(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような洗浄機では、ドア部と本体部との間から洗浄室の外部に湯気が漏れ出て、湯気が外気に触れる部分近傍のドア部及び本体部に結露が発生する。結露の発生量が多い場合には、水滴となって床面に落ち、床面を濡らす場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ドア部と本体部との間から洗浄室の外部に漏れ出す湯気の量を低減し、結露の発生を抑制することができる洗浄機を提供することが目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄機は、洗浄室に被洗浄物を出し入れする開口部が前方に向かって開口している本体部と、回動軸が開口部の下部に回動可能に支持されることにより開口部を開閉可能とするドア部であって、ドア部を閉じたときに、洗浄室側に突出すると共に回動軸が延在する方向における両端部において上下方向に延在する延設部を有するドア部と、開口部の側縁部の内側に設けられると共に、前方に向かって開口する上下方向に延在する収容部と、を備える。ドア部を閉じたときに前方から収容部に入り込んだ延設部と収容部との間の隙間は、洗浄室の内部と外部とを連通する連通路を形成し、連通路の一部において、隙間の間隔を上下方向における上側から下側に向かって段階的又は連続的に広くする隙間調整部が形成されている。
【0007】
この構成の洗浄機では、ドア部を閉じたときにドア部の左右両端から湯気を逃がす連通路を形成することにより、洗浄室内の内圧が上昇することを抑制している。そして、連通路を形成するドア部の延設部と収容部との間の隙間が、上下方向において上側ほど狭く、下側ほど広くなるように形成されている部分がある。これにより、一般的に洗浄室内において上方に流れる湯気が、連通路を通って洗浄室の外部に漏れだすことを抑制することができる。この結果、ドア部と本体部との間から洗浄室の外部に漏れ出す湯気の量を低減し、結露の発生を抑制することができる。
【0008】
本発明の洗浄機では、隙間調整部は、連通路における外部への出口部分に形成されていてもよい。
【0009】
この構成の洗浄機では、連通路の外部への出口部分が上下方向において上側ほど狭く、下側ほど広くなるように形成されているので、湯気が外部に漏れだすことを抑制することができる。これにより、より確実に結露の発生を抑制することができる。
【0010】
本発明の洗浄機では、収容部は、ドア部を閉じたときに延設部を挟んで洗浄室の側壁と対向する対向部と、側壁と対向部とを接続する接続部と、を有しており、延設部と側壁との間には、延設部との隙間の間隔を、上下方向における上側から下側に向けて段階的又は連続的に広くする隙間埋め部材が配置されることにより隙間調整部が形成されてもよい。
【0011】
この構成の洗浄機では、ドア部を閉じた際の延設部の収容部を簡易に形成することができる。また、湯気の通り道となる連通路において、隙間の間隔を上下方向における上側から下側に向けて段階的又は連続的に広くする構成を容易に実現できる。
【0012】
本発明の洗浄機では、隙間埋め部材は、側壁と対向部とによって挟まれる部分に配置される間隔保持部を有してもよい。
【0013】
この構成の洗浄機では、側壁と対向部とによって挟まれる空間に隙間埋め部材を介在させるので、対向部の強度を補強することができる。これにより、対向部が板状部材を曲げ加工することにより形成される比較的変形に弱い部材であっても、対向部の形状が変形することを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本発明の目的は、ドア部と本体部との間から洗浄室の外部に漏れ出す湯気の量を低減し、結露の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。なお、説明の便宜のため、
図1において、前後方向、左右方向、及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0017】
図1に示されるように、食器洗浄機1は、洗浄室3の前面にドア部5が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。
図1に示されるように、食器洗浄機1は、ステンレス製のパネルで覆われた本体部2を有している。本体部2は、食器(被洗浄物)をセットしたラックを出し入れする開口部3Bが前方に向かって開口している洗浄室3と、図示しない洗浄水ポンプ及びブースターなどが設けられている機械室7と、に区画されている。本体部2の底面の四隅には、脚部9が取り付けられている。
【0018】
洗浄室3内には、ラックレール41が配置されており、このラックレール41上に、飲食後の皿や茶碗などの食器が並べられた格子状の食器ラックが載置される。洗浄室3の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル12Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル13Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室3の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル12Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル13Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックに並べられた食器は、上側及び下側洗浄ノズル12A,12Bによって上下から洗浄水が噴射され、すすぎノズル13A,13Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0019】
洗浄室3の底部3Aには、機械室7内に突出するように洗浄水タンク15が設けられている。洗浄水タンク15には、洗浄水吸込口を介して洗浄水ポンプが接続されている。洗浄水ポンプの吐出口は、洗浄水吐出管を介して上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bにそれぞれ接続されている。
【0020】
機械室7内には、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bにすすぎ水を供給するブースターが配置されている。ブースターの吐出口は、すすぎ水吐出管を介して上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bにそれぞれ接続されている。また、機械室7内には、食器洗浄機1の動作全般を制御するマイクロコンピュータ(図示せず)が内蔵された電装ボックス(図示せず)などが収容されている。
【0021】
次に、本体部2において洗浄室3の開口部3Bを開閉するドア部5について説明する。洗浄室3の前面には、開口部3Bを開閉するドア部5が設けられている。ドア部5は、左右方向に延在する回動軸が開口部3Bの下部に回動可能に支持されている。具体的には、ドア部5の下端部5Aの左右方向両端に設けられた回動部材51のそれぞれに設けられた回動軸が軸支部51Aにて軸支されている。これにより、上端部5Bが前方に回動することにより、開口部3Bが開閉される。
【0022】
以下、ドア部5が鉛直方向に起立状態に維持されて開口部3Bを覆う状態をドア部5の閉状態、ドア部5が水平状態に維持されて開口部3Bが開放される状態をドア部の開状態(
図1に示すドア部5の状態)として説明する。
【0023】
図1に示されるように、ドア部5の裏面(ドア部5を閉じたときの洗浄室3側の面)における上端部5Bには、ドア部5の開状態において上方に突出した状態で、食器洗浄機1の左右方向に延在する突出部53が形成されている。ドア部5を閉状態とした際に、突出部53が本体部2に接触する部分には、パッキン(図示せず)が設けられている。これにより、ドア部5を閉状態としたときに、ドア部5の上端部5Bから洗浄室3内部の湯気が洗浄室3の外部に漏れだすことを防止する。
【0024】
ドア部5の裏面(ドア部5を閉じたときの洗浄室3側の面)における側端部5C,5Dには、
図1に示されるように、ドア部5の開状態において上方に突出した状態で、食器洗浄機1の前後方向に延在するラック案内板(延設部)55が形成されている。ラック案内板55は、ラックを洗浄室3に出し入れする際に、左右方向の移動を規制するための部材である。なお、ドア部5の閉状態において、ラック案内板55は、洗浄室3側に突出すると共に上下方向に延在する。
【0025】
図2(A)及び
図2(B)に示されるように、開口部3Bの側縁部となる洗浄室3の側壁31の内側には、水漏れ防止板33が設けられている。水漏れ防止板33は、側壁31に固定される部分である固定部33Aと、側壁31と対向する位置に配置される部分である対向部33Cと、固定部33Aと対向部33Cとを接続する部分である接続部33Bとを有している。水漏れ防止板33は、固定部33A及び接続部33Bと、接続部33B及び対向部33Cとが互いに直交するクランク状の板状部材である。
【0026】
図2(A)及び
図2(B)に示されるように、側壁31と接続部33Bと対向部33Cとによって囲まれる空間には、
図4に示されるような、L字状の隙間埋め部材35が配置されている。隙間埋め部材35は、樹脂などを材料としてインジェクション成形などにより成形されている。隙間埋め部材35は、側壁31及び水漏れ防止板33にビスなどの固定部材によって固定されている。
【0027】
隙間埋め部材35は、間隔保持部35Aと隙間調整部35Bとを有している。間隔保持部35Aは、側壁31と接続部33Bと対向部33Cとによって囲まれる空間に配置された際に、側壁31と接続部33Bと対向部33Cとにそれぞれ接触可能な形状に形成されている。言い換えれば、間隔保持部35Aは、側壁31と対向部33Cとの間の空間に介在するように配置され、側壁31と対向部33Cとの間の間隔を一定に保持する。
【0028】
隙間調整部35Bは、側壁31と接続部33Bと対向部33Cとによって囲まれる空間に配置された際に、ラック案内板55と側壁31との間に配置されるように形成されている。
図3に示されるように、隙間調整部35Bは、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上側から下側に向けて連続的に長くなるように形成(G1<G2)されている。つまり、隙間調整部35Bは、
図3に示される前方向から正面視した場合、左右方向の肉厚が上下方向における上側から下側に向けて連続的に薄くするように形成(t1>t2)されている。
【0029】
図2(A)、
図2(B)及び
図3に示されるように、上述した側壁31、水漏れ防止板33及び隙間埋め部材35は、前方向(前方)に向かって開口すると共に上下方向に延在する収容部32(
図3における着色部分)を形成している。収容部32は、開口部3Bの側縁部となる洗浄室3の側壁31の内側に形成される。収容部32は、ドア部5を閉じたときにドア部5のラック案内板55を収容可能となっている。具体的には、収容部32は、閉状態におけるドア部5のラック案内板55が入り込むことが可能な収容空間32Aを有している。
【0030】
このような構成の食器洗浄機1においてドア部5が閉状態となると、ラック案内板55と収容部32との間には隙間が形成される。この隙間は、洗浄室3の内部と外部とを連通する連通路Pを形成する。このような連通路Pが形成されることにより、洗浄室3の内部で発生した湯気を洗浄室3の外部に逃がすことができる。
【0031】
上述したとおり、ラック案内板55と側壁31との間には、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)を調整する隙間埋め部材35の一部(隙間調整部35B)が配置されている。このため、連通路Pの外部への出口部分におけるラック案内板55と隙間調整部35Bとの隙間の間隔は、
図3に示される前方から正面視した場合に、上下方向において上部ほど狭く、下部ほど広くなっている(G1<G2)。
【0032】
上記実施形態の食器洗浄機1では、ドア部5を閉じたときにドア部5の左右両端から湯気を逃がす連通路Pを形成することにより、洗浄室3内の内圧が上昇することを抑制している。連通路Pにおいて、ラック案内板55と収容部32との間の隙間の間隔が、上下方向において上側ほど狭く、下側ほど広くなるように形成されている部分がある。これにより、洗浄室3の内部において上方に流れる湯気が、連通路Pを通って洗浄室3の外部に漏れ出すことを抑制できる。この結果、ドア部5と本体部2との間から洗浄室3の外部に漏れ出す湯気の量を低減し、結露の発生を抑制することができる。
【0033】
上記実施形態の食器洗浄機1では、ドア部5が閉じられる場合、ラック案内板55は収容部32の下端側から上端側に向かって入り込んでいく。
図3に示されるように、ラック案内板55と収容部32(隙間埋め部材35の隙間調整部35B)との距離は、収容部32の下方ほど広く形成されているので、各部品の形状や取付にばらつきがあった場合であっても、ラック案内板55と隙間埋め部材35とが互いに接触することが抑制される。この結果、ドアがずれた場合であっても、互いの部材が接触することが抑制され、互いの部材に傷が付くことが防止できる。
【0034】
上記実施形態の食器洗浄機1では、側壁31と対向部33Cとによって挟まれる空間に配置される間隔保持部35Aが内側から対向部33Cを支持するので、対向部33Cの強度を補強することができる。これにより、水漏れ防止板33がクランク形状に曲げ加工された場合に、角度がばらつき易く変形がし易い対向部33Cであっても、対向部33Cが収容空間32Aを狭くする方向に変形することを抑制できる。また、洗浄室3内にラックを出し入れする際に、当該ラックが対向部33Cに衝突した場合であっても、対向部33Cが収容空間32Aを狭くする方向に変形することを抑制できる。また、対向部33Cの収容空間32Aを狭くする方向への変形を抑制することにより、連通路Pを形成するラック案内板55と収容部32との間の隙間の間隔を所定の値に維持することができる。
【0035】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
<第1変形例>
上記実施形態の食器洗浄機1では、
図3に示されるように、隙間調整部35Bは、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上側から下側に向けて連続的に長くなるように形成(G2>G1)される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
例えば、
図5(A)に示されるように、隙間埋め部材135における隙間調整部135Bは、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上端から下端に向かう途中の位置P2に向けて連続的に長くなるよう形成(G2>G1)されてもよい。つまり、隙間調整部135Bは、
図5(A)に示される前方向から正面視した場合、左右方向の肉厚が上下方向における上端から下端に向かう途中の位置P2に向けて連続的に薄くなるように形成されてもよい(t11>t12)。
【0038】
また、例えば、
図5(B)に示されるように、隙間埋め部材235における隙間調整部235Bは、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上端から下端に向かう途中の位置P1までは同じに形成され、位置P1から位置P2に向けて連続的に長くなるよう形成(G22>G21)され、位置P2から下端までは同じに形成されてもよい。つまり、隙間調整部235Bは、
図5(B)に示される前方向から正面視した場合、左右方向の肉厚が、上下方向における上端から下端に向かう途中の位置P1までは同じに形成され、位置P1から位置P2に向けて連続的に薄くなるよう形成(t21>t22)され、位置P2から下端までは同じに形成されてもよい。
【0039】
また、例えば、
図5(C)に示されるように、隙間埋め部材335における隙間調整部335Bは、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上端から下端に向かう途中の位置P1までは同じに形成され、位置P1から下端に向けて連続的に長くなるよう形成(G32>G31)されてもよい。つまり、隙間調整部335Bは、
図5(C)に示される前方向から正面視した場合、左右方向の肉厚が、上下方向における上端から下端に向かう途中の位置P1までは同じに形成され、位置P1から下端に向けて連続的に薄くなるように形成(t31>t32)されてもよい。
【0040】
隙間調整部135B,235B,335Bは、全体的に見れば、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上側から下側に向けて段階的に長くなるように形成されている。言い換えれば、隙間調整部135B,235B,335Bについての左右方向の肉厚が、上下方向における上側から下側に向けて段階的に薄くなるように形成されている。
【0041】
上記実施形態の食器洗浄機1を含め、隙間調整部135B,235B,335Bとラック案内板55との距離(隙間の間隔)は、洗浄室3の内部の内圧が維持できる程度に、上下方向における上方から下方に向けて狭い部分を長く形成することが好ましい。
【0042】
<その他の変形例>
上記実施形態の食器洗浄機1及び変形例では、
図2(A)に示されるように、収容部32が、側壁31、水漏れ防止板33及び隙間埋め部材35によって形成される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、収容部32は、前方に開口する、いわゆるコの字状部材によって形成してもよい。コの字状部材は、例えば樹脂を材料とするインジェクション成形により形成することができる。また、上記実施形態における水漏れ防止板33及び隙間埋め部材35は、樹脂を材料とするインジェクション成形により一体成形してもよい。
【0043】
また、上記実施形態の食器洗浄機1及び変形例では、
図3に示されるように、連通路Pの出口部分に、ラック案内板55との距離(隙間の間隔)が、上下方向における上側から下側に向けて連続的に長くなるように形成(G1<G2)される隙間調整部35Bが、配置される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、隙間調整部35Bは、対向部33Cとラック案内板55との間に配置されてもよく、連通路Pのどこかに配置されていればよい。
【0044】
また、上記実施形態の食器洗浄機1及び変形例では、ドア部5を閉じたときに前方から収容部32に入り込む延設部としてラック案内板55を適用する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、洗浄室3内にラックを案内するラック案内板55とは別の部分として、ドア部5を閉じたときに、洗浄室3側に突出すると共にドア部5の回動軸が延在する左右方向における両端部において上下方向に延在する突起部(延設部)を設けてもよい。