(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(B)が、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、及び塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項2に記載の染毛剤組成物。
全組成中における成分(A)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(A)+(C)]が、0.01以上6以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔成分(A):アゾ染料〕
本発明の染毛剤組成物は、成分(A)として、下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される1種又は2種以上のアゾ染料を含有する。
【0015】
なお、アゾ染料(A-1)、(A-2)及び(A-3)のpKaは、それぞれ6.0、6.0及び7.5である。よって、pH(25℃)が7.5〜12である本発明の染毛剤組成物中では、これらアゾ染料のほぼ8割以上は、プロトンを解離したアニオン性の状態で存在する。プロトンが解離したとき、(A-1)は赤色、(A-2)は青色、(A-3)は黄色を呈する。
【0016】
全組成中における上記アゾ染料の総含有量は、処方配合の安定性の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。なお、本発明の染毛剤組成物には、アゾ染料(A-1)、(A-2)及び(A-3)以外の染料を併用することもできる。ただし、成分(A)による染色性に影響を与えない観点より、アゾ染料(A-1)、(A-2)及び(A-3)の総含有量が、全染料中の1質量%以上100質量%以下、更には5質量%以上100質量%以下、更には10質量%以上100質量%以下、更には20質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
【0017】
〔酸化染料〕
本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式である場合、第1剤中には前記アゾ染料に加え、酸化染料を配合することもできる。本発明の染毛剤組成物に好適な酸化染料としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカップラーを用いることができる。
【0018】
プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、オルトアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、N-フェニルパラフェニレンジアミンとこれらの塩等が挙げられる。
【0019】
また、カップラーとしては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、レゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ヒロドキノンとこれらの塩等が挙げられる。
【0020】
プレカーサーとカップラーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、その全組成物中の総含有量は、上記アゾ染料の染色性に影響を与えない程度の含有量であることが好ましく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0021】
〔成分(A)以外の直接染料〕
本発明の染毛剤組成物には、上記アゾ染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)以外の直接染料を更に配合することができる。本発明の染毛剤組成物が二剤式染毛剤である場合は、第1剤中に上記アゾ染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)以外の直接染料を更に配合することができる。この直接染料としては、染毛剤に利用可能である公知の酸性染料、塩基性染料、分散染料等を用いることができる。
【0022】
酸性染料としては、例えば青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられる。塩基性染料としては、例えば塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性黄57等が挙げられる。
【0023】
酸性染料及び塩基性染料以外の直接染料としては、例えば2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、分散紫1、分散青1、分散黒9、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC黄2、HC黄4、HC黄5等が挙げられる。
【0024】
これらアゾ染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)以外の直接染料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その全組成物中の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0025】
〔成分(B):カチオン界面活性剤〕
本発明の染毛剤組成物は、成分(B)として、カチオン界面活性剤を含有する。カチオン界面活性剤としては、次の一般式(1)で表されるものを用いることができる。
【0027】
〔式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、独立に水素原子又は炭化水素基を示し、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち1つ又は2つは炭素数8〜36の炭化水素基であって、かつ残余が水素原子又は炭素数1〜7の炭化水素基である。X
-はアニオンを示す。〕
【0028】
ここで炭化水素基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。
【0029】
R
1、R
2、R
3及びR
4のうち1つ又は2つ(好ましくは1つ)が、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜30、更には炭素数10〜24、更には炭素数12〜18のアルキル基であることが好ましく、残余が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、更には炭素数1もしくは2のアルキル基、更には炭素数1のアルキル基であることが好ましい。
【0030】
アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、乳酸イオン、サッカリンイオンが挙げられ、なかでも入手の容易性の観点から塩化物イオン及び臭化物イオンが好ましい。
【0031】
成分(B)としては、染毛後の毛髪に対して優れた感触を付与させる観点から、塩化モノアルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、臭化モノアルキルトリメチルアンモニウムが好ましく、なかでも塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムがより好ましく、これらの混合物もまた好ましい。
【0032】
カチオン界面活性剤は、二種以上を併用することもできる。全組成中におけるカチオン界面活性剤の含有量は、染毛後の毛髪に対して優れた感触を付与させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0033】
〔成分(B)以外の界面活性剤〕
本発明の染毛剤組成物は、成分(B)以外の界面活性剤として、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤を含有させることができる。
【0034】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルサッカライドが好ましく、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテル、アルキルポリグルコシドがより好ましい。
【0035】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アミドスルホベタイン等が挙げられ、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが更に好ましい。
【0036】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。アルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。これらアニオン界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0037】
これら成分(B)以外の界面活性剤は、二種以上を併用することもでき、全組成中の含有量は、良好な感触、乳化性能の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0038】
〔成分(C):塩酸、炭酸又は硫酸のアルカリ金属塩〕
本発明の染毛剤組成物は、成分(C)として、使用時に良好な感触を付与する観点から、塩酸、炭酸及び硫酸からなる群より選択される酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種を0.1質量%以上
8質量%以下含有する。
【0039】
成分(C)の塩酸、炭酸又は硫酸のアルカリ金属塩とは、塩酸、炭酸又は硫酸の水素原子の一部又は全部を、アルカリ金属で置換した化合物である。染毛処理後に毛髪を乾燥したときの感触の点からカリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、が挙げられる。
【0040】
これら成分(C)は、二種以上を併用することもでき、全組成物中における含有量は、成分(A)と成分(B)を難溶性の塩を形成することなく安定に配合させる観点から、0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、また、乾燥した状態での毛髪の感触の観点から、8質量%以下であり、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0041】
全組成中における成分(A)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(A)+(C)]は、染色性及び剤安定性を向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.15以上であり、また好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくは0.9以下である。
【0042】
〔アルカリ剤〕
本発明の染毛剤組成物には、更にアルカリ剤を含有させることができる。本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式の場合は、アルカリ剤は第1剤に含有させる。アルカリ剤としては、アンモニア及びその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩、1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン等の炭酸塩等が挙げられる。
【0043】
アルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、全組成物中の含有量は、十分な染毛効果の点から、0.01質量%以上、更には0.05質量%以上、更には0.1質量%以上、更には0.2質量%以上が好ましく、また、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、20質量%以下、更には10質量%以下、更には5質量%以下、更には4質量%以下が好ましい。
【0044】
〔pH調整剤〕
本発明の染毛剤組成物は、所望のpHとするために、pH調整剤として、前記のアルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸等を使用することができる。
【0045】
〔酸化剤〕
本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式の場合には、第2剤は酸化剤を含有する。この場合、染色と脱色が同時に行われ、より鮮やかな染色が得られる。本発明で用いるアゾ染料は、酸化剤に対して極めて安定である。
【0046】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性及び酸化剤自体の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が好ましい。また、過酸化水素と共に、酸化助剤として他の酸化剤を組み合わせて用いることもできる。このうち、過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0047】
酸化剤を用いる場合、酸化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、全組成中の含有量は、十分な染毛効果の点から0.1質量%以上、更には0.5質量%以上、更には1.0質量%以上が好ましく、また、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、12.0質量%以下、更には9.0質量%以下、更には6.0質量%以下が好ましい。
【0048】
過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いる場合には、過酸化水素の含有量が、全組成中の0.5質量%以上10質量%以下であり、過硫酸塩の含有量が全組成中の0.5質量%以上25質量%以下であり、両者の合計含有量が1質量%以上30質量%以下であるのが好ましい。
【0049】
〔水溶性高分子〕
本発明の染毛剤組成物には、使用時のたれ落ち防止、頭皮などへの汚着防止の目的で、水溶性高分子を含有させることができる。水溶性高分子としては、例えばアラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、変性キサンタンガム、ウェランガム、ラボールガム、ジェランガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の1,9-デカジエンによる部分架橋物、ポリエチレングリコール、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト等が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、変性キサンタンガムが好ましい。
【0050】
これらの水溶性高分子は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、全組成中における含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0051】
〔コンディショニング成分〕
本発明の染毛剤組成物は、毛髪への適用に好適なコンディショニング成分を含むことができる。コンディショニング成分は、染毛剤組成物に溶解又は分散可能なポリマー又はオイル類であり、染毛剤組成物を洗い流す際、又は水やシャンプーで希釈された際に毛髪へ付着する。
【0052】
本発明の染毛剤組成物に使用される好適なコンディショニング成分としては、カチオン性ポリマー、シリコーン(例えばシリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、シリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素オイル、ポリオレフィン、脂肪酸エステル)、脂肪族アミド、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0053】
これらコンディショニング成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、またその全組成物中の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0054】
〔有機溶剤〕
本発明の染毛剤組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等の低級アルカノール、ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール等の芳香族アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール、エトキシエタノール、エトキシジグリコール、メトキシエタノール等のエーテルアルコール、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のN-アルキルピロリドン;炭酸プロピレン等の炭酸アルキレン;γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン等のラクトンが挙げられる。
【0055】
これら有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、またその全組成物中の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、また好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0056】
〔媒体〕
本発明の染毛剤組成物には、媒体として水が使用される。染毛剤組成物中の水の含有量は、10質量%以上、更には20質量%以上、更に30質量%以上、更には40質量%以上、更には50質量%以上が好ましく、また、95質量%以下、更には90質量%以下、更には85質量%以下が好ましい。
【0057】
〔その他の任意成分〕
本発明の染毛剤組成物には、上記成分のほかに、通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。
【0058】
このような任意成分の配合目的としては、パール化、防腐、金属封鎖、安定化、酸化防止、紫外線吸収、保湿、製品着色、付香等を挙げることができ、具体的な任意成分としては、動植物油脂、高級脂肪酸、タンパク質加水分解物、タンパク質誘導体、アミノ酸、植物抽出物、ビタミン、色素、香料等が挙げられる。
【0059】
〔剤型〕
本発明の染毛剤組成物は、一剤式、二剤式、又は三剤式の各種染毛剤として使用できる。一剤式染毛剤組成物は、成分(A)を含有する単一の剤からなる。二剤式染毛剤組成物は、成分(A)及びアルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤からなることが好ましい。三剤式染毛剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤と、成分(A)を含有する第3剤からなるか、又は成分(A)及びアルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤と、その他の成分を含有する第3剤からなることが好ましい。上記のその他の成分を含有する第3剤としては脱色力向上のために過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)等の造粒物からなる粉末状酸化剤を用いることが好ましい。
なお、本発明において「全組成物」とは、染毛処理の使用時の組成物全体をいい、上述の二剤式染毛剤にあっては、第1剤と第2剤を混合した後の混合物を意味し、三剤式染毛剤にあっては、第1剤と第2剤と第3剤を混合した後の混合物を意味する。
【0060】
本発明の染毛剤組成物は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状等の形態で用いられるものとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。これらの場合における全組成物の粘度は、毛髪に塗布したときに液だれしにくいように調整することが望ましい。この全組成物の粘度(25℃)は、ヘリカルスタンド付きB型回転粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10、東機産業株式会社)により、ローターT-Cを用いて10rpmで1分間回転させた後の測定値として
、好ましくは2,000〜200,000mPa・s、
より好ましくは4,000〜150,000mPa・s、更に好ましくは6,000〜100,000mPa・s、更に好ましくは8,000〜80,000mPa・sである。なお、二剤式又は三剤式の場合には、各剤の混合後3分経過後に測定するものとする。
【0061】
また、本発明の染毛剤組成物は、毛髪に塗布するときにノンエアゾールのフォーマー容器から吐出させたり、カップ内でシェークして発泡させたりして泡状として使用することもできる。この場合における発泡前の全組成物の粘度も、泡状として毛髪に塗布したときに液だれしにくいように調整することが望ましい。この全組成物の粘度(25℃)は、B型回転粘度計(モデル;デジタル粘度計TV-10、東機産業株式会社)により、ローターNo.1を用いて30rpmで1分間回転させた後の測定値(但し、粘度が160mPa・sを超える場合は、12rpmで1分間回転させた後の測定値)として、好ましくは1〜800mPa・s、より好ましくは1〜600mPa・s、更に好ましくは1〜500mPa・s、更に好ましくは1〜300mPa・sである。なお、二剤式又は三剤式の場合には、各剤の混合後3分経過後に測定するものとする。
【0062】
〔pH〕
本発明の染毛剤組成物のpH(25℃)は、良好な染毛効果と皮膚刺激抑制の点から、使用時(二剤式又は三剤式の場合は混合時)において、7.5以上、好ましくは8以上、より好ましくは8.5以上、更に好ましくは9以上であり、また、12以下、好ましくは11.5以下、より好ましくは11以下である。また、本発明の染毛剤組成物が二剤式染毛剤である場合、第1剤のpH(25℃)は8以上12以下、第2剤のpH(25℃)は2以上5以下が好ましい。なお、本明細書において、染毛剤組成物のpHは、HORIBA社製pHメーターF-22とHORIBA社製pH電極6367-10Dを用いて室温(25℃)で測定した値である。
【0063】
〔染毛剤組成物の製造方法〕
本発明の染毛剤組成物が一剤式の場合、染毛剤組成物の安定性の観点から、成分(B)と成分(C)を混合した後、得られた混合物と成分(A)を混合するか、又は、成分(A)と成分(C)を混合した後、得られた混合物と成分(B)を混合して調製することが好ましい。また、本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式であって第1剤中に成分(A)〜(C)の全てを含有する場合も、当該第1剤は、染毛剤組成物の安定性の観点から、成分(B)と成分(C)を混合した後、得られた混合物と成分(A)を混合するか、又は、成分(A)と成分(C)を混合した後、得られた混合物と成分(B)を混合して調製することが好ましい。
〔染毛方法〕
本発明の染毛剤組成物を用いて染毛処理するには、例えば本発明の染毛剤組成物(二剤式の場合は第1剤と第2剤、三剤式の場合は第1剤と第2剤と第3剤を使用直前に混合した後)を毛髪に適用し、所定時間放置後、洗い流し、乾燥すればよい。本発明の染毛剤組成物は、毛髪質量に対して0.1倍〜10倍量を適用し、毛髪への適用温度は15〜45℃、適用時間は1〜60分間、更には3〜45分間、更には5〜30分間が好ましい。
【0064】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0065】
<1> 次の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、使用時のpH(25℃)が7.5以上12以下である染毛剤組成物。
(A):下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される1種又は2種以上のアゾ染料
【0067】
(B):カチオン界面活性剤
(C):塩酸、炭酸及び硫酸からなる群より選択される酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種 0.1質量%以上
8質量%以下
【0068】
<2> 全組成中における成分(A)の総含有量が、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以、更に好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<1>に記載の染毛剤組成物。
【0069】
<3> 成分(B)が、好ましくは下記一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤である、<1>又は<2>に記載の染毛剤組成物。
【0071】
〔式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、独立に水素原子又は炭化水素基を示し、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち1つ又は2つは炭素数8〜36の炭化水素基であって、かつ残余が水素原子又は炭素数1〜7の炭化水素基である。X
-はアニオンを示す。〕
【0072】
<4> 成分(B)が、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、及び塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムからなる群より選択される1種又は2種以上である、<3>に記載の染毛剤組成物。
【0073】
<5> 全組成中における成分(B)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0074】
<6> 成分(C)が、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸カリウムからなる群より選択される1種又は2種以上である、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0075】
<7> 全組成中における成分(C)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、また、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<1>〜<6>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0076】
<8> 全組成中における成分(A)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(A)+(C)]が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.15以上であり、また好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくは0.9以下である、<1>〜<7>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0077】
<9> 好ましくは、更にアルカリ剤を含有する<1>〜<8>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0078】
<10> 全組成中におけるアルカリ剤の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である、<9>に記載の染毛剤組成物。
【0079】
<11> 二剤式又は三剤式染毛剤であり、好ましくは第2剤に酸化剤を含有する、<1>〜<10>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0080】
<12> 全組成中における酸化剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以下である、<11>に記載の染毛剤組成物。
【0081】
<13> 25℃におけるpHが、使用時において、好ましくは8以上、より好ましくは8.5以上、更に好ましくは9以上であり、また、好ましくは11.5以下、より好ましくは11以下である、<1>〜<12>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0082】
<14> <1>〜<13>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物を毛髪に適用し、1〜60分間放置した後、洗い流す染毛方法。
【実施例】
【0083】
実施例1〜5及び比較例1〜2
表1に示す組成からなる染毛剤組成物(一剤式染毛剤)を下記方法により調製した。得られた染毛剤組成物について、以下の方法によって、配合時の沈殿の有無、染色性、剤すすぎ時の感触の評価を行った。これらの結果を表1に併せて示す。
〔染毛剤組成物の調製方法〕
水に成分(C)を配合し、溶解したのを確認後、成分(B)を添加し、一定時間撹拌を行い、混合液1を調製する。また、別途、水にモノエタノールアミンと成分(A-2)を溶解させた混合液2を調製した。そして混合液1に混合液2を配合し、一定時間撹拌を行うことで染毛剤組成物を得た。
【0084】
〔剤安定性〕
染毛剤組成物の安定性の評価は、第1剤及び第2剤の混合直後に次に示す基準に従って目視により確認した。
3:沈殿物がなく透明である
2:沈殿物はないが白濁している
1:沈殿物が存在する
【0085】
〔染色性〕
染毛剤組成物を中国人白髪1gの毛束に浴比(剤:毛髪)=1:1で塗布し、30℃で20分放置した後、約40℃の水ですすぎ、市販のシャンプーで洗浄、水洗した。次いで、市販のヘアリンスを塗布した後、約40℃の水ですすぎ、タオルで拭き、ドライヤーで乾燥させた。
得られた染毛直後の毛束の色合いを、色差計(コニカミノルタセンシング社製、色彩色差計CR-400)を用いてCIE表色系(L
*,a
*,b
*)で計測し、染色前の色合いとの差を下記式により求めて染色性ΔE
*とした。ΔE
*が大きいほど染色性が優れていることを示す。
【0086】
【数1】
【0087】
〔式中、L
*0、a
*0及びb
*0は、それぞれ染色前の毛束のL
*、a
*及びb
*の値を示し、L
*1、a
*1及びb
*1は、それぞれ染色直後のL
*、a
*及びb
*の値を示す。〕
【0088】
〔剤すすぎ時の感触〕
欧米人毛髪を用いて幅5cm、長さ23cm、重さ8gの毛束を作製した。染毛剤組成物を毛束に浴比(剤:毛髪)=1:1で塗布し、30℃で20分放置した後、約40℃の水中で、すすぐ際の指通り性を、コミングフォース測定機によって測定した。コミングフォース測定機は、毛束をロードセルに繋がるフックに吊し、デンマンブラシ(デンマン社製のデンマンブラシD-3(全長204mm、行数7))を2本用いて挟みこんだ状態で毛束をコミングした
時にロードセルで検出される力を、読み取るもので、指通り性を定量的に評価する手法である(J. Soc. Cosmet. Chem., 37, 111-124 (May/June 1986) 参照)。毛束を10回分コミングした時にロードセルで検出される力の平均値をコミングフォース測定値とした。コミングフォース(g)が小さいほど、剤すすぎ時の感触に優れることを示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示すとおり、実施例1〜5の染毛剤組成物は、剤安定性、染色性、剤すすぎ時の感触の全てに優れているのに対して、比較例1は、実施例1〜5に比べて剤すすぎ時の感触の点で劣っており、比較例2は、実施例1〜5に比べて剤安定性、染色性、剤すすぎ時の感触の全ての点で劣っていた。
【0091】
実施例6〜10及び比較例3〜4
表2に示す組成からなる染毛剤組成物(二剤式染毛剤)の第1剤と第2剤とを下記方法により調製した。第1剤は、表1に示す一剤式染毛剤と同じものである。表2に示す第1剤と第2剤とを1:1で混合した染毛剤組成物を用いて、上記と同様に、染色性、剤すすぎ時の感触の評価を行った。評価結果を表2に併せて示す。
〔第1剤の調製方法〕
水に成分(C)を配合し、溶解したのを確認後、成分(B)を添加し、一定時間撹拌を行い、混合液1を調製した。また、別途、水にモノエタノールアミンと成分(A-2)を溶解させた混合液2を調製した。そして、混合液1に混合液2を配合し、一定時間撹拌を行うことで第1剤を得た。
〔第2剤の調製方法〕
水に過酸化水素及びエチドロン酸を配合し、一定時間撹拌を行うことで第2剤を得た。
【0092】
【表2】
【0093】
表1の第1剤としての安定性の評価結果、及び表2の評価結果より、実施例6〜10の染毛剤組成物は、染色性、剤すすぎ時の感触の全てに優れているのに対して、比較例3は、実施例6〜10に比べて剤すすぎ時の感触の点で劣っており、比較例4は、実施例6〜10に比べて染色性の点で劣っていた。
【0094】
実施例11及び比較例5
表3に示す組成からなる染毛剤組成物(一剤式染毛剤)を下記方法により調製した。得られた染毛剤組成物について、上記と同様に、剤安定性、染色性、剤すすぎ時の感触の評価を行った。評価結果を表3に併せて示す。
〔染毛剤組成物の調製方法〕
水に塩化アンモニウムと成分(C)を配合し、溶解したのを確認後、成分(B)を添加し、一定時間撹拌を行い、混合液1を調製した。また、別途、水にアンモニアと成分(A-1)〜(A-3)を溶解させた混合液2を調製した。そして、混合液1に混合液2を配合し、一定時間撹拌を行うことで、染毛剤組成物を得た。
【0095】
【表3】
【0096】
表3に示すとおり、実施例11の染毛剤組成物は、剤安定性、染色性、剤すすぎ時の感触全てに優れているのに対して、比較例5は、実施例11に比べて剤安定性、染色性、剤すすぎ時の感触の全ての点で劣っていた。
【0097】
実施例12〜17
表4に示す組成からなる染毛剤組成物(一剤式染毛剤)を下記方法より調製した。得られた染毛剤組成物について、染色性と配合時の沈殿の有無の評価を行った。評価結果を表4に併せて示す。
〔染毛剤組成物の調製方法〕
水に塩化アンモニウム、アルキルグルコシド及び成分(C)を配合し、溶解したのを確認後、成分(B)を添加し、一定時間撹拌を行い、混合液1を調製した。また、別途、水にアンモニアと成分(A-2)を溶解させた混合液2を調製した。そして、混合液1に混合液2を配合し、一定時間撹拌を行うことで染毛剤組成物を得た。
【0098】
【表4】
【0099】
*1:花王社製 コータミン60W
*2:花王社製 コータミン24P
*3:花王社製 マイドール10