特許第6403364号(P6403364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6403364-粗糸をドラフトするドラフト装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403364
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】粗糸をドラフトするドラフト装置
(51)【国際特許分類】
   D01H 5/72 20060101AFI20181001BHJP
   D01H 5/26 20060101ALI20181001BHJP
   D01H 5/50 20060101ALI20181001BHJP
   D01H 5/56 20060101ALI20181001BHJP
   D01H 5/82 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   D01H5/72
   D01H5/26
   D01H5/50
   D01H5/56
   D01H5/82
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-28558(P2013-28558)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2013-170346(P2013-170346A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2016年2月2日
【審判番号】不服2017-7427(P2017-7427/J1)
【審判請求日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】10 2012 003 179.3
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513275218
【氏名又は名称】ザウラー コンポーネンツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Saurer Components GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ディートリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ヴィンター
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 横溝 顕範
【審判官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/089701(WO,A2)
【文献】 特開平7−189050(JP,A)
【文献】 特開平5−329274(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2314742(EP,A2)
【文献】 国際公開第2004/056437(WO,A1)
【文献】 特開2010−168690(JP,A)
【文献】 特開平2−242927(JP,A)
【文献】 実公昭48−39071(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口ローラ対、中間ローラ対及び出口ローラ対によって形成されたドラフトゾーンと、該ドラフトゾーンに接続する集束ゾーンとを有し、出口上側ローラにケージエレメントを介して供給上側ローラ対が接続されていて、前記ケージエレメントは押圧エレメントによって供給下側ローラ対に向かって押圧される、粗糸をドラフトするドラフト装置であって、
前記押圧エレメント(15)は、その長手方向において長さ変化可能に形成されたばねエレメントであり、該ばねエレメントはその両端部(32,33)においてそれぞれ軸受箇所に枢着的に支持されており、
前記押圧エレメントは圧縮コイルばね(15)として形成されていて、一端では前記ドラフト装置(1)の旋回キャリア(5)に枢着的に接続され、かつ他端では前記ケージエレメント(25)に枢着的に接続されており、
前記ケージエレメント(25)は、供給上側ローラ対(11o)の軸(17)のための案内兼受容装置(31)の領域に、案内ピン(16)を備えて形成された接続装置(14)を、前記圧縮コイルばね(15)の支持及び調整のために有していて、前記案内ピン(16)は前記圧縮コイルばね(15)の巻条の内側に位置していることを特徴とする、粗糸をドラフトするドラフト装置。
【請求項2】
前記旋回キャリア(5)に軸(19)を介して、前記圧縮コイルばね(15)のための受容装置(18)が配置されている、請求項1記載のドラフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、粗糸をドラフトするドラフト装置、すなわち入口ローラ対、中間ローラ対及び出口ローラ対によって形成されたドラフトゾーンと、該ドラフトゾーンに接続する集束ゾーンとを備え、出口上側ローラにケージエレメントを介して供給上側ローラが接続されていて、前記ケージエレメントは押圧エレメントによって供給下側ローラに向かって押圧される、粗糸をドラフトするドラフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粗糸をドラフトするドラフト装置は、繊維工業において広く知られており、種々様々な繊維機械において使用される。
【0003】
リング精紡機の作業箇所は例えば、粗紡機ボビン(Flyerspule)から繰り出された粗糸を高い番手の繊維束(Faserband)にドラフトするドラフト装置を備えており、この繊維束は次いで、撚りを加えられ、完成した糸としてボビンに巻き上げられる。
【0004】
このようなドラフト装置は、通常、機械端部側に配置された1つの駆動装置によって互いに異なった回転速度で駆動されかつ互いに間隔をおいて配置された、機械長さにわたって延在する3つの下側ローラと、旋回可能に支持された旋回キャリアに配置されていて下側ローラにそれぞれ対応配設された3つの上側ローラとを有する。
【0005】
上側ローラは、紡績運転中、所定可能な接触圧で、駆動される下側ローラの上に位置しており、下側ローラによって摩擦により駆動される。すなわち上側ローラは、所属の下側ローラと共にローラ対を形成していて、これらのローラ対は、その互いに異なった回転速度に基づいて、供給された粗糸がドラフト装置の通過時にドラフトされるように働く。
【0006】
上に述べたように、このようなドラフト装置は通常、入口ローラ対、中間ローラ対及び出口ローラ対を有しており、入口ローラ対と中間ローラ対との間の領域は、いわゆるプレドラフト領域を形成し、これに対して中間ローラ対と出口ローラ対との間の領域は、メインドラフト領域として機能する。
【0007】
供給された粗糸は、ドラフト装置において所望の番手にドラフトされ、比較的広幅の、例えば50倍までドラフトされた繊維束として、出口ローラ対のニップラインにおいてドラフト装置から進出する。
【0008】
既に述べたように、この比較的広幅の繊維束は、次いで該当する作業箇所において回転するボビンによって、所属のリングトラベラとの関連において撚りをかけられ、この加撚によって糸が出来上がる。
【0009】
実際には、出口ローラ対のニップラインに続いて、いわゆる紡績三角領域(Spinndreieck)が形成されており、この紡績三角領域において、ドラフト装置から進出する繊維束はまとめられ、1つの糸構造体に加撚される。
【0010】
ドラフトされた繊維束の幅は、完成した糸の直径を著しく上回るので、紡績三角領域においてはしばしば、すべての繊維が糸構造体内に束ねられず、もしくは整然とは束ねられず、縁繊維もしくは端繊維(Randfaser)として完成した糸から飛び出している。
【0011】
このような端繊維の発生を可能な限り回避するために、リング精紡機との関連において、このような繊維機械のドラフト装置にいわゆる集束ゾーンを補足的に設けることが、既に提案されている。
【0012】
すなわち、出口ローラ対に間隔をおいて供給ローラ対が接続されていて、この場合供給上側ローラ対は、例えば所属の供給下側ローラによって摩擦により回転させられる。択一的な構成では、出口上側ローラ及び供給上側ローラの両方によって押圧される1つの共通の下側ローラが設けられていても、又は供給上側ローラを駆動するために、出口上側ローラによって駆動される伝動装置又は巻掛け伝動装置が使用されてもよい。
【0013】
出口ローラ対と供給ローラ対との間にはさらに、特殊な集束装置が配置されており、これらの集束装置は、例えば機械式の集束体として形成されていても、又は空圧式に作動してもよい。
【0014】
通常、集束ゾーンの前に配置された出口上側ローラと、集束ゾーンに後置された上側の供給上側ローラとは、ローラ対の軸が互いに平行に案内されるように、1つの共通のケージエレメント内において支持されている。すなわちケージエレメントは、第1の軸案内装置によって、出口上側ローラの軸を、該出口上側ローラのサドル部材の側部において取り囲んでおり、このサドル部材自体は、旋回キャリアのいわゆる出口リンクアームに配置されていて、そこでサドルばねによって保持されている。
【0015】
この場合出口リンクアームは、通常、ばねエレメントによって押圧されていて、出口上側ローラは、規定された載置圧で所属の出口下側ローラに接触させられている。紡績運転中には、供給上側ローラもまた規定された押圧力で、供給下側ローラに載置されていなくてはならない。それというのは、これによって初めて、集束された繊維を集束ゾーンの領域においても適正に搬送することを、保証できるからである。集束ゾーンの適正な運転のために必ず必要なこのような押圧力を生ぜしめるために、種々様々な方法もしくは装置が公知である。
【0016】
例えば実地において、ケージエレメントに一体成形された面を設けることが公知であり、この面は、ケージエレメントが取付け状態においてかつ旋回キャリアの閉鎖された状態において、出口リンクアームの下側に支持されるように、配置されかつ形成されている。すなわち、出口リンクアームから導入された押圧力は、一体成形された面を介してケージエレメントに伝達され、かつその都度の間隔に相応して、出口上側ローラ及び供給上側ローラに分配される。
【0017】
このような公知の供給上側ローラの接続形式における欠点としては、特に、次のことが挙げられる。すなわちこの場合、出口上側ローラはしばしばケージエレメント内において案内兼受容装置から幾分持ち上がって外れてしまうことがあり、その結果、出口上側ローラはもはや正確に案内されなくなってしまい、これにより、糸品質の劣化が惹起されることになる。
【0018】
例えば出口リンクアームの最大押圧力の著しい上昇によって、公知のドラフト装置の性能を高めることによっても、持続的な効果は得られなかった。それというのは、このような押圧力の著しい上昇は、上側ローラにおける沈降作用を生ぜしめ、ひいては得られる糸品質に対する不都合な影響を及ぼすのみならず、上側ローラ対の最適な押圧力の規定された調節をも極めて困難にするからである。
【0019】
ケージエレメントにおける出口上側ローラの案内性能の低下に関する問題を解決するために、過去において既に、ケージエレメントを付加的な板ばねによって特別に押圧することが、提案されている。この付加的な板ばねは、例えばDE10005387A1に記載のように、ドラフト装置の旋回キャリアに、例えばねじ結合によって固定されているか、又はDE102009050581A1に基づいて公知のように、ケージエレメントに定置に配置されていてよい。
【0020】
しかしながら実地において判明していることであるが、これらの公知の装置もまた、紡績運転中に供給上側ローラが接触する供給下側ローラが、正確な真円転動を行わない場合に、極めて不都合である。このような場合、供給上側ローラが支持されているケージエレメントは、出口上側ローラを中心にした旋回運動を行い、その結果、例えば旋回キャリアに固定された押圧ばねでは、板ばねとケージエレメントとの間において相対運動が発生する。
【0021】
この際に板ばねとケージエレメントとの間において発生する摩擦は、対抗モーメントを生ぜしめ、この対抗エレメントは、ケージエレメントの下降運動時に、その都度生じる押圧力を弱め、かつケージエレメントの上昇運動時に前記押圧力を強くする。すなわち、公知の装置では、紡績プロセス中に供給上側ローラによってもたらされる押圧力は、供給下側ローラが正確な真円転動をしない場合に、一定ではなく、変化し、このことは、糸品質に対して不都合な影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】DE10005387A1
【特許文献2】DE102009050581A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述の従来技術を出発点として、本発明の課題は、押圧エレメントによって押圧されるケージエレメントに支持されている、集束ゾーンに属する供給上側ローラにおいて、紡績運転中に、常にほぼ一定の押圧力を保証することができる、粗糸をドラフトするドラフト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この課題を解決するために本発明では、請求項1の前提部に記載のドラフト装置において、請求項1の特徴部に記載のように、すなわち、前記押圧エレメントは、その長手方向において長さ変化可能に形成されたばねエレメントであり、該ばねエレメントはその両端部においてそれぞれ軸受箇所に枢着的に支持されているようにした。
【0025】
本発明の有利な態様は、従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成では、押圧エレメントは、その長手方向において長さ変化可能に形成されたばねエレメントであり、該ばねエレメントはその両端部においてそれぞれ軸受箇所に枢着的に支持されている。このように構成された本発明によるドラフト装置には、次のような利点がある。すなわち本発明によるドラフト装置では、上記構成によって単に、ケージエレメントに対して、特に該ケージエレメントに支持された供給上側ローラに対して比較的大きな押圧力を、簡単に伝達することができるのみならず、押圧エレメントの本発明による構成及び配置形態によって、供給上側ローラが正確な真円転動(Rundlauf)を行わない場合でも、従来良く見られていた、何らかの有害な負荷変動の発生を、確実に阻止することができる。
【0027】
場合によっては生じる、押圧エレメントの支持箇所の角度変化及び/又は位置変化を問題なく補償する、このような長さ変化可能な押圧エレメントによって、ドラフト装置の運転中に押圧エレメントとケージエレメントとの間において有害な相対運動が発生することは、確実に阻止される。
【0028】
すなわち、本発明による構成及び配置形態を有する、押圧エレメントの使用によって、ドラフト装置の運転中に有害な静止摩擦が発生しないことを、比較的簡単に保証することができる。
【0029】
請求項2記載の好適な態様では、押圧エレメントは圧縮コイルばねとして形成されていて、一端ではドラフト装置の旋回キャリアに接続され、かつ他端ではケージエレメントに枢着的に接続されている。
【0030】
このような圧縮コイルばねは、機械工学において以前から定評のある大量生産品であり、ほぼすべてのサイズ及び強度のものを安価に入手することができ、その構造的な構成に基づいて、横方向における押圧力成分をも問題なく、つまりほぼ摩擦なしに、補償する。
【0031】
その結果、このような圧縮コイルばねの使用によって、比較的確実にかつ安価に、次のことを保証することができる。すなわちこの場合、紡績運転中にドラフト装置の集束ゾーンの領域において、ほぼすべての条件下において、つまり供給下側ローラが完全には真円を描いて転動しない場合でも、供給上側ローラにおいて必要な押圧力を常にほぼ一定に導入することができる。
【0032】
請求項3記載のように、本発明の好適な態様では、ケージエレメントは、供給上側ローラ対の軸のための案内兼受容装置の領域に、案内ピンを備えて形成された接続装置を、圧縮コイルばねの支持及び調整のために有する。
【0033】
案内ピンを備えるこのような接続装置は、圧縮コイルばねによって導入された押圧力の押圧方向を、簡単にかつ正確に維持することができる。さらに、供給上側ローラ対の軸のための案内兼受容装置の領域に接続装置が配置されている構成は、押圧力の最大部分を供給上側ローラ対に直に伝達するのに、役立つ。
【0034】
このような接続装置を備えるケージエレメントは、さらに、長時間にわたって適正な紡績運転を保証する、安価でかつ確実な部材である。
【0035】
さらに請求項4記載の態様では、旋回キャリアに、圧縮コイルばねのための受容装置が配置されており、この場合受容装置は軸を介して旋回キャリアに固定されている。
【0036】
旋回キャリアに固定された、圧縮コイルばね用の受容装置によって、圧縮コイルばねを常に適正に旋回キャリアに固定可能であることが、簡単に保証されるのみならず、受容装置は、ケージエレメントに配置された接続装置と共働して、圧縮コイルばねが紡績運転中に常に規定通りに方向付けられていることをも、保証する。
【0037】
すなわち、組み込まれた圧縮コイルばねの適正な方向付けに基づいて、ケージエレメントと圧縮コイルばねとの間における静止摩擦の発生は、確実に回避され、その結果、圧縮コイルばねの内部における摩擦力を無視すると、圧縮コイルばねによって所定された押圧力の、供給上側ローラへのほぼ摩擦のない伝達が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】粗糸をドラフトするドラフト装置の1実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0040】
図1には、粗糸をドラフトするドラフト装置1が示されており、この場合ドラフト装置1のドラフトゾーン30には、集束ゾーン10が後置されていて、この集束ゾーン10の、ケージエレメント25内に支持された供給上側ローラ対11oは、好適な実施態様では圧縮コイルばね15として形成された押圧エレメントによって押圧される。
【0041】
このようなドラフト装置1は、公知のように、入口ローラ対2と中間ローラ対3と出口ローラ対4とを有し、これらのローラ対2,3,4はそれぞれ下側ローラと所属の上側ローラとによって形成される。
【0042】
通常は、例えば機械端部側に配置された駆動装置と相応な伝動装置とによって異なった回転速度で駆動される、機械長さにわたって延在する下側ローラ2u,3u,4uは、打抜き部(図示せず)を介してリング精紡機の機械フレームに支持されており、これに対して、紡績運転中に下側ローラによって摩擦により駆動される上側ローラ2o,3o,4oは、それぞれいわゆるリンクアームを介して旋回キャリア(Pendeltraeger)5に接続されており、この旋回キャリア5自体は、支持体28を介して、機械フレームに固定された保持ロッド12に固定されている。
【0043】
多数のドラフト装置1の旋回キャリア5は、それぞれ操作レバー6を用いて、「ドラフト装置の上方旋回させられた」位置又は「ドラフト装置の押圧された」位置に位置決めされることができ、さらに、操作レバー6がその閉鎖位置を占めることなしに、上側ローラが下側ローラの上に載っている場合には、「ドラフト装置の押圧を軽減する」第3の位置が調節される。
【0044】
このようなドラフト装置1は、入口ローラ対2と出口ローラ対4との間にドラフトゾーン30を有し、このドラフトゾーン30において供給された粗糸26は好ましくは、その入口長さの50倍にまでドラフトされる。
【0045】
ドラフトゾーン30は、入口ローラ対2と中間ローラ対3との間に位置するプレドラフト領域7と、中間ローラ対3と出口ローラ対4との間に位置するメインドラフト領域8とに分割されている。
【0046】
ドラフトゾーン30には、集束ゾーン10が接続しており、この集束ゾーン10は、出口ローラ対4と供給ローラ対11との間に位置している。
【0047】
図1からさらに分かるように、出口上側ローラ対4oは、ばね負荷された出口リンクアーム9を介して、ドラフト装置1の旋回キャリア5に接続されている。つまり出口上側ローラ対4oの軸13は、そのサドル部材で、出口リンクアーム9の受容部において、好ましくはキーエレメントによって固定されて、堅固に固定されている。
【0048】
軸13のサドル部材のそばで、軸13の直径を幾分上回る内径を有する第1の案内兼受容装置29によって、ケージエレメント25が支持されており、このケージエレメント25は、第1の案内兼受容装置29の他に、供給上側ローラ対11oの軸17のための第2の案内兼受容装置31と、圧縮コイルばねとして形成された押圧エレメント15の支持及び調整のための接続装置14とを有している。
【0049】
この場合接続装置14は、供給上側ローラ対11oの軸17のための第2の案内兼受容装置31の上側の領域に配置されていて、圧縮コイルばね15の枢着的な位置決めのための案内ピン16を有している。
【0050】
圧縮コイルばね15はさらに、ドラフト装置1の旋回キャリア5に結合されている受容装置18に枢着接続されている。
【0051】
すなわち、組み立てられた状態において圧縮コイルばね15は、接続装置14と受容装置18とによって方向付けられていて、圧縮コイルばね15とケージエレメント25との間において、静止摩擦を惹起し得るような相対運動が生ぜしめられないようになっている。
【0052】
押圧エレメントとして圧縮コイルばね15を使用することによって、この圧縮コイルばね15によって、ケージエレメント25への、ひいては供給上側ローラ対11oへの所定の押圧力のほぼヒステリシスのない伝達が、供給下側ローラ対11uが幾分真円とは異なった回転(これは実地においては常に回避することができない)を有する場合でも、保証される。
【0053】
すなわち、このような圧縮コイルばね15の、構成によって所定された横方向可動性は、ケージエレメント25の場合によっては生じる旋回運動を自動的に補償し、出口上側ローラ対4oの軸13を中心にしたケージエレメント25のほぼ静止摩擦のない運動を可能にする。
【符号の説明】
【0054】
1 ドラフト装置、 2 入口ローラ対、 2o 上側ローラ、 2u 下側ローラ、 3 中間ローラ対、 3o 上側ローラ、 3u 下側ローラ、 4 出口ローラ対、 4o 上側ローラ、 4u 下側ローラ、 5 旋回キャリア、 6 操作レバー、 7 プレドラフト領域、 8 メインドラフト領域、 9 出口リンクアーム、 10 集束ゾーン、 11o 供給上側ローラ対、 12 保持ロッド、 13 軸、 14 接続装置、 15 圧縮コイルばね、 16 案内ピン、 17 軸、 18 受容装置、 25 ケージエレメント、 26 粗糸、 28 支持体、 29 案内兼受容装置、 30 ドラフトゾーン
図1