(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403452
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】回折イメージング
(51)【国際特許分類】
G01N 23/205 20180101AFI20181001BHJP
【FI】
G01N23/205
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-129874(P2014-129874)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-11031(P2015-11031A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】13173816.3
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503310327
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】デットレフ ベッカーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミレン ガテスキ
【審査官】
越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0268251(US,A1)
【文献】
特開2008−111836(JP,A)
【文献】
特開2006−292551(JP,A)
【文献】
特開2006−250646(JP,A)
【文献】
特開2007−240510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の結晶性の構成成分の複数の微結晶を有する不均質の多結晶性の試料をイメージングする方法であって、
実質的に単色のX線を用いて、入射X線ビームのフォーカスから試料の表面にわたって延びる照明されるエリアを照明することであって、前記実質的に単色のX線は前記試料の表面へ第一の角度θ1で入射する、照明すること、
前記試料によって第二の角度θ2で回折させられたX線をピンホール装置を介して通すこと
を含む、方法において、
回折の角度θ1+θ2は、前記第一の結晶性の構成成分についてのブラッグの条件を充足すると共に、
前記ピンホール装置は、パラフォーカスの条件によって決定された位置に位置させられると共に、
前記X線は、前記ピンホール装置を介して、前記ピンホール装置から離間された検出器へと通り、
前記ピンホール装置は、前記試料の表面における前記第一の結晶性の構成成分の二次元のイメージを前記検出器上に提供する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
入射する前記X線は、入射X線ビームのフォーカスから前記照明されるエリアに入射すると共に、
前記ピンホール装置は、前記試料の表面の前記照明されるエリアから前記入射X線ビームのフォーカスまでの距離と実質的に同じ距離に位置させられる、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記不均質の多結晶性の試料の第二の結晶性の構成成分に対応するように前記回折の角度θ1+θ2を変化させ、前記試料の表面における前記第二の結晶性の構成成分の二次元のイメージを提供すること
を含む、方法。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の方法において、
前記検出器は、二次元の検出器である、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記二次元の検出器は、前記試料の表面に対して平行に配向させられる、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記試料及び前記検出器は、イメージングの間に前記検出器に対して平行に前記試料の表面を保つために並行して揺らされる、方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の方法において、
ピンホール及び前記検出器は、θ2が80°から100°まで、好ましくは85°から95°まで、であるように、配向させられる、方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の方法において、
θ1は、5°から70°までの範囲にある、方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記照明されるエリアを定義するために前記試料の入射の側でマスクにおける穴又はスリットを通じて前記試料に入射する前記単色のX線を通すこと
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記照明されるエリアにわたって前記第一の角度θ1の軸方向の発散を制御するためにソーラースリットを通じて前記単色のX線を通すこと
を含む、方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法において、
前記第一の角度θ1の軸方向の発散及び前記ピンホール装置は、前記試料の表面の前記照明されるエリアにわたるどこにでも前記第一の結晶性の構成成分についての上記のブラッグの条件について隣接するブラッグのピーク間の前記ブラッグの条件が充足されないように、前記試料の前記照明されるエリアにわたる前記回折の角度θ1+θ2の変動が十分に小さいものであるように、選択される、方法。
【請求項12】
請求項1から8までのいずれかに記載の方法であって、さらに、
多層のアルファ−1モノクロメーター又はX線レンズで前記試料を照明すること
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれかに記載の方法において、
前記第一の角度θ1の軸方向の発散及び前記ピンホール装置は、前記第一の結晶性の構成成分についての前記ブラッグの条件が前記試料の表面の前記照明されるエリアにわたって充足されるように、前記試料の照明されるエリアにわたる前記回折の角度θ1+θ2の変動が十分に大きいものであるように、選択される、方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれかに記載の方法であって、さらに、
θ1、θ2、又はそれら両方を変動させることによって前記回折の角度θ1+θ2を変動させること
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれかに記載の方法であって、さらに、
空間的な分解能及びスリットを通る強度を選択するために前記ピンホール装置のピンホールサイズを調節すること
を含む、方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれかに記載の方法であって、
前記試料の表面におけるある一定の相の前記微結晶の配向を調査するために、異なる入射X線ビームの角度θ1を備えた、同じブラッグの反射θ1+θ2について数個のイメージングのステップを行うこと
を含む、方法。
【請求項17】
方法であって、
X線で試料を照明すること、
少なくとも一つの適切な回折の角度θ1+θ2を検出するためのポイント検出器として検出器を使用すること、及び、
実質的に単色のX線を用いて入射X線ビームのフォーカスから試料の表面にわたって延びる照明されるエリアを照明することであって、前記実質的に単色のX線は前記試料の表面へ第一の角度θ1で入射する、照明すること、
前記試料によって第二の角度θ2で回折させられたX線をピンホール装置を介して通すこと
を含む方法において、
回折の角度θ1+θ2は、第一の結晶性の構成成分についてのブラッグの条件を充足すると共に、
前記ピンホール装置は、パラフォーカスの条件によって決定された位置に位置させられると共に、
前記X線は、前記ピンホール装置を介して、前記ピンホール装置から離間された検出器へと通り、
前記ピンホール装置は、前記試料の表面における前記第一の結晶性の構成成分の二次元のイメージを前記検出器上に提供する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、X線による試料における相のイメージングに関係する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの分野において、一つの又はより多い材料の小さい結晶又は微結晶を備えた多結晶性の試料における相の分布をイメージングすることは、有用なことである。
【0003】
使用されてきた一つのアプローチは、X線の蛍光を使用することである。イメージングの検出器は、試料にわたってX線の蛍光のイメージを築き上げるために使用されると共に、よって、特定の要素又は相の場所をイメージングすることがある。しかしながら、このアプローチは、必ずしも全ての事例において適切ではないものであると共に、特に、X線の蛍光は、関心が持たれた具体的な結晶又は結晶の相ではない要素を区別するだけである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の第一の態様に従って、提供されるものは、請求項1に従った試料を調製する方法である。
【0005】
ブラッグ(Bragg)の条件におけるイメージングによって、試料における特定の構成成分の相の場所をイメージングすることは、可能性のあることである。
【0006】
入射するX線は、入射するビームのフォーカスから照明されるエリアに入射することがあると共に、ピンホールの配置は、反射させられたX線のフォーカシングの距離に位置させられることがある。対称的な条件(θ
1=θ
2)のために、これは、入射するビームのフォーカスと試料の表面の照明されるエリアから実質的に同じ距離である。
【0007】
このようにビームは、入射するビームのフォーカスからわずかに発散する角度で試料の照明されるエリアに入射すると共に、高度にコリメートされないものである。入射するビームのフォーカスは、X線の源又は代わりにスリット又はポイントの管のフォーカスであることがある。スリット、マスク、他のX線の光学部品、又は例えば、ソーラー(Soller)スリットによる追加的なコリメーションは、可能性のあることである。
【0008】
X線を使用することで多結晶性の試料をイメージングすることに対する先行のアプローチは、X線の回折ではない、X線の蛍光を使用してきたものである。しかしながら、X−線の蛍光の適用は、蛍光性の材料に限定される。X線の回折がイメージングに使用されてきたところでは、それは、ほとんど完璧な単一の結晶における欠陥をイメージングするために使用されてきた。そのようなイメージングは、結晶における欠陥を可視化するために高度にコリメートされた入射するビーム又はコリメートされた入射するビームと同じ効果を達成するための入射するビームの側におけるピンホールのいずれかを使用する。追加として、それは、試料における十分に大きい照明されるエリアを得るために、典型的には、低い入射するビームの角度で行われる。
【0009】
対照的に、本発明は、試料の拡張されたエリアを照明する。不可避的に、これは、照明されるエリアにわたって同一ではない入射するビームの角度及びビームの方向に帰着する。
【0010】
発明者は、回折の角度が入射するビーム及び回折させられたビームの角度θ
1+θ
2の和によって与えられるという理由のために、ピンホールの配置が、反射させられたビームのフォーカシングの位置に置かれるとき、単一の回折の条件、即ち、ブラッグのピーク、が、その領域のイメージングを実行するためには十分に大きい試料の領域にわたって維持されることがあることを実現してきた。θ
1又はθ
2における小さい変動は、いずれかが、ブラッグのピーク内にあるままであるためには、十分に小さいものである。また、θ
1が中央におけるものと比べてより高いものである試料の照明されるエリアの一つのエッジで、θ
2は、いくらかの補償を許容する、中央におけるものと比べてより低いものであることがある−回折の角度θ
1+θ
2は、ブラッグの条件が、照明されるエリアにわたって十分な確度まで満たされることがあることを意味する。
【0011】
シャープなイメージは、反射させられたX線のフォーカシングの条件に位置決めされた小さいピンホールを使用することで達成されることができる。これは、蛍光の信号がイメージングされるとき、要求されないものである。そのような蛍光性の放射は、ほとんど均質に散乱させられると共に、そのように、ピンホールは、どこにでも置かれることができる。このように、イメージは、試料の表面に対して垂直なピンホール及び検出器を置くことによって単純に得られることができる。
【0012】
XRDについて、他方では、ブラッグの条件を充足することの必要性があると共に、そのように、θ
1+θ
2は、調査の下での具体的な相について正しいものでなければならないと共に、ピンホールは、フォーカシングの円にあるべきものである。
【0013】
方法は、第二の結晶性の構成成分に対応するために回折の角度θ
1+θ
2を変化させることによって多重の構成成分の相をイメージングするために使用されることがある。
【0014】
検出器は、二次元の検出器であることがある。代わりに、一次元の検出器又はポイント検出器は、検出器が、二次元のイメージを築き上げるための異なる場所及び/又は配向へ移動させられることができるとすれば、使用されることがある。
【0015】
歪曲を最小にするために、二次元の検出器は、試料の表面に対して平行に配向させられあることがある。これが、従来のX線の回折の測定において、試料の表面ではなく、典型的には回折させられたX線に対して垂直に配向させられる二次元の検出器の平常の配向ではないものであることに留意すること。
【0016】
試料及び検出器は、イメージングの方法の間に検出器に対して平行な試料の表面を保つために、並行して揺らされることがある。これは、粒子の統計を改善すると共に、よって、イメージングを改善することができる。
【0017】
代わりに、ピンホールの配置及び検出器は、θ
2が、イメージの歪曲を除去するために、90°、例えば80°から100°まで、好ましくは85°から95°まで、に近いものであるように、配向させられることがある。この事例においては、入射するビームは、ブラッグの条件を達成するために、例えば、5°から75°までの範囲で、θ
1を調節するために調節されることがある。適切な範囲における回折の角度θ
1+θ
2を達成するためには、それに応じてX線管の特徴的な波長を選ぶことは、また可能性のあることである。
【0018】
便利のために、他の角度は、また使用されることがある。
【0019】
方法は、さらに、照明されるエリアを定義するために試料の入射する側でマスクを通じて試料に入射する単色のX線を通すことを具備することがある。軸方向の発散を制御するために、単色のX線は、また、ソーラースリットを通されることがある。
【0020】
第一の角度θ
1の軸方向の発散及びピンホールのサイズは、第一の結晶性の構成成分についてのブラッグの条件が、試料の表面の照明されるエリアにわたって充足されるように、試料の照明されるエリアにわたって回折の角度θ
1+θ
2の変動が十分に大きいものであるように、選択されることがある。
【0021】
しかしながら、第一の角度θ
1の軸方向の発散及びピンホールのサイズは、ブラッグの条件が、試料の表面の照明されるエリアにわたってどこにでも第一の結晶性の構成成分についての上記のブラッグの条件についてブラッグのピークにブラッグのピークを隣接させるために充足されるものではないように、試料の照明されるエリアにわたる回折の角度θ
1+θ
2の変動が十分に小さいものであるように、選択されることがある。
【0022】
短いスキャンは、θ
1、θ
2又はそれら両方を変動させることによって回折の角度θ
1+θ
2を変動させるために、実行されることがある。これは、試料のエッジにおける回折の強度を改善すると共に粒子の統計を改善することができる。
【0023】
便利に、ピンホールの配置は、単純なものである、現実のピンホールである。しかしながら、二次的なモノクロメーターに存在することがあるようなコリメーティングデバイスの組み合わせは、代わりに使用されることがあるが、その事例において分解能は、モノクロメーターにおける結晶の反射の“ロッキング曲線の幅”によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、発明に従った方法において使用された装置の概略的な図面を示す。
【
図2】
図2は、異なる方向からの
図1の装置の光学的な配置の透視図を示す。
【
図3】
図3は、発明の実施形態の方法を使用することで記録された様々な試料のイメージを示す。
【
図4】
図4は、発明の実施形態の方法を使用することで記録された様々な試料のイメージを示す。
【
図5】
図5は、発明の実施形態の方法を使用することで記録された様々な試料のイメージを示す。
【
図6】
図6は、発明の実施形態の方法を使用することで記録された様々な試料のイメージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の実施形態は、添付する図面への参照と共に、純粋に例の方式によって、今記載されることになるが、それらにおいて、
図1は、発明に従った方法において使用された装置の概略的な図面を示す、
図2は、異なる方向からの
図1の装置の光学的な配置の透視図を示すと共に、
図3から6までは、発明の実施形態の方法を使用することで記録された様々な試料のイメージを示す。
【0026】
図は、概略的なものであると共に、一定の縮尺のものではない。
【0027】
図1を参照することで、一般的なセットアップの高度に概略的な表現は、管のフォーカス4を備えた管2、ピンホール12、及び検出器14を含む。試料の表面8を備えた多結晶性の試料6は、試料のマウント10に搭載される。
【0028】
X線は、管から現れると共に、試料の表面の照明されるエリア20にわたって入射する。X線は、そこで回折させられると共に、パラフォーカシングの条件に対応する距離にあるピンホール12に入射する。これは、
図1におけるフォーカシングラインによって表現される。対称的な反射θ
1=θ
2について、ピンホールは、実質的に、管のフォーカスと試料から同じ距離にある。
【0029】
X線は、入射する角度θ
1で入射すると共に、表面から回折の角度θ
2で回折させられると共に、この実施形態において直接的に試料の表面Sをイメージングすることができる二次元の検出器である検出器14へとピンホール12を通る。
【0030】
回折の角度は、θ
1+θ
2である。この回折の角度は、多結晶性の試料の特定の構成成分、即ち、特定の相、についてのブラッグの条件を満たすように選ばれる。このように、その構成成分だけは、イメージングされることになる。
【0031】
照明のX線は、実質的に単色であると共に、入射するX線管の単一のラインは、使用されることがある。
【0032】
ピンホール12が、管のフォーカス4と試料の表面8まで同じ距離にある条件が、対称的な条件θ
1=θ
2だけに当てはまることに留意すること。
【0033】
この条件が当てはまらないところで、試料の表面8までの管のフォーカス4の距離t及び試料の表面8までのピンホール12の距離rを備えた、後に続く等式
tsinθ
2=rsinθ
1
(ブラッグ−ブレンターノ(Brentano)のパラフォーカシングの幾何学的配置)は、当てはまる。
【0034】
この事例において、ピンホールの場所は、それに応じて、ブラッグ−ブレンターノのパラフォーカスの幾何学的配置によって決定された位置、すなわち、一定の回折の角度θ
1+θ
2を有するために回折させられたX線がそれを通る位置、にある。与えられたθ
1について、第一の次数までビームがあるポイントを通る、上の等式によって与えられた距離における各々のθ
2についての位置がある。この位置は、パラフォーカスの位置である。もちろん、本発明において、ピンホールの配置は、このポイントに位置させられた及びピンホールの配置の背後に位置させられた検出器に試料の表面の二次元のイメージを提供するために使用されるのに対して、従来のブラッグ−ブレンターノの幾何学的配置においては、単一の検出器(又は検出器への入り口)は、パラフォーカスの条件によって決定された場所に位置させられる。
【0035】
図2は、透視図における幾何学的配置を図解する。
【0036】
ある数の具体的なアプローチは、試料を照明するために使用されることができる。
【0037】
第一のアプローチにおいて、管2は、
図1及び2に図解されたような試料の照明されるエリア20を決定するために使用される大きいスリット及びマスク18を備えたラインのフォーカスの配置に使用される。
【0038】
自由選択のソーラースリット22は、フォーカスの位置4及び試料8の間における、入射するビームの側に提供されることがある。このソーラースリットは、フォーカスの位置4からのX線の角度を限定することによって、試料の表面8でビームの発散を制御するために使用される。
【0039】
ピンホールの位置が、ピークの位置を決定すると共に、ピンホールのサイズが、一つのピークだけ又は多重のピークがそれを通り抜けるかどうかということ、換言すると、より小さいピンホールがより良好な分解能を与えること、を決定することに留意すること。ピークの幅と一緒に、ソーラースリットによって制御されることがある、X線の軸方向の発散は、どの程度良好に試料のエッジがイメージングされることができるかということを決定する。
【0040】
イメージングのために選択されたブラッグの回折のピークは、他の相のピークと部分的に重なり合はないものであるべきである。
【0041】
代わりのアプローチにおいて、管の前方にアパーチャを備えたポイントのフォーカスは、使用されることがある。
【0042】
この装置及び方法を使用することで得られたイメージは、
図3から6までに提示される。
【0043】
図3は、ラインのフォーカスを使用することで作られた印刷回路板のイメージであると共に、
図4は、ポイントのフォーカスを使用する同じ板のイメージである。この事例においてラインのフォーカスがより良好なイメージングを与えることに留意すること。
【0044】
図5は、ケイ素上の金の層のイメージである(ケイ素チップのパッド)。
【0045】
図6は、ラインのフォーカスを使用することでイメージングされた隕石の断面のイメージである。この事例において材料が蛍光性のものであると共に、そのように、上に重なるXRFの信号がまた見られることに留意すること。
【0046】
個々の微結晶の場所の良好なイメージングが見られることがあることに留意すること。
【0047】
正常な回折のイメージングについて、検出器の表面は、径の方向に対して垂直なものである。しかしながら、イメージングの歪曲を最小にするために、検出器の表面(検出器14のイメージングの平面)が、試料の表面8の平面に対して平行なものであることは、好適にされたことである。
【0048】
検出器14のイメージングの平面が、試料の表面8の平面に対して平行なものではない事例においては、そのとき、幾何学的な補正は、試料の表面に対して平行な平面へと検出器によって取得されたイメージを投射することによって、適用されることがある。そのような投射は、ソフトウェアにおいて実行されることがある。
【0049】
この具体的な事例における粒子の統計を改善するために、試料の表面8及び検出器の表面は、並行して揺らされることがある、即ち、試料の配向の角度は、両方のものが変動させられる際に、検出器の表面に対して平行なままである。
【0050】
ピンホールのサイズは、合理的な長さの時間にイメージングするための十分なX線についての必要性を念頭に置くことで検出器の達成可能な分解能に調和するように選択されることがある。試料の表面における達成可能な空間的な分解能は、ピンホールのサイズ、検出器のピクセルのサイズ、表面に対して相対的な検出器の配向、ビームの角度θ
2及び軸方向の発散に依存する。(短い範囲にわたる)θ
1、θ
2、又はそれら両方のものにおけるスキャンは、イメージの蓄積によって試料のエッジから回折の強度を改善するために及び粒子の統計を改善するために実行されることがある。
【0051】
発明は、試料の表面にわたる異なる結晶の相の場所の測定を許容する。
【0052】
イメージの倍率は、ピンホールまでの検出器の距離を変化させることによって単純に非常に簡単に変化させられることができる。
【0053】
ピンホールのサイズは、空間的な分解能及びイメージの強度の間におけるトレードオフを達成するために調節されることがある。大きいピンホールは、より高いイメージの強度、及び、よって、より低い測定の時間を達成する、より多いX線を通すが、しかしより低い空間的な分解能を達成する。
【0054】
専用のマイクロスポット光学部品は、要求されないものであると共に、ピンホール及びラインの源のフォーカスのような、使用された構成部品は、容易に利用可能なものである。さらに、試料の動きは、要求されないものである。入射するビームは、高度にコリメートされることを必要としないものであると共に、モノクロメーターは、要求されないものである−X線の源のラインの幅は、普通は十分なものである。これらの理由のために、方法は、非常に高い質の設備の出費無しにイメージングを許容する。
【0055】
多重のイメージ、異なる相の各々のイメージ、は、得られることがある。要求されるとすれば、これらは、イメージプロセッシングによって組み合わせられることができる。
【0056】
アプローチがピンホールを通じた回折の角度での反射についての十分な確率を達成するために相対的に小さい微結晶を要求することに留意すること。この効果は、例えば、より上に議論されたような、統計を改善するためにスキャンすること又は揺らすことによって低減させられることができる。
【0057】
しかしながら、試料が、ピンホールを通じたビームの反射を許容するある一定の好適にされた配向を備えたより大きい微結晶を含有するとすれば、異なる入射するビームの角度θ
1を備えた(一定のθ
1+θ
2での)その特定の相のイメージングは、試料の表面におけるこれらの微結晶の配向を調査することを許容する(微結晶の配向のイメージング)。
【0058】
代わりの実施形態において、受容するスリットを備えた1Dの検出器は、使用されることができると共に、第二の寸法は、試料の回転によって築き上げられることができる。
【0059】
別の代わりのものは、ピンホールの使用を保つことであると共に、イメージを築き上げるために1Dの検出器を回転することである。
【0060】
ピンホール12は、スリットを備えた二次的なモノクロメーターのような、コリメートする光学部品の他の組み合わせによって交換させられることがあると共に、この事例における空間的な分解能は、スリットのサイズ及び結晶の反射のロッキング曲線の幅によって決定される。この事例において、ピンホールの配置は、真のピンホールではないが、しかし同じ効果を備えた何かのもの、即ち、限定されたサイズの入り口の窓、である。
【0061】
適切な回折の角度θ
1+θ
2を識別するために、装置は、ポイント検出器として、即ち、有用な信号を生じさせる回折の角度を識別するためにイメージを得ること無しに、検出器を使用することで最初に使用されることができる。そのとき、二次元のイメージは、識別される単数の又は複数の回折の角度についてより上に述べられたような方法を使用することで、得られることがある。