特許第6403553号(P6403553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403553
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】箱型車両の外折れ式ドア構造物
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20181001BHJP
   E05F 11/04 20060101ALI20181001BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B60J5/10 A
   E05F11/04
   E06B3/48
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-241516(P2014-241516)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-101861(P2016-101861A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】593157622
【氏名又は名称】株式会社ヨコハマ・モーターセールス
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】永野 文義
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第02540414(DE,A1)
【文献】 特開昭63−219779(JP,A)
【文献】 特開2012−122319(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02807778(FR,A1)
【文献】 実開昭53−052639(JP,U)
【文献】 実開昭58−009881(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
E05F 11/04
E06B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型荷台を有する箱型車両の開口を互いに蝶着された上部ドアと下部ドアとからなる外折れ式ドアで開閉する箱型車両の外折れ式ドア構造物であって、
前記上部ドアの上端が前記開口の上端に枢着され、前記下部ドアの下端両側が前記開口の両側に設けられたガイドレールに沿って上下方向に可動に取り付けられる外折れ式ドアと、
前記下部ドアの下端に取り付けられ、前記ガイドレール内に配置されたローラーベアリングを介して上下方向に移動可能リンク機構と、
前記リンク機構を操作する反力ワイヤーと、を有し、
前記反力ワイヤーを介して前記リンク機構を操作して前記下部ドアを上方に移動させることにより前記開口を開とし、前記下部ドアを下方に移動させることにより前記開口を閉とし、
前記ガイドレールが穴の開いていない床面上に立設され、
前記ローラーベアリングが、前記外折れ式ドアで前記開口を完全に閉にしたときに、前記下部ドアの下端部より上方に位置することを特徴とする箱型車両の外折れ式ドア構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般貨物車、災害支援車、放送中継車、医療防疫車などの様々な特装車、あるいはキャンピングカーなどの箱型車両の外折れ式ドア構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箱型車両では、例えば図4に示されているように、車両の箱型荷台21の後方部に、荷物の搬入、搬出のための開口22が設けられており、開口22には、この開口22を開閉する外折れ式ドア23が設けられている(特許文献1)。
【0003】
外折れ式ドア23は互いに蝶着された上部ドア23aと下部ドア23bとからなる。上部ドア23aの上端は、開口22の上端に枢着されている。上部ドア23aに蝶着されている下部ドア23bの下端両側は、開口の両側に設けられたガイドレール24により、図5に示したように、上下方向に案内されるローラーベアリング27が取り付けられている。このローラーベアリング27には、図6に示したように、アーム組立体31が取り付けられている。
このような構造では、図6に示したアーム組立体31がローラーコンベア27の上方に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−097141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような従来の箱型車両の外折れ式ドア構造物では、ローラーベアリング27の移動案内路となるガイドレール24は、図5および図6に示したように、その下端部24aが床面25に設けた穴26の内部に差し込まれている。仮に、下端部24aが穴26内に差し込まれずに床面25の上に配置されていると、下部ドア23bにより開口22を完全に封止することができない。
【0006】
そこで、このような構造では、下端部24aを穴26内に差し込まずに開口22を完全に封止するためには、図5に示したように、床面25の後部端末部に土手板35を立ち上げなければならない。
【0007】
しかし、このように車両の後部に土手板35を立ち上げると、床面25が掃き出し式でなくなることから、荷物の出し入れに支障が生じてしまう。
そこで、このような不具合を解消するため、従来は、床面25に穴26を設けて、その穴26にガイドレール24を埋め込むことで掃き出しの床面を構成していた。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、一般貨物車、災害支援車、放送中継車、医療防疫車などの様々な特装車、あるいは荷物車などの箱型車両の開口を開閉するにあたり、床面に穴を開けずに掃き出し式の床面を形成することが可能な箱型車両の外折れ式ドア構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る箱型車両の外折れ式ドア構造物は、
箱型荷台を有する箱型車両の開口を互いに蝶着された上部ドアと下部ドアとからなる外折れ式ドアで開閉する箱型車両の外折れ式ドア構造物であって、
前記上部ドアの上端が前記開口の上端に枢着され、前記下部ドアの下端両側が前記開口の両側に設けられたガイドレールに沿って上下方向に可動に取り付けられる外折れ式ドアと、
前記下部ドアの下端に取り付けられ、前記ガイドレール内に配置されたローラーベアリングを介して上下方向に移動可能リンク機構と、
前記リンク機構を操作する反力ワイヤーと、を有し、
前記反力ワイヤーを介して前記リンク機構を操作して前記下部ドアを上方に移動させることにより前記開口を開とし、前記下部ドアを下方に移動させることにより前記開口を閉とし、
前記ガイドレールが穴の開いていない床面上に立設され、
前記ローラーベアリングが、前記外折れ式ドアで前記開口を完全に閉にしたときに、前記下部ドアの下端部より上方に位置することを特徴としている。
【0010】
このような本発明によれば、ワイヤー操作によるリンク機構の動作により下部ドアを上下方向に移動させた場合に、リンク機構が下部ドアの下端より上方に位置している状態で、箱型荷台を有する箱型車両の開口が閉となる。
【0011】
これにより、本発明では、ガイドローラを使用した場合のように、ガイドローラの収納位置を床面の下方に確保する必要がなくなるため、床面に穴を設ける必要がない。したがって、本発明では、床面に穴を開けるという作業が不要となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外折れ式ドアをリンク機構により開閉するようにしたので、床面に穴を設けて、ガイドレールをその穴の中に挿入する作業が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の好ましい実施の形態に採用されたリンク機構の分解斜視図である。
図2図2図1に示したリンク機構をガイドレールに組付けた状態で示す概略斜視図で、外折れ式ドアが閉となったときの概略図である。
図3図3図1に示したリンク機構をガイドレールに組付けて、外折れ式ドアが閉から開になるように移動するときの概略図である。
図4図4は従来の箱型車両の外折れ式ドア構造物が組み込まれた箱型荷台の概略斜視図である。
図5図5は従来の箱型車両の外折れ式ドア構造物が組み込まれた箱型荷台の概略側断面図と、この従来例に穴を設けずに土手板を設けて掃き出し式となっていない場合の位置関係を示す合成図である。
図6図6図4に示した外折れ式ドア構造物を箱型荷台の床面に設置するときの床面と外折れ式ドア構造物との関係を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態(実施例)について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る箱型車両の外折れ式ドア構造物に適用されたリンク機構30の分解斜視図である。
【0015】
なお、本発明の一実施例に係る箱型車両の外折れ式ドア構造物は、図4の場合と同様に、箱型荷台21の後部側の開口22を開閉自在に覆うものであり、上部ドア23aと下部ドア23bとからなる外折れ式ドア23を有するものである。よって、図4あるいは図5に用いた要素と同一要素については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0016】
本実施例で使用されるリンク機構30は、略長方形状の第1の板材32と、同じく略長方形状の第2の板材34と、断面略L字形状の第3の板材36と、一部が折曲して形成された略長方形状の第4の板材38と、第1の板材32に軸支された2本のローラーベアリング44a、44bとを主構成要素とし、これらが平ワッシャー40および薄平リベット42などで連結されている(図2図3参照)。
【0017】
このようなリンク機構30は、図5に示したアーム組立体31およびローラーコンベア27に代えて使用されるものである。
図1に示したように、リンク機構30の第1の板材32には、ワイヤー取付用の孔46が1つ形成され、かつ薄平リベット42を挿通する孔48が2つ形成されている。なお、ワイヤー取付部材は孔46に限定されるものではなく、他の部位あるいはドアー本体でも可能である。また、第2の板材34には、薄平リベット42を挿通する孔48が2つ形成されている。
【0018】
断面略L字状の第3の板材36の一方の板部には、薄平リベット42を挿通する孔48が2つ形成され、他方の板部には、下部ドア23bを取り付けるための孔52が6つ形成されている。また、第4の板材38には、薄平リベット42を挿通する孔48が2つ形成されている。
【0019】
このようなリンク機構30は、図2に示したように、断面略コ字状のガイドレール24に、ローラーベアリング44a、44bを介して装着される。
なお、ガイドレール24は、例えば、図4に示した箱型荷台21の後方部に設けられた荷物の搬入、搬出のために開口22を開閉する外折れ式ドア23の案内部材として使用されるもので、車体フレームに取付られる。
【0020】
そして、ガイドレール24は床面25より上に穴を開けずに立設される。
また、リンク機構30の第3の板材36に、外折れ式ドア23の下部ドア23bがボルトなどで取り付けられる。これにより、本実施例の箱型車両の外折れ式ドア構造物が構成される。
【0021】
本実施例による外折れ式ドア23の開閉する構成は、図2図3に示したガイドレール24に沿って、ワイヤー54を介して行われる。なお、ワイヤー54の一端部は、第1の板材32のワイヤー取付用の孔46に挿通されるボルト56に係止されている。
【0022】
このようなワイヤー54を図示しない操作手段で上下に操作することにより、リンク機構30を上方に移動させたり、あるいは下方に移動させたりすることができる。したがって、これに連動して外折れ式ドア23を閉としたり開としたりすることができる。
【0023】
なお、図2は、外折れ式ドア23により開口22を閉としたときのリンク機構30の姿勢であり、図3図2の閉の姿勢から開口22を開にするときのリンク機構30の姿勢、すなわち下部ドア23bが下方から上方に向かうときの姿勢である。
【0024】
図2から明らかなように、外折れ式ドア23が開口22を完全に閉にしたとき、下部ドア23bの下端部より上方にローラーコンベア44bが位置することなる。よって、本実施例では、開口22を閉とするために、このローラーコンベア44bを床面より下に位置させる必要がない。そのため、床面に穴をあけてその穴にローラーコンベア44bを収納する必要がない。
【0025】
このように本実施例では、床面にローラーコンベア44bを埋め込むための穴を設ける必要がないので、煩雑な作業が不要であるばかりでなく床下には車両独自の補強部材やシャーシフレーム等があり、本来このドアーを取り付けることができなかった車両にも設けることができる。
【0026】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、これに限定されない。
例えば、上記実施例では、箱型荷台21の後部側の開口22に設置される外折れ式ドア構造物について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、箱型荷台21の側面に設けられる開口にも適用することができる。
【0027】
また、上記実施例では、リンク機構30が第1の板材32、第2の板材34、第3の板材36、第4の板材38、2つのローラーベアリング44a、44bなどから構成されているが、リンク機構は、これに限定されるものでなく、他の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0028】
21 箱型荷台
22 開口
23 折れ式ドア
23a 上部ドア
23b 下部ドア
24 ガイドレール
24a 下端部
25 床面
26 穴
27 ローラーベアリング
30 リンク機構
35 土手板
44a ローラ
44b ローラ
54 ワイヤー
56 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6