(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部材は、前記上壁から下方に突出するように前記上壁に形成され、前記一対の側壁の内側に配置された前記電子部品の車幅方向の移動を規制する規制部を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗り物。
前記支持部材は、前記後部部材を連結するための連結部と、上方に露出する露出部分と、前記後部部材が上方から重なって隠れる重合部分とを有し、前記連結部が前記重合部分の下部に形成される、請求項6に記載の乗り物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗り物の本体に内蔵された本体内蔵機器と電装品とを接続する電線上に、抵抗器などの電子部品を介在させる場合がある。電子部品が本体内蔵機器と共に本体の内部に収容されると、本体の内部スペースが圧迫される。
【0005】
本発明は、乗り物の本体の内部スペースを拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る乗り物は、乗り物の本体と、前記本体から後方に延びる支持部材と、前記支持部材に支持されるリヤ電装品と、前記本体に内蔵された本体内蔵機器と、前記本体内蔵機器と前記リヤ電装品とを接続する電線と、前記本体内蔵機器と前記リヤ電装品との間の電線経路に介在し、前記支持部材内に配置される電子部品と、を備え、前記支持部材は、車幅方向両側に配置されて前後方向に延びる一対の側壁と、前記一対の側壁の上部を車幅方向に連結する上壁とを一体に有し、前記電子部品は、前記一対の側壁の内側に配置されて前記上壁の下面に固定される。
【0007】
前記構成によれば、支持部材が、一対の側壁と上壁とを一体に有し、それにより必要な剛性を得ることができる。電子部品は一対の側壁の内側に配置されるので、電子部品を乗り物の本体に収容しなくて済む。その分、乗り物の本体の内部スペースを拡大できる。また、電子部品をこのように配置するにあたって、電子部品は支持部材の上壁の下面に固定される。側壁の内面に電子部品を固定する場合と比べて、側壁の構造および製造を単純化できる。
【0008】
前記上壁を下方から覆うカバー部材を更に備え、前記支持部材は、前記上壁の前記下面から下方に突出して前記カバー部材を固定するカバー固定部を有し、前記電子部品は、前記カバー部材と前記上壁の前記下面との間に形成される空間内に配置されてもよい。
【0009】
前記構成によれば、カバー部材と支持部材とで電子部品が覆われ、電子部品を雨水や泥水から保護できる。さらに、カバー部材が電子部品を下方から支えることで電子部品を上壁に固定することができる。側壁に固定部を形成する場合と比べ、構造を簡単化できる。
【0010】
前記カバー固定部は、前記電子部品の収容位置よりも前後方向に離れた位置に設けられていてもよい。
【0011】
前記構成によれば、カバー固定部と電子部品との干渉を防ぐことができ、支持部材内に電子部品を配置しやすい。
【0012】
前記カバー部材は、前記一対の側壁の下端部よりも上方に配置されてもよい。
【0013】
前記構成によれば、電子部品が収容される空間の上下方向寸法を小さくでき、支持部材に対する電子部品の上下方向相対移動を防ぐことができる。また、カバー部材と支持部材の上壁とで電子部品を上下方向に挟持しやすい。
【0014】
前記支持部材は、前記上壁から下方に突出するように前記上壁に形成され、前記一対の側壁の内側に配置された前記電子部品の車幅方向の移動を規制する規制部を有してもよい。
【0015】
前記構成によれば、電子部品が支持部材に対して車幅方向に相対移動することを防ぐことができる。
【0016】
前記支持部材の後方に位置する後部部材を更に備え、前記支持部材と前記後部部材とが前後方向に連結されてもよい。
【0017】
前記構成によれば、後部部材と支持部材とを同じ部材で形成する場合に比べ、型成型しやすい。また、支持強度を要求される支持部材と、支持強度を要求されない後部部材とを別材料で形成しやすく、材料選択の自由度を向上できる。
【0018】
前記支持部材は、前記後部部材を連結するための連結部と、上方に露出する露出部分と、前記後部部材が上方から重なって隠れる重合部分とを有し、前記連結部が前記重合部分の下部に形成されてもよい。
【0019】
前記構成によれば、前後分割に形成されるので、連結部を形成しやすい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、乗り物の本体の内部スペースを拡大できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。方向は、乗り物の運転者が見る方向を基準とする。前後方向は車長方向と対応し、左右方向は車幅方向と対応する。車幅方向内方は乗り物の車幅中心線に近付く方向であり、車幅方向外方は車幅中心線から遠ざかる方向である。
【0023】
図1は、実施形態に係る乗り物の一例として自動二輪車1を示している。自動二輪車1は、運転者が跨って着座するシート2を備える鞍乗型乗り物の一種である。前輪3は、フロントフォーク6などの操舵系部品を介して本体5の前端部に転向可能に支持され、運転者によってハンドル7で操舵される。後輪4は、スイングアーム8の後端部に支持され、スイングアーム8の前端部は本体5の後下部に揺動可能に支持される。
【0024】
本体5は、本体5の前端部から後方に延びて屈曲して下方に延びるメインフレーム9、およびメインフレーム9の後上部から後方に延びるリヤフレーム10を備える。リヤフレーム10は左右に対を成しており、シート2はリヤフレーム10の前部に載置される。リヤフレーム10は、一対のリヤサイドカウル11で車幅方向外方から覆われ、リヤカウル12で後方から覆われ、シート2および上カバー13で上方から覆われ、下カバー14で下方から覆われる。リヤランプユニット15が、後方に露出する状態でリヤカウル12に装着される。
【0025】
支持部材16および後部部材17が、後輪4から上方に離れかつリヤカウル12およびリヤランプユニット15から下方に離れて配置される。支持部材16は、本体5から後方に延びる。支持部材16は、リヤフレーム10の後部(例えば、シート2よりも後方の部分)に支持され、下カバー14の後面または下面から後方に突出している。下カバー14の後面または下面は、後方に進むほど上方に向かうように傾斜する。後部部材17は、支持部材16の後部に連結され、支持部材16の後方に配置される。後部部材17の後下端には、ライセンスプレート18が取り付けられる。必要に応じて、支持部材16には、左右のリヤリフレクタ19が反射面を車幅方向外方に向けた状態で取り付けられる。
【0026】
支持部材16は、リヤフラップおよびリヤ電装品20など、自動二輪車1の後部に配置され本体5から後方に離れた部品を支持している。本体5には、本体内蔵機器23が内蔵されている。本体内蔵機器23は、電装品または電子部品である。「電子部品」は、能動部品、受動部品および機構部品を含む(電線は除く)。例えば、リヤ電装品20は、左右のリヤ方向指示器21L,21R(右側については
図2、3A、3Bおよび5を参照)およびライセンスランプ22を含み、本体内蔵機器23は、リヤ電装品20の電源となるバッテリBを含む。リヤ電装品20は、電線24を介して本体内蔵機器23と接続される。自動二輪車1は、本体内蔵機器23とリヤ電装品20との間の電線経路に介在し、支持部材16内に配置される複数の電子部品30を備える。
【0027】
図2に示すように、バッテリBの正極端子はイグニションスイッチISWおよびブリンカリレーBRを介してターンシグナルスイッチTSWの入力接点に接続される。左リヤ方向指示器21Lは、スイッチTSWの左出力接点およびバッテリBの負極端子に接続される。右リヤ方向指示器21Rは、スイッチTSWの右出力接点および負極端子に接続される。ブリンカリレーBRは本体内蔵機器23の一つである。スイッチISW,TSWは、ハンドル7(
図1を参照)の近傍に取り付けられ、運転者により操作される。イグニションスイッチISWがオン操作されると、ライセンスランプ22が点灯してライセンスプレート18が照明される。通常、ターンシグナルスイッチTSWの入力接点は左右の出力接点から遮断され、リヤ方向指示器21L,21Rは消灯される。入力接点を左出力接点と接続するようにスイッチTSWが操作されると、リレーBRが繰返し開閉して左リヤ方向指示器21Lが点滅する。入力接点を右出力接点と接続するようにスイッチTSWが操作されると、右リヤ方向指示器21Rが点滅する。
【0028】
図2の下部は、支持部材16の内部を平面視で概念的に示している。支持部材16の前端部は、下カバー14の後面または下面に形成された開口14aに挿し込まれ、下カバー14および本体5に支持される。支持部材16の内部は、支持部材16の前端部に形成されたケーブル穴16aを介して本体5の内部と連通する。後部部材17は、支持部材16を車幅方向外方から覆う左右の側壁51,52を有する。左右の側壁51,52には、支持部材16の内部に繋がる取付け穴17a,17bが形成されている。
【0029】
左リヤ方向指示器21Lは、ハウジング21a、光源要素21bおよびランプカバー21cを備える。ハウジング21aは、左側壁51の取付け穴17aに挿し込まれて後部部材17および支持部材16に支持され、左側壁31,51から車幅方向外方(すなわち、左方)に突出する。光源要素21bおよびランプカバー21cはハウジング21aに取り付けられ、光源要素21bはランプカバー21cで後方から覆われる。右リヤ方向指示器21Rも同様に構成される。ライセンスランプ22は、後部部材17の後端部であって車幅方向中央部に配置されている。
【0030】
電線24は、左リヤ方向指示器21Lと対応する左電線24L、右リヤ方向指示器21Rと対応する右電線24R、およびライセンスランプ22と対応する中央電線24Cを含む。各電線24R,24L,24Cは、下カバー14の内部空間からケーブル穴16aを通過して支持部材16の内部に進入し、対応するリヤ電装品21L,21R,22と接続されている。
【0031】
左電線24Lは、本体5内で取り回される左本体部24LA、およびケーブル穴16aを通過する左通過部24LBを有する。左通過部24LBは、スイッチTSWひいては正極端子に繋がる電源ケーブルと、負極端子に繋がるグランドケーブルとを一纏めに有し、見かけ上1本のケーブルを形成する。左通過部24LBの一端部は、下カバー14内に配置された左カプラ25Lを介して左本体部24LAと機械的かつ電気的に接続される。
【0032】
右電線24Rおよび中央電線24Cも同様に構成されている。図中の24RA,24CAは右本体部および中央本体部、24RB,24CBは右通過部および中央通過部、25R,25Cは右カプラおよび中央カプラである。
【0033】
ライセンスランプ22の光源要素は電球で構成され、中央通過部24CBはライセンスランプ22に接続される。左リヤ方向指示器21Lの光源要素21bは1以上の発光ダイオード(以下、「LED」という)で構成される。LEDを電気的に保護するため、左電流制限抵抗27Lが左電線24Lに介在している。左電流制限抵抗27Lは、例えば2つの左抵抗器27La,27Lbで構成される。
【0034】
左抵抗器27La,27Lbを介在させるために、左電線24Lは、左単体電源ケーブル部24LC、左単体グランドケーブル部24LD、および左ライト部24LEを有する。左単体電源ケーブル部24LCおよび左単体グランドケーブル部24LDは互いに独立した1本のケーブルを形成し、支持部材16の内部で左通過部24LBから二股に分かれて引き延ばされ、左カプラ26Lに接続される。左ライト部24LEは、電源ケーブルおよびグランドケーブルを一纏めに有して見かけ上1本のケーブルを形成し、左カプラ26Lから左リヤ方向指示器21Lに接続される。左カプラ26Lで、左単体電源ケーブル部24LCは左ライト部24LEの電源ケーブルと接続され、左単体グランドケーブル部24LDは左ライト部24LEのグランドケーブルと接続される。
【0035】
例えば、2つの左抵抗器27La,27Lbは、左単体電源ケーブル部24LCに介在し、直列に接続される。第1左抵抗器27Laの抵抗値は、相対的に大きく、LEDの保護に必要な抵抗値の殆どを賄う。第2左抵抗器27Lbの抵抗値は、相対的に小さく、LEDの保護に必要な抵抗値の残りを賄う。保護に必要な抵抗値は、LEDの個体差でバラつきがある。第2左抵抗器27Lbには、このバラつきを吸収するように適切な抵抗値を有するものが適宜選択される。左単体電源ケーブル部24LCおよび左単体グランドケーブル部24LDは支持部材16内に配置され、左電流制限抵抗27L(ひいては、これを構成する左抵抗器27La,27Lb)も支持部材16内に配置される。
【0036】
右電線24Rは左電線24Lと同様に構成される。図中の25RCは右単体電源ケーブル部、25RDは右単体グランドケーブル部、26Rは右カプラ、27Rは右電流制限抵抗、27Raは第1右抵抗器、27Rbは第2右抵抗器である。以上に説明したカプラ26L、26R、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbは、支持部材16内に配置される複数の電子部品30の一例である。
【0037】
図3Aに示すように、支持部材16は、車長方向に垂直な断面が略U字状またはチャンネル状に形成される。一対の側壁31,32は、車幅方向両側に配置され、車長方向に延びる。一対の側壁31,32は、支持部材16の前端部から車長方向中央部にわたって設けられる。支持部材16は、一対の側壁31,32の上部を車幅方向に連結し、一対の側壁31,32と一体化された上壁33を有する。上壁33は、側壁31,32の後端部よりも後方に延びる。側壁31,32の後端部よりも後方では、上壁33の車幅方向両側部が中央部よりも下方に凹んでいる。側壁31,32の後端部は、一対の段差壁34を介して上壁33の車幅方向両端部それぞれと繋がる。段差壁34の車幅方向外側端部には、車幅方向に向けられたフランジ35が設けられ、フランジ35には穴35aが形成されている。支持部材16は、上壁33の後縁部を取り囲む取合い壁36を有する。取合い壁36は、平面視U字状またはV字状に形成され、上壁33よりも下方かつフランジ35よりも後方に配置される。支持部材16は、後端部に、後部部材17(
図3Bを参照)と連結するための連結部37を有する。連結部37は、取合い壁36の後端から下方に延びる竪壁部37a、および竪壁部37aの下端に設けられた円筒部37bを有し、円筒部37bには上下方向の雌ねじ穴が形成される。
【0038】
図3Bに示すように、後部部材17は、二股に分かれた音叉状の上壁53を有する。前述した一対の側壁51,52は、上壁53の車幅方向両縁部から下方に垂れ下がって車長方向に延びている。
図3Aと対比するとわかるように、後部部材17は支持部材16に後方から前方に挿し込まれる。上壁53は、取合い壁36(
図3Aを参照)の上面に上方から重ねられる。側壁51,52の前端部が、フランジ35(
図3Aを参照)に車幅方向外方から重ねられ、それにより、支持部材16は後部部材17の側壁51,52によって車幅方向に挟まれる。ボルトのような固定具91が、側壁51,52およびその内側に位置する穴35a(
図3を参照)に順次挿し込まれ、それにより、後部部材17が支持部材16に取り付けられる。
【0039】
前述した取付け穴17a,17b(左側については
図2および4Aを参照)は、固定具91の取付け位置よりも後方に位置する。このため、リヤ方向指示器21L,21Rが取付け穴17a,17bに取り付けられた状態において、固定具91は、リヤ方向指示器21L,21Rと車幅方向に重なる。固定具91が目立ちにくく、自動二輪車1の美観を保てる。なお、
図3Aおよび
図3Bに図示される右リヤ方向指示器21Rが、取付け穴17bに取り付けられると、ハウジング21aの車幅方向内側端部は、支持部材16の上壁33よりも下に位置して支持部材16の内部に臨む。左リヤ方向指示器21Lについても同様である(
図4Aを参照)。
【0040】
図3Aを参照すると、支持部材16のうち、一対の側壁31,32、上壁33および段差壁34は、上方に露出する露出部分38を構成する。一方、フランジ35、取合い壁36および連結部37は、後部部材17と重なる重合部分39を構成する。後部部材17の上壁53は、取合い壁36および連結部37に上方から重ねられ、連結部37は重合部分39の下部に形成される。
【0041】
図4Aに示すように、支持部材16の上壁33および後部部材17の上壁53は、カバー部材60で下方から覆われる。カバー部材60は、板厚方向が略上下方向となる板状に形成され、車長方向に長尺である。カバー部材60の前部61は、後部62よりも上方に位置する。カバー部材60は、後部62の前端部を前部61の後端部に繋ぐ段差部63を有している。
【0042】
支持部材16は、上壁33の下面から下方に突出してカバー部材60を固定するためのカバー固定部41,42を有している。本実施形態では、2つのカバー固定部41,42が車長方向に離れて形成される。前カバー固定部41は、支持部材16の前部に設けられており、後カバー固定部42は、支持部材16の車長方向中央部に設けられている。別のいい方では、後カバー固定部42は、支持部材16の側壁31,32の後端部、または後部部材17の側壁51,52の前端部と車長方向において略同じ位置に設けられる。各カバー固定部41,42は、支持部材16の車幅方向中央部に設けられている。
【0043】
カバー部材60は、一対の側壁31,32の内側に収められ、カバー固定部41,42の下端面および連結部37の下端面に下から重ねられる。ボルトなどの固定具92が、カバー部材60を貫通してカバー固定部41,42に挿し込まれる。ボルトなどの固定具93が、カバー部材60の後端部を貫通して連結部37に螺合される。それにより、カバー部材60が支持部材16に取外し可能に取り付けられる。後部部材17は、上壁53の後端部から下方に折り曲げられた後に前方に突出する折返し部54を有し、折返し部54は、連結部37の下端面とカバー部材60との間に介在している。後部部材17は、固定具93で、カバー部材60および支持部材16と取外し可能に結合される。
【0044】
このようにカバー部材60が取り付けられることで、カバー部材60と上壁33,53の下面との間に空間43が形成される。空間43は、カバー部材60の前部61と支持部材16の上壁33の下面との間に形成される前部空間43aと、カバー部材60の段差部63および後部62と支持部材16の上壁33および後部部材17の上壁53との間に形成される後部空間43bとを含む。カバー部材60の前部61の後端部(すなわち、段差部63の前端部)は、後カバー固定部42に固定される。カバー固定部41,42の下端面は、側壁31,32の下縁よりも上方に位置する。前部空間43aは後部空間43bよりも上下方向の寸法が小さい。前部空間43aは上下方向に比較的狭く車長方向に比較的広い。
【0045】
図4A、4Bおよび5に示すように、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbは、左右の電線24L,24Rよりも大径の円筒状であり、直径よりも軸長が大きい長尺状である。4つの抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbは、前部空間43a内で、車幅方向に並ぶように配置される。各抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbの長手方向は車長方向、すなわち、支持部材16の延在方向または前部空間43aの長手方向に平行に配置される。換言すれば、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbは前後方向に延びる長尺状に形成される。
【0046】
カバー固定部41,42は、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbが収容される個所から前後方向に離れた位置に設けられている。本実施形態では、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbの収容位置が、車長方向において2つのカバー固定部41,42の間にある。換言すれば、車長方向(抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbの長手方向と対応)におけるカバー固定部41,42同士の間隔は、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbの長手方向寸法よりも大きい。よって、カバー固定部41,42が抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbと干渉することを防ぐことができる。前部空間43aの上下寸法は各抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbの直径と略等しく、各抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbはカバー部材60の前部61と上壁33とで上下方向に挟持される。このようにして抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbは、一対の側壁31,32の内側に配置され、上壁33の下面に固定される。
【0047】
カバー部材60で抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbを下から覆うので、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbに泥水が付着することを防ぐことができる。支持部材16の側壁31,32は貫通穴31a,31b,32a,32bを有しており、軽量化が図られている。カバー部材60(特に、側壁31,32の内側に配置される前部61)は、貫通穴31a,31b,32a,32bよりも上方に配置されている。これにより、カバー部材60が貫通穴31a,31b,32a,32bから露出せず、美観を保つことができる。また、空間43(特に、前部空間43a)の上下方向寸法を小さくして電子部品30(特に、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rb)を上壁33の下面に固定しやすくなる。
【0048】
図4Aおよび5に示すように、カプラ26L,26Rは、後カバー部材60の直後に配置される。単独電源ケーブル部24LC,24RCおよび単独グランドケーブル部24LD,24RDは、カプラ26L,26Rの前端部に進入する。ライト部24LE,24REは、カプラ26L,26Rの後端部から引き延ばされ、U字に折り返されて車幅方向外方に向けられ、左右のリヤ方向指示器21L,21Rに接続される。このように、カプラ26L,25およびライト部24LE,24REは、後部空間43b内に配置される。このように、電子部品30(カプラ26L,26R)は電線24L,24RのうちU字に折り曲げられている部分に配置されている。
【0049】
図2および5に示すように、右通過部24RBの後端部は右抵抗器27Ra,27Rbの後端部近傍に達している。右カプラ26Rは、右抵抗器27Ra,27Rbの後端部および右通過部24RBの後端部よりも後方に、かつこれらと近接して配置される。右単独グランドケーブル24RDは、右通過部24RBの後端部から略直線的に右カプラ26Rの前端部に進入する。右単独電源ケーブル24RCは、右通過部24RBの後端部と右カプラ26Rとの間の狭小なスペースでU字に折り返され、第1右抵抗器27Raの後端部に進入する。右単独電源ケーブル24RCは、第1右抵抗器27Raの前端部から引き延ばされ、U字に折り返されて第2右抵抗器27Rbの前端部に進入する。右単独電源ケーブル24RCは、第2右抵抗器27Rbの後端部から引き延ばされ、右カプラ26Rの前端部に進入する。このようなケーブルの取り回しにより、2つの右抵抗器27a,27bを車幅方向に並べるとともに、右単独グランドケーブル24RDおよび右単独電源ケーブル24RCのケーブル長を極力短くしている。第1右抵抗器27Raは第2右抵抗器27Rbよりも車幅方向外側に配置されており、右カプラ26Rは第1右抵抗器27Raよりも車幅方向内側に配置されている。このため右単独電源ケーブル27RCのうち、第2右抵抗器27Rbから引き延ばされて右カプラ26Rに進入する部分を略直線的に取り回すことができる。左電流制限抵抗27Lおよび左電線24Lについても同様である。このように、電線24L,24Rは、電子部品30(抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rb)を支持部材16内に収容するにあたり、U字に折り曲げられた部分を形成し、当該電子部品30はこのU字に折り曲げられた部分に配置される。
【0050】
図5に示すように、支持部材16は、上壁33から下方に突出するように形成された左右の規制部44L,44Rを有する。規制部44L,44Rは、後カバー固定部42よりも後方に設けられており、後部空間43b内に配置されている。左ライト部26LEは左右の規制部44L,44Rの間に配置され、右ライト部26REは右規制部44Rと後部部材17の右側壁52(
図3B参照)との間に配置される。
【0051】
図4Aおよび5に示すように、支持部材16は、前壁46の内面から下方に突出する左右一対のブラケット固定部45を有する。ブラケット固定部45は、支持部材16の前壁46の内面に設けられている。ブラケット固定部45の下端面は、カバー固定部41,42の下端面よりも下方に位置する。リフレクタブラケット65は、カバー部材60が支持部材16に取り付けられてから、ブラケット固定部45の下端面に下から重ねられる。そして、ボルトなどの固定具94が、リフレクタブラケット65に挿通されてブラケット固定部45に係合される。リフレクタブラケット65は、支持部材から車幅方向両側に突出し、この突出部分にリフレクタ19が取り付けられる。
【0052】
図5に示すように、支持部材16の前端部は、下カバー14の後面または下面に形成された開口14aに嵌め込まれる。前壁46は、下カバー14の後面または下面から本体5内部側に没入される。ボルトなどの固定具95が、本体5の内側から挿し込まれ、前壁46に設けられたネジ穴に螺合される。それにより、支持部材16が本体5に取り付けられる。ネジ穴は貫通穴でもよく、固定具95の先端部が支持部材16内に臨んでもよい。その場合、
図4Aに示すように、固定具95の先端部は、下カバー14の開口14a内に没入し、下カバー14の後面または下面よりも本体5側に奥まった位置に配置される。これにより固定具95が目立ちにくく、自動二輪車1の美観を保てる。
【0053】
上記した自動二輪車1は、本体5から後方に延びる支持部材16と、支持部材16に支持されるリヤ電装品20と、本体5に内蔵された本体内蔵機器23と、本体内蔵機器23をリヤ電装品20と接続する電線24と、本体内蔵機器23とリヤ電装品20との間の電線経路に介在し、支持部材16内に配置される電子部品30と、を備える。支持部材16は、車幅方向両側に配置されて前後方向に延びる一対の側壁31,32と、一対の側壁31,32の上部を車幅方向に連結する上壁33とを一体に有する。電子部品30は、一対の側壁31,32の内側に配置されて上壁33の下面に固定される。
【0054】
前記構成によれば、支持部材16が、一対の側壁31,32と上壁33とを一体に有するので、必要な剛性が得られる。電子部品30は一対の側壁31,32の内側に配置されるので、電子部品30を本体5に収容しなくて済む。その分、本体5の内部スペースを確保できる。また、電子部品30をこのように配置するにあたり、電子部品30は支持部材16の上壁33の下面に固定される。側壁31,32の内面に電子部品30を固定する場合と比べて、側壁31,32の構造および製造を単純化できる。
【0055】
支持部材16は、型抜き方向が上下方向に設定されたアルミニウム合金鋳造品であってもよい。型抜き方向が上下方向に設定される場合、電子部品30を側壁31,32の内面に固定するための構造を設けると、当該構造はアンダーカット形状になる。本実施形態では、側壁31,32からこのような構造および形状が省略されるので、側壁31,32の形状が単純化される。そのため、支持部材16の製作に必要な中子を減らすことができ、支持部材16を簡易に製作できる。また、ジュール熱を生じやすい抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbがアルミニウム合金製の支持部材16の上壁33の下面に固定される。このため、ジュール熱を支持部材16に逃がしやすく(すなわち、支持部材16をヒートシンクとして機能させることができ)、電子部品30を安定動作させることができる。また、アルミニウム合金製であると、後部部材17、リヤ電装品20およびリフレクタ19の支持剛性が向上する。
【0056】
自動二輪車1は、上壁33を下方から覆うカバー部材60を備え、支持部材16は、上壁33の下面から下方に突出してカバー部材60を固定するカバー固定部41,42を有し、電子部品30は、カバー部材60と上壁33の下面との間に形成される空間43内に配置される。このようにカバー部材60と支持部材16とで電子部品30が覆われると、電子部品30を上からの雨水や下からの泥水から保護できる。さらに、カバー部材60が電子部品30を下方から支えることができ、それにより電子部品30を上壁33に固定できる。上壁33の内面に電子部品30を固定するための特別な構造(例えば、突起や凹部)を設ける必要がなく、支持部材16の構造および形状を簡単化できる。
【0057】
カバー部材60は取外し可能に支持部材16に取り付けられている。カバー部材60を取り外せば、支持部材16内に配置されている電子部品30にアクセス可能となり、電子部品の保守および交換を行える。カプラ25L,25R,25Cが支持部材16内に配置されていてもよく、その場合は、カバー部材60を取り外すだけで、カプラ25L,25R,25Cにおいて電線24の結線作業を簡単に行える。
【0058】
カバー固定部41,42は、電子部品30の収容位置から前後方向に離れた位置に設けられている。後カバー固定部42は、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbから後方、カプラ26L,26Rから前方に離れて配置されている。前カバー固定部41は、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbから前方に離れて配置されている。これにより、カバー固定部41,42の寸法を大きくしても、カバー固定部41,42が電子部品30と干渉することを防ぐことができる。
【0059】
車幅方向に並べられた抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbのうち一部の抵抗器27Lb,27Rbが、車幅方向中央部に設けられたカバー固定部41,42と正面視または背面視でオーバーラップしている(
図4Bを参照)。このため、当該抵抗器27Lb,27Rbが車長方向に移動することを防ぐことができる。
【0060】
カバー部材60は、一対の側壁31,32の下端部よりも上方に配置される。本実施形態では、カバー部材60の前部61が側壁31,32の下端部よりも上方に配置され、抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rbが前部61と上壁33との間に形成された前部空間43a内に配置されている。これにより、電子部品30(抵抗器27La,27Lb,27Ra,27Rb)が収容される空間43(前部空間43a)の上下方向寸法を小さくでき、支持部材16に対する電子部品30の上下方向相対移動を防ぐことができる。このように空間43(前部空間43a)が上下方向に狭くなると、電子部品30をカバー部材60と上壁33とで挟持しやすく、電子部品30の位置が安定する。
【0061】
支持部材16は、上壁33から下方に突出するように上壁33に形成され、一対の側壁31,32の内側に配置された電子部品30の車幅方向の移動を規制する規制部44L,44Rを有する。本実施形態では、規制部44L,44Rが電線24L,24Rのライト部24LE,24REと車幅方向にオーバーラップする。これにより、電子部品(特に、ライト部24LE,24REが接続されるカプラ26L,26R)が支持部材16に対して車幅方向に相対移動することを防ぐことができる。また、当該電子部品30をカバー部材60と支持部材16の規制部44L,44Rとで車幅方向に挟持しやすい。
【0062】
自動二輪車1は、支持部材16の後方に位置する後部部材17を更に備える。支持部材16と後部部材17とが前後方向に連結される。これにより、後部部材17と支持部材16とを同じ部材で形成する場合に比べ、型成形しやすい。また、支持強度を要求される支持部材と、支持強度を要求されない後部部材とを別材料で形成しやすく、材料選択の自由度を向上できる。本実施形態では、一例として、支持部材16がアルミニウム合金製であり、後部部材17が合成樹脂製である。これにより、支持部材16および後部部材17の全体としての重量を軽量化することもできる。
【0063】
支持部材16は、後部部材17を連結するための連結部37と、上方に露出する露出部分38と、後部部材17が上方から重なって隠れる重合部分39とを有する。連結部37は重合部分39の下部に形成される。これにより、支持部材16が後部部材17と前後方向に分割されるように形成され、連結部37を形成しやすい。特に、後部部材17で上から隠される部分に連結部37を形成している。このため、美観(ヒケ)を気にせずに連結部37を形成でき、製造コストを低減できる。例えば、連結部37は、肉厚とならないように下方に凹む形状に形成されることを許容される(
図3Aを参照)。
【0064】
固定具93は下方に配置され、下から上向きに挿入されるので、固定具93が外から目立ちにくく、自動二輪車1の美観を向上できる。後部部材17は、3つの固定具93,91(固定具91は2つある)で締結されるとともに、取合い壁36に上方から重ねられる。このため、後部部材17の取付け剛性を高めることができ、リヤ電装品20を安定的に支持できる。
【0065】
電子部品30は電線24よりも大径である。このように大型の電子部品を支持部材16内に配置するので、その分、本体5の内部スペースを広く確保できる。リヤ電装品20がLEDを含む。LEDへの給電のため電線24に介装される電子部品点数が多くなっても、これを支持部材16内に配置することで、本体5の内部スペースが圧迫されるのを抑止できる。
【0066】
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記構成は適宜変更可能である。例えば、本発明は自動二輪車1以外の乗り物に適用されてもよい。