(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運転制御手段は、前記回転槽の回転を立ち上げ当該回転槽の回転数が前記所定回転数領域のときに前記給水制御を実行し、当該所定回転数領域を超えた直後に、前記回転槽の回転を一旦停止又は回転数を下げ、その後立ち上げる回転制御を行う請求項1又は2記載の洗濯機。
前記運転制御手段は、回転槽の回転を前記所定回転数領域のうちの最高回転数近傍まで一旦立ち上げた後、回転数を一旦所定回転数まで下げ、その後再度回転を立ち上げ、当該再立ち上げ時における前記所定回転数領域で前記給水制御を実行する請求項1又は2記載の洗濯機。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、第1実施形態による洗濯機について
図1から
図5を参照して説明する。
図1には、縦軸形洗濯機の全体の概略構成が示されている。洗濯機本体1の外殻は、矩形箱状をなす外箱2と、この外箱2の底部に設けられた台板3と、外箱2の上部に装着されたトップカバー4とにより構成されている。外箱2の内部には、槽5が収容されている。この場合、槽5は、それぞれ有底円筒状をなす水槽6と、この水槽6内に回転可能に配設された洗濯槽兼脱水槽たる回転槽7とから構成されている。
【0008】
このうち、水槽6は、吊り棒8aとスプリング8bを主体とする弾性支持機構8により、軸方向を上下方向とした縦軸状態で弾性的に吊り下げ支持されている。水槽6の上部には水槽カバー9が装着されており、この水槽カバー9のほぼ中央部に、内蓋10が開閉可能に設けられている。
【0009】
回転槽7は、周側壁に脱水兼通風用の小孔7aを有していて、縦軸周りに回転可能とされている。この回転槽7内に洗濯物が出し入れ可能に収容される。回転槽7の上端開口部には、液体封入形の回転バランサ11が装着されている。回転槽7内の底部には、撹拌体12が回転可能に配設されている。水槽6の底部の外側(下側)には、モータ13を主体とする駆動機構14が配設されている。この駆動機構14は、撹拌軸14a及びこの撹拌軸14aを挿通させる中空状の脱水軸14bを有し、撹拌軸14aに撹拌体12の中心部が連結され、脱水軸14bに回転槽7の底部の中心部が連結されている。
【0010】
前記モータ13は、アウターロータ形のブラシレスモータから構成され、そのロータ13aは、前記駆動機構14の撹拌軸14aに直結されている。前記駆動機構14は、図示はしないが、モータ13のロータ13aを脱水軸14b(回転槽7)に対して連結、開離するクラッチを備えている。このクラッチは、排水弁モータ15(
図2参照)により動作される。
【0011】
水槽6の底部には排水口6aが設けられており、この排水口6aは、排水弁16を介して排水管17に接続されている。排水弁16は前記排水弁モータ15によりクラッチと連動して開閉される。洗い運転においては、排水弁モータ15の動作に基づいて排水弁16が閉鎖されると共に前記クラッチが脱水軸14bとモータ13のロータ13aとの連結を開離する。なお、クラッチはこの開離状態では脱水軸14b従って回転槽7を水槽6側に固定する。又、脱水運転においては、排水弁モータ15の動作に基づいて排水弁16が開放されると共に前記クラッチが脱水軸14bとモータ13のロータ13aとを連結する(回転槽7と撹拌体12とが一体回転可能となる)。
【0012】
また、水槽6の底部において排水口6aに連通する部分には、水位検知用のエアトラップ18が設けられており、このエアトラップ18に、エアチューブ19の一端部が接続されている。このエアチューブ19の他端部は、後述する水位センサ20に接続されている。
前記トップカバー4は、前記内蓋10の上方に位置させて洗濯物出入口21を有していて、矩形枠状をなしている。洗濯物出入口21は、二つ折れ式の外蓋22により開閉されるようになっている。トップカバー4の前部(
図2において左側)には操作パネル23が設けられている。操作パネル23には、種々のスイッチからなる操作入力部23a及び各種の表示を行なう表示部23b(
図2参照)が設けられているとともに、その下方部位には、制御手段としての制御装置25が配置されている。
【0013】
又、水槽6の外面には加速度センサ24が取り付けられている。
そして、トップカバー4の後部(
図2において右側)には、部品収納部26が設けられており、この部品収納部26内には、前述の水位センサ20が配置されていると共に、給水装置27が配設されている。給水装置27は、水道等の給水源から供給される水を回転槽7内に供給するものであり、給水弁28(
図2参照)、給水ケース29及び給水管30などを備えている。具体的には、給水ケース29内に給水弁28が固定されていて、その給水弁28のホース接続口部28aは、部品収納部26の上面から上方へ突出するようになっていて、図示しない水道の蛇口に接続された給水ホースが接続される。
【0014】
給水弁28の吐出口部(図示せず)は、給水ケース29内に臨むようになっている。給水ケース29の前部の下端部に設けられた給水口部29aは、給水管30の一端部に接続され、その給水管30の他端部は、前記水槽カバー9に設けられた給水口31に接続されている。この給水口31は回転槽7の内周面近傍の真上に位置する。
【0015】
ここで、水道の蛇口に接続された給水ホースを給水弁28のホース接続口部28aに接続した状態で、給水弁28が開放された場合には、水道水が給水弁28の吐出口部から給水ケース29内へ供給され、その水は、給水口部29a、給水管30及び給水口31を通り、回転槽7内へ供給される。
【0016】
回転槽7の内壁面には、上下方向に延びる循環水路32が配設されている。循環水路32の主体部を構成するカバー部材33は、合成樹脂により上下方向に長い形状に形成されていて、回転槽7の内側壁面に取り付けられている。カバー部材33の上部には、洗剤投入口34が設けられていて、この洗剤投入口34を開閉する投入カバー35が設けられている。カバー部材33の下端部には、撹拌体12の下方空間に開口する流出口(図示せず)が設けられている。カバー部材33内部には、図示しないリントフィルタが収納され、このリントフィルタの左右両側には、洗剤投入口34と流出口とを連通させた図示しない洗剤案内路が設けられている。洗剤投入口34に投入された洗剤は、前記洗剤案内路を通り流出口より回転槽7の底部に投入される。
【0017】
図2には、制御装置25を中心とした電気的構成の概略が示されている。制御装置25は、マイクロコンピュータを主体に構成されたもので、ソフトウエア構成により洗濯機の作動全般を制御する運転制御手段25a、洗濯物重量検出手段25b、布質検出手段25cとしての機能を備えている。上記運転制御手段25aは例えば主として洗い運転、中間脱水運転、すすぎ運転、最終脱水運転を制御する。上記洗濯物重量検出手段25b、布質検出手段25cについては後述する。
【0018】
この制御装置25には、前記操作パネル23の操作入力部23aの操作信号が入力されるほか、加速度センサ24の加速度検出信号、水槽6内に貯留される水の水位を検出する水位センサ20の水位検出信号、モータ13の回転速度を検知する回転センサ37の回転速度検出信号、モータ13に流れる電流を検知する電流センサ38の電流検出信号が入力されるようになっている。
【0019】
制御装置25は、これらの入力信号並びに予め備えた制御プログラムに基づき、表示部23b、モータ13、給水弁28、排水弁モータ15、ブザー36などを、駆動回路39を介して制御するようになっている。なお、この駆動回路39は、各機器に対応する駆動回路を総称する。
【0020】
次に制御装置25の制御内容(運転制御手段25aなどの制御内容)について
図3のフローチャートを参照して説明する。
運転制御手段25aは、洗濯物重量検出、給水、布質検出、給水、洗い運転、排水、中間脱水運転、給水、すすぎ運転(ためすすぎ)、排水、最終脱水運転の順に実行する。具体的には、下記の制御が行われる。
【0021】
上記洗濯物重量検出から洗い運転までは、洗い行程と称される。
ステップS1では洗濯物の重量を検出する(洗濯物重量検出手段25b)。この洗濯物重量検出は、回転槽7内に洗濯物を収容した状態でモータ13に一定の電力を与えて撹拌体12を回転させて得られた回転数と、回転槽7内に洗濯物が収容されていない状態でモータ13に一定の電力を与えて撹拌体12を回転させて得られている回転数との比較から、洗濯物重量(重量)を検出するものである。この検出データは水位設定などに用いる。なお、この洗濯物重量検出は、モータ13に流れる電流に基づいて洗濯物の重量を検出するようにしても良い。
【0022】
ステップS2では、給水を実行する。この給水は、排水弁16を閉塞した状態で、給水弁28を開放して回転槽7内に布質検出に用いる所定量の水を供給するものである。
ステップS3では、布質検出を実行する(布質検出手段25c)。この布質検出は、回転槽7内に一定量の水が収容された状態でモータ13に一定の電力を与えて撹拌体12を回転させ、撹拌体12の回転数の大きさにより洗濯物の布質、例えば、「ごわごわ」、「標準」、「しなやか」の3段階のいずれかを検出するものである。この検出データは、水流の強弱度合いの設定などに用いる。
【0023】
ステップS4では給水を実行する。この給水は、排水弁16の閉塞を維持した状態で、回転槽7内に設定された水位(洗い用水位)に達するまで水を供給するものである。
ステップS5では、洗い運転を実行する。この洗い運転は、回転槽7に水が溜められて当該回転槽7が回転しない状態で、撹拌体12を間欠的に正逆回転させるものである。この場合、回転槽7内には予め洗剤が供給されており、いわゆる洗剤洗い運転である。
【0024】
上記洗い運転終了直後の排水(ステップS6)からすすぎ運転(ステップS15)までは、すすぎ行程と称される。又このすすぎ行程のうち、脱水回転制御(ステップS7)から回転停止及び排水弁閉鎖(ステップS13)までは中間脱水運転に相当する。
【0025】
ステップS6では排水を実行する。この排水は、排水弁16を開放し回転槽7内の水を排出するものである。この排水においては、洗濯物重量が所定重量以上である場合に排水初期に回転槽7及び撹拌体12を例えば正逆回転(撹拌動作)させる。
【0026】
ステップS7では脱水回転制御を開始する。この脱水回転制御は、
図4に示すように、時間の進行と共に回転槽7の回転数を制御する。なお、回転数としては所定回転数領域Nrと、第1回転数N1と、第2回転数N2と、第3回転数N3と、第4回転数N4と、目標最高回転数Nmとが予め設定されている。第1回転数N1は、所定回転数領域Nrのうちの最低回転数であり、例えば40rpmに設定されている。第2回転数N2は所定回転数領域Nrのうちの最高回転数であり、例えば99rpmに設定されている。第3回転数N3は、所定回転数領域Nrのうちの最高回転数である第2回転数N2を超えた直後の回転数であり、例えば100rpmに設定されている。前記第4回転数N4は例えば400rpmである。前記第1回転数N1〜第2回転数N2は、運転制御手段25aが給水制御を実行する条件となる回転数であり、第3回転数N3は給水を停止する条件となる回転数である。なお、N1<N2<N3<N4<Nmの関係にある。
【0027】
運転制御手段25aは、回転槽7の回転を予め設定された第3回転数N3まで、ゆっくりと立ち上げ、この第3回転数N3の回転状態を所定継続時間T1継続し、その後第4回転数N4まで立ち上げる。この第4回転数N4の回転状態を所定時間T2継続し、その後、目標最高回転数Nmまで立ち上げる。なお、この後、予め設定された脱水時間Tdが満了すると、回転を停止する。
【0028】
前記第1回転数N1から第3回転数N3の領域では、回転槽7内周面近くの洗濯物が当該内周面に張り付き傾向となり、中央側の洗濯物が張り付いたり落ちたりする。回転槽7をこの第3回転数N3までゆっくりと立ち上げることで、洗濯物の偏りを少なくしてアンバランス回転の発生を少なくするようにしている。
【0029】
次のステップS8では、ステップS1での重量検出結果が所定値(所定重量)以上であったか否かを判断する。この所定値は、例えば10kg定格とした場合、7kg程度を所定値としても良い。この所定値は適宜変更できる。このステップS8で「YES」であれば、ステップS9に移行する。
【0030】
ステップS9では、回転槽7の現在の回転数が所定回転数領域Nr(N1からN2まで)であるか否かを判断する。
このステップS9で「YES」と判断すると、つまり、回転槽7の回転数が40rpmとなったと判断すると、ステップS10に移行する。このステップS10では、回転槽7を回転させた状態で、給水装置27の給水弁28を開放して、給水制御を行う。これにより、水が回転槽7の周壁部内側の上部から回転槽7内に給水される。この後、ステップS11に移行して、脱水時間が予め設定された時間を経過したか否かを判断し、「NO」であればステップS7に戻る。
【0031】
そして、回転槽7の回転数が第3回転数N3となった(ステップS9で「NO」と判断)時点で、ステップS12に移行して上記給水を停止する。
前記ステップS7〜ステップS12における脱水の様子を、
図5を参照して説明する。回転槽7の回転前の状態では、
図5(a)で示すように、回転槽7内に、洗い運転後の洗剤分を含んだ洗濯物が収容されている。そして回転槽7の回転が順次上昇していくと、同図(b)に示すように、洗濯物が遠心力により回転槽7の周壁部内面にせり上がるように張り付いてゆく。そして、同図(c)に示すように、給水が開始されると、洗濯物においてせり上がった上部に水がかかる形態となり、当該せり上がっている部分に水が浸透することで、あるいは水勢により、洗濯物が沈降しあるいは内方へ崩れ落ちる。この場合回転槽7が回転されているので、洗濯物の全周で当該洗濯物が沈降あるいは崩落する。これにより、その後回転槽7の回転数がさらに高くなっても、一部の洗濯物が異常に高くせり上がることがない。よって、回転槽7の最上部内面に付着することもなければ、回転槽7の上端に乗ってしまうこともない。つまり、洗濯物が回転槽7の上端部部分に付着残留することがない。
【0032】
前記ステップS9で「NO」となった場合、つまり前述したように第3回転数N3となった場合にはこの回転状態が所定継続時間T1継続される。そして、この後、前記ステップS11で、脱水時間が設定時間を経過したことが判断されるまでは、前記
図4に示す回転数変化となるようにステップS7の回転制御が実行される。
【0033】
前記ステップS11で、脱水時間が設定時間を経過したことが判断されると、ステップS13に移行し、回転槽7の回転を停止すると共に排水弁16を閉鎖する(中間脱水運転終了)。この中間脱水運転の終了時においては、上述から判るように、一部の洗濯物(洗剤分を含んだままの洗濯物)が回転槽7の最上部内面に付着残留することもなければ、回転槽7の上端に乗ったまま残留するということもない。
【0034】
このステップS13の後はステップS14に移行して給水を実行する。この給水は、排水弁16の閉塞を維持した状態で、回転槽7内に設定された水位(ためすすぎ用水位)に達するまで水を供給するものである。この後、ステップS15に移行して、すすぎ運転を実行する。このすすぎ運転は、いわゆるためすすぎのことである。このすすぎ運転では、回転槽7内に一定量の水が収容された状態で、撹拌体12を間欠的に正逆回転させる。このすすぎ運転においては、回転槽7に溜められた水道水によって洗濯物がすすがれる。この場合、洗濯物(洗剤分を含んだままの洗濯物)の一部が回転槽7の最上部内面や回転槽7上端に付着残留していないから、洗濯物全体をすすぐことができる。
【0035】
この後、ステップS16に移行して、排水を実行する。この排水は、排水弁16を開放し回転槽7内の水を排出するものである。次のステップS17では、最終脱水運転を実行する。この最終脱水運転は、回転槽7及び撹拌体12を回転させて洗濯物を脱水する。
これにより、洗濯運転が終了する。
上記実施形態においては、運転制御手段25aが、洗い運転終了直後の脱水運転において、当該脱水運転で設定した目標最高回転数Nmより低い所定回転数領域Nrで回転槽7を回転させつつ給水弁28により回転槽7の内部に給水する給水制御を実行するようにした。
【0036】
これによれば、洗剤分を含んだ洗濯物が遠心力により回転槽7の周壁部内面にせり上がるように張り付いた状態で、当該洗濯物においてせり上がった上部に水が満遍なくかかるようになる。この場合、回転槽7の回転数は、目標最高回転数Nmより低い所定回転数領域Nrであるので、遠心力もさほど大きくはない。このため、当該洗濯物においてせり上がっている部分から水が浸透してゆくことで、あるいは水勢により、洗濯物が沈降しあるいは内方へ崩れ落ちる。この場合回転槽7が回転されているので、洗濯物の全周で当該洗濯物が沈降あるいは崩落する。これにより、洗剤分を含んだ洗濯物が回転槽7の上端部近傍に付着残留することもなければ、回転槽7の上端に乗ったまま残留してしまうこともない。つまり、回転槽7上端部部分に洗濯物が付着残留することがない。従って、この後、すすぎ運転が実行された場合に、全ての洗濯物がすすがれることになる。
【0037】
又、本実施形態においては、回転槽7の最初の回転立ち上がり時において当該回転槽7の回転数が前記所定回転数領域Nrのときに前記給水制御を実行するから、脱水運転の早い時期において回転槽7の上端部部分での洗濯物の付着残留を防止できる。
【0038】
ここで、洗濯物の重量が重いほど、換言すれば洗濯物の容量が多いほど、脱水運転時において洗濯物がせり上がる高さが高くなり、洗剤分を含んだ洗濯物が回転槽7の最上部内面や上端部に付着残留する確率も高くなる。逆に言えば、洗濯物の容量が少ない場合には、脱水運転時において洗濯物がせり上がる高さが低くなり、洗剤分を含んだ洗濯物が回転槽7上端部部分に付着残留することもない。
【0039】
この点を考慮した本実施形態においては、洗濯物の重量を検出する洗濯物重量検出手段25bを備え、運転制御手段25aが、洗濯物重量検出手段25bによる重量検出結果が所定重量以上であることを条件に給水制御を実行する。これによれば、洗濯物が回転槽7の最上部内面や上端部に付着残留するおそれがある洗濯物重量の場合のみに給水制御を実行できるから、洗濯物の重量に関係なく一律に給水制御を行う場合に比して水量削減を図ることができる。
【0040】
又、本実施形態においては、運転制御手段25aが、回転槽7の回転を立ち上げ当該回転槽7の回転数が所定回転数領域Nrのときに給水制御を実行し当該所定回転数領域Nrを超えた直後の回転数(第3回転数N3)で給水を停止するようにした。これによれば、回転槽7の回転を立ち上げる際における所定回転数領域Nrのときに給水制御を実行するので、低い回転数状態から順次高くなる回転数で給水がなされるようになり、洗濯物に十分に水が浸潤し、洗濯物に対する沈降及び崩落効果を十分に上げることができる。
【0041】
又、給水制御後、給水を止めて一定回転を前記所定継続時間T1で継続するので、給水制御により洗濯物に浸潤した水を、所定継続時間T1で洗濯物から自然流出させることができ、しかもこの所定継続時間T1の間は回転槽7を回転させるので、この回転による脱水作用も期待でき、総じて、給水制御により洗濯物に浸潤した水を、給水制御後良好に減らすことができる。従って、この給水制御の後に回転槽7の回転を立ち上げる際に脱水負荷を軽減できる。
【0042】
図6は第2実施形態を示している。この第2実施形態では、回転槽7の回転数が所定回転数領域Nrを超えた直後に、回転数を一旦所定回転数この場合例えば所定回転数領域Nrにおける最低回転数40rpmまで下げ、その後立ち上げる回転制御を行うようにしている。
【0043】
この第2実施形態によれば、回転槽7の回転数が所定回転数領域Nrにおいて給水された洗濯物が、回転槽7の回転数が下げられることで(
図6の期間Ta)遠心力が小さくなって内方へ崩れやすくなる。この結果、せり上がった洗濯物の沈降及び崩落を促進させることができる。この場合、回転数を一旦下げることに代えて回転を一旦停止するようにしても良い。又、上記期間Taにおいて給水制御を継続しても良い。
【0044】
図7及び
図8は第3実施形態を示している。運転制御手段25aは、洗い運転終了直後の脱水運転において、回転槽7の回転数を
図7(
図6と同様)のように制御すると共に、給水を
図7及び
図8に示すように制御する。
図8においてはステップ9´が
図3のステップ9と異なる。運転制御手段25aは、回転槽7の回転を所定回転数領域Nrのうちの最高回転数である第2回転数N2の近傍(この場合第3回転数N3)まで一旦立ち上げる。なおこの場合第2回転数N2まで立ち上げても良い。この後、所定回転数領域Nrのうちの最低回転数である第1回転数N1まで低下させる(立ち下げる)。この場合第1回転数N1近傍の回転数まで低下させても良い。その後再度回転を立ち上げる。
【0045】
そして、前記回転数の立ち下げ時の途中(回転数Na(例えば50rpm))から再立ち上げの途中(回転数Nb(例えば50rpm))の間(この場合所定回転数領域に相当)で(
図8のステップ9´で判断)に給水制御を実行する。
そして前記回転数Nbを超えたところで給水を停止する(
図8のステップS12)。さらに
図7に示すように第3回転数N3での回転を所定継続時間T1継続する回転制御を行う。この後は第1実施形態と同様の回転制御を行う。
【0046】
この第3実施形態においては、回転槽7の回転を第3回転数N3まで立ち上げることで、洗濯物を回転槽7内周面に押し付けて(圧縮して)せり上げ、そして、せり上げた状態で一旦回転数を下げることで、洗濯物を中央部へ崩落しやすくする。そして、回転低下時における途中の回転数Naから再立ち上げ途中の回転数Nbまでの所定回転数領域(低い回転数領域)で給水制御を実行することで、低速で崩落しやすい洗濯物に対してさらに水がかかって、洗濯物に対する沈降及び崩落効果もさらに高めることができ、もって、洗剤分を含んだ洗濯物が回転槽7の上端部部分に付着残留することをさらに防止できる。なお、上記回転数Na(給水制御開始条件に相当する回転数)及び回転数Nb(給水制御終了条件に相当する回転数)は、回転数の立ち下げ開始から再立ち上げ終了までの間で適宜設定しても良い。
【0047】
図9は第4実施形態を示している。この第4実施形態においては、ステップ11a、ステップ11bを追加した点が第1実施形態(
図3)と異なる。この第3実施形態では、運転制御手段25aは、給水制御を実行した場合には、前記直後の回転数(第3回転数N3)での回転を継続する所定継続時間T1を、給水制御を実行しない場合よりも長く設定している。
【0048】
給水制御を実行した場合には、給水制御を実行しない場合に比して、洗濯物の水の含浸量が多い。そこで、給水制御を実行した場合に前記所定継続時間T1を長くすることで、回転数(脱水回転数)を上げる前に洗濯物から水を十分に自然流出させることができる。なお、給水制御を実行しない場合でも回転槽7を所定継続時間で、一定回転数の回転、この場合低速回転を継続することで、回転槽7内部の洗濯物のアンバランス是正に寄与できる。
【0049】
図10から
図12は第5実施形態を示しており、次の点が第1実施形態と異なる。この第4実施形態では、
図10に示すように、制御装置25が、ソフトウエア構成により、脱水運転時において前記回転槽のアンバランス回転の有無を検出するアンバランス検出手段25dを備えている。このアンバランス検出手段25dは、加速度センサ24の加速度検出信号に基づいて回転槽7がアンバランス回転しているか否か(アンバランス回転の有無)を検出する。なお、アンバランス回転無しは、その後の回転槽7の回転時にアンバランス回転を発生しないことを目安としており、厳密にアンバランス回転が全く発生していないことを意味しない。
【0050】
図11においては、ステップS11の直前に、ステップQのアンバランス検出制御(アンバランス検出手段25d)を設けている。このアンバランス検出制御の制御内容を
図12に示している。ステップQ1ではアンバランス回転が有り(アンバランス回転検出)か否かを判断し、「YES」であれば、ステップQ2に移行して給水制御(アンバランス修正)を所定時間実行する。この後、ステップQ3ではアンバランス回転が無し(アンバランス解消)となったか否かを判断し、「YES」であれば、ステップQ4に移行して給水を停止する。又、ステップQ3で「NO」の場合にはステップQ5に移行してアンバランス回転有りの回数が所定回数以上であるか否かを判断し、「YES」であればステップQ6で警告報知をする。
【0051】
この第5実施形態においては、アンバランス検出手段25dによりアンバランス回転有りが検出されたときに給水を開始する。
この第5実施形態によれば、アンバランス回転の発生時には給水によりアンバランス修正ができる。
なお、運転制御手段25aは、次のように変更しても良い。すなわち、回転槽7の回転数が所定回転数領域Nr内にあって給水制御を実行している中で、アンバランス検出手段25dによりアンバランス回転有りの検出後、アンバランス回転無しが検出されたとき、つまりアンバランス回転が解消された場合には、給水制御を停止する。
【0052】
アンバランス検出手段25dによりアンバランス回転有りの検出があってその後アンバランス回転無し(解消)が検出されるという状況は、洗濯物の異常な高さのせり上がりが解消されることに起因してアンバランス回転が解消したという状況であることが多い。従って、上記のように制御することで、回転槽7の回転数が所定回転数領域Nr内であっても給水制御を停止しても差し支えがなく、給水の無駄をなくすことができる。
【0053】
又、布質検出手段25cによる布質検出結果が「ごわごわ」である場合に、所定回転数領域Nrで給水制御を行うようにしても良い。布質が「ごわごわ」であると、脱水運転時における洗濯物のせり上がり高さが高くなるおそれがあり、この場合洗濯物に小物が混じっていると、この小物の洗濯物が回転槽7の上端部部分に付着残留するおそれがある。そこで、上述したように、布質検出手段25cによる布質検出結果が「ごわごわ」である場合に、所定回転数領域Nrで給水制御を行うことで、小物の洗濯物が回転槽7の上端部部分に付着残留することを防止できる。
【0054】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。