【実施例1】
【0014】
図1ないし
図5は本発明の実施例1に係る自動車のアクセルペダル踏込み量規制構造を説明するための図である。
【0015】
図において、1はキャブオーバータイプの小型トラックであり、該トラック1は、ラダータイプのフレーム2の前部上に搭載されたキャビン(車室)3と、該フレーム3の後部上に搭載された荷台4と、前記キャビン3の下方に位置するように前記フレーム2に搭載されたパワートレイン5とを有する。なお、6aは前輪、6bは後輪である。
【0016】
前記キャビン3は、フロアパネル3a,バックパネル3b,サイドパネル3c,3c,フロントパネル3d及びルーフパネル3eにより構成されている。前記左,右のサイドパネル3cには、左,右のドア開口3fが形成され、該ドア開口3fはドア3gで開閉される。
【0017】
また前記フロアパネル3aの後部にはシート載置部3hが高所に位置する段をなすように形成され、該シート載置部3h上にシート3iが搭載されている。
【0018】
さらにまた前記フロアパネル3aの前端部にはダッシュボード3jが上方に立ち上がるように形成されている。該ダッシュボード3jの下端部には、前記フロアパネル3aの前端部に続いて斜め上方に傾斜する傾斜壁3kが形成されている。
【0019】
前記ダッシュボード3jの運転席側部分に電子スロットルタイプのアクセルペダル装置7が配設されている。このアクセルペダル装置7は、前記ダッシュボード3jに取付けられたアクセルペダルモジュール8と、運転者が足で踏み込むアクセルペダル9とを備えている。前記アクセルペダルモジュール8は、アクセルペダル9の踏込み量を内蔵する開度検出センサにより検出し、該検出した踏込み量をエンジンの燃料供給コントロール系に出力し、これによりエンジン回転速度がアクセルベダル踏込み量に応じた回転速度に制御される。
【0020】
前記アクセルペダル9は、棒状部材からなり、前記アクセルペダルモジュール8により上下揺動可能に支持されペダルアーム9aと、該ペダルアーム9aの後端部に固定された平板状のペダル踏面9bとで構成されている。
【0021】
そして本実施例のアクセルペダル装置7は、アクセルペダル9の最大踏込み量を所定値に規制するストッパ10を備えている。このストッパ10は、前記ペダルアーム9aの前後方向中途部下方に配置され、前記ダッシュボード3jの下端部に形成された前記傾斜部3k上にスタッドボルト11及びナット11aにより締め付け固定されている。
【0022】
前記ストッパ10は、板金製のもので、平板状の上壁部10aと、該上壁部10aの左,右縁部に続けて下方に折り曲げられた左,右の脚部10b,10cと、該各脚部10b,10cの下端部に続けて車幅方向外方に折り曲げ形成された左,右のフランジ部10d,10eを有する車両前後方向視山形状をなしている。なお、10d′,10e′は、前記傾斜部3k上に固着されたスタッドボルト11の頭部11bの高さに応じて上方に膨出するように形成されたボルト座である。
【0023】
ここで前記上壁部10a及び左,右の脚部10b,10cの前側の周縁部は、
図5に示すように車両前方に解放される開口aを形成しているのに対し、後の周縁部には、
図3に示すように後壁10fが一体形成されている。この後壁10fにはスリット状の切欠き10gが形成され、該切欠き10gの左,右の縁部10g′,10g′は車両前方に折り曲げられている。
【0024】
そして前記上壁部10aの車両前後方向後部寄りの部位に座面10hが上方に台形状に膨出するように形成されている。この座面10h上に前記ペダルアーム9aの中途部の下縁が当接することでアクセルベダル9の踏込み量が規制される。
【0025】
本実施例に係る自動車のアクセルペダル踏込み量規制構造によれば、アクセルペダル9の下方にストッパ10を設けたので、該アクセルペダル9のペダルアーム9aがストッパ10の座面10hに当接することによりアクセルペダル9の最大踏込み量を所定値に規制でき、アクセルペダルモジュール8の開度検出センサの過剰踏込みによる損傷を回避できる。
【0026】
また、前記ストッパ10をペダルアーム9aの中途部下方に位置するように配置したので、ペダル踏面9bの下方に空間Sが形成され(
図2参照)、運転者が、乗降時につま先が前記空間Sを通るように脚部を移動させることにより、ストッパ10が邪魔になるのを回避でき、ストッパ10を追加的に設けていながらストッパ10を設けていない場合と同等の乗降性を確保できると共に、運転時の足元スペースを確保できる。特に車両側方から見たときアクセルペダル9が、ペダル踏面9bがドア開口3fにラップするような位置関係をなすように配設される場合に有益である。
【0027】
また、本実施例では、ストッパ10を、上壁部10aと左,右脚部10b、10cからなる山形状に形成すると共に、該左,右脚部10b,10cが車幅方向に離れて位置するように、つまりストッパ10の前側の開口aが車両前方を向くように配置し、さらに上壁部10aの後部に座面10hを膨出形成し、これにペダルアーム9aを当接させるようにした。
【0028】
車両衝突時に大きな衝撃力F1が作用すると、前記アクセルペダル9のペダル踏面9bに載置している運転者の足に大きな荷重が作用することとなるが、本実施例では前記ペダルアーム9aから前記ストッパ10の座面10hに大きな荷重が作用すると、ストッパ10は、前記両脚部10b,10cの前側の開口a側が口開きするように座屈変形し、前記荷重を吸収でき、その結果、運転者の脚部に作用する荷重F2を軽減できる。なお、
図2において、荷重F2は、ペダル踏面9bを押圧するように記載されているが、同じ荷重が反作用として運転者の脚部に作用することとなる。
【0029】
また、本実施例では、前記上壁部10a及び左,右の脚部10b,10cの前側の周縁部は車両前方に解放される開口aとなっているのに対し、後側の周縁部には後壁10fが一体形成されているので、前記ストッパ10に作用する荷重に対する後側部分の剛性が前側部分の剛性より高くなっており、この点からも前記荷重に対してストッパ10前側部分が口開きし易くなっており、前記荷重をより確実に吸収でき、脚部に作用する荷重を削減できる。
【実施例2】
【0030】
図6〜
図9は本発明の実施例2に係るアクセルペダル踏み込み量規制構造を説明するための図であり、図中、
図1〜
図5と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0031】
本実施例2は、車両衝突時にアクセルペダルに作用する大きな踏み込み力をストッパの上壁部に確実に伝達できるようにした例である。
【0032】
図において、27はアクセルペダル装置であり、該装置27のアクセルペダル29は、丸棒からなるペダルアーム30と、該ペダルアーム30の後端部に固定されたペダル踏面31とを有する。前記ペダルアーム30は前記ダッシュボード3jに取付けられたアクセルペダルモジュール28に揺動可能に支持された支持部30aと、該支持部30aに続いて車幅方向斜め内側に延びる当接部30bとを有し、該当接部30bにはチューブ30cが装着されている。
【0033】
そして前記当接部30bの下方にストッパ20が配設されている。このストッパ20は、ダッシュボード3j側が高くなるように傾斜する傾斜壁3k上に、後述する境界部Cの右縁が前方に位置するよう斜めに配設され、該傾斜壁3kにボルト締め固定されている。
【0034】
前記ストッパ20は、板金製のもので、上壁部20aと、左,右の脚部20b,20cと、左,右のフランジ部20d,20eとを有する車両前後方向視山形状をなしている。また、該ストッパ20の車両前後方向前側部分は車両前方に解放されているのに対し、後側には、スリット状の切欠き20gを有する後壁20fが一体形成され、該切欠き20gの左,右の縁部20g′,20g′は車両前方に折り曲げられている。このようにストッパ20は、前記実施例1のストッパ10と基本的に同様の構造を有する。
【0035】
ここで、
図9に示すように、前記ペダルアーム30の当接部30bの揺動軌跡Aは、前記ペダル踏面31に対する踏込み方向Bと交差するようになっている。そして前記上壁部20aは、前記ペダルアーム30の当接部30bの揺動軌跡Aを挟んだ一側部分20hと他側部分20iとで構成されている。前記一側部分20hは他側部分20iに対して斜め上方に傾斜している。換言すれば、前記一側部分20hは、該アクセルペダル29の踏み込み方向Bとなす角度θが傾斜しない場合の一側部分20h′のなす角度θ′より小さくなるように傾斜しており、さらに換言すれば前記一側部分20hは前記踏込み方向Bに対して略垂直となっている。このようにして前記一側部分20hと他側部分20iとの境界部分は、前記ペダルアーム30の当接部30bに略沿うように延びる谷形状の屈曲部Cとなっており、該屈曲部Cに前記支持部30bの下縁が当接することで該アクセルベダル29の踏込み量が規制される。
【0036】
このように本実施例2では、 ストッパ20の上壁部20aの、前記ペダルアーム30の揺動軌跡Aを挟んだ他側部分20iに対して一側部分30hを、該アクセルペダル29の踏み込み方向Bとなす角度θが小さくなるように、換言すれば一側部分20hと他側部分20iが谷形状をなし、かつ該一側部分20hが踏込み方向Bに対して略垂直となるように傾斜させた。そのため、車両衝突時にペダルアーム30の当接部30bが上壁部20aに当接した際に該当接部30bが横滑りするのを、前記一側部分20hと他側部分20iが谷形状をなしていることにより防止できる。これにより前記衝突時の荷重を前記上壁部20aに確実に作用させることができ、その結果、前記両脚部20b,20cの前側解放部が口開きするように座屈変形することで前記荷重を吸収でき、かつ運転者の脚部に作用する荷重を軽減できる。
【0037】
なお、前記実施例1,2では、本発明をキャブオーバータイプのトラックに適用した場合を説明したが、本発明は、キャビン前方にエンジンルームを有する通常の自動車にも勿論適用可能である。