特許第6403521号(P6403521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403521
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】光送信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2575 20130101AFI20181001BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20181001BHJP
【FI】
   H04B10/2575 120
   H04B10/516
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-197483(P2014-197483)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-72689(P2016-72689A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年1月17日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人情報通信研究機構、「高い臨時設営性を持つ有無線両用通信技術の研究開発」副題「光ファイバ伝送とW帯無線伝送を柔軟に切替可能な通信方式を実現する要素デバイス及びシステム化技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】ベッカリ アブデルモウラ
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佐
(72)【発明者】
【氏名】大石 将之
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−212835(JP,A)
【文献】 特開2002−341299(JP,A)
【文献】 特開平11−340926(JP,A)
【文献】 特開2004−007674(JP,A)
【文献】 特開2009−272694(JP,A)
【文献】 特開2015−070546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/2575
H04B 10/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続光を生成する光源と、
前記連続光を第1周波数及び前記第1周波数とは異なる第2周波数の正弦波で変調することにより、前記連続光との周波数差が前記第1周波数である第1信号及び第2信号と、前記連続光との周波数差が前記第2周波数である第3信号及び第4信号と、を含む第1光信号を生成する第1生成手段と、
前記第1信号を偏波分離し、第1偏波面の第5信号と、前記第1偏波面とは直交する第2偏波面の第6信号を生成する第2生成手段と、
前記第5信号を送信データで変調して第1変調信号を生成する第3生成手段と、
前記第6信号を送信データで変調して第2変調信号を生成する第4生成手段と、
前記第2信号から前記第4信号のいずれかの信号を偏波分離し、前記第1偏波面の第7信号を生成する第5生成手段と、
前記第2信号から前記第4信号のうち、前記第7信号とは異なる周波数の信号を偏波分離し、前記第2偏波面の第8信号を生成する第6生成手段と、
前記第1変調信号、前記第2変調信号、前記第7信号及び前記第8信号を偏波多重した第2光信号を生成する第7生成手段と、
を備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
前記第1生成手段は、前記連続光を前記第1周波数及び前記第2周波数の正弦波で変調する変調手段と、
前記変調手段の出力に含まれる前記連続光の周波数成分を抑圧するフィルタ手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光送信装置。
【請求項3】
前記第2生成手段、前記第5生成手段及び前記第6生成手段は、同じ偏波分離器により偏波分離を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光送信装置。
【請求項4】
連続光を生成する光源と、
前記連続光を偏波分離し、第1偏波面の第1信号と、前記第1偏波面とは直交する第2偏波面の第2信号を生成する第1生成手段と、
前記第1信号を第1周波数の正弦波で変調し、前記第1信号との周波数差が前記第1周波数である第3信号及び第4信号を含む第1光信号を生成する第2生成手段と、
前記第2信号を前記第1周波数とは異なる第2周波数の正弦波で変調し、前記第2信号との周波数差が前記第2周波数である第5信号及び第6信号を含む第2光信号を生成する第3生成手段と、
前記第1光信号の前記第3信号を送信データで変調し、変調された前記第3信号及び前記第4信号を含む第3光信号を生成する第4生成手段と、
前記第2光信号の前記第5信号を送信データで変調し、変調された前記第5信号及び前記第6信号を含む第4光信号を生成する第5生成手段と、
前記第3光信号及び前記第4光信号を偏波多重した第5光信号を生成する第6生成手段と、
を備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項5】
連続光を生成する光源と、
前記連続光を第1周波数の正弦波で変調することにより、前記連続光との周波数差が前記第1周波数である第1信号及び第2信号を含む第1光信号を生成する第1生成手段と、
前記第1信号を偏波分離し、第1偏波面の第3信号と、前記第1偏波面とは直交する第2偏波面の第4信号を生成する第2生成手段と、
前記第3信号を送信データで変調して第1変調信号を生成する第3生成手段と、
前記第4信号を送信データで変調して第2変調信号を生成する第4生成手段と、
前記第2信号を前記第1周波数とは異なる第2周波数の正弦波で変調することにより、前記2信号との周波数差が前記第2周波数である第5信号及び第6信号を含む第2光信号を生成する第5生成手段と、
前記第5信号を偏波分離し、前記第1偏波面の第7信号を生成する第6生成手段と、
前記第6信号を偏波分離し、前記第2偏波面の第8信号を生成する第7生成手段と、
前記第1変調信号、前記第2変調信号、前記第7信号及び前記第8信号を偏波多重した第3光信号を生成する第8生成手段と、
を備えていることを特徴とする光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レディオ・オーバ・ファイバ(RoF:Radio over Fiber)システムの光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送路と無線伝送路を含む伝送路においてRoF技術が用いられている。具体的には、RoFシステムにおいては、光伝送路に光変調信号を含む光信号を送信し、無線伝送路への変換点において、この光信号を光電変換して無線周波数帯の信号とし、この無線周波数帯の信号を無線により送信する。非特許文献1は、光伝送路において偏波多重(PDM)した2つの光変調信号と、各偏波面それぞれの光トーン信号を送信し、これら、光変調信号と光トーン信号を含む光信号を光電変換することで、2つの異なる周波数の電気変調信号、つまり、周波数多重(FDM)された2つの電気変調信号とし、この2つの電気変調信号を無線伝送路に送信する構成を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Y.Kawaguchi et al.,"Conceptual Study on Seamless Optical and Wireless Transmission using PDM−FDM Conversion,"Proc.,OECC,paper TH10A−2,2014年7月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の光送信装置は、偏波多重される光変調信号のための1つの光源と、異なる周波数の2つの光トーン信号を生成するための2つの光源の合計3つの光源を使用する。光電変換においては、同じ偏波面の光変調信号と光トーン信号のビート信号、つまり、同じ偏波面の光変調信号と光トーン信号の周波数差をその周波数とする電気変調信号が得られる。しかしながら、各光源の周波数変動は独立して生じるため、非特許文献1の構成では、光電変換して得られる電気変調信号の周波数も変動し、品質が劣化する。
【0005】
本発明は、送信する偏波多重された光変調信号を光電変換して得る電気変調信号の周波数変動を抑えることができる光送信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、光送信装置は、連続光を生成する光源と、前記連続光を第1周波数及び前記第1周波数とは異なる第2周波数の正弦波で変調することにより、前記連続光との周波数差が前記第1周波数である第1信号及び第2信号と、前記連続光との周波数差が前記第2周波数である第3信号及び第4信号と、を含む第1光信号を生成する第1生成手段と、前記第1信号を偏波分離し、第1偏波面の第5信号と、前記第1偏波面とは直交する第2偏波面の第6信号を生成する第2生成手段と、前記第5信号を送信データで変調して第1変調信号を生成する第3生成手段と、前記第6信号を送信データで変調して第2変調信号を生成する第4生成手段と、前記第2信号から前記第4信号のいずれかの信号を偏波分離し、前記第1偏波面の第7信号を生成する第5生成手段と、前記第2信号から前記第4信号のうち、前記第7信号とは異なる周波数の信号を偏波分離し、前記第2偏波面の第8信号を生成する第6生成手段と、前記第1変調信号、前記第2変調信号、前記第7信号及び前記第8信号を偏波多重した第2光信号を生成する第7生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一側面によると、光送信装置は、連続光を生成する光源と、前記連続光を偏波分離し、第1偏波面の第1信号と、前記第1偏波面とは直交する第2偏波面の第2信号を生成する第1生成手段と、前記第1信号を第1周波数の正弦波で変調し、前記第1信号との周波数差が前記第1周波数である第3信号及び第4信号を含む第1光信号を生成する第2生成手段と、前記第2信号を前記第1周波数とは異なる第2周波数の正弦波で変調し、前記第2信号との周波数差が前記第2周波数である第5信号及び第6信号を含む第2光信号を生成する第3生成手段と、前記第1光信号の前記第3信号を送信データで変調し、変調された前記第3信号及び前記第4信号を含む第3光信号を生成する第4生成手段と、前記第2光信号の前記第5信号を送信データで変調し、変調された前記第5信号及び前記第6信号を含む第4光信号を生成する第5生成手段と、前記第3光信号及び前記第4光信号を偏波多重した第5光信号を生成する第6生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一側面によると、連続光を生成する光源と、前記連続光を第1周波数の正弦波で変調することにより、前記連続光との周波数差が前記第1周波数である第1信号及び第2信号を含む第1光信号を生成する第1生成手段と、前記第1信号を偏波分離し、第1偏波面の第3信号と、前記第1偏波面とは直交する第2偏波面の第4信号を生成する第2生成手段と、前記第3信号を送信データで変調して第1変調信号を生成する第3生成手段と、前記第4信号を送信データで変調して第2変調信号を生成する第4生成手段と、前記第2信号を前記第1周波数とは異なる第2周波数の正弦波で変調することにより、前記2信号との周波数差が前記第2周波数である第5信号及び第6信号を含む第2光信号を生成する第5生成手段と、前記第5信号を偏波分離し、前記第1偏波面の第7信号を生成する第6生成手段と、前記第6信号を偏波分離し、前記第2偏波面の第8信号を生成する第7生成手段と、前記第1変調信号、前記第2変調信号、前記第7信号及び前記第8信号を偏波多重した第3光信号を生成する第8生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
光送信装置が送信する、偏波多重された光変調信号を光電変換して得る電気変調信号の周波数変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による光送信装置の構成図。
図2】一実施形態による光送信装置内の機能ブロックが出力する光信号のスペクトラムを示す図。
図3】一実施形態による光送信装置の構成図。
図4】一実施形態による光送信装置内の機能ブロックが出力する光信号のスペクトラムを示す図。
図5】一実施形態による光送信装置の構成図。
図6】一実施形態による光送信装置内の機能ブロックが出力する光信号のスペクトラムを示す図。
図7】一実施形態による光送信装置が出力する光信号のスペクトラムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の光送信装置の構成図である。光源100は所定周波数の連続光を生成し、変調部101は、周波数f及び周波数f+Δfの2つの正弦波で連続光を振幅変調する。図2(A)は、変調部101が出力する光信号のスペクトラムを示している。信号10は、光源100が出力する連続光と同じ周波数、つまり、キャリア成分である。周波数fの正弦波で連続光を振幅変調することにより、上側帯波と下側帯波に対応する信号11、13が、キャリア成分10と周波数差fで生成される。同様に、周波数f+Δfの正弦波で連続光を振幅変調することにより、上側帯波と下側帯波に対応する信号12、14が、キャリア成分10と周波数差f+Δfで生成される。ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)102は、変調部101が出力する光信号のキャリア成分10を抑圧するフィルタである。図2(B)は、FBG102が出力する光信号のスペクトラムを示している。
【0013】
FBG102の出力は、偏波制御部(PC)103にて、偏波面の調整が行われ、偏波分離器(PBS)104で、第1偏波面の光信号と、第1偏波面に直交する第2偏波面の光信号に分離される。なお、PC103は、第1偏波面の光信号と第2偏波面の光信号の各成分の振幅が等しくなる様に、FBG102が出力する光信号の偏波面を調整する。FBG105は、図2(B)の信号11及び13を抑圧し、図2(C)に示すスペクトラムの光信号を出力する。一方、FBG106は、図2(B)の信号12及び13を抑圧し、図2(D)に示すスペクトラムの光信号を出力する。なお、図2(C)の光信号は第1偏波面の光信号であり、図2(D)の光信号は第2偏波面の光信号である。つまり、図2(C)の光信号と図2(D)の光信号は、互いに直交する偏波の光信号である。FBG105の出力は、図示しない分岐部で分岐され、それぞれ、フィルタ107、108に入力される。同様に、FBG106の出力は、図示しない分岐部で分岐され、それぞれ、フィルタ111、112に入力される。
【0014】
フィルタ107は、図2(C)の信号12を抑圧し、変調部109は、フィルタ107からの信号14を送信データで変調して光変調信号を生成する。一方、フィルタ108は、図2(C)の信号14を抑圧し、減衰部110は、フィルタ108からの信号12のレベルを、変調部109が出力する光変調信号のレベルに応じて調整する。変調部109が出力する光変調信号と、減衰部110が出力する信号12は、図示しない合波部で合波され、偏波多重器(PBC)115に入力される。フィルタ112は、図2(D)の信号11を抑圧し、変調部114は、フィルタ112からの信号14を送信データで変調して光変調信号を生成する。一方、フィルタ111は、図2(D)の信号14を抑圧し、減衰部113は、フィルタ111からの信号11のレベルを、変調部114が出力する光変調信号のレベルに応じて調整する。変調部114が出力する光変調信号と、減衰部113が出力する信号11は、図示しない合波部で合波されPBC115に入力される。
【0015】
PBC115は、入力される光信号を偏波多重し、光送信装置の出力とする。図7(A)に本実施形態の光送信装置が出力する光信号のスペクトラムを示す。光変調信号18は、第1偏波面の信号であり、変調部109が生成したものである。よって、その中心周波数は、信号14の周波数に等しい。また、減衰部110でレベルが調整された信号12は、光トーン信号であり、その偏波面は、光変調信号18と同じであり、光変調信号18の中心周波数との周波数差は2f+2Δfである。光変調信号19は、第2偏波面の信号であり、変調部114が生成したものである。よって、その中心周波数は、信号14の周波数に等しい。また、減衰部113でレベルが調整された信号11は、光トーン信号であり、その偏波面は、光変調信号19と同じであり、光変調信号19の中心周波数との周波数差は2f+Δfである。
【0016】
したがって、図7(A)に示す光信号を光電変換すると、第1偏波面の光変調信号18及び光トーン信号12のビート信号、つまり、その中心周波数が2f+2Δfである電気変調信号と、第2偏波面の光変調信号19及び光トーン信号11のビート信号、つまり、その中心周波数が2f+Δfである電気変調信号が得られる。
【0017】
ビート信号は、光変調信号と光トーン信号の周波数差の信号であるが、本実施形態では、1つの光源100のみを使用するため、光源100が出力する連続光に周波数変動が生じても、図7(A)に示す光変調信号18、19と、光トーン信号11、12に生じる周波数変動は同じであり、これら信号の差であるビート信号には周波数変動が生じない。よって、光電変換後の電気変調信号の品質劣化を防ぐことができる。
【0018】
<第2実施形態>
図3は、本実施形態の光送信装置の構成図である。光源200は所定周波数の連続光を生成し、PC201は連続光の偏波面を調整し、PBS202は、連続光を第1偏波面の連続光と、第1偏波面に直交する第2偏波面の連続光に分離する。なお、PC201は、第1偏波面の連続光と第2偏波面の連続光の振幅が等しくなる様に、その偏波面を調整する。変調部203は、周波数f+Δfの正弦波で連続光を振幅変調する。図4(A)は、変調部203が出力する光信号のスペクトラムを示している。信号10は、光源200が出力する連続光と同じ周波数、つまり、キャリア成分である。周波数f+Δfの正弦波で連続光を振幅変調することにより、上側帯波と下側帯波に対応する信号12、14が、キャリア成分10と周波数差f+Δfで生成される。一方、変調部204は、周波数fの正弦波で連続光を振幅変調する。図4(B)は、変調部204が出力する光信号のスペクトラムを示している。信号10は、光源200が出力する連続光と同じ周波数、つまり、キャリア成分である。周波数fの正弦波で連続光を振幅変調することにより、上側帯波と下側帯波に対応する信号11、13が、キャリア成分10と周波数差fで生成される。なお、図4(A)の光信号は第1偏波面の光信号であり、図4(B)の光信号は第2偏波面の光信号である。つまり、図4(A)の光信号と図4(B)の光信号は、互いに直交する偏波の光信号である。
【0019】
FBG205及びFBG206は、それぞれ、図4(A)の光信号と図4(B)の光信号のキャリア成分10を抑圧する。FBG205の出力は、図示しない分岐部で分岐され、それぞれ、フィルタ207、208に入力される。同様に、FBG206の出力は、図示しない分岐部で分岐され、それぞれ、フィルタ211、212に入力される。
【0020】
フィルタ207は、図4(A)の信号12を抑圧し、変調部209は、フィルタ207からの信号14を送信データで変調して光変調信号を生成する。一方、フィルタ208は、図4(A)の信号14を抑圧し、減衰部210は、フィルタ208からの信号12のレベルを、変調部209が出力する光変調信号のレベルに応じて調整する。変調部209が出力する光変調信号と、減衰部210が出力する信号12は、図示しない合波部で合波され、PBC215に入力される。フィルタ212は、図4(B)の信号11を抑圧し、変調部214は、フィルタ212からの信号13を送信データで変調して光変調信号を生成する。一方、フィルタ211は、図4(B)の信号13を抑圧し、減衰部213は、フィルタ211からの信号11のレベルを、変調部214が出力する光変調信号のレベルに応じて調整する。変調部214が出力する光変調信号と、減衰部213が出力する信号11は、図示しない合波部で合波され、PBC215に入力される。
【0021】
PBC215は、入力される光信号を偏波多重し、光送信装置の出力とする。図7(B)に本実施形態の光送信装置が出力する光信号のスペクトラムを示す。光変調信号18は、第1偏波面の信号であり、変調部209が生成したものである。よって、その中心周波数は、信号14の周波数に等しい。また、減衰部210でレベルが調整された信号12は、光トーン信号であり、その偏波面は、光変調信号18と同じであり、光変調信号18の中心周波数との周波数差は2f+2Δfである。光変調信号19は、第2偏波面の信号であり、変調部214が生成したものである。よって、その中心周波数は、信号13の周波数に等しい。また、減衰部213でレベルが調整された信号11は、光トーン信号であり、その偏波面は、光変調信号19と同じであり、光変調信号19の中心周波数との周波数差は2fである。
【0022】
したがって、図7(B)に示す光信号を光電変換すると、第1偏波面の光変調信号18及び光トーン信号12のビート信号、つまり、その中心周波数が2f+2Δfである電気変調信号と、第2偏波面の光変調信号19及び光トーン信号11のビート信号、つまり、その中心周波数が2fである電気変調信号が得られる。
【0023】
ビート信号は、光変調信号と光トーン信号の周波数差の信号であるが、本実施形態では、1つの光源200のみを使用するため、光源200が出力する連続光に周波数変動が生じても、図7(B)に示す光変調信号18、19と、光トーン信号11、12に生じる周波数変動は同じであり、ビート信号には周波数変動が生じない。よって、光電変換後の電気変調信号の品質劣化を防ぐことができる。
【0024】
<第3実施形態>
図5は、本実施形態の光送信装置の構成図である。光源300は所定周波数の連続光を生成し、変調部301は、周波数fの正弦波で連続光を振幅変調する。図6(A)は、変調部301が出力する光信号のスペクトラムを示している。信号10は、光源300が出力する連続光と同じ周波数、つまり、キャリア成分である。周波数fの正弦波で連続光を振幅変調することにより、上側帯波と下側帯波に対応する信号11、13が、キャリア成分10と周波数差fで生成される。FBG302は、変調部301が出力する光信号のキャリア成分10を抑圧するフィルタである。FBG302の出力は、図示しない分岐部で分岐され、それぞれ、フィルタ303、309に入力される。
【0025】
フィルタ303は、FBG302が出力する信号11を抑圧し、図6(B)に示す光信号を出力する。PC304はフィルタ303が出力する信号13の偏波面を調整し、PBS305は、光信号13を第1偏波面の信号13と、第1偏波面に直交する第2偏波面の信号13に分離する。なお、PC304は、第1偏波面の信号13と第2偏波面の信号13の振幅が等しくなる様に、その偏波面を調整する。変調部306、307は、それぞれ、信号13を送信データで変調して光変調信号を生成し、PBC308は、変調部306、307が出力する光変調信号を偏波多重する。
【0026】
一方、フィルタ309は、FBG302が出力する信号13を抑圧し、変調部310は、信号11を周波数Δfの正弦波で振幅変調する。図6(C)は、フィルタ309が出力する光信号のスペクトラムを示している。周波数Δfの正弦波で信号11を振幅変調することにより、上側帯波と下側帯波に対応する信号12、15が、信号11と周波数差Δfで生成される。FBG311は、変調部310の出力信号の内の信号11を抑圧し、PC312はFBG311が出力する光信号の偏波面を調整し、PBS313は、PC312が出力する光信号を第1偏波面の光信号と、第1偏波面に直交する第2偏波面の光信号に分離する。なお、PC312は、第1偏波面の信号12、15と第2偏波面の信号12、15の振幅が等しくなる様に、その偏波面を調整する。FBG314は、信号15を抑圧し、FBG315は、信号12を抑圧し、PBC316は、FBG314が出力する第1偏波面の信号12と、FBG315が出力する第2偏波面の信号15を偏波多重する。減衰部317は、PBC316が出力する偏波多重された信号12と信号15のレベルを、PBC308が出力する偏波多重された光変調信号のレベルに応じて調整する。減衰部317の出力と、PBC308の出力は、図示しない合波部で合波されて、光送信装置の光送信号として出力される。
【0027】
図7(C)に本実施形態の光送信装置が出力する光信号のスペクトラムを示す。光変調信号20は、第1偏波面の信号であり、変調部306が生成したものである。よって、その中心周波数は、信号13の周波数に等しい。また、光変調信号21は、第2偏波面の信号であり、変調部307が生成したものである。よって、その中心周波数は、信号13の周波数に等しい。また、減衰部317でレベルが調整された信号12は、光トーン信号であり、その偏波面は、光変調信号20と同じであり、光変調信号20の中心周波数との周波数差は2f+Δfである。また、減衰部317でレベルが調整された信号15は、光トーン信号であり、その偏波面は、光変調信号21と同じであり、光変調信号21の中心周波数との周波数差は2f−Δfである。
【0028】
したがって、図7(C)に示す光信号を光電変換すると、第1偏波面の光変調信号20及び光トーン信号12のビート信号、つまり、その中心周波数が2f+Δfである電気変調信号と、第2偏波面の光変調信号21及び光トーン信号15のビート信号、つまり、その中心周波数が2f−Δfである電気変調信号が得られる。
【0029】
ビート信号は、光変調信号と光トーン信号の周波数差の信号であるが、本実施形態では、1つの光源300のみを使用するため、光源300が出力する連続光に周波数変動が生じても、図7(C)に示す光変調信号20、21と、光トーン信号12、15に生じる周波数変動は同じであり、ビート信号には周波数変動が生じない。よって、光電変換後の電気変調信号の品質劣化を防ぐことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7