(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について
図1から
図10を参照しながら説明する。
図1に示すように、洗濯機10は、その外郭を構成する外箱11の内部に、上面が開放した有底円筒状の水槽12が弾性吊持機構13によって弾性的に支持されている。この水槽12の内部には、上面が開放した有底円筒状の回転槽14が回転可能に設けられている。回転槽14の底部には、当該回転槽14の底部を補強するための補強部材15が設けられている。回転槽14は、垂直な軸線を中心に回転するように構成されており、洗濯物を洗う洗い行程および洗濯物をすすぐすすぎ行程における洗濯槽、および、洗濯物を脱水する脱水行程における脱水槽として兼用される。つまり、洗濯機10は、回転槽14の回転中心軸が垂直方向に延びるいわゆる縦軸型洗濯機である。
【0008】
この回転槽14は、その周壁部に多数の孔16を有している。これら孔16は、貫通しており、通水および通気が可能である。なお、
図1には多数の孔16のうちその一部のみを示している。回転槽14の上部には、例えば塩水等の液体が封入された合成樹脂製のバランスリング17が取り付けられている。回転槽14内の底部には、撹拌体として例えば合成樹脂で形成されたパルセータ18が回転可能に設けられている。
【0009】
水槽12の下部には排水経路19が設けられている。この排水経路19には排水弁20が設けられており、この排水弁20が開放されることにより、水槽12内の水が機外に排出される。また、水槽12の底部には、水位検知用のエアトラップ21が設けられている。このエアトラップ21には、エアチューブ22を介して図示しない水位センサが接続されている。この水位センサは、本実施形態では圧力センサで構成されており、エアトラップ21内の圧力に基づいて水槽12内の水位を検知する。
【0010】
水槽12の下部の中央部には駆動機構部23が設けられている。この駆動機構部23は、モータ24(
図2参照)、および図示は省略するが、クラッチ機構部および減速装置等を備えている。駆動機構部23は、モータ24の回転力を減速装置によって減速するとともに、洗い行程時またはすすぎ行程時においては、クラッチ機構部によって回転力をパルセータ18に伝達する。このため、洗い行程時またはすすぎ行程時には、回転槽14は回転駆動されず、パルセータ18だけが回転駆動される。
また、駆動機構部23は、脱水行程時においては、モータ24の回転力を減速装置によって減速することなくクラッチ機構部によって回転槽14に伝達する。このため、脱水行程時には、パルセータ18は、回転槽14と一体に回転駆動される。
【0011】
外箱11の上部には、トップカバー26が設けられている。このトップカバー26には、洗濯物出入口を開閉する例えば二つ折り式の蓋27が開閉可能に設けられている。なお、水槽12の上部には、図示しない槽カバーが開閉可能に取り付けられている。トップカバー26の前部には、操作パネル28が設けられている。この操作パネル28には、各種の操作スイッチを備える操作入力部や、例えば液晶表示器等で構成された表示出力部等が設けられている。
【0012】
操作パネル28の裏側には、洗濯機10の動作全般を制御する制御ユニット29が設けられている。この制御ユニット29は、制御手段の一例である。トップカバー26内の後部には、水源からの水を水槽12内に供給する給水機構部30が設けられている。この給水機構部30は、
図2に示す給水弁31や水槽12に連通する図示しない給水経路等を備えており、制御ユニット29が給水弁31の開閉を制御することにより、水槽12内への給水が制御されるようになっている。
【0013】
次に、洗濯機10の制御系に係る電気的構成について説明する。
図2に示すように、制御ユニット29は、PWM制御方式インバータであるインバータ回路50を備えている。インバータ回路50は、6個のIGBT51(スイッチング素子)を三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT51のコレクタ−エミッタ間には、フライホイールダイオード52が接続されている。インバータ回路50の各相出力端子は、モータ24の各相巻線24aに接続されている。下アーム側のIGBT51のエミッタは、シャント抵抗53(モータ電流検知手段)を介してグランドに接続されている。また、IGBT51のエミッタとシャント抵抗53との共通接続点は、入力回路54(モータ電流検知手段、モータ回転数検知手段)に接続されている。
【0014】
入力回路54は、レベルシフト回路および過電流判定回路を備えている。レベルシフト回路は、図示は省略するがオペアンプ等を含んだ回路構成となっており、シャント抵抗53の端子電圧を増幅するとともにその増幅信号の出力範囲が制御回路55の入力レベルに応じた範囲(例えば、0〜+5V)に収まるようにバイアスを与える機能を備えている。過電流判定回路は、インバータ回路50の上下アームが短絡した場合に回路の破壊を防止するために過電流検出する機能を備えている。入力回路54からの信号は、制御回路55(制御手段)に入力される。また、入力回路54は、過電流を検知した際にモータ24を停止するための緊急停止信号を制御回路55に出力する。
【0015】
モータ24には、ロータ位置を検出するために例えばホールICなどで構成された回転位置センサ56(モータ回転数検知手段)が設けられており、回転位置センサ56が出力するセンサ信号が制御回路55に入力される。そして、制御回路55は、モータ24の各相巻線24aに流れる電流値に基づいて、2次側の回転磁界の位相θおよび回転角速度ωを推定するとともに、三相電流を直交座標変換およびdq(direct-quadrature)座標変換することで励磁電流成分Id、トルク電流成分Iqを得る。そして、制御回路55は、速度指令が与えられると、推定した位相θ、回転角速度ωおよび励磁電流成分Id、Iqに基づいて、電流指令値Idref、Iqrefを生成する。そして、制御回路55は、電流指令値Idref、Iqrefを電圧指令値Vd、Vqに変換して直交座標変換および三相座標変換を行い、駆動信号(PWM信号)を生成して、インバータ回路50を介してモータ24の各相巻線24aに出力する。
【0016】
インバータ回路50の入力側には、駆動用電源回路57が接続されている。駆動用電源回路57は、100Vの交流電源65に対し、一端側にリアクトル58(誘導性リアクタ)を介して接続され、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路59と、全波整流回路59の出力側に直列接続された2個のコンデンサ60とを備えている。コンデンサ60の共通接続点は、全波整流回路59の入力端子の一方に接続されている。駆動用電源回路57は、後述するリアクトル58を用いた昇圧動作を行わない場合には、100Vの交流電源65を倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路50に供給する。
【0017】
この全波整流回路59には、ダイオードブリッジで構成されるもう1つの全波整流回路61(短絡手段)が並列に接続されている。この全波整流回路61にはIGBT62(短絡手段)が設けられており、IGBT62は、制御回路55から出力されるパルス信号およびパルスロック信号に基づいてオン/オフが制御される。これら全波整流回路61およびIGBT62によって短絡回路63が構成されている。より具体的には、短絡回路63は、ゲートドライブ回路64によってオン/オフが制御される。なお、パルス信号は、IGBT62をオン/オフするためのPWM信号であり、パルスロック信号は、昇圧動作の有効期間を示すレベル信号である。本実施形態では、パルスロック信号が”H”レベルの時、パルス信号によるオン/オフの制御が可能となるように構成されている。
【0018】
このため、パルスロック信号が”H”の状態でパルス信号が出力されると、IGBT62がオンする。そして、IGBT62がオンすると、全波整流回路59の入力端子間が短絡される。そして、全波整流回路59の入力端子間が短絡されることでリアクタに短絡電流が発生して昇圧されることになる。そして、この短絡回路63により全波整流回路59の入力端子間を短絡することが、昇圧動作に相当する。
【0019】
全波整流回路59の入力端子には、全波整流回路59の入力端子間を短絡するタイミングの起点となる交流電源65のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出回路66(ゼロクロス検出手段)が設けられている。このゼロクロス検出回路66で検出したゼロクロス点を起点とした所定のタイミングで、短絡回路63のIGBT62はオンされる。本実施形態では、IGBT62は、後述するように、モータ24の負荷に応じてゼロクロス点から所定期間遅れたタイミング(所定のタイミングに相当する)でオンされる。
【0020】
次に、本実施形態の作用について説明する。
制御回路55は、洗い行程時またはすすぎ行程時にパルセータ18を回転駆動する際、
図3に示す昇圧処理を実行する。本実施形態では、洗い行程を例として説明する。この洗い行程では、役7秒周期でパルセータ18が正回転と逆回転とを繰り返すように制御される。
【0021】
制御回路55は、パルセータ18を回転駆動するために、まずモータ24を起動し(S1)、モータ24を所定の回転数にて駆動する回転数制御を行う(S2)。そして、制御回路55は、パルセータ18を回転駆動している最中に、電流センサで検知した電流値であるモータ電流(モータ24のq軸電流)と、回転位置センサ56にて検知した位置の変化に基づいて算出したモータ24の回転数であるモータ回転数とを取得する(S3)。そして、制御回路55は、モータ電流とモータ回転数とに基づいて、昇圧動作が必要であるか否かを判定する(S4)。
【0022】
全波整流回路59の入力端子間を短絡することでリアクタに短絡電流を発生させて昇圧動作を行う場合、リアクタに流れる電流(リアクタ電流)を測定し、そのリアクタ電流に基づいて昇圧動作を行うか否かを判定することが考えられる。しかし、その場合には、リアクタ電流を検知するための電流検知手段が別途必要となる。そのため、本実施形態では、リアクタ電流に相関すると考えられるモータ24の制御時の電流値を用いて昇圧動作を行うか否かを判定する。ただし、同じ電流値であっても、モータ24の負荷は回転数によって変化することから、負荷が異なれば昇圧動作が必要であるか否かの判定規準も異なると考えられる。
【0023】
そのため、本実施形態では、モータ電流とモータ回転数とに基づいて昇圧動作を行うか否かを判定している。具体的には、制御回路55は、
図5に示す昇圧開始/停止電流値の関係に基づいて昇圧動作が必要であるか否かを判定する。例えば、制御回路55は、モータ回転数が100rpmである場合、モータ電流が概ね3.5Aを超えると昇圧が必要であると判定する。あるいは、制御回路55は、モータ回転数が150rpmである場合には、モータ電流が概ね2.4Aを超えると昇圧が必要であると判定する。つまり、制御回路55は、モータ電流とモータ回転数との相間関係が、
図5に示す昇圧開始電流値(開始基準値に相当する)よりも大きい範囲である場合に昇圧が必要であると判定する。
【0024】
そして、制御回路55は、昇圧が必要であると判定すると(S4:YES)、昇圧パルス発生処理を実行する(S5)。この昇圧パルス発生処理では、制御回路55は、
図4に示すように、モータ電流とモータ回転数に応じて、遅延時間およびパルス幅(パルス信号の信号幅)を設定する(S10)。ここで、遅延時間は、ゼロクロス点(Pz。
図6参照)からパルス信号を出力されるまでの時間であり、
図6に示すように所定期間に相当し、ゼロクロス点からパルス信号が出力されるタイミングが、所定のタイミングに相当する。
【0025】
具体的には、制御回路55は、まず、
図7に示す電力推定値の関係から、現在のモータ電流およびモータ回転数から推定される電力を求める。例えば、現在のモータ電流が3Aであり、現在のモータ回転数が150rpmであるとすると、電力は概ね700Wと推定される。なお、モータ電流およびモータ回転数と電力との関係は、予め実験により求められている。
【0026】
続いて、制御回路55は、
図8に示す遅延時間の関係から、推定した電力における遅延時間を求める。具体的には、例えば推定した電力が700Wであれば、交流電源65の周波数が60Hzのときには概ね2250μ秒を遅延時間つまりゼロクロス点(Pz)からパルス信号を出力するまでの所定期間として設定する。なお、交流電源65の周波数が50Hzの場合、遅延時間は概ね2050μ秒に設定される。また、推定した電力が例えば1000Wであれば、交流電源65の周波数が60Hzのときには概ね2350μ秒を遅延時間に設定し、交流電源65の周波数が50Hzのときには概ね2150μ秒を遅延時間に設定する。つまり、制御回路55は、推定した電力が大きいほど所定期間を長くする。
【0027】
さて、残波整流回路を短絡させてリアクタ電流を発生させると、その電流値が大きくなりすぎるとリアクトル58に磁気飽和が発生し、昇圧の効果が望めなくなるおそれがある。そのため、本実施形態では、磁気飽和量を超えてしまわないように、パルス信号を複数(本実施形態では2回)に分割して出力している。このとき、制御回路55は、1回目および2回目のパルス信号のパルス幅を
図9に示すパルス幅の関係から求めるとともに、2回目のパルス信号の遅延時間を
図10に示す関係から求めている。なお、
図9および
図10に示す関係は、予め実験により求められている。
【0028】
例えば推定した電力が700Wである場合、制御回路55は、1回目のパルス信号のパルス幅を概ね620μ秒に設定し、2回目のパルス信号のパルス幅を概ね320μ秒に設定する。また、推定した電力が例えば1000Wであれば、制御回路55は、交流電源65の周波数が60Hzのときには、1回目のパルス幅を概ね650μ秒に設定し、2回目のパルス幅を概ね330μ秒に設定する。つまり、制御回路55は、推定した電力が大きいほど、全波整流回路59の入力端子間を短絡させる短絡時間を増加させる。
【0029】
また、制御回路55は、2回目のパルス信号の遅延時間を、交流電源65の周波数が60Hzのときには概ね1250μ秒に設定し、交流電源65の周波数が50Hzのときには概ね1050μ秒に設定する。このように、電力の大きさに基づいて2回目のパルス信号までの遅延時間を設定することで、磁気飽和を防止することができる。
【0030】
パルス幅および遅延時間を設定すると、制御回路55は、パルス信号を出力する。これにより、
図6に示すように、パルセータ18の駆動中に、ゼロクロス点(Pz)から所定期間の後に1回目のパルス信号が出力され、1回目のパルス信号から遅延して2回目のパルス信号が出力される。この結果、磁気飽和が生じない範囲でリアクタ電流が発生し、昇圧動作が行われる。昇圧動作が開始されると、約300Vの直流電圧がインバータ回路50に供給され、モータ24の出力が改善される。
【0031】
その後、制御回路55は、
図3に示す昇圧処理において、運転つまり本実施形態では洗い行程が終了したかを判定し(S6)、終了していなければ(S6:NO)、ステップS2に移行して回転数制御を行う。そして、制御回路55は、モータ電流およびモータ回転数を取得し(S3)、昇圧が必要であるかを判定する(S4)。このとき、制御回路55は、昇圧が必要であれば(S4:YES)、再び昇圧パルス発生処理を実行する(S5)。
【0032】
これに対して、制御回路55は、昇圧動作の開始後に、モータ電流とモータ回転数との関係が
図6に示す昇圧停止電流値(停止基準値に相当する)を下回った場合には、昇圧が不要であると判定する(S4:NO)。この場合、制御回路55は、ステップS6に移行し、運転が終了していなければ(S6:NO)、ステップS2に移行する一方、運転が終了してれば(S6:YES)、昇圧処理を終了する。
このように、制御回路55は、モータ電流とモータ回転数との関係に基づいて、昇圧動作の要・不要を判定し、昇圧動作が要であれば、昇圧を行っている。
【0033】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
洗い行程やすすぎ行程においてパルセータ18を回転駆動している最中に、昇圧動作の開始および停止を判断して、ゼロクロス点を基点とした所定のタイミングで昇圧動作を行っている。これにより、短期間にオン/オフを切り替えるように制御され、負荷変動や回転数変動が大きいパルセータ18を駆動する際であっても、昇圧動作を行うことで必要な電力を供給することができる。
このとき、
図8に示すように、モータ電流とモータ回転数との相関関係に基づいてモータ24の電力を推定し、推定した電力に基づいて、当該電力が大きいほど所定期間を長くする。これにより、リアクタに流れる電流を直接的に検出するセンサが不要となる。
【0034】
また、モータ電流が昇圧開始電流値(開始基準値)を超えると昇圧動作を開始し、モータ電流が昇圧停止電流値(停止基準値)を下回ると昇圧動作を停止する。このようにモータ電流とモータ回転数とに基づいて昇圧動作の要・不要を判定することにより、回転ロック気味となるモータ24の誘起電圧が減少して高い電圧が不要の場合には昇圧動作を停止させることができるとともに、回転終了時にモータ回転数が漸減して過電圧となりやすい場合にも昇圧動作を停止させることができる。モータ電流が小さい場合において過度に昇圧動作が行われてしまうことを防止することができる。したがって、過電圧等の不具合を生じさせることなく昇圧動作を制御することができる。また、モータ起動時のようにモータ24の誘起電圧が増加する場合において、電力が不足する前に昇圧動作を開始することができる。
【0035】
また、パルス信号をリアクトル58の磁気飽和量を超えない範囲で複数に分割して出力するので、磁気飽和によって異音が発生すること抑制することができるとともに、昇圧動作に必要な電圧を確保することができる。
また、モータ24の電力が大きいほど、入力端子間を短絡させる短絡時間つまりパルス幅を増加させるので、電力が大きい場合にはリアクタ電流を大きくする制御が可能となり、負荷変動が生じた場合であっても昇圧動作を安定に行うことができる。つまり、昇圧動作を行うことで昇圧動作中に負荷変動が生じることが考えられるが、パルス信号の遅延時間とパルス幅とを電力に基づいて判定しているので、負荷変動に対して素早く応答することができ、電圧を一定に保つことができる。
【0036】
上記した効果を得られることから、いわゆる弱め磁界制御のようなモータ24の効率の低下を招く制御が不要となり、モータ24のトルクを低下させることがないため、モータ出力の改善を図ることができる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態にて例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に変形あるいは拡張することができる。
一実施形態で示した
図5から
図10の関係から求めた遅延時間やパルス幅等の数値は一例であり、モータ24やリアクタ等の仕様により適宜設定されるものである。また、モータ電流およびモータ回転数と電力との関係、および、電力と遅延時間やパルス幅等の設定値との関係は、
図5から
図11に示したグラフから求めるのではなく、関係式から求めてもよいし、設定値を予めテーブル化しておき、対応する設定値を読み出す構成としてもよい。
【0038】
一実施形態ではパルス信号を2回に分割して出力したが、3回以上に分割してもよい。その場合、モータ電流と前記モータ回転数との相関関係に基づいてモータ24の電力を推定し、当該電力が大きいほど、交流電源65の半周期において入力端子間を短絡する短絡回数つまりパルス信号の出力回数を増加させてもよい。これにより、昇圧動作を行うことで昇圧動作中に負荷変動が生じた場合であっても、電圧を一定に保つことができる。
【0039】
その場合、昇圧動作の開始時にはその信号幅を相対的に小さくして出力し、昇圧動作を開始した後に出力する2回目以降のパルス信号については、その信号幅を徐々に相対的に大きくして出力してもよい。すなわち、
図11に示すように、パルス発生回数が多くなるほど、パルス幅軽減率を
小さくし、初回のパルス幅に比べて2回目以降のパルス幅を徐々に大きくしてもよい。なお、
図11では、5回目以降のパルス幅が100%(つまり、パルス幅の軽減なし)に設定されている。これにより、磁気飽和によって異音が発生すること抑制することができるとともに、昇圧動作を行うことで昇圧動作中に負荷変動が生じた場合であっても、電圧を一定に保つことができる。
【0040】
また、インバータ回路50に入力される電圧値を検出する電圧検出手段を設け、インバータ回路50を駆動するための電圧指令値と電圧検出手段で検出した実電圧値とに基づいて、PI(Proportional Integral)制御によりパルス信号の信号幅を求めてもよい。具体的には、電圧指令値と実際の電圧を比較してPI制御によりパルス幅を求め、電圧指令値が実際の電圧より大きい時はパルス幅を大きくし、電圧指令値が実際の電圧より小さい時はパルス幅を小さくすることで、電圧を一定に制御することができ、電圧指令値と実際の電圧とを一致させることができる。
【0041】
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。