(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワークを介して所定のクライアント装置と通信可能とされているとともに、前記クライアント装置から、所定の約束事を満たすように定型化された、多数の項目と多数の前記項目のそれぞれと互いに紐付けられた数値とを含む財務諸表についてのデータである財務諸表データを受取るようになっており、受取ったその財務諸表データに基いて経営状態の解釈を支援するようになっている財務諸表解釈支援装置であって、
前記財務諸表データを前記クライアント装置から受取る受信部と、
前記財務諸表に含まれる多数の前記項目のうちの特定の前記項目である特定項目と互いに紐付けられた前記数値のうちの複数が、予め定められた条件である評価条件を充足する場合に読み出されるデータである評価データを複数、複数の異なる前記評価条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第1記録部と、
前記受信部で受取った前記財務諸表データによって特定される前記財務諸表に含まれる多数の前記項目と紐付けられた数値が、前記第1記録部に記録された前記評価条件のいずれかと一致するかについて判定を行い、前記第1記録部に記録された前記評価条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記評価条件と互いに紐付けられた前記評価データを、前記第1記録部から少なくとも1つ読み出す第1判定部と、
前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件のうちの少なくとも1つが、1つの前記評価条件又は複数の前記評価条件の組合せによって決定される条件である解釈条件に含まれる前記評価条件と一致することがそれらそれぞれの読み出しの必要条件となっている、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表の解釈を知得することができるデータである解釈データを複数、前記解釈条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第2記録部と、
前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件が、前記第2記録部に記録された前記解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記解釈条件と互いに紐付けられた前記解釈データを、前記第2記録部から少なくとも1つ読み出す第2判定部と、
前記第2判定部によって読み出された前記解釈データを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている送信部と、
を備えている、財務諸表解釈支援装置。
前記スコアリング部は、前記第1判定部によって読み出された前記評価データの少なくとも1つに対して、所定の重み付けを行ってから、前記数値を生成するようになっている、
請求項3記載の財務諸表解釈支援装置。
前記第1判定部によって読み出された前記評価データと互いに紐付けられた前記評価条件、及び前記第2判定部によって読み出された前記解釈データと互いに紐付けられた前記解釈条件のうちの少なくとも1つが、1つの前記評価条件或いは前記解釈条件、又は前記解釈条件及び前記評価条件の複数の組合せによって決定される条件であるアドバイス条件に含まれる前記評価条件及び前記解釈条件と一致することがそれらそれぞれの読み出しの必要条件となっている、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表に基づく経営に対するアドバイスを知得することができるデータであるアドバイスデータを複数、前記アドバイス条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第3記録部と、
前記第1判定部によって読み出された前記評価データと互いに紐付けられた前記評価条件、及び前記第2判定部によって読み出された前記解釈データと互いに紐付けられた前記解釈条件が、前記第3記録部に記録された前記アドバイス条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記アドバイス条件と互いに紐付けられた前記アドバイスデータを、前記第3記録部から少なくとも1つ読み出す第3判定部と、
を備えており、
前記送信部は、前記第3判定部によって読み出された前記アドバイスデータを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている、
請求項1記載の財務諸表解釈支援装置。
ネットワークを介して所定のクライアント装置と通信可能とされているとともに、前記クライアント装置から、所定の約束事を満たすように定型化された、多数の項目と多数の前記項目のそれぞれと互いに紐付けられた数値とを含む財務諸表についてのデータである財務諸表データを受取るようになっており、受取ったその財務諸表データに基いて経営状態の解釈を支援するようになっている財務諸表解釈支援装置にて実行される方法であって、
前記財務諸表解釈支援装置が実行する、
前記財務諸表データを前記クライアント装置から受取る受信過程と、
前記財務諸表に含まれる多数の前記項目のうちの特定の前記項目である特定項目と互いに紐付けられた前記数値のうちの複数が、予め定められた条件である評価条件を充足する場合に読み出されるデータである評価データを複数、複数の異なる前記評価条件とそれぞれ紐付けた状態で第1記録部に記録する第1記録過程と、
前記受信過程で受取った前記財務諸表データによって特定される前記財務諸表に含まれる多数の前記項目と紐付けられた数値が、前記第1記録部に記録された前記評価条件のいずれかと一致するかについて判定を行い、前記第1記録部に記録された前記評価条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記評価条件と互いに紐付けられた前記評価データを、前記第1記録部から少なくとも1つ読み出す第1判定過程と、
前記第1判定過程で読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件のうちの少なくとも1つが、1つの前記評価条件又は複数の前記評価条件の組合せによって決定される条件である解釈条件に含まれる前記評価条件と一致することがそれらそれぞれの読み出しの必要条件となっている、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表の解釈を知得することができるデータである解釈データを複数、前記解釈条件とそれぞれ紐付けた状態で第2記録部に記録する第2記録過程と、
前記第1判定過程で読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件が、前記第2記録部に記録された前記解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記解釈条件と互いに紐付けられた前記解釈データを、前記第2記録部から少なくとも1つ読み出す第2判定過程と、
前記第2判定過程で読み出された前記解釈データを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている送信過程と、
を含んでいる、方法。
ネットワークを介して所定のクライアント装置と通信可能とされているとともに、前記クライアント装置から、所定の約束事を満たすように定型化された、多数の項目と多数の前記項目のそれぞれと互いに紐付けられた数値とを含む財務諸表についてのデータである財務諸表データを受取るようになっており、受取ったその財務諸表データに基いて経営状態の解釈を支援するようになっている財務諸表解釈支援装置として、所定のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記財務諸表データを前記クライアント装置から受取る受信部と、
前記財務諸表に含まれる多数の前記項目のうちの特定の前記項目である特定項目と互いに紐付けられた前記数値のうちの複数が、予め定められた条件である評価条件を充足する場合に読み出されるデータである評価データを複数、複数の異なる前記評価条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第1記録部と、
前記受信部で受取った前記財務諸表データによって特定される前記財務諸表に含まれる多数の前記項目と紐付けられた数値が、前記第1記録部に記録された前記評価条件のいずれかと一致するかについて判定を行い、前記第1記録部に記録された前記評価条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記評価条件と互いに紐付けられた前記評価データを、前記第1記録部から少なくとも1つ読み出す第1判定部と、
前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件のうちの少なくとも1つが、1つの前記評価条件又は複数の前記評価条件の組合せによって決定される条件である解釈条件に含まれる前記評価条件と一致することがそれらそれぞれの読み出しの必要条件となっている、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表の解釈を知得することができるデータである解釈データを複数、前記解釈条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第2記録部と、
前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件が、前記第2記録部に記録された前記解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記解釈条件と互いに紐付けられた前記解釈データを、前記第2記録部から少なくとも1つ読み出す第2判定部と、
前記第2判定部によって読み出された前記解釈データを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている送信部と、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、財務諸表を「読む」には、会計についてのそれなりの知識、経験が必要であり、財務諸表を読むことは決して簡単とは言えない。それどころか、特に中小企業の経営者の中には、財務諸表を読むことができない者がかなりの割合で存在する。
そのような経営者は一般に、税理士、会計士等の専門家に、自らが経営する法人の財務諸表を見せ、自らに代わってその財務諸表を読んでもらう。つまり、専門家に、財務諸表の解釈を依頼し、更に必要な場合においては将来の経営において必要となる選択に関するアドバイスを貰う。しかしながら、専門家にこのようなサービスを依頼することは煩雑である一方サービスを受けるためにある程度の時間がかかるのが通常であり、また一般にそのようなサービスを受けるためのコストは高額である。
以上のような理由により、特に中小企業では、経営者が十分に財務諸表を活用していないという状況が生じている。
【0005】
本願発明は、財務諸表を読むための会計についての知識、経験が不足する者に対して、財務諸表から把握可能な経営状態の正しい解釈を、素早く且つ安価に与えることができるようにするための技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本願発明者は研究を重ねた。その結果、以下のような知見を得た。
財務諸表は、もちろん手作業によっても作成することが可能である。とはいえ、近年において財務諸表は、略100%、コンピュータにインストールされたソフトウェアを用いて作られる。ある程度以上の規模の法人であれば、財務諸表を作成するのに用いられるソフトウェア(会計ソフトウェア)は、各法人が特別に誂えたソフトウェアであることが多い。他方、ある程度以下の規模の法人であれば、財務諸表を作成するのに用いられる会計ソフトウェアは、既製品の市販(有償、無償を問わない。リース、クラウド上の会計ソフトウェアを利用する場合も含む。)のソフトウェアであることが多く、こと中小企業に関していえば、殆どそうであるといえる。
中小企業が用いる既製品の会計ソフトウェアは、それ程種類が多くない。日本の中小企業が用いている会計ソフトウェアのマーケットを見れば、上位3位までの会計ソフトウェアにより、80%以上のシェアが獲得されている。そして、各会計ソフトウェアが生成することのできる財務諸表は、その性質上ある程度規格化されている。例えば、どのような会計ソフトウェアで生成される財務諸表(賃借対照表、損益対照表等)であっても、賃借対照表に着目すれば、それは「資産の部」と「負債の部」と「純資産の部」という項目を必ず含んでいる。賃借対照表の「資産の部」には、「流動資産」と「固定資産」という項目が必ず含まれており、それらの下には、更に細かな項目が並んでいる。「負債の部」には、「流動負債」と「固定負債」という項目が必ず含まれており、それらの下には、更に細かな項目が並んでいる。また、「純資産の部」には、「株主資本」という項目が含まれているとともにその他幾つかの項目が必要に応じて含まれており、それらの下には、更に細かな項目が並んでいる。
本願発明者は、このような事情を鑑みれば、財務諸表を税理士や会計士といった専門家が「読む」ような読み方で詳しく読み込まなくとも、かなりのレベルで定型化されている財務諸表なのであるから、その読み方も定型化できるのではないかと考えた。定型化されていない財務諸表であれば財務諸表の読み方をも定型化するという方法は採用し難いが、幸いなことに中小企業は、上述したように、既製品の会計ソフトウェアを用いていることが殆どなのであるから、上述の方法を適用するに困難は無いと考えられる。もちろん、財務諸表の読み方を定型化した場合には、その精度は専門家が「読む」のに比べれば落ちるではあろうが、そもそも十分に財務諸表を読むことができていない中小企業の経営者には、それでも十分に価値があるといえる。
このような知見に基いて、本願発明者は本願発明をなした。
【0007】
本願発明は、以下のようなものである。
本願発明は、ネットワークを介して所定のクライアント装置と通信可能とされているとともに、前記クライアント装置から、所定の約束事を満たすように定型化された、多数の項目と多数の前記項目のそれぞれと互いに紐付けられた数値とを含む財務諸表についてのデータである財務諸表データを受取るようになっており、受取ったその財務諸表データに基いて経営状態の解釈を支援するようになっている財務諸表解釈支援装置である。
そして、この財務諸表解釈支援装置は、前記財務諸表データを前記クライアント装置から受取る受信部と、前記財務諸表に含まれる多数の前記項目のうちの特定の前記項目である特定項目と互いに紐付けられた前記数値のうちの複数が、予め定められた条件である評価条件を充足する場合に出力されるデータである評価データを複数、複数の異なる前記評価条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第1記録部と、前記受信部で受取った前記財務諸表データによって特定される前記財務諸表に含まれる多数の前記項目と紐付けられた数値が、前記第1記録部に記録された前記評価条件のいずれかと一致するかについて判定を行い、前記第1記録部に記録された前記評価条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記評価条件と互いに紐付けられた前記評価データを、前記第1記録部から少なくとも1つ読み出す第1判定部と、前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件のうちの少なくとも1つが、予め定められた少なくとも1つの前記評価条件の組合せによって決定される条件である解釈条件を充足する場合に出力される、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表の解釈を知得することができるデータである解釈データを複数、前記解釈条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第2記録部と、前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件が、前記第2記録部に記録された前記解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記解釈条件と互いに紐付けられた前記解釈データを、前記第2記録部から少なくとも1つ読み出す第2判定部と、前記第2判定部によって読み出された前記解釈データを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている送信部と、を備えている。
この財務諸表解釈支援装置は、ユーザが操作するクライアント装置から財務諸表データを受信する。財務諸表データは、財務諸表を特定するデータである。財務諸表は、所定の約束事に基いて定型化されており、それぞれ数値と紐付けられた多数の項目を含んでいる。かかる財務諸表データは、各ユーザが用いている会計ソフトウェアによって生成可能なデータである。ただし、各ユーザが用いている会計ソフトウェアは、基本的に既製品である必要がある。
財務諸表解釈支援装置は、第1記録部を有している。第1記録部は、複数の評価条件を記録している。また、各評価条件は、評価データと一対一対応で紐付けられている。各評価条件は互いに異なるが、各評価データの中には異なるものもあるし、同一のものもある。評価条件は、財務諸表に含まれる項目のうちの特定の項目である特定項目(より詳細には、複数の特定項目)及びそれらにそれぞれ紐付けられた数値が満たすべき条件である。例えば、財務諸表に項目A1〜A30の項目が存在しており、それぞれに数値が紐付けられているとする。例えば、売上が○○万円というのであれば、「売上」が項目であり、○○万円の「○○」が数値である。そのような場合、例えば、「A1の項目に紐付けられている数値が、A2の項目に紐付けられている数値よりも大きい」とか、「A1の項目に紐付けられている数値が、A2の項目に紐付けられている数値よりも小さい」とか、「A3の項目に紐付けられている数値とA4の項目に紐付けられている数値とを足した数値を、A5の項目に紐付けられている数値で割ることにより得られた値が0.8よりも大きい」といったものが評価条件となる。他方、評価データは、財務諸表を評価するためのデータであり、より詳しくは、財務諸表には含まれない項目を評価するためのデータである。財務諸表に含まれない項目を、例えば、良い、悪い、普通の三段階とか、5段階とかに評価するデータが、評価データとなる。
評価データは、解釈データと同様にクライアント装置に提供されても良いが、提供される必要は必ずしもない。
上述の評価データは、次のようにして第1記録部から読み出される。つまり、クライアント装置から財務諸表データが送られて来た場合、第1判定部は、その財務諸表データによって特定される財務諸表中の複数の特定項目及びそれらと互いに紐付けられた数値が、第1記録部に予め記録されている評価条件と一致するか否かを判定する。財務諸表中の複数の特定項目及びそれらと互いに紐付けられた数値が、第1記録部に予め記録されている評価条件と一致した場合、その一致した評価条件と互いに紐付けられていた評価データが、第1記録部から第1判定部によって読み出される。第1判定部によって読み出される評価データは少なくとも1つであり、複数である場合もある。評価条件の中に、「A1の項目に紐付けられている数値が、A2の項目に紐付けられている数値よりも大きい」という条件と、「A1の項目に紐付けられている数値が、A2の項目に紐付けられている数値よりも小さい」という条件のように、或いは、これに「A1の項目に紐付けられている数値が、A2の項目に紐付けられている数値と同じである」という条件を加えて、それら条件のすべてを併せたものが、A1とA2の数値の組合せによって作ることができる要素の集合の全体集合となるような条件を含めておけば、少なくとも1つの評価条件をすべての財務諸表が充足することとなるから、結果として第1判定部は、少なくとも1つの評価データを必ず第1記録部から読み出すことになる。
このように、本願発明の財務諸表解釈支援装置では、特殊な演算等を行うことなく、財務諸表が定型化されていることを利用して、クライアント装置から送られて来た財務諸表データによって特定される財務諸表中の複数の特定項目及びそれらと互いに紐付けられている数値とが予め定められた評価条件を充足した場合に、その評価条件と互いに紐付けられたいわば定型化された評価データを生成するようになっている。つまり、本願発明で第1判定部が評価データを生成する処理は、財務諸表データが定形的なものであることを利用した定型的なものとなっている。なお、生成と記載しているが、この評価データは、元々準備されていたものの中から選択されるものとなる。本願の財務諸表解釈支援装置の第1判定部が行う、評価データを単に選択するという定型化された処理は、極めて簡単であり、短時間で実行することが可能であるとともに、専門家に依頼を行う場合に比べて低コスト化が可能である。また、本願発明の財務諸表解釈支援装置は、既存の会計ソフトウェアが生成可能な財務諸表或いは財務諸表データが定型化されていることもあり、大抵の中小企業が用いている既存の会計ソフトウェアが生成可能な財務諸表或いは財務諸表データの殆どに対応させることが可能である。これは、多くの中小企業が用いる既存の会計ソフトウェアで作られた財務諸表データから、評価データの生成が可能であるということを意味する。
そして、本願による財務諸表解釈支援装置は、上述したように第2記録部と第2判定部とを備えている。第2記録部には予め解釈データが記録されている。解釈データは複数であり、それぞれ解釈条件と互いに紐付けられている。各解釈データには、第1記録部に記録されている評価条件のうちの少なくとも1つが紐付けられている。解釈データに紐付けられた1つの評価条件、或いは複数の評価条件の組合せが解釈条件である。第2判定部は、第1判定部によって読み出された評価データと紐付けられた評価条件が、第2記録部に記録された解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの解釈条件と互いに紐付けられた解釈データを、第2記録部から読み出すようになっている。この場合、読み出される解釈データは1つの場合もあるし、複数の解釈条件が満足されることにより複数となる場合もある。
かかる財務諸表解釈支援装置では、特殊な演算等を行うことなく、第1判定部が読出した評価データと紐付けられた少なくとも1つの評価条件が解釈条件に合致するか否かを判定することにより、合致した解釈条件と紐付けられた状態で予め第2記録部に記録されている解釈データを第2記録部から選択して読み出すようになっている。本願の財務諸表解釈支援装置の第2判定部が行う、解釈データを単に選択するという定型化された処理は、極めて簡単であり、短時間で実行することが可能であるとともに、専門家に依頼を行う場合に比べて低コスト化が可能である。
解釈データは、ユーザが使用するクライアント装置に送られる。例えば、クライアント装置がディスプレイを備えているのであれば、解釈データを受取ったクライアント装置は、そのディスプレイに解釈データに基づく表示を行う。ユーザは、その表示を見て、財務諸表の解釈を行うことが可能となる。なお、上記例では、ユーザは、ディスプレイに示された上述の表示を見ることにより、視覚によって財務諸表の解釈を知得することができると説明したが、解釈データによってユーザが経営状態の評価を知得する方法は視覚によることには制限されず、例えば、音声によってそれが実現されても良い。つまり、ユーザは、解釈データに基いて、五感のいずれかによって財務諸表の解釈の支援を受けることができればよい。ディスプレイに示された表示によりユーザが財務諸表の解釈を知得できるようになっているのであれば、その表示は例えば、経営状態を示す記号であってもよいし、その大小により財務諸表の解釈や経営状態を示す数値であってもよいし、財務諸表の解釈や経営状態を説明する文章(テキスト)であってもよい。つまり、前記解釈データは、テキストのデータであっても良い。後述するアドバイスデータも同様である。
つまり、かかる財務諸表解釈支援装置によれば、解釈データを受取ることによりユーザは、財務諸表の解釈の支援を受ける、或いは財務諸表を正しく解釈することが可能となる。そのために財務諸表解釈支援装置で行われる、主に、第1判定部と第2判定部とで行われる処理は上述したようにいずれも定型化されたものであり、低コストであり、その処理に時間がそれ程かからない。加えて、財務諸表解釈支援装置は上述したように、定型化された財務諸表データに対応することができるものであるから、かなりの割合の中小企業で使用されている会計ソフトウェアで生成された財務諸表データに基いて、解釈データを生成することができる。かかる財務諸表解釈支援装置は、多くの中小企業にとって有意義なものとなり得る。
【0008】
本願発明による財務諸表解釈支援装置は、前記第1判定部によって読み出された前記評価データに基いて、経営状態の良否を示す数値を生成するスコアリング部を備えていてもよい。この場合、前記送信部は、前記スコアリング部によって生成された数値のデータを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっていてもよい。
かかるスコアリング部により生成された数値のデータをクライアント装置が受取ることで、ユーザはその数値の大小により、直感的に経営状態の良否を把握することが可能となる。
前記スコアリング部は、前記第1判定部によって読み出された前記評価データの少なくとも1つに対して、所定の重み付けを行ってから、前記数値を生成するようになっていてもよい。例えば、読み出された評価データの数の合計を得点とする場合であって、ある評価データが読み出された場合には、1ではなく1.5を加えるとか、ある評価データが読み出された場合には、1ではなく0.8を加えるといった具合である。重み付けを適切に行っておくことにより、より経営状態に即した数値を作ることが可能となる。
以上で説明したスコアリング部が行う処理も定型的なものであるから、低コストであり、時間もそれ程かからない。
【0009】
これには限られないが、本願発明の財務諸表解釈支援装置は、前記第1判定部によって読み出された前記評価データと互いに紐付けられた前記評価条件、及び前記第2判定部によって読み出された前記解釈データと互いに紐付けられた前記解釈条件のうちの少なくとも1つが、予め定められた条件であるアドバイス条件を充足する場合に出力される、前記クライアント装置少なくとも1つの前記評価条件及び前記解釈条件の組合せによって決定されるを操作するユーザが前記財務諸表に基づく経営に対するアドバイスを知得することができるデータであるアドバイスデータを複数、前記アドバイス条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第3記録部と、前記第1判定部によって読み出された前記評価データと互いに紐付けられた前記評価条件、及び前記第2判定部によって読み出された前記解釈データと互いに紐付けられた前記解釈条件が、前記第3記録部に記録された前記アドバイス条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記アドバイス条件と互いに紐付けられた前記アドバイスデータを、前記第3記録部から少なくとも1つ読み出す第3判定部と、を備えており、前記送信部は、前記第3判定部によって読み出された前記アドバイスデータを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっていてもよい。
上述の評価データによれば、ユーザは、財務諸表から読み取ることができる経営状態の評価を知得することができ、また上述の解釈データによれば、ユーザは、財務諸表から読み取ることができる経営状態の解釈を知得することができる。しかしながら、それにとどまることなく、財務諸表から読み取ることができる経営状態の評価及び解釈に基づくアドバイスをもユーザが知得できれば、ユーザはそのアドバイスによりより正しい経営を行えることになる。上述の如き第3記録部及び第3判定部を備えた財務諸表解釈支援装置であれば、ユーザが財務諸表に基づく経営に対するアドバイスを知得することができるデータであるアドバイスデータをクライアント装置に送ることによりそれを可能とする。
この場合における財務諸表解釈支援装置は、上述したように第3記録部と第3判定部とを備えている。第3記録部には予めアドバイスデータが記録されている。アドバイスデータは複数であり、それぞれアドバイス条件と紐付けられている。各アドバイスデータには、第1記録部に記録されている評価条件及び第2記録部に記録されている解釈条件のうちの少なくとも1つが紐付けられている。アドバイスデータに紐付けられた1つの評価条件又は解釈条件、或いは評価条件及び解釈条件の複数の組合せがアドバイス条件である。第3判定部は、第1判定部によって読み出された評価データと紐付けられた評価条件、及び第2判定部によって読み出された解釈データと紐付けられた解釈条件が、第3記録部に記録されたアドバイス条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つのアドバイス条件と互いに紐付けられたアドバイスデータを、第3記録部から読み出すようになっている。この場合、読み出されるアドバイスデータは1つの場合もあるし、複数の場合もある。
かかる財務諸表解釈支援装置では、特殊な演算等を行うことなく、評価条件及び解釈条件が定型化されていることを利用して、第1判定部が読出した評価データと紐付けられた少なくとも1つの評価条件及び第2判定部が読出した解釈データと紐付けられた少なくとも1つの解釈条件がアドバイス条件に合致するか否かを判定することにより、合致したアドバイス条件と紐付けられた状態で予め第3記録部に記録されているアドバイスデータを第3記録部から選択して読み出すようになっている。アドバイスデータを選択するという処理は、定型化された処理であり、短時間で実行することが可能であるとともに、専門家に依頼を行う場合に比べて低コスト化が可能である。また、評価条件、及びそれから生成される解釈条件に基いてアドバイスデータを生成するものであるから、評価条件の生成が可能な会計ソフトウェア、つまり中小企業が用いる殆どの会計ソフトウェアに対応可能であるということも、この財務諸表解釈支援装置の利点となる。
財務諸表解釈支援装置がアドバイスデータをクライアント装置に送信するものである場合、財務諸表解釈支援装置は、ユーザが課金を行った場合にのみ、前記送信部から前記アドバイスデータを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっていても良い。
【0010】
これには限られないが、本願発明による財務諸表解釈支援装置は、前記受信部で受取った前記財務諸表データが、どの財務会計ソフトウェアで生成されたものであるかを自動的に判別する、ソフトウェア判別部を備えていてもよい。
これにより、複数種類の会計ソフトウェアで生成された財務諸表データのどれを財務諸表解釈支援装置が受取った場合でも、財務諸表解釈支援装置が財務諸表データから正しく財務諸表を再生することが可能となるとともに、財務諸表に含まれる各項目を予定した通りに正しく把握することが可能となる。
【0011】
本願発明者は、財務諸表解釈支援装置で実行される方法をも本願発明の一態様として提案する。かかる方法による効果は、本願発明による財務諸表解釈支援装置の効果に等しい。
一例となるその方法は、ネットワークを介して所定のクライアント装置と通信可能とされているとともに、前記クライアント装置から、所定の約束事を満たすように定型化された、多数の項目と多数の前記項目のそれぞれと互いに紐付けられた数値とを含む財務諸表についてのデータである財務諸表データを受取るようになっており、受取ったその財務諸表データに基いて経営状態の解釈を支援するようになっている財務諸表解釈支援装置にて実行される方法である。
そして、その方法は、前記財務諸表解釈支援装置が実行する、前記財務諸表データを前記クライアント装置から受取る受信過程と、前記財務諸表に含まれる多数の前記項目のうちの特定の前記項目である特定項目と互いに紐付けられた前記数値のうちの複数が、予め定められた条件である評価条件を充足する場合に出力されるデータである評価データを複数、複数の異なる前記評価条件とそれぞれ紐付けた状態で第1記録部に記録する第1記録過程と、前記受信過程で受取った前記財務諸表データによって特定される前記財務諸表に含まれる多数の前記項目と紐付けられた数値が、前記第1記録部に記録された前記評価条件のいずれかと一致するかについて判定を行い、前記第1記録部に記録された前記評価条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記評価条件と互いに紐付けられた前記評価データを、前記第1記録部から少なくとも1つ読み出す第1判定過程と、前記第1判定過程で読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件のうちの少なくとも1つが、予め定められた少なくとも1つの前記評価条件の組合せによって決定される条件である解釈条件を充足する場合に出力される、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表の解釈を知得することができるデータである解釈データを複数、前記解釈条件とそれぞれ紐付けた状態で第2記録部に記録する第2記録過程と、前記第1判定過程で読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件が、前記第2記録部に記録された前記解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記解釈条件と互いに紐付けられた前記解釈データを、前記第2記録部から少なくとも1つ読み出す第2判定過程と、前記第2判定過程で読み出された前記解釈データを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている送信過程と、を含んでいる。
【0012】
本願発明者は、財務諸表解釈支援装置として所定の例えば汎用のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムをも本願発明の一態様として提案する。かかるコンピュータプログラムによる効果は、本願発明による財務諸表解釈支援装置の効果に等しく、また、本願による財務諸表解釈支援装置として所定のコンピュータを機能させることが可能となることである。
一例となるそのコンピュータプログラムは、ネットワークを介して所定のクライアント装置と通信可能とされているとともに、前記クライアント装置から、所定の約束事を満たすように定型化された、多数の項目と多数の前記項目のそれぞれと互いに紐付けられた数値とを含む財務諸表についてのデータである財務諸表データを受取るようになっており、受取ったその財務諸表データに基いて経営状態の解釈を支援するようになっている財務諸表解釈支援装置として、所定のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
そして、そのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、前記財務諸表データを前記クライアント装置から受取る受信部と、前記財務諸表に含まれる多数の前記項目のうちの特定の前記項目である特定項目と互いに紐付けられた前記数値のうちの複数が、予め定められた条件である評価条件を充足する場合に出力されるデータである評価データを複数、複数の異なる前記評価条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第1記録部と、前記受信部で受取った前記財務諸表データによって特定される前記財務諸表に含まれる多数の前記項目と紐付けられた数値が、前記第1記録部に記録された前記評価条件のいずれかと一致するかについて判定を行い、前記第1記録部に記録された前記評価条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記評価条件と互いに紐付けられた前記評価データを、前記第1記録部から少なくとも1つ読み出す第1判定部と、前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件のうちの少なくとも1つが、予め定められた少なくとも1つの前記評価条件の組合せによって決定される条件である解釈条件を充足する場合に出力される、前記クライアント装置を操作するユーザが前記財務諸表の解釈を知得することができるデータである解釈データを複数、前記解釈条件とそれぞれ紐付けた状態で記録する第2記録部と、前記第1判定部によって読み出された前記評価データと紐付けられた前記評価条件が、前記第2記録部に記録された前記解釈条件と一致した場合に、当該一致した少なくとも1つの前記解釈条件と互いに紐付けられた前記解釈データを、前記第2記録部から少なくとも1つ読み出す第2判定部と、前記第2判定部によって読み出された前記解釈データを、前記ネットワークを介して前記クライアント装置に送信するようになっている送信部と、として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい一実施形態について説明する。
【0015】
図1に、本願発明の財務諸表解釈支援装置を含むシステムの好ましい一実施形態の全体構成を概略で示す。
実施形態によるシステムは、複数のクライアント100−1〜100−N(以後、単に、「クライアント100」と記載する場合もある。)、及びサーバ200を含んで構成されている。これらはすべて、ネットワーク400に接続可能とされている。
ネットワーク400は、これには限られないが、この実施形態ではインターネットである。
この実施形態におけるクライアント100は、本願でいうクライアント装置に相当するものである。また、この実施形態におけるサーバ200は本願でいう財務諸表解釈支援装置に相当する。
【0016】
クライアント100は、コンピュータを含んでいる。より詳細には、この実施形態におけるクライアント100は、汎用のコンピュータにより構成されている。
【0017】
次に、クライアント100の構成を説明する。各クライアント100−1〜100−Nの構成は、本願発明における財務諸表解釈支援装置との関連でいえば同じといえる。
クライアント100は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、デスクトップ型パソコン等である。それらはすべて、ネットワーク400を介しての通信が可能なものであり、また後述するコンピュータプログラムをインストールすることによって後述する機能ブロックをその内部に生成し、そして後述する処理を実行できるものであることが求められ、それが可能であるのであればそれ以外の仕様は特に問わない。
例えば、クライアント100がスマートフォンかタブレットなのであれば、スマートフォンとしてのクライアント100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPhoneで良いし、タブレットとしてのクライアント100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPadでよい。ノート型パソコン、デスクトップ型パソコン等によりクライアント100が構成されているのであれば、それらはいずれも市販のもので良い。以下、これには限られないが、クライアント100がスマートフォンであることとして話を進める。
【0018】
クライアント100の外観の一例を
図2に示す。
クライアント100は、ディスプレイ101を備えている。ディスプレイ101は、静止画又は動画を表示するためのものであり、公知、或いは周知のものを用いることができる。ディスプレイ101は例えば、液晶ディスプレイである。クライアント100は、また入力装置102を備えている。入力装置102は、ユーザが所望の入力をクライアント100に対して行うためのものである。入力装置102は、公知或いは周知のものを用いることができる。この実施形態におけるクライアント100の入力装置102はボタン式のものとなっているが、これには限られず、テンキー、キーボード、トラックボール、マウスなどを用いることも可能である。特に、クライアント100がノート型パソコン、デスクトップ型パソコンである場合には、入力装置102はキーボードや、マウス等になるであろう。また、ディスプレイ101がタッチパネルである場合、ディスプレイ101は入力装置102の機能を兼ねることになり、この実施形態ではそうされている。
【0019】
クライアント100のハードウェア構成を、
図3に示す。
ハードウェアには、CPU(central processing unit)111、ROM(read only memory)112、RAM(random access memory)113、インターフェイス114が含まれており、これらはバス116によって相互に接続されている。
CPU111は、演算を行う演算装置である。CPU111は、例えば、ROM112、或いはRAM113に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する処理を実行する。図示をしていないが、ハードウェアはHDD(hard disk drive)その他の大容量記録装置を備えていてもよく、コンピュータプログラムは大容量記録装置に記録されていても構わない。
ここでいうコンピュータプログラムには、後述する処理(例えば、後述する画像をディスプレイ101に表示させるための処理)をクライアント100に実行させるためのコンピュータプログラムが少なくとも含まれる。このコンピュータプログラムは、クライアント100にプリインストールされていたものであっても良いし、事後的にインストールされたものであっても良い。このコンピュータプログラムのクライアント100へのインストールは、メモリカード等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。
ROM112は、CPU111が後述する処理を実行するために必要なコンピュータプログラムやデータを記録している。ROM112に記録されたコンピュータプログラムとしては、これに限られず、クライアント100がスマートフォンであれば、クライアントをスマートフォンとして機能させるために必要な、例えば、通話や電子メールを実行するためのコンピュータプログラムやデータが記録されている。クライアント100は、また、ネットワーク400を介して受取ったデータに基づいて、ホームページを閲覧することも可能とされており、それを可能とするための公知のwebブラウザを実装している。クライアント100には、会計ソフトウェアがインストールされていてもよい。会計ソフトウェアはクラウド型であって、クライアント100内に存在しなくても良い。もっといえば、クライアント100は後述するように、サーバ200に対して後述する財務諸表データを送信することが可能であれば足りるので、他のコンピュータで生成された財務諸表データを記録することが可能であればそれでよい。つまり、クライアント100は、財務諸表データを生成する機能にまったく関与しないものとなっていても構わない。
RAM113は、CPU111が処理を行うために必要なワーク領域を提供する。場合によっては、上述のコンピュータプログラムやデータ(の一部)が記録されていてもよい。
インターフェイス114は、バス116で接続されたCPU111やRAM113等と外部との間でデータのやり取りを行うものである。インターフェイス114には、上述のディスプレイ101と、入力装置102とが接続されている。入力装置102から入力された操作内容は、インターフェイス114からバス116に入力されるようになっている。また、周知のようにディスプレイ101に画像を表示するための画像データは、バス116からインターフェイス114に送られ、インターフェイス114からディスプレイ101に出力されるようになっている。インターフェイス114は、また、インターネットであるネットワーク400を介して外部と通信を行うための公知の手段である送受信機構(図示を省略)に接続されており、それにより、クライアント100は、ネットワーク400を介してデータを送信することと、ネットワーク400を介してデータを受信することとが可能になっている。かかるネットワーク400を介してのデータの送受信は、有線で行われる場合もあるが無線で行われる場合もある。例えば、クライアント100がスマートフォンである場合には、かかる通信は無線で行われるのが通常であろう。それが可能な限り、送受信機構の構成は、公知或いは周知のものとすることができる。送受信機構がネットワーク400から受取ったデータは、インターフェイス114により受取られるようになっており、インターフェイス114から送受信機構にわたされたデータは、送受信機構によって、ネットワーク400を介して外部、例えば、サーバ200に送られるようになっている。
【0020】
CPU111がコンピュータプログラムを実行することにより、クライアント100内部には、
図4で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、クライアント100を本願発明のクライアント装置として機能させるための上述のコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、上述のコンピュータプログラムと、クライアント100にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
クライアント100内には、本願発明の機能との関係で、入力部121、主制御部122、画像生成部123、記録部124出力部125が生成される。
【0021】
入力部121は、インターフェイス114からの入力を受取るものである。
インターフェイス114から入力部121への入力には、入力装置102からの入力がある。入力装置102からの入力には、いずれも詳細は追って説明するが、ユーザを識別するための識別情報であるユーザIDについてのデータと、サーバ200からクライアント100へ解釈データ(後述)の送信を行わせるために財務諸表データ(後述)のサーバ200への送信をユーザがクライアント100に促す開始データと、スコアデータ(後述)、及びアドバイスデータ(後述)のいずれかのクライアント100への送信をサーバ200に要求することをユーザがクライアント100に促すデータである要求データとが含まれる。これらに加えて、例えば、サーバ200の管理者に対して、解釈データ、アドバイスデータ等の提供の対価を支払うための支払に関する情報が入力装置102から入力される場合もある。入力装置102からの上述の入力があった場合、それら入力によるデータはいずれも、入力部121から主制御部122へと送られるようになっている。
インターフェイス114から入力部121への入力には、また、サーバ200から送られてきて送受信機構で受取られたデータ、より詳細にはスコアデータ、解釈データ及びアドバイスデータを含むデータがある。これらのうち、入力部121は解釈データは必ず受取るが、スコアデータ及びアドバイスデータは場合によっては受け取らない。送受信機構、インターフェイス114を経て解釈データ等が入力部121に受け取られた場合、入力部121はそれらを画像生成部123へと送るようになっている。
【0022】
主制御部122は、クライアント100内に生成された各機能ブロック全体の制御を行うものである。
主制御部122は、入力部121から開始データとユーザIDとを受取る場合がある。開始データをユーザIDとともに受取った場合、主制御部122は、記録部124から財務諸表データを読出すようになっている。記録部124は、財務諸表データを少なくとも1つ記録するものである。記録部124に複数の財務諸表データが存在する場合、主制御部122は、開始データとともに、複数の財務諸表データのうちの1つを特定する入力装置102によって入力されたデータを受取るようになっており、そのデータに基いて、記録部124に記録された複数の財務諸表データの中から1つを選択してから、選択された財務諸表データを読み出すようになっている。後述するように、主制御部122が記録部124から読出した財務諸表データは、クライアント100からサーバ200に送られることになる。つまり、複数の財務諸表データが記録部124に記録されている場合には、ユーザは、開始データを入力する前後に入力装置102から入力するデータにより、サーバ200へ送信することになる財務諸表データを選択することになる。
上述したように、記録部124は、少なくとも1つの財務諸表データを記録するものである。記録部124に記録された財務諸表データは、クライアント100内で生成されたものであってもよいし、クライアント100が例えばクラウドサーバに生成させたものであってもよいし、このクライアント100とは無関係の他の装置で生成されたものであってもよい。いずれにせよ、公知、或いは周知の方法によって、財務諸表データが記録部124に記録されることになる。財務諸表データは、既製の或いは市販の会計ソフトウェアによって生成されたものでよく、この実施形態ではそうされている。
開始データ及びユーザIDを受取った場合、主制御部122は、入力部121から受取った開始データ及びユーザIDのデータに加えて、記録部124から読出した財務諸表データを、出力部125へと送るようになっている。
主制御部122は、入力部121から要求データを受取る場合がある。要求データを受取った主制御部122は、それを出力部125へと送るようになっている。
主制御部122は、また、例えば、入力装置102から入力されたデータを受取った場合に、当該データに基いて、画像データを生成させるための指示を画像生成部123に送るようになっている。
【0023】
画像生成部123は、画像データを生成する機能を有している。画像データは、ディスプレイ101に表示する画像を決定するデータである。
ディスプレイ101に表示させる画像は例えば、ユーザに、開始データ、ユーザID、要求データ等の入力を促すための画像である。画像生成部123は上述したように、主制御部122からの指示を受取る場合がある。そのような指示を受取った場合、ユーザに、開始データ、ユーザID、要求データ等の入力を促す画像についての画像データを画像生成部123は生成するようになっている。
また、画像生成部123は、上述したように、解釈データを受取ることがあり、また、場合によって、スコアデータ、アドバイスデータを受取ることがある。解釈データ、スコアデータ、アドバイスデータを受取った場合、画像生成部123は、それらデータによって特定される内容をユーザが視覚により知得することができるような画像についての画像データを生成する。
いずれにせよ、画像生成部123が生成した画像データは、画像生成部123から出力部125へと送られるようになっている。
【0024】
出力部125は、クライアント100内の機能ブロックで生成されたデータをインターフェイス114に出力するものである。
出力部125には、上述のように主制御部122から開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データが送られてくることがある。これらを受取った出力部125は、それらデータをインターフェイス114を介して送受信機構へ送るようになっている。送受信機構はそれらデータをネットワーク400を介して、サーバ200へと送るようになっている。
出力部125には、上述のように主制御部122から要求データが送られてくることがある。要求データを受取った出力部125は、要求データをインターフェイス114を介して送受信機構へ送るようになっている。送受信機構は要求データをネットワーク400を介して、サーバ200へと送るようになっている。
出力部125には、上述のように画像生成部123から画像データが送られてくる場合がある。画像データは、出力部125からインターフェイス114を介してディスプレイ101へと送られる。それを受取ったディスプレイ101には画像データに基づく画像が表示されることになる。
【0025】
次に、サーバ200の構成について説明する。
サーバ200は、ハードウェアとして見た場合には、既存の公知又は周知のサーバで構わない。また、そのハードウェア構成も一般的なものでよく、大雑把に言えば、CPU111、ROM112、RAM113、インターフェイス114をバス116で接続するという、クライアント100のハードウェア構成を踏襲することができる。もっとも、サーバ200は通常、HDDその他の大容量記録装置を有するのが一般的であろう。
サーバ200が備えるCPU、ROM、RAM、インターフェイス、バス、及び大容量記録装置の構成、機能は、クライアント100におけるそれらの構成、機能と変わらない。また、サーバ200が備えるインターフェイスには、クライアント100が備えていたのと同様の、サーバ200外の機器とネットワーク400を介しての通信を行うための送受信機構が接続されている。バスからインターフェイスに送られた情報は送受信機構に送られ、送受信機構からネットワーク400を介して例えばクライアント100へと送られるようになっている。また、ネットワーク400を介してクライアント100から送られてきて送受信機構で受け取られたデータは、送受信機構からインターフェイスへ送られ、インターフェイスからバスへと送られるようになっている。
なお、サーバ200が備えるインターフェイスには、クライアント100が備えていたのと同様のディスプレイ、及び入力装置が接続されていても構わないが、本願とはあまり関係がないのでそれらの説明は省略する。
【0026】
サーバ200の内部におけるROM、大容量記録装置等に記録されていたサーバ200を本願発明の財務諸表解釈支援装置として機能させるためのコンピュータプログラムを実行することによって、サーバ200の内部には以下に説明するような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、サーバ200を本願発明の財務諸表解釈支援装置として機能させるためのコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、かかるコンピュータプログラムと、サーバ200にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。また、上記コンピュータプログラムは、サーバ200にプリインストールされたものでもよいが、出荷後のサーバ200にインストールされたものでもあってもよい。その場合、上記コンピュータプログラムのサーバ200へのインストールは、メモリカード等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。これらの事情は、クライアント100の場合と同様である。
サーバ200内には、本願発明の機能との関係で、入力部221、主制御部222、第1判定部223、第1記録部223A、スコアリング部224、第2判定部225、第2記録部225A、第3判定部226、第3記録部226A、ID記録部227、出力データ記録部228、及び出力部229が生成される(
図5)。
【0027】
入力部221は、インターフェイスからの入力を受取るものである。
入力部221にインターフェイスから入力されるデータは、ネットワーク400を介してクライアント100から送られて来てサーバ200の送受信機構によって受け取られたデータである。
送受信機構は、クライアント100から、開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データを受取る場合がある。これらを受取った入力部221は、受取った開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データを主制御部222へと送るようになっている。また、送受信機構は、クライアント100から、要求データを受取る場合がある。要求データを受取った入力部221は、受取った要求データを主制御部222へと送るようになっている。
【0028】
主制御部222は、サーバ200内に生成された各機能ブロック全体の制御を行うものである。
主制御部222は、入力部221から、開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データを受取る場合がある。これらを受取った場合、主制御部222は、受取った財務諸表データに基いて、評価データを生成する処理と、解釈データを生成する処理とを、これには限られないがこの実施形態では続けて実行するようにサーバ200内の各機能ブロックを制御するようになっている。
評価データを生成する処理と、解釈データを生成する処理とを実行するにあたって、サーバ200は、それらに先立ちまず認証の処理を実行するようになっている。認証の処理を実行する場合、これには限られないがこの実施形態における主制御部222は、ID記録部227に記録されたデータを用いるようになっている。ID記録部227には、サーバ200に対して評価データの生成を要求する権利を有するユーザ全員分のユーザ毎にユニークなユーザIDが記録されている。ID記録部227へのユーザ全員分のユーザIDの記録は、例えば、公知或いは周知の方法によって、各ユーザにユーザIDの登録を含めたユーザ登録を行わせることによって行うことができる。主制御部222は、クライアント100から送られてきたユーザIDを受取った場合、当該ユーザIDと同じユーザIDがID記録部227に記録されているか否かについて検索を行う。その結果、クライアント100から送られてきたユーザIDと同じものがID記録部227に記録されていたのであれば、主制御部222は、そのユーザIDを送ってきたクライアント100を使用しているユーザを正当な者と認証する。他方、クライアント100から送られてきたユーザIDと同じものがID記録部227に記録されていなかったのであれば、主制御部222は、そのユーザIDを送ってきたクライアント100を使用しているユーザを正当な者と認証しない。
認証が行われた場合、主制御部222は、第1判定部223に対して、評価データの生成を行えという指示を、クライアント100から受取った財務諸表データとともに送るようになっている。
主制御部222はまた、要求データを受取る場合がある。要求データを受取った場合主制御部222は、スコアリング部224にスコアデータを生成せよという指示を出すか、第3判定部226にアドバイスデータを生成せよという指示を出すか、のいずれかを行う。主制御部222は、いずれの指示を行うかを要求データの内容によって決定するようになっている。
また、主制御部222は、後述するように、第1判定部223から評価データを、スコアリング部224からスコアデータを、第2判定部225から解釈データを、第3判定部226からアドバイスデータを受取る場合がある。これらのうち、主制御部222が第1判定部223から評価データを受取った場合、主制御部222は上述した、解釈データを生成せよとの指示を、評価データとともに第2判定部225に送るようになっている。また、これらのうち、解釈データ、スコアデータ、又はアドバイスデータを受取った場合には、主制御部222は、受取ったそれらデータを、それらデータが生成されるきっかけとなった財務諸表データを送って来たユーザのユーザIDとともに、出力部229へと送るようになっている。また、主制御部222が受取った評価データ、スコアデータ、解釈データ、アドバイスデータは、それらデータが生成されるきっかけとなった財務諸表データを送って来たユーザのユーザIDとともに、主制御部222が出力データ記録部228へと送るようになっている。出力データ記録部228は、簡単にいうと、サーバ200によって生成された評価データ、解釈データ、スコアデータ、アドバイスデータの例えばすべてを、各ユーザID毎に、ユーザIDのそれぞれと紐付けて蓄積するためのものである。
主制御部222が、スコアリング部224にスコアデータを生成せよという指示を送る場合、主制御部222は、スコアリング部224に、かかる指示とともに、評価データをも送るようになっている。主制御部222が、第3判定部226にアドバイスデータを生成せよという指示を送る場合、主制御部222は、第3判定部226に、かかる指示とともに、評価データ、又は評価データ及び解釈データをも送るようになっている。
【0029】
第1判定部223は、評価データを生成する機能を有する。
上述したように、第1判定部223は、主制御部222から評価データを生成せよという指示を受けた場合に評価データを生成する。評価データを生成する場合に、第1判定部223は、主制御部222から受取った財務諸表データと、第1記録部223Aに記録されていたデータとを用いて、それを生成する。第1記録部223Aに記録されているデータと、第1判定部223が評価データを生成する方法との詳細については、いずれも後述することとする。評価データの詳細についても追って説明する。第1判定部223は、評価データを生成したらそれを主制御部222に送るようになっている。
上述したように、スコアリング部224は、主制御部222からスコアデータを生成せよという指示を受けた場合にスコアデータを生成する。スコアデータを生成する場合に、スコアリング部224は、主制御部222から受取った評価データを用いて、それを生成する。スコアリング部224がスコアデータを生成する方法の詳細については後述することとする。スコアデータの詳細についても追って説明する。スコアリング部224は、評価データを生成したらそれを主制御部222に送るようになっている。
上述したように、第2判定部225は、主制御部222から解釈データを生成せよという指示を受けた場合に解釈データを生成する。解釈データを生成する場合に、第2判定部225は、主制御部222から受取った評価データと、第2記録部225Aに記録されていたデータとを用いて、それを生成する。第2記録部225Aに記録されているデータと、第2判定部225が解釈データを生成する方法との詳細については、いずれも後述することとする。解釈データの詳細についても追って説明する。第2判定部225は、評価データを生成したらそれを主制御部222に送るようになっている。
上述したように、第3判定部226は、主制御部222からアドバイスデータを生成せよという指示を受けた場合にアドバイスデータを生成する。アドバイスデータを生成する場合に、第3判定部226は、主制御部222から受取った評価データ、又は評価データ及び解釈データと、第3記録部226Aに記録されていたデータとを用いる。第3記録部226Aに記録されているデータと、第3判定部226がアドバイスデータを生成する方法との詳細については、いずれも後述することとする。アドバイスデータの詳細についても追って説明する。第3判定部226は、アドバイスデータを生成したらそれを主制御部222に送るようになっている。
【0030】
出力部229は、サーバ200内の機能ブロックで生成されたデータをインターフェイスに出力するものである。
出力部229には、上述のように主制御部222から、解釈データ、スコアデータ、アドバイスデータが送られてくる場合がある。これらのデータを受取った場合、出力部229はそれらデータとともに送られてきたユーザIDとともに、それらデータを送受信機構に対して送るようになっている。それらデータは、ユーザIDによって特定されるユーザのクライアント100に向けて、ネットワーク400を介して送受信機構から送信されるようになっている。
【0031】
次に、以上で説明したシステムの使用方法、及び動作、特には本願発明における財務諸表解釈支援装置としてのサーバ200の使用方法、動作について説明する。
【0032】
財務諸表解釈支援装置としてのサーバ200によるサービスを利用しようとするユーザは、まず、自らが所有するクライアント100の入力装置102を操作して、上述のコンピュータプログラムを実行させる。そうすると、クライアント100のディスプレイ101には、操作画面が表示される。具体的には、ユーザが入力装置102を操作することによって上述のコンピュータを操作するための入力を行う。そうすると、入力装置102によってかかる入力に応じたデータが生成され、かかるデータは、入力装置102からインターフェイス114を介して入力部121へと送られ、更には入力部121から主制御部122へと送られる。かかるデータに基いて、主制御部122が、画像生成部123に対して操作画面の画像についての画像データを生成せよと指示する。この指示を受けて画像生成部123が生成した画像データが、出力部125、インターフェイス114を経てディスプレイ101に送られることによって、ディスプレイ101に操作画面の画像が表示される。
ディスプレイ101に表示される画像は、ユーザに、ユーザIDの入力を促すとともに、ユーザに開始データの入力を促すものである。また、この画像には、必要に応じて、ユーザに記録部124に記録された複数の財務諸表データのうちのどれをサーバ200への送信対象とするかという選択をユーザに促す表示も含まれる。
ディスプレイ101に表示される操作画面の画像は例えば、
図6に示したようなものである。この例では、ディスプレイ101には、ユーザにユーザIDの入力を促すための「ユーザID」という文字と横方向に細長い四角い枠が表示される。ユーザは、ユーザIDをその枠内に入力する。
操作画面には、選択可能な財務諸表データの候補として複数の財務諸表データが表示される。
図6の例では、データ1からデータ4という4つの財務諸表データが選択可能な財務諸表データとして表示されている。もちろんこの数は4つに限られない。財務諸表データは、ユーザがそれらを区別可能なようにされている。この実施形態では、データ1からデータ4という文字の右側に西暦の日付が表示されている。これら日付は、その財務諸表データが生成された日時を示すものであり、それによりユーザは各財務諸表データを区別できるようにされている。ユーザは、各財務諸表データという文字の左側にあるチェックボックスにチェックを入れることにより、送信対象とする財務諸表データを選択できるようになっている。
図6では、データ2という財務諸表データが選択された状態となっている。もちろん、データが生成された日付を表示する以外の方法で各財務諸表データを区別できるようにしてもよい。
また、操作画面には、「送信」という文言が書かれたボタンの画像が含まれるようになっている。かかるボタンをクリックする操作をユーザが行うことにより、開始データの入力が行われるようになっている。なお、開始データの入力は、ユーザIDを入力するための上述の四角い枠内にユーザIDが書き込まれているという条件と、財務諸表データの選択が既に行われているという条件の双方が充足されている場合にしか行えないようになっている。
【0033】
ユーザが「送信」と書かれたボタンをクリックすることで、開始データと、ユーザIDのデータと、選択される財務諸表を特定するためのデータとが入力装置102によって生成され、それらデータは入力装置102から、インターフェイス114を経て、クライアント100の入力部121へと送られる。これらデータはすべて、入力部121から主制御部122へと送られる。
これらデータを受取ると、主制御部122は、記録部124から財務諸表データを読出すようになっている。これには限られないがこの実施形態では、記録部124に複数の財務諸表データが記録されている。主制御部122は、開始データ及びユーザIDのデータとともに受取った、選択される財務諸表を特定するためのデータにしたがって、記録部124に記録された複数の財務諸表データの中から選択された財務諸表データを読み出す。
主制御部122は、入力部121から受取った開始データ及びユーザIDのデータに加えて、記録部124から読出した財務諸表データを、出力部125へと送る。これらデータは、出力部125からインターフェイス114を経て送受信機構に送られる。送受信機構は、開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データを、ネットワーク400を介して、サーバ200へと送る。
【0034】
サーバ200は、その送受信機構によって、ネットワーク400を介してクライアント100から送られてきた開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データを受取る。
これらデータは、サーバ200内で、送受信機構からインターフェイスへと送られ、更には入力部221へと送られる。開始データ、ユーザIDのデータ及び財務諸表データは、入力部221から主制御部222へと送られる。
【0035】
これらを受取った主制御部222は、まず、認証の手続を行う。この実施形態では、認証の手続は、主制御部222がクライアント100から受取ったユーザIDが、ID記録部227に多数記録されたユーザIDのいずれかと一致するか否かにより行う。主制御部222がクライアント100から受取ったユーザIDと同じユーザIDがID記録部227に存在した場合には、主制御部222はそのユーザIDを送って来たユーザが正当なユーザであると認証する。
なお、ユーザIDは、例えば、Twitter, Inc.が提供するTwitter(商標)や、LINE株式会社が提供するLINE(商標)等のユーザが用いているSNS(social networking service)のアカウントと共通のものとすることができ、ユーザが用いるメールアドレスとすることができ、或いは、クライアント100がスマートフォンである場合にはその電話番号とすることが可能である。これらはいずれも、ユーザIDと、ユーザの氏名(或いはユーザが送って来た財務諸表データによって特定される財務諸表の元となった法人の名称)や、当該ユーザ又は法人の住所等の個人情報との紐付けが難しいものである。認証に用いるユーザIDをそのようなもののみとし、サーバ200側でユーザIDと紐付けた個人情報を持たないようにした場合には、ユーザの認証が行われたとしても、ユーザ或いはユーザが属する法人は、サーバ200の例えば管理者に、ユーザ或いは法人を特定されないままの言い換えれば匿名性を保ったままの状態で、サーバ200から、サービス、例えば解釈データの提供のサービスを受けることが可能となる。
【0036】
主制御部222が受取ったユーザIDを送ってきたユーザが正当な者であるとの認証を行った場合、主制御部222は、第1判定部223に対して、評価データの生成を行えという指示を、クライアント100から受取った財務諸表データとともに送るようになっている。
なお、この実施形態における主制御部222は、クライアント100から送られて来た財務諸表データが既存のどの会計ソフトウェアで生成されたものであるか(言い換えれば、その財務諸表データのファイルの種類は何か)を自動的に判別する機能を有している。かかる判別は、各財務諸表データに含まれる各財務諸表データの種類毎における特徴的なデータの判別によって、それを行うことができる。特徴的なデータの例は、財務諸表データのデータファイルの拡張子や、財務諸表データによって特定される財務諸表に含まれる項目の名称や、項目の並び順である。そして、必要があれば、主制御部222は、財務諸表データを、本願発明によるコンピュータプログラムで扱える形式に変換してから、第1判定部223へと送る。ここでいう変換は、データ形式の変換の場合もある。また、ある会計ソフトウェアで生成された財務諸表に含まれる項目の名称が、他の会計ソフトウェアで生成された財務諸表に含まれる項目の名称と、同じ対象を特定しているにも関わらず異なる場合に、それを共通する名称に変換するという場合もあるし、各財務諸表でそれが異なる場合に項目の順序を揃えるというものであっても良い。サーバ200で扱う財務諸表データが例えば、5種類かせいぜい10種類程度なのであれば、財務諸表データがどの会計ソフトウェアで生成されたかを判別するのは容易であるし、また、上述の如きデータの変換を行うことの困難性も限定的である。
他方、主制御部222が認証を行わなかった場合、以降の処理は行われない。この場合、例えば、サーバ200からクライアント100へ認証が行われなかったことを通知しても良い。この場合、ユーザは再度クライアント100を操作して、開始情報、ユーザID、財務諸表データのクライアント100からサーバ200への送信を再び行うことが可能である。
【0037】
主制御部222から評価データの生成を行なえという指示と財務諸表データとを受取った第1判定部223は、財務諸表データと、第1記録部223Aに記録されたデータとに基いて、評価データを生成する。
以下、評価データの生成の仕方について説明する。
例として、第1判定部223に送られて来た財務諸表データによって特定される財務諸表を
図7、8に示す。
図7は、賃借対照表の一例であり、
図8は損益計算書の一例であり、それらは既存或いは市販のそして同一の会計ソフトウェアで同時に生成されたものである。なお、財務諸表データは、賃借対照表、損益計算書以外に、キャッシュフロー計算書や、株主資本等変動計算書が含まれていても構わない。財務諸表として、キャッシュフロー計算書等が含まれ得るのであれば、追って詳述する評価条件や評価データも、キャッシュフロー計算書等に含まれる項目を考慮して作成することになる。
図7で示した賃借対照表に着目すれば、「資産の部」と「負債の部」と「純資産の部」という項目が存在する。また、賃借対照表の「資産の部」には、「流動資産」と「固定資産」という項目が含まれており、それらの下には、更に細かな項目が並んでいる。「負債の部」には、「流動負債」と「固定負債」という項目が含まれており、それらの下には、更に細かな項目が並んでいる。また、「純資産の部」には、「株主資本」という項目が含まれているとともにその他幾つかの項目が必要に応じて含まれており、それらの下には、更に細かな項目が並んでいる。
図8で示した損益計算書に着目すれば、「売上高」と、「売上原価」と、「販売費及び一般管理費」と、「営業外収益」、「営業外費用」という項目が含まれており、それらの下に、更に細かな項目が並んでいる。賃借対照表に含まれる項目も、損益計算書に含まれる項目も、どのような会計ソフトウェアで生成された賃借対照表にも、損益計算書にも大抵含まれている定型的なものであるといえる。
第1判定部223は主制御部222から送られてきた財務諸表データによって特定される財務諸表に含まれる項目と、それらにそれぞれ紐付けられている数値を用いて評価データを生成するが、評価データを生成する際には、第1記録部223Aに記録されたデータを参照する。
第1記録部223Aには、評価条件が複数記録されている。第1判定部223は主制御部222から送られてきた財務諸表データによって特定される財務諸表に含まれる項目と、それらにそれぞれ紐付けられている数値とが、第1記録部223Aに記録された評価条件のどれに合致するかという判定を行う。評価条件のそれぞれは、評価データとそれぞれ紐付けられている。第1判定部223は主制御部222から送られてきた財務諸表データによって特定される財務諸表に含まれる項目と、それらにそれぞれ紐付けられている数値とが充足した評価条件と互いに紐付けられた評価データを、評価データとして読み出す。主制御部222から送られてきた財務諸表データによって特定される財務諸表に含まれる項目と、それらにそれぞれ紐付けられている数値が、複数の評価条件に合致する場合がある。その場合には、合致した複数の評価条件のそれぞれに対応する評価データの例えばすべて、或いはそれらのうち幾つかを読み出す。合致した複数の評価条件のそれぞれに対応する評価データのうちの幾つかを読み出す場合には、例えば、評価データに対して、例えば、評価データの重要度に応じて優先度の順位付けを予めしておき、優先度の高い評価データから決まった数だけ読み出す、といった手法が採用可能である。
【0038】
より具体的な説明を行うため、第1記録部223Aに記録されているデータの例を
図9、
図10に示す。
第1記録部223Aには、評価条件が記録されている。これには限られないが、この実施形態における評価条件は、
図9に示した、安定性A1、キャッシュフローA2、収益性A3、その他A4の4つの分類に分類されている。これら4つの分類の下には、小分類が存在している。例えば、安定性A1の分類の下には、流動比率A11、当座比率A12、固定比率A13、自己資本比率A14、売上債権回転期間A15、仕入債務回転期間A16、棚卸資産回転期間A17という小分類が存在する。他の分類の下にも同様に、小分類が存在する。
これら小分類のそれぞれに、評価条件が割当てられている。その例を、
図10に示す。
例えば、小分類である流動比率A11についての評価条件としては、評価条件A111として、(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100>150、評価条件A112として、150≧(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100≧100、評価条件A113として、(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100<100という条件がそれぞれ記録されている。また、これら3つの評価条件はそれぞれ、A111流動比率が良い(3点)、A112流動比率が普通(2点)、A113流動比率が悪い(1点)というデータと対応付けられている。A111流動比率が良い(3点)、A112流動比率が普通(2点)、A113流動比率が悪い(1点)というデータのうち、A111流動比率が良い、A112流動比率が普通、A113流動比率が悪いという部分が評価データであり、3点、2点、1点という部分は、後述するスコアデータを生成するための元となる元スコアのデータである元スコアデータである。元スコアデータは1点刻みである必要はなく、また正の数のみならず負の数が含まれていてもよい。なお、評価データに含まれるA111、A112といった符号は、その評価データと紐付けられていた評価条件に付されていた符号と一致しており、その評価データが後述のようにして第1判定部223に読み出される場合に、どの評価条件が充足されたかということを示すものとなる。
また、小分類である売上債権回転期間A15についての評価条件としては、評価条件A151として、(売掛金の数値/売上高の数値)×12<1.5、評価条件A152として、3≧(売掛金の数値/売上高の数値)×12≧1.5、評価条件A153として、(売掛金の数値/売上高の数値)×12>3がそれぞれ記録されている。また、これら3つの評価条件はそれぞれ、A151売上債権回転期間が良い(3点)、A152売上債権回転期間が普通(2点)、A153売上債権回転期間が悪い(1点)というデータと対応付けられている。これらのうちのどこが評価条件であり、どこが元スコアデータであるかは、流動比率A11についての評価条件についてした説明と同様である。
また、小分類である経常利益率A33についての評価条件についての評価条件についても、A331からA333の3つの評価条件が記録されており、また、これら各評価条件にはそれぞれ、元スコアデータが付された評価データが紐付けられている。
同様に、他の小分類についても、以上で説明したような複数の評価条件が記録されており、また、各評価条件には、元スコアデータが付された評価データが紐付けられている。なお、以上で説明した例では、各小分類に紐付けられる評価条件は評価条件が3段階評価であることに対応して3つとされていたが、各小分類に紐付けられる評価条件の数、或いは評価のための区分は、2つや5つといった適当な数とすることができる。また、各小分類に対応して設けられる評価条件は、その小分類についての評価条件のどれかが必ず充足されるような関係となっているのが好ましい。例えば、流動比率A11に対応付けられた、(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100>150という評価条件A111と、150≧(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100≧100という評価条件A112と、(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100<100という評価所件A113は、流動資産合計の数値と流動負債合計の数値がそれぞれどのような数値であったとしても、評価条件A111、評価条件A112、評価条件A113のいずれかは必ず充足される。
【0039】
一例として説明するが、第1判定部223に送られて来た財務諸表データによって特定される財務諸表が
図7及び
図8に示されたようなものであり、また、第1記録部223Aに記録された評価条件と評価データとが、
図9及び
図10に示されたようなものであったとすると、第1判定部223は以下のような評価データを生成することになる。
まず、流動比率A11についていえば、
図7及び
図8に示された(流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100は、(9,624,512/11,773,502)×100≒81(%)なので、
図7及び
図8に示された財務諸表は、A113という評価条件を充足することになる。この場合、第1判定部223は、A113という評価条件と紐付けられたA113流動比率が悪い(1点)という評価条件を、第1記録部223Aから読み出すことになる。
なお、評価条件は、上述したように財務諸表に含まれる所定の項目と、それに紐付けられた数値とからのみ構成されても良いが、実際のところ各法人についての流動比率の良し悪しの判断基準は、法人の業種(例えば、製造業かサービス業か)によっても異なる。したがって、評価条件は、上述のように、財務諸表に含まれる所定の項目と、それに紐付けられた数値とに加えて、クライアント100から送られてきた財務諸表の元となった法人の業種に応じた修正を行うようなものとなっていても良い。例えば、流動比率A11についての評価条件を、評価条件A111を、((流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100)/業界平均の((流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100)の数値>150、評価条件A112を、150≧((流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100)/業界平均の((流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100)の数値×100≧100、評価条件A113を、((流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100)/業界平均の((流動資産合計の数値/流動負債合計の数値)×100)の数値<100とすることができる。もちろん、他の小分類に属する評価条件も、業種に基づいた分類を行うことが可能である。なお、評価条件を決定する場合に、このような業種についての補正を行うのであれば、クライアント100からサーバ200に財務諸表データを送信する場合に、その財務諸表の元となった法人の業種を特定するためのデータの送信が必須となる。かかるデータも、ユーザID等と同様に、クライアント100の入力装置102から入力可能であり、財務諸表データ等と同様に、クライアント100からサーバ200へ送信可能である。その場合業種についてのデータは、サーバ200内で、財務諸表データとともに、主制御部222から第1判定部223に送られることになる。また、評価条件を決定する場合に業種に基づく補正を行うのであれば、第1記録部223Aに記録されている評価条件及び評価データは、各業種毎に事前に準備しておくか、或いは業種を反映しない評価条件及び評価データに、例えば第1判定部223が業種を反映させるように変更を加えることが必要となる。なお、クライアント100で業種を特定するためのデータを生成させる場合には、ユーザに自由記述を許すのではなく、クライアント100のディスプレイ101に表示させた、例えば公知或いは周知のプルダウンメニューによってディスプレイ101に表示させた、多数の業種候補の中から、ユーザが属する法人の業種を選択させるようにするのが好ましい。そのようにすることにより、より処理の定型化を進めることが可能となる。
いずれにせよ、第1記録部223Aから第1判定部223が評価データを読み出すことによって、流動比率A11についての評価データが生成或いは選択される。
同様にして、この実施形態における第1判定部223はこれには限られないが、すべての小分類についての評価データを読み出して行く。なお、この実施形態ではこれには限られないが、評価データに元スコアデータを加える形で評価データの読出しを行う。第1判定部223が読み出す評価データの数は、上述した小分類の数に一致する。ここで、第1判定部223が行う処理は、例えるのであれば、表側に評価条件が、裏側に評価データがそれぞれ記載された多数のカードのうち、表側に記載された評価条件が財務諸表に含まれる項目と数値によって充足されたものを抜き出し、抜出されたカードの裏側に記載された評価データを抜出していくのと同等の処理である。かかる処理は、すべてのカードについて同一であるから定型化されたものであるといえ、簡単であるから時間もコストも大してかからない。
上述したように、この実施形態では、読み出された評価データは当然に複数となる。読み出された評価データはすべて、元スコアデータとともに、第1判定部223から主制御部222へと送られる。
【0040】
主制御部222は、元スコアデータと、複数の評価データとを受取る。それらを受取った主制御部222は、第2判定部225に対して、解釈データを生成せよとの指示と、第1判定部223から受取った評価データとを送る。これには限られないが、この実施形態では、主制御部222が受取ったすべての評価データを第2判定部225へと送ることになる。
解釈データを生成せよという指示を主制御部222から受取ったら、第2判定部225は、解釈データを生成する。第2判定部225は、解釈データを生成する際に、主制御部222から受取った評価データと、第2記録部225Aに記録されているデータとを使用してそれを行う。
【0041】
第2記録部225Aには、解釈条件が複数記録されている。第2判定部225は主制御部222から送られてきた集合としての評価データのそれぞれを第1判定部223が第1記録部223Aから読み出されたときに充足された評価条件の集合が、第2記録部225Aに記録された解釈条件のどれに合致するかという判定を行う。第2記録部225Aには、複数の解釈条件が記録されており、そして解釈条件のそれぞれは、少なくとも1つの評価条件と紐付けられている。解釈条件と紐付けられた評価条件が1つの場合にはその評価条件が、解釈条件であり、解釈条件と紐付けられた評価条件が複数の場合には、その複数の評価条件の組合せが解釈条件である。第2判定部225は、主制御部222から送られてきた複数の評価データに含まれる、それら評価データと紐付けられていた評価条件を特定するA111、A112等の符号が充足した第2記録部225Aに記録されていた解釈条件と互いに紐付けられた解釈データを、第2記録部225Aから読み出す。主制御部222から送られてきた複数の評価データに含まれる符号が、複数の解釈条件を充足したら、例えば、第2判定部225は、それら解釈条件のすべてと紐付けられていた解釈データを第2記録部225Aから読み出すことも可能であり、少なくとも複数の解釈データを読み出すようにすることも可能である。合致した複数の解釈条件のそれぞれに対応する解釈データのうちのすべてを読み出さない場合には、解釈データに対して、例えば、解釈データの重要度に応じて優先度の順位付けを予めしておき、優先度の高い解釈データから決まった数だけ読み出す、といった手法が採用可能である。
【0042】
より具体的な説明を行うため、第2記録部225Aに記録されているデータの例を
図11に示す。
上述したように、第2記録部225Aには、解釈条件が記録されている。これには限られないが、この実施形態における解釈条件は、
図11に示したように、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3、総合B4の4つに分類されている。
各分類の下に、解釈条件が設けられている。
例えば、安定性B1という分類の下には、解釈条件B11、B12、B13、B14…という解釈条件が記録されている。各解釈条件には、少なくとも1つの評価条件が紐付けられて記録されている。例えば、解釈条件B11には、評価条件A113が紐付けられている。解釈条件B12には、評価条件A121と評価条件A133という2つの評価条件が紐付けられており、解釈条件B13には、評価条件A121と、評価条件A131と、評価条件A151という3つの評価条件が、解釈条件B14には、評価条件A121と、評価条件がA133と、評価条件A351というこれも3つの評価条件が、また、解釈条件B15には、評価条件A123と、評価条件A133と、評価条件A353という3つの評価条件が、それぞれ紐付けられている。
また、解釈条件のそれぞれには、解釈データが紐付けられている。例えば、解釈条件B11からB15のそれぞれにはそれぞれ、B11売上が少ないです、B12製品在庫が多くなっています、B13売掛金の回収が迅速です、B14製品在庫は適量です、B15製品在庫が多過ぎますという解釈データが対応付けられている。このように、各解釈データは、ユーザが財務諸表の解釈を知得することができるデータとなっており、この実施形態では、これには限られないが、「売上が少ないです」、「製品在庫が多くなっています」、「売掛金の回収が迅速です」といったテキストのデータを含んでいる。
なお、
図11に示した各解釈条件に対応付けられた評価条件或いはその組合せと、それに紐付けられた解釈データとは、いずれも単なる例示である。例えば、解釈条件における符号の組合せ、解釈データの内容、解釈条件と解釈データとの組合せのいずれにも、一般的な経営状況の判断手法からすれば妥当とはいい難いものが含まれている。
資金繰りB2、収益性B3の下にも、安定性B1の下にあったような解釈条件がそれぞれ存在しており、また、それらすべての解釈条件には、解釈データが紐付けられている。総合B4は、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3を総合的に評価する項目であって、その下にも、複数の解釈条件が存在しており、また、それらすべての解釈条件には、解釈データが紐付けられている。
【0043】
第2判定部225は、解釈条件に紐付けられた評価条件が1つの場合には、当該評価条件についての符号が、第2判定部225が主制御部222から受取った評価データに含まれていた符号の集合の中に含まれていた場合に、当該解釈条件が充足されたと判定する。また、第2判定部225は、解釈条件に紐付けられた評価条件が複数の場合には、当該複数の評価条件についての符号のすべてが、第2判定部225が主制御部222から受取った評価データに含まれていた符号の集合の中に含まれていた場合に、当該解釈条件が充足されたと判定する。
第2判定部225は、主制御部222から送られてきた評価データによって充足された解釈条件のそれぞれと対応付けられた解釈データを読み出す。なお、例えば、主制御部222から第2判定部125に送られてきた評価データ中の符号に、A121とA133という符号が含まれていたとする。そうすると、これらの符号により、解釈条件B12と、解釈条件B14及び解釈条件B15との一部が充足されることになる。この場合において更に、第2判定部225に送られてきた評価データ中の符号の中に、A351という符号が含まれていたとする。この場合、解釈条件B12に加えて、解釈条件B14も完全に充足されることになる。そのような場合においては、例えば、解釈条件B14のみが充足され、解釈条件B12は充足されないという判定を、第2判定部125が行うようにすることが可能である。つまり、ある解釈データを構成する符号のすべてが、主制御部222から送られてきた評価データに含まれる符号と重複する場合であって、その解釈データを構成する符号のすべてに加えて他の符号をもその構成要素とする構成要素の多い解釈データが存在し、且つその構成要素の多い解釈データに含まれる符号のすべてが、制御部222から送られてきた評価データに含まれる符号と重複する場合には、より限定的な、或いは高度な解釈についての解釈データと紐付けられた解釈条件のみが充足されたものとすることが可能である。上述の例の場合では、解釈条件B12と、解釈条件B14の双方が実際には充足されているにも関わらず、解釈条件B12は充足されていないとすることにより、より高度な解釈を可能とすることができる。このときに読み出される解釈データは、解釈条件B14に紐付けられた解釈データとなる。同様に、主制御部222から第2判定部225に送られてきた評価データに含まれた符号として、A123、A133、A353が含まれている場合には、解釈条件B12と、解釈条件B15の双方が実際には充足されているにも関わらず、解釈条件B12は充足されておらず、解釈条件B15のみが充足されているとすることが可能である。このときには、解釈条件B15に紐付けられた解釈データは読み出されるものの、解釈条件B12に紐付けられた解釈データは読み出されない。他方、主制御部222から第2判定部225に送られてきた評価データに含まれた符号として、A123、A133が含まれているものの、A351もA353も含まれていない場合には、解釈条件B12が充足されたものとして、解釈条件B12に紐付けられた解釈データが読み出されることとなる。
この実施形態では、これには限られないが、主制御部222から第2判定部225に送られてきた評価データに含まれた符号がどのような組合せであったとしても、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3、総合B4のそれぞれに属する解釈条件の少なくとも1つは充足されるように、解釈条件が作られている。したがって、この実施形態では、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3、総合B4のそれぞれに対して、少なくとも1つの解釈データが第2記録部225Aから読み出されることになる。
ここで、第2判定部225が行う処理は、例えるのであれば、表側に解釈条件が、裏側に解釈データがそれぞれ記載された多数のカードのうち、表側に記載された解釈条件が主制御部222から送られて来た評価データによって充足されたものを抜き出し、抜出されたカードの裏側に記載された解釈データを抜出していくのと同等の処理である。かかる処理は、すべてのカードについて同一であるから定型化されたものであるといえ、簡単であるから時間もコストも大してかからない。
上述したように、この実施形態では、読み出された解釈データは当然に複数となる。読み出された解釈データはすべて、第2判定部225から主制御部222へと送られる。
【0044】
主制御部222は、解釈データを受取る。この実施形態では、それらのうち、上述した、総合B4の分類に属する解釈データ(符号を除いたもの)を抜出して出力部229に送る。このとき、主制御部222は、当該解釈データを生成する元となった財務諸表データとともにクライアント100から送られてきたユーザIDをも出力部229へと送る。なお、主制御部222は、総合B4の分類に属する解釈データのすべてを出力部229に送る必要はなく、それらのうち重要度が高いもののみを出力部229に送るようになっていても良い。
他方、主制御部222は、評価データ及び解釈データを併せたものの少なくとも一部を出力データ記録部228に送り、それら評価データ及び解釈データを生成する元となったユーザIDと紐付けた状態で、出力データ記録部228に記録する。出力データ記録部228に記録される解釈データは、主制御部222が出力部229に送ったものと一致していても良いし、そうでなくても良い。出力データ記録部228に記録されたデータは、同一のユーザIDから期間をおいて送られてきた財務諸表データに基いて再び解釈データの生成を行う場合において、解釈データがどのように変化して行っているかという判定を例えば主制御部222が行うために用いることができる。その場合、主制御部222は、出力データ記録部228に記録されたデータを出力データ記録部228から読み出して利用する。これによれば、あるユーザIDを持つユーザの属する法人の経営状態が上昇傾向にある、下降傾向にある、或いは特に変化が無いといった、経営状態の経時的な変化を含めた解釈データをユーザが得られるようにすることも可能である。例えば、1月に一度ユーザがクライアント100からサーバ200へ財務諸表データを送信するのであれば、ユーザは毎月、前月、或いは前年同月と比較したその月の経営状態を知ることができるようになる可能性がある。出力データ記録部228に記録されたデータは、これに関わらず、評価条件、解釈条件、アドバイス条件を更新するためにも用いることができる。なお、以上で述べたような利用の目的、態様は、後述するようにして出力データ記録部228に記録された他のデータについても同様である。
出力部229は、主制御部222から受取った解釈データをインターフェイスを介して送受信機構に送る。送受信機構は、ネットワーク400を介して、ユーザIDによって特定されるクライアント100に対して解釈データを送る。
【0045】
クライアント100は、その送受信機構によって解釈データを受取る。解釈データは、送受信機構からインターフェイス114へと送られ、インターフェイス114から、入力部121へと送られる。解釈データは、入力部121から画像生成部123へと送られる。
画像生成部123は、解釈データに含まれるテキストを含む画像についての画像データを生成して、それを出力部125へと送る。
画像データは、出力部125からインターフェイス114を介してディスプレイ101へと送られる。その結果、ディスプレイ101には、総合B14に含まれていた解釈データに含まれてきたテキストの内容を含む画像が表示されることになる。その画像の一例を、
図12に示す。ディスプレイ101には、「財務諸表の解釈」という文字の下に、クライアント100からサーバ200へ送った財務諸表データによって特定される財務諸表の解釈が表示される。この表示は、五感により、この実施形態では視覚により、ユーザが財務諸表の解釈を行うことを支援できるようなものとされ、この実施形態では具体的にはテキストとされる。それが可能であるのであれば、解釈データは、↑、↓、→等の記号であっても構わない。また、解釈データは、例えば、クライアント100が自前で備える公知或いは周知のスピーカから、「財務諸表の解釈」の下の欄に記載の文章を読み上げた音声を出力するような音声データであっても構わない。この場合、ユーザは、聴覚により、財務諸表の解釈を行うことになる。なお、この実施形態ではアドバイスデータもテキストのデータであるものとして説明しているが、アドバイスデータも解釈データと同様に必ずしもテキストのデータである必要はなく、記号のデータであっても良いし、更には音声のデータであっても良い。
ディスプレイ101により表示される画像には、更に、「更にサービスの提供を希望しますか?」という文字の下に、「Yes」という文字が付されたボタンと、「No」という文字が付されたボタンとが表示される。ユーザは、更なるサービスの提供を希望する場合にはYesの文字が付されたボタンをクリックし、更なるサービスの提供を希望しない場合には、Noの文字が付されたボタンをクリックする。いずれかのボタンをユーザがクリックした場合には、その入力内容は、入力装置102からインターフェイス114を経て入力部121に送られ、入力部121から主制御部122へと送られる。
Noの文字の付されたボタンをユーザがクリックした場合には、主制御部122はサービスの打切をサーバ200に通知するためのデータを生成する。このデータは、財務諸表データ等がサーバ200へ送られたときと同様にしてサーバ200へと送られる。このデータは、サーバ200の送受信部から、インターフェイス、入力部221を経て主制御部222へと送られる。主制御部222の制御下でサーバ200は、サービスの提供を中止し、これによりクライアント100とサーバ200の通信は切断される。
他方、Yesの文字の付されたボタンをユーザがクリックした場合には、主制御部122は、新たな画像データの生成を画像生成部123に指示する。そのデータを受取った画像生成部123は、画像データを生成する。画像生成部123が生成した画像データは、既に説明したようにしてディスプレイ101に送られる。ディスプレイ101に表示される画像の一例を、
図13に示す。
【0046】
例えば、
図13に示したように、ディスプレイ101には、「スコアデータを要求する」、「詳細な解釈を要求する」、「アドバイスを要求する」という文字がそれぞれ表示される。これらはそれぞれ、ユーザが追加的にサーバ200から受けることのできるサービスに該当する。
スコアデータを要求するという文字の下側に、Yesという文字が付されたボタンが表示されている。このボタンをクリックすると、ユーザはスコアデータの送信をサーバ200に要求することができる。スコアデータは、先にユーザがサーバ200に送った財務諸表データによって特定される財務諸表から把握することができる、ユーザが属する法人の経営状態を得点化した数値である。
詳細な解釈は、これには限られないが、この実施形態では3つに分かれている。この実施形態では、詳細な解釈は、安定性、資金繰り、収益性のそれぞれについてのものとされる。安定性、資金繰り、収益性という文字の横に表示されたYesという文字が付されたボタンをクリックすると、ユーザは、安定性、資金繰り、又は収益性についてのより詳細な解釈データの送信をサーバ200に要求することができる。より詳細な解釈データは、先にユーザがサーバ200に送った財務諸表データによって特定される財務諸表から把握することができる、安定性、資金繰り、又は収益性についての知見をユーザが五感によって把握するためのデータである。
アドバイスを要求するという文字の下側に、Yesという文字が付されたボタンが表示されている。このボタンをクリックすると、ユーザはアドバイスデータの送信をサーバ200に要求することができる。アドバイスデータは、先にユーザがサーバ200に送った財務諸表データによって特定される財務諸表からユーザが属する法人の経営について専門家が通常するであろうアドバイスを、ユーザが五感により知得するためのデータである。
また、これら以外に、ディスプレイ101には、「更にサービスの提供を希望しますか?」という文字の下に、「No」という文字が付されたボタンが表示される。このボタンの機能、及びそれをクリックした場合に行われる処理は、
図12に示されたNoという文字が付されたボタンの場合に説明した通りである。更なるサービスの提供をユーザが希望する場合には、Noという文字が付されたボタン以外のYesという文字が付されたボタンのいずれかをクリックする。
【0047】
例えば、スコアデータを要求するという文字の下側に表示されたYesという文字が付されたボタンをユーザがクリックすると、入力装置102によって、スコアデータの送信をサーバ200に要求する旨の要求データが生成される。
安定性、資金繰り、収益性という文字の横にそれぞれ表示されたYesという文字が付されたボタンのいずれかをクリックすると、入力装置102によって、安定性、資金繰り、又は収益性についてのより詳細な解釈データの送信をサーバ200に要求する旨の要求データが生成される。
アドバイスを要求するという文字の下側に表示されたYesという文字が付されたボタンをユーザがクリックすると、入力装置102によって、アドバイスデータの送信をサーバ200に要求する旨の要求データが生成される。
いずれの場合でも、要求データは、Noという文字が付されたボタンがクリックされた場合と同様に、主制御部122へと送られる。要求データは、主制御部122から、出力部125を介してインターフェイス114に送られ、インターフェイス114から、送受信機構、ネットワーク400を介してサーバ200に送られる。
サーバ200はその送受信機構により要求データを受取る。要求データは、送受信機構から、インターフェイスを介して、入力部221へと至り、更には主制御部222に送られる。
【0048】
主制御部222に至った要求データが、スコアデータの送信をサーバ200に要求するものであったとする。そうすると、主制御部222は、スコアリング部224に対して、スコアデータの生成を指示する。主制御部222はスコアデータの生成の指示を行う場合、先に第1判定部223から受け取っていた元スコアについてのデータである元スコアデータのうちの少なくとも一部をスコアリング部224へと送る。
スコアリング部224は、主制御部222からの指示に基いて、スコアデータを生成する。スコアリング部224は、スコアデータを、主制御部222から受取った元スコアデータに基いて生成する。元スコアデータは、上述したように、評価データに付された3点、2点、1点等の得点についてのデータである。スコアリング部224は、主制御部222から受取った元スコアデータによって特定される得点を単純に加算することによって得られる得点(数値)を特定するデータを、スコアデータとすることができる。例えば、スコアリング部224が主制御部222から、元スコアデータのすべてを受け取っている場合であれば、その元スコアデータで特定される得点をすべて加算した得点を特定するデータとして、スコアデータを生成することができる。
或いはスコアデータは、主制御部222から受け取った元スコアデータのそれぞれから特定される得点について、0.8倍とか、1.5倍とかの適当な重み付けをしたものを加算した得点を特定するデータとして、スコアデータを生成することも可能である。この場合、上述の重み付けの程度は、例えば、各元スコアが経営状態の良否にどの程度影響を与えるかという観点から決定することができる。また、スコアリング部224は、例えば、主制御部222から元スコアデータのすべてを受け取っている場合であっても、それらのうちの所定のものを、スコアデータを生成する場合に無視するようになっていても良い。その場合には、無視されないスコアデータによって特定される得点のすべてを加算した得点を特定するデータとして、スコアデータが生成される。もっともこのようなスコアデータの生成方法は、無視される元スコアデータによって特定される得点に対する重み付けを0倍とする、と捉えることもできる。つまり、スコアリング部224は、元スコアデータのすべてを用いてスコアデータを生成するようになっている必要はない。例えば、複数の評価条件(或いは上述した小分類)に優先度を付けておくことにより、スコアリング部224が、その優先度の高い評価条件に紐付けられていた評価データに付加されていた元スコアデータのみを用いてスコアデータを生成することも可能である。
いずれにせよ、スコアリング部224はスコアデータを生成する。生成されたスコアデータは、スコアリング部224から主制御部222へと送られる。
【0049】
主制御部222は、受取ったスコアデータを出力部229へと送る。そのときユーザIDも、主制御部222から出力部229へと送られる。出力部229は、受取ったスコアデータをインターフェイスを介して送受信機構に送る。送受信機構は、ネットワーク400を介して、ユーザIDによって特定されるクライアント100に対してスコアデータを送る。
【0050】
クライアント100は、その送受信機構によってスコアデータを受取る。既に説明した、総合B4についての解釈データをクライアント100が受取った場合と同様に、ディスプレイ101には、画像生成部123が生成したデータに基いて、かかるスコアデータによる表示がなされる。
スコアデータによる表示は、数値の表示である。35点、100点、155点という数値がその具体例になる。ディスプレイ101に表示されたかかる数値を見ることにより、ユーザは、先にユーザがサーバ200に送った財務諸表データによって特定される財務諸表から把握することができる、ユーザが属する法人の経営状態の良否を、直感的に把握できることになる。
【0051】
主制御部222に至ったクライアント100からの要求データが、詳細な解釈の送信をサーバ200に要求するものであったとする。そうすると、主制御部222は、自ら解釈データの生成を行う。主制御部222が行う解釈データの生成は、むしろ解釈データの編集とでも呼ぶべきものである。
要求データが主制御部222に至ったとき、主制御部222には、上述したように、第2判定部225から届いた解釈データが存在している。解釈データは複数であり、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3、総合B4のそれぞれに属する解釈データが存在している。
主制御部222に至った要求データが、安定性についての詳細な解釈データのクライアント100への送信をサーバ200に要求するものであったとする。その場合、主制御部222は、第2判定部225から既に受け取っている解釈データのうち、安定性B1に属する解釈データのみを抜出す。そして、抜き出した解釈データを用いて、例えば、それらに含まれるテキストを繋げることにより、安定性に関する解釈データを生成する。
同様に、主制御部222に至った要求データが、資金繰りについての詳細な解釈データの送信を要求するものであったのであれば、主制御部222は、第2判定部225から既に受け取っている解釈データのうち、資金繰りB2に属する解釈データのみを抜出す。そして、抜き出した解釈データを用いて、資金繰りに関する解釈データを生成する。同様に、主制御部222に至った要求データが、収益性についての詳細な解釈データの送信を要求するものであったのであれば、主制御部222は、第2判定部225から既に受け取っている解釈データのうち、収益性B3に属する解釈データのみを抜出す。そして、抜き出した解釈データを用いて、収益性に関する解釈データを生成する。
【0052】
いずれにせよ、主制御部222は、受取った詳細な解釈データを出力部229へと送る。そのときユーザIDも、主制御部222から出力部229へと送られる。出力部229は、受取った解釈データをインターフェイスを介して送受信機構に送る。送受信機構は、ネットワーク400を介して、ユーザIDによって特定されるクライアント100に対して解釈データを送る。
【0053】
クライアント100は、その送受信機構によって詳細な解釈データを受取る。既に説明した、総合B4についての解釈データをクライアント100が受取った場合と同様に、ディスプレイ101には、画像生成部123が生成したデータに基いて、かかる詳細な解釈データによる表示がなされる。かかる詳細な解釈データによる表示は、安定性、資金繰り、収益性のいずれかに関するものであり、それは、ユーザがクリックしたボタンに応じたものとなる。ディスプレイ101に表示された内容を見ることにより、ユーザは、クライアント100からサーバ200に先に送った財務諸表データによって特定される財務諸表から把握できる、ユーザが属する企業の経営状態についての、安定性、資金繰り、収益性という観点からのより詳細な解釈を把握できるようになる。
なお、詳細な解釈データも、本願発明における解釈データの一例である。
【0054】
主制御部222に至った要求データが、アドバイスの送信をサーバ200に要求するものであったとする。そうすると、主制御部222は、第3判定部226に対して、アドバイスデータの生成を指示する。要求データが主制御部222に至ったとき、主制御部222には、上述したように、第1判定部223から届いた複数の評価データと、第2判定部225から届いた複数の解釈データが存在している。主制御部222はアドバイスデータの生成の指示を行う場合、それら評価データの少なくとも一部と、解釈データの少なくとも一部を第3判定部226へと送る。この実施形態では、主制御部222が持つ評価データのすべてと解釈データのすべてとが、第3判定部226へと送られるようになっている。
第3判定部226は、主制御部222からの指示に基いて、アドバイスデータを生成する。第3判定部226は、アドバイスデータを、主制御部222から受取った評価データ及び解釈データと、第3記録部226Aに記録されたデータとに基いて生成する。
【0055】
上述したように、第3記録部226Aには、アドバイス条件が記録されている。アドバイス条件は複数である。
アドバイス条件のそれぞれには、評価条件及び解釈条件の少なくとも1つが紐付けられている。アドバイス条件に紐付けられるのは評価条件だけのときもあるし、解釈条件だけのときもあるし、評価条件と解釈条件の双方の場合もある。例えば、
図14で示した例では、アドバイス条件C1には、評価条件A113と解釈条件B12とが紐付けられている。アドバイス条件C2には、評価条件A121と評価条件A133とが紐付けられており、アドバイス条件C3には、解釈条件B11と解釈条件B31とが紐付けられている。同様に、アドバイス条件C4以降の各アドバイス条件にも、解釈条件と評価条件とが少なくとも1つ紐付けられている。
アドバイス条件に紐付けられた評価条件又は解釈条件が1つだけの場合には、その1つだけの評価条件又は解釈条件が、アドバイス条件となる。また、アドバイス条件に紐付けられた評価条件又は解釈条件が複数である場合には、それら複数の評価条件又は解釈条件の組合せがアドバイス条件となる。
各アドバイス条件には、アドバイスデータが紐付けられている。例えば、アドバイス条件C1からC4のそれぞれにはそれぞれ、「C1売上高を増やすように努力しましょう」、「C2製品在庫に関しては現状を維持しましょう」、「C3売掛金回収の迅速化を心がけましょう」、「C4粗利益の拡大を目指しましょう」というアドバイスデータがそれぞれ紐付けられている。C5以降のアドバイス条件においても同様である。各アドバイスデータにはそれぞれ、「売上高を増やすように努力しましょう」、「製品在庫に関しては現状を維持しましょう」、「売掛金回収の迅速化を心がけましょう」、「粗利益の拡大を目指しましょう」といったテキストのデータが含まれている。
なお、
図11の場合と同様に、
図14に示した各アドバイス条件に対応付けられた評価条件又は解釈条件或いはそれらの組合せと、それに紐付けられたアドバイスデータとは、いずれも単なる例示である。
【0056】
第3判定部226は、アドバイス条件に紐付けられた評価条件又は解釈条件が1つの場合には、当該評価条件又は解釈条件についての符号が、第3判定部226が主制御部222から受取った評価データ及び解釈データに含まれていた符号の集合の中に含まれていた場合に、当該アドバイス条件が充足されたと判定する。また、第3判定部226は、アドバイス条件に紐付けられた評価条件又は解釈条件が複数の場合には、当該複数の評価条件又は解釈条件についての符号のすべてが、第3判定部226が主制御部222から受取った評価データ又は解釈データに含まれていた符号の集合の中に含まれていた場合に、当該アドバイス条件が充足されたと判定する。
第3判定部226は、主制御部222から送られてきた評価データ及び解釈データによって充足されたアドバイス条件のそれぞれと対応付けられたアドバイスデータを読み出す。かかる第3判定部226が行う処理は、第2判定部225が行う処理に準じたものとすることができる。それらの合致を判定する対象が、評価条件のみなのか、評価条件及び解釈条件なのか、というのが第2判定部225が行う処理と、第3判定部226が行う処理の違いである。
この実施形態では、これには限られないが、主制御部222から第3判定部226に送られてきた評価データ及び解釈データに含まれた符号がどのような組合せであったとしても、アドバイス条件の少なくとも1つは充足されるように、アドバイス条件が作られている。したがって、この実施形態では、少なくとも1つのアドバイスデータが第3記録部226Aから読み出されることになる。
ここで、第3判定部226が行う処理は、例えるのであれば、表側にアドバイス条件が、裏側にアドバイスデータがそれぞれ記載された多数のカードのうち、表側に記載されたアドバイス条件が主制御部222から送られて来た評価データ及び解釈データによって充足されたものを抜き出し、抜出されたカードの裏側に記載されたアドバイスデータを抜出していくのと同等の処理である。かかる処理は、すべてのカードについて同一であるから定型化されたものであるといえ、簡単であるから時間もコストも大してかからない。
読み出されたアドバイスデータは例えばそれらのすべてが、第3判定部226から主制御部222へと送られる。
【0057】
主制御部222は、アドバイスデータを受取る。この実施形態では、それらを出力部229に送る。このとき、主制御部222は、当該アドバイスデータを生成する元となった財務諸表データとともにクライアント100から送られてきたユーザIDをも出力部229へと送る。なお、主制御部222は、アドバイスデータのすべてを出力部229に送る必要はなく、それらのうち重要度が高いもののみを出力部229に送るようになっていても良い。
他方、主制御部222は、アドバイスデータの少なくとも一部を出力データ記録部228に送り、それらアドバイスデータを生成する元となったユーザIDと紐付けた状態で、出力データ記録部228に記録する。出力データ記録部228に記録されるアドバイスデータは、主制御部222が出力部229に送ったものと一致していても良いし、そうでなくても良い。
出力部229は、主制御部222から受取った解釈データをインターフェイスを介して送受信機構に送る。送受信機構は、ネットワーク400を介して、ユーザIDによって特定されるクライアント100に対して解釈データを送る。
なお、第3記録部226Aに記録されているアドバイス条件及びアドバイスデータを、第2記録部225Aに記録されていた解釈条件及び解釈データの場合と同様に、例えば、安定性、資金繰り、収益性、総合といった分類ごとに、区分しておくことも可能である。それによれば、解釈データの場合と同様に、それら分類のそれぞれに属するアドバイスデータを得ることが可能となる。
【0058】
クライアント100は、その送受信機構によってアドバイスデータを受取る。アドバイスデータは、送受信機構からインターフェイス114へと送られ、インターフェイス114から、入力部121へと送られる。アドバイスデータは、入力部121から画像生成部123へと送られる。
画像生成部123は、アドバイスデータに含まれるテキストを含む画像についての画像データを生成して、それを出力部125へと送る。出力部125からインターフェイス114を経てかかる画像データを受取ったディスプレイ101には、アドバイスデータに含まれたテキストを含む画像が表示される。ディスプレイ101に表示されたかかる画像を見ることにより、ユーザは、先にユーザがサーバ200に送った財務諸表データによって特定される財務諸表を見た専門家が行うであろうアドバイスを把握することができることになる。
【0059】
ユーザは、所望する種類の要求データを所望する数だけクライアント100からサーバ200に送ることが可能である。それにより、ユーザはサーバ200から所望のサービスを所望するだけ受けることができる。
いずれかのタイミングでユーザが、
図12、
図13に示したNoの文字が付されたボタンをクリックすることにより、クライアント100とサーバ200との間の通信が切断され、クライアント100とサーバ200との間で以降のデータのやり取りがなくなる。
【0060】
なお、この実施形態におけるスコアデータは、総合B4に対応したものとなっていたが、解釈データに、総合B4という経営の全体に関するもののみならず、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3という経営の詳細についての詳細な解釈データをも含まれていたのと同様に、安定性B1、資金繰りB2、収益性B3のそれぞれについての詳細なスコアデータと呼ぶべきスコアデータをもサーバ200のスコアリング部224が生成するようになっていても構わない。かかる詳細なスコアデータは、例えば、ユーザが詳細なスコアデータの送信をクライアント100からサーバ200に要求した場合に、詳細な解釈データと同時にサーバ200からクライアント100へ提供されるようになっていても良いし、詳細なスコアデータ単体をユーザがクライアント100からサーバ200に要求した場合にのみ、サーバ200からクライアント100へ提供されるようになっていても良い。
また、この実施形態では、ユーザがクライアント100から開始データをサーバ200に送った場合、総合B4についての解釈データがいわば自動的にサーバ200からクライアント100に送られるとともに、スコアデータ(詳細なスコアデータを含む)、詳細な解釈データ、アドバイスデータは、ユーザが更に要求データをクライアント100からサーバ200に送った場合のみ、追加的にサーバ200からクライアント100に送られるという前提で説明を行った。つまり、サーバ200がクライアント100に行うサービスとして、総合B4についての解釈データの提供はデフォルトのサービスであり、その他のデータの提供は付加的なサービスであるかのような説明を行った。
もっとも、このようなデフォルトと追加のサービスの区分はあくまでも例示であり、ユーザがクライアント100からサーバ200に開始データを送った後に、例えば、総合B4についての解釈データに加え、スコアデータ(詳細なスコアデータを含む)、詳細な解釈データ、アドバイスデータのうちの任意のもの、例えばすべてがサーバ200からクライアント100へ返信されるようにサーバ200を構成することももちろん可能である。また、サーバ200からクライアント100に対して、総合B4についての解釈データ、詳細な解釈データ等の解釈データが少なくとも1種類送られることが本願発明では必須であるが、スコアデータ(詳細なスコアデータを含む)、アドバイスデータ等のその他のデータがサーバ200からクライアント100に提供されることは必ずしも必須ではない。
また、ユーザが、総合B4についての解釈データ、スコアデータ(詳細なスコアデータを含む)、詳細な解釈データ、アドバイスデータのいずれかの送信をサーバ200に要求する場合に、サーバ200の管理者等に対す金銭の支払をサーバ200側が条件とすることも可能である。そのような課金管理は、公知或いは周知の技術によって行うことが可能である。例えば、クライアント100であれば主制御部122が、サーバ200であれば主制御部222が、そのような課金管理を行うようにすることが可能である。かかる課金には、クレジットカードのような個人情報との紐付けが強いものではなく、近年急速に普及しているビットコイン(商標)、ネム(商標)その他の仮想通貨や、ビットキャッシュ株式会社が提供するビットキャッシュのような仮想マネーの如き、個人情報との紐付けが弱いものを利用することが、ユーザの匿名性の担保という観点からは好ましいであろう。
【解決手段】サーバ200がクライアントから受取った定型化された財務諸表データは、主制御部222に送られる。主制御部222は、それを第1判定部223に送る。第1判定部223は、財務諸表データ中の財務諸表が、第1記録部223Aに記録された多数の評価条件のどれに該当するか判定し、該当した評価条件と紐付けられていた評価データを第1記録部223Aから読み出す。評価データは、主制御部222から、第2判定部225に送られる。第2判定部225は、評価データが、第2記録部225Aに記録された多数の解釈条件のどれに該当するか判定し、該当した解釈条件と紐付けられていた解釈データを第2記録部225Aから読み出す。解釈データはクライアントへ送られる。