特許第6403566号(P6403566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6403566コンテンツ配信ネットワークの転送装置、クライアント装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403566
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】コンテンツ配信ネットワークの転送装置、クライアント装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20181001BHJP
   H04L 12/721 20130101ALI20181001BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   G06F13/00 520B
   H04L12/721 Z
   G06F12/00 545M
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-254509(P2014-254509)
(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公開番号】特開2016-115209(P2016-115209A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】栗原 淳
(72)【発明者】
【氏名】横田 健治
(72)【発明者】
【氏名】植田 一暁
(72)【発明者】
【氏名】田上 敦士
【審査官】 佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/010992(WO,A1)
【文献】 特開2014−165857(JP,A)
【文献】 特開2014−165856(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0233575(US,A1)
【文献】 米国特許第08762477(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 12/00
H04L 12/721
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを1つ以上のオブジェクトに分割して配信するコンテンツ配信ネットワークのクライアント装置であって、
要求する複数のオブジェクトを示す複数のオブジェクト名それぞれと、当該複数のオブジェクト名に共通のプレフィクスと、を示す情報を含む要求メッセージを生成する生成手段と、
前記生成した要求メッセージを前記コンテンツ配信ネットワークに送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とするクライアント装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記複数のオブジェクト名の共通したプレフィクスの内の最長のプレフィクスを示す情報を前記要求メッセージに含めることを特徴とする請求項1に記載のクライアント装置。
【請求項3】
コンテンツを1つ以上のオブジェクトに分割して配信するコンテンツ配信ネットワークの転送装置であって、
オブジェクト名と、当該オブジェクト名で示されるオブジェクトを保存しているか受信待ちであるかを示す情報を含む1つ以上のサブ・テーブルと、オブジェクト名のプレフィクスと当該プレフィクスに対応するサブ・テーブルとの関係を示すメイン・テーブルと、を保持する保持手段と、
複数のオブジェクト名を示す情報を含む要求メッセージを受信すると、前記複数のオブジェクト名に共通のプレフィクスにより前記メイン・テーブルを検索して、検索対象のサブ・テーブルを判定し、前記判定した検索対象のサブ・テーブルを検索して前記複数のオブジェクト名で示される複数のオブジェクトそれぞれについて、保存しているオブジェクト、受信待ちのオブジェクト、及び、保存しておらず、かつ、受信待ちではないオブジェクトのいずれであるかを判定する処理を行う処理手段と、
を備えていることを特徴とする転送装置。
【請求項4】
前記要求メッセージは、前記複数のオブジェクト名の共通したプレフィクスの内の最長のプレフィクスである第1プレフィクスを示す情報を含み、
前記処理手段は、前記第1プレフィクスが前記メイン・テーブルに存在するかを判定し、存在しなければ、前記複数のオブジェクト名の共通したプレフィクスの内の前記第1プレフィクス以外のプレフィクスにより前記メイン・テーブルを検索することを特徴とする請求項3に記載の転送装置。
【請求項5】
前記要求メッセージは、前段の転送装置のメイン・テーブルでサブ・テーブルの判定に使用されたプレフィクスである第2プレフィクスを示す情報を含み、
前記処理手段は、前記第2プレフィクスが前記メイン・テーブルに存在するかを判定し、存在しなければ、前記複数のオブジェクト名の共通したプレフィクスの内の前記第2プレフィクス以外のプレフィクスにより前記メイン・テーブルを検索することを特徴とする請求項3に記載の転送装置。
【請求項6】
前記要求メッセージは、前記複数のオブジェクト名の共通したプレフィクスの内の最長のプレフィクスである第1プレフィクスを示す情報と、前段の転送装置のメイン・テーブルでサブ・テーブルの判定に使用されたプレフィクスである第2プレフィクスを示す情報と、を含み、
前記処理手段は、前記第2プレフィクスが前記メイン・テーブルに存在するかを判定し、存在しなければ、前記第1プレフィクスが前記メイン・テーブルに存在するかを判定し、存在しなければ、前記複数のオブジェクト名の共通したプレフィクスの内の前記第1プレフィクス及び前記第2プレフィクス以外のプレフィクスにより前記メイン・テーブルを検索することを特徴とする請求項3に記載の転送装置。
【請求項7】
前記処理手段は、前記複数のオブジェクト名で示される複数のオブジェクトに、保存しておらず、かつ、受信待ちではないオブジェクトがある場合、当該オブジェクトのオブジェクト名を示す情報を含む要求メッセージを前記コンテンツ配信ネットワークに送信することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の転送装置。
【請求項8】
前記処理手段は、前記複数のオブジェクト名で示される複数のオブジェクトに、保存しておらず、かつ、受信待ちではないオブジェクトがあることで、当該オブジェクトのオブジェクト名を示す情報を含むインタレスト・パケットを前記コンテンツ配信ネットワークに送信する場合、前記メイン・テーブルでサブ・テーブルの判定に使用したプレフィクスを前記送信する要求メッセージに含めることを特徴とする請求項7に記載の転送装置。
【請求項9】
前記処理手段は、前記複数のオブジェクト名で示される複数のオブジェクトに保存しているオブジェクトがある場合、前記保存しているオブジェクトを前記要求メッセージの送信元に向けて送信することを特徴とする請求項3から8のいずれか1項に記載の転送装置。
【請求項10】
前記処理手段は、前記複数のオブジェクト名で示される複数のオブジェクトに受信待ちであるオブジェクトがある場合、受信待ちであるオブジェクトの転送に使用するインタフェースを示す待ちテーブルに、前記要求メッセージを受信したインタフェースを追加することを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の転送装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のクライアント装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項3から10のいずれか1項に記載の転送装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテンツに関する名前に基づきルーティングを行うコンテンツ配信ネットワークにおける転送装置、クライアント装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを示す名前に基づきコンテンツの配信を行うネットワークが提案されている。特許文献1及び非特許文献1は、その様なネットワークの1つであるコンテンツ・セントリック・ネットワーク(CCN:Content Centric Networking)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−277234号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】V.Jacobson,et al.,"Networking Named Content",in Proceedings of ACM CoNEXT 2009,2009年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテンツ・セントリック・ネットワークにおいて、コンテンツを公開するサーバ装置は当該コンテンツを1つ以上のチャンクと呼ばれるオブジェクトに分割し、クライアント装置は、この分割されたオブジェクト単位でコンテンツを取得する。また、コンテンツ・セントリック・ネットワークにおいて、オブジェクトの転送を行った通信装置(以下、転送装置と呼ぶ。)は、当該オブジェクトを保存できる。この転送装置は、自装置が保持しているオブジェクトを要求するインタレスト・パケット(要求メッセージ)をクライアント装置から受信すると、当該インタレスト・パケットをサーバ装置に向けて転送することなく、自装置が保持するオブジェクトを、当該インタレスト・パケットの送信元のクライアント装置に向けて送信できる。
【0006】
以下に、転送装置の動作の一例を説明する。転送装置は、CS(Contents Store)と、FIB(Forward Information Base)と、PIT(PIT:Pending Interest Table)を管理する。CSは、自装置が保持しているオブジェクトを示す情報である。FIBは、インタレスト・パケットと、当該インタレスト・パケットを転送すべきインタフェースとの関係を示す情報である。PITは、転送したインタレスト・パケットが要求するオブジェクトと、当該転送したインタレスト・パケットを受信したインタフェースとの関係を示す情報である。
【0007】
転送装置は、インタレスト・パケットを受信すると、CSを検索し、当該インタレスト・パケットが要求するオブジェクトを保持しているか否かを判定する。保持している場合には、自装置が保持しているオブジェクトを、当該インタレスト・パケットの送信元のクライアント装置に向けて送信する。一方、受信したインタレスト・パケットが要求するオブジェクトを保持していない場合には、PITを検索して、当該インタレスト・パケットと同じオブジェクトを要求するインタレスト・パケットを既に転送し、当該オブジェクトの受信待ちの状態であるかを判定する。受信待ちの状態であると、受信したインタレスト・パケットを転送せず、当該インタレスト・パケットの受信インタフェースを、当該インタレスト・パケットが要求するオブジェクトに関連付ける様にしてPITを更新する。一方、受信したインタレスト・パケットが要求するオブジェクトの受信待ちでなければ、FIBに基づき判定したインタフェースから当該インタレスト・パケットを転送すると共にPITを更新する。また、転送装置は、オブジェクトを受信すると、当該オブジェクトの転送先インタフェースをPITに基づき判定し、当該オブジェクトに関する情報をPITから削除する。また、転送装置は、受信して転送したオブジェクトを保存するとCSを更新する。
【0008】
例えば、CCNにおいては、オブジェクトの最大サイズは64KBである。よって、CCNにおいて、クライアント装置は、1つのコンテンツの全体を取得するために多数のインタレスト・パケットを送信する必要がある。また、転送装置は、インタレスト・パケットを受信すると、CSを1つ1つ検索し、さらに、CSを検索した結果、当該インタレスト・パケットが要求するオブジェクトを保持していないことが判明すると、PITを1つ1つ検索する必要がある。したがって、クライアント装置が送信する多数のインタレスト・パケットによりネットワークの帯域が圧迫され、かつ、転送装置における処理負荷が増大する。
【0009】
本発明は、コンテンツを複数のオブジェクトに分割して配信するコンテンツ配信ネットワークにおいて、クライアント装置が送信する要求メッセージの数を抑え、かつ、転送装置における処理負荷を抑えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によると、コンテンツを1つ以上のオブジェクトに分割して配信するコンテンツ配信ネットワークのクライアント装置は、要求する複数のオブジェクトを示す複数のオブジェクト名それぞれと、当該複数のオブジェクト名に共通のプレフィクスと、を示す情報を含む要求メッセージを生成する生成手段と、前記生成した要求メッセージを前記コンテンツ配信ネットワークに送信する送信手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面によると、コンテンツを1つ以上のオブジェクトに分割して配信するコンテンツ配信ネットワークの転送装置は、オブジェクト名と、当該オブジェクト名で示されるオブジェクトを保存しているか受信待ちであるかを示す情報を含む1つ以上のサブ・テーブルと、オブジェクト名のプレフィクスと当該プレフィクスに対応するサブ・テーブルとの関係を示すメイン・テーブルと、を保持する保持手段と、複数のオブジェクト名を示す情報を含む要求メッセージを受信すると、前記複数のオブジェクト名に共通のプレフィクスにより前記メイン・テーブルを検索して、検索対象のサブ・テーブルを判定し、前記判定した検索対象のサブ・テーブルを検索して前記複数のオブジェクト名で示される複数のオブジェクトそれぞれについて、保存しているオブジェクト、受信待ちのオブジェクト、及び、保存しておらず、かつ、受信待ちではないオブジェクトのいずれであるかを判定する処理を行う処理手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
コンテンツを複数のオブジェクトに分割して配信するコンテンツ配信ネットワークにおいて、クライアント装置が送信する要求メッセージの数を抑え、かつ、転送装置における処理負荷を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態によるコンテンツ配信ネットワークの構成図。
図2】一実施形態においてクライアント装置が送信するインタレスト・パケットを示す図。
図3】一実施形態において転送装置が保持するテーブルを示す図。
図4】一実施形態において転送装置が送信するインタレスト・パケットを示す図。
図5】一実施形態によるクライアント装置の構成図。
図6】一実施形態による転送装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。また、以下の実施形態は例示であり本発明を実施形態の内容に限定するものではない。
【0015】
図1は、本実施形態によるコンテンツ配信システムの構成図である。複数の転送装置2で構成されるコンテンツ配信ネットワークには、コンテンツを公開するサーバ装置3と、コンテンツを取得するクライアント装置1が接続されている。ここで、クライアント装置1は、コンテンツを取得する場合、要求メッセージ(以下、インタレスト・パケット)を送信する。インタレスト・パケットには、取得するオブジェクト名を含める。例えば、コンテンツ名"/a/b/c/d/name1"が、10個に分割されている場合、この10個のオブジェクトのオフジェクト名は、例えば、"/a/b/c/d/name1/1"〜"/a/b/c/d/name1/10"である。また、コンテツにバージョンが存在する場合には、バージョン名を含めて、"/a/b/c/d/name1/1/v1"〜"/a/b/c/d/name1/10/v1"(バージョン1を示す)や、"/a/b/c/d/name1/1/v2"〜"/a/b/c/d/name1/10/v2"(バージョン2を示す)もオブジェクト名である。なお、当然ではあるが、"/a/b/c/d/name1/1/v1"と"/a/b/c/d/name1/1/v2"は異なるオブジェクトを示している。
【0016】
従来では、クライアント装置1は、1つのインタレスト・パケットに1つのオブジェクト名のみを含めて送信していた。したがって、10個のオブジェクトに分割されたコンテンツの総てを取得する場合、クライアント装置1は、10個のインタレスト・パケットを送信し、コンテンツ配信ネットワークの転送装置2は、10個のインタレスト・パケットをそれぞれ個別に処理する必要があった。
【0017】
本実施形態において、クライアント装置1は、1つのインタレスト・パケットに、共通するプレフィクスをオブジェクト名に持つ複数のオブジェクト名を含めることができる。例えば、10個のオブジェクトに分割されたコンテンツ名"/a/b/c/d/name1"の総てを取得するために、クライアント装置1は、"/a/b/c/d/name1/1"〜"/a/b/c/d/name1/10"の10個のオブジェクト名を含むインタレスト・パケットを送信することができる。なお、クライアント装置1は、同じコンテンツに属するオブジェクトのオブジェクト名のみならず、共通するプレフィクスをオブジェクト名に持つ異なるコンテツ(バージョンの違いを含む)のオブジェクト名を含むインタレスト・パケットを送信することもできる。以下では、一般的な例として、クライアント装置1が、"/a/b/c/d/e/f/name1/1"、"/a/b/c/d/e/f/name1/2"、"/a/b/c/d/e/f/name2/1"、"/a/b/c/d/e/name1/1"、"/a/b/c/d/g/name1/1"の5つのオブジェクトを取得する場合を例にして説明する。
【0018】
図2は、上記5つのオブジェクトを取得する場合において、クライアント装置1が送信するインタレスト・パケットを示している。本実施形態におけるインタレスト・パケットは、共通名フィールドと、最長共通名フィールドと、オブジェクト名フィールドを含んでいる。図2に示す様に、最長共通名フィールドには、取得するオブジェクト(本例では5つ)のオブジェクト名の共通するプレフィクスの最長名を設定する。また、オブジェクト名フィールドには、取得するオブジェクトの名前を列挙する。なお、最長共通名フィールドには、オブジェクト名の共通するプレフィクスの最長名が設定されているため、オブジェクト名フィールドには、残りの部分(ポストフィクス)のみを設定する構成であっても良い。なお、クライアント装置1は、共通名フィールドには値を設定しない。共通名フィールドの役割については後述する。
【0019】
続いて、図2に示すインタレスト・パケットを受信した転送装置2が行う処理について説明する。図3に示す様に、転送装置2は、メイン・テーブルと、メイン・テーブルからリンクされる複数のサブ・テーブルを保持している。メイン・テーブルは、オブジェクト名のプレフィクスと、サブ・テーブルの関係を示す情報である。また、サブ・テーブルは、メイン・テーブルが示すプレフィクスを含むオブジェクト名と、当該オブジェクト名で示されるオブジェクトがCSに保存されているか、PITに含まれているかを示す情報である。なお、サブ・テーブルに含まれないオブジェクトは、CSに保存されず、かつ、PITにも含まれていない。
【0020】
転送装置2は、まず、受信したインタレスト・パケットの最長共通名フィールドに含まれる名前が、メイン・テーブルのプレフィックに存在するかを判定する。存在すると、当該プレフィクスが示すサブ・テーブルに、オブジェクト名フィールドに含まれる各オブジェクト名が存在するかをそれぞれ判定する。本例では、最長共通名フィールドに含まれる"/a/b/c/d"は、メイン・テーブルに存在しない。この場合、転送装置2は、最長共通名フィールドに含まれる"/a/b/c/d"以外の共通プレフィクスによりメイン・テーブルを検索する。例えば、転送装置2は、最長の共通プレフィクスの後ろから順に削除した名前がメイン・テーブルに存在するかを判定する。本例では、"/a/b/c"がメイン・テーブルに存在するため、転送装置2は、メイン・テーブルの"/a/b/c"に対応するサブ・テーブル#2を検索する。
【0021】
図3に示す様に、オブジェクト名フィールドに含まれる"/a/b/c/d/e/f/name1/1"と、"/a/b/c/d/e/f/name1/2"については、CSに保存されていることがサブ・テーブル#2には示されている。したがって、転送装置2は、"/a/b/c/d/e/f/name1/1"と、"/a/b/c/d/e/f/name1/2"との名前のオブジェクトについては、CSから読み出してクライアント装置1に送信する。また、図3に示す様に、オブジェクト名フィールドに含まれる"/a/b/c/d/e/f/name2/1"がPITに含まれていることがサブ・テーブル#2には示されている。したがって、転送装置2は、PITの対応するエントリに、インタレスト・パケットを受信したインタフェースを追加する。さらに、図3のサブ・テーブル#2には、オブジェクト名フィールドに含まれる"/a/b/c/d/e/name1/1"、"/a/b/c/d/g/name1/1"が存在しない。したがって、転送装置2は、この2つのオブジェクト名をオブジェクト名フィールドに含むインタレスト・パケットを転送する。なお、インタレスト・パケットを出力するインタフェースは、FIBに基づき決定する。
【0022】
図4は、本例において、転送装置2が転送するインタレスト・パケットを示している。オブジェクト名フィールドには、CSにもPITにも含まれていなかった2つのオブジェクト名が設定される。最長共通名フィールドは、受信したインタレスト・パケットと同じである。なお、一部のオブジェクト名がオブジェクト名フィールドから削除されたことにより、最長共通名がより長い名前に変化したときは、最長共通名フィールドを更新する構成であっても良い。また、共通名フィールドには、転送装置2においてメイン・テーブルにマッチしたプレフィクス、本例では、"/a/b/c"が設定される。なお、転送装置2は、インタレスト・パケットを転送すると、転送したインタレスト・パケットのオブジェクト名フィールドに含めたオブジェクトに関するエントリをPITに追加すると共に、対応するサブ・テーブル(本例では、サブ・テーブル#2)を更新する。
【0023】
前段の転送装置2が送信した図4のインタレスト・パケットを受信した転送装置2は、まず、共通名フィールドに設定されたプレフィクスが、メイン・テーブルに存在するかを判定する。これは、前段の転送装置2でマッチしたプレフィクスと同じプレフィクスがメイン・テーブルに存在する可能性が高いからである。なお、共通名フィールドに設定されたプレフィクスが、メイン・テーブルに存在しないと、転送装置2は、最長共通名フィールドに設定されたプレフィクスがメイン・テーブルに存在するかを判定する。そして、最長共通名フィールドに設定されたプレフィクスがメイン・テーブルに存在しないと、共通名フィールドと最長共通名フィールドに含まれているプレフィクス以外の、共通するプレフィクスでメイン・テーブルを検索する。
【0024】
なお、本例では、受信したインタレスト・パケットのオブジェクト名フィールドには、CSにもPITにも含まれていないオブジェクトが存在したため、インタレスト・パケットの転送を行った。一方、CSにもPITにも含まれていないオブジェクトが存在しないと、転送装置2は、インタレスト・パケットの転送を行わず、当該インタレスト・パケットを廃棄することができる。また、転送したインタレスト・パケットの応答としてオブジェクトを受信すると、転送装置2は、PITに基づきオブジェクトを転送すると共に、PITの対応するエントリを削除する。また、対応するサブ・テーブルを更新する。さらに、受信したオブジェクトについては自装置にて保持することができ、保持した場合にはCS及び対応するサブ・テーブルを更新する。
【0025】
以上、本実施形態のクライアント装置1は、共通するプレフィクスを有する複数のオブジェクト名をインタレスト・パケットに含め、複数のオブジェクトを1つのインタレスト・パケットで要求する。これにより、クライアント装置1が送信するインタレスト・パケットの数を抑え、多数のインタレスト・パケットをコンテンツ配信ネットワークに送信することによるコンテンツ配信ネットワークの帯域圧迫を防ぐことができる。また、転送装置2は、メイン・テーブルと、サブ・テーブルの2階層の構成を持ち、メイン・テーブルにより検索するサブ・テーブルの絞り込みを行う。したがって、転送装置2における処理負荷を抑えることができる。さらに、インタレスト・パケットに最長の共通プレフィクスと、転送装置2のメイン・テーブルのエントリにマッチした共通プレフィクスを含めることで、後段の転送装置2におけるメイン・テーブルの検索処理を素早く行うことができる。
【0026】
図5は、本実施形態によるクライアント装置1の構成図である。クライアント装置1のユーザが入出力部11を介して取得するコンテンツ名を入力すると、インタレスト・パケット生成部12は、オブジェクト名を生成して、共通するプレフィクスを有する複数のオブジェクト名をオブジェクト名フィールドに含むインタレスト・パケットを生成する。なお、インタレスト・パケットには、オブジェクト名フィールドに含まれる複数のオブジェクト名の共通するプレフィクスの最長名を設定することもできる。送受信部13は、インタレスト・パケット生成部12が生成したインタレスト・パケットをコンテンツ配信ネットワークに送信し、オブジェクトをコンテンツ配信ネットワークから受信する。
【0027】
図6は、本実施形態による転送装置2の構成図である。インタフェース部23は、複数のインタフェースを有する。保持部21は、CS、PIT、FIBと、図3にて説明したメイン・テーブル及びサブ・テーブルを保持している。処理部22は、インタフェース部23を介してインタレスト・パケットを受信すると、上述した処理を行って、保持しているオブジェクトの送信や、インタレスト・パケットの転送を行う。また、転送したインタレスト・パケットの応答としてオブジェクトを受信すると、上述した処理を行って、受信したオブジェクトを転送する。また、処理部22は、CS、PIT、サブ・テーブルの管理・更新を行う。なお、本実施形態では、PITに基づき受信したオブジェクトの転送を行っていた。しかしながら、転送したオブジェクトを送信すべきインタフェースを示す情報を転送装置2で管理するのではなく、例えば、受信したオブジェクトを含むパケットから直接判定できるような場合には、転送装置2はPITを管理する必要はない。また、PITにおいては、転送したインタレスト・パケットに含まれていたオブジェクト名のみを管理していた。しかしながら、インタレスト・パケットそのものについてもPITのエントリに含めることもできる。
【0028】
なお、インタレスト・パケットに含める共通するプレフィクスや、オブジェクト名はそれらを示すテキスト・データであっても、テキスト・データのハッシュ値であっても良い。さらに、本実施形態では、共通名フィールドと、最長共通名フィールドをインタレスト・パケットに設けたが、これらのいずれかのみを設ける構成でも、これら両方を設けない構成であっても良い。転送装置2は、共通名フィールド又は最長共通名フィールドに値があると、これら値をメイン・テーブルの検索に優先的に使用する。また、本発明によるクライアント装置1、転送装置2は、それぞれ、コンピュータを上記クライアント装置1、転送装置2として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6