特許第6403457号(P6403457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403457
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】レーザ加工機
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/10 20060101AFI20181001BHJP
   B23K 26/04 20140101ALI20181001BHJP
【FI】
   B23K26/10
   B23K26/04
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-133825(P2014-133825)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10806(P2016-10806A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】西脇 靖樹
(72)【発明者】
【氏名】小室 陽平
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−035983(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/022200(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/056715(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物となる板を支持する支持体と、
その支持体に支持された前記板へ向けてレーザ光を照射する加工ヘッドと、
その加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸に直交する方向へ基体に対して前記加工ヘッドを移動させる第1移動手段と、
前記加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸に平行な方向へ前記基体に対して前記支持体を移動させる第2移動手段とを備え、
前記支持体は、2組の向かい合う第1縁部および第2縁部を有する外形に形成され、
前記第2移動手段は、前記第1縁部と前記基体との間にそれぞれ介設される一対のアクチュエータと、
その一対のアクチュエータのそれぞれの配置位置に対する前記第1縁部の両側と前記基体との間にそれぞれ介設される2組の第1リニア軸受と
前記第1縁部の両側にそれぞれ位置する前記第1リニア軸受の配置位置の内側の前記第1縁部と前記基体との間にそれぞれ介設される第2リニア軸受とを備え、
前記第2リニア軸受は、前記加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸と平行に配置される案内レールと、
前記案内レールに沿って移動可能なスライダと、
前記案内レールと前記スライダとの間に配置される転動体とを備え、
前記支持体は、前記一対のアクチュエータの直線運動により前記基体に対してレーザ光の光軸方向へ移動されると共に、前記転動体が負荷状態で転動することでレーザ光に垂直な方向への運動が規制されることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項2】
前記第1移動手段は、前記第1縁部に沿って延設されると共に前記基体に配置される一対のガイドと、
その一対のガイドに跨設されると共に、前記第2縁部に沿って前記加工ヘッドが移動可能に配置されるガントリとを備えていることを特徴とする請求項記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記第2リニア軸受は、前記一対のアクチュエータにそれぞれ組み込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ加工機に関し、特に加工精度を向上できるレーザ加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被加工物となる板へ向けてレーザ光を照射し、板の切断加工や溝加工を行うレーザ加工機が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示される技術では、レーザ光の光軸に対して光軸と直交する方向にGaN基板(被加工物)を相対移動させることで、基板の表面にレーザ光が走査される。また、基板が載置された架台を昇降させ、基板の光軸方向の位置を調整することで、レーザ光の焦点を基板の表面に合わせることができる。これにより、基板の加工精度を向上させることができる。なお、架台は、架台の下部中央に配置された昇降部材のシャフトによって支持され、そのシャフトを上下させることによって昇降される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−222895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術では、架台の下部中央に配置されたシャフトで架台が支持されるので、シャフトを動的に上下させるときにシャフトを中心に架台が揺動(振動)し易く、基板(被加工物)の面積が大きくなるにつれて加工精度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、加工精度を向上できるレーザ加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載のレーザ加工機は、被加工物となる板を支持する支持体と、その支持体に支持された前記板へ向けてレーザ光を照射する加工ヘッドと、その加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸に直交する方向へ基体に対して前記加工ヘッドを移動させる第1移動手段と、前記加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸に平行な方向へ前記基体に対して前記支持体を移動させる第2移動手段とを備え、前記支持体は、2組の向かい合う第1縁部および第2縁部を有する外形に形成され、前記第2移動手段は、前記第1縁部と前記基体との間にそれぞれ介設される一対のアクチュエータと、その一対のアクチュエータのそれぞれの配置位置に対する前記第1縁部の両側と前記基体との間にそれぞれ介設される2組の第1リニア軸受と、前記第1縁部の両側にそれぞれ位置する前記第1リニア軸受の配置位置の内側の前記第1縁部と前記基体との間にそれぞれ介設される第2リニア軸受とを備え、前記第2リニア軸受は、前記加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸と平行に配置される案内レールと、前記案内レールに沿って移動可能なスライダと、前記案内レールと前記スライダとの間に配置される転動体とを備え、前記支持体は、前記一対のアクチュエータの直線運動により前記基体に対してレーザ光の光軸方向へ移動されると共に、前記転動体が負荷状態で転動することでレーザ光に垂直な方向への運動が規制される。
【0007】
【0008】
請求項記載のレーザ加工機は、請求項記載のものにおいて、前記第1移動手段は、前記第1縁部に沿って延設されると共に前記基体に配置される一対のガイドと、その一対のガイドに跨設されると共に、前記第2縁部に沿って前記加工ヘッドが移動可能に配置されるガントリとを備えている。
【0009】
請求項記載のレーザ加工機は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記第2リニア軸受は、前記一対のアクチュエータにそれぞれ組み込まれている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のレーザ加工機によれば、被加工物となる板が支持体により支持され、支持体に支持された板へ向けて加工ヘッドからレーザ光が照射される。加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸に直交する方向へ、第1移動手段により基体に対して加工ヘッドが移動され、加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸に平行な方向へ、第2移動手段により基体に対して支持体が移動される。支持体は、2組の向かい合う第1縁部および第2縁部を有する外形に形成される。
【0011】
第2移動手段は、一対のアクチュエータと、2組の第1リニア軸受とを備えている。一対のアクチュエータは、第1縁部と基体との間にそれぞれ介設される。2組の第1リニア軸受は、一対のアクチュエータのそれぞれの配置位置に対する第1縁部の両側と基体との間にそれぞれ介設される。支持体は、2組の第1リニア軸受に案内されると共に一対のアクチュエータの直線運動により、基体に対してレーザ光の光軸方向へ移動される。一対のアクチュエータを作動させて支持体を移動させるときに、2組の第1リニア軸受によって第1縁部および第2縁部の両側が、光軸に対して直交する方向へ移動することが抑制される。従って、光軸方向へ支持体を移動させるときの支持体の撓みや振動を抑制できる。その結果、被加工物の光軸方向の位置をレーザ光の焦点の位置に正確に合わせることができるので、加工精度を向上できる効果がある。
【0012】
第2移動手段第2リニア軸受は、第1縁部の両側にそれぞれ位置する第1リニア軸受の配置位置の内側の第1縁部と基体との間にそれぞれ介設される。第2リニア軸受は、加工ヘッドから照射されるレーザ光の光軸と平行に配置される案内レールとスライダとの間に転動体が配置される。一対のアクチュエータの直線運動により、転動体が負荷状態で転動することでレーザ光に垂直な方向への支持体の運動が規制される。これにより、一対のアクチュエータを作動させて支持体を移動させるときに、第2リニア軸受の配置位置の内側の第1縁部を振動させ難くできるので加工精度をさらに向上できる効果がある。
【0013】
請求項記載のレーザ加工機によれば、第1移動手段は、第1縁部に沿って延設される一対のガイドが基体に配置され、一対のガイドに跨設されるガントリに、第2縁部に沿って加工ヘッドが移動可能に配置される。これにより、加工ヘッドの移動範囲が第1リニア軸受に制限されることを防ぎ、支持体に支持される被加工物の加工領域を確保できる。また、第2移動手段が支持体と基台との間に介設されているので、ガントリ側に第2移動手段を設ける場合と比較して、ガントリを小型軽量化できる。その結果、第1移動手段の慣性を小さくすることができ、請求項の効果に加え、高精度かつ高速な加工を実現できる効果がある。
【0014】
請求項記載のレーザ加工機によれば、第2リニア軸受は一対のアクチュエータにそれぞれ組み込まれている。よって、請求項1又は2の効果に加え、アクチュエータと別に第2リニア軸受を設ける場合と比較して部品点数を削減できると共に、第2リニア軸受の配置スペースを不要にできるので、部品の配置スペースを狭小化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態におけるレーザ加工機の平面図である。
図2図1のII−II線におけるレーザ加工機の断面図である。
図3図1のIII−III線におけるレーザ加工機の断面図である。
図4図1のIV−IV線におけるレーザ加工機の断面図である。
図5】支持体を上昇させたときのレーザ加工機の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照してレーザ加工機1の概略構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるレーザ加工機1の平面図である。なお、図1において、定盤2の上面(支持体の上面)に対して平行、且つ、ガントリ22が延伸する方向(図1左右方向)をX方向とする。また、定盤2の上面(支持体10の上面)に対して平行、且つ、ガイド21が延伸する方向(X方向と直交する図1上下方向)をY方向とし、定盤2の上面(支持体の上面)に対して垂直方向(図1紙面垂直方向)をZ方向とする。
【0017】
図1に示すようにレーザ加工機1は、被加工物(図示せず)である板(厚さ0.1mm〜2mm程度)へ向けて加工ヘッド7からレーザ光を照射して所定の開口部や溝を被加工物に形成するための装置である。レーザ加工機1は、平面視して矩形状に形成される定盤2と、定盤2の上面に載置された基台3(図2参照)と、基台3の上面を覆う天板4と、天板4の一部を覆う基盤5とを備えている。定盤2、基台3、天板4及び基盤5は、レーザ加工機1の基体の少なくとも一部を構成する。基盤5の中央かつ上方(図1紙面手前側)に支持体10が配置され、支持体10の上方(図1紙面手前側)に加工ヘッド7が配置される。支持体10に対する加工ヘッド7のXY方向の相対位置は第1移動手段20により設定され、支持体10に対する加工ヘッド7のZ方向の相対位置は第2移動手段30により設定される。
【0018】
支持体10は、被加工物となる板を支持するための部材であり、平面視して略矩形状(正方形または長方形)に形成されている。支持体10は、所定間隔をあけて平行に配置される一対の細長い板状のホルダ11と、ホルダ11に架設される板状体12とを備えている。本実施の形態では、板状体12は、Z方向に開口する複数の隔壁でハニカム状に形成されており、被加工物は板状体12に載せた状態で加工される。板状体12がハニカム状に形成されることで、支持体10を軽量化できる。また、被加工物は板状体12の薄い隔壁で支持されるので、レーザ光の入熱によって溶融した被加工物(以下「溶融物」と称す)を、板状体12の裏側に落下させることができる。なお、板状体12の縁部にクランプ(図示せず)を取り付けることは可能である。クランプを設けた場合には、被加工物は、クランプで端が締め付けられて板状体12に固定される。
【0019】
支持体10は、平面視して略矩形状に形成されることで、2組の向かい合う第1縁部13及び第2縁部14を有している。第1縁部13はY方向に直線状に延在する一対の縁部であり、第2縁部14はX方向に直線状に延在する一対の縁部である。本実施の形態では、支持体10の第1縁部13はホルダ11によって補強されている。第1縁部13は、それぞれ延在方向(Y方向)の中央にアクチュエータ32が配置され、延在方向(Y方向)の両側に第1リニア軸受40が配置されている。アクチュエータ32及び第1リニア軸受40は、支持体10に対する加工ヘッド7のZ方向の相対位置を設定する第2移動手段30(後述する)の一部である。
【0020】
支持体10に対する加工ヘッド7のXY方向の相対位置は第1移動手段20により設定される。第1移動手段20は、支持体10に対してX方向の外側に配置される一対のガイド21と、ガイド21に跨設される梁状のガントリ22と、ガントリ22に配設されると共に加工ヘッド7が固設されるスライダ23とを備えている。ガイド21は、互いに平行となるように離隔されると共に基台3(図2参照)に設けられる一対の部材であり、第1縁部13の延在方向(Y方向)に沿って延設されると共に、長さが、第1縁部13の長さよりも大きく設定される。ガントリ22は、ガイド21と直交する方向に延設される。ガントリ22は、ガイド21に沿ってY方向に移動可能であり、スライダ23は、ガントリ22に沿ってX方向に移動可能である。ガイド21に沿ってガントリ22がY方向に移動し、ガントリ22に沿ってスライダ23がX方向に移動することによって、スライダ23に固設された加工ヘッド7は、レーザ光の光軸(Z方向)と直交するXY平面上を移動する。
【0021】
次に図2から図4を参照してレーザ加工機1の構成について詳しく説明する。図2図1のII−II線におけるレーザ加工機1の断面図である。図2に示すように、定盤2は略直方体状の基台3が上面に載置され、基台3は上面が天板4に覆われている。基台3及び天板4は、平面視して略矩形状に形成された凹部3a,4aが中央にそれぞれ凹設されており、凹部3a,4aの内壁は、略四角筒状で上部が開口した有底の受け部材6に覆われている。
【0022】
ここで、レーザ加工機1はレーザ光の入熱による被加工物の溶融を利用しているので、溶融物が凝集して再凝固すると、ドロスとして被加工物の切断部に付着する。これを防ぐため、加工ヘッド7(図1参照)からレーザ光と同軸にアシストガスを噴射し、生じた溶融物を吹き飛ばして、被加工物の切断部にドロスが付着することを抑制する。アシストガスによって被加工物および支持体10の裏側に吹き飛ばされた溶融物は受け部材6の内側に溜められるので、溶融物が周囲に飛散することを防止できる。
【0023】
支持体10のホルダ11(第1縁部13)の延設方向の中央を下から支持するアクチュエータ32は凹部3a,4a内に配置され、ホルダ11(第1縁部13)の延設方向両側を支持する第1リニア軸受40は基盤5の上面に配置される。本実施の形態では、アクチュエータ32は、ボールネジ機構とリニア軸受とが組み合わされた一軸アクチュエータである。
【0024】
次に図3を参照してアクチュエータ32の取付構造について説明する。図3図1のIII−III線におけるレーザ加工機1の断面図である。なお、図3では板状体12のX方向の中間部分の図示を省略する。アクチュエータ32は、支持体10(ホルダ11)をZ方向に昇降するための装置であり、基盤5の上面から受け部材6の内側(凹部3a,4aの内側)に亘って配置されるブラケット31に設置される。
【0025】
アクチュエータ32(一軸アクチュエータ)は、案内レール33と、案内レール33に配置されたスライダ(図示せず)と、案内レール33とスライダとの間に配置された転動体(図示せず)とを有している。スライダには案内レール33と平行にナット(図示せず)が形成され、ナットの螺旋溝およびナットを貫通するねじ軸(図示せず)の螺旋溝で形成される軌道に複数個のボール(図示せず)が配置される。モータ(図示せず)を駆動源とするねじ軸の回転により、ボールを介してねじ軸の回転力がナットに伝達され、転動体が負荷状態で転動することにより、スライダが案内レール33に沿って移動する。
【0026】
なお、案内レール33は、長手方向が、加工ヘッド7(図1参照)から照射されるレーザ光の光軸と平行となるようにブラケット31に取り付けられる。これにより、アクチュエータ32を作動させることによって、レーザ光の光軸と平行を保った状態でシャフト34を上下させることができる。
【0027】
シャフト34は、アクチュエータ32のスライダに取り付けられる一方、スライダの上方に位置する端部がホルダ11の裏面側に取り付けられる。アクチュエータ32が作動することによりスライダが移動し、スライダの移動に伴ってシャフト34が上下される。一対のアクチュエータ32のシャフト34の上下動を同期させることで、シャフト34の上下によって支持体10がZ方向に昇降される。スライダが移動してシャフト34が上下するときには、案内レールとスライダとの間に配置された転動体が負荷状態で転動するので、スライダに取り付けられたシャフト34は、XY方向の運動(ガタつき)が規制される。従って、アクチュエータ32(一軸アクチュエータ)は、直線運動によって支持体10をZ方向に昇降する機能と、支持体10のXY方向の運動(振動)を規制するリニア軸受(第2リニア軸受)の機能とを有している。即ち、アクチュエータ32はリニア軸受が組み込まれている。
【0028】
アクチュエータ32は、シャフト34を挟んでブラケット31の反対側に第1カバー35が、上方へ向けて突設されている。第1カバー35は、薄板状に形成される部材であり、シャフト34に対してX方向の中央側に配置される。一方、ホルダ11は、薄板状に形成される第2カバー36が、下方へ向けて突設されている。第2カバー36は、アクチュエータ32のシャフト34が下降した状態において、第1カバー35に対してX方向に重なり合う位置に配置される。なお、第1カバー35及び第2カバー36のZ方向長さは、アクチュエータ32のシャフト34が上昇した状態において、第1カバー35と第2カバー36との間に少なくともZ方向(図3上下方向)に隙間が生じないように設定される。
【0029】
次に図4を参照して、第1リニア軸受40の取付構造について説明する。図4図1のIV−IV線におけるレーザ加工機1の断面図である。なお、図4では基盤5及び板状体12のX方向の中間部分の図示を省略する。第1リニア軸受40は、支持体10(ホルダ11)のZ方向の運動を案内する機能と、支持体10のXY方向の運動(振動)を規制する機能とを有する装置である。第1リニア軸受40は、正面視(図4紙面垂直方向視)して略L字状に形成されると共に互いに対峙して基盤5に立設されるスタンド41と、ホルダ11に取着されるブラケット44との間に介設される。第1リニア軸受40は、互いに対向するスタンド41の側面に固設される案内レール42と、案内レール42に摺動可能に取り付けられるスライダ43とを備えている。
【0030】
案内レール42は、長手方向が、加工ヘッド7(図1参照)から照射されるレーザ光の光軸と平行となるようにスタンド41に取り付けられる。これにより、レーザ光の光軸と平行を保った状態で、スライダ43を案内レール42に沿って上下させることができる。スライダ43は、案内レール42に対して直線運動をする部材であり、ブラケット44が設置される。ブラケット44は、正面視(図4垂直方向視)して略L字状に形成される部材であり、互いに対向するスライダ43の側面に所定部が取り付けられると共に、ホルダ11の裏面(図4下側面)を下から支持する。ホルダ11はブラケット44によって裏面が支持されるので、ブラケット44との接触面積を確保し、堅牢にできる。
【0031】
次に図5を参照してレーザ加工機1の使用方法について説明する。図5は支持体10(板状体12)を上昇させたときのレーザ加工機1の部分断面図である。レーザ加工機1を用いて被加工物に加工を行うときには、板状体12に被加工物(図示せず)を載置した後、ガイド21(図1参照)に対してガントリ22をY方向へ移動させると共に、ガントリ22に対してスライダ23をX方向へ移動させることにより、被加工物の上方へ加工ヘッド7を移動させ、加工ヘッド7のXY方向の位置を設定する。それと同時に、図5に示すように、アクチュエータ32を作動させてシャフト34を上昇させ、被加工物と加工ヘッド7(図1参照)とのZ方向の距離を調整する。この調整により、被加工物の表面でレーザ光の焦点が結ばれるようにする。アクチュエータ32を作動させ、被加工物と加工ヘッド7(図1参照)とのZ方向の距離を調整しながら、加工ヘッド7から被加工物へ向けてレーザ光を照射すると共にレーザ光と同軸にアシストガスを噴射することで、高精度のレーザ加工を行うことができる。被加工物の種類や品質にもよるが、アクチュエータ32による支持体10のZ方向の高さ調整は、一般に、数十μmから0.1mm程度の範囲で行われる。
【0032】
なお、アクチュエータ32は、支持体10(ホルダ11)の裏面に配置されているので、アクチュエータ32が支持体10の表面側に配置される場合と比較して、支持体10の表面側をXY方向に移動する加工ヘッド7の可動領域が、アクチュエータ32によって狭められることを防止できる。一方で、アクチュエータ32が支持体10の裏面側に配置されることで、アシストガスによって支持体10の裏側に吹き飛ばされる溶融物が、アクチュエータ32の可動部分に侵入するおそれがある。しかし、アクチュエータ32に取り付けられる第1カバー35及びホルダ11に取り付けられる第2カバー36が、アクチュエータ32のシャフト34が上昇した状態において、第1カバー35と第2カバー36との間にZ方向(図5上下方向)の隙間が生じないように設定されるので、溶融物がシャフト34等の可動部分に侵入することを防止できる。その結果、アクチュエータ32を故障し難くすることができる。
【0033】
また、レーザ加工機1は、支持体10のZ方向の位置調整によって被加工物と加工ヘッド7(図1参照)とのZ方向の距離を調整するので、アクチュエータ32等の機構を加工ヘッド7側(ガントリ22、スライダ23及び加工ヘッド7)に設けなくて済む。アクチュエータ32等の機構を加工ヘッド7側が省略できる分だけ、加工ヘッド7側を小型軽量化できる。加工ヘッド7側の軽量化によって慣性を小さくできるので、ガントリ22及びスライダ23が移動することによるXY方向の位置決めの敏捷性を向上できる。その結果、高速のレーザ加工を実現できる。
【0034】
ここで、支持体10を支持する一対のアクチュエータ32は、支持体10の向かい合う第1縁部13の延在方向の中央と、基盤5に取り付けられたブラケット31との間にそれぞれ介設される。一方、2組の第1リニア軸受40は、第1縁部13の延在方向の両側と基盤5に立設されたスタンド41との間にブラケット44を介してそれぞれ介設される。支持体10は、2組の第1リニア軸受40に案内されると共に一対のアクチュエータ32の直線運動により、定盤2に対してレーザ光の光軸方向(Z方向)へ移動される。
【0035】
2組の第1リニア軸受40によって、一対のアクチュエータ32を作動させて支持体10を移動させるときに、第1縁部13及び第2縁部14がXY方向へ移動することが抑制される。従って、光軸方向(Z方向)へ支持体10を移動させるときの支持体10の撓みや振動を抑制できる。その結果、支持体10に支持された被加工物(図示せず)の光軸方向の位置をレーザ光の焦点の位置に正確に合わせることができる。よって、加工精度を向上できる。
【0036】
特に、支持体10は、アクチュエータ32を作動させたときのシャフト34のZ方向の移動加速度が大きいほど、また、シャフト34のZ方向の移動量が大きいほど振動(撓み変形)が大きくなる傾向がみられる。しかし、第2リニア軸受40によって支持体10の振動を抑制できるので、第2リニア軸受40がない場合と比較して、支持体10の振動を抑制しつつ支持体10のZ方向の移動速度および移動量を大きくできる。その結果、被加工物(図示せず)の反りやうねりに合わせて、レーザ光の焦点のZ方向の位置を調整できる。よって、加工精度を向上できる。
【0037】
また、支持体10の第1縁部13にホルダ11が配置されているので、ホルダ11によって第1縁部13の剛性を確保できる。アクチュエータ32及び第1リニア軸受40は、剛性が確保された支持体10の第1縁部13を介して支持体10を昇降させるので、第1縁部13の延在方向の中央に配置されたアクチュエータ32と、第1縁部13の延在方向の両側に配置されたリニア軸受40との3点支持によって、支持体10をバランス良く昇降できると共に、その昇降に伴う振動を抑制できる。よって、アクチュエータ32の必要数を最小にできると共に、支持体10に支持された被加工物の加工精度を向上できる。
【0038】
なお、ハニカム状に形成された板状体12を備える支持体10は軽量化できるので、支持体10を昇降させるためのアクチュエータ32の負荷を小さくできる。さらに、慣性を小さくできるので、Z方向の位置決めの敏捷性を向上させ、Z方向の位置決め精度を向上させることができる。その結果、加工精度を向上させることができる。
【0039】
また、アクチュエータ32(一軸アクチュエータ)はリニア軸受としての機能を有しているので、アクチュエータ32に組み込まれたリニア軸受、即ちアクチュエータ32に並設された第2リニア軸受によって、第1縁部13の延在方向の中央を振動させ難くできる(特にXY方向に振動させ難くできる)。その結果、加工精度をさらに向上できる。
【0040】
ここで、第1リニア軸受40は、支持体10(ホルダ11)の裏面に配置されるアクチュエータ32と異なり、支持体10の第2縁部14の延在方向(X方向)両側の基盤5の上方に配置されている。そのため、第1リニア軸受40が障害となって、XY方向へ可動する加工ヘッド7の可動領域が制限される可能性がある。これを防ぐため、一対のガイド21(図1参照)は、第1縁部13の延在方向(Y方向)に沿って延設される。それに伴い、ガイド21に跨設されたガントリ22は、ガイド21に沿って第1縁部13の延在方向(Y方向)へ移動される。その結果、第1リニア軸受40はガントリ22の延在方向(X方向)の両側に配置されるので、支持体10のY方向に亘って加工ヘッド7を可動させることができる。また、ガントリ22及び加工ヘッド7は、それらの底部が、第1リニア軸受40(スタンド41及び案内レール42)の頂部よりも高所となるように設置されている。その結果、ガントリ22の延在方向(X方向)の中央部分の加工ヘッド7の可動領域が、第1リニア軸受40によって狭められることを防止できる。よって、支持体10に支持される被加工物の加工領域を確保できる。
【0041】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0042】
上記実施の形態では、アクチュエータ32がボールネジ機構とリニア軸受とが一体化された一軸アクチュエータの場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他のアクチュエータを採用することは当然可能である。他のアクチュエータとしては、例えば、電磁力を直線運動へ直接変換するリニアモータアクチュエータが挙げられる。このリニアモータアクチュエータにリニア軸受が並設されることで、上記実施の形態と同様の作用・効果を実現できる。なお、アクチュエータとリニア軸受とを並設する(2つの部品を並設する)場合と比較して、ボールネジ機構とリニア軸受とが一体化された一軸アクチュエータを用いることで、部品点数を削減できると共に、リニア軸受の配置スペースを不要にできるので、部品の配置スペースを狭小化できる。
【0043】
上記実施の形態では、被加工物が支持される支持体10が、ハニカム状に形成された板状体12を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、板状体に代えて、他の部材を採用することは当然可能である。他の部材としては、例えば、板状の部材に複数の針状体が立設されたものが挙げられる。これによれば、複数の針状体によって被加工物が支持される。また、被加工物の両端を把持するクランプを一対のホルダ11に設け、両端がクランプで把持された被加工物にX方向(図1左右方向)の引張力を加える機構を設けることは当然可能である。被加工物に引張力を加えながらレーザ加工を行うことで、加工中に被加工物に弛みが生じて加工精度が低下することを抑制できる。
【0044】
上記実施の形態では支持体10が略矩形状(正方形または長方形)に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、角が丸みを帯びた角丸四角状や長円状に支持体10が形成されることは当然可能である。支持体10がこれらの形状を有する場合も、向かい合う第1縁部13を有しているので、その第1縁部13にアクチュエータ32や第1リニア軸受40を配置できるからである。
【0045】
上記実施の形態では、支持体10の第1縁部13の延設方向の中央(第1縁部13の延設方向長さの二等分点)にアクチュエータ32が配置される場合について説明した。しかし、アクチュエータ32を第1縁部13の二等分点に設けることは必ずしも必要ではなく、バランスを崩さない範囲で、その二等分点の近傍(延設方向の中ほど)にアクチュエータ32を設けることは当然可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 レーザ加工機
2 定盤(基体の一部)
3 基台(基体の一部)
4 天板(基体の一部)
5 基盤(基体の一部)
7 加工ヘッド
10 支持体
13 第1縁部
14 第2縁部
20 第1移動手段
21 ガイド
22 ガントリ
30 第2移動手段
32 アクチュエータ(第2リニア軸受)
33 案内レール
40 第1リニア軸受
図1
図2
図3
図4
図5