特許第6403485号(P6403485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403485
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】イオン注入装置及びイオン注入方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/317 20060101AFI20181001BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20181001BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20181001BHJP
   H01L 21/266 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01J37/317 C
   H01J37/09 A
   H01L21/265 T
   H01L21/265 603Z
   H01L21/265 M
【請求項の数】27
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-163051(P2014-163051)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-39092(P2016-39092A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183196
【氏名又は名称】住友重機械イオンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】佐野 信
(72)【発明者】
【氏名】月原 光国
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 玄
(72)【発明者】
【氏名】稲田 耕二
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−110236(JP,A)
【文献】 特開2003−229087(JP,A)
【文献】 特表2009−517849(JP,A)
【文献】 特開2006−114289(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0120067(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0269526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/30−37/36
H01J 37/09
H01L 21/265
H01L 21/266
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前段ビーム経路を通って入射するイオンビームを電場、磁場または電場及び磁場を作用させてy方向に偏向させ、ウェハに向けてz方向に延びる後段ビーム経路を通るようにビームを出射させるビーム偏向装置と、
前記ビーム偏向装置と前記ウェハの間にあって前記後段ビーム経路上に位置し、前記ウェハに向けて前記後段ビーム経路中を進行するビームを部分的に遮蔽するビームフィルタースリットであって、前記後段ビーム経路中のビームの中で前記ビームフィルタースリットを通過して前記ウェハに入射可能となる所定軌道を有するビーム成分を前記ウェハに向けて通過させるビームフィルタースリットと、
前記ビーム偏向装置と前記ビームフィルタースリットの間に位置し、前記ビーム偏向装置から出射されるビームの一部をビーム電流として計測するドーズカップと、
前記ビーム偏向装置と前記ドーズカップの間に位置し、前記ビーム偏向装置から出射して前記ドーズカップに向かうビームのうち前記所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分が前記ドーズカップの計測領域に入射することを防ぐ軌道制限機構と、
を備えることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
前記軌道制限機構は、一以上の開口部を有するマスク部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記後段ビーム経路が延びる前記z方向と直交する前記y方向に並んで複数設けられることを特徴とする請求項2に記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記ドーズカップの計測領域に対向する前記マスク部材のマスク領域に形成され、
前記マスク領域は、前記y方向の開口率が1/3以上2/3以下であることを特徴とする請求項3に記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記y方向および前記z方向の双方と直交するx方向に細長いスリット形状を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項6】
前記軌道制限機構は、一以上の第1開口部を有する第1マスク部材と、一以上の第2開口部を有する第2マスク部材とを含み、前記第1マスク部材および前記第2マスク部材は前記z方向に対向して設けられており、前記第1開口部および前記第2開口部の双方を通過可能な軌道以外の軌道を有するビーム成分が前記ドーズカップの前記計測領域に入射すること防ぐことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項7】
前記第2マスク部材は、前記第1開口部と対向する位置に設けられる前記第2開口部を有することを特徴とする請求項6に記載のイオン注入装置。
【請求項8】
前記第1マスク部材は、前記y方向に並んで設けられる複数の第1開口部を有し、
前記第2マスク部材は、前記複数の第1開口部に対応して前記y方向に並んで設けられる複数の第2開口部を有し、前記第1マスク部材の下流側に設けられており、
前記複数の第1開口部および前記複数の第2開口部のそれぞれは、前記y方向および前記z方向の双方と直交するx方向に細長いスリット形状を有し、
前記複数の第1開口部は、前記y方向の中央付近に設けられる第1中央開口部と、前記第1中央開口部から前記y方向に離れて設けられる第1端部開口部とを含み、
前記複数の第2開口部は、前記y方向の中央付近に設けられる第2中央開口部と、前記第2中央開口部から前記y方向に離れて設けられる第2端部開口部とを含み、
前記第2マスク部材は、前記第2中央開口部が前記第1中央開口部と対向する箇所に設けられ、前記第2端部開口部が前記第1端部開口部と対向する箇所よりも前記第2中央開口部に近い位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載のイオン注入装置。
【請求項9】
前記第2マスク部材は、前記第2中央開口部よりも前記第2端部開口部において、隣接する第2開口部の間隔が小さくなるように構成されることを特徴とする請求項8に記載のイオン注入装置。
【請求項10】
前記第2マスク部材は、前記第2中央開口部よりも前記第2端部開口部において、y方向の開口幅が小さくなるように構成されることを特徴とする請求項8または9に記載のイオン注入装置。
【請求項11】
前記軌道制限機構は、前記第1マスク部材および前記第2マスク部材の間に設けられ、一以上の第3開口部を有する一以上の第3マスク部材を含み、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部を通過可能な軌道以外の軌道を有するビーム成分が前記ドーズカップの前記計測領域に入射することを防ぐことを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項12】
前記マスク部材は、前記y方向の開口幅よりも、前記z方向の厚さが大きい開口部を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項13】
前記マスク部材は、前記開口部の内面に凹凸が形成されており、前記内面に入射するビームが前記ドーズカップに向かって反射されにくい構造を有することを特徴とする請求項12に記載のイオン注入装置。
【請求項14】
前記ビーム偏向装置は、少なくとも一対の偏向用電極を有し、前記少なくとも一対の偏向用電極間に生じる電界の作用によって前記イオンビームを偏向させ、
前記イオンビームを構成するイオンの一部は、前記ビーム偏向装置への入射前または前記ビーム偏向装置の通過中に価数変化が生じることで前記ビーム偏向装置による前記y方向の偏向量が変化し、さらにその一部は、前記ビーム偏向装置を通過した後に前記ビームフィルタースリットにより遮蔽され、
前記軌道制限機構は、前記ビーム偏向装置の通過中に価数変化が生じて前記所定軌道から逸脱し、前記ビームフィルタースリットにより遮蔽される軌道を有するビーム成分が前記ドーズカップの前記計測領域に入射することを防ぐことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項15】
前記ビーム偏向装置に入射するイオンビームは、多価イオンで構成されることを特徴とする請求項14に記載のイオン注入装置。
【請求項16】
前記ドーズカップは、前記ビームフィルタースリットよりも前記ビーム偏向装置の下流側出口に近い位置に設けられることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項17】
前記ビーム偏向装置は、前記イオンビームを電界の作用によって偏向させる少なくとも一対の偏向用電極と、前記少なくとも一対の偏向用電極の下流側出口に設けられ、二つのグランド電極および前記二つのグランド電極の間に設けられるサプレッション電極を有するサプレッション電極装置と、を含み、
前記ドーズカップは、前記サプレッション電極装置の下流側近傍に設けられることを特徴とする請求項16に記載のイオン注入装置。
【請求項18】
前記軌道制限機構は、前記二つのグランド電極の少なくとも一方に形成される開口部により実現されることを特徴とする請求項17に記載のイオン注入装置。
【請求項19】
前記ビーム偏向装置は、前記ウェハが位置する有効注入領域と、前記有効注入領域の外に位置する端部領域と、を含む照射範囲にビームを出射させるように構成され、
前記ドーズカップは、前記有効注入領域に向かうビームを遮らないよう、前記端部領域に向かうビームが入射する位置に設けられることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項20】
前記ビーム偏向装置の上流側に位置し、イオンビームを前記y方向および前記z方向の双方と直交するx方向に往復走査させるビーム走査器と、
前記ビーム走査器と前記ビーム偏向装置の間に位置し、前記往復走査されるイオンビームを平行化するビーム平行化装置と、をさらに備え、
前記ビーム走査器は、前記有効注入領域および前記端部領域とを含む照射範囲においてイオンビームが往復走査可能となるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載のイオン注入装置。
【請求項21】
前記軌道制限機構が設けられた前記ドーズカップにより計測されるビーム電流値を用いて、前記ビームフィルタースリットを通過して前記ウェハに入射するビーム照射量を推定する制御装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項22】
前記ウェハが設けられる位置においてビーム電流を計測するプロファイラカップをさらに備え、
前記制御装置は、前記ドーズカップおよび前記プロファイラカップのそれぞれにおいて前記ウェハへのビーム照射前に計測されるビーム電流値の相関関係と、前記ドーズカップにおいて前記ウェハへのビーム照射中に計測されるビーム電流値とを用いて、前記ウェハに入射するビーム照射量を推定することを特徴とする請求項21に記載のイオン注入装置。
【請求項23】
ウェハをy方向に往復運動させる往復運動装置、をさらに備え、
前記制御装置は、前記ウェハに入射するビーム照射量の推定値に基づいて、前記ウェハに照射されるビームの照射量および照射量分布が所望の値となるように、前記ウェハを往復運動させる速度を調整することを特徴とする請求項22に記載のイオン注入装置。
【請求項24】
前記軌道制限機構は、前記ドーズカップへ向かうビームの一部を制限可能な第1位置と、前記ドーズカップへ向かうビームを制限しない第2位置との間で変位可能に構成されていることを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項25】
前記軌道制限機構を第1軌道制限機構とし、前記ドーズカップを第1ドーズカップとした場合に、
前記ビーム偏向装置と前記ビームフィルタースリットの間に位置し、前記ビーム偏向装置との間に第2軌道制限機構が設けられる第2ドーズカップをさらに備え、
前記第1軌道制限機構に設けられる開口部および前記第2軌道制限機構に設けられる開口部は互いに前記y方向にずれて配置されており、
前記第2軌道制限機構は、前記所定軌道を有するビーム成分のうち前記第1軌道制限機構の非開口部により遮られる軌道を有するビーム成分を通過させて前記第2ドーズカップへ入射させることを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項26】
前記ビーム偏向装置と前記ビームフィルタースリットの間に位置し、前記ビーム偏向装置との間に前記軌道制限機構が設けられない第3ドーズカップをさらに備えることを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
【請求項27】
イオン注入装置を用いたイオン注入方法であって、
前記イオン注入装置は、
前段ビーム経路を通って入射するイオンビームを電場、磁場または電場及び磁場を作用させてy方向に偏向させ、ウェハに向けてz方向に延びる後段ビーム経路を通るようにビームを出射させるビーム偏向装置と、
前記ビーム偏向装置と前記ウェハの間にあって前記後段ビーム経路上に位置し、前記ウ
ェハに向けて前記後段ビーム経路中を進行するビームを部分的に遮蔽するビームフィルタースリットであって、前記後段ビーム経路中のビームの中で前記ビームフィルタースリットを通過して前記ウェハに入射可能となる所定軌道を有するビーム成分を前記ウェハに向けて通過させるビームフィルタースリットと、
前記ビーム偏向装置と前記ビームフィルタースリットの間に位置し、前記ビーム偏向装置から出射されるビームの一部をビーム電流として計測するドーズカップと、を備え、
前記ビーム偏向装置と前記ドーズカップの間に位置し、前記ビーム偏向装置から出射して前記ドーズカップに向かうビームのうち前記所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分が前記ドーズカップの計測領域に入射することを防ぐ軌道制限機構を介して、前記ドーズカップに入射するビームを計測することを特徴とするイオン注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入装置及びビーム計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、導電性を変化させる目的、半導体ウェハの結晶構造を変化させる目的などのため、半導体ウェハにイオンを注入する工程(以下、「イオン注入工程」と称する場合がある)が標準的に実施されている。イオン注入工程で使用される装置は、イオン注入装置と呼ばれ、イオン源によってイオンを生成し、生成したイオンを加速してイオンビームを形成する機能と、そのイオンビームを真空処理室まで輸送し、処理室内のウェハにイオンビームを照射する機能を有する。
【0003】
イオン注入装置は、例えば、イオン源、質量分析磁石装置、ビーム走査装置、ビーム平行化装置、角度エネルギーフィルタ装置、ウェハ処理室等が、ビームラインに沿って配置されており、半導体用基板であるウェハにイオンを注入するように構成されている。角度エネルギーフィルタ装置は、電場や磁場を作用させてイオンビームを偏向させ、所望のエネルギー値を有するイオンビームをウェハへ導く。また、ウェハへのイオン注入中においてイオンビーム電流値が計測できるように、角度エネルギーフィルタ装置の下流側にファラデーカップが設けられ、ウェハに注入されないビームの一部が測定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−204327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理対象となるウェハの表面には、回路パターン作成のためのフォトレジスト層が形成されていることがあり、イオン注入によってフォトレジスト層を構成する物質が分解され、ガスを発生させることがある。発生したガスは、ウェハ処理室やビームラインの真空度を低下させるとともに、ウェハに向かうイオンビームと相互作用してビームを構成するイオンの価数を変化させることがある。イオンに価数変化が生じると、エネルギーフィルタ装置等が印加する電場や磁場とビームの相互作用の態様が変化し、設計上想定している軌道からビームが逸れてしまうことがある。ファラデーカップの配置によっては、ウェハへ向かう軌道から逸脱した軌道のビーム成分が計測対象となりうるため、イオン注入量の制御に影響を及ぼしうる。
【0006】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、所定軌道を有するビーム成分を精度良く計測する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のイオン注入装置は、前段ビーム経路を通って入射するイオンビームを電場、磁場または電場及び磁場を作用させてy方向に偏向させ、ウェハに向けてz方向に延びる後段ビーム経路を通るようにビームを出射させるビーム偏向装置と、ビーム偏向装置とウェハの間にあって後段ビーム経路上に位置し、ウェハに向けて後段ビーム経路中を進行するビームを部分的に遮蔽し、後段ビーム経路中のビームの中で所定軌道を有するビーム成分をウェハに向けて通過させるビームフィルタースリットと、ビーム偏向装置とビームフィルタースリットの間に位置し、ビーム偏向装置から出射されるビームの一部をビーム電流として計測するドーズカップと、ビーム偏向装置とドーズカップの間に位置し、ビーム偏向装置から出射してドーズカップに向かうビームのうち所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分がドーズカップの計測領域に入射することを防ぐ軌道制限機構と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様は、イオン注入方法である。この方法は、イオン注入装置を用いたイオン注入方法であって、イオン注入装置は、前段ビーム経路を通って入射するイオンビームを電場、磁場または電場及び磁場を作用させてy方向に偏向させ、ウェハに向けてz方向に延びる後段ビーム経路を通るようにビームを出射させるビーム偏向装置と、ビーム偏向装置とウェハの間にあって後段ビーム経路上に位置し、ウェハに向けて後段ビーム経路中を進行するビームを部分的に遮蔽し、後段ビーム経路中のビームの中で所定軌道を有するビーム成分をウェハに向けて通過させるビームフィルタースリットと、ビーム偏向装置とビームフィルタースリットの間に位置し、ビーム偏向装置から出射されるビームの一部をビーム電流として計測するドーズカップと、を備える。この方法は、ビーム偏向装置とドーズカップの間に位置し、ビーム偏向装置から出射してドーズカップに向かうビームのうち所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分がドーズカップの計測領域に入射することを防ぐ軌道制限機構を介して、ドーズカップに入射するビームを計測する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、ビーム計測装置である。この装置は、イオンビームのビーム電流を計測可能とするファラデーカップと、ファラデーカップの入口に設けられ、所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分がファラデーカップの計測領域に入射することを防ぐ軌道制限機構と、を備える。軌道制限機構は、一以上の第1開口部を有する第1マスク部材と、一以上の第2開口部を有する第2マスク部材とを含み、第1マスク部材および第2マスク部材はビーム進行方向に対向して設けられており、第1開口部および第2開口部の双方を通過可能な軌道以外の軌道を有するビーム成分がファラデーカップの計測領域に入射すること防ぐ。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定軌道を有するビーム成分を精度良く計測でき、ドーズ制御の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係るイオン注入装置を概略的に示す上面図である。
図2図1に示すビーム輸送ラインユニットの一部の概略構成を示す平面図である。
図3図3(a)は、最終エネルギーフィルターおよび基板処理供給ユニットの概略構成を示す上面図であり、図3(b)は、最終エネルギーフィルターおよび基板処理供給ユニットの概略構成を示す側面図である。
図4】比較例に係るイオン注入装置においてドーズカップに入射可能なビームが有する軌道を模式的に示す図である。
図5】本実施の形態に係るイオン注入装置においてドーズカップに入射可能なビームが有する軌道を模式的に示す図である。
図6図6(a)は、軌道制限機構の構成を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、軌道制限機構の構成を模式的に示す正面図である。
図7】軌道制限機構を通過できるビーム軌道を模式的に示す図である。
図8図8(a)は、上流側グランド電極に形成される第1開口部を示す正面図であり、図8(b)は、下流側グランド電極に形成される第2開口部を示す正面図である。
図9】変形例8に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す断面図である。
図10図10(a)は、変形例1に係る第1マスク部材61の構成を模式的に示す正面図であり、図10(b)は、変形例1に係る第2マスク部材62の構成を模式的に示す正面図である。
図11】変形例1に係る軌道制限機構を通過できるビーム軌道を模式的に示す図である。
図12】軌道制限機構へ入射するビームのy方向の入射位置と、ビームフィルタースリットを通過できるビーム軌道のy方向の角度範囲との関係を模式的に示す図である。
図13図13(a)、(b)は、変形例2に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す断面図である。
図14図14(a)は、変形例3に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す断面図であり、図14(b)は、変形例3に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す正面図である。
図15】変形例4に係る軌道制限機構の開口部の形状を模式的に示す断面図である。
図16】変形例5に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す断面図である。
図17図17(a)、(b)は、変形例6に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す正面図である。
図18】変形例7に係るドーズカップの構成を模式的に示す断面図である。
図19】変形例8に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0014】
図1は、本発明のある実施の形態に係るイオン注入装置100を概略的に示す上面図である。図1には、イオン注入装置100のビームライン部の構成要素のレイアウトが示されている。イオン注入装置100のビームライン部は、イオン源10と、被処理物のための処理室と、を備えており、イオン源10から被処理物(例えば基板またはウェハ40)に向けてイオンビームBを輸送するよう構成されている。
【0015】
本書においては説明の便宜上、ビーム進行方向をz方向とし、z方向に直交する方向をx方向と表す。また、z方向及びx方向に直交する方向をy方向と表す。本実施の形態ではx方向は水平方向であり、y方向は鉛直方向である。
【0016】
イオン注入装置100は、いわゆる高エネルギーイオン注入装置に適する。高エネルギーイオン注入装置は、高周波線形加速方式のイオン加速器と高エネルギーイオン輸送用ビームラインを有するイオン注入装置である。高エネルギーイオン注入装置は、イオン源10で発生したイオンを高エネルギーに加速し、そうして得られたイオンビームBをビームラインに沿って被処理物まで輸送し、被処理物にイオンを注入する。
【0017】
図1に示すように、イオン注入装置100は、イオンを生成して質量分離するイオンビーム生成ユニット12と、イオンビームを加速して高エネルギーイオンビームにする高エネルギー多段直線加速ユニット14と、高エネルギーイオンビームの軌道をU字状に曲げるビーム偏向ユニット16と、高エネルギーイオンビームをウェハ40まで輸送するビーム輸送ラインユニット18と、輸送された高エネルギーイオンビームを均一に半導体ウェハに注入する基板処理供給ユニット20とを備える。
【0018】
イオンビーム生成ユニット12は、イオン源10と、引出電極11と、質量分析装置22と、を有する。イオンビーム生成ユニット12では、イオン源10から引出電極11を通してビームが引き出されると同時に加速され、引出加速されたビームは質量分析装置22により質量分析される。質量分析装置22は、質量分析磁石22a、質量分析スリット22bを有している。質量分析スリット22bは、質量分析磁石22aの直後に配置する場合もあるが、実施例では、その次の構成である高エネルギー多段直線加速ユニット14の入り口部内に配置している。
【0019】
質量分析装置22による質量分析の結果、注入に必要なイオン種だけが選別され、選別されたイオン種のイオンビームは、次の高エネルギー多段直線加速ユニット14に導かれる。高エネルギー多段直線加速ユニット14は、高エネルギーイオン注入用の基本的な複数段の高周波共振器を備える第1線形加速器15aを備える。高エネルギー多段直線加速ユニット14は、超高エネルギーイオン注入用の追加の複数段の高周波共振器を備える第2線形加速器15bを備えてもよい。高エネルギー多段直線加速ユニット14により加速されたイオンビームは、ビーム偏向ユニット16により方向が変化させられる。
【0020】
イオンビームを高加速する高周波(交流方式)の高エネルギー多段直線加速ユニット14を出た高エネルギーイオンビームは、ある範囲のエネルギー分布を持っている。このため、後段の高エネルギーのイオンビームをビーム走査およびビーム平行化させてメカニカルに走査移動中のウェハに照射するためには、事前に高い精度のエネルギー分析と、中心軌道補正、及びビーム収束発散の調整を実施しておくことが必要となる。
【0021】
ビーム偏向ユニット16は、高エネルギーイオンビームのエネルギー分析、中心軌道補正、エネルギー分散の制御を行う。ビーム偏向ユニット16は、少なくとも2つの高精度偏向電磁石と少なくとも1つのエネルギー幅制限スリットとエネルギー分析スリット、及び、少なくとも一つの横収束機器とを備える。複数の偏向電磁石は、高エネルギーイオンビームのエネルギー分析とイオン注入角度の精密な補正、及び、エネルギー分散の抑制とを行うよう構成されている。
【0022】
ビーム偏向ユニット16は、エネルギー分析電磁石24と、エネルギー分散を抑制する横収束四重極レンズ26と、エネルギー分析スリット28と、ステアリング(軌道補正)を提供するステアリング電磁石30とを有する。エネルギー分析電磁石24は、ビーム偏向ユニット16の複数の偏向電磁石のうち最上流側の1つである。ステアリング電磁石30は、ビーム偏向ユニット16の複数の偏向電磁石のうち最下流側の1つである。なお、エネルギー分析電磁石24は、エネルギーフィルター電磁石(EFM)と呼ばれることもある。高エネルギーイオンビームは、ビーム偏向ユニット16によって方向転換され、ウェハ40の方向へ向かう。
【0023】
ビーム偏向ユニット16の各偏向電磁石を通過中のイオンには、遠心力とローレンツ力が働いており、それらが釣り合って、円弧状の軌跡が描かれる。この釣合いを式で表すとmv=qBrとなる。mはイオンの質量、vは速度、qはイオン価数、Bは偏向電磁石の磁束密度、rは軌跡の曲率半径である。この軌跡の曲率半径rが、偏向電磁石の磁極中心の曲率半径と一致したイオンのみが、偏向電磁石を通過できる。言い換えると、イオンの価数が同じ場合、一定の磁場Bがかかっている偏向電磁石を通過できるのは、特定の運動量mvを持ったイオンのみである。EFMは、エネルギー分析電磁石と呼ばれているが、実際は、イオンの運動量を分析する装置である。BMや、イオン生成ユニットの質量分析電磁石も、全て運動量フィルターである。
【0024】
また、ビーム偏向ユニット16は、複数の磁石を用いることで、イオンビームを180°偏向させることができる。これにより、ビームラインがU字状の高エネルギーイオン注入装置を簡易な構成で実現できる。
【0025】
上述のように、ビーム偏向ユニット16は、イオン源で発生したイオンを加速してウェハまで輸送して打ち込むイオン注入装置において、高エネルギー多段直線加速ユニット14とビーム輸送ラインユニット18との間において、イオンビームの180°の偏向を複数の電磁石で行っている。エネルギー分析電磁石24およびステアリング電磁石30は、それぞれ偏向角度が90度となるように構成されており、その結果、合計の偏向角度が180度となるように構成されている。なお、一つの磁石で行う偏向量は90°に限られず、以下の組合せでもよい。
(1)偏向量が90°の磁石が1つ+偏向量が45°の磁石が2つ
(2)偏向量が60°の磁石が3つ
(3)偏向量が45°の磁石が4つ
(4)偏向量が30°の磁石が6つ
(5)偏向量が60°の磁石が1つ+偏向量が120°の磁石が1つ
(6)偏向量が30°の磁石が1つ+偏向量が150°の磁石が1つ
【0026】
エネルギー分析電磁石24には高い磁場精度が必要であるので、精密な磁場測定を行う高精度な磁場測定器86が、取り付けられている。磁場測定器86は、MRP(磁気共鳴プローブ)とも呼ばれるNMR(核磁気共鳴)プローブとホールプローブとを適宜組み合わせたもので、MRPはホールプローブの校正に、ホールプローブは磁場一定のフィードバック制御にそれぞれ使用される。また、エネルギー分析電磁石24は、磁場の不均一性が0.01%未満になるように、厳しい精度で製作されている。ステアリング電磁石30にも同様に、磁場測定器86が設けられている。なおステアリング電磁石30の磁場測定器86には、ホールプローブのみ取り付けられていてもよい。さらに、エネルギー分析電磁石24及びステアリング電磁石30の各々には、電流設定精度と電流安定度とが1×10−4以内の電源とその制御機器が接続されている。
【0027】
ビーム輸送ラインユニット18は、ビーム偏向ユニット16から出たイオンビームBを輸送するものであり、収束/発散レンズ群から構成されるビーム整形器32と、ビーム走査器34と、ビーム平行化器36と、静電式の最終エネルギーフィルター38(最終エネルギー分離スリットを含む)とを有する。ビーム輸送ラインユニット18の長さは、イオンビーム生成ユニット12と高エネルギー多段直線加速ユニット14との長さに合わせて設計されている。ビーム輸送ラインユニット18は、高エネルギー多段直線加速ユニット14とビーム偏向ユニット16により連結されて、全体でU字状のレイアウトを形成する。
【0028】
図2は、ビーム輸送ラインユニット18の一部の概略構成を示す平面図である。ビーム偏向ユニット16(図1参照)によって必要なイオン種のみが分離され、必要なエネルギー値のイオンのみとなったビームは、ビーム整形器32により所望の断面形状に整形される。図示されるように、ビーム整形器32は、Q(四重極)レンズ等(電場式若しくは磁場式)の収束/発散レンズ群により構成される。整形された断面形状を持つビームは、ビーム走査器34により図2の紙面に平行な方向に走査される。例えば、横収束(縦発散)レンズQF/横発散(縦収束)レンズQD/横収束(縦発散)レンズQFからなるトリプレットQレンズ群として構成される。ビーム整形器32は、必要に応じて、横収束レンズQF、横発散レンズQDをそれぞれ単独で、あるいは複数組み合わせて構成することができる。
【0029】
ビーム走査器34は、周期的に変化する偏向角度で走査原点Sにてイオンビームをx方向に偏向することによりイオンビームを走査するよう構成されている。走査原点Sは、ビーム走査器34への入射ビーム軌道の延長線L1(37b)とビーム走査器34からの出射ビーム軌道37a、37cの延長線との交点である。
【0030】
ビーム走査器34は、周期変動する電場により、イオンビームの進行方向と直交する水平方向にイオンビームを周期的に往復走査させる偏向走査装置である。図2に示されるように、ビーム走査器34は、ビーム進行方向に関して、イオンビームの通過域を挟むようにして対向配置された一対(2枚)の走査電極34a、34b(二極式偏向走査電極)を備え、0.5Hz〜4000Hzの範囲の一定の周波数で正負に変動する三角波に近似する走査電圧が、2枚の走査電極34a、34bにそれぞれ逆符号で印加される。この走査電圧は、2枚の走査電極34a、34bのギャップ内において、そこを通過するビームを偏向させる変動する電場を生成する。そして、走査電圧の周期的な変動により、ギャップを通過するビームが水平方向に走査される。
【0031】
ビーム走査器34の下流側には、イオンビームの通過域に開口を有するサプレッション電極74が2つのグランド電極78a、78bの間に配置されている。上流側には、走査電極の前方にグランド電極76aを配置しているが、必要に応じて下流側と同じ構成のサプレッション電極を配置することができる。サプレッション電極は、正電極への電子の侵入を抑制する。
【0032】
スキャンハウジング内において、ビーム走査器34の下流側には、ビーム走査空間部34cが長い区間において設けられ、ビーム走査角度が狭い場合でも十分な走査幅を得られるように構成されている。ビーム走査空間部34cの下流にあるスキャンハウジングの後方には、偏向されたイオンビームを、ビーム走査偏向前のイオンビームの方向になるように調整する、つまり、ビームラインL1に平行となるように曲げ戻すビーム平行化器36が設けられている。
【0033】
ビーム平行化器36で発生する収差(ビーム平行化器の中心部と左右端部の焦点距離の差)は、ビーム走査器34の偏向角の2乗に比例するので、ビーム走査空間部34cを長くして偏向角を小さくすることは、ビーム平行化器36の収差を抑えることに大きく寄与する。収差が大きいと、半導体ウェハにイオンビームを注入する際に、ウェハの中心部と左右端部とでビームサイズとビーム発散角が異なるため、製品の品質にバラツキが生じることがある。
【0034】
また、このビーム走査空間部34cの長さを調整することによって、ビーム輸送ラインユニットの長さを、高エネルギー多段直線加速ユニット14の長さに合わせることができる。
【0035】
ビーム平行化器36は、ビーム走査器34から入射するイオンビームを平行化するよう構成されており、x方向(水平方向)に沿って広がるビーム通過領域をビーム平行化器36の下流に形成する。ビーム平行化器36は、例えば、静電式のビーム平行化器である。
【0036】
ビーム平行化器36には、電場式の平行化レンズ84が配置されている。図2に示すように、平行化レンズ84は、略双曲線形状の複数の加速電極対と減速電極対で構成されている。各電極対は、放電が起きない程度の広さの加速・減速ギャップを介して向き合っており、加速減速ギャップには、イオンビームの加減速を引き起こす軸方向の成分と、基準軸からの距離に比例して強くなって、イオンビームに横方向の収束作用を及ぼす横成分とを併せ持つ電界が形成される。
【0037】
加速ギャップを挟む電極対のうち下流側の電極と、減速ギャップの上流側の電極、及び、減速ギャップの下流側の電極と次の加速ギャップの上流側の電極とは、同一電位になるように、それぞれ一体の構造体を形成している。
【0038】
平行化レンズ84を上流側から見たときの最初の電極である入射電極84aと最後の電極である出射電極84gとは、接地電位に保たれている。これによって、平行化レンズ84の通過前後で、ビームのエネルギーは変化しない。
【0039】
平行化レンズ84の中間の電極構造体において、加速ギャップの出口側電極と減速ギャップの入口側電極を構成する第1電極組体84b、84d、84fには、可変式定電圧を印加するための平行化レンズ用負電源91aが接続される。また、減速ギャップの出口側電極と加速ギャップの入口側電極を構成する第2電極組体84c、84eには、可変式定電圧を印加するための平行化レンズ用正電源91bが接続されている。これによって、イオンビームは加速・減速を繰り返しながら、ビームラインの基準軌道と平行な方向に段階的に向いていく。そして、最終的に偏向走査前のイオンビーム進行方向(ビームライン軌道方向)に平行な軌道に乗る。
【0040】
図2に示されるように、ビーム平行化器36は、基準軌道(例えば、図2に示すビームラインL1)上に焦点Fを有する。ビーム平行化器36に入射する複数のビーム軌道37a、37b、37cはそれぞれ基準軌道に対し異なる角度を有する。ビーム平行化器36は、複数のビーム軌道37a、37b、37cのそれぞれを入射角度に応じて異なる偏向角度で偏向し、それにより複数のビーム軌道37a、37b、37cが基準軌道と平行化されるように、設計されている。ビーム平行化器36は、所与のイオン注入条件(例えば目標ビームエネルギーを含む)に応じて予め定められた電気的入力(例えば電圧)を受けて作動する。
【0041】
複数のビーム軌道37a、37b、37cは、基準軌道を含む一平面上にあり、この平面において焦点Fからビーム平行化器36へとそれぞれ異なる入射角度に方向付けられている。本実施の形態においては複数のビーム軌道37a、37b、37cはビーム走査器34による走査の結果であるから、この平面は、ビーム走査器34の走査面(xz面)に相当する。これらビーム軌道のいずれか(図2においてはビーム軌道37b)が基準軌道に一致していてもよい。図2に示す実施の形態においては基準軌道はビーム平行化器36において偏向されずにビーム平行化器36を直進する。
【0042】
本実施の形態に係るイオン注入装置100は、ビーム平行化器36の焦点Fがビーム走査器34の走査原点Sに一致するよう構成されている。よって、走査原点Sにおいてビーム走査器34により走査されたビームは、電場平行化レンズ等を含むビーム平行化器36により収束され、走査前のイオンビーム進行方向(ビームライン軌道方向)に平行な偏向角0度の軸(基準軸)に対して平行になる。このとき、走査領域は、基準軸に関して左右対称になる。
【0043】
このようにして、ビーム輸送ラインユニット18は、高エネルギーのイオンビームのビーム走査およびビーム平行化を行う。平行化されたイオンビームは、最終エネルギーフィルター38を通じて基板処理供給ユニット20に供給される。平行化されたイオンビームは、メカニカルに走査移動中のウェハ40に高精度に照射され、ウェハ40にイオンが注入される。
【0044】
図3(a)は、最終エネルギーフィルター38および基板処理供給ユニット20の概略構成を示す上面図であり、図3(b)は、最終エネルギーフィルター38および基板処理供給ユニット20の概略構成を示す側面図である。ビーム平行化器36から出たイオンビームは、角度エネルギーフィルタ(AEF;Angular Energy Filter)である最終エネルギーフィルター38に送られる。最終エネルギーフィルター38では、ウェハに注入する直前のイオンビームのエネルギーに関する最終的な分析が行われ、必要なエネルギー値のイオン種のみが選択されるとともに、中性化した価数のない中性粒子やイオン価数の異なるイオンの除去が行われる。
【0045】
最終エネルギーフィルター38は、イオンビームに電場、磁場または電場及び磁場を作用させ、その進行方向を偏向させるビーム偏向装置42を含む。本実施の形態では、電界式のビーム偏向装置42を用いる場合を示すが、ビーム偏向装置42は、磁場式のものであってもよいし、電場と磁場の双方を組み合わせたものであってもよい。
【0046】
ビーム偏向装置42は、ビームライン軌道方向の上下方向に対向する少なくとも一対の平面若しくは曲面からなる板状の偏向電極であるAEF電極装置44により構成される。AEF電極装置44は、ビームライン軌道方向の上下方向においてビーム偏向装置42自身の偏向作用により下方に曲がっていくイオンビーム軌道に合わせて屈曲している。
【0047】
図3(b)に示すように、AEF電極装置44は、少なくとも一対のAEF電極対から構成され、イオンビームを上下方向より挟み込むように配置されている。少なくとも一対のAEF電極対のうち、上側のAEF電極44aには正電圧を印加するためのAEF電極用正電源92aが接続され、下側のAEF電極44bには負電圧を印加するためのAEF電極用負電源92bが接続されている。電界による偏向時には、AEF電極44a、44b間で発生する電界の作用によって、イオンビームを下方に約10〜20度の角度θで偏向させ、目的エネルギーのイオンビームのみが選択される。また、最終エネルギーフィルター38においては選択された価数のイオンビームのみが設定した軌道角度θで下方に偏向される。このようにして選択されたイオン種により構成されるイオンビームが正確な角度で一様に被照射物であるウェハ40に照射される。
【0048】
実際に高エネルギービームを偏向する場合、上下方向に対向する少なくとも一対の板状のAEF電極装置44は、図3(b)に示すように、イオンビーム軌道に合わせて屈曲させるときに、偏向角と曲率半径に合わせて、前後にn分割(nは2以上の整数)し、それぞれの上部電極および下部電極が各々同電位に保たれた板状の電極とした方が、製作精度や経済性の点で優れている。例えば、AEF電極装置44は、図示されるように3分割される。なお、前後にn分割された板状の偏向電極は、上部電極および下部電極を各々同電位に保つ構成のほか、n分割の上下に対をなす板状電極として、それぞれ別の電位設定とすることも可能である。
【0049】
このような構造を取ることによって、電場式のエネルギーフィルターを高エネルギーのスキャンビーム輸送ラインに搭載することが可能になっている。電場によって、ビームスキャン面と直交する方向にビームを偏向するため、ビームスキャン方向の注入イオン密度分布(均一性)に影響を与えず、エネルギー分析を行うことができるようになっている。
【0050】
さらに、最終エネルギーフィルター38の搭載によって、本ビームラインには、高エネルギー多段直線加速ユニット14の高周波線形加速装置、ビーム偏向ユニット16のエネルギー分析電磁石24およびステアリング電磁石30と合わせて、3種類のビームフィルターが搭載されることになる。前述のように、高エネルギー多段直線加速ユニット14は速度(v)フィルターであり、ビーム偏向ユニット16は運動量(mv)フィルターであり、最終エネルギーフィルター38はその名の通りエネルギー(mv/2)フィルターである。このように、方式の異なる三重のフィルターをかけることにより、従来と比べてエネルギー純度が高いだけでなく、パーティクルやメタルコンタミネーションも少ない非常に純粋なイオンビームをウェハに供給できるようになっている。
【0051】
なお、機能的には、エネルギー分析電磁石24は高分解能で、高エネルギー多段直線加速ユニット14をすり抜けたエネルギーコンタミネーションの除去やエネルギー幅の制限を行ってもよい。また、最終エネルギーフィルター38は比較的低分解能で、エネルギー分析電磁石24によるエネルギー分析後のビーム輸送ラインユニットで、主にレジストアウトガスによって価数が変化したイオンを除去する役割を担ってもよい。
【0052】
ビーム偏向装置42は、AEF電極装置44の上流側に設けられるグランド電極45と、下流側に設けられるサプレッション電極装置49を含む。サプレッション電極装置49は、上流側グランド電極46と、下流側グランド電極48と、上流側グランド電極46及び下流側グランド電極48の間に設けられるサプレッション電極47とを有する。サプレッション電極装置49は、正電圧が印加される上側AEF電極44aへの電子の侵入を抑制する。
【0053】
なお、本明細書において、ビーム偏向装置42に入射するイオンビームが通る経路を「前段ビーム経路」ともいい、ビーム偏向装置42から出射するイオンビームが通る経路を「後段ビーム経路」ともいう。前段ビーム経路を通るイオンビームの進行方向と、後段ビーム経路を通るイオンビームの進行方向は、AEF電極装置44で発生する電界の作用によってy方向にずれており、その偏向角度θは約10〜20度である。
【0054】
また、ビーム偏向装置42に入射するイオンビームは、x方向およびy方向に幅を有するスポット状のビームであり、様々な軌道を有する複数のイオンにより構成される。ビームを構成するイオンのそれぞれは、図3(b)に示されるビーム軌道Zと概ね同様の軌道を有するが、ビーム軌道Zから逸脱した軌道を有することもある。本明細書では、ウェハ40へ向かうビームのうち、特定の軌道を有するビームを区別するために、「ある軌道を有するビーム成分」ということがある。「ビーム成分」とは、ビームの一部を構成するイオンまたは注入粒子の集団を意味する。
【0055】
最終エネルギーフィルター38の最下流側には、サプレッション電極装置49の左右端のそれぞれにドーズカップ50(50L、50R)が設けられる。ドーズカップ50は、ビーム電流の計測が可能なファラデーカップにより構成される。本実施の形態では、左右に設けられる左ドーズカップ50Lおよび右ドーズカップ50Rの双方を備える構成を示すが、変形例においては、ドーズカップ50として左右のいずれか一方にファラデーカップを一つだけ設置してもよい。なお、本明細書において、左側に設置される左ドーズカップ50Lを第1ドーズカップということがあり、右側に設置される右ドーズカップ50Rを第2ドーズカップということがある。
【0056】
ドーズカップ50は、ウェハに対するイオン注入が有効になされる有効注入領域R2よりも外に位置する端部領域R3に配置される。ビーム走査器34によって走査されるイオンビームは、有効注入領域R2および端部領域R3を含む照射範囲Xにわたってスキャンされている。そのため、ドーズカップ50は、ウェハ40のある有効注入領域R2に向かうイオンビームを遮ることなく、端部領域R3へ向かうイオンビームの一部を計測することができる。ドーズカップ50により計測されたビーム電流値を用いることで、ウェハ40に注入されるイオンの照射量を推定し、ウェハ40へのイオン注入量を制御することができる。
【0057】
ドーズカップ50の入口には、ドーズカップ50へ入射可能となるビームの軌道を制限する軌道制限機構60(60L、60R)が設けられる。軌道制限機構60は、後段ビーム経路上においてビーム偏向装置42とドーズカップ50の間の位置に設けられ、例えば、サプレッション電極装置49の位置に設けられる。軌道制限機構60は、サプレッション電極装置49と別に設けられてもよいし、サプレッション電極装置49と一体となって設けられてもよい。軌道制限機構60がサプレッション電極装置49に一体化される場合、軌道制限機構60は、上流側グランド電極46および下流側グランド電極48の少なくとも一方に設けられる開口部によって構成されてもよい。
【0058】
軌道制限機構60は、ビーム偏向装置42から出射してドーズカップ50に向かうビームのうち、所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分がドーズカップ50の計測領域に入射することを防ぐ。ここでいう「所定軌道」とは、最終エネルギーフィルター38を通過した後、基板処理供給ユニット20に設けられるビームフィルタースリット52を通過してウェハ40に入射可能となるビーム軌道である。軌道制限機構60は、ウェハ40に入射可能な所定軌道から逸脱した軌道、つまり、ウェハ40に入射することのできない軌道を有するビーム成分がドーズカップ50により計測されることを防ぐ。ウェハ40に入射可能なビーム成分をドーズカップ50に計測させることで、イオン照射量を精度良く推定できるようになる。なお、ウェハ40に入射可能なビームの軌道や、所定軌道から逸脱した軌道については、別途詳述する。
【0059】
最終エネルギーフィルター38の下流側には、基板処理供給ユニット20が設けられる。基板処理供給ユニット20の注入処理室の中には、ビームフィルタースリット52、プラズマシャワー54、往復運動機構56、プロファイラカップ57、ビームモニタ58が設けられる。往復運動機構56には、イオン注入が施されるウェハ40がセットされる。
【0060】
ビームフィルタースリット52は、ビームスキャン方向(x方向)に横長のスリットで構成されるエネルギー制限スリット(EDS;Energy Defining Slit)である。ビームフィルタースリット52は、ウェハに向けて後段ビーム経路中を進行するビームを部分的に遮蔽し、後段ビーム経路中のビームの中で所定軌道を有するビーム成分をウェハに向けて通過させる。これにより、所用以外のエネルギー値と価数を持つイオンビームの通過を制限し、AEFを通過した所用のエネルギー値と価数を持つイオンビームだけを分離する。したがって、ビームフィルタースリット52は、最終エネルギーフィルター38とともにウェハ40に入射するイオンビームのエネルギー分析を行う。
【0061】
プラズマシャワー54は、イオンビームのビーム電流量に応じてイオンビームとウェハ40の前面に低エネルギー電子を供給し、イオン注入で生じるウェハ40表面での正電荷のチャージアップを抑制する。往復運動機構56は、イオン注入時にウェハ40を保持し、注入中のビーム電流の変動に応じた速度でウェハ40をビーム走査方向と直角方向(y方向)に動かす。
【0062】
プロファイラカップ57は、イオン注入位置でのビーム電流の測定を行う。プロファイラカップ57は、注入前のイオン注入位置でのイオンビーム密度を、ビームスキャン範囲において測定する。ビームプロファイル測定の結果、イオンビームの予想不均一性(PNU;Predicted Non Uniformity)がプロセスの要求に満たない場合には、ビーム走査器34の印加電圧の制御関数を補正し、プロセス条件を満たすように調整する。また、プロファイラカップ57は、注入位置でのビーム形状、ビーム幅やビーム中心位置を測定したり、可動式のアパチャーと組み合わせることによりビームの注入角度やビーム発散角を確認したりできるよう構成されてもよい。
【0063】
ビームモニタ58は、スキャン範囲のイオンビームをウェハ領域において全て計測できるビーム電流計測機能を有する横長ファラデーカップであり、ビームラインの最下流に配置される。ビームモニタ58は、最終セットアップビームを計測するよう構成されている。ビームモニタ58は、クロスコンタミネーションを低減するために、イオン種に応じて三角柱の3面を切り替えることができるトリプルサーフェス構造のファラデーカップの切り換え式底面を持つ構成であってもよい。また、ビームモニタ58は、ビーム形状やビーム上下位置を測定して、注入位置での上下方向の注入角度やビーム発散角をモニターできるよう構成されてもよい。
【0064】
図1に示すように、イオン注入装置100は、イオン注入装置100の全体又はその一部(例えばビームライン部の全体又はその一部)を制御するための制御装置80を備える。制御装置80は、最終エネルギーフィルター38に設けられるドーズカップ50や、基板処理供給ユニット20に設けられるプロファイラカップ57およびビームモニタ58の測定結果に基づいて、注入処理中にウェハに入射するビーム照射量を推定し、ウェハへのドーズ量を制御する。
【0065】
制御装置80は、ウェハへのビーム照射前にドーズカップ50およびプロファイラカップ57にて計測されるビーム電流値を取得し、両者の相関関係をあらかじめ求める。制御装置80は、ウェハへのビーム照射中にドーズカップ50で計測されるビーム電流値を取得し、事前に求めておいた相関関係を用いてウェハ位置に入射するビーム照射量を算出する。ウェハ位置にプロファイラカップ57を配置してしまうと、有効注入領域R2へ向かうビームを遮ってしまうことから、イオン注入処理中にウェハ位置でのビーム照射量を直接測定することは難しい。制御装置80は、有効注入領域R2へ向かうビームを遮らない位置にあるドーズカップ50が計測するビーム電流値を用いることで、ウェハへの注入処理に影響を与えることなく注入処理中にウェハに入射するビーム照射量を推定する。
【0066】
制御装置80は、推定したビーム照射量に基づいて往復運動機構56によるウェハの往復運動の速度を調整し、ウェハに照射されるビームの照射量および照射量分布が所望の値となるように制御する。例えば、算出したビーム照射量が増加した場合には、ウェハの往復運動の速度を大きくし、ウェハのある地点に照射されるドーズ量が増えないようにする。一方、算出したビーム照射量が減少した場合には、ウェハの往復運動の速度を小さくし、ウェハのある地点に照射されるドーズ量が減らないようにする。制御装置80は、このようにして、ウェハの全面にわたって所望のドーズ量およびドーズ量分布が実現されるように、イオン注入処理がなされる時間にわたってドーズ量の制御を行う。
【0067】
制御装置80は、ビーム照射量を推定する際に、注入処理中の真空度悪化による影響を補正する処理を行ってもよい。処理対象となるウェハの表面には、回路パターン作成のためのフォトレジスト層が形成されていることがあり、イオン注入によってフォトレジスト層を構成する物質が分解され、レジストアウトガスといわれるガスを発生させる。発生したガスは、ウェハ処理室やビームラインの真空度を低下させるとともに、ウェハに向かうイオンビームと相互作用してビームを構成するイオンの価数を変化させることがある。ドーズカップ50は、イオンの電荷に基づく電流値を計測しているため、イオンに価数変化が生じると、電流値とイオンの個数との対応関係にずれが生じうる。例えば、1価のイオンが価数変化を起こして中性化すると、その中性粒子は、ドーズカップ50により計測されなくなってしまう。そうすると、ドーズカップ50に入射する実際のビーム量(ドーズ量に相当)と、計測される電流値から導出されるビーム量とにずれが生じてしまう。
【0068】
そこで、制御装置80は、真空度悪化によって導出されるビーム量がずれてしまう影響を補正する(以下、圧力補正ともいう)ために、所定の補正係数を用いてビーム量を補正してもよい。この補正係数の値は、ビームライン部に意図的かつ経常的に導入される導入気体の分圧値や、イオン注入によってウエハ表面のレジスト膜から付随的に発生するレジストアウトガスの分圧値等の測定結果と、分圧値の測定と同時に行われるビーム電流測定の結果に基づいて制御装置80が算出してもよい。
【0069】
なお、本実施の形態では、レジストアウトガスに起因して、ドーズカップ50に入射する実際のビーム量(ドーズ量に相当)と計測されるビーム電流値から導出されるビーム量との間にずれが生じる影響を抑えるために、ドーズカップ50の位置をウェハ40から遠ざけている。注入処理中のウェハ40に入射するビーム照射量を推定するには、ウェハ40の近傍にドーズカップ50を配置してビームを計測する方が望ましいように思われる。しかしながら、ウェハ40の近傍はレジストアウトガスの密度が高く、レジストアウトガスに起因するイオンの価数変化の影響が大きい。そこで、本実施の形態では、図3(a)、(b)に示すように、ドーズカップ50をビームフィルタースリット52よりも上流側に配置し、ビーム偏向装置42とビームフィルタースリット52の間であってビーム偏向装置42の近傍に配置している。
【0070】
その一方で、ドーズカップ50をビーム偏向装置42の下流側近傍に配置することにより、ウェハに入射しない軌道を有するビーム成分がドーズカップ50に入射可能となりうる。ビーム偏向装置42から出射して後段ビーム経路中を進行するビームは、その一部がビームフィルタースリット52により遮蔽され、所定軌道を有するビーム成分のみがビームフィルタースリット52を通過してウェハに入射する。仮に、ドーズカップがビームフィルタースリット52よりも下流側に配置されていれば、ビームフィルタースリット52により遮蔽されるビーム成分はドーズカップに入射せず、ウェハに向かうビーム成分のみが計測対象となる。しかしながら、ビームフィルタースリット52よりも上流にドーズカップ50が配置されると、ビームフィルタースリット52により遮蔽される軌道を有するビーム成分、つまり、ウェハに入射しない軌道を有するビーム成分が計測対象に含まれる。そうすると、計測対象とすべきでないビーム成分をドーズカップ50が計測してしまい、制御装置80により推定されるビーム照射量の算出結果に影響を与えてしまう。このようなビーム照射量の推定に影響を及ぼすビーム成分について、図4および図5を参照しながら説明する。
【0071】
図4は、比較例に係るイオン注入装置においてドーズカップ50に入射可能なビームが有する軌道を模式的に示す図である。本図は、図3(b)に示したビーム偏向装置42、ドーズカップ50、ビームフィルタースリット52、ウェハ40の配置関係を模式的に示したものに相当するが、軌道制限機構60が設けられていない点で実施の形態と相違する。本図では、所望のエネルギー及び価数を有するイオンが通る軌道である「基準軌道Z」を太線で示しており、これは、図3(b)に示したビーム軌道Zに対応する。基準軌道Zに沿って進行するイオンビームは、前段ビーム経路P1を通ってビーム偏向装置42に入射し、AEF電極装置44による電界の作用を受けて偏向し、ウェハ40へ向かう後段ビーム経路P2を通るようにビーム偏向装置42から出射する。また本図では、基準軌道Zから逸脱したビーム軌道として、第1軌道Z1、第2軌道Z2、第3軌道Z3を例示している。
【0072】
第1軌道Z1は、ビーム偏向装置42に入射したビームがそのまま直進し、AEF電極装置44に衝突する軌道である。第1軌道Z1は、例えば、ビーム偏向装置42への入射前にイオンが価数変化し、イオンが中性化したことによってビーム偏向装置42においてビーム進行方向が偏向されない軌道に相当する。第1軌道Z1を通るビーム成分は、ビーム偏向装置42から出射できないため、ウェハ40に入射することはなく、また、ドーズカップ50にも入射しない。したがって、第1軌道Z1を通るビーム成分は、ドーズカップ50での計測結果に影響も与えず、ウェハへの注入結果にも影響を与えない。
【0073】
第2軌道Z2は、基準軌道Zよりもビーム偏向装置42による偏向量の小さい軌道であり、ビーム偏向装置42から出射するもののビームフィルタースリット52によって遮蔽されてしまうビーム成分が通る軌道である。第2軌道Z2は、例えば、ビーム偏向装置42の通過中にイオンの価数が変化したために、ビーム偏向装置42の途中で基準軌道Zから逸脱する軌道に相当する。第2軌道Z2を通るビーム成分は、ビームフィルタースリット52に遮蔽されるためウェハ40に入射しないが、ビーム偏向装置42から出射するためドーズカップ50に入射する。したがって、第2軌道Z2を通るビーム成分をドーズカップ50で計測してしまうと、ウェハ40に入射するビーム照射量を算出する際のずれの原因となりうる。
【0074】
第3軌道Z3は、基準軌道Zよりもビーム偏向装置42による偏向量が小さいが、ビームフィルタースリット52によって遮蔽されず、ウェハ40に入射可能なビーム成分が通る軌道である。第3軌道Z3は、例えば、ビーム偏向装置42の通過中にビーム偏向装置42の出口付近でイオンの価数が変化したために、基準軌道Zから少しだけ逸脱した軌道に相当する。第3軌道Z3を通るビーム成分は、ビームフィルタースリット52に遮蔽されないためウェハ40に入射可能であり、また、ドーズカップ50に入射可能である。したがって、第3軌道Z3を通るビーム成分は、上述した所定軌道を有するビーム成分であり、ドーズカップ50での計測対象とすべきビーム成分である。
【0075】
なお、図4に示している複数のビーム軌道は、後段ビーム経路P2の延びる方向をz方向、ビーム偏向装置42によるビームの偏向方向をy方向とした場合に、yz平面内におけるビームの軌道を表すことを意図している。つまり、yz平面内のそれぞれの位置において、ビームの進行方向とz方向とがなすy方向の角度がどのような値であるかに注目することを意図しており、ビームスキャンに起因するビーム軌道のx方向の位置には注目していない。ウェハに入射するビームとドーズカップに入射するビームとはx方向において異なる軌道を通るが、図4に示すようにx軸方向に見たyz平面内でのビーム軌道は、ウェハに入射するビームとドーズカップに入射するビームとで同等となる。例えば、基準軌道Zを有するビームとは、ビームスキャンの走査量に応じて有効注入領域R2に向かうビームと、端部領域R3に向かうビームの双方を含む概念である。したがって、基準軌道Zを有するビームのうち、有効注入領域R2に向かうビームは、ウェハ40に入射し、端部領域R3に向かうビームの一部は、ドーズカップ50に入射する。また、第2軌道Z2を有するビームのうち、有効注入領域R2に向かうビームは、ビームフィルタースリット52に遮蔽され、端部領域R3に向かうビームの一部は、ドーズカップ50に入射する。
【0076】
図5は、本実施の形態に係るイオン注入装置100においてドーズカップに入射可能なビームが有する軌道を模式的に示す図である。本図では、第2軌道Z2を有するビーム成分が軌道制限機構60により規制され、ドーズカップ50へ入射しない様子を示している。上述した図4に示す比較例では、ドーズカップ50をビームフィルタースリット52の前に配置すると、ビームフィルタースリット52に遮蔽されてウェハ40に入射しないものの、ドーズカップ50の計測対象となってしまう軌道(例えば、第2軌道Z2)を有するビーム成分が生じる。そこで、本実施の形態では、ドーズカップ50の入口に軌道制限機構60を設け、第2軌道Z2のような軌道を有するビーム成分がドーズカップ50の計測領域に入射することを防ぐ。これにより、ビームフィルタースリット52の手前にドーズカップ50を配置する場合であっても、ビームフィルタースリット52を通過してウェハ40に入射可能な軌道を有するビーム成分のみをドーズカップ50の計測対象とすることができる。
【0077】
図6(a)は、軌道制限機構60の構成を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、軌道制限機構60の構成を模式的に示す正面図である。軌道制限機構60は、複数の第1開口部66を有する第1マスク部材61と、複数の第2開口部67を有する第2マスク部材62を含む。第1マスク部材61および第2マスク部材62は、後段ビーム経路が延びるz方向に対向して設けられる。第1マスク部材61および第2マスク部材62は、ステンレスなどの金属材料やグラファイト(C)で構成され、ウェハが汚染される影響を抑えるためにグラファイトを用いることが望ましい。
【0078】
第1開口部66は、x方向に細長いスリット形状を有し、ドーズカップ50の計測領域Dに対向する箇所にy方向に並んで複数設けられる。同様に、第2開口部67は、x方向に細長いスリット形状を有し、ドーズカップ50の計測領域Dに対向する箇所にy方向に並んで複数設けられる。なお、第1開口部66および第2開口部67は、細長いスリット形状に限られず、y方向の開口幅を規制できる形状であれば、円形アパチャなどの他の形状を有してもよい。本図において、x方向はビームスキャン方向であり、y方向は後段ビーム経路P2が延びるz方向およびx方向の双方に直交する方向である。
【0079】
複数の第1開口部66は、例えば、同一の開口幅w1、同一の間隔d1で配置されており、複数の第2開口部67も同様に、同一の開口幅w2、同一の間隔d2で配置される。また、複数の第2開口部67のそれぞれは、複数の第1開口部66のそれぞれと対向する位置に設けられる。本実施の形態では、第1開口部66および第2開口部67がそれぞれ5個ずつ設けられる場合を示しているが、第1開口部66および第2開口部67の数はこれに限られず、異なる数の開口部を設けてもよい。
【0080】
軌道制限機構60は、第1開口部66および第2開口部67の双方を通過可能な軌道を有するビーム成分をドーズカップ50に入射させる一方、第1開口部66および第2開口部67のいずれかを通過できないビーム成分がドーズカップ50に入射することを防ぐ。これにより、軌道制限機構60は、ビーム偏向装置42から出射した後、ウェハ40に入射可能となる上述の所定軌道を有するビーム成分を通過させ、所定軌道以外のビーム成分の通過を防ぐ。軌道制限機構60は、例えば、上述した基準軌道Zおよび第3軌道Z3を有するビーム成分を通過させる一方で、第2軌道Z2を有するビーム成分の通過を防ぐように構成される。軌道制限機構60が制限する軌道は、第1マスク部材61および第2マスク部材62が対向する距離Lや、第1開口部66および第2開口部67の開口幅w1、w2や間隔d1、d2、対向する第1開口部66および第2開口部67のy方向の相対位置などにより調整される。
【0081】
図7は、軌道制限機構60を通過できるビーム軌道を模式的に示す図であり、後段ビーム経路上の第1マスク部材61、第2マスク部材62およびビームフィルタースリット52の配置関係を示す図である。第1マスク部材61、第2マスク部材62およびビームフィルタースリット52は、z方向の位置がそれぞれz1、z2、z3となるように配置されており、第1マスク部材61と第2マスク部材62のz方向の距離はL2とされ、第1マスク部材61とビームフィルタースリット52のz方向の距離はL3とされる。また、第1マスク部材61が設けられるz=z1の位置のy1軸上において、第1開口部66a、66b、・・・、66i、・・・のy方向の座標が規定されている。同様に、第2マスク部材62が設けられるz=z2の位置のy2軸上において、第2開口部67a、67b、・・・、67i、・・・のy方向の座標が規定され、ビームフィルタースリット52が設けられるz=z3の位置のy3軸上において、スリットの上端位置y31および下端位置y32の座標が規定されている。
【0082】
本図では、対応する第1開口部および第2開口部の双方を通過となるビーム軌道の限界を模式的に示しており、例えば、上端に位置する第1開口部66aおよび第2開口部67aの双方を通過可能なビーム軌道として、上限ビーム軌道Z4aおよび下限ビーム軌道Z5aを示している。実線で示す上限ビーム軌道Z4aは、第1開口部66aの下端位置y12aから第2開口部67aの上端位置y21aに向かうビーム軌道であり、z方向の基準軌道から+y方向に逸脱しているものの軌道制限機構60をぎりぎり通過可能となる軌道である。ここで、ビームフィルタースリット52を通過可能な軌道を有するビーム成分が軌道制限機構60を通過できるようにするためには、上限ビーム軌道Z4aが、ビームフィルタースリット52の上端位置y31と下端位置y32の間を通過できればよい。このような条件は、下記式(1)で表すことができる。
【0083】
y31<y12a+(y21a−y12a)/L2×L3<y32 ・・・(1)
【0084】
同様にして、破線で示す下限ビーム軌道Z5aは、第1開口部66aの上端位置y11aから第2開口部67aの下端位置y22aに向かうビーム軌道であり、z方向の基準軌道から−y方向に逸脱しているものの軌道制限機構60をぎりぎり通過可能となる軌道である。この下限ビーム軌道Z5aがビームフィルタースリット52を通過できるための条件式は、下記式(2)で表すことができる。
【0085】
y31<y11a+(y22a−y11a)/L2×L3<y32 ・・・(2)
【0086】
上記式(1)、(2)を一般化し、i番目の第1開口部66iとi番目の第2開口部67iを通過可能な上限ビーム軌道Z4iおよび下限ビーム軌道Z5iに適用すると、その条件式は、下記式(3)、(4)となる。
【0087】
y31<y12i+(y21i−y12i)/L2×L3<y32 ・・・(3)
y31<y11i+(y22i−y11i)/L2×L3<y32 ・・・(4)
【0088】
したがって、軌道制限機構60は、上記条件を満たすようにして、第1マスク部材61および第2マスク部材62が対向する距離L2や、第1開口部66および第2開口部67の開口幅や間隔、対向する第1開口部66および第2開口部67のy方向の相対位置を規定すればよい。これにより、ドーズカップ50に向かうビームのうち所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分がドーズカップ50の計測領域Dに入射することを防ぐことができる。
【0089】
一方、ドーズカップ50の入口に軌道制限機構60を設けることで、ドーズカップ50に入射するビーム量が減少し、計測精度が低下するおそれが生じる。そこで、第1マスク部材61および第2マスク部材62の開口部は、ドーズカップ50に入射するビーム量が大きくなるように開口率を大きくすることが望ましい。ここでの開口率とは、図6(b)に示すドーズカップ50の計測領域Dに対向する領域(以下、マスク領域ともいう)における第1マスク部材61および第2マスク部材62の開口率をいう。本実施の形態に係る第1開口部66および第2開口部67はx方向に細長いスリット形状を有しているため、図6(b)に示す第1開口部66および第2開口部67のy方向の開口幅w1、w2と間隔d1、d2の比率により軌道制限機構60の開口率が決まる。例えば、図6(b)に示す第1マスク部材61のマスク領域における開口率は、w1/(w1+d1)であり、第2マスク部材62のマスク領域における開口率は、w2/(w2+d2)である。
【0090】
第1マスク部材61および第2マスク部材62の開口率はできるだけ大きいほうが望ましいが、開口率を大きくしすぎるとビーム軌道を適切に制限できなくなったり、第1マスク部材61および第2マスク部材62の構造的強度が低下したりするおそれが生じる。第1マスク部材61および第2マスク部材62の材料としてグラファイトを用いる場合、グラファイトの構造的強度や加工容易性などを考慮すると、開口率は1/3以上、2/3以下の値とすることが望ましい。このような開口率を設定することにより、所定軌道以外の軌道を有するビーム成分を制限するとともに、ドーズカップ50に入射するビーム量を確保することができる。
【0091】
つづいて、軌道制限機構60をサプレッション電極装置49に一体化させる場合の例を示す。図8(a)は、上流側グランド電極46に形成される第1開口部66を示す正面図であり、図8(b)は、下流側グランド電極48に形成される第2開口部67を示す正面図である。本図は、上流側グランド電極46または下流側グランド電極48をビーム偏向装置42のある上流側からビーム進行方向(z方向)に向かって見た平面図である。
【0092】
図8(a)に示すように、上流側グランド電極46は、有効注入領域R2へ向かうビームを通過させるための電極開口46aと、電極開口46aの左右にそれぞれ設けられる複数の第1開口部66(66L、66R)を含む。複数の第1開口部66L、66Rは、電極開口46aの左右の端部領域R3に位置する第1マスク領域64(64L、64R)に設けられる。左側の第1開口部66Lが設けられる第1左マスク領域64Lは、左ドーズカップ50Lの計測領域に対応する箇所であり、右側の第1開口部66Rが設けられる第1右マスク領域64Rは、右ドーズカップ50Rの計測領域に対応する箇所である。このように、上流側グランド電極46に第1開口部66を形成することにより、上述した第1マスク部材61と同等の機能を上流側グランド電極46に持たせることができる。
【0093】
図8(b)に示す下流側グランド電極48も同様である。下流側グランド電極48は、主に有効注入領域R2へ向かうビームを通過させるための電極開口48aと、電極開口48aの左右にそれぞれ設けられる複数の第2開口部67(67L、67R)を含む。複数の第2開口部67L、67Rは、電極開口48aの左右の端部領域R3に位置する第2マスク領域65(65L、65R)に設けられる。左側の第2開口部67Lが設けられる第2左マスク領域65Lは、左ドーズカップ50Lの計測領域に対応する箇所であり、右側の第2開口部67Rが設けられる第2右マスク領域65Rは、右ドーズカップ50Rの計測領域に対応する箇所である。このように、下流側グランド電極48に第2開口部67を形成することにより、上述した第2マスク部材62と同等の機能を下流側グランド電極48に持たせることができる。
【0094】
なお、上流側グランド電極46と下流側グランド電極48の間に設けられるサプレッション電極47には、上流側グランド電極46および下流側グランド電極48の電極開口46a、48aよりも少なくともy方向に幅が広く、第1マスク領域64および第2マスク領域65のx方向の両端位置よりもx方向に幅の広い電極開口が設けられる。したがって、上流側グランド電極46の第1開口部66を通過するビーム成分は、サプレッション電極47の電極開口を通って下流側グランド電極48の第2開口部67へ向かう。
【0095】
つづいて、本実施の形態に係るイオン注入装置100が奏する効果について述べる。
【0096】
イオン注入装置100によれば、ウェハ40から離れたドーズカップ50を用いて注入中のビーム照射量を計測するため、ウェハ40にて発生するレジストアウトガスの影響を低減することができる。また、ドーズカップ50の手前に軌道制限機構60を設けることで、ビームフィルタースリット52に遮蔽されてウェハ40に入射しない軌道を有するビーム成分を計測対象から除外できる。これにより、ウェハ40に入射可能な所定軌道を有するビーム成分のみを計測対象とすることができ、ウェハに入射するビーム照射量を精度良く推定することができる。また、軌道制限機構60を構成するマスク部材の開口率が大きいため、ドーズカップ50に入射するビーム量の低下を抑えることができる。これにより、ウェハに入射するビーム照射量を精度良く推定することができる。
【0097】
また、イオン注入装置100によれば、ドーズカップ50にて計測されるビーム電流値に対して圧力補正を施すため、ウェハに入射するビーム照射量をより精度良く推定することができる。軌道制限機構60は、レジストアウトガスに起因する価数変化によってビーム軌道が変化し、ウェハ40に入射しない軌道のビーム成分が計測されてしまう影響を防ぐのに対し、圧力補正処理は、ウェハ40に入射する軌道のビームを計測する際に、イオンの価数変化によって注入量と電流値との対応関係がずれてしまう影響を防ぐものである。つまり、圧力補正処理は、軌道制限機構60により防ごうとする影響とは異なる現象を対象としている。したがって、軌道制限機構60と圧力補正処理を組み合わせることにより、ビーム照射量推定の精度をより高めることができる。
【0098】
イオン注入装置100によれば、特に、多価イオンで構成されるイオンビームをウェハ40に照射する場合にビーム照射量を推定する精度を高めることができる。例えば、1価のイオンで構成されるイオンビームを用いる場合、価数変化が生じると1価のイオンから中性粒子または2価のイオンへと変換させるため、ビーム偏向装置42による価数変化に起因した偏向量の違いが大きい。そのため、価数変化によってビーム軌道が大きく変化し、ビーム偏向装置42のAEF電極装置44に衝突するなどしてビーム偏向装置42から出射できないビーム成分が多くなる。一方、3価や4価の多価イオンにおいて価数変化が生じ、2価や3価のイオンへと価数が減少したり、4価や5価のイオンへと価数が増加したりする場合には、価数変化に起因した偏向量の違いが相対的に小さい。そのため、価数変化によってビーム軌道がそれほど大きく変化しないため、ビーム偏向装置42から出射した後、ビームフィルタースリット52により遮蔽されるビーム成分が多くなる。軌道制限機構60は、このような軌道を有するビーム成分を防ぐ役割を有するため、多価イオンで構成されるイオンビームを用いる場合に、特に有効であると言える。
【0099】
以下、上述した実施の形態に係る軌道制限機構60の変形例について示す。
【0100】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る軌道制限機構60の構成を模式的に示す断面図である。上述の実施の形態では、マスク部材に複数設けられる開口部の開口幅wおよび間隔dが均一となるように配置される場合を示した。本変形例では、第1マスク部材61および第2マスク部材62において、開口部の開口幅および間隔が不均等となるように配置される。また、複数の開口部のうち、中央付近からy方向に離れた位置にある第1端部開口部66eおよび第2端部開口部67eが互いにy方向にずれた位置に配置される。
【0101】
図10(a)は、変形例1に係る第1マスク部材61の構成を模式的に示す正面図である。本変形例に係る第1マスク部材61は、y方向の中央付近に設けられる第1中央開口部66cと、中央付近からy方向に離れた位置に設けられる第1端部開口部66eと、第1中央開口部66cおよび第1端部開口部66eの間の位置に設けられる第1中間開口部66dとを有する。
【0102】
第1端部開口部66eのy方向の開口幅w1eは、第1中央開口部66cのy方向の開口幅w1cよりも小さい。第1中間開口部66dのy方向の開口幅w1dは、第1中央開口部66cの開口幅w1cと等しいか、第1中央開口部66cの開口幅w1cと第1端部開口部66eの開口幅w1eの間の値(w1e<w1d≦w1cを満たす値)とされる。また、第1端部開口部66eに隣接する第1開口部(第1中間開口部66d)との間隔d1eは、第1中央開口部66cに隣接する第1開口部(第1中間開口部66d)との間隔d1dよりも小さい。
【0103】
図10(b)は、変形例1に係る第2マスク部材62の構成を模式的に示す正面図である。本変形例に係る第2マスク部材62は、第1マスク部材61と同様に、y方向の中央付近に設けられる第2中央開口部67cと、中央付近からy方向に離れた位置に設けられる第2端部開口部67eと、第2中央開口部67cおよび第2端部開口部67eの間の位置に設けられる第2中間開口部67dとを有する。
【0104】
第2端部開口部67eのy方向の開口幅w2eは、第2中央開口部67cのy方向の開口幅w2cよりも小さい。第2中間開口部67dのy方向の開口幅w2dは、第2端部開口部67eの開口幅w2eと等しいか、第2中央開口部67cの開口幅w2cと第2端部開口部67eの開口幅w2eの間の値(w2e≦w2d<w2cを満たす値)とされる。また、第2端部開口部67eに隣接する第2開口部(第2中間開口部67d)との間隔d2eは、第2中央開口部67cに隣接する第2開口部(第2中間開口部67d)との間隔d2dよりも小さい。
【0105】
図9に示すように、第1中央開口部66cと第2中央開口部67cは、互いに対向する箇所に設けられ、y方向の位置が同じとなるように配置される。一方、第1端部開口部66eと第2端部開口部67eは、y方向の位置がずれて配置されており、第2端部開口部67eは、第1端部開口部66eに対向する箇所よりも第2中央開口部67cに近い位置に配置される。同様に、第1中間開口部66dと第2中間開口部67dは、y方向にずれて配置され、第2中間開口部67dの方がy方向の中央付近に近い位置に設けられる。
【0106】
第1中央開口部66cと第2中央開口部67cは、開口幅w1c、w2cが等しくなるように設けられる。同様に、第1端部開口部66eと第2端部開口部67eは、開口幅w1e、w2eが等しくなるように設けられる。一方、第1中間開口部66dと第2中間開口部67dは、第2中間開口部67dの開口幅w2dが第1中間開口部66dの開口幅w1dよりも小さくなるように設けられる。
【0107】
このようにして、変形例1に係る軌道制限機構60では、第1マスク部材61および第2マスク部材62のそれぞれに設けられる開口部の幅および間隔が不均等とされる。また、複数の開口部のうち、中央付近からy方向に離れた位置にある第1端部開口部66eおよび第2端部開口部67eが互いにy方向にずれた位置に配置される。
【0108】
図11は、変形例1に係る軌道制限機構60を通過できるビーム軌道を模式的に示す図であり、上述の図7に対応する図である。まず、第1中央開口部66cおよび第2中央開口部67cの双方を通過可能な軌道Z4c、Z5cに着目すると、上限ビーム軌道Z4cおよび下限ビーム軌道Z5cは、z方向の軸に対してy方向に対称となる。一方、第1端部開口部66eおよび第2端部開口部67eの双方を通過可能なZ4e、Z5eに着目すると、上限ビーム軌道Z4eおよび下限ビーム軌道Z5eは、z方向の軸に対してy方向に非対称となる。このように、本変形例に係る軌道制限機構60は、ビームを構成するビーム成分がいずれの開口部に入射するかによって、いいかえれば、軌道制限機構60へ入射するビーム成分のy方向の入射位置によって、通過可能とするビーム軌道のy方向の角度範囲を変えている。これは、軌道制限機構60へ入射するビーム成分のy方向の入射位置によって、ビームフィルタースリット52を通過可能な所定軌道を有するビーム成分となる条件としてのビーム軌道のy方向の角度範囲が異なることに起因する。
【0109】
図12は、軌道制限機構60へ入射するビームのy方向の入射位置と、ビームフィルタースリット52を通過できるビーム軌道のy方向の角度範囲との関係を模式的に示す図である。本図は、第1中央開口部66cの位置にビームが入射した後、ビームフィルタースリット52を通過することができるビーム軌道Z7c、Z8cと、第1端部開口部66eの位置にビームが入射した後、ビームフィルタースリット52を通過することができるビーム軌道Z7e、Z8eとを示している。
【0110】
図示されるように、第1中央開口部66cの位置を通る上限ビーム軌道Z7cのy方向の角度θ1と、下限ビーム軌道Z8cのy方向の角度θ2の大きさはほぼ同じとなる。その一方で、第1端部開口部66eの位置を通る上限ビーム軌道Z7eのy方向の角度θ3と、下限ビーム軌道Z8eのy方向の角度θ4の大きさは非対称となり、上限ビーム軌道Z7eと下限ビーム軌道Z8eの間の角度範囲に含まれるビーム成分は、主に中央方向(−y方向)に向かうビーム成分となる。つまり、ビームフィルタースリット52を通過可能な所定軌道となるビーム軌道の角度範囲は、y方向の入射位置に依存する。
【0111】
本変形例に係る軌道制限機構60によれば、図12に示すビーム軌道と対応するようにして、y方向の入射位置に応じて通過可能となるビーム軌道の角度範囲を変えているため、ビームフィルタースリット52を通過することのできるビーム成分のみをドーズカップ50に入射させることができる。言いかえれば、ビームフィルタースリット52により実現されるビーム制限機能と同等の機能を軌道制限機構60に持たせることができる。これにより、ドーズカップ50をビームフィルタースリット52よりも上流に配置する場合であっても、ビームフィルタースリット52の下流でビームを計測する場合と同等の条件でビームを計測することができる。これにより、注入処理中のビーム照射量を精度良く推定することができるようになる。
【0112】
(変形例2)
図13(a)、(b)は、変形例2に係る軌道制限機構60の構成を模式的に示す断面図である。上述の実施の形態では、二枚のマスク部材を用いて軌道制限機構60を構成する場合を示した。本変形例においては、三枚以上のマスク部材を用いて軌道制限機構60を構成する点で上述の実施の形態と相違する。
【0113】
図13(a)に示すように、変形例2に係る軌道制限機構60は、第1マスク部材61と第2マスク部材62の間に設けられる第3マスク部材63をさらに含む。第3マスク部材63は、複数の第3開口部68が設けられる。複数の第3開口部68のそれぞれは、第1開口部66および第2開口部67に対応する位置に設けられる。本変形例において、軌道制限機構60は、第1開口部66、第2開口部67および第3開口部68の全てを通過可能な軌道を有するビーム成分を通過させ、それ以外の軌道を有するビーム成分を遮蔽する。
【0114】
変形例2においては、マスク部材の枚数を増やすことにより、二枚のマスク部材では防ぐことのできない軌道を遮蔽することができるようになる。例えば、第1開口部66と、第1開口部66に対向する第2開口部67aに隣接する第2開口部67bとを通る軌道Z6は、第1マスク部材61と第2マスク部材62のみでは防ぐことができない。このような軌道Z6は、マスク部材の開口率を大きくすることで発生しうる。本変形例によれば、軌道制限機構60の開口率を大きくする場合であっても、マスク部材の枚数を増やすことで所望のビーム軌道を遮蔽することができる。
【0115】
なお、マスク部材の枚数は四枚以上であってもよい。図13(b)に示すように、第1マスク部材61と第2マスク部材62の間に複数の第3マスク部材63a、63bを設けてもよい。第3マスク部材63a、63bのそれぞれには、第3開口部68a、68bを設けてもよい。
【0116】
また、本変形例を上述した変形例1に適用することとしてもよい。つまり、三枚以上のマスク部材を設ける場合に、対応する開口部同士は必ずしも対向する箇所にある必要はなく、制限すべきビーム軌道に応じてy方向にずらして配置してもよい。また、それぞれのマスク部材に設けられる開口部の開口幅や間隔も均一とする必要はなく、制限すべきビーム軌道に応じて不均等な配置としてもよい。
【0117】
(変形例3)
図14(a)は、変形例3に係る軌道制限機構60の構成を模式的に示す断面図であり、図14(b)は、変形例3に係る軌道制限機構60の構成を模式的に示す正面図である。本変形例における軌道制限機構60は、複数の開口部71が設けられる1枚のマスク部材70で構成される。マスク部材70は、上述の実施の形態に係る第1マスク部材61と第2マスク部材62の間をつなげたようなz方向の厚さLが大きい部材であり、開口部71のy方向の幅wよりもz方向の厚さLが大きくなるように構成される。本変形例に係る軌道制限機構60も、上述の実施の形態と同様にドーズカップ50に入射可能なビーム軌道を制限できる。
【0118】
図14(a)では、マスク部材70に設けられる開口部71がz方向に延びる場合を示しているが、さらなる変形例では、z方向に対してy方向に傾いた方向に延びる開口部を形成してもよい。また、上述した変形例1に係る軌道制限機構60に対応するように、開口部が中央付近にあるか端部付近にあるか応じて、開口部が延びる方向の傾きに差をつけてもよい。
【0119】
(変形例4)
図15は、変形例4に係る軌道制限機構60の開口部71の形状を模式的に示す断面図である。本変形例における軌道制限機構60は、上述の変形例3と同様に、z方向の厚さLが大きいマスク部材70で構成される。また本変形例では、開口部71の内面71aに凹凸が形成されており、内面71aに入射するビーム成分がドーズカップ50に向かって反射されにくい構造を有する。例えば、開口部71の内面71aは、ノコギリ刃状に形成されており、所定軌道から逸脱した第2軌道Z2が内面71aに入射すると、もとのビーム進行方向である+z方向とは反対の−z方向に反射されるように形成される。これにより、ドーズカップ50の計測対象から除外すべき軌道を有するビーム成分が内面71aに反射されてドーズカップ50に到達してしまうことを防ぐ。これにより、軌道制限機構60の軌道制限機能を高めることができる。
【0120】
(変形例5)
図16は、変形例5に係る軌道制限機構60の構成を模式的に示す断面図である。上述の実施の形態では、第1開口部66および第2開口部67が複数設けられる軌道制限機構60を示した。本変形例においては、第1マスク部材61が一つの第1開口部66を有し、第2マスク部材62が一つの第2開口部67を有する点で上述の実施の形態と相違する。開口部の数が一つであっても、上述の軌道制限機構60と同様に所定軌道以外の軌道を有するビーム成分がドーズカップ50に入射することを防ぐことができる。
【0121】
(変形例6)
図17(a)、(b)は、変形例6に係る軌道制限機構の構成を模式的に示す正面図である。図17(a)は、左ドーズカップ50Lに設けられる第1軌道制限機構60Lを示し、図17(b)は、右ドーズカップ50Rに設けられる第2軌道制限機構60Rを示す。上述の実施の形態では、左右のドーズカップ50L、50Rのそれぞれの手前に設ける軌道制限機構60L、60Rとして、図8(a)、(b)に示すように、左右の構成が同一の軌道制限機構60を設ける場合を示した。本変形例においては、開口部の設けられる位置が左右で互いに異なる軌道制限機構60L、60Rを設ける。具体的には、第1軌道制限機構60Lに設けられる開口部66L、67Lの位置と、第2軌道制限機構60Rに設けられる開口部66R、67Rの位置とが互いにy方向にずれて配置される。いいかえれば、第2軌道制限機構60Rに設けられる開口部66R、67Rは、第1軌道制限機構60Lの非開口部が位置する箇所に設けられる。
【0122】
軌道制限機構60を用いる場合、軌道制限機構60の非開口部に向かうビーム成分は、仮に、上述した所定軌道を有するビーム成分であっても遮蔽されてしまう。そうすると、軌道制限機構60の非開口部が位置する部分については、ビーム計測ができなくなってしまう。本変形例では、所定軌道を有するビーム成分のうち、第1軌道制限機構60Lの非開口部に遮蔽される軌道を有するビーム成分が、第2軌道制限機構60Rの開口部に入射するように構成されている。そのため、第1軌道制限機構60Lにより規制されて左ドーズカップ50Lで計測することのできないビーム成分を、第2軌道制限機構60Rを介して右ドーズカップ50Rにより計測することができる。いいかえれば、一方のドーズカップでは計測できない範囲のビーム計測を、他方のドーズカップが補完することできる。これにより、左右双方のドーズカップの組み合わせにより計測可能となる範囲を広くし、ビーム照射量推定の精度をより高めることができる。
【0123】
なお、変形例6のさらなる変形例として、第1軌道制限機構が設けられるドーズカップと、第2軌道制限機構が設けられるドーズカップとを隣接して配置させてもよい。例えば、左右の端部領域R3の一方に、第1軌道制限機構が設けられるドーズカップおよび第2軌道制限機構が設けられるドーズカップの双方を配置してもよい。また、左右の端部領域R3のそれぞれに、第1軌道制限機構が設けられるドーズカップおよび第2軌道制限機構が設けられるドーズカップの双方を配置してもよい。この場合、左右二つずつ、計四つの軌道制限機構およびドーズカップを設けてもよい。
【0124】
(変形例7)
図18は、変形例7に係るサプレッション電極装置49およびドーズカップ50L、50R、50Sの構成を模式的に示す断面図である。本変形例では、軌道制限機構60(60L、60R)が設けられるドーズカップ50(50L、50R)に加えて、軌道制限機構60が入口にない第3ドーズカップ50Sをさらに設けている。
【0125】
第3ドーズカップ50Sは、上述したドーズカップ50と同様に、最終エネルギーフィルター38の最下流側の端部領域R3に設けられ、左ドーズカップ50Lや右ドーズカップ50Rに隣接して設けられる。第3ドーズカップ50Sは、サプレッション電極装置49の電極開口49aが設けられる位置に配置されるため、第3ドーズカップ50Sに入射するビームB2は、有効注入領域R2に向かうビームB1と同様に軌道制限機構60による軌道制限を受けない。第3ドーズカップ50Sを設けることにより、軌道制限機構60により制限されるビームB3と、軌道制限機構60による制限を受けないビームB2の双方を計測することができるようになる。
【0126】
軌道制限機構60が設けられるドーズカップ50L、50Rと、軌道制限機構60が設けられない第3ドーズカップ50Sとは、イオン注入の条件などに応じて使い分けをしてもよい。例えば、1価のイオンビームを用いる場合には、価数変化が生じて軌道が逸れたビーム成分が第3ドーズカップ50Sに到達しにくいため、第3ドーズカップ50Sの計測結果を主に利用してもよい。一方、多価のイオンビームを用いる場合には、価数変化が生じて軌道が逸れたビーム成分が第3ドーズカップ50Sに到達しやすいため、軌道制限機構60が設けられるドーズカップ50L、50Rの計測結果を主に利用してもよい。なお、両者の計測結果を比較して、ドーズ量制御に利用してもよい。
【0127】
(変形例8)
図19(a)、(b)は、変形例8に係る軌道制限機構60の構成を模式的に示す正面図である。本変形例では、軌道制限機構60の位置が変位可能となるように構成されている。軌道制限機構60は、図19(a)に示すように、ドーズカップ50へ向かうビームの一部を制限可能な第1位置と、図19(b)に示すように、ドーズカップ50へ向かうビームを制限しない第2位置との間で変位可能となっている。軌道制限機構60の位置を切り替えることで、軌道制限機構60により制限されるビーム成分と、軌道制限機構60による制限を受けないビーム成分の双方を一つのドーズカップ50にて計測することができる。
【0128】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0129】
上述の実施の形態では、ドーズカップ50の手前に軌道制限機構60が設けられたイオン注入装置100の例を示した。他の実施の形態は、ファラデーカップと、ファラデーカップの入口に設けられる軌道制限機構とを備えるビーム計測装置であってもよい。このビーム計測装置は、イオン注入装置100に用いてもよいし、イオンビームなどの荷電粒子ビームを計測するために、イオン注入装置100以外の用途で用いてもよい。
【0130】
このビーム計測装置は、イオンビームのビーム電流を計測可能なファラデーカップと、ファラデーカップの入口に設けられ、所定軌道から逸脱した軌道を有するビーム成分がファラデーカップの計測領域に入射することを防ぐ軌道制限機構とを備える。軌道制限機構は、上述した実施の形態および変形例において示した軌道制限機構60を用いればよい。例えば、軌道制限機構は、一以上の第1開口部を有する第1マスク部材と、一以上の第2開口部を有する第2マスク部材とを含む。第1マスク部材および第2マスク部材はビーム進行方向に対向して設けられており、第1開口部および第2開口部の双方を通過可能な軌道以外の軌道を有するビーム成分がファラデーカップの計測領域に入射すること防ぐ。
【0131】
本実施の形態に係るビーム計測装置によれば、所定軌道以外の軌道を有するビーム成分がファラデーカップに入射することを防ぐことができるため、所定軌道を有するビーム成分を精度良く計測することができる。このビーム計測装置は、例えば、図3(a)、(b)に示すプロファイラカップ57として用いることもできるし、ビームラインの上流に設けられるファラデーカップとして用いることもできる。その他、荷電粒子ビームについて所望の軌道を有するビーム成分のみを計測する場合に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0132】
P1…前段ビーム経路、P2…後段ビーム経路、R2…有効注入領域、R3…端部領域、40…ウェハ、42…ビーム偏向装置、46…上流側グランド電極、47…サプレッション電極、48…下流側グランド電極、49…サプレッション電極装置、50…ドーズカップ、52…ビームフィルタースリット、60…軌道制限機構、61…第1マスク部材、62…第2マスク部材、66…第1開口部、66c…第1中央開口部、66e…第1端部開口部、67…第2開口部、67c…第2中央開口部、67e…第2端部開口部、80…制御装置、100…イオン注入装置。
図1
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