特許第6403455号(P6403455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6403455航空機翼組立体の船外翼ボックスと翼中央部分との間の上方接合部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403455
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】航空機翼組立体の船外翼ボックスと翼中央部分との間の上方接合部
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/26 20060101AFI20181001BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B64C3/26
   B64C1/00 B
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-132532(P2014-132532)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-40040(P2015-40040A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】13/975,158
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・ダニエル・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ハマダ
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0051851(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0089292(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0018710(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0147521(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0170987(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0132748(US,A1)
【文献】 特開2013−035538(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0075526(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0230538(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/26
B64C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船外翼ボックス(20、22)の船外上方翼パネル(24)と、
翼中央部分(18)の中央上方翼パネル(28)と、
前記船外翼ボックスと前記翼中央部分との間に配置されているリブ(32)と、
前記船外上方翼パネル、前記中央上方翼パネル、および前記リブを作動可能に相互連結する上方接合部組立体(38)と
を備える航空機の翼組立体用の上方接合部であって、
前記上方接合部組立体が、前記船外翼ボックスと前記翼中央部分との間の対合平面(48)を画定し、
前記上方接合部が圧縮状態にある場合、前記船外上方翼パネルが、前記上方接合部組立体の方へ圧縮内側圧力を表し、
前記上方接合部が圧縮状態にある場合、前記中央上方翼パネルが、前記上方接合部組立体の方へ圧縮外側圧力を表し、
前記対合平面(48)で前記圧縮内側圧力(50)の重心(54)に一致し、または実質的に一致するように前記圧縮外側圧力(52)の重心(56)を向けるように、前記上方接合部組立体(38)が構成されている、上方接合部。
【請求項2】
前記上方接合部組立体(38)が、
前記船外上方翼パネル(24)に作動可能に結合されている船外フランジ(60)と、
前記中央上方翼パネル(28)に作動可能に結合されている船内フランジ(62)と、
前記リブ(32)に作動可能に結合されている下方フランジ(64)と、
前記船外上方翼パネルと前記下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船外圧縮取付具(66)と、
前記中央上方翼パネルと前記下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船内圧縮取付具(68)と
を備える、請求項1に記載の上方接合部。
【請求項3】
前記上方接合部組立体(38)が、
前記船外フランジ(60)および前記船内フランジ(62)を画定する継目板(70)と、
前記継目板に作動可能に結合されており、前記下方フランジ(64)を画定する下方T取付具(72)と
を備える、請求項2に記載の上方接合部。
【請求項4】
前記船外上方翼パネル(24)が、第1の材料から実質的に構成され、
前記中央上方翼パネル(28)が、前記第1の材料とは異なる第2の材料から実質的に構成され、
前記継目板(70)および前記下方T取付具(72)が、前記第1の材料および前記第2の材料とは異なる第3の材料から実質的に構成される、請求項3に記載の上方接合部。
【請求項5】
前記第1の材料が、繊維強化複合材料であり、前記第2の材料が、アルミニウム合金であり、前記第3の材料がチタン合金である、請求項4に記載の上方接合部。
【請求項6】
前記船外上方翼パネル(24)が、船外上方スキン(42)と、前記船外上方スキンに作動可能に結合されている複数の船外上方ストリンガ(40)とを備え、
前記中央上方翼パネル(28)が、中央上方スキン(46)と、前記中央上方スキンに作動可能に結合されている複数の中央上方ストリンガ(44)とを備え、
前記複数の中央上方ストリンガの少なくとも部分集合が、前記上方接合部組立体(38)で、前記複数の船外上方ストリンガの対応する船外上方ストリンガに直接対向しない中央上方ストリンガを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の上方接合部。
【請求項7】
前記船外上方翼パネル(24)が、船外上方スキン(42)と、前記船外上方スキンに作動可能に結合されている複数の船外上方ストリンガ(40)とを備え、
前記中央上方翼パネル(28)が、中央上方スキン(46)と、前記中央上方スキンに作動可能に結合されている複数の中央上方ストリンガ(44)とを備え、
前記上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、前記複数の中央上方ストリンガの1つ置きの中央上方ストリンガだけが、前記上方接合部組立体(38)で、前記複数の船外上方ストリンガの対応する1つの船外上方ストリンガに直接対向する、請求項1から6のいずれか一項に記載の上方接合部。
【請求項8】
前記船外上方翼パネル(24)が、船外上方スキン(42)と、前記船外上方スキンに作動可能に結合されている複数の船外上方ストリンガ(40)とを備え、
前記中央上方翼パネル(28)が、中央上方スキン(46)と、前記中央上方スキンに作動可能に結合されている複数の中央上方ストリンガ(44)とを備え、
前記上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、前記複数の船外上方ストリンガのそれぞれが、前記上方接合部組立体(38)で、前記複数の中央上方ストリンガの対応する1つの中央上方ストリンガに直接対向する、請求項1から7のいずれか一項に記載の上方接合部。
【請求項9】
前記複数の船外上方ストリンガ(40)が、1つまたは複数のブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、および/またはI型ストリンガを備え、前記複数の中央上方ストリンガ(44)が、ハット型ストリンガを備える、請求項8に記載の上方接合部。
【請求項10】
前記船外上方翼パネル(24)が、船外上方スキン(42)と、前記船外上方スキンに作動可能に結合されている複数の船外上方ストリンガ(40)とを備え、
前記中央上方翼パネル(28)が、中央上方スキン(46)と、前記中央上方スキンに作動可能に結合されている複数の中央上方ストリンガ(44)とを備え、
前記上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、前記複数の中央上方ストリンガが、前記複数の船外上方ストリンガの約2倍の数のストリンガから構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の上方接合部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機翼組立体の船外翼ボックスと翼中央部分との間の上方接合部に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的には、航空機の主要な構造上の要素は、アルミニウム合金から構成されてきた。最近になると、多くの航空機製造者は、様々な構造上の要素に対して、強度対重量比が高いので、繊維強化複合材料などの複合材料を使用する。しかし、そのような複合材料に関連する作製工程および製造工程は、費用が安くはない。したがって、航空機がいくつかの構造要素に対してアルミニウム合金を使用し、他の構造要素に対して複合材料を使用することが望ましい。しかし、アルミニウム合金および複合材料は、腐食の観点から、または熱膨張の観点から典型的には互いに一致しない。更に、隣接する航空機部分間に異なる材料を使用することは、1つの部分から他の部分への重大な負荷の伝達を設計する場合に、課題を提示する。
【0003】
本明細書が開示するのは、これらおよび他の考察に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機、翼組立体および翼組立体の上方接合部が、本明細書で開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、航空機用の翼組立体が、左翼ボックス、右翼ボックス、および翼中央部分を含むことができる。左翼ボックスおよび右翼ボックスは、第1の材料から実質的に構成されることができ、翼中央部分は、第1の材料とは異なる第2の材料から実質的に構成されることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、航空機の翼組立体用の上方接合部が、船外翼ボックスの船外上方翼パネルと、翼中央部分の中央上方翼パネルと、船外翼ボックスと翼中央部分との間に配置されているリブと、船外上方翼パネル、中央上方翼パネル、およびリブを作動可能に相互連結する上方接合部組立体とを備えることができる。船外上方翼パネルによって表される圧縮内側圧力の重心は、中央上方翼パネルによって表される圧縮外側圧力の重心に直接一致することができないが、これらの重心が上方接合部組立体によって画定される対合平面に一致し、および/または合致するように、上方接合部がこれらの圧力重心を向け、および/または移動することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、船外上方翼パネルの船外上方ストリンガは、中央上方翼パネルの中央上方ストリンガとは異なって構成されることが可能である。いくつかの実施形態では、中央上方ストリンガの部分集合が、上方接合部組立体で船外上方ストリンガに直接対向することはできない。他の実施形態では、少なくとも実質的に機首尾翼方向の上方接合部の全長に対して、各中央上方ストリンガが、上方接合部組立体で、船外上方ストリンガに直接対向することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、上方接合部組立体が、船外上方翼パネルに作動可能に結合されている船外フランジと、中央上方翼パネルに作動可能に結合されている船内フランジと、リブに作動可能に結合されている下方フランジと、船外上方翼パネルと下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船外圧縮取付具と、中央上方翼パネルと下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船内圧縮取付具とを備える。いくつかの実施形態では、上方接合部組立体が、船外フランジおよび船内フランジを画定する継目板と、継目板に作動可能に結合されており、下方フランジを画定する下方T取付具とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】航空機の斜視図である。
図2】本発明の開示による翼組立体を表す概略図である。
図3】本発明の開示による上方接合部を側面図で表す概略図である。
図4】本発明の開示による上方接合部に関連する補剛上方翼パネルを端面図で表す概略図である。
図5】本発明の開示による上方接合部の例示的な限定しない実施例を底面図で表す概略図である。
図6】本発明の開示による上方接合部の例示的な限定しない実施例を底面図で表す概略図である。
図7】本発明の開示による上方接合部組立体の例示的な限定しない実施例を含む、上方接合部を側面図で表す概略図である。
図8】本発明の開示による上方接合部の例示的な限定しない実施例の部分等角底面図である。
図9図8の上方接合部の部分底面図である。
図10図8の上方接合部の部分側面図である。
図11図8の上方接合部の部分横断面図である。
図12】本発明の開示による上方接合部の例示的な限定しない別の実施例の部分等角底面図である。
図13図12の上方接合部の部分底面図である。
図14図12の上方接合部の部分側面図である。
図15図12の上方接合部の部分横断面図である。
図16】本発明の開示による上方接合部の例示的な限定しない別の実施例の部分等角底面図である。
図17図16の上方接合部の部分底面図である。
図18図16の上方接合部の部分側面図である。
図19図16の上方接合部の部分横断面図である。
図20】本発明の開示による上方接合部の例示的な限定しない別の実施例の部分等角底面図である。
図21図20の上方接合部の部分底面図である。
図22図20の上方接合部の部分側面図である。
図23図20の上方接合部の部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、航空機の船外翼ボックスと翼中央部分との間の上方接合部に関する。図1から分かるように、典型的な航空機10は、胴体11、および胴体に作動可能に結合されており、飛行中胴体を効果的に担持する翼組立体12を含む。典型的な翼組立体は、左翼14と、右翼16と、左翼および右翼を相互連結する翼中央部分18とを含む。左翼および右翼は、追加的に、または代替的に、船外翼部分と説明され、または呼ばれることができる。翼中央部分は、翼組立体を胴体に作動可能に結合する翼組立体の構造体として説明され得る。ある航空機の中で、翼中央部分は胴体を通って延在すると説明され得る。ある航空機の中で、翼中央部分は胴体の下に延在すると説明され得る。やはり別の航空機では、翼中央部分は胴体の頂部で胴体を通って延在すると説明可能であり、および/または胴体の上方に延在すると説明可能である。
【0011】
図1にやや概略的に図示するように、左翼14は左翼ボックス20を含むと説明可能であり、右翼16は右翼ボックス22を含むと説明可能である。翼ボックスは、一般的に翼の構造要素と呼ばれる。図2は、翼組立体12を側面から概略的に図示し、各翼ボックスが、少なくとも船外上方翼パネル24と、船外下方翼パネル26を含むことが分かる。本明細書で使用する場合、相対的な用語「船外」および「船内」は、翼中央部分18に対する位置および/または方向を示す。したがって、左翼ボックスおよび右翼ボックスは、それぞれ船外翼ボックスと説明することができる。船外上方翼パネルおよび船外下方翼パネルは、一般的に翼組立体の上方エーロフォイル面および下方エーロフォイル面を画定し、典型的には翼ボックスの内側上にあり、パネルに剛性をもたらすストリンガなどの補剛材を含む。船外翼部分は、翼の前縁を画定する前部翼桁(front spar)、および翼の後縁を画定する後部翼桁(rear spar)、ならびに離隔配置され、上方パネル、下方パネル、前部翼桁および後部翼桁を相互連結するリブなど、追加の構造要素も含む。
【0012】
図2に概略的に図示するように、翼中央部分18は、中央上方翼パネル28および中央下方翼パネル30を含む。1対のリブ32が船外翼ボックスと翼中央部分との間の境界面を画定し、またはそうではない場合は、船外翼ボックスを翼中央部分から分離する。船外下方翼パネル26と、中央下方翼パネル30と、リブ32との間の接合部は、図2に概略的に図示するように下方接合部34として説明され得る。同様に、船外上方翼パネル24と、中央上方翼パネル28と、リブ32との間の接合部は、上方接合部36として説明され得る。図2に概略的に図示するように、船外翼ボックスは、典型的には翼中央部分から上反角で延在する。航空機が地上にある場合、翼の重量が一般的に上方接合部36を引張状態に置き、下方接合部34を圧縮状態に置く。しかし、航空機が離陸している場合、翼は航空機に揚力を提供し、翼に対する胴体の重量が重要である。したがって、飛行中、上方接合部は圧縮状態にあり、下方接合部は引張状態にある。これらの圧縮力および引張力が、これらの接合部に対する主要な負荷であり、したがって、これらの接合部の統合性が重要である。
【0013】
翼組立体12のいくつかの実施形態では、船外翼ボックス20、22は第1の材料から実質的に構成され、一方、翼中央部分18は、第1の材料とは異なる第2の材料から実質的に構成され得る。ある材料から「実質的に構成される」というのは、取付具に関連する構成、塗料または他のコーティングの存在などは除いて、少なくとも翼ボックスまたは翼中央部分の上方パネルおよび下方パネルがそのような材料から構成されるという意味である。しかし、典型的には、やはり関連する締め金具、塗料などは除いて、補剛材、リブ、翼桁などの他の構造要素もまたそのような材料から構成されるであろう。
【0014】
いくつかの実施形態では、船外翼ボックス20、22および翼中央部分18の構成のために選択される材料はそれらの熱膨張特性が異なる。例えば、いくつかの実施形態では、船外翼ボックスは、第1の熱膨張係数を有する第1の材料から実質的に構成されることができ、翼中央部分は、第1の熱膨張係数よりも大きい第2の熱膨張係数を有する第2の材料から実質的に構成されることができる。いくつかの実施形態では、第1の材料の熱膨張係数は、第2の材料の熱膨張係数の4倍、8倍、10倍も、または10倍を超える程度の熱膨張係数である。
【0015】
追加的に、または代替的に、船外翼ボックスおよび翼中央部分の構成のために選択された材料は、そのガルバニック特性、または電気陰性度特性において異なる場合がある。例えば、船外翼ボックスは、翼中央部分が実質的に構成される第2の材料に対して、ガルバニック基準の陰極端部に向かう第1の材料から実質的に構成される。追加的に、または代替的に、第1の材料は、第2の材料よりも電気陰性度がより高い場合がある。追加的に、または代替的に、第1の材料および第2の材料は、ガルバニックについて相容れない。すなわちいくつかの実施形態の中で、典型的ガルバニック基準で第1の材料と第2の材料との相違は、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、または0.4ボルトよりも大きい場合がある。
【0016】
例示的な、限定しない実施例として、船外翼ボックスは、カーボン繊維強化ポリマー(CFRP)材料など、繊維強化複合材料から実質的に構成されることができ、翼中央部分は、(限定しないが)2000系アルミニウム合金、および/または7000系アルミニウム合金を含む、1つまたは複数のアルミニウム合金など、金属から実質的に構成され得る。繊維強化複合材料は、追加的に、または代替的に、繊維強化ポリマーまたはプラスチックと記載し、または呼ぶことができる。本明細書で使用する場合、繊維強化複合材料は、少なくともエポキシまたは他のポリマー、または(限定しないが)カーボン繊維、ボロン繊維、パラアラミド(例えば、Kevlar(登録商標))繊維、および/または他の繊維などの繊維と一体に接合する材料を含むと理解すべきである。
【0017】
図2に概略的に示すように、翼組立体12の上方接合部36は、船外上方翼パネル24、中央上方翼パネル28、およびリブ32と共に上方接合部を画定する上方接合部組立体、または上方接合部構造体38を含むことができる。本明細書で使用する場合、上方接合部組立体38は、船外上方翼パネル24、中央上方翼パネル28、およびリブ32とは異なる構造体、または構造組立体を指すが、その構造体、または構造組立体は、船外上方翼パネル、中央上方翼パネルおよびリブを作動可能に相互連結して、翼組立体12の上方接合部36を集合的に画定する。
【0018】
船外上方翼パネル24および中央上方翼パネル28が、本明細書で考察するように、異なる熱膨張特性および/または異なるガルバニック特性を有する材料などの異なる材料から任意選択で構成される翼組立体12の実施形態では、上方接合部組立体38が、船外上方翼パネルおよび中央上方翼パネルが構成される材料とは異なる第3の材料から実質的に構成されることが望ましい場合がある。そのようないくつかの実施形態では、上方接合部組立体が構成されるこの第3の材料は、船外上方翼パネルが構成される材料の熱膨張係数よりも大きいが、中央上方翼パネルが構成される材料の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有することができる。追加的に、または代替的に、上方接合部組立体が構成される材料は、ガルバニック基準において、船外上方翼パネルが構成される材料と中央上方翼パネルが構成される材料との間であることができる。追加的に、または代替的に、上方接合部組立体が構成される第3の材料は、船外上方翼パネルが構成される材料よりも電気陰性度が高く、中央上方翼パネルが構成される材料よりも電気陰性度が低い。上方接合部組立体38を構成するための適切な材料の例示的な限定しない実施例には、グレード (grade) 5または6−4チタン合金を含むチタン合金が含まれる。
【0019】
各船外上方翼パネル24は、図2に概略的に示すように、船外上方スキン42に作動可能に結合されている複数の船外上方ストリンガ40を含むことができるので、補剛船外上方翼パネルと説明することができる。同様に、中央上方翼パネル28は、更に図2に概略的に示すように、中央上方スキン46に作動可能に結合されている複数の中央上方ストリンガ44を含むことができるので、補剛中央上方翼パネルと説明することができる。しかし、船外上方翼パネルおよび中央上方翼パネルが異なる材料から構成される場合、船外上方翼パネルおよび中央上方翼パネルのそれぞれの構成および特性が異なる可能性がある。例えば、各スキンの厚さ、各ストリンガの形状および構成、および/または各ストリンガの数は、船外上方翼パネルと中央上方翼パネルとの間で異なる場合がある。例示的な限定しない実施例のように、船外上方翼パネルが繊維強化複合材料から構成され、中央上方翼パネルがアルミニウムから構成されている実施形態では、船外上方スキン42が中央上方スキン46よりも厚い場合がある。追加的に、または代替的に、船外上方ストリンガ40は、中央上方ストリンガ44とは異なって構成されることができる(例えば、異なる横断面形状を有する)。船外上方ストリンガ、および/または中央上方ストリンガ用に使用されることができるストリンガの型、または形状の例示的な限定しない実施例は、(限定しないが)ブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、I型ストリンガ、およびハット型ストリンガを含む。船外上方翼パネルと中央上方翼パネルとの間の他の構造上の相違もまた、本開示の範囲内にあり、本明細書に明確に確認され、および/または図示される構成以外のストリンガ構成を含む。
【0020】
図3は、船外上方翼パネル24、中央上方翼パネル28、およびリブ32を相互連結する上方接合部組立体38を含む上方接合部36の形状を概略的に表示しており、船外上方翼パネルおよび中央上方翼パネルは、異なる構造的特性で概略的に図示されている。例えば、船外上方スキン42は、中央上方スキン46とは異なる厚さを有するように概略的に図示され、船外上方ストリンガ40は中央上方ストリンガ44とは異なる構成を有するように概略的に図示されている。図3に概略的に図示されるように、上方接合部組立体38は船外翼ボックスと翼中央部分との対合平面48を画定すると説明され得る。
【0021】
航空機の飛行中など、上方接合部36が圧縮状態にある場合、船外上方翼パネル24が、上方接合部組立体38の対合平面48に向かって圧縮内側圧力50を表し、または生成することになり、中央上方翼パネル28が、上方接合部組立体の対合平面に向かって圧縮外側圧力52を表し、または生成することになる。これらの圧縮圧力はそれぞれ、各上方翼パネルの横断面上に加えられる各圧力の中心に実質的に相当する重心54、56をそれぞれ有すると説明され得る。すなわち、上方翼パネルの機首尾翼方向に沿った横断面で、圧力重心54、56は、図4に概略的に図示するように、各上方翼パネルの機首尾翼方向に沿って延在する2次元の全長によって実質的に表示されることができる。追加的に、または代替的に、各重心は、圧縮内側圧力50および圧縮外側圧力52に関連する2つ以上の負荷線の集合体として説明され得る。例えば、2つ以上の負荷線は、ストリンガとスキンとの間、ストリンガと上方接合部組立体の構成要素との間、およびスキンと上方接合部組立体の構成要素との間など、1つの構成要素から別の構成要素に負荷を伝達することに関連するなど、船外上方翼パネルおよび中央上方翼パネルの1つの中に存在することができる。したがって、関連する重心は、各上方翼パネル上に作用する2つ以上の圧縮負荷線の理論上の中心を示すことができる。
【0022】
図3に概略的に示すように、上方翼パネルの面積の中で、上方翼パネル24、28に亘る重心54、56は、実質的に直線であり、または上方接合部組立体38から離れて少なくとも実質的に直線であることができる。本明細書で使用する場合、上方翼パネルの面積は、上方接合部自体の影響から離れた各翼パネルの横の全長を指し、図3は上方翼パネルの破断部分の中にこれらの面積を概略的に示す。追加的に、または代替的に、上方翼パネルの面積は、上方接合部組立体から離隔配置された上方翼パネルの遠位領域、または全長と説明され得る。追加的に、または代替的に、上方翼パネルの面積は、各重心が上方翼パネル自体に略平行である上方翼パネルの領域と説明され得る。例示的な限定しない実施例のように、各翼パネルの面積は、対合平面から0.4、0.6、0.8、1.0、1.2メートル、または1.4メートルより遠く離れた位置で開始することができる。追加的に、または代替的に、いくつかの実施形態では、各上方翼パネルの面積は、各上方翼パネルの横の全長の50−90%、50−70%、70−90%、50%より大きい、70%より大きい、90%より大きい、50%未満、70%未満、および/または90%未満の1つまたは複数を含むことができる。
【0023】
上方翼パネルの重心に関連する重心が、上方接合部組立体を通って延長される場合、図3に概略的に示すように、例えば、船外上方翼パネルが中央上方翼パネルとは異なって構成されているので、重心は、対合平面48で直接互いに一致することはできず、または合致することはできず、中央上方翼パネル28の重心に関連する重心56は、船外上方翼パネル24の面積に関連する重心54の上方で対合平面に交差している。追加的に、または代替的に、上方翼パネルの面積に関連する重心、または圧縮外側圧力52の重心の延長部が、圧縮内側圧力50の延長部の上方で対合平面に交差するなどのように、これらの重心の延長部が、異なる高さ、または位置で対合平面に交差すると説明することができる。
【0024】
上方接合部36のそのような実施形態では、圧縮内側圧力50および圧縮外側圧力52が対合平面48で互いに対する位置でより接近して作用し合うように、圧縮内側圧力50および圧縮外側圧力52の重心を移動させ、および/または向けるように、上方接合部36は構成され得る。上方接合部のこの任意の機能および構成が、図3に概略的に示されており、圧縮外側圧力52に関連する重心56が下方に移動されて、圧縮内側圧力50に関連する重心54に対合平面で一致し、および/または合致する。いくつかの実施形態では、圧縮内側圧力および圧縮外側圧力の重心が、対合平面で少なくともほぼ一致し、および/または合致することができる。追加的に、または代替的に、いくつかの実施形態では、圧縮内側圧力および圧縮外側圧力の重心が、実質的に、および/または完全に合致することができる。追加的に、または代替的に、上方接合部36は、重心を互いの方に実質的に向くように構成可能であり、その結果、不必要なトルクが上方接合部組立体38に加えられない態様で、または上方翼パネルによって加えられる圧縮圧力の結果として、少なくとも実質的なトルクが上方接合部組立体に加えられない態様で、上方接合部を釣り合わせることができる。
【0025】
翼組立体のそのような実施形態では、重心54、56が対合平面48に集合し、位置合わせされ、または少なくともほぼ位置合わせされて、その結果、上方接合部内の圧縮圧力の不連続性を回避するように上方接合部36を構成することが望ましい。このことは図3に概略的に図示され、圧縮外側圧力52に関連する重心56が、上方接合部36の近傍内に下方に移動された状態である。重心56の下方への移動は、上方接合部組立体38の構成およびその構成要素部品の構成によるもの、ならびに上方接合部組立体と上方翼パネルとの間の作動可能な取り付けによるものなど、様々な方法で達成可能である。例えば、上方接合部組立体と上方翼パネルとの間の締め金具取付具の極めて重要な使用により、圧縮圧力に関連する重心の移動を促進することができる。より詳細な実施例として、中央上方ストリンガ44の垂直フランジ47、および船内圧縮取付具68の垂直ウェブを一体に結合するために使用される締め金具が、これらの構成要素間の負荷伝達を促進することができ、それによって、中央上方翼パネルに関連する重心の移動を可能にする。
【0026】
追加的に、または代替的に、1つまたは複数の中央上方ストリンガ44、および/または中央上方スキン46の構成は、中央上方翼パネル28の面積内部から上方接合部36の近傍内部まで変更されることが可能である。例えば、図3の破線で概略的に示されるように、中央上方スキン46は、中央上方翼パネルの面積内部に比較して、上方接合部の近傍内部でより厚くすることができ、任意で、対合平面に接近するにつれて厚さを増加させることができる。追加的に、または代替的に、図3の破線で更に概略的に示されるように、1つまたは複数の中央上方ストリンガ44に関連する1つまたは複数の水平フランジ45が、中央上方翼パネルの面積内部に比較して、上方接合部の近傍内部でより厚くすることができ、任意で、対合平面に接近するにつれて厚さが増加することができる。追加的に、または代替的に、図3の破線で更に概略的に示されるように、1つまたは複数の中央上方ストリンガ44に関連する1つまたは複数の垂直フランジ47が、中央上方翼パネルの面積内部に比較して、上方接合部の近傍内部でより小さくなり、または短くなることができ、任意で、対合平面に接近するにつれて高さが減少することができる。
【0027】
上記の考察は、主に、圧縮外側圧力52に関連する重心56の下方への移動に関係しているが、圧縮内側圧力50に関連する重心54も同様に上方へ移動されることができ、その結果、重心が対合平面で互いに一致する。翼組立体が、中央上方翼パネルの面積に亘る圧縮外側圧力に関連する重心56の延長部が、船外上方翼パネルの面積に亘る圧縮内側圧力に関連する重心54の延長部の下方で対合平面に交差するように構成可能であることもまた、本発明の開示の範囲内である。そのような任意の実施形態では、本明細書で考察する図3の概略的実施例と同様に、上方接合部は、上方接合部の近傍内部で重心を移動させるように構成可能であり、その結果、重心は、上方接合部組立体によって画定される対合平面で一致し、または少なくともほぼ一致する。重心が上方接合部の近傍内で上方に、または下方に移動されるかどうかに影響を及ぼす可能性がある要因には、上方翼パネルを構成するための材料選択が含まれる。例えば、中央上方翼パネルの面積に亘る重心56の延長部が、船外上方翼パネルの面積に亘る重心54の上方で、対合平面に交差している図3に概略的に図示される実施例は、中央上方翼パネルがアルミニウムなどの金属で構成され、船外上方翼パネルが炭素繊維補強プラスチック(CFRP)で構成されている翼組立体に関連することができる。
【0028】
上方接合部組立体38を構成すること、および/または上方翼パネルを上方翼パネルの面積内部とは異なって上方接合部の近傍内部で構成することによって、1つまたは両方の圧力重心を移動させ、その結果重心が対合平面48で合致することに加えて、またはその代替的に、船外上方ストリンガ40を中央上方ストリンガ44とは異なって、上方接合部36の機首尾翼方向に沿って離隔配置することもまた望ましい場合がある。例えば、船外上方翼パネル24および中央上方翼パネル28が異なる材料から構成される実施形態では、そのような構成が望ましい場合がある。図5は、上方接合部のいくつかの実施形態では、中央上方ストリンガの少なくとも部分集合が、上方接合部組立体38で、対応する船外上方ストリンガに直接対向しないことを平面図で概略的に図示している。そのようないくつかの実施形態では、上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、1つ置きの中央上方ストリンガが対応する船外上方ストリンガに直接対向し、他方の1つ置きの中央上方ストリンガが、対応する船外上方ストリンガに直接対向しない。言い換えれば、上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、1つ置きの中央上方ストリンガだけが対応する船外上方ストリンガに直接対向する。追加的に、または代替的に、いくつかの実施形態では、上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、船外上方ストリンガの2倍の、または少なくとも約2倍の数の中央上方ストリンガが存在することができる。
【0029】
本明細書で使用する場合、上方接合部の機首尾翼方向の実質的な全長とは、少なくとも3個、5個、7個、9個、11個、13個、15個、17個、19個、または21個の船外上方ストリンガを含む機首尾翼方向の全長を指し、および/または上方接合部の機首尾翼方向の全体的全長の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%に及ぶ機首尾翼方向の全長を指している。いくつかの実施形態では、必須ではないが、上方接合部の機首尾翼方向の全長の部分が、本明細書で明確に開示され、図示されるものとは異なって構成されることが可能であり、例えば、船外翼ボックスと翼中央部分との間に流体を通過させるなどの任意の機能を含み、および/または収容することができるためなどである。例えば、そのような状態では、具体的に構成されたストリンガ、および対応する取付具は、燃料、作動液などの流体を効果的に輸送することを促進するために使用可能である。
【0030】
上方接合部36のいくつかの実施形態では、必須ではないが、すべての実施形態において、上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、中央上方ストリンガ44の第1の部分集合が、上方接合部組立体38に作動可能に、および/または直接結合されることができ、中央上方ストリンガの第2の部分集合が、上方接合部組立体に作動可能に、および/または直接結合されることはできない。言い換えれば、中央上方ストリンガの第2の部分集合は、図5に概略的に図示するように、接合部組立体に直接結合されずに終了することができる。そのような実施形態では、この第2の部分集合の中央上方ストリンガは、図5に概略的に図示するように、対応する船外上方ストリンガ40に一致せず、および/または直接対向しない任意の中央上方ストリンガに相当することができる。上方接合部組立体38に直接結合されずに中央上方ストリンガ44を任意で終了させることによって、中央上方翼パネル28に関連する、圧縮外側圧力52の重心56は、船外上方翼パネル24に関連する、圧縮内側圧力50に関連する重心54により良好に反応し、または一致することができる。上方接合部組立体に直接結合されずに、および/またはそのような圧力に直接対向する、対応する船外上方ストリンガがない上方接合部組立体に対して圧力を直接加えずに、中央上方ストリンガの部分集合を終了させることによって、上方接合部組立体に直接結合されずに終了する上方ストリンガの近傍内部に、重心56の局部的な上方への移動を促進することができるが、全体的に、中央上方翼パネル28に関連する重心56が、上方接合部組立体38の近傍内部で下方へ移動することができる。
【0031】
追加的に、または代替的に、上方接合部36のいくつかの実施形態では、上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、中央上方ストリンガ44の第1の部分集合が、船内圧縮取付具68によって上方接合部組立体38の下方フランジ64に作動可能に結合されることができ、中央上方ストリンガの第2の部分集合は、船内圧縮取付具68によって下方フランジ64に作動可能に結合されることができない。言い換えれば、中央上方ストリンガの第2の部分集合は、圧縮内側圧力50の直接向かい側に圧縮外側圧力52を向ける船内圧縮取付具なしに、終了することができる。そのような実施形態では、この第2の部分集合の中央上方ストリンガは、図5に概略的に図示するように、この第2の部分集合の中央上方ストリンガに概略的に重なる任意の船内圧縮取付具68がなく、対応する船外上方ストリンガ40に一致せず、および/または直接対向しない任意の中央上方ストリンガに相当することができる。そのような中央上方ストリンガと上方接合部組立体38の下方フランジとの間に船内圧縮取付具を使用せずに、中央上方ストリンガ44を任意で終了させることによって、中央上方翼パネル28に関連する圧縮外側圧力52の重心56は、船外上方翼パネル24に関連する圧縮内側圧力50に関連する重心54により良好に反応し、または一致することができる。上記と同様に、上方接合部組立体に直接結合されずに、および/またはそのような圧力に直接対向する、対応する船外上方ストリンガがない上方接合部組立体に対して圧力を直接加えずに、中央上方ストリンガの部分集合を終了させることによって、船内圧縮取付具に結合されずに終了する上方ストリンガの近傍内部で、重心56の局部的な上方への移動を促進することができるが、全体的に、中央上方翼パネル28に関連する重心56が、上方接合部組立体38の近傍内部で下方へ移動することができる。
【0032】
代替的に、上方接合部36の機首尾翼方向の実質的な全長に対して、船外上方ストリンガ40よりも多くの(例えば2倍の数の)中央上方ストリンガ44を組み込むよりもむしろ、図6に概略的に図示するように、上方接合部が、上方接合部の機首尾翼方向の実質的な全長に対して、等しい数の中央上方ストリンガおよび船外上方ストリンガを含むことができることもまた、本開示の範囲内である。図示の限定しない実施例のように、中央上方ストリンガはハット型ストリンガ、またはブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、I型ストリンガなど、または他の適切に構成されたストリンガとして構成可能であり、それらは代替ストリンガの2倍、または少なくとも約2倍の剛性を提供するように効果的に構成される。図6では、これらの任意の中央上方ストリンガが、上方接合部組立体38の直接反対側の対応する船外上方ストリンガ40よりも極めてより大きい、機首尾翼方向の幅を有するように概略的に図示されている。
【0033】
次いで図7を参照すると、上方接合部組立体38の例示的な、限定しない実施例が、概略的に形状が図示され、船外上方ストリンガ40が中央上方ストリンガ44に直接対向する場合に相当する。概略的に図示されるように、上方接合部組立体38は、船外上方翼パネル24、中央上方翼パネル28に作動可能に結合されている船内フランジ62、リブ32に作動可能に結合されている下方フランジ64、船外上方翼パネルと下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船外圧縮取付具66、および中央上方翼パネルと下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船内圧縮取付具68に作動可能に結合されている船外フランジ60を含むことができる。したがって、船外フランジ、船内フランジ、および下方フランジは、船外翼ボックスと翼中央部分との間の二面の角度を画定する、船外フランジと船内フランジとの間の角度によって、T形状の側面を画定すると説明することが可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、上方接合部組立体38が、船外フランジ60および船内フランジ62を画定する継目板70、および下方フランジ64を画定する下方T取付具72を含むことができ、下方T取付具は継目板の下に作動可能に結合されている。いくつかの実施形態では、上方接合部組立体は、追加的に、下方T取付具の反対側に、継目板の上側に作動可能に結合されている上方T取付具74を含むことができ、上方T取付具が航空機の隣接する構造に作動可能に結合するための境界面を提供する。
【0035】
船外圧縮取付具66および船内圧縮取付具68は、上方接合部36など、圧縮接合部で使用するために具体的に構成されるので、圧縮取付具と説明される。すなわち、上方接合部36の圧縮取付具は、圧縮内側圧力50および圧縮外側圧力52に並進するように構成され、その結果、それらは上方接合部組立体38の下方フランジ64に亘って互いに直接対向する。上方接合部組立体に使用され得る例示的な限定しない実施例の圧縮取付具は、例えば、船外上方ストリンガおよび中央上方ストリンガの各ストリンガ、または複数のストリンガの構成に応じて(限定しないが)浴槽型取付具、半分の浴槽型取付具、およびパドル型取付具を含む。
【0036】
図7では、船外圧縮取付具66が、船外上方スキン42および船外上方ストリンガ40の両方を含む船外上方翼パネル24と重なる関係で概略的に図示され、船外圧縮取付具が、船外上方スキンおよび船外上方ストリンガの一方または両方に作動可能に係合することができ、および/または作動可能に結合され得ることを概略的に示している。同様に、船内圧縮取付具68が、中央上方スキン46および中央上方ストリンガ44の両方を含む中央上方翼パネル28と重なる関係で概略的に図示され、船内圧縮取付具が、中央上方スキンおよび中央上方ストリンガの一方または両方に作動可能に係合することができ、および/または作動可能に結合され得ることを概略的に示している。
【0037】
いくつかの実施形態では、各船内圧縮取付具68は、中央上方スキン46、下方フランジ64、および2つの隣接する中央上方ストリンガ44に作動可能に結合され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、例えば、中央上方ストリンガの部分集合が、中央上方ストリンガと上方接合部組立体38の下方フランジとの間に船内圧縮取付具なしに終了する任意の実施形態に関連して図5に概略的に、任意で図示するように、中央上方ストリンガ44の部分集合は、船内圧縮取付具68に直接結合されることができない。いくつかの実施形態では、図5にまた任意で示すように、1つ置きの複数の中央上方ストリンガ44が、少なくとも上方接合部の機首尾翼方向の実質的な全長に対して、船内圧縮取付具68に直接結合されることができない。
【0039】
いくつかの実施形態では、図5および図7に概略的に示すように、複数の船内圧縮取付具68が、上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、船外圧縮取付具66の直接向かい側に、下方フランジ64に結合され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、上方接合部36は、上方接合部の2つ以上の構成要素を一体に作動可能に結合する複数の締め金具76を含むことができる。例えば、締め金具は、中央上方翼パネル28を船内フランジ62に一体に作動可能に結合し、船外上方翼パネル24を船外フランジ60に一体に作動可能に結合し、中央上方ストリンガ44を中央上方スキン46に一体に作動可能に結合し、船外上方ストリンガ40を船外上方スキン42に一体に作動可能に結合し、船内圧縮取付具68を下方フランジ64に一体に作動可能に結合し、および/または船外圧縮取付具66を下方フランジ64に一体に作動可能に結合するように使用され得る。追加的に、または代替的に、様々な構成要素は、接着剤を用いてなど、他の方法によって、または複合材料の養生など、他の工程によって作動可能に一体に結合され得る。
【0041】
図7に概略的に図示されるようないくつかの実施形態では、1つまたは複数の締め金具76が、船内フランジ62、中央上方スキン46、中央上方ストリンガ44の水平フランジ45、および船内圧縮取付具68の水平フランジ69を垂直に貫通して延在し、一体に結合することができる。追加的に、または代替的に、図7にまた概略的に図示するように、1つまたは複数の締め金具76が、船内圧縮取付具68の1つまたは複数の垂直ウェブ、および中央上方ストリンガ44の垂直フランジ47を貫通して水平に延在することができる。そのような任意の締め金具76は、上方接合部の近傍内部で中央上方翼パネルに亘る圧縮外側圧力に関連する重心の下方への移動を促進することができる。追加的に、または代替的に、いくつかの実施形態でそのような任意の締め金具を含めることによって、中央上方ストリンガ44に関連する重心線を2つの負荷線に分割することができ、第1の負荷線は、船内フランジ62と、中央上方スキン46と、中央上方ストリンガ44の水平フランジ45と、船内圧縮取付具68の水平フランジ69との間の固定された境界面に上方へ移動し、第2の負荷線は、船内圧縮取付具68の1つまたは複数のウェブと中央上方ストリンガ44の垂直フランジ47との間の固定された境界面に移動することができる。これらの分割された負荷線の結果として得られる重心は、船外上方翼パネルに関連する圧縮内側圧力に関連する対向する重心に一致し、または少なくともほぼ一致することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、図7に概略的に図示するように、締め金具76は、更に、船外圧縮取付具66および船内圧縮取付具68を互いに直接向かい側に、および下方フランジ64に直接結合することができる。言い換えれば、単一の締め金具が、船外圧縮取付具および船内圧縮取付具を下方フランジに結合することができ、締め金具は、船外圧縮取付具、下方フランジ、および船内圧縮取付具の3つすべてを貫通して延在することができる。追加的に、または代替的に、いくつかの実施形態では、船外圧縮取付具が、2つの船内圧縮取付具の直接向かい側に下方フランジに結合され得る。図6は、各図示の中央上方ストリンガ44に関連する2つの船内圧縮取付具68を有し、かつ各図示の船外上方ストリンガ40に関連する単一の船外圧縮取付具66を有するそのような実施例を概略的に、任意で図示している。他の構成もまた、本開示の範囲内にある。
【0043】
次いで、図8から図22を参照すると、上方接合部36の例示的な、限定しない実施例が図示されている。適切な場合、図2から図7の概略的な図面からの参照符号が、図8から図22の上方接合部の対応する部品を示すために使用されているが、図8から図22の実施例は、限定的ではなく、上方接合部36およびその構成要素を図8から図22の図示の実施形態に限定するものではない。すなわち、上方接合部36、したがって翼組立体12および航空機10は、図8から図22の図示される上方接合部の具体的な実施形態に限定されず、上方接合部36、翼組立体12、および航空機10は、図2から図7の概略的な表示、および/または図8から図22の実施形態、ならびにその変形形態の中で図示され、それらに関連して考察される、上方接合部36の任意の数の様々な態様、構成、特徴、特性などを組み込むことができ、すべてのそのような態様、構成、特徴、特性などを含むことを必要なわけではない。簡潔にする目的で、前述の各構成要素、部品、部分、態様、領域など、またはその変形形態は、図8から図22の上方接合部に関して再び考察され、図示され、および/または名づけられる可能性はないが、前述の形態、変形形態などがそのような下方接合部と共に使用可能であることは、本開示の範囲内である。更に、図8から図22の上方接合部の描写は、上方接合部の限定された機首尾翼方向の全長に亘って、例の実施形態の様々な構成部品を最もよく示すように構成されており、したがって、上方接合部の特定の図面の中に存在する可能性があるそれぞれの、すべての構成要素を必ずしも示していない。例として図12を参照すると、最も右、および最も左の中央上方ストリンガ44は、各中央上方ストリンガの単一の側面のみに船内圧縮取付具68を有し、隣接する中央上方ストリンガがない状態で図示されているが、関連する実施形態の構成では、そのような追加の圧縮取付具および中央上方ストリンガが存在することができる。
【0044】
図8から図11に参照して分かるように、第1の上方接合部136は、実質的にCFRPから構成された、補剛船外上方翼パネル24、実質的にアルミニウム合金から構成された補剛中央上方翼パネル28、および上方接合部組立体38を含む上方接合部36の実施例である。上方接合部組立体は、アルミニウム合金から構成された上方T取付具74、チタン合金から構成された継目板70、チタン合金から構成された下方T取付具72、チタン合金から構成された複数の船外圧縮取付具66、およびアルミニウム合金から構成された複数の船内圧縮取付具68を含む。補剛船外上方翼パネルは、ブレード型ストリンガとして、および/または略T形状の横断面形状を有するとして説明され得る複数の船外上方ストリンガ40を含む。しかし、補剛中央上方翼パネルは、実質的にストリンガの長さに対して、Z型ストリンガ、および/または略Z形状の横断面形状を有するとして説明され得る複数の中央上方ストリンガ44を含む。
【0045】
第1の上方接合部136は、1つ置きの中央上方ストリンガ44が対応する船外上方ストリンガ40に直接対向し、他方の1つ置きの中央上方ストリンガが、対応する船外上方ストリンガに直接対向しない上方接合部36の実施例である。更に、第1の上方接合部136は、1つ置きの中央上方ストリンガが、1つ置きの中央上方ストリンガ44と下方フランジ64との間に結合される船内圧縮取付具68なしに終了する上方接合部36の実施例である。
【0046】
おそらく図8で最もよく分かるように、船内圧縮取付具68なしに終了する中央上方ストリンガ44の部分集合の各中央上方ストリンガは、Z形状の横断面形状から、先が細いT形状の横断面形状に先が細くなっており、最終的に下方T取付具72に隣接する最後の終点で垂直ウェブのない、フランジ付基部のみを有する。更に、おそらく図11で最もよく分かるように、中央上方ストリンガのこの部分集合は、船内圧縮取付具によって、下方T取付具72の下方フランジ64に直接結合されている残りの中央上方ストリンガよりも実質的により小さい。
【0047】
第1の上方接合部136は、複数の締め金具76が、中央上方翼パネル28を上方接合部組立体38に作動可能に結合するため、および船内圧縮取付具68を対応する船外圧縮取付具66の直接向かい側に作動可能に結合するために使用される上方接合部36の実施例である。更に、船内フランジ62、中央上方スキン46、中央上方ストリンガ44の水平フランジ、および船内圧縮取付具68の水平フランジを直接一体に結合するために垂直締め金具を使用すること、ならびに船内圧縮取付具68の垂直ウェブおよび中央上方ストリンガ44の垂直ウェブを直接一体に結合するために水平締め金具を使用することによって、航空機の飛行中、中央上方翼パネルに亘って加えられる圧縮外側圧力に関連する重心の所望の下方への移動を促進する。
【0048】
次いで、図12から図15を参照すると、第2の上方接合部236は、実質的にCFRPから構成された補剛船外上方翼パネル24、実質的にアルミニウム合金から構成された補剛中央上方翼パネル28、および上方接合部組立体38を同様に含む上方接合部36の実施例である。上方接合部組立体は、アルミニウム合金から構成された上方T取付具74、チタン合金から構成された継目板70、チタン合金から構成された下方T取付具72、チタン合金から構成された複数の船外圧縮取付具66、およびアルミニウム合金から構成された複数の船内圧縮取付具68を含む。図8から図11の第1の上方接合部136と同様に、第2の上方接合部236の補剛船外上方翼パネルは、ブレード型ストリンガとして、および/または略T形状の横断面形状を有するとして説明され得る複数の船外上方ストリンガ40を含む。更に、第1の上方接合部136と同様に、第2の上方接合部236の補剛中央上方翼パネルは、実質的にストリンガの長さに対して、Z型ストリンガ、および/または略Z形状の横断面形状を有するとして説明され得る複数の中央上方ストリンガ44を含む。
【0049】
更に、第1の上方接合部136と同様に、第2の上方接合部236は、1つ置きの中央上方ストリンガ44が対応する船外上方ストリンガ40に直接対向し、他方の1つ置きの中央上方ストリンガが、対応する船外上方ストリンガに直接対向しない上方接合部36の実施例である。しかし、第1の上方接合部136とは異なり、第2の上方接合部236は、船内圧縮取付具68が下方フランジ64と各中央上方ストリンガとの間に直接結合される上方接合部36の実施例である。より具体的には、各船内圧縮取付具が浴槽型取付具と説明されることができ、隣接する1対の中央上方ストリンガに結合される。
【0050】
第2の上方接合部236は、複数の締め金具76が、中央上方翼パネル28を上方接合部組立体38に作動可能に結合するため、および船内圧縮取付具68を対応する船外圧縮取付具66の向かい側に直接作動可能に結合するために使用される上方接合部36の別の実施例である。更に、船内フランジ62、中央上方スキン46、中央上方ストリンガ44の水平フランジ、および船内圧縮取付具68の水平フランジを一体に直接結合するために、垂直締め金具が使用され、船内圧縮取付具68の垂直ウェブおよび中央上方ストリンガ44の垂直フランジを一体に直接結合するために、水平締め金具が使用される。これらの締め金具は、航空機の飛行中、上方接合部の近傍内部の圧縮外側圧力に関連する重心の所望の下方への移動を促進する。
【0051】
図16から図19は、第3の上方接合部336を示し、第3の上方接合部336は、実質的にCFRPから構成された補剛船外上方翼パネル24、実質的にアルミニウム合金から構成された補剛中央上方翼パネル28、および上方接合部組立体38を含む上方接合部36の別の実施例である。上方接合部組立体は、アルミニウム合金から構成された上方T取付具74、チタン合金から構成された継目板70、チタン合金から構成された下方T取付具72、チタン合金から構成された複数の船外圧縮取付具66、およびアルミニウム合金から構成された複数の船内圧縮取付具68を含む。第1の上方接合部136および第2の上方接合部236と同様に、第3の上方接合部336の補剛船外上方翼パネルは、ブレード型ストリンガとして、および/または略T形状の横断面形状を有するとして説明され得る複数の船外上方ストリンガ40を含む。しかし、第1の上方接合部136および第2の上方接合部236と異なり、第3の上方接合部336の補剛中央上方翼パネル28は、ハット型ストリンガとして説明され得る複数の中央上方ストリンガ44を含む。
【0052】
第1の上方接合部136および第2の上方接合部236と異なり、第3の上方接合部336は、各中央上方ストリンガ44が、対応する船外上方ストリンガ40に直接対向する上方接合部36の実施例である。更に、第3の上方接合部336は、船内圧縮取付具68が半分の浴槽型取付具の形態を取る上方接合部36の実施例であり、2つのそのような取付具は、ハット型ストリンガと上方接合部組立体38の下方フランジ64との間に作動可能に結合されており、各半分の浴槽型取付具はハット型ストリンガの外部横方向の側面に結合されている。
【0053】
第3の上方接合部336は、複数の締め金具76が、中央上方翼パネル28を上方接合部組立体38に作動可能に結合するため、および船内圧縮取付具68を対応する船外圧縮取付具66の直接向かい側に作動可能に結合するために使用される上方接合部36のやはり別の実施例である。更に、船内フランジ62、中央上方スキン46、中央上方ストリンガ44の水平フランジ、および船内圧縮取付具68の水平フランジを一体に直接結合するために、垂直締め金具が使用され、船内圧縮取付具68の垂直ウェブおよび中央上方ストリンガ44の垂直フランジを一体に直接結合するために、水平締め金具が使用される。これらの締め金具は、航空機の飛行中、上方接合部の近傍内部の圧縮外側圧力に関連する重心の所望の下方への移動を促進する。
【0054】
最後に、図20から図23を参照すると、第4の上方接合部436は、実質的にCFRPから構成された補剛船外上方翼パネル24、実質的にアルミニウム合金から構成された補剛中央上方翼パネル28、および上方接合部組立体38を含む上方接合部36の別の実施例である。上方接合部組立体は、アルミニウム合金から構成された上方T取付具74、チタン合金から構成された継目板70、チタン合金から構成された下方T取付具72、チタン合金から構成された複数の船外圧縮取付具66、およびアルミニウム合金から構成された複数の船内圧縮取付具68を含む。上方接合部136、236および336と同様に、第4の上方接合部436の補剛船外上方翼パネルは、ブレード型ストリンガとして、および/または略T形状の横断面形状を有するとして説明され得る複数の船外上方ストリンガ40を含む。しかし、第1の上方接合部136および第2の上方接合部236と異なるが、第3の上方接合部336と同様に、第4の上方接合部436の補剛中央上方翼パネル28は、ハット型ストリンガとして説明され得る複数の中央上方ストリンガ44を含む。
【0055】
更に、第3の上方接合部336と同様に、第4の上方接合部436は、各中央上方ストリンガ44が対応する船外上方ストリンガ40に直接対向する上方接合部36の実施例である。しかし、第3の上方接合部336とは異なり、第4の上方接合部436は、船内圧縮取付具68が、ハット型ストリンガと上方接合部組立体38の下方フランジ64との間に作動可能に結合される浴槽型取付具の形態を取る上方接合部36の実施例であり、各浴槽型取付具は、ハット型ストリンガの横方向側面の内側に結合されている。したがって、第4の上方接合部436の浴槽型取付具は、内側の浴槽型取付具と説明され得る。
【0056】
第4の上方接合部436は、複数の締め金具76が、中央上方翼パネル28を上方接合部組立体38に作動可能に結合するため、および船内圧縮取付具68を対応する船外圧縮取付具66の向かい側に直接作動可能に結合するために使用される上方接合部36のやはり別の実施例である。更に、船内フランジ62、中央上方スキン46、中央上方ストリンガ44の水平フランジ、および船内圧縮取付具68の水平フランジを一体に直接結合するために、垂直締め金具が使用され、船内圧縮取付具68の垂直ウェブおよび中央上方ストリンガ44の垂直フランジを一体に直接結合するために、水平締め金具が使用される。これらの締め金具は、航空機の飛行中、上方接合部の近傍内部の圧縮外側圧力に関連する重心の所望の下方への移動を促進する。
【0057】
本開示による発明性のある主題について例示的な、限定しない実施例が、以下に列挙するパラグラフの中で説明される。
A.航空機用の翼組立体であって、
第1の材料から実質的に構成される左翼ボックスと、
第1の材料から実質的に構成される右翼ボックスと、
第1の材料とは異なる第2の材料から実質的に構成される翼中央部分と
を備える翼組立体。
A1.第1の材料が、第1の熱膨張係数を有し、
第2の材料が、第1の熱膨張係数よりも大きい第2の熱膨張係数を有する、パラグラフAに記載の翼組立体。
A2.第1の材料が、第2の材料に対して、ガルバニック基準の陰極端部に向かい、および/または
第1の材料が、第2の材料よりも電気陰性度がより高い、パラグラフAまたはA1に記載の翼組立体。
A3.第1の材料が、繊維強化複合材料、および任意でカーボン繊維強化複合材料である、パラグラフAからA2に記載の翼組立体。
A4.第2の材料が、金属、および任意でアルミニウム合金である、パラグラフAからA3に記載の翼組立体。
A5.左翼ボックスおよび翼中央部分によって左上方接合部を画定する左上方接合部組立体と、
右翼ボックスおよび翼中央部分によって右上方接合部を画定する右上方接合部組立体と
を更に備え、
左上方接合部組立体および右上方接合部組立体が、少なくとも部分的に、および任意で実質的に第3の材料から構成される、パラグラフAからA4に記載の翼組立体。
A5.1.第3の材料が、第1の熱膨張係数よりも大きく、第2の熱膨張係数熱膨張係数よりも小さい第3の熱膨張係数を有する、パラグラフA1に従属する場合、パラグラフA5に記載の翼組立体。
A5.2.第3の材料が、ガルバニック基準において、第1の材料と第2の材料との間であり、および/または
第3の材料が、第2の材料よりも電気陰性度が高く、第1の材料よりも電気陰性度が低い、パラグラフA2に従属する場合のパラグラフA5からA5.1に記載の翼組立体。
A5.3.第3の材料が金属、および任意でチタン合金である、パラグラフA5からA5.2に記載の翼組立体。
A5.4.左上方接合部および右上方接合部が、それぞれパラグラフBからB4.10.に記載のいずれかの上方接合部を含む、A5からA5.3に記載の翼組立体。
A6.第1の材料が、第2の材料に接触しない、パラグラフAからA5.4のいずれかの翼組立体。
A7.胴体と、
パラグラフAからA6.のいずれかに記載の翼組立体と
を備える、航空機。
B.航空機の翼組立体用の上方接合部であって、
船外翼ボックスの船外上方翼パネルと、
翼中央部分の中央上方翼パネルと、
船外翼ボックスと翼中央部分との間に配置されているリブと、
船外上方翼パネル、中央上方翼パネル、およびリブを作動可能に相互連結する上方接合部組立体と
を備える上方接合部。
B1.上方接合部組立体が、船外翼ボックスと翼中央部分との間の対合平面を画定し、
上方接合部が圧縮状態にある場合、船外上方翼パネルが、上方接合部組立体の方へ圧縮内側圧力を表し、
上方接合部が圧縮状態にある場合、中央上方翼パネルが、上方接合部組立体の方へ圧縮外側圧力を表し、
船外上方翼パネルの面積に亘る圧縮内側圧力の重心、および中央上方翼パネルの面積に亘る圧縮外側圧力の重心が、対合平面を横切って延長される場合、対合平面で直接一致せず、および/または合致せず、および/または
船外上方翼パネルの面積に亘る圧縮内側圧力の重心が、対合平面を横切って延長される場合、中央上方翼パネルの面積に亘る圧縮外側圧力の重心が対合平面を横切って延長される場合、対合平面に交差する位置の下方または上方で対合平面に交差する、パラグラフBに記載の上方接合部。
B1.1.上方接合部組立体が、圧縮内側圧力の重心を、対合平面で圧縮外側圧力の重心に少なくともほぼ、および任意で実質的に、および/または完全に一致させ、および/または合致させるように移動し、および/または向けるように構成されており、および/または
上方接合部組立体が、圧縮外側圧力の重心を、対合平面で圧縮内側圧力の重心に少なくともほぼ、および任意で実質的に、および/または完全に一致し、および/または合致するように移動し、および/または向けるように構成されている、パラグラフB1に記載の上方接合部。
B2.船外上方翼パネルが、船外上方スキンと、船外上方スキンに作動可能に結合されている複数の船外上方ストリンガとを備え、
中央上方翼パネルが、中央上方スキンと、中央上方スキンに作動可能に結合されている複数の中央上方ストリンガとを備える、パラグラフBからB1.1に記載の上方接合部。
B2.1.複数の中央上方ストリンガの少なくとも部分集合が、上方接合部組立体で、複数の船外上方ストリンガの対応する船外上方ストリンガに直接対向しない中央上方ストリンガを含む、パラグラフB2に記載の上方接合部。
B2.2. 上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、複数の中央上方ストリンガの1つ置きの中央上方ストリンガが、上方接合部組立体で、複数の船外上方ストリンガの対応する1つの船外上方ストリンガに直接対向し、任意で、複数の中央上方ストリンガの他方の1つ置きの中央上方ストリンガが、複数の船外上方ストリンガの対応する1つの船外上方ストリンガに直接対向しない、パラグラフB2からB2.1のいずれかに記載の上方接合部。
B2.3. 上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、各複数の船外上方ストリンガが、上方接合部組立体で、複数の中央上方ストリンガの対応する1つの中央上方ストリンガに直接対向する、パラグラフB2からB2.2のいずれかに記載の上方接合部。
B2.4. 上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、複数の中央上方ストリンガが、複数の船外上方ストリンガの約2倍の数のストリンガから本質的に構成される、パラグラフB2からB2.3のいずれかに記載の上方接合部。
B2.5.複数の船外上方ストリンガが、ブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、および/またはI型ストリンガを備え、任意でブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、および/またはI型ストリンガから本質的に構成される、パラグラフB2からB2.4のいずれかに記載の上方接合部。
B2.6.複数の中央上方ストリンガが、1つまたは複数のブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、および/またはI型ストリンガを備え、任意で1つまたは複数のブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、および/またはI型ストリンガから本質的に構成され、任意で1つまたは複数のブレード型ストリンガ、Z型ストリンガ、および/またはI型ストリンガから構成される、パラグラフB2からB2.4のいずれかに記載の上方接合部。
B2.7.複数の中央上方ストリンガが、ハット型ストリンガを備え、任意でハット型ストリンガから本質的に構成され、任意でハット型ストリンガから構成される、パラグラフB2からB2.5のいずれかに記載の上方接合部。
B2.8.複数の中央上方ストリンガの第1の部分集合が、上方接合部組立体に作動可能に結合され、複数の中央上方ストリンガの第2の部分集合が、上方接合部組立体に作動可能に結合されず、および/または上方接合部組立体に直接結合されずに終了する、パラグラフB2からB2.7のいずれかに記載の上方接合部。
B2.9. 上方接合部の少なくとも実質的な全長に対して、複数の中央上方ストリンガの1つ置きの中央上方ストリンガが、上方接合部組立体に直接結合されず、および/または上方接合部組立体に直接結合されずに終了する、パラグラフB2からB2.8のいずれかに記載の上方接合部。
B3.上方接合部組立体が、
船外上方翼パネルに作動可能に結合されている船外フランジと、
中央上方翼パネルに作動可能に結合されている船内フランジと、
リブに作動可能に結合されている下方フランジと、
船外上方翼パネルと下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船外圧縮取付具と、
中央上方翼パネルと下方フランジとの間に作動可能に結合されている複数の船内圧縮取付具と
を備える、パラグラフBからB2.9のいずれかに記載の上方接合部。
B3.1.上方接合部組立体が、
船外フランジおよび船内フランジを画定する継目板と、
継目板に作動可能に結合されており、下方フランジを画定する下方T取付具と
を備える、パラグラフB3に記載の上方接合部。
B3.1.1.上方接合部組立体が、下方T取付具の反対側に、継目板に作動可能に結合されている上方T取付具を更に備える、パラグラフB3.1.に記載の上方接合部。
B3.2.複数の船内圧縮取付具が、浴槽型取付具を備え、任意で浴槽型取付具から本質的に構成され、任意で浴槽型取付具から構成される、パラグラフB3からB3.1.1のいずれかに記載の上方接合部。
B3.3.複数の船内圧縮取付具が、半分の浴槽型取付具を備え、任意で半分の浴槽型取付具から本質的に構成され、任意で半分の浴槽型取付具から構成される、パラグラフB3からB3.2のいずれかに記載の上方接合部。
B3.4.複数の船内圧縮取付具が、パドル型取付具を備え、任意でパドル型取付具から本質的に構成され、任意でパドル型取付具から構成される、パラグラフB3からB3.3のいずれかに記載の上方接合部。
B3.5.複数の船内圧縮取付具の少なくとも部分集合のそれぞれが、中央上方スキン、下方フランジ、および複数の中央上方ストリンガの2つに作動可能に結合されている、パラグラフB2に従属する場合、パラグラフB3からB3.4のいずれかに記載の上方接合部。
B3.6.複数の中央上方ストリンガが、複数の船内圧縮取付具の1つの船内圧縮取付具に直接結合されない中央上方ストリンガの部分集合を含む、パラグラフB2に従属する場合、パラグラフB3からB3.5のいずれかに記載の上方接合部。
B3.7. 上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、複数の中央上方ストリンガの1つ置きの中央上方ストリンガが、複数の船内圧縮取付具の1つの船内圧縮取付具に直接結合されない、パラグラフB2に従属する場合、パラグラフB3からB3.6のいずれかに記載の上方接合部。
B3.8. 上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、複数の船内圧縮取付具のそれぞれが、複数の船外圧縮取付具の1つの船外圧縮取付具の直接向かい側の下方フランジに結合される、パラグラフB3からB3.7のいずれかに記載の上方接合部。
B3.9.上方接合部組立体が、複数の締め金具を更に含み、複数の締め金具の少なくとも1つの部分集合の締め金具が、複数の船外圧縮取付具の1つの船外圧縮取付具、および複数の船内圧縮取付具の1つの船内圧縮取付具を下方フランジに直接結合する、パラグラフB3からB3.8のいずれかに記載の上方接合部。
B3.10.上方接合部組立体が、複数の締め金具を更に含み、複数の締め金具の少なくとも1つの部分集合の締め金具が、船内フランジ、中央上方スキン、中央上方ストリンガの水平フランジ、および船内圧縮取付具の水平フランジを一体に結合する、パラグラフB2に従属する場合、パラグラフB3からB3.9のいずれかに記載の上方接合部。
B3.11.上方接合部組立体が、複数の締め金具を更に含み、複数の締め金具の少なくとも1つの部分集合の締め金具が、船内圧縮取付具68の垂直ウェブ、および中央上方ストリンガの垂直フランジを一体に結合する、パラグラフB2に従属する場合、パラグラフB3からB3.10のいずれかに記載の上方接合部。
B3.12.複数の船外圧縮取付具のそれぞれが、複数の船内圧縮取付具の2つの直接向かい側の下方フランジに結合されている、パラグラフBからB3.11のいずれかに記載の上方接合部。
B3.13. 上方接合部の少なくとも機首尾翼方向の実質的な全長に対して、複数の船外圧縮取付具のそれぞれが、複数の船内圧縮取付具の1つの直接向かい側の下方フランジに結合される、パラグラフBからB3.11のいずれかに記載の上方接合部。
B4.船外上方翼パネルが、第1の材料から実質的に構成され、
中央上方翼パネルが、第1の材料とは異なる第2の材料から実質的に構成され、
上方接合部組立体が、第1の材料および第2の材料とは異なる第3の材料から少なくとも部分的に、任意で実質的に構成される、パラグラフBからB3.13のいずれかに記載の上方接合部。
B4.1.リブが、第2の材料から実質的に構成される、パラグラフB4に記載の上方接合部。
B4.2.第1の材料が、第1の熱膨張係数を有し、
第2の材料が、第1の熱膨張係数よりも大きい第2の熱膨張係数を有し、
第3の材料が、第1の熱膨張係数よりも大きく、第2の熱膨張係数よりも小さい第3の熱膨張係数を有する、パラグラフB4からB4.1のいずれかに記載の上方接合部。
B4.3.第1の材料が、第2の材料に対して、ガルバニック基準の陰極端部に向かい、第3の材料が、ガルバニック基準において、第1の材料と第2の材料との間にあり、および/または
第1の材料が、第3の材料よりも電気陰性度がより高く、第3の材料が、第2の材料よりも電気陰性度がより高い、パラグラフB4からB4.2のいずれかに記載の上方接合部。
B4.4.第1の材料が、繊維強化複合材料、および任意でカーボン繊維強化複合材料である、パラグラフB4からB4.3のいずれかに記載の上方接合部。
B4.5.第2の材料が、金属、および任意でアルミニウム合金である、パラグラフB4からB4.4のいずれかに記載の上方接合部。
B4.6.第3の材料が、金属、および任意でチタン合金である、パラグラフB4からB4.5のいずれかに記載の上方接合部。
B4.7.船外フランジ、船内フランジ、および下方フランジが、第3の材料から構成される、パラグラフB3に従属する場合、パラグラフB4からB4.6のいずれかに記載の上方接合部。
B4.8.複数の船外圧縮取付具が、第3の材料から構成される、パラグラフB3に従属する場合、パラグラフB4からB4.7のいずれかに記載の上方接合部。
B4.9.複数の船内圧縮取付具が、第2の材料から構成される、パラグラフB3に従属する場合、パラグラフB4からB4.7のいずれかに記載の上方接合部。
B4.10.上方T取付具が、第2の材料から構成される、パラグラフB3.1.1に従属する場合、パラグラフB4からB4.7のいずれかに記載の上方接合部。
B5.胴体と、
胴体に作動可能に結合されている翼組立体と
を備える航空機であって、
翼組立体が、
左翼ボックスと、
右翼ボックスと、
翼中央部分と、
左翼ボックスおよび翼中央部分を相互連結する、パラグラフBからB10のいずれかに記載の上方接合部と、
右翼ボックスおよび翼中央部分を相互連結する、パラグラフBからB10のいずれかに記載の上方接合部と
を含む、航空機。
【0058】
本明細書で使用する場合、「適用される(adapted)」および「構成される(configured)」という用語は、要素、構成要素、または他の主題が、所与の機能を実施するように設計され、および/または意図されるという意味である。したがって、用語「適用される」および「構成される」の使用は、所与の要素、構成要素、または他の主題が、所与の機能を単に実施する「ことができる(capable of)」ということを意味すると考えるべきではなく、要素、構成要素、および/または他の主題が、機能を実施する目的で、具体的に選択され、生成され、実施され、使用され、プログラムされ、および/または設計されるという意味であると考えるべきである。特定の機能を実施するように適用されるものとして列挙される要素、構成要素、および/または他の列挙される主題が、その機能を実施するために構成されるものとして追加的に、または代替的に記載されることができ、その逆もまた可能であるということもまた、本開示の範囲内にある。同様に、特定の機能を実施するために構成されるものとして列挙される主題は、その機能を実施するために作動可能であるものとして、追加的に、または代替的に記載され得る。
【0059】
本明細書に開示する装置の様々な開示される要素は、すべての装置に必要ではなく、本開示は、本明細書に開示される様々な要素のすべての新規で、自明でない組合せ、および副組合せを含む。更に、本明細書に開示される1つまたは複数の様々な要素が、開示される装置の全体とは別の、分離している、独立した新規な主題を定義することができる。したがって、そのような新規な主題は、本明細書に明確に開示される特定の装置に関連する必要はなく、そのよう新規な主題は、本明細書に明確に開示されない装置の中で有益性を発見することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 航空機
11 胴体
12 翼組立体
14 左翼
16 右翼
18 翼中央部分
20 左翼ボックス(船外翼ボックス)
22 右翼ボックス(船外翼ボックス)
24 船外上方翼パネル
26 船外下方翼パネル
28 中央上方翼パネル
30 中央下方翼パネル
32 リブ
34 下方接合部
36 上方接合部
38 上方接合部組立体または上方接合部構造体
40 船外上方ストリンガ
42 船外上方スキン
44 中央上方ストリンガ
45 水平フランジ
46 中央上方スキン
47 垂直フランジ
48 対合平面
50 圧縮内側圧力
52 圧縮外側圧力
54 重心(圧力重心)
56 重心(圧力重心)
60 船外フランジ
62 船内フランジ
64 下方フランジ
66 船外圧縮取付具
68 船内圧縮取付具
69 水平フランジ
70 継目板
72 下方T取付具
74 上方T取付具
76 締め金具
136 第1の上方接合部
236 第2の上方接合部
336 第3の上方接合部
436 第4の上方接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23