特許第6403339号(P6403339)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403339
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】文構造学習用ノート
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/00 20060101AFI20181001BHJP
   G09B 3/04 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B42D15/00 301M
   G09B3/04
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-239022(P2015-239022)
(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公開番号】特開2017-105010(P2017-105010A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】307049096
【氏名又は名称】直井 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】直井 明子
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−183971(JP,A)
【文献】 実開平07−032675(JP,U)
【文献】 特開2006−003773(JP,A)
【文献】 実開昭58−098664(JP,U)
【文献】 実開平03−008581(JP,U)
【文献】 特開2003−177658(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3128500(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3014366(JP,U)
【文献】 株式会社水王舎,Point3.一文の構造をつかまえる,論理エンジンを知る10のTips,日本,株式会社水王舎,2015年 9月 8日,URL,https://web.archive.org/web/20150908065450/http://www.ronri.jp/contents/about/10tips/point03.html
【文献】 みなさん,伸びない国語の偏差値を上げる土台作り『出口汪の新日本語トレーニング』,中学受験「がんばってる」のに『がんばれ』と言わないで,日本,So-net ブログ,2010年 8月20日,URL,http:jyuken.blog.so-net.ne.jp/2010-08-20
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
G09B 3/02− 3/04
G09B 19/06−19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
課題文の表示と、
前記課題文中の語句を記入する語句記入枠と、
2の語句記入枠を結ぶコネクタとを有する文構造学習用ノートであって、
前記文構造学習用ノートの表面において、上から下へ向かう方向、左から右へ向かう方向、又は右から左へ向かう方向を進行方向とするとき、前記語句記入枠は2の語句の関係に基づき以下のルールにより配置される、
(1) 主部を表す語句を記入する主部の語句記入枠と、その主部の述部を表す語句を記入する述部の語句記入枠とは、この順に前記進行方向に並べて配置する
(2) 前記述部の語句記入枠と、その述部の客部を表す語句を記入する客部の語句記入枠とは、前記客部の語句記入枠を前記述部の語句記入枠に対して進行方向とは逆に変位させ、進行方向と交差する方向のうちいずれか一方の一方向に変位させて配置する
(3) 連体修飾部または連用修飾部の語句を記入する一の部の語句記入枠と、修飾される語句を記入する他の部の語句記入枠とであって、前記(1)(2)のいずれにも該当しないものは、他の部の語句記入枠を一の部の語句記入枠に対して進行方向に変位させ、進行方向と交差する方向のうち前記一方向とは逆の他方向に変位させて配置する
ことを特徴とする、文構造学習用ノート。
【請求項2】
前記主部の語句記入枠及び前記述部の語句記入枠のうち、文全体の主部及びその主部の述部を表す語句記入枠は、他の語句記入枠と異なる枠線を有することを特徴とする、請求項1に記載の文構造学習用ノート。
【請求項3】
前記他の語句記入枠と異なる枠線が、他の語句記入枠の枠線よりも太幅であることを特徴とする、請求項2に記載の文構造学習用ノート。
【請求項4】
前記コネクタは実線、破線又は矢印として表されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の文構造学習用ノート。
【請求項5】
前記主部の語句記入枠と前記客部の語句記入枠とが、前記主部の語句記入枠から前記客部の語句記入枠に向けた実線の矢印として表される前記コネクタで結ばれ、
前記客部の語句記入枠と前記述部の語句記入枠とが、前記客部の語句記入枠から前記述部の語句記入枠に向けた実線の矢印として表される前記コネクタで結ばれることを特徴とする、請求項4に記載の文構造学習用ノート。
【請求項6】
前記主部の語句記入枠と前記述部の語句記入枠とが、点線の線分として表される前記コネクタで結ばれることを特徴とする、請求項4又は5に記載の文構造学習用ノート。
【請求項7】
前記主部と前記述部との組を2つ以上有する重文において、
第2文以降の文の前記主部の語句記入枠(後続主部記入枠)が、その文より前の文の前記述部の語句記入枠からその後続主部記入枠に向かう矢印形状の前記コネクタ(因果関係矢印)で結ばれ、
前記因果関係矢印は、前記その文より前の文とその文との因果関係に基づいて定まる形状のものであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の文構造学習用ノート。
【請求項8】
1の主部に対応する述部を表す語句が2つ以上存在する重文において、前記主部の語句記入枠を第1文と第2文以降の文のそれぞれに設け、
2つまたはそれ以上の文のそれぞれの前記主部の語句記入枠と前記述部の語句記入枠とが進行方向に並べて配置され、
第2文以降の文の前記主部の語句記入枠に繰返しを示す表記を有することを特徴とする、請求項7に記載の文構造学習用ノート。
【請求項9】
1の主部に対応する述部が2以上存在する文において、前記2以上の述部を表す前記述部の語句記入枠が前記主部の語句記入枠の前記進行方向に変位した左右に隣接して配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の文構造学習用ノート。
【請求項10】
1又は連続する2以上の語句を表示する連続部表示部を有し、
前記連続部表示部は、前記1又は連続する2以上の語句が表示され、前記語句記入枠と異なる形状の枠線で囲まれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の文構造学習用ノート。
【請求項11】
前記課題文が日本語文であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の文構造学習用ノート。
【請求項12】
前記課題文が同意味の2言語の文を含むものであり、
前記2言語のうちの1について前記語句記入枠及び前記コネクタを1パターンで配置し、
前記2言語のうちの他の1について前記語句記入枠及び前記コネクタを前記1パターンと同一のパターンで配置したことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の文構造学習用ノート。
【請求項13】
前記2言語のうち一方が日本語であることを特徴とする、請求項12に記載の文構造学習用ノート。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の文構造学習用ノートに、前記語句記入枠に記入される文節の全部又は一部を予め記入したことを特徴とする、文構造学習用ノート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文構造を学習するための文構造学習用ノートに関する。
【背景技術】
【0002】
言語を習得する上で、文の意味的な構造を把握すること、例えば、主語(以下、主語を含む文の一部(語句)を「主部」と言う。)、目的語(以下、目的語を含む文の一部(語句)を「客部」と言う。)、述語(以下、述語を含む文の一部(語句)を「述部」と言う。)の含まれる文を読んで、具体的にどの語句が主部、客部、述部であるかを把握することは、必ずしも容易でない。文の中には主部、客部、述部のほかに、これらを修飾する語も合わせて含まれることが多く、また、言語に依存してこれらの語の順序が相違したり、
品詞の性質が異なったりするためである。ある言語の初学者(以下「生徒」と言う。)に
とって、主部、客部、述部を表す語を正しく抽出することだけでも困難となる場合がある
【0003】
言語を日本語に限定して先行技術を概観する。日本語の文の意味を把握する力を養成す
るため、例えば特許文献1に開示の教材は、文章のあらましを書かせる、指示語の指す内
容を書かせる、段落ごとの要点を書かせる等の設問を設けている。しかし、単一の文の意
味を正しく読取ることを前提としたものであり、生徒にはレベルが高すぎる。文の意味を
正確に把握するためには、文を語句に分けて語句間の係り受けを含む文構造を把握するこ
とが重要であるが、文構造の理解を容易にするための学習用ノートや教材は知られていな
かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−106246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、文構造の理解を容易にする文構造学習用ノートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
主部、客部、述部のコンセプトは、言語表現される対象についてのものであり、言語によらず存在する。1の文には、主部すなわち主体を表す語句と、述部すなわち動作、状態、存在あるいは「何が(主部)何だ(述部)」の「何だ」に当たる部分を表す語句が、独立語と主部が省略される場合を除き、必ず含まれる。なお、客部すなわち客体を表す語は含まれない場合もある。述部を動詞とすると、その動詞が他動詞であれば客体が存在するが、その動詞が自動詞の場合には客体がなくとも動作を行うことができるためである。また、述部が形容詞である場合や、「何だ」に当たる部分を表す場合にも客体が存在しない。
【0007】
また、文の中には、主体と述部の組を複数有するものもある。例えば、日本語において
連用中止によって2つの動作を表す場合、英語において関係代名詞によって1の主体と動
作が他の語を修飾する場合、が例示される。
【0008】
文に含まれている1又は2以上の「主部、述部、(存在する場合には)客部の組」を視
覚的に示すことで、その「組」を容易に理解できるようにし、文の構造の理解を助け、ひ
いては文の意味の理解を助ける。
【0009】
合わせて、主部、述部、客部以外を表す語についても、文の中の他の語との関係を視覚
的に示すことで、文の構造の理解をより容易にする。
【0010】
以上の説明において「部」と表現したものについて詳述する。文において、例えば主体
を、品詞の組合せによって、いかなる表し方をするかは、厳密には言語に依存する。例え
ば英語であれば、主語となる名詞として表される。一方、例えば日本語では、主語となる
名詞が主体を表すと把握することも、その名詞に主語であることを示す格助詞の付された
文節が主体を表すと把握することも可能である。かかる把握方法の相違は、教育方針や生
徒の得手不得手によって最適なものを選択することができる。そこで、本明細書において
は、主体、動作、客体等として把握される文の一部を、それぞれ主部、述部、客部と呼ぶ
。また、主部を修飾する文の一部を連体修飾部、述部を修飾する文の一部を連用修飾部と
呼ぶ。連体修飾部、連用修飾部の概念についても、従来の文法による品詞の分類に関わら
ず、機能としての分類に依り、教育目的に依る調整を行う。
【0011】
2つの部の間の相対的な関係は、以下に分類される。
(1) 主部と、述部の関係。(日本語では主語と述語)
(2) 客部と、述部の関係。(日本語では目的語と述語である動詞)
(3) 主部と、述部を介した客部を表す関係。
(4) 連体修飾部と、被修飾語である主部の関係。(日本語では主として形容詞(連体
詞)と名詞)
(5) 連用修飾部と、被修飾語である述部の関係。(日本語では主として連用修飾語と
用言)
(6) 対等に並列された2つ以上の述部の関係。(日本語ではいわゆる重文における2
つ以上の述語)。
(7) 修飾語である述部と、被修飾語である主部または客部の関係。(日本語では複文
の従属節の述部と主節の主部又は客部)。
【0012】
ここで、(3)について注記する。多くの言語に見られるいわゆる「係り受け」の関係
を考えると、他は係り受けの関係にあるが、(3)は係り受けの関係にない。それにもか
かわらず(3)の関係を視覚的に示すところが本発明の特徴のうちで重要なものである。
例えば日本語において形態素解析の結果を表示する多くの従来技術と本発明を峻別する。
【0013】
上記(5)については、修飾語となる語句の意味により、以下に細分される。
(5A)移動先の場所を表すもの
(5B)移動のない場所を表すもの
(5C)時を表すもの
(5D)手段を表すもの
(5E)その他
【0014】
上記(6)については、文全体のうち、前出のものを「第1文」、後出のものを「第2
文」とし、第1文と第2文の関係により、以下に細分される。なお、第3文以降がある場
合も同様である。
(6A)単純並列
(6B)順接
(6C)時間経過
(6D)逆接
(6E)第2文が第1文の理由
(6F)その他
なお、第1文及び第2文を合わせた全体で1つの文であり、「第1文」及び「第2文」
は厳密には「文」として表現されていない。しかし、述部を表す語句によって受けられ「
文」と同様の意味を持つので、「第1文」、「第2文」と呼ぶ。
【0015】
構造が視覚的に示されることで、多くの文を学ぶ生徒は、視覚情報に基づいて構造を把
握することができるようになる。同一構造は同一の視覚的効果で示されるためである。文
の構造を論理的・記号的な関係でなく視覚的に示されることにより、脳への負担が小さい
形で学習が可能となる。
【0016】
さらに学習が進むと、初めて学ぶ文についても各々の語句の意味に基づいて、構造を推
測することができるようになる。
【0017】
以上の学習の長期的な効果としては、文を読む場合に限らず、作文をする場合にも、文
の構造を論理的に組上げることができ、正確で読みやすい文を作文することが容易になる
ことが挙げられる。
【0018】
以上の特徴によれば、単語分かち書きがなくて文構造の理解が困難である言語、例えば
日本語の文構造の学習を効率化することができる。
【0019】
以上の学習効果を実現するため、本発明の文構造学習用ノートは、以下の特徴を有する
【0020】
本発明の文構造学習用ノートは、
課題文の表示と、
前記課題文中の語句を記入する語句記入枠と、
2の語句記入枠を結ぶコネクタとを有する文構造学習用ノートであって、
前記文構造学習用ノートの表面において、上から下へ向かう方向、左から右へ向かう方
向、又は右から左へ向かう方向を進行方向とするとき、前記語句記入枠は2の語句の関係
に基づき以下のルールにより配置される、
(1) 主部を記入する主部の語句記入枠と、その主部の述部語句を記入する述部の語句
記入枠とは、この順に前記進行方向に並べて配置する
(2) 前記述部の語句記入枠と、その述部の客部語句を記入する客部の語句記入枠とは
、前記客部の語句記入枠を前記述部の語句記入枠に対して進行方向とは逆に変位させ、進
行方向と交差する方向のうちいずれか一方の一方向に変位させて配置する
(3) 連体修飾部または連用修飾部の語句を記入する一の部の語句記入枠と、修飾され
る語句を記入する他の部の語句記入枠とであって、前記(1)(2)のいずれにも該当し
ないものは、他の部の語句記入枠を一の部の語句記入枠に対して進行方向に変位させ、進
行方向と交差する方向のうち前記一方向とは逆の他方向に変位させて配置する
ことを特徴とする。
【0021】
この特徴によれば、主部と述部とが進行方法に配置され、これらの部を修飾する部は側
方に配置される。文における意味の主たる流れである主部・述部の流れを視覚的に明示し
、その主たる流れに向けて修飾がなされる状況が側方から流れ込む形になり視覚的、直感
的な理解が容易となる。
ここで「進行方向」は、上から下へ向かう方向、左から右へ向かう方向、又は右から左
へ向かう方向のいずれでもよいが、課題文の言語を表記する場合における文頭から文末に
むけた方向であることが好ましい。日本語、中国語等を縦書きする場合には上から下へ向
かう方向、ヨーロッパ言語等の多くの横書きされる言語では左から右へ向かう方向、アラ
ビア語等の一部の言語では右から左へ向かう方向とする。
また、客部が進行方向と交差する方向のうちいずれか一方(例えば進行方向が上から下
へ向かう場合には左)に、他の修飾部が他方に配されるので、客部が理解しやすい。なお
、「いずれか一方」は、予め決定されているものである。各々の部毎に適宜に決定するも
のではない。
【0022】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記主部の語句記入枠及び前記述部の語句記入枠のうち、文全体の主部及びその主部の
述部の語句記入枠は、他の部の語句記入枠と異なる枠線を有することを特徴とする。
【0023】
この特徴によれば、文全体の主部及び述部が峻別され、文における意味の流れがより容
易に理解できるようになる。
【0024】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記他の語句記入枠と異なる枠線が、他の部の語句記入枠の枠線よりも太幅であること
を特徴とする。
【0025】
この特徴によれば、主部及び述部が強調され、理解がさらに容易になる。
【0026】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記コネクタは実線、破線又は矢印として表されることを特徴とする。
【0027】
この特徴によれば、コネクタを使い分けて各部の文における意味を視覚的に示すことが
できる。
【0028】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記主部の語句記入枠と前記客部の語句記入枠とが、前記主部の語句記入枠から前記客
部の語句記入枠に向けた実線の矢印として表される前記コネクタで結ばれ、
前記客部の語句記入枠と前記述部の語句記入枠とが、前記客部の語句記入枠から前記述
部の語句記入枠に向けた実線の矢印として表される前記コネクタで結ばれることを特徴と
する。
【0029】
この特徴によれば、主部→客部→述部の流れが視覚化される。主部と客部とは係り受け
の関係にないが、そこを客部と主部の間と同一のコネクタで結ぶことで、主部→客部→述
部の流れが明示される。
【0030】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記主部の語句記入枠と前記述部の語句記入枠とが、点線の線分として表される前記コ
ネクタで結ばれることを特徴とする。
【0031】
この特徴によれば、(点線は視覚的にインパクトが小さく)主部→述部の流れ以外の修
飾被修飾関係に生徒の注意が惹かれ、学習が容易になる。なお、主部→客部→述部の流れ
を実線のコネクタで結んでいるので、主部→述部の流れを強調しなくとも生徒の学習は問
題なく行われる。
【0032】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記主部と前記述部との組を2つ以上有する重文において、
第2文以降の文の前記主部の語句記入枠(後続主部記入枠)が、その文より前の文の前
記述部の語句記入枠からその後続主部記入枠に向かう矢印形状の前記コネクタ(因果関係
矢印)で結ばれ、
前記因果関係矢印は、前記その文より前の文とその文との因果関係に基づいて定まる形
状のものであることを特徴とする。
【0033】
この特徴によれば、重文における先行の文と後続の文との因果関係を視覚的に表すこと
ができる。
【0034】
本発明の文構造学習用ノートは、
1の主部に対応する述部を表す語句が2つ以上存在する重文において、前記主部の語句
記入枠を第1文と第2文以降の文のそれぞれに設け、
2つまたはそれ以上の文のそれぞれの前記主部の語句記入枠と前記述部の語句記入枠と
が進行方向に並べて配置され、
第2文以降の文の前記主部の語句記入枠に繰返しを示す表記を有することを特徴とする
【0035】
この特徴によれば、主部が省略された後続の文については、主述関係を視覚的に表すこ
とができる。
【0036】
本発明の文構造学習用ノートは、
1の主部に対応する述部が2以上存在する文において、前記2以上の述部を表す前記述
部の語句記入枠が前記主部の語句記入枠の前記進行方向に変位した左右または上下に隣接
して配置されることを特徴とする。
【0037】
この特徴によれば、1の主体に対して2以上の述部がある場合にも、主部と述部とがお
およそ左右または上下に配置される。主述関係の視覚的理解が容易となる。
【0038】
本発明の文構造学習用ノートは、
1又は連続する2以上の部を表示する連続部表示部を有し、
前記連続部表示部は、前記1又は連続する2以上の部が表示され、前記語句記入枠と異
なる形状の枠線で囲まれることを特徴とする
【0039】
この特徴によれば、予め表示され生徒に記入をさせない部の枠を設けることができる。
生徒の学習の進捗に対応して難易度を調整することが可能となる。
【0040】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記課題文が日本語文であることを特徴とする。
【0041】
この特徴によれば、単語分かち書きがなくて文構造の理解が困難である日本語について
も文構造の学習を効率化することができる。本発明は全ての言語に適用できるが、日本語
において有効である。
【0042】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記課題文が同意味の2言語の文を含むものであり、
前記2言語のうちの1について前記語句記入枠及び前記コネクタを1パターンで配置し

前記2言語のうちの他の1について前記語句記入枠及び前記コネクタを前記1パターン
と同一のパターンで配置したことを特徴とする。
【0043】
この特徴によれば、言語によらずに同一の構造を持つことを、語句記入枠及びコネクタ
の配置パターンから理解することができる。言語に依存しない意味的な構造を意識した学
習が容易になる。
【0044】
本発明の文構造学習用ノートは、
前記2言語のうち一方が日本語であることを特徴とする。
【0045】
この特徴によれば、日本語を学ぶ外国人、外国語を学ぶ日本人に適した文構造学習用ノ
ートが提供される。
【0046】
本発明の文構造学習用ノートは、
上述の文構造学習用ノートに、前記語句記入枠に記入される語句の全部又は一部を予め
記入したことを特徴とする。
【0047】
この特徴によれば、語句記入枠やコネクタの表示を持つ文構造学習用ノートが、文構造
学習用教材として提供される。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、文の構造の理解を容易にする文構造学習用ノートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、文構造学習用ノートを示す図である。
図2図2は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。
図3図3は、文構造学習用ノートを示す図である。
図4図4は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。
図5図5は、2言語の文を含む文構造学習用ノートを示す図である。
図6図6は、文構造学習用ノートを示す図である。
図7図7は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。
図8図8は、問題を付した文構造学習用ノートを示す図である。
図9図9は、連用修飾部の働きかけ方によるコネクタの使い分けを示す図である。
図10図10は、重文におけるコネクタの使い分けを示す図である。
図11図11は、複文における文節記入枠及びコネクタを示す図である。
図12図12は、重文及び複文の例を示す図である。
図13図13は、文節表示部を有する文構造学習用ノートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施例を説明する。実施例1においては、基本的な構造を示す。実施例2にお
いては、縦書きの日本語を例として、詳細を示す。
【実施例1】
【0051】
本実施例は、文構造学習用ノートの基本的な構造を示すものである。
【0052】
図1は、文構造学習用ノートを示す図である。文構造学習用ノートは、2以上のページ
から構成されることができるが、図は1のページのみを表すものである。文構造学習用ノ
ート1には、課題文2が表示され、1つの枠に課題文中の1文節を記入するための語句記
入枠3(3A、3C、3O、3S及び3V:「3」の後に文字を付した符号は語句記入枠
3を示す。以下同じ。)、及びコネクタ4(4A、4C、4O、4S及び4SO:「4」
の後に文字を付した符号はコネクタ4を示す。以下同じ。)を有している。
【0053】
本実施例においては、課題文が日本語文であるので、生徒は、課題文2を、文節に分解
し(例えば「小さなね、犬がね、前足でね、穴をね、掘るね」のように「ね」を挿入して
文節に分解する方法が知られている)。各々の文節の意味を考え、文節間の関係を正しく
示すように語句記入枠3に1つずつの文節を記入する。
【0054】
語句記入枠3S及び3Vは太線の長方形、他の語句記入枠は細線の長方形である。これ
により、文全体の主語及び述語が(太線により)視覚的に把握される。
【0055】
コネクタ4は、図では実線の矢印及び破線である。コネクタ4の形状もまた、視覚的な
把握を助けるものである。実線の矢印又は破線以外の形状もあり、詳細は後述する。
【0056】
図2は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。以下、図2により、語句記入枠
の配置の意味を説明する。
【0057】
図1及び図2に示すものは、横書きの日本語である。左から右へ向かう方向が進行方向
となる。進行方向は、課題文の言語を表記する場合における文頭から文末に向むけた方向
であることが好ましい。日本語、中国語等を縦書きする場合には上から下へ向かう方向、
ヨーロッパ言語等の多くの横書きされる言語では左から右へ向かう方向、アラビア語等の
一部の言語では右から左へ向かう方向となる。
【0058】
図2は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。以下、図2(A)により、語句
記入枠の配置の意味を説明する。
【0059】
語句記入枠3Sは主部を表す語句を記入する主部の語句記入枠、語句記入枠3Vは述部
を表す語句の記入される述部の語句記入枠である。語句記入枠3S及び3Vは、この順に
進行方向に並べて配置される。このため、主述関係にある語句記入枠3Sと3Vとを結ぶ
コネクタ4Sは進行方向に向いた線となる。また、語句記入枠3S及び3Vは、文全体の
主部と述部であるので太線によって他の語句記入枠と峻別される。
【0060】
語句記入枠3Oは客部を表す語句を記入する客部の語句記入枠である。語句記入枠3O
は、進行方向には語句記入枠3Sと3Vとの間に、進行方向と交差する方向には語句記入
枠3S及び3Vに対して図の下方に配される。
【0061】
図2(A)では語句記入枠に文節を記入したが、図2(B)のように、格助詞の一部を
コネクタに添えて記入してもよい。格助詞によって主語であること、目的語であることを
理解することが容易になる。
【0062】
格助詞をコネクタに添えるか否かは、生徒の学習度合い、学習目的等により、教育者が
選定することができる。また、日本語以外の多くの言語では格助詞が存在しないので、何
をコネクタに添えるかを教育目的等によって選定すればよい。
【0063】
図3は、文構造学習用ノートを示す図である。課題文は、図1における日本語文と同意
味の英語文である。語句記入枠3及びコネクタ4は、図1と同一の配置となる。文の意味
的な構造は、言語(に基づく語順、品詞)にかかわらず同一であるからである。英語以外
の言語についても同様である。
【0064】
図4は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。(A)(B)共に図2と同様で
ある。(B)においては、いかなる語をコネクタに添えるかを英語に合わせて、前置詞を
コネクタに添えたものである。
【0065】
図5は、2言語の文を含む文構造学習用ノートを示す図である。図は、記入後のもので
ある。図1〜4を用いて説明したとおり、文構造は言語によらずに同一である。してみれ
ば、図5のように2言語の文を併記すると、文構造が同一であることを、視覚を通じて容
易に理解することができる。
【0066】
英語を学ぶ日本人の生徒にとって、また、日本語を学ぶ外国人の生徒にとって、文構造
の理解に基づいた外国語の理解が促進される。
【実施例2】
【0067】
本実施例は、縦書きの日本語を例として、文構造学習用ノートの詳細を示す。なお、本
実施例では、「主部を表す語句」「述部を表す語句」「客部を表す語句」を、英文法によ
る汎用的な日本語文法理解としての意味を示すために「主語」「述語」「目的語」とも呼
ぶ。また、実施例1に示した考え方により、日本語以外の言語についても本実施例と同様
の文構造学習用ノートを構成することができる。
【0068】
以下、図2(A)のように語句記入枠には文節を記入するものとして説明する。ただし
図2(B)のように格助詞をコネクタに添えることもできる。また、本実施例において
は、上から下に向かう方向が進行方向であり、客部の語句記入枠は、主部の語句記入枠及
び述部の語句記入枠に対して左に寄せるものとする。
【0069】
図6は、文構造学習用ノートを示す図である。文構造学習用ノート1には、課題文2が
表示され、1つの枠に課題文中の1文節を記入するための語句記入枠3(3A、3C、3
O、3S及び3V:「3」の後に文字を付した符号は語句記入枠3を示す。以下同じ。)
、及びコネクタ4(4A、4C、4O、4S及び4SO:「4」の後に文字を付した符号
はコネクタ4を示す。以下同じ。)を有している。
【0070】
図7は、記入後の文構造学習用ノートを示す図である。以下、図7により、語句記入枠
の配置の意味を説明する。
【0071】
主語を含む文節の記入される主部の語句記入枠3Sは、述語を含む文節の記入される述
部の語句記入枠3Vの真上に配置されている。このため、主述関係にある語句記入枠3S
と3Vとを結ぶコネクタ4Sは垂直線となる。また、語句記入枠3S及び3Vは、文全体
の主部と述部であるので太線によって他の語句記入枠よりも強調されている。
【0072】
他の語句記入枠は、語句記入枠3S及び3Vに対し、客部の語句記入枠3Oは左に、他
の語句記入枠は右にずれて配置される。このため、主述関係にある語句記入枠3Sと3V
とを結ぶコネクタ4S以外のコネクタは全て斜線となる。
【0073】
以上のように、文全体の主部及び述部の語句記入枠が強調され、主述関係が垂直線で表
され、他の係り受けの関係が斜線で表されることで、文構造が視覚的に把握される。
【0074】
なお、コネクタ4SOは直接には係り受け関係にない文節を結んでいる、主語で表され
る主体が目的語で表される客体に働きかけるので、主体と客体との間の関係を示すもので
ある。
【0075】
図6及び図7に示す実施形態では、目的語を含む文節に係る語句記入枠を語句記入枠3
S及び3Vに対して左側に、係り受け関係にある他の語句記入枠3を語句記入枠3S及び
3Vに対して右側に配置した。このように、文節が他の文節に対して有する意味に基づい
て、左右いずれに語句記入枠3を配置するかを予め定めておくこと、特に目的語を他の語
と峻別できるように他の語とは左右反対の位置に語句記入枠3を配置することが好ましい
【0076】
図6及び図7図1及び図2と対比すると、図6及び図7に示された語句記入枠3及び
コネクタ4は、図1及び図2に示されたものを時計回りに90度回転したものとなってい
る。進行方向が90度相違するために90度回転するが、語句記入枠3及びコネクタ4の
相対的な位置は同様である。文構造が同一であるためである。
【0077】
図8は、問題文を付した文構造学習用ノートを示す図である。図6と比較すると、語句
記入枠3に1、2以下の番号が丸付き数字で記され、どの語句記入枠3にどの文節を記入
すべきかについて問題文5として示唆されている。生徒の学習の進捗度に対応して、この
ようにガイドして学習を進めさせることもできる。
【0078】
以下、コネクタの形状について説明する。
【0079】
コネクタ4SOと4Oは実線の矢印、他のコネクタは破線の線分ないし破線の矢印であ
る。コネクタ4SOと4Oが他のコネクタよりも強調される。これにより、主語→目的語
→述語との文の流れが視覚的に容易に把握される。
【0080】
目的語を含む文節以外の他のコネクタについて説明すると、述語を修飾する連用修飾部
に係る語句記入枠3Oと述語に係る語句記入枠3Vとを結ぶコネクタを使い分けて連用修
飾部の意味を視覚的に示すことが本発明の特徴の一つである。
【0081】
図9は、連用修飾部の意味によるコネクタの使い分けを示す図である。図9(A)は、
連用修飾部が移動先の場所を表すものである。この場合、主語で表される主体が連用修飾
部の自立語で表される客体に働きかけるので、目的語の場合と同様に実線の矢印によるコ
ネクタ4C1とし、直接には係り受け関係にない文節を結ぶコネクタ4SC1を表す。
【0082】
図9(B)は、連用修飾部が移動のない場所を表すものである。この場合、連用修飾部
は述語を修飾するよりも文全体で表される動作・行為の行われる場所を示す。そこで、コ
ネクタ4を表さない。ただし、連用修飾部の文節は述語に直接に係るので、語句記入枠3
C2を語句記入枠3Vの右上(そして語句記入枠3Sの右下)に配置する。
【0083】
図9(C)は、連用修飾部が時を表すものである。この場合、連用修飾部は、文全体を
規定していると解釈できる。そこで、コネクタ4を表さず語句記入枠3C3を語句記入枠
3Sの右上(に配置する。なお、これは「夕方に犬は吠える」という課題文のものである
。「犬は夕方に吠える」という課題文の場合にも図9(C)のようにすることが好ましい
が、図9(B)のようにしてもよい。
【0084】
連用修飾部が手段を表すものについては、図7に示したように、その連用修飾部の文節
に係る語句記入枠3Cと述語の文節に係る語句記入枠3Vとを破線と矢印のコネクタ4C
で結ぶ。
【0085】
以上のほか、例えば「犬がゆっくりと歩く」という課題文における「ゆっくりと」の文
節のように純粋に述語を修飾するもの、その他の場合がある、これらの場合にも、その連
用修飾部の文節に係る語句記入枠と述語の文節に係る語句記入枠とを破線のコネクタで結
ぶ。
【0086】
以上のようにコネクタの有無及び形状によって、文節間の意味的関係(文構造)が視覚
的に把握される。
【0087】
次に、重文の場合のコネクタについて説明する。
【0088】
図10は、重文におけるコネクタの使い分けを示す図である。図10(A)は2つの文
が単純並列のものである。この場合、2つの文の間に特別な関係がないので、コネクタ4
を表さない。
【0089】
図10(B)は、第1文が第2文に順接するものである。この場合、単純に繋げるため
、第1文の述語を含む文節に係る語句記入枠3V1と第2文の主語を含む文節に係る文節
記入4S2とを、実線の矢印形状(単に線分の端に矢があるものではなく矢印が面積をも
つもの)のコネクタ4Aで結ぶ。なお、係り受けの関係では語句記入枠3V1と語句記入
枠3V2とが結ばれるが、第1文全体と第2文全体の関係であるので、語句記入枠3V1
と語句記入枠3S2とを結び文同士を結んでいるように見せる。
【0090】
図10(C)は、第1文からが第2文までに時間経過を有するものである。この場合も
単純に繋げるものであるが、第1文と第2文との意味的な結びつきが順接の場合よりも弱
いので、破線の矢印形状のコネクタ4Tで結ぶ。
【0091】
図10(D)は、第1文が第2文に逆接するものである。この場合、V字矢印形状(図
に示すように着色されていることが好ましい)のコネクタ4Pで結ぶ。
【0092】
図10(E)は、第2文が第1文の理由となるものである。この場合、順接を示す図1
0(B)の場合とは第1文と第2文の関係が逆転しているので、Uターン矢印形状のコネ
クタ4Rで結ぶ。
【0093】
上述のもの以外にも、第1文と第2文の関係の意味に合わせて、適宜な形状の図形を用
いることができる。
【0094】
なお、複文の場合には、重文と相違し、第1文の述語は、第1文又は第2文に含まれる
語句の1つとの間に明確な係り受けを有する。複文については、図7に示した一般的な視
覚表現とする。
【0095】
図11は、複文における語句記入枠及びコネクタを示す図である。図11(A)は、課
題文「僕が飼っている犬は白い」についてのものである。第1文の述語「飼っている」が
連体形で第2文の主語「犬」を修飾している。第1文の述語を含む文節に係る語句記入枠
3V1と第2文の主語を含む文節に係る文節記入4S2とを通常の破線のコネクタ4Aで
結ぶ。
【0096】
図11(B)は、課題文「僕が帰ったことに犬は気づいた」についてのものである。第
1文の述語「帰った」が名詞「こと」を修飾している。そこで、重文でなく通常の文と同
様のコネクタ4Aを表す。
【0097】
ここで、図11(A)における「僕が」「飼っている」の語句記入枠、及び、図11
B)における「僕が」「帰った」の語句記入枠は、主述関係にあるが太線ではない。
【0098】
図12は、重文及び複文の例を示す図である。第1文と第2文の主語が同一となるもの
である。図12(A)は、課題文「犬は走りながら吠えた」についてのものである。「走
りながら」と「吠えた」とが同時の動作であるために、1つの文であるかのような感覚を
持たせるものである。そこで、図に示すように「走りながら」に係る語句記入枠3V1と
「吠えた」に係る語句記入枠3V2とを隣接して配置する。
【0099】
図12(B)は、課題文「犬は立ち止まり、吠えた」についてのものである。「立ち止
まり」という動作と、「吠えた」という動作とに時間経過を有するものであり、図10
C)と同様である。しかし、第2文の主語「犬は」がない(省略されている)ので、語句
記入枠3Sxを設け、かっこ書きで「(犬は)」と示して、第2文の主述関係を明示する
。これにより、日本語に特有の主述関係のわかりにくさが、生徒にとって緩和される。
【0100】
なお、重文及び複文について、2文の例によって説明したが、3以上の文がある場合も
、関係を有する2文について上記の説明と同様に構成することで、全体が構成できる。
【0101】
以下、文節表示部について説明する。図13は、文節表示部を有する文構造学習用ノー
トを示す図である。図13は、図8において「前足で」「掘る」の2文節を予め記入した
ものである。予め記入した文節については、記入しないことがわかりやすいように、文節
表示枠3とは異なる形状(ここでは楕円)の文節表示部6(6C及び6V)で示している
。ただし、コネクタ4は予め記入した場合と記入しない場合とで同一である。これにより
、生徒は文構造を容易に理解する。
【0102】
なお、連続語句表示部6についても文節表示枠3と同一の形状としてもよい。この場合
、文構造学習用ノート1に一部(又は全部)の文節を記入した文構造学習用教材となる。
【0103】
以上詳細に説明したように、本発明の文構造学習用ノート1によれば、生徒が語句間の
意味的な関係を考えることで、文構造の理解が効率的に行われる。また、記入の全部また
は一部を予め行ったものが文構造学習用教材として使用できる。そして、文構造が視覚的
に把握され、特に多数の文を本発明の文構造学習用ノート1によって学習することで、確
実な理解を得ることができる。この結果、自ら作文する場合にも正確な文を作れるように
なる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
文構造の理解を容易にする文構造学習用ノート及び文構造学習用教材である。多くの教
育機関による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0105】
1 文構造学習用ノート
2 課題文
3 語句記入枠
4 コネクタ
5 問題文
6 連続語句表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13