(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403640
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ラッシングレールの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
B60P 3/20 20060101AFI20181001BHJP
B60P 7/135 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
B60P3/20 A
B60P7/135
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-134561(P2015-134561)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-13714(P2017-13714A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】井上 文男
【審査官】
中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−059963(JP,A)
【文献】
特開2006−168544(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3193088(JP,U)
【文献】
実開平06−056680(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/20
B60P 7/135
B60P 7/06
B62D 33/04
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用箱型荷台の内壁部の装着面に取り付けられ、積載物保持部材の端部が係止される複数の係止孔が設けられた断面ハット形形状をなすラッシングレールの取り付け構造であって、
該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ、
該ガスケットは、該ラッシングレールの長手方向に沿って形成される平板部と、該ラッシングレールの該係止孔間部に位置し、該ハット形状の該内部空間を塞ぐ複数の密封部とからなり、該複数の密封部が該平板部上であって該ラッシングレールの長手方向に沿って直列に配設されている、ラッシングレールの取り付け構造。
【請求項2】
車両用箱型荷台の内壁部の装着面に取り付けられ、積載物保持部材の端部が係止される複数の係止孔が設けられた断面ハット形形状をなすラッシングレールの取り付け構造であって、
該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ、
該ガスケットは、該ラッシングレールの該係止孔間部に位置し、該ハット形状の該内部空間を塞ぐ複数の密封部と、該複数の密封部の上下方向端部を該ラッシングレールの長手方向に連結する連結部と、を備えている、ラッシングレールの取り付け構造。
【請求項3】
車両用箱型荷台の内壁部の装着面に取り付けられ、積載物保持部材の端部が係止される複数の係止孔が設けられた断面ハット形形状をなすラッシングレールの取り付け構造であって、
該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ、
該ガスケットは、発泡合成樹脂材料からなる、ラッシングレールの取り付け構造。
【請求項4】
該ガスケットは、発泡合成樹脂材料からなる、請求項1、又は2に記載されたラッシングレールの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用箱型荷台、例えば、荷室内の一部を仕切りパネルにより仕切ることで複数の部屋に分割し多種類の貨物を運搬する車両用の箱型荷台、の壁部装着面に貨物緊縛用等のラッシングレールを取り付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送用の車両であるトラックの荷台として、屋根を備え周囲が密閉された直方体形状の箱型荷台が広く普及している。箱型荷台には風雨等による貨物の損傷を防止でき、梱包を簡易化できるとともに、荷崩れの防止も容易である、という利点がある。トラック等による貨物輸送の分野では、野菜、魚介類等の生鮮食品あるいは、冷凍品など、傷みやすい貨物の輸送についての需要が増加しており、こうした貨物の輸送には断熱パネルにより囲まれた密閉式の箱型荷台を搭載し、その荷室の温度を、冷凍装置等によって一定温度に保つ定温輸送車(温度管理車)が用いられる。
【0003】
最近では、小口配達などの利便性追求の観点から、箱型荷台に冷凍、冷蔵装置を装備するとともに、荷室内に仕切りパネルを配置して複数の部屋に分割し、冷蔵品等の多種類の貨物を運搬する多目的バンと呼ばれる箱型荷台も一般的に使用されている。この箱型荷台には、温度管理をしない常温の荷室や(以下では「ドライ室」ということもある)、冷蔵品を保管するのに適した常温より低い温度の冷蔵室、冷凍品を保管するのに適した冷蔵室よりもさらに温度が低い室温の冷凍室が設置され、通常の貨物とともに冷凍品、冷蔵品を同時に輸送することができる。
【0004】
従来から、箱型荷台に対して荷物を積載した際に、意図しない積載物の動きを防止すべく使用される積載物保持部材としてのラッシングベルトを使用することが知られており、例えば、
図1(a)に示すように、荷室の左右の内壁部120に、当該ラッシングベルトの端部を係止するための係止孔10を複数設けた断面ハット形形状(
図4を参照)のラッシングレールLRが取り付けられている。
【0005】
ここで、
図1(b)に示すように、箱型荷台の前方側を冷蔵室とし、後ろ側をドライ室とすべく、箱型荷台の荷室を前後に区分けする仕切り壁100を設ける場合、当該仕切り壁100の外周を発泡樹脂材料からなるクッション性のある素材で形成することで、内壁部120の凹凸形状を吸収し、内壁部120との間にできるだけ隙間が生じないように構成されている。しかし、当該仕切り壁100がラッシングレールLRに接して位置する場合、ラッシングレールLRのハット形断面内部の隙間とラッシングベルトの係止金具が係止される係止孔10を介し冷気が前方の冷蔵室と後方のドライ室を連通し、冷気がドライ室に漏れ出して(
図8(a)を参照)、冷蔵室の温度を一定に保つことが困難になるという問題が生じる。
【0006】
上記のような問題を解決すべく、仕切り壁100を箱型荷台内の所望の位置に位置付けるに当たり、
図8(b)に記載されているように、当該仕切り壁100が位置するラッシングレールLR上の前後に位置する係止孔10に、柔軟性のあるインサート材140を挿入して当該仕切り壁100前後の部屋の冷気の連通を防止して冷蔵(又は冷凍)室の温度を一定に保ちやすくしようとすることが試みられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4599151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図8(b)に示されたインサート材140は、係止孔10に挿入され穴を塞ぐものであるから、仕切り壁100を前後方向に移動させる場合は、現在挿入されているインサート材140をラッシングレールLRの係止孔10から取り出し、新たに設定される仕切り壁100の位置に合わせて別の係止孔10に新たに挿入しなおす必要がある。特に、
図1(b)に記載されたような構成に適用する場合、ラッシングレールLRが4本あり、また仕切り壁100の前後に2つずつインサート材140を必要とすることから、計8か所のインサート材140を取り出し、新たな位置に対応させてその前後位置にインサート材140を挿入し直す必要があり、仕切り壁100の位置変更に際し、極めて煩雑な作業が強いられる。
【0009】
また、
図8(b)に記載されたインサート材140を用いる場合、当該インサート材140によって本来ラッシングベルト用の係止金具を係止するための係止孔10が塞がれてしまうため、当該係止孔10を積荷の固定に使用するための係止孔として使用することができず、また、
図1(b)に記載されているように、仕切り壁100を内壁部120に固定するためにラッシングベルト110を使用する場合にも、その前後位置の係止孔10が当該インサート材140の挿入により塞がれてしまうため、仕切り壁100の固定に支障が生じるという問題もある。
【0010】
さらにいえば、上記したような仕切り壁100を使用せず、箱型荷台の荷室内を一室で使用する場合は、当該インサート材140が不要となるから、当該インサート材140によってラッシングレールLRの係止孔10が塞がれラッシングベルトによる貨物緊締に支障をきたすことのないように、インサート材140を別の場所に保管しようとしてしまい、その結果当該インサート材140を紛失するなどの問題も生じ得る。
【0011】
本発明の課題は、箱型荷台内に仕切り壁を設け、当該箱型荷台を複数の荷室に区分して用いる際に、積荷、及び仕切り壁の固定に際してラッシングベルトの係止に支障が生じさせることなく、また、使用者に煩雑な作業を強いることなく各荷室の空気がラッシングレール内の隙間を介して循環してしまうことを防止するラッシングレールの取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明
は、車両用箱型荷台の内壁部の装着面に取り付けられ、積載物保持部材の端部が係止される複数の係止孔が設けられた断面ハット形形状をなすラッシングレールの取り付け構造であって、該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ
、該ガスケットは、該ラッシングレールの長手方向に沿って形成される平板部と、該ラッシングレールの該係止孔間部に位置し、該ハット形状の該内部空間を塞ぐ複数の密封部とからなり、該複数の密封部が該平板部上であって該ラッシングレールの長手方向に沿って直列に配設されている、ラッシングレールの取り付け構造を提供する。
該ガスケットは、発泡合成樹脂材料からなるものであることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、車両用箱型荷台の内壁部の装着面に取り付けられ、積載物保持部材の端部が係止される複数の係止孔が設けられた断面ハット形形状をなすラッシングレールの取り付け構造であって、該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ、該ガスケットは、該ラッシングレールの
該係止孔間部に位置し、該ハット形形状の該内部空間を塞ぐ複数の密封部と、該複数の密封部の上下方向端部を該ラッシングレールの長手方向に連結する連結部と、を備えている、ラッシングレールの取付構造を提供する。該ガスケットは、発泡合成樹脂材料からなるものであることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、車両用箱型荷台の内壁部の装着面に取り付けられ、積載物保持部材の端部が係止される複数の係止孔が設けられた断面ハット形形状をなすラッシングレールの取り付け構造であって、該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ、該ガスケットは、発泡合成樹脂材料からなる
、ラッシングレールの取付構造を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のラッシングレールの取り付け構造は、該ラッシングレールが、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐガスケットを介して該装着面に取り付けられ
、該ガスケットは、該ラッシングレールの長手方向に沿って形成される平板部と、該ラッシングレールの該係止孔間部に位置し、該ハット形状の該内部空間を塞ぐ複数の密封部とからなり、該複数の密封部が該平板部上であって該ラッシングレールの長手方向に沿って直列に配設されているラッシングレールの取り付け構造、
または、該ガスケットは、該ラッシングレールの該係止孔間部に位置し、該ハット形状の該内部空間を塞ぐ複数の密封部と、該複数の密封部の上下方向端部を該ラッシングレールの長手方向に連結する連結部と、を備えている、ラッシングレールの取り付け構造、または、該ガスケットは、発泡合成樹脂材料からなる、ラッシングレールの取り付け構造を有している。このような構成によれば、該仕切り壁をいずれの位置に設置したとしてもラッシングレール内の隙間とラッシングベルトを締結するための係止孔を介して冷気が漏れ出ることはなく、箱型荷台内の仕切り壁の位置を変更する度に冷気の漏れ出しを防止するためのインサート材の位置を変更する必要がないため、仕切り壁位置の変更に伴う作業の効率が大幅に向上する。
【0017】
また、仕切り壁によって区分される荷室同士の空気の連通を、隣接する該係止孔に挟まれた係止孔間部と装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞ぐように設けられる
上記したような構成のガスケットにより防止するため、ラッシングレールの係止孔が塞がれることがなく、いずれの係止孔においてもラッシングベルトの係止金具を嵌め込む際に支障をきたすことがないため、積荷固定作業の効率化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に基づく貨物車両の荷室におけるラッシングレールの取り付け状態を示す背面図。
【
図2】本発明に基づき構成される、ラッシングレールの取り付け構造の第1の実施形態を示す斜視図。
【
図3】
図2に示したラッシングレールの取り付け構造により取り付けられた状態を示す斜視図。
【
図4】
図3に示したラッシングレールのA−A断面図。
【
図5】
図3に示したラッシングレールの取り付け構造により取り付けられたラッシングレールの正面図。
【
図6】本発明に基づき構成される、ラッシングレールの取り付け構造の第2の実施形態を示す斜視図。
【
図7】本発明に基づき構成される、ラッシングレールの取り付け構造の第3の実施形態を示す斜視図。
【
図8】ラッシングレールの取り付け構造の従来技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明に基づいて構成されるラッシングレールの取り付け構造について説明する。
【0020】
図1には、本発明が適用される車両用の箱型荷台を後方から見た概略図が示されており、説明の都合上、後方開口部を閉塞する後方ドアは省略されている。
図1(a)に示されている通り、箱型荷台の荷室を構成する左右内壁部120にはそれぞれ車両前後方向に延びる2本のラッシングレールLRが取り付けられている。該ラッシングレールLRは、断面ハット形形状をなす鋼材等からなり、各ラッシングレールLRには、ラッシングベルトの係止金具が係止される車両上下方向に長い長孔形状を有する係止孔10が長手方向に多数設けられている。該荷室前方には、荷室内に冷気を供給するエバポレータEVが設置されており、該荷室内の前方壁部には、該荷室内に出入りするためのドア130が設置されている。
【0021】
図1(b)には、
図1(a)に示した該荷室に対してエバポレータEVが設置された前方側を冷蔵室(又は冷凍室)とし、後方側をドライ室として利用するための、仕切り壁100を荷室の前後方向中央に設置した状態が示されている。当該仕切り壁100は、仕切り壁100に係止されたラッシングベルト110の端部(係止金具)を内壁部120に取り付けられたラッシングレールLRの係止孔10に嵌め込み、その位置が固定されるものであり、積載する冷蔵貨物及び常温貨物のそれぞれの荷物の多少により、その位置を変更することが可能となっている。該仕切り壁100の外周はウレタン等の柔軟性のある素材により囲まれており、該ラッシングレールLR等、箱型荷台内の壁面に存する多少の凹凸については、当該外周の変形作用により吸収し、仕切り壁100の外周と内壁部120との間に隙間が生じないように構成されている。
【0022】
本発明に基づくラッシングレールの取り付け構造の第1の実施形態について、
図2〜5に基づき詳細に説明する。
【0023】
図2に示すように、荷室の内壁部120には、ラッシングレールLRを装着する装着面を構成する補強用のバックアッププレートBPが配置される。該バックアッププレートBPには、該ラッシングレールLRの隣接する該係止孔10に挟まれた係止孔間部11と対向する位置に、ガスケット20が接着剤により貼着されている。当該ガスケット20には、例えばウレタンフォーム(発砲ポリウレタン)が使用されるが、柔軟性のある種々の発泡合成樹脂材料が利用可能である。
【0024】
該バックアッププレートBPにガスケット20が貼着された状態で、ラッシングレールLRを取り付けることにより、
図3に示すように、内壁部120に取り付けられラッシングレールLRの装着面を構成するバックアッププレートBPと該係止孔間部11とで囲まれるハット形形状の内部空間に、ガスケット20が位置づけられる。そして、
図3のA−A断面図として示された
図4に記載されているように、ラッシングレールLRの内部空間がガスケット20により塞がれる。
【0025】
そして、
図5に示すように、ラッシングレールLR内に位置するガスケット20が、ラッシングレールLRの該係止孔間部11と該装着面とで囲まれる該ハット形形状の内部空間を塞いでいることにより、ラッシングベルトの係止金具を係止する係止孔10と干渉することなく、隣り合う係止孔10同士の空気の連通を防止することが可能となる。
【0026】
次に、
図6を参照しながら、本発明に基づき構成されるラッシングレールの取り付け構造の第2の実施形態について説明する。なお、同一の構成部品については、同一の図番号を付し、同一の作用を奏する部品についての説明は適宜省略する。
【0027】
当該第2の実施形態においては、ガスケット21が、該ラッシングレールLRの長手方向に沿って形成される平板部22と、該ラッシングレールLRの裏面の隣接する二つの係止孔10に挟まれた係止孔間部11に位置する複数の密封部20aとからなり、該複数の密封部20aが、該平板部22上であって該ラッシングレールLRの長手方向に沿って直列に固着されて一体的に構成され一枚の帯状に形成されている。そして、箱型荷台の内壁部120の一部を構成するバックアッププレートBPに対して当該ガスケット21を貼着し、当該バックアッププレートBPに対して当該ガスケット21を介してラッシングレールLRを取り付ける。
【0028】
第1の実施形態においては、バックアッププレートBPとラッシングレールLRの該係止孔間部11とで囲まれる断面ハット形形状の内部空間に対応させて個々のガスケット20を用意し、バックアッププレートBPの所定の位置にそれぞれを個別に貼着していた。これに対し、当該第2の実施形態においては、該複数の密封部20aが該平板部22上であって該ラッシングレールLRの長手方向に沿って直列に配設、固着され一体的に構成されているため、ガスケット21をバックアッププレートBPに貼着する際には、個々の密封部20a毎の位置を確認、管理する必要がなく、また複数の密封部20aの貼着も一度の作業にて行えるため、取り付け作業性が向上する。
【0029】
さらに、
図7を参照しながら、本発明に基づき構成されるラッシングレールの取り付け構造の第3の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態と同様に、同一の構成部品については、同一の図番号を付し、同一の作用を奏する部品についての説明は適宜省略する。
【0030】
当該第3の実施形態においては、ガスケット23が、第1の実施形態のガスケット20に相当する複数の密封部20bと、当該複数の各密封部20bの上下方向端部をラッシングレールLRの長手方向に連なるように連結する連結部24とにより構成される。当該第3の実施形態においては、密封部20bと、当該複数の各密封部20bの上下方向端部をラッシングレールLRの長手方向に連なるように連結する連結部24とが一体的に構成されていることにより、該ガスケット23が、第2の実施形態と同様に、一枚の帯状に形成されることになる。このように構成されることにより、該ガスケット23をバックアッププレートBPに貼着する際には、個々の密封部20b毎に位置取りを管理する必要がなく、また複数の密封部20bの貼着も一度に行えるため、上記第2の実施形態と同様に、取り付け作業性が向上する。
【0031】
第2、第3の実施形態は、以上のような構成を有することにより、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、第1に実施形態に対して取り付け作業性が向上する。
【0032】
なお、上記の第1〜3の実施形態においては、ラッシングレールLRを箱型荷台の内壁部120に対して取り付けるに当たり、該内壁部120に対するラッシングレールLRの装着面として構成されるバックアッププレートBPを予め取り付け、当該バックプレートBPに対してガスケット20、21、23を介してラッシングレールLRを取り付ける構造としていた。しかし、本発明のラッシングレールの取り付け構造は、必ずしも装着面として機能するバックアッププレートBPを必要とするものではなく、箱型荷台の内壁部120を装着面として、直接ラッシングレールLRを取り付ける構造とすることも可能である。その場合、上記ガスケットは、バックアッププレートBPではなく、箱型荷台の内壁部120に直接接着剤により貼着されるものであってもよいし、ラッシングレールLRを装着面に対して取り付けを行う前に、当該ガスケット20、21、23をラッシングレールLRの裏面側に対して接着剤により貼着するものであってもよい。
【0033】
また、上記第1〜3の実施形態においては、ラッシングレールLRに、ラッシングベルトの係止金具が係止される車両上下方向に長い長孔形状を有する係止孔10が長手方向に多数設けられている構成を示したが、これに限らず、係止孔が十字型のものを含むものであってもよい。
【0034】
さらに、第1〜3の実施形態においては、箱型荷台を車両の幅方向に配置する仕切り壁100を用いて当該箱型荷台を前後2室に区切る構成を基に説明したが、これに限らず、車両前後方向に延在する間仕切り壁と組み合わせ、3つの荷室に間仕切る構成に適用することも可能であり、区分する荷室数、間仕切り壁の方向などに限定されない。
【0035】
さらにいえば、第1〜3の実施形態においては、定温輸送車の荷室内を仕切る仕切り壁を設ける箱型荷台に本発明を適用した場合について説明したが、本発明のラッシングレールの取り付け構造は、定温輸送車の箱型荷台に設けられるラッシングレールの取り付け構造に限定されない。例えば、埃や粉塵等を排除する必要がある精密機器を積荷として運ぶ荷室と、そのような配慮を必要としない一般荷室とに仕切る仕切り壁を設ける箱型荷台に本発明のラッシングレールの取り付け構造を適用して使用すれば、両荷室の空気の連通が防止され、精密機器を積荷とする荷室への埃や塵の侵入を防止することができる。このように、本発明によるラッシングレールの取り付け構造は、箱型荷台内を仕切り壁により複数の荷室に仕切る際に、両荷室間の空気の連通を防止する必要がある、あらゆる荷室に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
10:係止孔
11:係止孔間部
20、21、23:ガスケット
20a、20b:密封部
22:平板部
24:連結部
100:仕切り壁
110:ラッシングベルト
120:内壁部
130:ドア
140:インサート材
LR:ラッシングレール
BP:バックアッププレート
EV:エバポレータ