(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記留守番電話に関連する音声データには、発呼側から前記回線を介して受信した受信音声データと、前記留守番電話に関連する案内のための案内音声データとを含む、請求項1に記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0021】
[実施の形態1]
本実施の形態1に係る通信システムは、固定電話の回線に接続される親機、および当該親機との間で無線通信可能な少なくとも1台の子機を備える。
【0022】
図1は、本実施の形態1に係る親機の外観を示す図である。
図1を参照して、親機40は、子機または外部との通信機能、留守番電話機能および子機への充電機能のための各回路を内蔵する筐体42を備える。筐体42の正面には、図示しない子機が着脱自在に装着されて、装着された子機を固定するためのクレードル部44が設けられる。クレードル部44は、子機を親機40に着脱自在に装着するための「装着部」の一実施例である。
【0023】
クレードル部44は、ハードウェアピン45および装着された子機を充電するための電極端子46を有する。ハードウェアピン45は、子機がクレードル部44に装着されたとき、子機20の筐体に接触する位置に配置される。子機20のピン検出部14(後述する)は、ハードウェアピン45が子機の筐体に接触したか否かを検知する。なお、ハードウェアピン45に代替した接触検知方法には、圧力センサを用いた方法、またはタッチスイッチを用いた方法などを適用することができる。また、親機40の筐体42には、留守キー36が設けられる。留守キー36は、親機40の留守番電話に関するユーザ操作を受付けるための「操作部」の一実施例である。
【0024】
図2は、本実施の形態1に係る子機20の概略図である。
図2(A)は、子機20の正面図である。
図2(B)、子機20を上記正面とは反対側の面から見た図、つまり背面図である。
図3は、本実施の形態1に係る子機20が親機40のクレードル部44に装着された状態の外観を示す図である。
図2(A)と
図2(B)を参照して、子機20の正面には音声出力のためのイヤースピーカ8A、情報表示のための液晶ディスプレイなどの表示部10、キー・ボタンを含みユーザの操作内容を受付けるための操作部11、および音声を入力するためのマイク9が配される。子機20の背面には音声出力のためのスピーカ8Bが配される。子機20内部の、長手方向(軸方向)の一方端よりには、充電池に相当する内蔵バッテリ部7が配されている。
【0025】
図3を参照して、子機20がクレードル部44に装着されるとき、子機20の正面に配された、イヤースピーカ8A,スピーカ8B、表示部10、操作部11、およびマイク9を介して、ユーザは、ハンズフリーで子機20を介して相手側と通話することができる。
【0026】
図4は、本実施の形態1に係る子機20と親機40との構成を示す図である。
図4を参照して、子機20は、アンテナ2を接続してDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式に従う無線通信を行うためのDECT無線部3、CPU(Central Processing Unit)を含むマイクロコンピュータを有した制御部1、DECT無線部3を介して受信した音声データおよびマイク9からの音声信号を処理する信号処理部4、および記憶部5を備える。記憶部5は、子機20の識別子ID、各種のデータおよびプログラムなどを記憶する。子機20は、さらに、親機40との間で通信路21を介して信号・データの入出力を行なうための信号入出力部6、充電可能な内蔵バッテリ部7、イヤースピーカ8Aおよびスピーカ8Bを含むスピーカ部8、マイク9、表示部10、操作部11、時間を計時するタイマ12、子機20の動作状態を報知するために点灯制御されるLED(Light Emitting Diode)部13、および上述したピン検出部14を含む。
【0027】
信号処理部4は、音声データを再生するための再生部4Aを含む。再生部4Aは、DECT無線部3により受信した音声データまたは制御部1から与えられる音声データをデコード処理し、デコード処理後の音声信号をスピーカ部8に出力する。これにより、スピーカ部8から音声が出力される。
【0028】
信号入出力部6は、電源I/F(Interfaceの略)6Aと通信I/F(Interfaceの略)6Bを含む。信号入出力部6は、子機20が装着されたとき、親機40の電極端子46と接続される図示しない信号端子を含む。子機20がクレードル部44に装着されると、信号入出力部6を含んで構成される通信路21が確立する。
【0029】
子機20は、親機40から、通信路21を経由して電力信号およびデータを入力する。電源I/F6Aは、通信路21を介して与えられる電力信号を入力し、内蔵バッテリ部7に供給する。内蔵バッテリ部7は、内蔵する電池を、供給される電力信号に基づき充電する。通信I/F6Bは、通信路21を経由して親機40から与えられるデータを入力し、制御部1に与える。親機40から通信路21を経由して子機20に出力されるデータには、音声データが含まれる。制御部1は、通信路21を介して与えられた音声データを入力し、信号処理部4(より特定的には、再生部4A)に出力する。
【0030】
このように、子機20の再生部4Aは、DECT無線部3を介して受信した音声データまたは通信路21を経由して受信した音声データを再生することができる。ここでは、説明を簡単にするために、再生部4Aが再生する音声データは、DECT無線部3を介して受信した音声データであるとする。
【0031】
親機40は、CPU31および子機20との間でデータおよび電力信号を入出力するための信号入出力部32、外部の商用のAC(Alternating Current)電源35から電力信号を入力するためのAC電源I/F33、および固定の電話回線50を接続して電話回線50との間で音声信号を含む各種信号を送受信するための電話回路34を備える。
【0032】
また、親機40は、留守キー36、記憶部37、留守キー36に関連して設けられたLED38、およびアンテナ39Aを接続したDECT無線部39を備える。記憶部37は、親機40の識別子ID、プログラムおよびデータ(音声データを含む)を記憶する。CPU31は、留守キー36が操作されると、点灯/消灯するようにLED38を制御する。LED38の点灯/消灯状態により、後述するように親機40の動作モードを報知することができる。
【0033】
信号入出力部32は、電力信号を子機20に供給するための充電I/F32Aおよび音声データを子機20へ供給するための通信I/F32Bを含む。親機40は、クレードル部44に子機20が載置されたとき、子機20の信号入出力部6と、親機40の信号入出力部32は通信路21を介して通信可能に接続される。このような接続状態において、親機40は子機20に対し、AC電源35から供給される電力信号を送信する。これにより、子機20がクレードル部44に装着されている期間は、内蔵バッテリ部7はAC電源35からの電力信号により充電される。また、CPU31により記憶部37から読出された音声データは、DECT無線部39を介して子機20へ送信される。
【0034】
本実施の形態1では、親機40が取り得る動作モードには、在宅モードと留守モードが含まれる。在宅モードおよび留守モードの切替えは、留守キー36のユーザ操作により実施される。現在の動作モードが「留守モード」のとき、留守キー36が操作されると、現在の動作モードは「留守モード」から「在宅モード」に切替えられる。逆に、現在の動作モードが「在宅モード」のとき、留守キー36が操作されると、現在の動作モードは「在宅モード」から「留守モード」に切替えられる。CPU31は、親機40の現在の動作モードを示すデータを記憶部37に格納する。
【0035】
図5は、
図4の親機40の記憶部37の記憶内容例を示す図である。
図5を参照して記憶部37は、留守番電話に関連する音声データと、後述する特定の子機20の識別情報であるID(identifier)データ371とが格納される。留守番電話に関連する音声データは、留守番電話に関連した案内のための案内音声データ372と留守録データ373を含む。
【0036】
留守録データ373は、親機40の動作モードが留守モードであるときに、発呼側から電話回線50および電話回路34を介して受信した音声データであって、CPU31により記憶部37に録音(記憶)される音声データを示す。留守録データ373は、好ましくは、着呼時間データと関連付けて記憶される。なお、留守モードにおける着呼処理および受話音声を留守録データ373として記憶する処理は、よく知られた処理であるから、ここでは説明を繰返さない。
【0037】
また、案内音声データ372は、第1ガイダンスデータ、第2ガイダンスデータおよび第3ガイダンスデータを含む。第1ガイダンスデータは、現在の動作モードを「在宅モード」から「留守モード」に切替えるときに出力されるメッセージ、たとえば“ただいま電話に出ることができません…”を表す。第2ガイダンスデータは、留守録データ373の音声とともに出力されるメッセージ、たとえば“1件です。…再生が終わりました”を表す。第3ガイダンスデータは、現在の動作モードを「留守モード」から「在宅モード」に切替えるときに出力されるメッセージ、たとえば“留守設定を解除しました、メッセージは0件です”を表す。なお、ガイダンスデータによるメッセージの種類はこれに限定されない。
【0038】
このように、親機40および子機20のうち、親機40のみが電話回線50から受信した音声データを記憶部(記憶部37)に録音する機能(いわゆる、留守録機能)を有し、子機20は、留守録機能を備えない。また、親機40および子機20のうち、子機20のみが音声データの再生部4Aおよび音声入出力部(スピーカ部8、マイク9)を有し、親機40は再生部および音声入出力部を備えない。
【0039】
図6は、本実施の形態1に係る子機20の機能構成を示す図である。また、
図7は、本実施の形態1に係る親機40の機能構成を示す図である。
図6を参照して子機20の制御部1は、ピン検出部14からの出力に基づき、当該子機20が親機40のクレードル部44に装着されているか否かを検出するための検出部1Aを有する。また、
図7を参照して親機40のCPU31は、親機40の無線通信可能エリア内に子機20が存在するか否かを判定するための判定部31Aを含む。判定部31Aは、DECT無線部39を介して子機20から受信する電波の強度に基づき、親機40の無線通信可能エリア内に子機20が存在するか否かを判定する。
図6の検出部1Aのプログラムは、記憶部5に予め格納される。制御部1のCPUが記憶部5からプログラムを読出し、実行することにより、検出部1Aの機能が実現される。また、
図7の判定部31Aのプログラムは、記憶部37に予め格納される。CPU31が記憶部37からプログラムを読出し、実行することにより、判定部31Aの機能が実現される。なお、検出部1Aおよび判定部31Aのそれぞれは、回路から構成されてもよく、または回路とプログラムの組合せにより構成されてもよい。
【0040】
本実施の形態1では、親機40は、最大4台の子機20とDECT無線通信が可能である。つまり、親機40と、最大4台の子機20とのペアリング処理が予め実施されることにより、4台の子機20の識別情報が、親機40の記憶部37に格納されるものとする。
【0041】
本実施の形態1では、親機40は、最大4台の子機20とDECT無線通信が可能である。親機40は留守キー36によりユーザ操作が受付けられたとき、最大4台の子機20のうち特定の1台の子機のみに音声データを無線送信する。
【0042】
特定の1台の子機は、親機40の「DECT通信可能エリア内に存在する子機20」を示す。より具体的には、ユーザにより指定された子機20である。特定の子機20の識別子IDは、親機40の記憶部37にIDデータ371として予め格納される。
【0043】
図8は、本実施の形態1に係る留守番電話のための親機と子機の通信処理の一例を示すフローチャートである。
図8は、親機40は、上記に述べた特定の子機20に留守番電話に関連する音声データを送信し再生させる処理を示す。
図8のフローチャートは、親機40と子機20の処理を示し、子機20側の処理は、制御部1のCPUが実行するプログラムとして子機20の記憶部5に予め格納される。また、親機40側の処理は、CPU31が実行するプログラムとして記憶部37に予めプログラムとして格納される。
【0044】
図8を参照して、留守番電話に関連する音声データの送信と再生を説明する。親機40の記憶部37には留守録データ373が記憶されていると想定する。まず、親機40側においては、CPU31は、留守キー36の出力から、留守キー36がユーザにより操作されて、その操作内容が受付けられたか否かを判定する(ステップS16)。操作内容が受付けされていないと判定されると(ステップS16でNO)、ステップS16の処理が繰返される。
【0045】
操作内容が受付けされたと判定されると(ステップS16でYES)、CPU31は親機40の現在の動作モードを判定する(ステップS18)。
【0046】
CPU31は、現在の動作モードを在宅モードと判定すると(ステップS20で“在宅”、第1ガイダンスデータを記憶部37から読出す(ステップS22)。一方、現在の動作モードを“留守”モードと判定すると(ステップS20で“留守”)、CPU31は、記憶部37を検索し、留守録データ373が格納されているか否かを判定する(ステップS24)。留守録データ373が格納されていると判定すると(ステップS24でYES)、CPU31は、記憶部37から留守録データ373を読出すとともに、記憶部37から第2ガイダンスデータを読出す(ステップS26、S28)。
【0047】
一方、記憶部37には留守録データ373は格納されていないと判定されると(ステップS24でNO)、CPU31は記憶部37から第3ガイダンスデータを読出す(ステップS30)。
【0048】
次に、CPU31は、記憶部37にIDデータ371が格納されているか否かに基づき、特定の子機20の有無を判定する(ステップS31)。
【0049】
CPU31は、特定の子機20がIDデータ371を記憶部37から読出すと、その後、ステップS22〜S30で読出された音声データ(留守録データ373、またはガイダンスデータ)と再生モード指令を、DECT無線部39を介して、IDデータ371が示す子機20へ送信する(ステップS32)。
【0050】
その後、CPU31は、留守キー36のユーザ操作を無効に設定する(ステップS34)。留守キー36の操作無効の設定は、たとえば、ユーザが留守キー36をON/OFF操作できたとしても、CPU31は留守キー36からの出力(操作内容)を無視(破棄)することにより実現される。また、このとき、CPU31は、留守キー36が操作されたとしても、LED38の点灯状態を変更せずに、消灯(または点灯)したままに維持し、ユーザに対して操作は無効である旨を報知するとしてもよい。
【0051】
このように、親機40から特定の子機20へ再生モード指令を送信した後は、特定の子機20から音声データが再生モード指令に従い再生されて出力される。子機20から音声が出力されると、ユーザは実際に音声を出力している子機20のみを操作しようとする。したがって、再生モード指令を送信後は、親機40の留守キー36の操作を無効として、留守番電話に関する操作は子機20側でのみ受付け可能なように設定することで、ユーザの操作傾向に対応することができる。
【0052】
その後、CPU31は、特定の子機20から、留守キー36の操作無効状態からの復帰を指示するための復帰指令を受信する(ステップS36)。復帰指令を受信すると、CPU31は、留守キー36のキー操作を“無効”→“有効”に復帰させる(ステップS38)。これにより、CPU31は、留守キー36を介したユーザ操作の受付を再開する。その後、ステップS16に戻る。
【0053】
次に、子機20側の処理について説明する。制御部1は、DECT無線部3を介して親機40から音声データと再生モード指令を受信するか否かを判定する(ステップS9)。受信しないと判定されると(ステップS9でNO)、ステップS9の処理が繰返される。受信したと判定されると(ステップS9でYES)、制御部1は、受信した再生モード指令に従い、再生部4Aに、当該指令とともに受信した音声データを再生させ、再生後の音声信号をスピーカ部8へ出力させる。スピーカ部8は、再生部4Aからの音声信号に従う音声を出力する(ステップS11)。
【0054】
その後、制御部1は、操作部11を介して上述の復帰指令のためのユーザ操作内容を受付ける(ステップS13)。そして、制御部1は、受付けた操作内容に基づき、復帰指令を、DECT無線部3を介して親機40へ送信する(ステップS15)。その後、ステップS9に戻る。
【0055】
図8の処理によれば、親機40は、特定の子機20(この場合は、ユーザが指定した子機20)のみが留守キー36のユーザ操作に連動するように制御する。したがって、親機40には最大4台の子機20を接続可能であるとしても、ユーザが指定した(ユーザが操作する可能性が高い)子機20からのみ、音声を出力させる。そして、操作される可能性の低い他の子機20から、すなわちユーザが予期しない子機20から突然音声が出力される事態を回避することができる。
【0056】
図9は、本実施の形態1に係る留守キー36の操作例を示す図である。ここでは、LED38と留守キー36とは一体的に構成されている。これにより、LED38の点灯/消灯に応じて、留守キー36が点灯/消灯するように提示することができる。
図9では留守キー36を示す矩形枠が細線で示される場合は、留守キー36の消灯を表し、太線で示される場合は、留守キー36の点灯を表す。
【0057】
まず、
図9(A)を参照して、親機40が「在宅モード」であるときは、CPU31はLED38を消灯する。「在宅モード」であるとき、ユーザが留守キー36を操作すると、CPU31は、操作内容に基づき動作モードを「在宅モード」から「留守モード」に切替えるとともに、LED38を点灯させる。これにより留守キー36を点灯させることができて、ユーザに対して、親機40は「留守モード」に変更されたことが報知される。
図9(A)の処理は、
図8のステップS22において実施される、したがって、
図9(A)の点灯制御とともに、上述した第1ガイダンスデータの音声が、特定の子機20のスピーカ部8から出力される。
【0058】
また、
図9(B)を参照して、親機40が「留守モード」であって未再生の留守録データ373が記憶されていない場合を説明する。この場合は、CPU31は、LED38を点灯させて、現在の動作モードは「留守モード」であって未再生の留守録データ373が記憶されていないことを報知する。このとき、ユーザが留守キー36を操作すると、CPU31は、操作内容に基づき動作モードを「留守モード」から「在宅モード」に切替えるとともに、LED38を消灯させる。これにより、ユーザに対して、親機40の留守モードは解除されて「在宅モード」に変更されたことが報知される。
図9(B)の処理は、
図8のステップS30において実施される。したがって、
図9(B)の消灯制御とともに、上述した第3ガイダンスデータの音声が、特定の子機20のスピーカ部8から出力される。
【0059】
また、
図9(C)を参照して、親機40が「留守モード」であって未再生の留守録データ373が記憶されている場合を説明する。この場合は、CPU31は、LED38を点滅(ブリンク)させて、現在の動作モードは「留守モード」であって未再生の留守録データ373が記憶されていることを報知する。このとき、ユーザが留守キー36を操作すると、CPU31は、操作内容に基づき動作モードを「留守モード」から「在宅モード」に切替えるとともに、LED38を消灯させる。これにより、ユーザに対して、親機40の留守モードは解除されて「在宅モード」に変更されたことが報知される。
図9(C)の処理は、
図8のステップS28において実施される。したがって、
図9(C)の消灯制御とともに、上述した第2ガイダンスデータの音声が、特定の子機20のスピーカ部8から出力される。
【0060】
図9(C)を参照して、子機20の動作モードが「自動応答OFF」に設定されていた場合には、制御部1は、再生後の音声信号をスピーカ8Bに出力するように、再生部4Aを制御する。したがって、子機20の動作モードが「自動応答OFF」に設定されている場合には、ユーザは、子機20を持たずとも、スピーカ8Bから出力される留守録の音声メッセージを聴くことができる。また、子機20の動作モードが「自動応答ON」に設定されていた場合には、制御部1は、再生後の音声信号をイヤースピーカ8Aに出力するように、再生部4Aを制御する。したがって、子機20の動作モードが「自動応答ON」に設定されている場合には、ユーザは、子機20をクレードル部44から取外してイヤースピーカ8Aを耳にあてることにより、再生された留守録の音声メッセージを聴くことができる。このような子機20側の処理は、
図8のステップS11において実施される。
【0061】
実施の形態1によれば、留守番電話機能を有した親機40において音声データの再生部および音声出力部を備えない構成であっても、記憶部37の留守番電話に関連する音声データを、子機20の再生部4Aおよびスピーカ部8を用いることで、外部に音声出力させることができる。
【0062】
また、特定の子機20で音声再生させることにより、ユーザが指定した特定の子機20がどこにあるか探すことが容易になる。
【0063】
[実施の形態2]
実施の形態2では、実施の形態1の変形例を説明する。実施の形態1では、留守番電話に関連する音声データは、ユーザ指定の特定の子機20に送信されたが、当該特定の子機20が、親機40のDECT無線通信圏外、または電源OFFなどされている場合には、送信先をユーザが指定した2番目の特定の子機20に変更して、留守番電話に関連する音声データを2番目の特定の子機20に送信するようにしてもよい。
【0064】
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態1および2の変形例を説明する。実施の形態1と2では、特定の子機20は、ユーザが予め指定した子機であったが、これに限定されない。実施の形態3では、特定の子機20は、親機40の「DECT通信可能エリア内に存在する子機20」であって、親機40クレードル部44に装着されている子機20である。したがって、留守番電話に関連する音声データは、親機40のクレードル部44に装着された子機20によって再生されて出力される。
【0065】
図10は、本発明の実施の形態3に係る無線通信のための特定の子機を検出するための処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、上記に述べた特定の子機としてクレードル部44に装着された子機20を検出する処理を示す。
図10のフローチャートは、親機40と子機20の処理を示し、子機20側の処理は、制御部1のCPUが実行するプログラムとして子機20の記憶部5に予め格納される。また、親機40側の処理は、CPU31が実行するプログラムとして記憶部37に予めプログラムとして格納される。
【0066】
図10を参照して、上記に述べた特定の子機20を検出する処理を説明する。まず、ユーザが子機20をクレードル部44に装着したか否かが検出される。具体的には、検出部1Aは、ピン検出部14からの出力に基づき、クレードル部44のハードウェアピン45が子機20の筐体へ接触しているか否かを検出する(ステップS3)。ピン接触が検出されないときは(ステップS3でNO)、すなわち子機20がクレードル部44に装着されていないと検出されるときは、ステップS3の処理が繰返される。
【0067】
ピン接触が検出されると(ステップS3でYES)、すなわち子機20がクレードル部44に装着されていると検出されると、制御部1は、記憶部5から子機20の識別子IDを読出し、DECT無線部3を介して親機40に送信する(ステップS5)。
【0068】
また、子機20の制御部1は、電源I/F6Aの出力から子機20が、クレードル部44に充電可能な態様で装着されているか否かを判定する(ステップS7)。当該出力は、例えば電極端子46と接触しているか否かを示す電位信号を含む。充電可能な態様で装着されていると判定されると(ステップS7でNO)、ステップS7の処理が繰返されて、内蔵バッテリ部7の充電が実施される。
【0069】
充電可能な態様で装着されていないと判定されると(ステップS7でYES)、すなわち子機20はクレードル部44から取外されたと判定されると、処理はステップS3に戻り、クレードル部44への子機20の装着の有無が検出される。
【0070】
このように、
図10に示す子機20側の処理においては、クレードル部44に子機20が装着されたことが検出される毎に、当該子機20の識別子IDが親機40に通知される。したがって、親機40は、クレードル部44に子機20が装着される都度、当該子機20の識別子IDを取得することができる。
【0071】
一方、親機40側では、CPU31はDECT無線部39の出力から、子機20の識別子IDを受信するか否かを判定する(ステップS8)。受信されないと判定されると(ステップS8でNO)、ステップS8の処理が繰返される。
【0072】
子機20から識別子IDが受信されたと判定されると(ステップS8でYES)、CPU31は、受信した識別子IDをIDデータ371として記憶部37に格納する。
【0073】
続いて、CPU31は充電I/F32Aのからの出力に基づき、子機20が充電可能に搭載されているか否かを判定する(ステップS12)。この出力は、電極端子46の端子電位を含む。搭載されていると判定されると(ステップS12でNO)、ステップS12の処理が繰返される。これにより、子機20への充電が実施される。
【0074】
搭載されていないと判定されると(ステップS12でYES)、CPU31は記憶部37からIDデータ371を削除(クリア)する(ステップS14)。その後、ステップS8に戻る。
【0075】
図10に示す親機40の処理は、充電I/F32Aからの出力に基づき、クレードル部44から子機20が取外されたことが検出されたとき、記憶部37から当該子機20のIDデータ371を削除することにより、IDデータ371を、クレードル部44に現在装着されている子機20の識別子IDを示すように管理することができる。
【0076】
[実施の形態4]
実施の形態4は、実施の形態1〜3の変形例を示す。実施の形態4では、特定の子機20は、特定の子機20は、親機40の「DECT通信可能エリア内に存在する子機20」であって、親機40が受信する電波強度により判定される。
【0077】
具体的には、親機40の判定部31Aは、ぺアリング処理により接続が検出された最大4台の子機20それぞれから受信する電波の強度をアンテナ39Aの出力から測定し、測定した電波強度に基づき、DECT通信可能エリア内に存在する特定の子機20を判定する。判定された子機20の識別子IDはIDデータ371として記憶部37に格納される。これにより、留守番電話に関連する音声データを、判定部31Aにより判定された特定の子機20により再生させて出力させることができる。
【0078】
また、特定の子機20は、各子機20のうち受信する電波の強度が最大である子機とするようにしてもよい。
【0079】
なお、留守番電話に関連する音声データを再生し出力させるための特定の子機20は、実施の形態1〜4のいずれか1つを用いて決定してもよく、または、組合わせて決定してもよい。例えば、実施の形態1においてユーザが予め指定した特定の子機20が電源OFF(電池切れ)またはDECT無線通信圏外であると判定されたときは、実施の形態3または4の方法で決定した特定の子機20に切替えてもよい。
【0080】
[実施の形態5]
実施の形態5では、子機20の制御部1のCPUに上記の各実施の形態に記載した制御を実行させるためのプログラムを提供することもでき、また、親機40のCPU31に上記の各実施の形態に記載した制御を実行させるためのプログラムを提供することもできる。このプログラムを子機20の記憶部5および親機40の記憶部37にインストールすることで、既存の通信システムでも、各実施の形態に示した、特定の子機20による留守番電話に関連する音声データの再生出力が実現される。そのため、該プログラムをインストールすることで、留守番電話機能を有した親機40が音声再生および音声出力の機能を備えない場合でも、留守番電話に関連する音声データの再生出力を実現することができる。
【0081】
プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。すなわち、プログラムは、一例として固定電話回線を介してダウンロードによって親機40にダウンロードされた後、子機20にDECT無線通信または通信路21により配信されてもよい。また、他の例として、インターネットなどのネットワークや着脱式のメモリなどによって、いったん、携帯電話機やモバイル端末などに配布され、そのような装置から子機20に対して無線通信で配信されてもよい。
【0082】
なお、本発明にかかるプログラムは、他のプログラムに組み込まれるプログラムの一部(モジュール)であって、当該他のプログラムの一部に組み込まれて提供されるものであってもよい。または、モジュールだけが提供されて、他のプログラムの一部に組み込まれて(またはそのモジュール部分が書き換えられて)用いられてもよい。このような他のプログラムに組み込まれた(組み込まれる)プログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0083】
(開示内容)
実施の形態の開示内容を以下のように表すことができる。
【0084】
(1)
固定電話の回線(電話回線50)に接続される親機(親機40)、および親機との間で無線通信可能な少なくとも1台の子機(子機20)を備えた通信システムであって、親機は、留守番電話に関連する音声データを記憶するための記憶部(記憶部37)と、留守番電話に関する操作を受付けるための操作部(留守キー36)と、子機と通信するための通信部(DECT無線部39)と、を含み、通信部は、操作部により操作が受付けられたとき、記憶部の音声データを子機へ送信する。
【0085】
子機は、音声データを再生する再生部(再生部4A)と、再生部により再生された音声を出力する音声出力部(スピーカ部8)と、を含み、親機から送信された音声データを再生部により再生する。
【0086】
(1)に係る通信システムでは、子機側において留守番電話に関連する音声データの再生および音声出力の機能を持たせることで、親機側でこれら機能を省略することができる。
【0087】
(2)
留守番電話に関連する音声データには、発呼側から回線を介して受信した受信音声データ(留守録データ373)と、留守番電話に関連する案内のための案内音声データ(案内音声データ372)とを含む。
【0088】
(2)に係る通信システムでは、留守番電話に関連する音声データとして、受信音声データと、留守番電話に関連する案内のための案内音声データとを含ませることができる。
【0089】
(3)
通信部は、さらに、音声データを送信するとき、当該音声データの再生を指示するための再生指示を子機へ送信する。
【0090】
(3)に係る通信システムでは、音声データとともに、子機に対して音声データの再生指示を送信することができる。
【0091】
(4)
親機は、再生指示が子機に送信されると、その後、操作部による操作の受付を無効にする。
【0092】
(4)に係る通信システムでは、親機の操作部を無効にすることで、親機に代わって子機側にユーザ操作受付を行なわせることができる。
【0093】
(5)
親機は、子機を着脱自在に装着するための装着部を、さらに含む。
【0094】
(5)に係る通信システムでは、子機を親機に装着させることができる。
(6)
通信部は、装着部に装着された子機に、音声データを送信する。
【0095】
(6)に係る通信システムでは、親機に装着された子機に音声データの再生および音声出力を行なわせることができる。
【0096】
(7)
子機は、さらに、当該子機が装着部に装着されているか否かを検出するための検出部を、含み、検出部により装着されていることが検出されたとき、無線通信のための当該子機の識別情報を親機に通知する。
【0097】
(7)に係る通信システムでは、親機の装着された子機は、自己の識別情報を親機に通知することができるから、親機は、識別情報の問合せ処理をせずともよい。
【0098】
(8)
親機は、さらに、子機から受信する電波の強度に基づき、無線通信可能エリア内に子機が存在するか否かを判定する判定部を含み、通信部は、音声データを、判定部により存在すると判定された子機へ送信する。
【0099】
(8)に係る通信システムでは、親機の通信可能エリア内の子機のうち受信電波強度に基づき判定された子機に、音声データを送信し、再生および音声出力を行なわせることができる。
【0100】
(9)
実施の形態に開示される通信方法は、固定電話の回線に接続される親機、および親機との間で無線通信可能な少なくとも1台の子機を備えた通信システムにおける通信方法であって、親機は、留守番電話に関連する音声データを記憶するための記憶部と、留守番電話に関する操作を受付けるための操作部と、子機と通信するための通信部と、を含み、上述の通信方法は、操作部により操作が受付けられたとき、通信部により記憶部の音声データを子機へ送信するステップを有する。
【0101】
また、子機は、音声データを再生する再生部と、再生部により再生された音声を出力する音声出力部と、を含み、上述の通信方法は、さらに、親機から送信された音声データを再生部により再生するステップを有する。
【0102】
(9)に係る通信方法では、親機側における留守番電話に関連する音声データの再生および音声出力のステップを、子機側で実施させることで、親機側において、これらステップの実施を省略することができる。
【0103】
(10)
上記の(9)の通信方法を、コンピュータを用いて実行するためのプログラムが提供される。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。