なくとも15分以上示すまで続ける。
【0080】
洗浄又は滅菌工程終了後、原料処理工程へ移行するときは、油圧装置50は、第1室43aへ作動油を供給する。プランジャ11が最後退位置から前進して下死点を通過し、上死点に達する(
図4(a))と、センサ34aは、ピストン軸45を検知する。その時点で、油圧装置50は、作動油供給を第2室43b側へ切り換える。そしてプランジャ11が後退を始め、原料が原料タンク容器91から供給され、加圧動作が開始される。
【0081】
図2を参照して、上述のピストンポンプ10を利用した微粒化装置又は乳化装置である原料処理装置90について説明する。原料処理装置90は、原料容器91と、ピストンポンプ10と、チャンバ92と、熱交換器93と、蒸気発生装置94と、洗浄液注入装置95と、から構成される。原料容器91は、カップ状をなし、容器底部に原料排出口91aを有し、原料排出口91aと吸込み口61とは、配管96で連通されている。配管96には、分岐口96aが設けられている。分岐口96aは、プラグにより常時密閉されている。定置洗浄の際には、洗浄液注入装置95が分岐口96aに接続される。また、定置滅菌の際には、蒸気発生装置94が分岐口96aに接続される。吐出し口62は、チャンバ92の入口92aに連通している。原料処理工程にて、ピストンポンプ10によって高圧に加圧された原料は、チャンバ92内で噴流となって、ボールに衝突する(不図示)。原料噴流がボールに衝突することで原料内に含まれる粒子が微粒化され、あるいは原料が乳化される。チャンバ92は公知のチャンバ、例えば特許第3151706号、特許第3686528号、等に記載のチャンバを適用できる。チャンバ出口92bから排出された処理済み原料は、熱交換器93で冷却され、原料容器91に戻る。熱交換器93としては、例えば二重管式向流熱交換器が使用される。二重管式熱交換器を使用することで、処理済み原料が接触する熱交換器壁面の面積を小さくできる。また、熱交換器内面の原料接液面が滑らかで単純であるため、熱交換器を清浄に保ちやすい。また、蒸気により容易に滅菌できる。上記構成の原料処理装置90によって、原料の連続的な繰り返し処理を良好に行うことができる。
【0082】
なお、分岐口96aは、三方弁に置き換えても良い。分岐口をプラグにより密閉することに代えて、ニードル弁を設け、ニードル弁を介して分岐口96aと蒸気発生装置94又は洗浄液注入装置95とを接続しても良い。
【0083】
また、ピストンポンプ10を用いた原料処理装置として、交互に圧縮動作を行う2台のピストンポンプを用いて原料の微粒化または乳化を行う構成とすることもできる。例えば、原料を各ピストンポンプで100MPa〜245MPaの高圧に加圧し、交互にチャンバー92で噴射することによって行われる。チャンバ92で噴射された原料は、熱交換器93に送られて冷却され、原料が希望する状態(粒径、粘度など)になった場合は、その後回収される。原料が希望する状態に到達しなかった場合は、再び原料はピストンポンプ10に送られる。この構成において、より効率的な原料処理が行える。
【0084】
本実施形態におけるピストンポンプは、高圧噴射型の微粒化装置又は乳化装置において原料を100MPa〜245MPaに加圧するポンプとして適している。特に、食品・医薬品・化粧品等の業界において製造装置の滅菌の頻度が高い場合に好適である。
【0085】
例えば、ファンデーションや日焼け止めに使用される酸化チタンを245MPaにて10パスすると、2μmだったメジアン径が、0.065μmに微粒化される。従来サイズだと肌に伸ばすと白浮きしてしまい、不自然であったが、微粒化により、肌に伸ばしても透明感を損なわなくなる。緩下剤(下剤)や制酸剤(胃酸の中和)に使用される水酸化マグネシウムを245MPaにて10パスすると、4.5μmだったメジアン径が、0.25μmに微粒化される。微粒化により粒子の比表面積が増えるため、使用量を減らして、従来と同等の薬効が得られる。