(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403552
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】汚染マスキングテープ巻取り回収具
(51)【国際特許分類】
E04F 21/165 20060101AFI20181001BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20181001BHJP
E04F 21/16 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
E04F21/165 Z
E04G21/16
E04F21/16 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-238188(P2014-238188)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2016-89604(P2016-89604A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】510186203
【氏名又は名称】前田 嘉俊
(74)【代理人】
【識別番号】100101834
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 順一
(72)【発明者】
【氏名】前田 嘉俊
【審査官】
立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−328499(JP,A)
【文献】
米国特許第08001744(US,B1)
【文献】
特開2006−152771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/00−21/32
E04G 21/14−21/22
B05B 15/00−15/12
B05C 7/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で、両端面の軸芯にそれぞれハンドルが立設され、外周に筒状フィルムが被覆される巻取り筒体を具備し、前記巻取り筒体上、前記筒状フィルム上に巻かれた汚染マスキングテープは巻取り筒体上からの前記筒状フィルムの引き抜きによる滑脱除去ができることを特徴とする汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項2】
前記ハンドルの何れか一方のハンドルが回転自在に軸支された回転ハンドルであり、他方は回転自在に軸支固定された補助ハンドルであることを特徴とする請求項1に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項3】
一端面側で分割されて、該分割面が開口部となる中空状に形成された巻取り筒体と、この巻取り筒体の前記開口部に着脱される蓋体とで構成され、前記筒状フィルムは、前記巻取り筒体の中空状部に長尺物として積層収納されていて、前記開口部から引き出されるとともに前記開口部で折り返されて前記巻取り筒体の外周に被覆され、前記蓋体は、前記筒状フィルムの折り返し部を挟んで前記巻取り筒体の開口部に取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項4】
前記ハンドルの何れか一方のハンドルが回転自在に軸支された回転ハンドルであり、他方は回転自在に軸支固定された補助ハンドルであって、一端面側で分割されて、該分割面が開口部となる中空状に形成された巻取り筒体と、この巻取り筒体の前記開口部に着脱される蓋体とで構成され、前記筒状フィルムは、前記巻取り筒体の中空状部に長尺物として積層収納されていて、前記開口部から引き出されるとともに前記開口部で折り返されて前記巻取り筒体の外周に被覆され、前記蓋体は、前記筒状フィルムの折り返し部を挟んで前記巻取り筒体の開口部に取り付けられ、前記補助ハンドルの芯には固定的に回転軸が取り付けられており、この回転軸の他方は前記巻取り筒体の開口部において着脱可能な前記蓋体へ挿通され、前記蓋体は前記巻取り筒体の回転軸への軸支と前記筒状フィルム端部の固定ができることを特徴とする請求項1に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項5】
前記ハンドルの何れか一方のハンドルに手動回転具又は電動回転機の外部操作機器を取り付けることができることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項6】
前記ハンドルの何れか一方は少なくとも3分割放射線状に立開脚スタンドを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項7】
前記巻取り筒体外周が多面形状に形成されて角出し部を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【請求項8】
前記巻取り筒体に、前記巻取り筒体の内部を覗く覗き窓を前記巻取り筒体の長手方向に沿って設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コーキング材が付着したマスキングテープを巻取り回収することができる汚染マスキングテープ巻取り回収具に関する。
【背景技術】
【0002】
コーキング(シーリングともいうが以下、コーキングとする)工事において、コーキング材が構成材等へ付着して、汚れるのを防ぐためマスキングテープを使用している。したがって、構成材等からはみ出したコーキング材は、マスキングテープに付着して、このマスキングテープが汚れ、汚染マスキングテープとなる。
【0003】
従来、汚染マスキングテープの回収方法は、一方の手でマスキングテープを剥がし、他方の手に持つ仮回収具に回収したり、指先で一定の長さを剥がした後、棒切れ等に巻き付けるなどしたりして、身近にある様々な用具を回収具として利用していた。
しかし、指先で汚染マスキングテープを剥がしながらの回収作業は、作業者自身がどんなに気を付けていても、マスキングテープ上に付着したコーキング材には触れることとなり、この触れたコーキング材が作業者が気が付かないうちに周囲の構成材等を汚す拡散汚染の原因となっていた。このような状態での作業は、コーキング材が作業者自身の衣服等にも付着することとなり、主に防水を目的としたコーキング材は接着力が非常に強く通常の清掃や洗濯では落とすことができない厄介な材質である。したがって、汚染マスキングテープの回収にあたっては、神経を使いながらの作業であり、拡散汚染による清掃には余分な労力を使うこととなっていた。
【0004】
また、従来の汚染マスキングテープの回収具においては、マスキングテープの接着面やマスキングテープ上に付着したコーキング材が、回収具に貼り付いたり付着したりすることで、回収具からの除去が困難となり、汚染マスキングテープは、回収具と分別処理することなく、回収具も汚染マスキングテープと共に都度廃棄され、嵩張った余分なゴミ(廃棄物)を多量に発生させていた。
【0005】
さらに、コーキング施工時において、目地にコーキング材を充填し、ヘラ等を使用してコーキング材の表面を均し整える作業(目地等に充填したコーキング材の表面をヘラで均し仕上げする作業)を行う。この均し作業においては、常時、ヘラに付着したコーキング材を拭い取り、ヘラの調子を整えながらの作業であって、従来においては、ヘラに付着のコーキング材の拭い取りは紙切れや棒切れなどの角部を利用して行なっていた。しかし、いずれも拭い取り専用具ではないため、拭い取ったコーキング材を様々な拭い取り具と共に廃棄することとなり、この場においても、余分な廃棄物を生むこととなっていた。
【0006】
上記問題点を解決するものとして、ロスネタ取りの容器の下部に手を通す形の取っ手がついており、容器を手の甲に装着できるようにして、汚染マスキングテープを巻き取る棒などを同時に持てるようにしてあるとともに、使い捨ての薄いケースを容器にすっぽり被せて、取り集めたロスネタをそのケースごと簡単に容器から捨てられるようにしたコーキングロスネタ取り具が知られている(特許文献1参照)。
このような構成においては、例えば、
図23に示すように、ロスネタ取31を手の甲に装着し、同時に巻き取り棒などの回収具を持って汚染マスキングテープの回収を行わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−152771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記コーキングロスネタ取り具は、片手の甲に装着して使用するロスネタ回収専用工具であって、マスキングテープ巻取り回収具ではない。したがって、汚染マスキングテープの回収にあたっては、従来のように、巻き取り棒などの回収具を用いなければならず、コーキング材による汚れの拡散が発生し、また、汚染マスキングテープを効率的に回収しにくいという課題が生じる。
本発明はこのような従来の問題点を考慮してなされたもので、コーキング材による汚れの拡散を抑制し、汚染マスキングテープを効率的に回収するとともに廃棄物の量を軽減できる汚染マスキングテープ巻取り回収具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、筒状で、両端面の軸芯にそれぞれハンドルが立設され、外周に筒状フィルムが被覆される巻取り筒体を
具備し、前記巻取り筒体上、前記筒状フィルム上に巻かれた汚染マスキングテープは巻取り筒体上からの前記筒状フィルムの引き抜きによる滑脱除去ができることを特徴とする。
巻取り筒体は、筒状であればよく、円筒状、多角形筒状等が適用できる。ハンドルが立設されているので、このハンドルを操作して巻取り筒体に汚染マスキングテープを巻き取ることができる。
【0010】
請求項2に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、請求項1に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、
前記ハンドルの何れか一方のハンドルが回転自在に軸支された回転ハンドルであり、他方は回転自在に軸支固定された補助ハンドルであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、請求項1又は請求項2に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、一端面側で分割されて、該分割面が開口部となる中空状に形成された巻取り筒体と、この巻取り筒体の前記開口部に着脱される蓋体とで構成され、前記筒状フィルムは、前記巻取り筒体の中空状部に長尺物として積層収納されていて、前記開口部から引き出されるとともに前記開口部で折り返されて前記巻取り筒体の外周に被覆され、前記蓋体は、前記筒状フィルムの折り返し部を挟んで前記巻取り筒体の開口部に取り付けられることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、
請求項1に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、
前記ハンドルの何れか一方のハンドルが回転自在に軸支された回転ハンドルであり、他方は回転自在に軸支固定された補助ハンドルであって、一端面側で分割されて、該分割面が開口部となる中空状に形成された巻取り筒体と、この巻取り筒体の前記開口部に着脱される蓋体とで構成され、前記筒状フィルムは、前記巻取り筒体の中空状部に長尺物として積層収納されていて、前記開口部から引き出されるとともに前記開口部で折り返されて前記巻取り筒体の外周に被覆され、前記蓋体は、前記筒状フィルムの折り返し部を挟んで前記巻取り筒体の開口部に取り付けられ、前記補助ハンドルの芯に
は固定的に回転軸が取り付けられており、この回転軸の他方は前記巻取り筒体の開口部において着脱可能な前記蓋体へ挿通され、前記蓋体は前記巻取り筒体の回転軸への軸支と前記筒状フィルム端部の固定ができることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、請求項1乃至
請求項3のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、前記ハンドルの何れか一方のハンドルに手動回転具又は電動回転
機の外部操作機器を取り付けることができることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、請求項1乃至
請求項5のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、前記ハンドルの何れか一方は少なくとも3分割放射線状に立開脚スタンドを設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、請求項1乃至
請求項6のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、前記巻取り筒体外周が多面形状に形成されて角出し部を有していることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具は、請求項1乃至
請求項7のいずれか一に記載の汚染マスキングテープ巻取り回収具において、前記巻取り筒体に
、前記巻取り筒体の内部を覗く覗き窓を
前記巻取り筒体の長手方向に沿って設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コーキング材による汚れの拡散を抑制し、汚染マスキングテープを効率的に回収するとともに廃棄物の量を軽減できる汚染マスキングテープ巻取り回収具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態を実施するための全体斜視図。
【
図2】第1の実施形態の筒状フィルムと巻き取り筒体の一部分切り取りによる筒体内部階層斜視図。
【
図3】第1の実施形態の筒状フィルムの装着をしていない状態での全体斜視図。
【
図4】第1の実施形態の筒状フィルムを装着していない状態で蓋体を回転軸上から取り外した状態の斜視図であり、(ア)、(イ)及び(ウ)は筒体切断(a−a`)による一部の参考断面図。
【
図6】第1の実施形態の筒状フィルムを単枚で被せた状態の縦断面図。
【
図7】第1の実施形態の巻取り筒体内に、フィルム充填ケースに予め長尺筒状フィルムを充填した状態で、フィルム充填ケースごと巻取り筒体内に装填した状態を示した縦断面図であり蓋体を取り外した状態。
【
図8】第1の実施形態の長尺筒状フィルムを別途フィルム充填ケースに充填した状態の縦断面図(a)及びC−C’切断面(b)。
【
図9】第1の実施形態の巻取り筒体内に、長尺筒状フィルム若しくは単枚筒状フィルムを直接装填した状態の縦断面図であり、蓋体を取り外した状態。
【
図10】第1の実施形態において、蓋体を筒体開口部から離脱させて筒体内から長尺筒状フィルム若しくは単枚筒状フィルムを反転引出により巻取筒体に装着できる状態の縦断面図。
【
図11】第1の実施形態において、長尺筒状フィルム若しくは単枚筒状フィルムの装填による巻取り筒体上に反転引出による筒状フィルムを被せた状態での筒体開口部と蓋体との嵌合による筒状フィルムの挟掴と巻取り筒体の軸支の状態を示した縦断面図。
【
図12】構成材にマスキングテープを貼り付け、コーキング材のヘラ均し状況の斜視図。
【
図13】第1の実施形態の巻取り筒体上、角出し部でヘラ拭いをしている状況の斜視図。
【
図14】第1の実施形態の巻取り筒体上に汚染マスキングテープが巻きとられた状態の斜視図。
【
図15】第1の実施形態において、巻取り汚染マスキングテープを巻取り筒体上から滑脱除去する場合、長尺筒状フィルムは後続長尺繋がりにおいて後部から連続して反転引き出され、巻取り筒体に被せられている状態の斜視図。
【
図16】第2の実施形態のハンドル兼用縦型スタンドを取り付けた状態の全体斜視図であり、(a)ハンドル状態、(b)開脚スタンド状態、(c)巻取り汚染マスキングテープ状態での立ちスタンド使用状態斜視図。
【
図17】第3の実施形態において、筒状フィルムを被せてない状態での、回転軸に巻取り筒体の各種操作具取り付け用外部機器接続軸を設けた全体斜視図(実施例1)。
【
図18】第3の実施形態において、接続軸に手動回転具を取り付けた状態の斜視図(実施例2)。
【
図19】第3の実施形態において、接続軸に電動回転機を取り付けた状態の斜視図(実施例3)。
【
図20】第3の実施形態において、接続軸にハンドル兼用縦型スタンドを取り付けた状態の全体斜視図であり、(a)ハンドル状態、(b)開脚スタンド状態を示す(実施例4)。
【
図21】第1の実施形態の手動による巻取り状態の斜視図。
【
図22】第3の実施形態において、電動回転具利用(実施例3)による巻取り状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施形態について
図1から
図15を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態においては本発明を説明するための構成要件上で、当業者が容易に想定できる構成要素も含まれている。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0021】
図1乃至
図5に示すように、汚染マスキングテープ巻取り回収具1は、巻取り筒体2と、この巻取り筒体2の両端面の軸芯にそれぞれ設けられたハンドル、すなわち、補助ハンドル4及び手動ハンドルと、蓋体7とを備えている。なお、筒状フィルム10は、単枚の筒状フィルムを符号14で示し、長尺筒状フィルムを符号15で示す場合がある。
まず、
図3に示すように、巻取り筒体2は、一端から他端に向かって僅かに窄まるテーパー状の外周面が多面角出し形状からなり、そして、
図4及び
図5に示すように、一方端部面が開口部6となる中空状に形成されている。また、巻取り筒体2の他方端部面には巻取り筒体2と一体化した補助ハンドル4が設けられ、前記補助ハンドル4内芯に回転軸5が挿嵌固定されている。巻取り筒体2は、一端面側で分割されるように蓋体7が設けられており、この分割面が開口部6となっている。前記回転軸5は巻取り筒体内3を潜通し、巻取り筒体2一方の開口部6に設けられた蓋体7の軸通穴9を挿通する。これにより、前記回転軸5上の蓋体7は巻取り筒体2の開口部6に嵌合される。この巻取り筒体2の一方が蓋体7によって回転軸5に軸支されることで、
図6に示すように、巻取り筒体2上に筒状フィルム10の装着がなされた状態で、前記補助ハンドル4と一方の手動ハンドル8の回動操作で汚染マスキングテープ28の巻取り回収ができる構造からなっている(
図21参照)。
【0022】
図6に示すように、蓋体7は巻取り筒体2の巻取り筒体開口部6への嵌合によって、巻取り筒体2の軸承による軸支と同時に巻取り筒体2表面に装着する前記筒状フィルム10端部の挟掴固定ができる。
【0023】
また、
図4及び
図7及び
図9に示すように、蓋体7と手動ハンドル8を回転軸5上での摺動において回転軸5上から着脱が可能であり、蓋体7は回転軸5上から取り外すことができ、蓋体7を取り外した状態で巻取筒体開口部6より、長尺筒状フィルム15(単枚筒状フィルムを14)巻取り筒体内3への装填ができる。装填後、巻取り筒体開口部6において、長尺筒状フィルム15(単枚筒状フィルム14)を巻取り筒体開口部6から反転引出しによる巻取り筒体2に装着ができる。この後、
図11に示すように、蓋体7を回転軸5上に戻し、該回転軸5上の蓋体7と巻取り筒体開口部6との嵌合固定において筒状フィルム10は挟掴固定され、同時に蓋体7による巻取り筒体2の軸支ができる構造となっている。
【0024】
巻取り筒体2の外形においては、基本的に正円筒状からなるものであるが、
図4(ア)、(イ)及び(ウ)に示すように、多角形状に形成してもよく、格別形状が限定されるものではない。この場合、巻取り筒体2の外周面に筒直方向に窪み部12を設けることで、角出し部又は突起部の形成によりヘラ拭い部11を形成することができる。このヘラ拭い部11によってコーキング材の拭い取り除去を行うことができる。
具体的には、
図13に示すように、コーキング施工時、目地に充填したコーキング材の表面を、ヘラ23を使用して均し作業を行う場合において、ヘラ拭い部11を設けることで、ヘラ23に付着したコーキング材27の拭い取り除去を行うことができる。巻取り筒体2上でコーキング材の拭い取りの併用利用が可能であり、ヘラ拭い専用工具への持ち替えが必要なく、簡単にヘラの調子を整えることができる。
【0025】
また、巻取り筒体2上に窪みを設けることによる、窪み部12はヘラから拭いとられたコーキング材の受け溜まり場となる。
【0026】
そして、
図3に示すように巻取り筒体2の筒直方向に巻取り筒体2内部への細長い開口部の覗き窓13を設けることで、巻取り筒体2内に装填された筒状フィルム15の状況確認が可能となる。また、覗き窓13は、巻取り筒体内3より、単枚での充填筒状フィルム14の反転引出し時において、筒状フィルム14の引出時の誘導穴として利用することができる。
【0027】
本実施形態による汚染マスキングテープ巻取り回収具1は、前記巻取り筒体2表面に筒状フィルム10を被せることにより、この筒状フィルム10に巻取られた巻取り汚染マスキングテープ29(
図14参照)は、巻取り筒体2への接着や付着を防ぐことができる。このことによる巻取り筒体2及び筒状フィルム10は、本発明の実施形態の最大の要であって、他の実施形態においても同様な構成からなる。
【0028】
本実施形態での巻取り筒体2へ筒状フィルム10を被せるに当たっては、巻取り筒体2に被せる筒状フィルム10は、予め、巻取り筒体2への利用長さに合わせて1枚ずつ切断したものを単枚(単枚の筒状フィルム14)で使用する方法と、筒状フィルム10を巻取り筒体内3に、長尺(長尺筒状フィルム15)で装填したものを連続して引出し利用する方法とがあるので詳しく説明する。
【0029】
図6に示すように巻取り筒体2に合わせた長さに切断した筒状フィルム10を、巻取り筒体2に装着する場合、蓋体7と巻取り筒体開口部6との間を離開し、巻取り筒体2の長さに合わせて切断された1枚の単枚筒状フィルム14を巻取り筒体2上に装着し、単枚筒状フィルム14の端部を巻取り筒体開口部6と蓋体7の間に折り返し、蓋体7を嵌合させる。これにより、単枚筒状フィル14の一端部が挟掴固定され、汚染マスキングテープ28の巻取り回収ができる。このようにして筒状フィルム10は単枚での装着ができ、汚染マスキングテープ28の巻取り回収後は巻取り筒体開口部6と蓋体7の離開において、巻取り筒体2上から筒状フィルム14を引き抜き、巻取り筒体2上から巻取り汚染マスキングテープ29の除去を行うことができる。単枚に切断した筒状フィルム14は1枚ずつでの装着の繰り返しにおいて汚染マスキングテープ28の巻き取り回収ができる。
【0030】
また、単枚での筒状フィルム14であっても、予め、巻取り筒体内3へ積層充填することで、巻取り筒体内3から1枚ずつ抜き取り筒体2への装着ができる。この場合においては前記巻取り筒体内3に開けた筒直方向への長穴開口である覗き窓13を利用することで、巻取り筒体内3に積層した筒状フィルム10を誘導し、引き出し、巻取り筒体開口部6で反転引き出しによる装着ができる。
【0031】
そして、
図7に示すように、もう一つの方法は、長尺筒状フィルム15を使用する場合である。予め、巻取り筒体内3へ長尺筒状フィルム15を装填することで、連続して巻取り筒体2に装着できる方法である。
図15に示すように、汚染マスキングテープ28の巻取り回収後、巻取り筒体開口部6と蓋体7を離開し巻取り筒体2上からの長尺筒状フィルム15、すなわち、巻取り汚染マスキングテープ29の引き抜きによる滑脱除去において、巻取り筒体内3に連なる長尺筒状フィルム15は後続より反転引出しによる巻取り筒体2への装着ができる。後部に連なる長尺筒状フィルム15は鋏等を使用して切り離せるが、予め、巻取り筒体長に合わせた、必要長の間隔でミシン目加工を施すことで、長尺筒状フィルム15は張力によるミシン目位置での切断が可能であり、筒状フィルム10は巻取り筒体2上への装着とカットが連続して行えることから、筒状フィルム10の装着を極めて簡単に行うことができる。
【0032】
また、長尺筒状フィルム15を巻取り筒体2へ装填する場合において基本的に二つの方法があるので詳しく説明する。
(1)予め長尺筒状フィルム15を別途充填専用ケース(
図8参照)に充填したものを、回転軸上5の蓋体7と手動ハンドル8を取り外した後、フィルム充填ケース17を充填ケース芯に設けた回転軸挿入部18から回転軸5に挿通させて、巻取り筒体内3に装填する方法である。巻取り筒体2への筒状フィルム15の装着においては、巻取り筒体開口部6でフィルム充填ケース17内に納められた筒状フィルム15の端部よりの反転引き出しで巻取り筒体2に装着ができる。筒状フィルム15装着後は、回転軸5上に蓋体7を戻し、巻取り筒体開口部6と蓋体7との挟掴固定により汚染マスキングテープ28の巻取り回収ができる。
(2)そして、長尺筒状フィルム15又は単枚の筒状フィルム14を巻取筒体2内に直接装填(
図9参照)する方法である。この場合においても回転軸5上の蓋体7を取り外した後、巻取り筒体開口部6より回転軸5の周りに筒状フィルム10を被せる要領で巻取り筒体内3に直接積層装填することができる。巻取り筒体内3の筒状フィルム10は巻取り筒体開口部6から反転引き出しにより巻取り筒体2に装着ができ、長尺筒状フィルム15の装着の場合は、汚染マスキングテープ巻取り後の巻取り筒体2からの除去において、連続して後続長尺筒状フィルム15の装着が行われることとなる。
1枚ずつの単枚での装填の場合は、巻取り筒体2上への装着時は蓋体7を取り外した状態での反転引き出しによる装着ができ、単枚筒状フィルム14が巻取り筒体内3の積層下部にある場合は巻取り筒体2に開けた筒直長穴である覗き窓13を利用して誘導による引出で、巻取り筒体2へ簡単に装着ができる。
【0033】
本実施形態における筒状フィルム10の使用方法において詳しく説明する。
図6に示すように、巻取り筒体2上に筒状フィルム14を被せ、巻取り筒体2の筒体開口部6で内側に折り返し、折り返えされた端部を巻取り筒体開口部6と蓋体7との嵌合により挟み固定することで筒状フィルム14の空転を防ぐことができる。このことにより巻取り筒体2上の筒状フィルム10上に汚染マスキングテープ28の巻取りを行うことができる。筒状フィルム10上に回収された巻取り汚染マスキングテープ29の除去においては、巻取り筒体開口部6と蓋体7との嵌合の解除による隙間を持たせて、筒状フィルム10の端部を持って引き抜くことで、簡単に除去できる。
【0034】
また、
図7及び
図15に示すように、長尺筒状フィルム15使用の場合においては、巻取り筒体2上から巻取り汚染マスキングテープ29の引き抜き除去時において、後続に連なる長尺筒状フィルム15は巻取り筒体内3から反転引き出しによる巻取り筒体2上に連続的に装着ができる。長尺筒状フィルム15の切り離しにおいて、鋏等を利用しての切断を行うこともできるが、予め筒状フィルム15にミシン目を施すことにより筒状フィルム15の装着と切断をより簡単に行うことができる。
【0035】
そして、巻取り筒体2に被せる筒状フィルム10については、巻き取り筒体上からの着脱時において、摩擦抵抗が少ない好ましくは薄いポリエチレン材質のように筒状の加工がなされているものであって、筒状フィルム10の筒状サイズは巻き取り筒体2への装着及び除去において余裕を持たせたサイズとすることが好ましい。また、長尺筒状フィルム15に関しては使用長さに合わせたミシン目を施すことでより簡単に装着ができる。
【0036】
図12に示すように、コーキング施工において、ヘラによるヘラ均し工程は、目地25の両側の構成材(枠体)24にマスキングテープ26を貼り付けたうえで、目地25にコーキング材を充填し、コーキング材の表面をヘラで均すことであり、このとき、ヘラの圧力で目地25の両側のマスキングテープ26上に掃出された余分なコーキング材が付着する。
図21に示すように、このコーキング材が付着した汚染マスキングテープ28の除去にあたり、巻取り筒体2の表面に筒状フィルム10を被せた上で、マスキングテープ26の汚染されてない部分の尻手端部を剥がし、この尻手端部を巻取り筒体2上の筒状フィルム10に貼りつけることから巻き取りが始まり、汚染マスキングテープ28の巻取り回収を行うことができる状態となる。この後、手動ハンドル8と補助ハンドル4を、操作しながら汚染マスキングテープ28引き剥がし、一定距離引き剥がされた汚染マスキングテープ28は、上記両ハンドルを回動操作することで汚染マスキングテープ28の巻取りを行うことができることからなっている。したがって、汚染マスキングテープ28に直接触れることなく汚染マスキングテープ28の引き剥がしと巻き取りの一連の操作を行うことができる。
【0037】
そして、
図15に示すように、巻取り筒体2の巻取り汚染マスキングテープ29は筒状フィルム10の端部を掴んで引き抜くことで、巻取り筒体2上から滑脱除去ができるようになっている。
このように、筒状フィルム10上に巻き取られた汚染マスキングテープ28は、巻取り筒体2上から筒状フィルム10を引き抜くことのより簡単に滑脱除去できる。したがって、汚染マスキングテープ28のみの、きわめて少量な廃棄物として処理することができる。
【0038】
上記のような手動での巻取り操作で、巻取り筒体2の外周と巻取り操作する手動ハンドル8との外径において、同じ回転軸5上では当然ながら直径が大きいほど外周距離が大きく、小径の手動ハンドル8は指先を使っての回動操作でクルクルと容易に回転操作できる。同軸上で直径が数倍大きい巻き取り筒体2外周においては、外周距離を大きく稼ぐことができることから、小径の手動ハンドル8と巻き取り筒体2との関係において、拡大回転具として汚染マスキングテープ28の巻取りを効率よく行える構造となっている。
【0039】
このことから、
図21に示すように、汚染マスキングテープ巻取り回収具1は手動ハンドル8と巻取り筒体2との直径対比において,小径である手動ハンドル8を、指先を使って捩じりによる回動原動力で巻取り筒体2を回転操作することで汚染マスキングテープ28の巻取りを行うことができる。したがって、小径である手動ハンドル8の操作で巻取り筒体2外周の拡大外周面に汚染マスキングテープ28の巻取りを行うことができることから、汚染マスキングテープ28の巻取り回収能力を高めることができる。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、汚染マスキングテープ巻取り回収具1の補助ハンドル4と手動ハンドル8の両手によるハンドル操作では、汚染マスキングテープ28上のコーキング材に直接触れることをなくしたことから、コーキング材の汚染要因を軽減し、回転拡大構造での巻取り回収作業においては作業効率を向上させることができる。そして廃棄されるゴミの量は極めて少量に抑えることができることから、ひいては環境にやさしい工具としての汚染マスキングテープ巻取り回収具1を提供するものである。
【0041】
次に、第2の実施形態について
図16を参照して説明する。なお、前記第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
本実施形態のおいては、第1の実施形態における巻取り筒体端面の補助ハンドル4の位置にハンドル兼用縦置きスタンド21の装備するものである。ハンドルの変形による、少なくとも放射線状3分割に開脚変形し、巻取り筒体2の縦置きスタンドに変形する。これにより、汚染マスキングテープ28の巻取り回収途中であっても、汚染マスキングテープ巻取り回収具1を手から離して縦置くことができ、床等への汚染を防ぐことができる。
【0043】
図16(a)はハンドルが開脚していない状態のスタンドの斜視図で、
図16(b)はハンドルを開脚させた状態の縦型スタンドの斜視図であり、
図16(c)は汚染マスキングテープを巻いた状態での作業途中に縦置きスタンドを利用した状態の斜視図である。
【0044】
次に、第3の実施形態について
図17乃至
図20を参照して説明する。本実施形態は、操作機器の取り替えが可能な外部機器接続軸を設けたものである。
図17は、実施例1を示し、
図18は、実施例2を
示す斜視図である。また、
図19は、実施例3を示し、
図2は、実施例4を示す斜視図である。なお、前記各実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0045】
図17に示すように、本実施例は、巻取り筒体2一方端部のハンドル8の位置に、電動回転機22(
図19参照)、及びスタンド兼用ハンドル21(
図20参照)等の、操作機器の取り替えが可能な外部機器接続軸19を設けることで、外部操作機器との接続を可能としたものである。
【実施例2】
【0046】
図18に示すように、本実施例は、外部機器接続軸19に手動回転具20を取り付けたものである。外部機器接続軸19に手動回転具20を取り付けた状態で、手動による汚染マスキングテープ28の引き剥がしと巻取りができる構成からなる。
【実施例3】
【0047】
図19に示すように、本実施例は、外部機器接続軸に電動回転機22を接続したものである。汚染マスキングテープ28の回収においては、電動による回転力での引き剥がしと巻取り作業を一気に行うことができることから、大量の汚染マスキングテープ28の剥離回収においては作業効率を大幅に上げることのできる構成となる。
【実施例4】
【0048】
図20に示すように、本実施例は、外部機器接続軸19に第2の実施形態で説明したハンドル兼用縦型スタンド21を取り付けたものである。ハンドル兼用縦型スタンドは21、ハンドルの変形によって、放射線状に少なくとも3分割に開脚し、巻取り筒体2の縦置きスタンドに変形可能である。汚染マスキングテープ28の巻き取り回収途中であっても、汚染マスキングテープ巻取り回収具1を手から離して縦置くことができ、床等への汚染を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 汚染マスキングテープ巻取り回収具
2 巻取り筒体
3 巻取り筒体内
4 補助ハンドル
5 回転軸
6 巻取り筒体開口部
7 蓋体
8 手動ハンドル
9 軸通穴
10 筒状フィルム
11 ヘラ拭い部
12 窪み部
13 覗き窓
14 単枚筒状フィルム
15 長尺筒状フィルム
16 筒状フィルム着脱方向
17 フィルム充填ケース
18 回転軸挿入部
19 外部機器接続軸
20 手動回転具
21 ハンドル兼用縦置きスタンド
22 電動回転機
23 ヘラ
24 構成材(枠体)
25 目地
26 マスキングテープ
27 拭い取リコーキング材
28 汚染マスキングテープ
29 巻取り汚染マスキングテープ
30 汚染マスキングテープ従来回収方法
31 ロスネタ取(特許文献1)