(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403422
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】トランク開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/63 20150101AFI20181001BHJP
B62D 25/12 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
E05F15/63
B62D25/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-94736(P2014-94736)
(22)【出願日】2014年5月1日
(65)【公開番号】特開2015-55152(P2015-55152A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0110725
(32)【優先日】2013年9月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】任 龍 赫
(72)【発明者】
【氏名】邊 ミン 炯
(72)【発明者】
【氏名】洪 宗 郁
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−104229(JP,A)
【文献】
実開昭51−103253(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0194599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターを備えたモーター部、
前記モーター部の外側から巻き付けられる形状をなし、外周面に複数の突起が突設された内側チューブ、
前記内側チューブの外側を取り囲む形状をなし、内周面に沿ってネジ溝が形成された外側チューブ、
円筒状をなし、外周面に沿ってネジ部が形成され、前記モーター部に結合され、モーターの回転時、ネジ部が外側チューブのネジ溝と噛み合うことで、回転運動を行うスピンドル、及び
前記外側チューブの外周面に巻きつけられる弾性部材、
を含み、
前記スピンドルの回転運動によって前記外側チューブが前記外側チューブの長さ方向に移動することを特徴とするトランク開閉装置。
【請求項2】
前記モーター部は前記内側チューブの内側に密着結合され、モーター回転の際、モーター部が内側チューブから離脱しないようにされていることを特徴とする請求項1に記載のトランク開閉装置。
【請求項3】
前記内側チューブの長さは前記外側チューブの長さより短く形成されたことを特徴とす
る請求項1に記載のトランク開閉装置。
【請求項4】
前記内側チューブは前記外側チューブと密着結合されることを特徴とする請求項1に記
載のトランク開閉装置。
【請求項5】
前記内側チューブは前記外側チューブと密着結合され、モーター回転の際、内側チュー
ブの突起が外側チューブを支持して外側チューブが回転しないようにされていることを特
徴とする請求項1に記載のトランク開閉装置。
【請求項6】
前記外側チューブは柔軟性のある材質から形成されることを特徴とする請求項1に記載のトランク開閉装置。
【請求項7】
前記外側チューブの両端部には蓋状のカバーが備えられ、カバーには案内係合具が形成
され、案内係合具によって外側チューブが車体と結合されることを特徴とする請求項1に
記載のトランク開閉装置。
【請求項8】
前記外側チューブの一端はリアシートの後方側に結合され、他端はトランクリッドヒン
ジに結合されることを特徴とする請求項1に記載のトランク開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランク開閉装置に係り、より詳しくはトランクの空間をより広く確保することができるトランク開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両のトランク開閉装置に関して、ヒンジアームとトーションバーは車両で現在広く使われている技術である。車両の使用者にとってトランク空間は重要な商品価値であるので、車両のメーカーは車両のトランク空間の拡大のために最大限の努力を傾けている。
したがって、特許文献1の“自動車トランクリッド自動開閉装置”は、自動車のトランクを自動で開閉する装置において、スピンドルの回転力でグースネックを移動させるチューブ部、スピンドルの回転のための動力を伝達し、チューブ部の一側下端に離隔して形成される駆動部、及びチューブ部と駆動部を構造的に連結し、駆動部の動力をチューブ部に伝達する連結部、を含み、“コ“字形に形成して車両のトランク開閉を便利にした。
【0003】
しかし、従来技術による車両のトランク開閉装置において、ヒンジアームとトーションバーを使う技術は、トランクが閉まったとき、ヒンジアームによるラゲージ空間の損失を勘案しなければならず、ラゲージに積載された品物によってトーションバーが損傷する問題点がある。
また、近年重量型車両においては、ガスリフトをラゲージの外側に設置してラゲージ空間を確保しているが、複雑な構造によって材料費及び組立工数が上昇する問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許公開第10−2011−0028920A号 明細書
【特許文献2】特表2009−513851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、構造が簡単で取扱いが容易でありながらもトランクの積載空間を充分に確保することができるトランク開閉装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトランク開閉装置は、モーターを備えたモーター部、
前記モーター部の外側を取り囲む形状をなし、外周面に複数の突起が突設された内側チ
ューブ、
前記内側チューブの外側を取り囲む形状をなし、内周面に沿ってネジ溝が
形成された外側チューブ、
円筒状をなし、外周面に沿ってネジ部が形成され、前記モーター部に結合され、モーターの回転時、ネジ部が外側チューブのネジ溝と噛み合うことで、回転
運動を行うスピンドル、及び
前記外側チューブの外周面に
巻きつけられる弾性部材、
を含
み、
前記スピンドルの回転運動によって前記外側チューブが前記外側チューブの長さ方向に移動することを特徴とする。
【0007】
前記モーター部は前記内側チューブの内側に密着結合され、モーター回転の際、モーター部が内側チューブから離脱しないようにされていることを特徴とする。
【0008】
前記内側チューブの長さは前記外側チューブの長さより短く形成されたことを特徴とする。
【0009】
前記内側チューブは前記外側チューブと密着結合されることを特徴とする。
【0010】
前記内側チューブは前記外側チューブと密着結合され、モーター回転の際、内側チューブの突起が外側チューブを支持して外側チューブが回転しないようにされていることを特徴とする。
【0011】
前記外側チューブは柔軟性素材から
形成されることを特徴とする。
【0012】
前記外側チューブの両端部には蓋状のカバーが備えられ、カバーには案内係合具が形成され、案内係合具によって外側チューブが車体と結合されることを特徴とする。
【0013】
前記外側チューブの一端はリアシートの後方側に結合され、他端はトランクリッドヒンジに結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このような構造のトランク開閉装置によれば、従来とは異なり、外側チューブの内周面にネジ溝を形成し、スピンドルの外径と外側チューブの内径を同一に形成してスピンドルのネジ部が外側チューブのネジ溝と噛み合うように形成することで、従来使われたナットギアアセンブリーとスプリングガイドチューブを無くすことができるので、構造が簡単になりコストが節減される。
また、従来のスピンドルに比べて大径のスピンドルを使うことができ、スピンドルと外側チューブの接触面積が増大するので、同一荷重が作用するとき、接触面積当たり応力が減少して部品の耐久性を向上させ、モーターの1回転当たりスピンドルの併進運動距離が増加して、モーターのRPMを1/2以上減少した低RPMで作動させることができることにより、騷音が改善され、モーターの耐久性を向上させることができる利点があり、また、従来に比べて約138mmにあたる部品の総長さを縮小することができ、トランク開閉装置のマウンティングを車両の前方側に移動させることが可能となるので、トランクルーム空間の活用度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例によるトランク開閉装置を示す図である。
【
図6】モーター部とスピンドルを詳細に示す図である。
【
図7】トランクの閉鎖時のトランク開閉装置の状態を示す図である。
【
図8】トランクの開放時のトランク開閉装置の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例によるトランク開閉装置について詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例によるトランク開閉装置を示す図、
図2は
図1のA−A線断面図、
図3は
図2のB−B線断面図である。
図4は
図2のC部を詳細に示す図、
図5は
図2のD部を詳細に示す図、
図6はモーター部100とスピンドル700を詳細に示す図である。また、
図7はトランクの閉鎖時のトランク開閉装置の状態を示す図、
図8はトランクの開放時のトランク開閉装置の状態を示す図、
図9は
図8のE部を詳細に示す図、
図10は
図8のF部を詳細に示す図である。
【0017】
本発明のトランク開閉装置は、モーター110を備えたモーター部100、モーター部100の外側を取り囲む形状をなし、外周面に複数の突起310が突設された内側チューブ300、内側チューブ300の外側を取り囲む形状をなし、内周面に沿ってネジ溝510が湾入形成された外側チューブ500、バー状をなし、外周面に沿ってネジ部710が形成され、モーター部100に結合され、モーター110の回転時にネジ部710が外側チューブ500のネジ溝510と噛み合うことで、回転運動と同時に併進運動を行うスピンドル700、及び外側チューブ500の外周面に巻き取られる弾性部材900、を含む。
【0018】
内側チューブ300と外側チューブ500は相当程度の柔軟性及び摩擦力を有する素材からなり、モーター部100は内側チューブ300の内側に密着結合され、モーター110回転時にもモーター部100と内側チューブ300間の摩擦力によって堅く締結されているので、モーター部100が内側チューブ300から離脱しないようになっている。
図4及び
図5に示す通り、
図2のC部は、モーター部100と、モーター部100を外側で取り囲む内側チューブ300と、内側チューブ300の外側を取り囲む外側チューブ500とからなること、
図2のD部は、スピンドル700と接触する面にネジ溝510が形成された外側チューブ500のみを確認することができる。
【0019】
すなわち、内側チューブ300の長さは外側チューブ500の長さより短く形成され、内側チューブ300はモーター部100のみを取り囲むように形成され、内側チューブ300の外側には外側チューブ500が密着して結合するように形成され、モーター110の回転時にもモーター部100、内側チューブ300及び外側チューブ500が互いに分離しないようにして、スピンドル700が回転と同時に前後方向に併進運動することができるようにするものである。
内側チューブ300は外側チューブ500と密着結合され、モーター110の回転時、内側チューブ300の突起310が外側チューブ500を支持し、モーター110とスピンドル700の回転によっても外側チューブ500が回転しないようにして、外側チューブ500のネジ溝510とスピンドル700のネジ部710が噛み合い、スピンドル700が回転と同時に併進運動することができるようになっている。
【0020】
また、外側チューブ500は柔軟性素材からなり、トランクTKの開放時には、外側チューブ500の外周面に巻き取られた弾性部材900と外側チューブ500が引っ張られ、トランクTKの閉鎖時には、弾性部材900と外側チューブ500の収縮によって元の状態に戻るようになる。
外側チューブ500の両端部には外側チューブ500を完全に密閉する蓋状のカバー530が備えられ、カバー530には案内係合具550が形成され、案内係合具550によって外側チューブ500が車体と結合される。より詳しくは、外側チューブ500の一端はリアシートの後方側にボールジョイントBJを介して結合され、他端はトランクリッドヒンジTHにボールジョイントBJを介して結合され、トランクTKの開放時、モーター部100のモーター110の回転によってスピンドル700が回転し、外側チューブ500と弾性部材900が引っ張られてトランクリッドヒンジTHを押し上げることによってトランクTKが開放される構造であり、組立方式もガスリフトを組立てる方式と同様にボールソケットによって組立てるようになっている。
【0021】
本発明のトランク開閉装置は、従来とは異なり、外側チューブの内周面にネジ溝を形成し、スピンドルの外径と外側チューブの内径を同一に形成して、スピンドルのネジ部が外側チューブのネジ溝と噛み合うように形成することで、従来使われたナットギアアセンブリーとスプリングガイドチューブを無くすことができるので、構造が簡単になって費用が節減される。
また、従来のスピンドルに比べて大径のスピンドルを使うことができ、スピンドルと外側チューブの接触面積が増大するので、同一荷重が作用するとき、接触面積当たり応力が減少して部品の耐久性を向上させ、モーターの1回転当たりスピンドルの併進運動距離が増加して、モーターのRPMを1/2以上減少した低RPMで作動させることができる。これにより、騷音が改善され、モーターの耐久性を向上させることができる利点があり、従来に比べて約138mm相当の部品の合計長さを縮小することができ、トランク開閉装置のマウンティングを車両の前方側に移動させることで、トランクルーム空間の活用度を高めることができる。
【0022】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、構造が簡単で作動が便利でありながらもトランクの積載空間を充分に確保することができるトランク開閉装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
100 モーター部
110 モーター
300 内側チューブ
310 突起
500 外側チューブ
510 ネジ溝
530 カバー
550 案内係合具
700 スピンドル
710 ネジ部
900 弾性部材