(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403604
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B60J 7/08 20060101AFI20181001BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
B60J7/08 P
F16H25/20 B
F16H25/20 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-31711(P2015-31711)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-153263(P2016-153263A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
【審査官】
瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第02734530(DE,A1)
【文献】
特開2014−190436(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0047048(US,A1)
【文献】
実開平06−061543(JP,U)
【文献】
特開2001−253243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/08
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじを形成したねじ軸と前記ねじに嵌め合わされるナット部材とが設置され、ハウジングに固定された正転・逆転可能な電気モータにより前記ナット部材を回転して前記ねじ軸を前記ハウジングに対して出没させ、長さを伸縮する電動アクチュエータであって、
前記電動アクチュエータは、前記ねじ軸の先端部が被駆動部材又は固定側部材の一方の回動支点に回動可能に連結されると共に、前記ハウジングが前記被駆動部材又は固定側部材の他方の回動支点に回動可能に連結されており、さらに、
前記ハウジングの回動支点は、前記ねじ軸が前記ハウジングに最も入り込んだ時の前記ねじ軸の後端よりも軸方向の前方に位置する、ことを特徴とする電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記ハウジングの回動支点には、前記ねじ軸と直交する方向に延びる一対の回転軸を備えた回転軸部材が配設され、
前記ハウジングは、前記回転軸を回動可能に軸支する取付部材を介して前記被駆動部材又は固定側部材の回動支点に回動可能に連結される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記取付部材には、前記ハウジングとの干渉を回避するための肉厚低減部が形成されている、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前方の主部と後方のスリーブ部とを有し、前記スリーブ部は前記主部よりも外径が小さい、請求項1乃至3のいずれかに記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記電動アクチュエータは、車両に積載されるウイングボディのウイング開閉用アクチュエータである、請求項1乃至4のいずれかに記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部品あるいは作業機器などを駆動するための電動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々のアクチュエータが用途に応じて可動部品あるいは作業機器などを駆動するために使用される。例えば、アクチュエータは、貨物輸送用の車両であるトラックの荷台において、荷台に設けられた扉等を開閉させるためにも使用される。トラックの荷台には、可動式の屋根を設置して荷台の側方からも貨物の積み降ろしを可能としたウイングボディと呼ばれる荷台がある。ウイングボディでは、荷台の長手方向の中心線に沿って左右に分割された屋根パネルが側面パネルと一体となってウイングを構成しており、左右両側のウイングは、荷台の屋根中央のヒンジを中心としてアクチュエータにより跳ね上げ式に開閉される。ウイング開閉用のアクチュエータとしては、通常、油圧で作動する油圧シリンダが用いられる。
【0003】
トラックに搭載された一般的なウイングボディの構造を
図5及び
図6に示す。荷台の前部には前面パネル101が、後部には後部フレーム102が配置され、後部フレーム102には観音開き式の後部扉103が取り付けてある。上部には2枚のウイング104が配置されており、これらは、分割された屋根パネル141と左右の側面パネル142の一方とが一体となった断面L字状のものである。荷台の側面の下方には、煽り板105がヒンジ106によって下側に回動可能に取り付けられている。
【0004】
ウイング104を開閉するためのアクチュエータとして、後部フレーム102と左右のウイングの屋根パネル141との間をそれぞれ連結する2個の油圧シリンダ107が、
図6に示すとおり後部フレーム102の上面に設置され、同様な油圧シリンダ107は、前面パネル101のフレーム上面にも設置されている。油圧シリンダ107に供給する作動油を制御してそのロッドを伸長すると、図の実線に示すように、ウイング104が上方に移動して荷台の側面が開放され、油圧シリンダ107のロッドを短縮すると、2点鎖線に示すように、ウイング104の側面パネル142の下端部が煽り板105の上端部に密着し、荷台は閉鎖される。
【0005】
図5及び
図6のように、アクチュエータとして油圧シリンダを用いてウイングを開閉するウイングボディでは、油圧シリンダに油圧を供給する油圧配管を配設する必要があり、油圧発生用の油圧ポンプを駆動する電気モータも必要となって、ウイングの開閉装置全体が複雑化する。これを避けるため、電動アクチュエータ、つまり、電気モータによりねじを形成したナット部材を回転し、このナット部材に嵌まり合うねじ軸を直接的に進退させるアクチュエータを利用してウイングを開閉することも知られており、一例として、特開2014−190436号公報に示されている。
この公報に掲載された電動アクチュエータには、
図7に示すとおり、円筒状のハウジング201内に電気モータ202が配設されており、この電気モータ202のロータ(電気子)の内側には中空のスリーブ状回転子203が配設されている。そして、円筒状のハウジング201の中心には、中空のスリーブ状回転子203を貫通して延びるねじ軸204が配置され、ねじ軸204に形成されたねじには、ハウジング201の軸方向先端部に置かれたナット部材205が嵌め合わされている。ナット部材205はスリーブ状回転子203に連結され、電気モータ202で回転されることにより、ねじ軸204を直線運動させ、ハウジング201に対して出没させる。ねじ軸204の先端部には軸方向外方に延びる第一の連結部206が配設されており、この第一の連結部206の先端部には、電動アクチュエータが被駆動部材(例えばウイング)と連結されて回動する際の回動支点(o1)となる取付孔が形成されている。また、ハウジング201の後端には軸方向外方に延びる第二の連結部207が配設されており、この第二の連結部207の後端部には、電動アクチュエータが固定側部材(例えば後部フレーム)と連結されて回動する際の回動支点(o2)となる取付孔が形成されている。
【0006】
上述の電動アクチュエータは、ウイングボディにおけるウイング開閉用のアクチュエータとして用いられるものであるが、当然、電動アクチュエータを他の装置に利用することもできる。貨物輸送用の車両であるトラックには、貨物の積み降ろしを行うための作業機器であるテールゲートを装備するものがあり、電動アクチュエータは、テールゲートにおいて、貨物積載用プラットフォームを荷台と地上との間に昇降させるアクチュエータとしても使用することが可能である。さらに、上述の電動アクチュエータは車両用としてだけでなく他の用途にも利用することができる。例えば、上述の電動アクチュエータは、相互に回動可能な状態で接続されたアーム部を有するロボットアームにおいて、一方のアーム部に対して他方のアーム部を回動させるのにも使用することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−190436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電動アクチュエータは、電気モータの回転を機械的な機構のみにより直接ロッド等の往復動に変換するアクチュエータであり、油圧シリンダのように流体部分を介在させていないので、装置が簡素化されると同時に保守点検等の作業も容易となる。
しかし、
図7に示すように、電動アクチュエータにおいては、ねじ軸204がハウジング201に入り込むための収納部がハウジング201に設けてあり、その収納部は、ねじ軸204が最も入り込んだ時、即ち、電動アクチュエータの長さが最短となった時点のねじ軸204を収納する必要がある。そして、第二の連結部207は、ハウジング201よりも軸方向外方に配置されていることから、ねじ軸204がハウジング201に最も入り込んだ状態にあっても、電動アクチュエータの軸方向長さ(第一の連結部206から第二の連結部207までの距離)が比較的長くなり、この電動アクチュエータは被駆動部材及び固定側部材に装着する際にコンパクトに設置することができない。
【0009】
特に、電動アクチュエータをウイングボディのウイング開閉用のアクチュエータとして使用した場合にあっては、電動アクチュエータはウイングと後部フレームの上面との間の空間に設置されることから、ウイングが閉じた状態(即ち、ねじ軸204がハウジング201に最も入り込んだ状態)にあっては、電動アクチュエータの軸方向長さが長いとその分後部フレームの上面を低くする必要があり、これにより後部フレーム102に取り付けられる後部扉103の高さも低くなる(
図4の右側部分も参照)。それ故に、貨物を後部扉103から荷室へ搬入及び荷室から搬出する際に、搬入・搬出する貨物の高さが制限され、作業効率が著しく低下してしまう。また、後部扉103付近の荷室部分に積載する貨物の高さも制限されることとなる。
そこで本発明の課題は、電動アクチュエータを、ねじ軸が出没する所要ストローク長を確保しつつ、ねじ軸がハウジングに最も入り込んだ時には電動アクチュエータの軸方向長さが短くなるように構成して、上述の問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題に鑑み、本発明は、正転・逆転可能な電気モータを備えた車両用の電動アクチュエータにおいて、ハウジング側の回動支点を、ねじ軸がハウジングに最も入り込んだ時のねじ軸の後端よりも軸方向の前方(ねじ軸が伸長する方向)に位置するようにしたものである。すなわち、本発明は、
「ねじを形成したねじ軸と前記ねじに嵌め合わされるナット部材とが設置され、ハウジングに固定された正転・逆転可能な電気モータにより前記ナット部材を回転して前記ねじ軸を前記ハウジングに対して出没させ、長さを伸縮する電動アクチュエータであって、
前記電動アクチュエータは、前記ねじ軸の先端部が被駆動部材又は固定側部材の一方の回動支点に回動可能に連結されると共に、前記ハウジングが前記被駆動部材又は固定側部材の他方の回動支点に回動可能に連結されており、さらに、
前記ハウジングの回動支点は、前記ねじ軸が前記ハウジングに最も入り込んだ時の前記ねじ軸の後端よりも軸方向の前方に位置する」
ことを特徴とする電動アクチュエータとなっている。
【0011】
請求項2に記載のように、前記ハウジングの回動支点には、前記ねじ軸と直交する方向に延びる一対の回転軸を備えた回転軸部材が配設され、前記ハウジングは、前記回転軸を回動可能に軸支する取付部材を介して前記被駆動部材又は固定側部材の回動支点に回動可能に連結されることが好ましい。さらに、請求項3に記載のように、前記取付部材には、前記ハウジングとの干渉を回避するための肉厚低減部が形成されていることが好ましい。
【0012】
請求項4に記載のように、前記ハウジングは、前方の主部と後方のスリーブ部とを有し、前記スリーブ部は前記主部よりも外径が小さいのが好ましい。
【0013】
請求項5に記載のように、前記電動アクチュエータは、車両に積載されるウイングボディのウイング開閉用アクチュエータとして使用することが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電動アクチュエータでは、ハウジングに固定された正転・逆転可能な電気モータが動力源として設置される。この電気モータはナット部材に接続され、ナット部材にはねじが形成されたねじ軸が嵌め合わされている。電気モータを駆動してナット部材を回転させることで、このナット部材と嵌め合わされたねじ軸がハウジングに対して軸方向に出没して、電動アクチュエータの長さが伸縮する。
本発明の電動アクチュエータは、ねじ軸の先端部が被駆動部材又は固定側部材の一方の回動支点に回動可能に連結されると共に、ハウジングが被駆動部材又は固定側部材の他方の回動支点に回動可能に連結される。ハウジングの回動支点は、ねじ軸がハウジングに最も入り込んだ時のねじ軸の後端よりも軸方向の前方に位置し、これにより本発明の電動アクチュエータでは、所定のストローク長を維持しつつ、ねじ軸がハウジングに最も入り込んだ状態での電動アクチュエータの軸方向長さを短くすることができる。それ故に被駆動部材及び固定側部材へのコンパクトな設置が可能となり、電動アクチュエータが設置される個所の周辺の部材との干渉を避けることができる。
【0015】
請求項2の発明は、ねじ軸と直交する方向に延びる一対の回転軸を備える回転軸部材をハウジングの回動支点に配設し、ハウジングは、回転軸部材の回転軸を回動自在に軸支する取付部材を介して被駆動部材又は固定側部材の回動支点に回動可能に連結したものである。このような回転軸部材と取付部材を用いると、簡易な構造で電動アクチュエータを回動させることができ、製造コストを低減することができる。さらに、請求項3の発明のように、電動アクチュエータのハウジングとの干渉を回避するための肉厚低減部を取付部材に形成することで、ハウジングの回動支点がハウジング2の後端よりも幾分前方に位置しているにもかかわらず、ハウジングが回動する際に取付部材と干渉することが回避され、ハウジングの円滑な回動が可能となる。
【0016】
請求項4の発明は、電動アクチュエータのハウジングが、電動モータ等の機器を収めた前方の主部と、ねじ軸の収納部を形成した後方のスリーブ部とを有し、スリーブ部は、主部よりも外径が小さくなるようにしたものである。スリーブ部の外径を比較的小さくすることで、ハウジングが回動する際に、ハウジングと被駆動部材又は固定側部材との間にスペースが生まれ、これによりハウジングが被駆動部材又は固定側部材と干渉することを回避し、ハウジングの円滑な回動が可能となる。さらに、スリーブ部の外径を比較的小さくすることで、電動アクチュエータそのものの重量を軽量化することができ、電気モータにかかる負荷を軽減することができると共に材料使用量を低減することができる。
【0017】
請求項5の発明のように、本発明にかかる電動アクチュエータを、車両に積載されるウイングボディのウイング開閉用アクチュエータに適用すると、電動アクチュエータと車両のフレームとの接続位置を高くすることができ、これにより後部フレームに取り付けられる後部扉の高さも高くすることができる。従って、貨物を荷室へ搬入及び荷室から搬出する際の貨物の高さを増加することができ、貨物の積み降ろし等の作業効率が上昇する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の電動アクチュエータを全体的に示す図である。
【
図2】
図1の電動アクチュエータのハウジングを取り付けるための取付部材を全体的に示す図である。
【
図3】
図1の電動アクチュエータをウイングボディのウイング開閉用アクチュエータとして使用した場合の、作動状態を示す図である。
【
図4】ウイング開閉用アクチュエータとして、本発明の電動アクチュエータを使用した場合と、従来の電動アクチュエータを使用した場合の比較図である。
【
図5】一般的なウイング及びその開閉用油圧アクチュエータを示す図である。
【
図6】
図5の開閉用油圧アクチュエータの取付部を示す図である。
【
図7】従来の電動アクチュエータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の電動アクチュエータについて説明する。
図1の全体図に示すように、符号1で示される本発明の電動アクチュエータでは、ハウジング2の内部に正転・逆転可能な電気モータMが設置される。電気モータMは、詳細な図示は省略するが、一般的なDCモータ又はACモータと同じく、ハウジング2に固定されたステータの内側に回転するロータ(電機子)が配置されたもので、ロータの内側には、中空のスリーブ状回転子3が固着されている。そして、ハウジング2の中心には、中空のスリーブ状回転子3を貫通して延びるねじ軸4が配置され、ねじ軸4に形成されたねじには、ハウジング2の軸方向の先端に置かれたナット部材5が嵌め合わされる。
【0020】
ナット部材5は、ブレーキ機構B及び減速機構Rを介してスリーブ状回転子3に連結される。そして、ナット部材5は、電気モータMにより回転されて、ねじ軸4を軸方向に直線運動させ、ねじ軸4がハウジング2に対して出没することで、電動アクチュエータ1の長さが伸縮する。ナット部材5とねじとの間にはボール51が介在されてボールねじ機構を構成しており、回転運動を直線運動へ変換する際の摩擦損失を低減する。ブレーキ機構B及び減速機構Rについては公知であり、例えば本出願人の出願にかかる特開2014−190436号公報に詳細に記載されているので、本明細書においてはブレーキ機構B及び減速機構Rについての詳細な説明は省略する。
【0021】
ねじ軸4は電動アクチュエータの出力部材となるものであり、このねじ軸4の先端部が被駆動部材又は固定側部材の一方の回動支点o1に回動可能に連結される。図示の実施形態においては、ねじ軸4の先端部には軸方向外方に延びる接続部材41が配設されており、この接続部材41の先端部には被駆動部材又は固定側部材の一方と回動可能に連結される取付孔42が形成されている。回動支点o1はこの取付孔42の中心に位置する。
接続部材41の後端部とハウジング2の先端部の間には、ねじ軸4を覆うようにして、伸縮可能な蛇腹状ゴムの保護部材43が設けてある。そのため、ねじ軸4をハウジング2に対して出没させることで接続部材41が軸方向に移動した場合であっても、埃等がねじ軸4の表面に付着して電動アクチュエータ1の作動を妨害することが回避される。
【0022】
ハウジング2は、上述した電気モータM等を内部に有する円筒形状の前方主部21と、全体として円筒形状である後方スリーブ部22とを有している。このスリーブ部22は、ねじ軸4がハウジング2に入り込んで電動アクチュエータ1が短縮するときに、ねじ軸4の後方部を収納する収納部であって、スリーブ部22の内径は、ねじ軸4が軸方向に移動することができる程度の大きさであると共に、スリーブ部22の外径は、主部21の外径よりも小さい。スリーブ部22の外径を比較的に小さくすることで、後述するとおり、電動アクチュエータ1が被駆動部材及び固定側部材との間に装着されハウジング2が回動する際に、ハウジング2と被駆動部材又は固定側部材との間にスペースが生まれ、これによりハウジング2が被駆動部材又は固定側部材と干渉することが回避され、ハウジング2の円滑な回動が可能となる。さらに、スリーブ部22の外径を比較的に小さくすることで、電動アクチュエータ1そのものの重量を軽量化することができ、電気モータ2にかかる負荷を軽減することができると共に材料使用量を低減することができる。スリーブ部22の先端部には略円環形状のフランジ23が一体的に設けられており、スリーブ部22はこのフランジ23をボルトのような適宜の固定具で主部21の後端に固定することで主部21に接続されている。
【0023】
上記したハウジング2は、被駆動部材又は固定側部材の他方の(回動支点o1と反対側の)回動支点o2に回動可能に連結される。本発明では、回動支点o2は、ねじ軸4がハウジング2に最も入り込んだ時(即ち
図1に示す状態)のねじ軸4の後端よりも軸方向の前方に位置に設定してある。
図示の実施形態においては、ハウジング2の後方端より幾分前方において、ねじ軸4と直交する方向に延びる一対の回転軸61を備えた回転軸部材6がハウジング2と一体的に配設されており、この回転軸61が被駆動部材又は固定側部材の他方と回動可能に連結される。従って、回動支点o2はこの回転軸61の中心に位置する。所望ならば、回転軸部材6をハウジング2と一体で成型することに替えて、回転軸部材6をハウジング2とは別体で成型した後に、回転軸部材6をハウジング2に挿通して溶接のような適宜の接着手段により付設してもよい。
【0024】
ハウジング2は、回転軸61を回動可能に軸支する取付部材7を介して回動支点o2に回動可能に連結される。
図2を参照して説明すると、取付部材7は、回転軸61を回転可能に挟持する一対の挟持部71と、この一対の挟持部71を一体的に被駆動部材又は固定側部材の他方に取り付けるためのベース部72と、を有する。挟持部71は、矩形平板部71Aとこの上面中央において上方に延びる半長円形状片71Bとから構成され、半長円形状片71Bには回転軸61が摺動自在に挿通される貫通孔が形成されている。
ベース部72は全体としては矩形平板であり、その上面中央領域には略正方形の肉厚低減部73が形成されている。図示の実施形態においては、肉厚低減部73は貫通開口であるが、有底形状であってもよい。ベース部72の上面中央領域に肉厚低減部73が形成されていることで、後述するとおり、電動アクチュエータ1が被駆動部材及び固定側部材との間に装着されハウジング2が回動する際には、ハウジング2の回動支点o2がハウジング2の後端よりも幾分前方に位置しているにもかかわらず、ハウジング2の後端部がこの肉厚低減部73を通過することで取付部材7と干渉するのを回避し、ハウジング2の円滑な回動が可能となる。取付部材7は、一対の挟持部71の貫通孔に夫々の回転軸61を挿通した状態でベース部72にボルトのような適宜の固定具により固定された後に、ベース部72を溶接のような適宜の配設手段で被駆動部材又は固定側部材に配設される。
このように、回転軸部材6と取付部材7を用いることで、簡易な構造で電動アクチュエータを回動させることができ、製造コストを低減することができる。
【0025】
次に、
図3を参照して、本発明の電動アクチュエータが車両に積載されるウイングボディのウイング開閉用アクチュエータとして使用される場合について説明する。
図3の電動アクチュエータ1は、ウイングボディ8のウイングの屋根パネル81を被駆動部材とすると共にその後部フレーム82を固定側部材としてウイングボディ8に装着される(
図6も併せて参照)。ここで、本発明の電動アクチュエータ1は、ウイングの屋根パネル81を被駆動部材とすると共に前面パネルを固定側部材としても装着されるが、その構成は後部フレーム82に装着される場合と同様である。
【0026】
電動アクチュエータ1におけるねじ軸4の先端部に形成された接続部41は、屋根パネル81の幅方向外側端部の下面に形成された被取付部83と回動可能に連結される。被取付部83には図示しない取付軸(回動支点o1)が配設されており、この取付軸を接続部41の取付孔42に挿通することで、ねじ軸4の先端部が屋根パネル81の回動支点o1に回動可能に連結される。一方、電動アクチュエータ1におけるハウジング2は後部フレーム82の中央より幾分幅方向外側位置の上面に回動可能に連結される。即ち、取付部材7が上記した位置に溶接のような適宜の設置方法により設置されることで、ハウジング2がこの位置を回動支点o2として後部フレーム82に対して回動可能に連結される。なお、屋根パネル81にハウジング2の回動支点o2を設け、後部フレーム82にねじ軸4の回動支点o1を設けるようにしてもよい。
そして、電動アクチュエータ1の電気モータMを駆動することでねじ軸4をハウジング2に対して出没させ、電動アクチュエータ1の軸方向長さを伸縮させることにより屋根パネル81が回動する。即ち、電動アクチュエータ1は、その前方端部が屋根パネル81の回動支点o1と回動可能に連結されていると共に、その後方端部が後部フレーム82の回動支点o2と回動可能に連結されていることから、電動アクチュエータ1の軸方向長さを伸ばすと、
図3の左側に示すとおり、電動アクチュエータ1によって屋根パネル81が押し上げられることで、ウイングは開方向に回動し、荷台の側面が開放される。一方で、電動アクチュエータ1の軸方向長さを縮めると、
図3の右側に示すとおり、ウイングは閉方向に回動し、荷台が閉鎖される。
【0027】
図4は、ウイングボディのウイング開閉用アクチュエータとして、本発明の電動アクチュエータを使用した場合(
図4の左側部分)と、従来の電動アクチュエータを使用した場合(
図4の右側部分)とを比較したものである。従来の電動アクチュエータにおける同一構成要素については符号に´を付加して表している。
この図から理解されるとおり、本発明の電動アクチュエータ1におけるハウジング2の回動支点o2は、従来の電動アクチュエータ1´におけるハウジング2´の回動支点o2´に比べて上方に位置する。これは、本発明の電動アクチュエータ1においては、ハウジング2の回動支点o2が、ねじ軸4がハウジング2に最も入り込んだ時のねじ軸4の後端よりも軸方向の前方に位置しているが、従来の電動アクチュエータ1´においては、ハウジング2´の回動支点o2´が、ハウジング2´よりも更に軸方向の後方に位置していることに起因する。これにより、本発明の電動アクチュエータ1は従来の電動アクチュエータ1´に比べ短縮時における軸方向長さが短く、その分だけ、狭いスペースに設置したとしても周囲の部材との干渉を避けることができる。例えば、ウイング開閉用アクチュエータの近傍には、ウイング2の開閉用ヒンジを取り付けるセンタービーム用の取り付け部材(
図4のX)が存在するが、本発明の電動アクチュエータ1は、上方に設置されていても取り付け部材Xと干渉することがない。
このように、本発明の電動アクチュエータ1は、回動支点o2が設けられる後部フレーム82の上面位置が高くなり、後部フレーム82に取り付けられる後部扉の高さも従来の電動アクチュエータ1´が装備される場合よりも高く設計することができる。
【0028】
以上詳述したように、本発明の電動アクチュエータは、ハウジングの回動支点を、ねじ軸がハウジングに最も入り込んだ時のねじ軸の後端よりも軸方向の前方に配置したものである。上述の実施例では、電動アクチュエータをウイングの駆動装置として用いた場合について説明しているが、本発明の電動アクチュエータは、車両に装備されるテールゲートの昇降用装置等の可動部分に適用できるのは勿論のこと、ロボットアームのアーム部の可動部分にも適用することができるのは言うまでもない。また、各種回動支点の接触部には潤滑性の優れた材料を介在させるなど、上記実施例に対し各種の変形が可能であるのは明らかである。
【符号の説明】
【0029】
1:電動アクチュエータ
2:ハウジング
4:ねじ軸
5:ナット部材
6:回転軸部材
61:回転軸
7:取付部材
8:ウイングボディ
81:ウイング
82:後部フレーム
o1:回動支点
o2:回動支点