特許第6403411号(P6403411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403411
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20181001BHJP
   H04W 4/08 20090101ALI20181001BHJP
   H04W 40/04 20090101ALI20181001BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20181001BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20181001BHJP
【FI】
   H04W28/06
   H04W4/08
   H04W40/04
   H04W4/38
   H04W84/18
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-75409(P2014-75409)
(22)【出願日】2014年4月1日
(65)【公開番号】特開2015-198333(P2015-198333A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
(72)【発明者】
【氏名】原田 博司
【審査官】 吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0205409(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/069989(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0315494(US,A1)
【文献】 特開2011−077802(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/016877(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/138714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集制御局を根とするツリー型のネットワークにおける無線送受信方法であって、
前記収集制御局を含む1以上の上位端末のそれぞれに対してアソシエーション可能な下位端末の最大数である最大アソシエーション数を決定する工程と、
1以上の前記上位端末のうち、通信チャネルの定義機能を有する上位端末が前記下位端末とのデータの送受信に用いる通信チャネルを決定する工程と、
前記最大アソシエーション数に基づき前記上位端末のそれぞれに対して1以上の前記下位端末がアソシエーションする工程と、
前記上位端末とアソシエーションする1以上の前記下位端末がそれぞれ1以上のデータを生成し、前記通信チャネルを用いて前記上位端末に送信する工程と、
前記上位端末が1以上の前記下位端末から送信されたデータを受信する工程と、
を備えるとともに、前記上位端末よりも更に上位の端末が存在する場合には、
前記上位端末がデータを生成した場合には、前記上位端末が生成したデータと前記下位端末から受信した1以上のデータを結合し、前記上位端末がデータを生成しない場合には前記下位端末から受信した1以上のデータを結合する工程と、
前記上位端末が前記更に上位の端末に対し結合後の前記データを含む1以上のデータを、前記通信チャネルを用いて送信する工程と、
前記更に上位の端末が前記上位端末から送信されたデータを受信する工程と、
を備え、
前記最大アソシエーション数の決定は、前記下位端末自身から送信される第1データの容量を前記上位端末に通知し、前記上位端末が通知された前記第1データの容量の総和を所定の閾値以下となるように前記最大アソシエーション数を決定することで行われることを特徴とする無線送受信方法。
【請求項2】
前記上位端末と前記下位端末とのアソシエーションは、アソシエーションを希望する前記下位端末から前記上位端末にアソシエーション希望を通知し、前記上位端末が前記下位端末を、前記アソシエーション希望を受信した順に前記最大アソシエーション数以下となるように承認することで行われることを特徴とする請求項1記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記上位端末と前記下位端末とのアソシエーションは、前記上位端末から前記下位端末に定期的に前記最大アソシエーション数と現在アソシエーションしている前記下位端末の数との差である現在アソシエーション可能な前記下位端末の数を通知し、現在アソシエーション可能な数が1以上である場合に前記通知を受けた前記下位端末が前記上位端末にアソシエーション希望を送信することで行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記更に上位の端末がデータを生成した場合には、前記更に上位の端末が生成したデータと前記上位端末から受信した1以上のデータを結合し、前記更に上位の端末がデータを生成しない場合には、前記上位端末から受信した1以上のデータを結合する工程と、
前記更に上位の端末が前記収集制御局に対し結合後の前記データを含む1以上のデータを、前記通信チャネルを用いて送信する工程と、
前記収集制御局が前記更に上位の端末から送信されたデータを受信する工程と、
を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線端末を含む無線通信システムにおいて、多数のデータが衝突することによる閉塞効果を解消することのできる無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレスネットワークにおいて、小型で安価であり、かつ低出力のデジタル無線通信を行うことのできる、IEEE802.15.4の規格に準拠する通信デバイスが用いられている。
【0003】
IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークでは、収集制御局であるCS(Collection station)と、1つ以上のノードとにより構成されたツリー型のトポロジが採用されている。
【0004】
ツリー型トポロジでは、下位のノードが、上位のノードやCSに向けて、必要に応じてデータを結合しながらデータをリレーすることが行われている。
【0005】
こうしたデータのリレーにおいて、データの中継を行うノードに多数のデータが集中することで、データ間に衝突が発生し、データ収集の成功率が低下してしまうことがあった。
【0006】
こうした問題を解消するため、リレーされる複数のデータを結合し、送信回数を減らすことで衝突頻度を低減することが行われていた(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】児島他、A Study on IEEE 802.15.4e Compliant Low-Power Multi-Hop SUN with Frame Aggregation, Proc. ICC2013, 2013年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したデータ結合により、送信時の閉塞は解消されるが、結合されたデータが多数のノードから同一のノードやCSに中継される場合には、結合されたデータ同士で衝突が発生し、やはり閉塞効果が生じてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、送信側である下位端末に加えて受信側である上位端末においてもデータ同士の衝突を抑制し、閉塞効果が発生するのを効果的に防止することのできる無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る無線通信方法は、収集制御局を根とするツリー型のネットワークにおける無線送受信方法であって、前記収集制御局を含む1以上の上位端末のそれぞれに対してアソシエーション可能な下位端末の最大数である最大アソシエーション数を決定する工程と、1以上の前記上位端末のうち、通信チャネルの定義機能を有する上位端末が前記下位端末とのデータの送受信に用いる通信チャネルを決定する工程と、前記最大アソシエーション数に基づき前記上位端末のそれぞれに対して1以上の前記下位端末がアソシエーションする工程と、前記上位端末とアソシエーションする1以上の前記下位端末がそれぞれ1以上のデータを生成し、前記通信チャネルを用いて前記上位端末に送信する工程と、前記上位端末が1以上の前記下位端末から送信されたデータを受信する工程と、を備えるとともに、前記上位端末よりも更に上位の端末が存在する場合には、前記上位端末がデータを生成した場合には、前記上位端末が生成したデータと前記下位端末から受信した1以上のデータを結合し、前記上位端末がデータを生成しない場合には前記下位端末から受信した1以上のデータを結合する工程と、前記上位端末が前記更に上位の端末に対し結合後の前記データを含む1以上のデータを、前記通信チャネルを用いて送信する工程と、前記更に上位の端末が前記上位端末から送信されたデータを受信する工程と、を備え、前記最大アソシエーション数の決定は、前記下位端末自身から送信される第1データの容量を前記上位端末に通知し、前記上位端末が通知された前記第1データの容量の総和を所定の閾値以下となるように前記最大アソシエーション数を決定することで行われることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る無線通信方法は、第1発明において、前記上位端末と前記下位端末とのアソシエーションは、アソシエーションを希望する前記下位端末から前記上位端末にアソシエーション希望を通知し、前記上位端末が前記下位端末を、前記アソシエーション希望を受信した順に前記最大アソシエーション数以下となるように承認することで行われることを特徴とする。
【0013】
発明に係る無線通信方法は、第1又は第2発明において、前記上位端末と前記下位端末とのアソシエーションは、前記上位端末から前記下位端末に定期的に前記最大アソシエーション数と現在アソシエーションしている前記下位端末の数との差である現在アソシエーション可能な前記下位端末の数を通知し、現在アソシエーション可能な数が1以上である場合に前記通知を受けた前記下位端末が前記上位端末にアソシエーション希望を送信することで行われることを特徴とする。
【0015】
発明に係る無線通信方法は、第1乃至第発明の何れか1つにおいて、前記更に上位の端末がデータを生成した場合には、前記更に上位の端末が生成したデータと前記上位端末から受信した1以上のデータを結合し、前記更に上位の端末がデータを生成しない場合には、前記上位端末から受信した1以上のデータを結合する工程と、前記更に上位の端末が前記収集制御局に対し結合後の前記データを含む1以上のデータを、前記通信チャネルを用いて送信する工程と、前記収集制御局が前記更に上位の端末から送信されたデータを受信する工程と、を、さらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上述した構成からなる本発明によれば、送信側である下位端末に加えて受信側である上位端末においてもデータ同士の衝突を抑制し、閉塞効果が発生するのを効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明が適用される無線通信システムの例を示す模式図である。
図2】実施形態に係るデータ送受信方法におけるネットワークトポロジーが構築される様子を示すシーケンスチャートである。
図3】実施形態に係るデータ送受信方法におけるデータ中継の様子を示す図である。
図4】実施形態に係る無線通信システムにおいてデータが結合される様子を示す模式図である。
図5】実施形態に係る無線通信システムが本発明に係る無線通信方法を実行する様子について説明する、(a)は各メーターがデータをそのままリレーする様子を示す模式図、(b)は上位のメーターがデータを結合してリレーする様子を示す模式図、(c)は上位のメーターにアソシエーション可能な下位のメーターの数を制限するとともにデータを結合してリレーする様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態としての無線通信方法について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明が適用される無線通信システム1の例を示す模式図である。
【0020】
無線通信システム1は、無線通信端末として、収集制御局CS(Collection Station)とメーターM1、メーターM2、メーターM3及びメーターM4の4つのメーターとにより構成されている。
【0021】
収集制御局CSは最上位のマスターデバイスであり、メーターM1及びM2は収集制御局CSに対するスレイブデバイスとなり、メーターM3及びメーターM4は、メーターM1に対するスレイブデバイスとなる。
【0022】
ここで、IEEE802.15.4の規格に準拠するネットワークは、大別すると、FFD(Full Function Device)とRFD(Reduced Function Device)の2種類のデバイスから構成されている。
【0023】
FFDは、本実施形態における収集制御局CS及びメーターM1に相当し、自らが属するパーソナルエリアネットワーク(PAN)に加入しようとする新規デバイスに対するPANへの加入承認機能および他のデバイスとの通信において用いられるスーパーフレームや通信チャネル(周波数や時間)の定義機能を有する全機能搭載型デバイスである。
【0024】
このようなFFDのうち、各ネットワーク中に1つ存在し、ネットワーク全体のIDを決める機能を更に有するものを、PANコーディネータといい、本実施形態においては収集制御局CSがこれに相当する。
【0025】
一方、RFDは、FFDが有する上記加入承認機能およびスーパーフレームの定義機能を有していないデバイスであり、これらの機能を有していない以外は、FFDと同じ機能を有する機能制限型デバイスである。本実施形態においては、メーターM2、M3及びM4がこれに相当する。
【0026】
次に、この無線通信システム1におけるネットワークトポロジーの構築について説明する。図2は、実施形態に係るデータ送受信方法におけるネットワークトポロジーが構築される様子を示すシーケンスチャートである。
【0027】
まず、収集制御局CSの電源が投入され、収集制御局CSがアクティブスキャンを行うことにより開始される(ステップS1)。
【0028】
次に、収集制御局CSは、PANIDおよび自身のスーパーフレームを定義し、PANを立ち上げる(ステップS2)。
【0029】
次に、メーターM1の電源が投入され、メーターM1によるアクティブスキャンが行われる(ステップS3)。
【0030】
メーターM1によるアクティブスキャンでは、まず、メーターM1が、スキャンリクエストをブロードキャストする(ステップS4)。
【0031】
そして、メーターM1からブロードキャストされたスキャンリクエストの受信可能範囲内にあるFFDである収集制御局CSは、受信したスキャンリクエストに対する応答(スキャン応答)をメーターM1にユニキャストする(ステップS5)。
【0032】
このスキャン応答には、収集制御局CSに対してアソシエーション可能なメーターの最大数である最大アソシエーション数と、現在アソシエーションしているメーターの数との差である、現在アソシエーション可能なメーターの数についての情報が含まれている。最大アソシエーション数は予め収集制御局CSに設定されている。
【0033】
次に、メーターM1がこのスキャン応答を受信することで、メーターM1は収集制御局CSを発見する。そして、現在収集制御局CSにアソシエーション可能なメーターの数が0ではない場合には、収集制御局CSが自機に対するマスターデバイスとなり得る可能性のあるデバイスであることを認識し、メーターM1のアクティブスキャンは終了する。
【0034】
次に、メーターM1は、収集制御局CSのPANへのアソシエーションを開始する(ステップS6)。
【0035】
メーターM1のアソシエーションでは、まず、メーターM1は、マスターデバイスとなり得る収集制御局CSに対して、アソシエーションリクエストをユニキャストする(ステップS7)。
【0036】
次に、メーターM1からのアソシエーションリクエストを受信した収集制御局CSは、予め自身に設定されている最大アソシエーション数と、現在接続されているメーターの数を比較し、現在アソシエーション可能なメーターの数を算出する。
【0037】
現在アソシエーション可能なメーターの数が1以上の場合には、収集制御局CSは、アソシエーション応答をメーターM1にユニキャストする(ステップS8)。現在アソシエーション可能なメーターの数が0の場合には、アソシエーション応答は送信されない。
【0038】
アソシエーション応答が送信された場合には、これをメーターM1が受信することで、収集制御局CSをマスターデバイスとするメーターM1のPANへのアソシエーションが完了する。
【0039】
こうして収集制御局CSとメーターM1との間でアソシエーションが完了することで、両者間でデータの送受信を行うことができる(ステップS9)。
【0040】
次に、メーターM2の電源が投入され、メーターM2によるアクティブスキャンが行われる(ステップS11)。
【0041】
メーターM2によるアクティブスキャンでは、まず、メーターM2が、スキャンリクエストをブロードキャストする(ステップS12)。
【0042】
そして、メーターM2からブロードキャストされたスキャンリクエストの受信可能範囲にあるFFDである収集制御局CSとメーターM1は、スキャンリクエストを受信すると、スキャン応答をメーターM2にユニキャストする(ステップS13)。
【0043】
このスキャン応答にも、収集制御局CS又はメーターM1の最大アソシエーション数と、現在アソシエーションしているメーターの数との差である、現在アソシエーション可能なメーターの数についての情報が含まれている。メーターM1についても、予め最大アソシエーション数が設定されている。
【0044】
メーターM2がこのスキャン応答を受信するとともに、現在収集制御局CS及びメーターM1にアソシエーション可能なメーターの数が0ではない場合には、メーターM2はマスターデバイスとなり得るデバイスとして収集制御局CSとメーターM1を発見する。
【0045】
マスターデバイスとなり得るデバイスが複数ある場合、デバイスは、所定の基準に基づきマスターデバイスとする優先度の高いデバイスの認識を行う。本実施形態においては、メーターM2は、マスターデバイスとなり得る2つのメーターのうち、収集制御局CSがより優先度の高いデバイスであることを所定の基準に基づき認識する。こうしてメーターM2によるアクティブスキャンは終了する。
【0046】
この優先度は、収集制御局CSへの距離や、スキャンリクエストを発したデバイスからの距離、またはスキャン応答を送信した順番等の所定の基準に基づき決定される。本実施形態においては、収集制御局CSへの距離に応じて優先度が決定され、収集制御局CS自身が最も優先度の高いデバイスとなっている。このように、優先度が所定の基準により決定されることで、迅速なPANの構築が可能となる。
【0047】
次に、メーターM2は、収集制御局CSのPANへのアソシエーションを開始する。
【0048】
メーターM2のアソシエーションでは、まず、メーターM2は、上記優先度の高いデバイスである収集制御局CSに、アソシエーションリクエストをユニキャストする(ステップS15)。
【0049】
次に、メーターM2からのアソシエーションリクエストを受信した収集制御局CSは、予め自身に設定されている最大アソシエーション数と、現在接続されているメーターの数を比較する。
【0050】
そして、現在アソシエーション可能なメーターの数が1以上の場合には、収集制御局CSは、アソシエーション応答をメーターM2にユニキャストする(ステップS16)。現在アソシエーション可能なメーターの数が0の場合には、アソシエーション応答は送信されない。
【0051】
アソシエーション応答が送信された場合には、これをメーターM2が受信することで、収集制御局CSをマスターデバイスとする、メーターM2のPANへのアソシエーションが完了する。
【0052】
こうして収集制御局CSとメーターM2との間ではアソシエーションが完了することで、両者間でデータの送受信を行うことができる(ステップS17)。
【0053】
次に、メーターM3の電源がそれぞれ投入され、メーターM3によるアクティブスキャンが行われる(ステップS21)。
【0054】
メーターM3のアクティブスキャンでは、まず、メーターM3が、スキャンリクエストをブロードキャストする(ステップS22)。
【0055】
そして、メーターM3からブロードキャストされたスキャンリクエストの受信可能範囲内にあるメーターM1は、スキャンリクエストを受信すると、スキャン応答をメーターM3にユニキャストする(ステップS23)。
【0056】
このスキャン応答にも、メーターM1に対してアソシエーション可能なメーターの最大数である最大アソシエーション数と、現在アソシエーションしているメーターの数との差である、現在アソシエーション可能なメーターの数についての情報が含まれている。
【0057】
そして、メーターM3がこのスキャン応答を受信するとともに、現在メーターM1にアソシエーション可能なメーターの数が0ではない場合には、メーターM3はマスターデバイスとなり得るデバイスであるメーターM1を発見し、メーターM3のアクティブスキャンは終了する。
【0058】
次に、メーターM3は、収集制御局CSのPANへのアソシエーションを開始する。
【0059】
メーターM3のアソシエーションでは、まず、メーターM3は、マスターデバイスとなり得るメーターM1に、アソシエーションリクエストをユニキャストする(ステップS25)。
【0060】
次に、メーターM3からのアソシエーションリクエストを受信したメーターM1は、予め自身に設定されている最大アソシエーション数と、現在接続されているメーターの数を比較する。
【0061】
そして、現在アソシエーション可能なメーターの数が1以上の場合には、メーターM1は、アソシエーション応答をメーターM3にユニキャストする(ステップS26)。現在アソシエーション可能なメーターの数が0の場合には、アソシエーション応答は送信されない。
【0062】
アソシエーション応答が送信された場合には、これをメーターM3が受信することで、メーターM1をマスターデバイスとするメーターM3のPANへのアソシエーションが完了する。
【0063】
こうしてメーターM1とメーターM3との間でそれぞれアソシエーションが完了することで、両者間のデータの送受信を行うことができる。メーターM1とメーターM4とのアソシエーションも、メーターM1とメーターM3とのアソシエーションと同様にして行われる。
【0064】
上述した本実施形態では、上位の端末であるコーディネータは、先着順、すなわち先にアソシエーションリクエストを送信した下位端末であるメーターから順次最大アソシエーション数に至るまで接続を行う。
【0065】
次に、本実施形態に係るデータ送受信方法における、データ中継の例について説明する。図3は、本実施形態に係るデータ送受信方法におけるデータ中継の様子を示す図である。
【0066】
図3に示すように、本実施形態に係るデータ送受信方法では、マスターデバイスとしての収集制御局CSと、これに対するスレイブデバイスとしてのメーターM1またはM2とのデータの送受信は、収集制御局CSにより定められるスーパーフレームの他、これに定められる通信チャネル(周波数、時間)に従って行われる。
【0067】
また、マスターデバイスとしてのメーターM1と、これに対するスレイブデバイスとしてのメーターM3またはM4とのデータの送受信は、メーターM1により定められるスーパーフレームの他、これに定められる通信チャネル(周波数、時間)に従って行われる。
【0068】
上述した収集制御局CSとメーターM1またはM2とのデータの送受信、およびメーターM1とスレイブデバイスとしてのメーターM3またはM4とのデータの送受信においては、アクティブ期間は、スーパーフレーム長(Superframe Duration、SD)として定義され、コンテンションアクセス期間(Contention Access Period、CAP)と、コンテンションフリーアクセス期間(Contention Free Access Period、CFP)とにより構成されている。
【0069】
CAPは、マスターデバイスと、通信を行いうる全てのスレイブデバイスとの間で、情報の送受信が許可される期間である。
【0070】
一方、CFPは、マスターデバイスが割り当てた唯一のスレイブデバイスに対してのみ、情報の送受信が許可される期間である。CFP内では、各スレイブデバイスは、自らに割り当てられたスロットであるGTS(Guaranteed Time Slot)内においてのみマスターデバイスへの情報の送受信を行うことができる。
【0071】
デバイス間のデータフレームの送受信は、全て上述したCAPまたはCFP内でのみ行われる。
【0072】
本実施形態に係るデータ送受信方法では、データフレームの送受信はCAP内で開始される一方、CAP内で完了する必要は無く、データフレームの送受信がCAP内で完了しなかった場合、CAP終了後もデータの送受信はその完了まで継続して行われる。
【0073】
これにより、CAPを従来のデータ送受信方法よりも短くすることができるため、アクティブ期間を短くし、その分非アクティブ期間、すなわちデバイスがスリープモードでいられる期間を長くすることができるため、デバイスの電力消費を効果的に抑制することができる。
【0074】
また、ビーコン間隔によるマスター・スレイブ間の同期の確立時にのみマスターデバイスからビーコン信号が送信され、同期が確立された後は、ビーコン信号の送信は停止される。
【0075】
そのため、同期確立後の不要なビーコン信号の送受信による電力消費を効果的に抑制することができる。
【0076】
なお、ビーコン信号の送信は、同期が保てなくなった場合等に、必要に応じて再開されるようにしてもよい。
【0077】
次に、上述した無線通信システム1において行われるデータの結合について説明する。図4は、本実施形態に係る無線通信システム1においてデータが結合される様子を示す模式図である。
【0078】
図4に示す無線通信システム1は、データが結合される様子を分かりやすく説明するため、図1に示す無線通信システム1と異なり、収集制御局CSとメーターM1〜M10の10個のメーターとにより構成されている。メーターM1〜M10がそれぞれ送信する自身の生成したデータは、メーターM1〜M10と同じ番号、すなわちデータ1〜10として示されている。
【0079】
本実施形態に係るデータ送受信方法では、上述した第1の実施形態に係るデータ送受信方法において、最下位のメーターから収集制御局CSに向けて順次データが中継、収集される度に、新たに同期部やヘッダ部を作成すると共に、これらのデータに各メーターからのペイロードが結合される。
【0080】
これにより、同期部やヘッダ部などの冗長部を削減することができ、データ送受信に要する時間を削減することができる。
【0081】
また、データ送受信に要する時間を削減することで、CAP終了後にデータ送受信を行っているデバイスについてもより早くスリープモードにすることができ、電力の消費を抑制することができる。
【0082】
次に、上述した無線通信システム1が、本発明に係る無線通信方法を実行する様子について説明する。
【0083】
図5は、本実施形態に係る無線通信システム1が本発明に係る無線通信方法を実行する様子について説明する、(a)は各メーターがデータをそのままリレーする様子を示す模式図、(b)は上位のメーターがデータを結合してリレーする様子を示す模式図、(c)は上位のメーターにアソシエーション可能な下位のメーターの数を制限するとともにデータを結合してリレーする様子を示す模式図である。
【0084】
図5(a)に示す状態では、収集制御局CSに同時刻に多数のデータ1、2、3、4、5、6、7が送信されている。これらのデータは互いに衝突をしてしまい、閉塞効果が生じてしまう。
【0085】
また、図5(b)に示す状態では、上位のメーターにおいて下位のメーターから送信されたデータを結合することで、データの送信数は減るものの、まだ収集基地局CSによる受信時に閉塞効果が発生している。
【0086】
そこで、本発明では、図5(c)に示すように、コーディネータとなる収集制御局CSや上位のメーターへの下位のメーターの最大アソシエーション数を所定数以下に制限する制御が行われる。図5(c)の例では、最大アソシエーション数を2としている。
【0087】
そのため、収集制御局CSに接続しうるメーターは2つのみとなり、図5(c)ではメーターM1、M2の2つが接続している。
【0088】
また、コーディネータとなり複数のメーターを接続するメーターのうち、メーターM1に接続しているのはメーターM4の1つのみ、メーターM2に接続しているのはメーターM3、M5の2つのみ、メーターM4に接続しているのはメーターM6、M7の2つのみとなっている。
【0089】
更に、図5(c)に示すように、下位のメーターから送信されたデータは上位のコーディネータにおいて結合される。これにより、上位のメーターが同時に受信するデータの数も削減することができる。
【0090】
このように、下位のメーターから送信されたデータを上位のコーディネータが結合してリレーするとともに、コーディネータに接続しうる下位のメーターの数を制限することで、送信側である下位端末に加えて受信側である上位端末においてもデータ同士の衝突を抑制し、閉塞効果の発生を効果的に防止することができる。
【0091】
なお、上述した実施形態においては、コーディネータと下位のメーターとの接続は、アソシエーションリクエストを送信したメーターから順に行われていた。
【0092】
しかし、本発明においてはこれに限らず、アソシエーションリクエストの送信電力順にアソシエーション可能数に至るまで接続が行われるようにしてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態においては、最大アソシエーション数は上位の端末であるコーディネータ側において予め設定されていた。
【0094】
しかし、本発明においてはこれに限らず、最大アソシエーション数の決定は、下位のメーターが自身から送信されるデータの容量を上位のコーディネータに通知し、コーディネータが各下位のメーターから通知されたデータの容量の総和が所定の閾値以下となるように最大アソシエーション数を決定することで行われてもよい。
【0095】
また、上述した無線通信システム1において、中継を行う各メーターが自機でデータを生成しない場合には、下位のメーターから受信した1以上のデータの結合をし、それを更に上位のメーターに送信する態様としてもよい。また、各メーターが1度に生成し送信するデータの数は1つに限られず、2つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 無線通信システム
CS 収集制御局
M1、M2、M3、M4 メーター
M5、M6、M7、M8 メーター
図1
図2
図3
図4
図5