(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403652
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】掘削装置
(51)【国際特許分類】
E21B 17/02 20060101AFI20181001BHJP
E21B 17/18 20060101ALI20181001BHJP
E21B 17/22 20060101ALI20181001BHJP
E21B 4/14 20060101ALI20181001BHJP
E02D 5/34 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
E21B17/02
E21B17/18
E21B17/22
E21B4/14 B
E02D5/34 Z
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-206554(P2015-206554)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-78289(P2017-78289A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】595101665
【氏名又は名称】株式会社オーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】樫本 孝彦
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−088472(JP,A)
【文献】
実開昭57−031389(JP,U)
【文献】
特開昭57−178087(JP,A)
【文献】
特開平09−195656(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0180707(US,A1)
【文献】
実開昭52−121101(JP,U)
【文献】
特開昭57−178084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/34
E21B 4/14
E21B 17/01
E21B 17/02
E21B 17/04
E21B 17/18
E21B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降自在に支持される回転駆動装置の回転軸体に、少なくとも1本の中間ロッド部材と、下端に掘削ビットを備えた先端ロッド部材とからなる掘削ロッドが一体回転可能に垂下連結され、前記回転軸体側にエア送給部及びグラウト送給部を備え、
前記掘削ロッドの中間ロッド部材の下端嵌合部と先端ロッド部材の上端嵌合部とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互の凹凸嵌合によって連結固定され、
中間ロッド部材は、筒状ケーシング内に、中央位置で縦貫するエア供給管と側部位置で縦貫するグラウト供給管とが配設され、エア供給管のエア出口が下端嵌合部の中央に開口すると共に、グラウト送給管のグラウト出口が下端嵌合部から外れた側方に開口し、
先端ロッド部材は、筒状ケーシング内に前記掘削ビットを打撃するエアハンマーが装備され、上端嵌合部の中央に開口したエア入口からエアハンマーのエアー導入口に至るエア送給路を有すると共に、該上端嵌合部から外れた側方に開口したグラウト入口から下端部のグラウト吐出口に至るグラウト供給管が配設され、
中間ロッド部材のグラウト出口と先端ロッド部材のグラウト入口との間に、両出入口に上下部を嵌入する短筒状の接続アダプタが介在し、
さらに、前記回転軸体の下端嵌合部と掘削ロッドの中間ロッド部材の上端嵌合部とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互に相対回転不能に凹凸嵌合する形状を有し、
回転軸体は、エア送給部のエア出口が下端嵌合部の中央に開口すると共に、回転軸体の前記グラウト送給部の下端部をグラウト導出菅として当該回転軸体の側方外部に突設し、当該グラウト導出菅の下端の開口を当該グラウト送給部のグラウト出口とし、
中間ロッド部材は、エア供給管のエア入口が上端嵌合部の中央に開口すると共に、当該中間ロッド部材のグラウト送給管のグラウト入口が中間ロッド部材の上端嵌合部から外れた側方に開口し、
回転軸体の前記グラウト出口と中間ロッド部材の前記グラウト入口との間にも前記接続アダプタが介在し、
しかも、これらの前記接続アダプタは、軸方向中間部の外周のフランジ部を境とする前記上部及び前記下部の外周を共に先細りテーパ面とし、これに合わせて、中間ロッド部材のグラウト供給菅のグラウド出口とこれに対応する先端ロッド部材のグラウド供給菅のグラウド入口並びに回転軸体のグラウド送給部のグラウト出口とこれに対応する中間ロッド部材のグラウト送給管のグラウト入口の夫々内周面を前記接続アダプタの前記上下部の先細りテーパ面に対応するテーパ面に形成してなる掘削装置。
【請求項2】
上下2本の中間ロッド部材を備え、上位の第一中間ロッド部材の下端嵌合部と下位の第二中間ロッド部材の上端嵌合部とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互の凹凸嵌合によって連結固定され、第二中間ロッド部材の筒状ケーシングが第一中間ロッド部材の筒状ケーシングよりも径大であり、
第二中間ロッド部材は、筒状ケーシングの上部側が第一中間ロッド部材の筒状ケーシングと略同径で、同下部側が先端ロッド部材の筒状ケーシングと略同径に設定され、エア供給管のエア入口が上端嵌合部の中央に開口すると共に、グラウト送給管のグラウト出口が下端嵌合部から外れた側方で且つ上端のグラウト入口よりも半径方向外側で開口し、このグラウト出入口の半径方向の位置差に対応してグラウト送給管に曲がり部が形成され、
第一中間ロッド部材のグラウト出口と第二中間ロッド部材のグラウト入口との間にも前記接続アダプタが介在してなる請求項1に記載の掘削装置。
【請求項3】
前記接続アダプタは、軸方向中間部の外周にフランジ部を有すると共に、該フランジ部の上下両側の外周に複数本のOリングが嵌装されてなる請求項1又は2に記載の掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアハンマーを介した掘削ビットの回転打撃作用によって地盤を掘削し、その掘削終了後、掘削ロッドを引き上げながら掘削孔内にグラウトを注入できるようにした掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の掘削装置は、昇降自在に支持される回転駆動装置の回転軸部材に、掘削ロッドが一体回転可能に垂下連結され、この掘削ロッドの下端にエアハンマーを介して掘削ビットが取り付けられており、掘削ロッドの内部には、スイベル機構等を介して上部側から導入される圧縮エアをエアハンマーに供給するエア送給路と、同様に上部側から導入されるセメントミルク等のグラウトを下部側のグラウト吐出口へ供給するグラウト送給路とが設けられている。そして、このような掘削装置によれば、掘削対象が岩盤、礫層、転石、コンクリート等が存在する硬い地盤であっても、掘削ビットがエアハンマーにて反復打撃されながら回転することで容易に掘削できると共に、掘削終了後に、掘削ロッドを引き上げつつグラウト吐出口から掘削孔内にグラウトを注入して、孔壁の補強、場所打ち杭の形成、根固め等を行うことが可能である。
【0003】
従来、このような掘削装置における掘削ロッドは、筒状ケーシング内にエア送給路及びグラウト送給路を設けた中間ロッド部材と、筒状ケーシング内にエアハンマーを内蔵する先端ロッド部材とを、端部同士の凹凸嵌合によって連結すると共に、その連結した凹凸嵌合部の中央位置で中間ロッド部材側のエア出口が先端ロッド部材側のエア入口に接続する一方、中間ロッド部材側のグラウト出口が該凹凸嵌合部から外れた側方位置で先端ロッド部材側のグラウト入口に接続する構成が一般的である。
【0004】
例えば、特許文献1に開示される掘削装置では、中間ロッド部材の下端に設けた断面六角形状の嵌合孔部の奥端中心にエア出口、該嵌合孔部から外れた下端面側方にグラウト出口を備えると共に、先端ロッド部材の上端に設けた断面六角形状の連結軸部の先端中央にエア入口、該連結軸部から外れた端面側方にグラウト入口を備えており、中間ロッド部材の嵌合孔部に先端ロッド部材の連結軸部を挿嵌し、その挿嵌部の狭間に固定ピンを介挿して両ロッド部材を連結固定することで、中間ロッド部材側のエア出口及びグラウト出口が先端ロッド部材側のエア入口及びグラウト入口にそれぞれ連通するようになっており、先端ロッド部材の筒状ケーシング外周面にグラウト吐出口が内蔵したエアハンマーよりも上位で開口している。また、特許文献2に開示される掘削装置では、中間ロッド部材の下端に設けたねじ孔の奥端中心にエア出口、該ねじ孔から外れた下端面側方にグラウト出口を備えると共に、先端ロッド部材の上端に突設した雄ねじ部の先端中央にエア入口、該雄ねじ部から外れた端面側方にグラウト入口を備えており、中間ロッド部材のねじ孔に先端ロッド部材の雄ねじ部を螺合することで、中間ロッド部材側のエア出口及びグラウト出口が先端ロッド部材側のエア入口及びグラウト入口にそれぞれ連通するようになっており、先端ロッド部材側の筒状ケーシングの外周に設けた中空状の螺旋羽根の内部をグラウト流路として、該螺旋羽根の下端にグラウト吐出口が開口している。
【0005】
なお、エアハンマー方式の掘削ロッドについて、例えば特許文献3に開示される掘削装置のように、中間ロッド部材と先端ロッド部材との凹凸嵌合部に、相互のエア出入口とグラウト出入口の両方を設けた構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−88472号公報
【特許文献2】特開平6−264434号公報
【特許文献3】特開平7−18665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、上記従来の一般的な掘削ロッドのように、中間ロッド部材と先端ロッド部材との凹凸嵌合部から外れた側方位置にグラウト出入口を備える構成では、掘削終了後に掘削ロッドを引き上げつつ掘削孔内にグラウトを注入する際、往々にして中間ロッド部材と先端ロッド部材との連結部分から外側へグラウトが多量に漏れ出し、このためにグラウト吐出口からのグラウト放出量が少なくなり、グラウトによる所期する作用を充分に発揮できなくなるという問題があった。なお、このようなグラウトの漏出は、回転駆動装置の回転軸部材と中間ロッド部材との連結部分や、複数本の中間ロッド部材を連結する場合の相互の連結部分でも、上記同様の連結構造であれば発生を免れない。また、この漏出防止対策として、上下の部材同士の連結させる対向端面の周辺部間にリング状のガスケットを介在させることも考えられるが、掘削ロッドでは両ロッド部材の径が概して50cm以上と大きいため、該ガスケットの全周を均等に圧接した状態で維持しにくく、与圧供給されるグラウトの圧力で簡単に封止破壊して漏出を生じることになる。
【0008】
一方、特許文献3のように掘削ロッドの中間ロッド部材と先端ロッド部材との凹凸嵌合部に相互のエア出入口とグラウト出入口の両方を設ける構成では、該凹凸嵌合部による両ロッド部材の連設強度を充分に確保する上で、グラウト出入口の面積(流路面積)が狭くならざるを得ず、このためにグラウトの供給能力が小さくなり、所定量のグラウトを供給するのに長時間を要するという問題があった。なお、特許文献1のように先端ロッド部材の筒状ケーシング外周面にグラウト吐出口がエアハンマーよりも上位にある場合、掘削孔内の底部側へのグラウト注入量が不足するという難点もある。さらに、特許文献2のように先端ロッド部材側のグラウト流路を筒状ケーシングの外周に設ける中空状螺旋羽根の内部で構成する場合、該螺旋羽根の製作コストが非常に高くつく上、それを筒状ケーシングの外周に固着するにも多大な手間と時間を要するため、先端ロッド部材全体の組立製作コストも嵩むという難点がある。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みて、エアハンマーを介した掘削ビットの回転打撃作用によって地盤を掘削後、掘削ロッドを引き上げつつグラウト注入を行う掘削装置として、グラウト注入の際、掘削ロッドの中間ロッド部材と先端ロッド部材との連結部分、また回転駆動装置の回転軸部材と中間ロッド部材との連結部分、更には複数本の中間ロッド部材を連結する場合の相互の連結部分等からのグラウト漏出を簡単な構成によって確実に防止して、該グラウトによる所期する作用を充分に発揮させ得るものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係る掘削装置は、昇降自在に支持される回転駆動装置10の回転軸体1に、少なくとも1本の中間ロッド部材2と、下端に掘削ビット4を備えた先端ロッド部材3とからなる掘削ロッドRが一体回転可能に垂下連結され、回転軸体1側にエア送給部(エア送給路)13及びグラウト送給部(グラウト送給路)14を備え、掘削ロッドRの中間ロッド部材2の下端嵌合部(連結孔部)22と先端ロッド部材3の上端嵌合部(連結軸部)31とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互の凹凸嵌合によって連結固定され、中間ロッド部材2は、筒状ケーシング20内に、中央位置で縦貫するエア供給管23と側部位置で縦貫するグラウト供給管24とが配設され、エア供給管23のエア出口23bが下端嵌合部22の中央に開口すると共に、グラウト送給管24のグラウト出口24bが下端嵌合部22から外れた側方に開口し、先端ロッド部材3は、筒状ケーシング30内に掘削ビット4を打撃するエアハンマー5が装備され、上端嵌合部31の中央に開口したエア入口33aからエアハンマー5のエアー導入口5aに至るエア送給路33を有すると共に、該上端嵌合部31から外れた側方に開口したグラウト入口34aから下端部のグラウト吐出口35に至るグラウト供給管34が配設され、中間ロッド部材2のグラウト出口24bと先端ロッド部材3のグラウト入口34aとの間に、両出入口24b,34aに上下部6a,6bを嵌入する短筒状の接続アダプタ6が介在
し、
さらに、前記回転軸体1の下端嵌合部(連結孔部)12と掘削ロッドRの中間ロッド部材2の上端嵌合部(連結軸部)21とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互に相対回転不能に凹凸嵌合する形状を有し、回転軸体1は、エア送給部13のエア出口13bが下端嵌合部12の中央に開口すると共に、回転軸体1の前記グラウト送給部14の下端部をグラウト導出菅15として当該回転軸体1の側方外部に突設し、当該グラウト導出菅15の下端の開口を当該グラウト送給部14のグラウト出口14bとし、中間ロッド部材2は、エア供給管23のエア入口23aが上端嵌合部21の中央に開口すると共に、当該中間ロッド部材2のグラウト送給管24のグラウト入口24aが中間ロッド部材2の上端嵌合部21から外れた側方に開口し、回転軸体1の前記グラウト出口14bと中間ロッド部材の前記グラウト入口24aとの間にも前記接続アダプタ6が介在し、
しかも、これらの前記接続アダプタ6は、軸方向中間部の外周のフランジ部61を境とする前記上部6a及び前記下部6bの外周を共に先細りテーパ面63とし、これに合わせて、
中間ロッド部材2のグラウト供給菅24のグラウド出口24bとこれに対応する先端ロッド部材3のグラウド供給菅34のグラウド入口34a並びに回転軸体1のグラウド送給部14(グラウド導出菅15)のグラウト出口14bとこれに対応する中間ロッド部材2のグラウト送給管24のグラウト入口24aの夫々内周面を前記接続アダプタ6の前記上下部6a,6bの先細りテーパ面63に対応するテーパ面26に形成してなる構成としている。
【0012】
請求項
2の発明は、上記請求項
1の掘削装置において、上下2本の中間ロッド部材2A,2Bを備え、上位の第一中間ロッド部材2Aの下端嵌合部22と下位の第二中間ロッド部材2Bの上端嵌合部21とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互の凹凸嵌合によって連結固定され、先端ロッド部材3の筒状ケーシング30が第一中間ロッド部材2Aの筒状ケーシング20よりも径大であり、第二中間ロッド部材2Bは、筒状ケーシング20の上部側(上部ケーシング201)が第一中間ロッド部材2Aの筒状ケーシング20と略同径で、同下部側(下部ケーシング202)が先端ロッド部材3の筒状ケーシング30と略同径に設定され、エア供給管23のエア入口23aが上端嵌合部21の中央に開口すると共に、グラウト送給管24のグラウト出口24bが下端嵌合部22から外れた側方で且つ上端のグラウト入口24aよりも半径方向外側で開口し、このグラウト出入口24b,24aの半径方向の位置差に対応してグラウト送給管24に曲がり部24cが形成され、第一中間ロッド部材2Aのグラウト出口24bと第二中間ロッド部材2Bのグラウト入口24aとの間にも接続アダプタ6が介在してなる構成としている。
【0013】
請求項
3の発明は、上記請求項
1又は2の掘削装置において、接続アダプタ6は、軸方向中間部の外周にフランジ部61を有すると共に、該フランジ部61の上下両側の外周面に複数本のOリング62が嵌装されてなるものとしている。
【発明の効果】
【0014】
次に、本発明の効果について図面を参照して具体的に説明する。請求項1の発明に係る掘削装置では、地盤Gの掘削に際し、回転駆動装置10の下降に伴って掘削ロッドRの下端の掘削ビット4がエアハンマー5にて反復打撃されながら回転するから、該地盤Gが岩盤、礫層、転石、コンクリート等の存在する硬いものであっても容易に掘削できると共に、掘削終了後に、掘削ロッドRを引き上げつつ下端部のグラウト吐出口35から掘削孔内にグラウトCを注入して、孔壁の補強、場所打ち杭の形成、根固め等を行える。しかして、掘削ロッドRは
、中間ロッド部材2とエアハンマー5内蔵の先端ロッド部材3とが端部同士の凹凸嵌合で連結する構造であり、その凹凸嵌合部分で中間ロッド部材2側のエア出口23bと先端ロッド部材3側のエア入口33aとが連通するため、掘削中に連結部から圧縮エアが漏れることはない。一方、中間ロッド部材2側のグラウト出口24bと先端ロッド部材3側のグラウト入口34aは該凹凸嵌合部分から外れた側方位置で連通するが、このグラウト出口24bとグラウト入口34aとの間に、両出入口24b,34aに上下部6a,6bを嵌入する短筒状の接続アダプタ6が介在するから、掘削終了後の掘削ロッドRの引き上げ過程でグラウトCを注入する際、該グラウトCが連結部から漏れる懸念がなく、もってグラウト吐出口35からのグラウト放出量を充分に確保して、該グラウトCによる所期する作用を確実に発揮することが可能である。また、この掘削装置の場合、掘削ロッドRの連結部からのグラウトCの漏れ防止のために上記の接続アダプタ6を介在させるだけでよく、既存の掘削ロッドRの構成を殆ど改変することなく利用できるから、確実な漏れ防止対策を極めて低コストで実現できると共に、連結部のグラウト出入口24b,34aが凹凸嵌合部分から外れた側方に位置するから、グラウト出入口の連通流路を広くしてグラウト供給能力を大きく確保し、所定量のグラウトを短時間で注入して施工効率を高めることが可能である。
さらに、前記回転軸体1の下端嵌合部(連結孔部)12と掘削ロッドRの中間ロッド部材2の上端嵌合部(連結軸部)21とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互に相対回転不能に凹凸嵌合する形状を有し、やはり回転軸体1側のグラウト導出管15の下端に開口するグラウト出口14bと中間ロッド部材2側のグラウト入口24aが該凹凸嵌合部分から外れた側方位置で連通するが、このグラウト出口14bとグラウト入口24aとの間にも前記同様の接続アダプタ6が介在するから、掘削終了後の掘削ロッドRの引き上げ過程でグラウトCを注入する際、回転軸体1と中間ロッド部材2との連結部からのグラウトCの漏れも確実に防止される。
しかも、これらの前記接続アダプタ6は、軸方向中間部の外周のフランジ部61を境とする前記上部6a及び前記下部6bの外周を共に先細りテーパ面63とし、これに合わせて上記各部材のグラウト入口34a,24a及びグラウト出口34b,14bの夫々内周面、すなわち、中間ロッド部材2のグラウト供給菅24のグラウド出口24bとこれに対応する先端ロッド部材3のグラウド供給菅34のグラウド入口34a並びに回転軸体1のグラウド送給部14(グラウド導出菅15)のグラウト出口14bとこれに対応する中間ロッド部材2のグラウト送給管24のグラウト入口24aの夫々内周面を前記接続アダプタ6の前記上下部6a,6bの先細りテーパ面63に対応するテーパ面26に形成してなるため、前記接続アダプタ6のこれらグラウト出入口に対する挿嵌がテーパ嵌合によって容易になる。また、接続アダプタ6は、軸方向中間部の外周にフランジ部61を有することで、精度よく上下部6a,6bの位置決めがなされると共に、上下部6a,6bの外周面に複数本のOリング62が嵌装されることで、グラウトCの漏出がより確実に防止されるという利点がある。
【0016】
請求項
2の発明によれば、掘削ロッドRは上下2本の中間ロッド部材2A,2Bを備え、上位の第一中間ロッド部材2Aの下端嵌合部22と下位の第二中間ロッド部材2Bの上端嵌合部21とが、その一方を凹形、他方を凸形として相互に相対回転不能に凹凸嵌合する形状を有し、やはり両中間ロッド部材2A,2Bのグラウト出入口24b,24aが凹凸嵌合部分から外れた側方位置で連通するが、これらグラウト出入口24b,24aの間にも前記同様の接続アダプタ6が介在するから、掘削終了後の掘削ロッドRの引き上げ過程でグラウトCを注入する際、両中間ロッド部材2A,2Bの連結部からのグラウトCの漏れも確実に防止される。また、この場合、先端ロッド部材3の筒状ケーシング30が第一中間ロッド部材2Aの筒状ケーシング20よりも径大であるが、両者2A,3間に入る第二中間ロッド部材2Bによって掘削ロッドRの全体にエア流路及びグラウト流路が連通するから、先端ロッド部材3の筒状ケーシング30の径大設定によって内蔵するエアハンマー5を大型化でき、もって掘削ビット4に対する打撃力を高めて掘削効率を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項
3の発明によれば、接続アダプタ6は、軸方向中間部の外周にフランジ部61を有して、該フランジ部61の上下両側の外周に複数本のOリング62が嵌装されているから、グラウト出入口24b,34a(14b,24a、24b,24a)の開口縁にフランジ部21が係止することで、精度よく上下の位置決めがなされると共に、嵌合部に複数本のOリング64が介在することで、グラウトCの漏出がより確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る掘削装置を示し、(a)は全体の側面図、(b)はその回転駆動装置部分の側面図である。
【
図2】同掘削装置における回転軸体の縦断側面図である。
【
図3】同掘削装置における掘削ロッドの中間ロッド部材を示し、(a)は縦断側面図、(b)は側面図である。
【
図4】同中間ロッド部材の上端側を示し、(a)は縦断側面図、(b)は上面半部の平面図である。
【
図5】同掘削装置における回転軸体と中間ロッド部材との連結部を示す縦断側面図である。
【
図6】同掘削ロッドの先端ロッド部材を示し、(a)は外側部分を断面で示す全体の側面図、(b)は上部側の縦断側面図、(c)は下部側の側面図である。
【
図7】同掘削ロッドにおける中間ロッド部材と先端ロッド部材との連結部を示す縦断側面図である。
【
図8】他の構成例の接続アダプタを用いる場合の同中間ロッド部材の上部側を示す縦断側面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る掘削装置に使用する第二中間ロッド部材を示し、(a)は縦断側面図、(b)は側面図である。
【
図10】同掘削装置における掘削ロッドの第一及び第二中間ロッド部材と先端ロッド部材との連結部を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る掘削装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、第一及び第二実施形態で共通する構成部分には、同一符号を附している。
【0020】
図1(a)に示す第一実施形態の掘削装置は、油圧ホイルクレーンからなる走行台車Mに搭載された伸縮式ブームBの先端部に、回転駆動装置10が該伸縮式ブームBの伸縮及び傾動によって昇降自在に保持されており、該回転駆動装置10の下方突出する回転駆動軸10aに連結した回転軸体1に、掘削ロッドRが垂直姿勢で一体回転可能に垂下連結されている。Wは伸縮式ブームBの先端に設けた掘削ロッド吊下げ用のウインチである。しかして、掘削ロッドRは、長い中間ロッド部材2と短い先端ロッド部材3とが同軸状に連結されてなり、下端に掘削ビット4を備えると共に、先端ロッド部材3にエアハンマー5が内蔵され、また全体の外周に螺旋羽根7が形成されている。
【0021】
図1(b)に示すように、回転駆動装置10にはグラウト導入ホース10bが接続され、また回転軸体1にはエアスイベル機構8の環体81が外嵌され、この環体81にエア導入ホース84が接続されている。そして、該環体81と回転駆動装置10とがブラケット85を介して連結され、これによって該環体81が回転止めされている。
【0022】
回転軸体1は、
図2に示すように、上端に六角柱状の連結軸部11、下端に六角穴状の連結孔部12がそれぞれ形成されており、中間部にエアスイベル機構8の環体81が軸受82及びオイルシール83を介して相対回転のみ可能に外嵌されている。そして、該回転軸体1の内部には、その外周面に開口するエア入口13aから連結孔部12の奥端中央に開口したエア出口13bに至るエア送給路13と、連結軸部11の上端面中央に開口したグラウト入口14aから環体81よりも下位の外周面に設けた開口部14cに至るグラウト送給路14とが形成され、該開口部14cに曲折した上端部で連通接続して垂下するグラウト導出管15の下端に、グラウト送給路14のグラウト出口14bが開口している。また、六角柱状の連結軸部11における径方向に対向する2側面には、それぞれ断面半円形で水平方向に沿う係止溝9aが形成される一方、連結孔部12の径方向に対向する2内側面にもそれぞれ断面半円形で水平方向に沿う係止溝9bが形成され、この連結孔部12の各係止溝9bの両端は回転軸体1を貫通する円形のピン挿入孔9に繋がっている。
【0023】
エアスイベル機構8は、環体81の内周側に環状流路80が構成され、この環状流路80が仮想線で示すようにエア導入ホース84を接続するエアー送給口85と回転軸体1のエア入口13aとに連通しており、外部から送給される圧縮エアAを該エア導入ホース84を通して環状流路80に導入し、エア入口13aからエア送給路13へ送り込むようになっている。
【0024】
中間ロッド部材2は、
図3(a)(b)に示すように、筒状ケーシング20の環状の上端板20aに六角柱状の連結軸部21が突設されると共に、該筒状ケーシング20の下端に環状の下端板20b及び奥側取付板20cを介して連結用筒体22aが固着され、この連結用筒体22aの内側が横断面六角形の連結孔部22を構成しており、該筒状ケーシング20内には中央位置で縦貫するエア供給管23と側部位置で縦貫するグラウト供給管24とが配設されている。そして、エア供給管23は、連結軸部21の上端面中央に開口するエア入口23aと、連結孔部22の奥端中央に開口するエア出口23bとにそれぞれ連通している。また、グラウト供給管24は、筒状ケーシング20の上端板20aの連結軸部21から外れた側方位置で開口するグラウト入口24aと、同下端板20bの連結孔部22から外れた側方位置で開口するグラウト出口24bとにそれぞれ連通しており、グラウト入口24aには短筒状の接続アダプタ6が着脱可能に挿嵌している。
【0025】
中間ロッド部材2の連結軸部21の径方向に対向する2側面には、回転軸体1の連結軸部11と同様に、断面半円形の係止溝9aが形成されている。また、該中間ロッド部材2の連結孔部22の径方向に対向する2内側面にも、やはり回転軸体1の連結孔部12と同様に、断面半円形の係止溝9bが形成され、この各係止溝9bの両端は連結用筒体22a及び筒状ケーシング20を貫通するピン挿入孔9に繋がっている。そして、回転軸体1の連結孔部12と中間ロッド部材2の連結軸部21とは、相互に適嵌し得る寸法に設定され、その連結孔部12と連結軸部21との適正な嵌合状態において、相互の係止溝9a,9bが合わさって連続するピン挿入孔9を構成すると共に、回転軸体1側のグラウト出口14bと中間ロッド部材2側のグラウト入口24aとが同心で対向配置するように設定されている。なお、該中間ロッド部材2の連結孔部22の各係止溝9bも、連結用筒体22a及び筒状ケーシング20を貫通するピン挿入孔9に繋がっている。
【0026】
接続アダプタ6は、
図4(a)(b)に示すように、軸方向中間部の外周にフランジ部61を有すると共に、該フランジ部61の上下両側の外周面に複数本(図示は3本)のOリング62が嵌装されており、その下部6bをグラウト入口24aに密に挿嵌するようになっている。そして、中間ロッド部材2の上端板20aには、グラウト入口24aの周縁にフランジ部61の厚みの1/2に相当する深さの環状凹段部25が形成されている。なお、以降での説明を省略するが、同様の環状凹段部は該接続アダプタ6を介在させる各部材のグラウト入口及びグラウト出口の周縁にも形成される。
【0027】
従って、中間ロッド部材2は、
図5に示すように、その連結軸部21を回転軸体1の連結孔部12に挿嵌し、該回転軸体1の外側から各ピン挿入孔9に固定ピン91を挿嵌することにより、該回転軸体1に同軸で一体回転可能に連結固定され、同時にグラウト入口24aに挿嵌された接続アダプタ6の上部6aが回転軸体1側のグラウト導出管15の下端に開口するグラウト出口14bに嵌入する。そして、この連結により、回転軸体1側のエア送給路13が中間ロッド部材2のエア供給管23内に連通すると共に、回転軸体1側のグラウト送給路14が中間ロッド部材2のグラウト供給管24内に連通する。
【0028】
なお、回転駆動装置10の回転駆動軸10aに対する回転軸体1の連結も同様であり、
図2の仮想線で示すように、回転軸体1の上端の連結軸部11を回転駆動軸10a側の連結孔部101に嵌合し、構成されるピン挿入孔9に固定ピン91を挿嵌することにより、該回転駆動軸10aと回転軸体1とが同軸で一体回転可能に連結固定されると共に、回転駆動軸10a側のグラウト導入路102が回転軸体1側のグラウト送給路14に連通する。これにより、外部よりグラウト導入ホース10aを介して回転駆動装置10に導入されるグラウトCが、回転駆動軸10aの内部を通して回転軸体1のグラウト送給路14へ送給される。
【0029】
先端ロッド部材3は、
図6(a)〜(c)に示すように、筒状ケーシング30内にエアハンマー5が装備され、このエアハンマー5の下端から掘削ビット4が突出している。そして、筒状ケーシング30の上端板30aには六角柱状の連結軸部31が突設され、この連結軸部31から連続して筒状ケーシング30内に垂下する筒部31aの内側が六角穴状の連結孔部31bを構成しており、エアハンマー5の上端に螺着した取付ロッド51の六角柱状の連結軸部51aが該連結孔部31bに嵌合固定されている。また、筒状ケーシング30内には、連結軸部31の上端面中央に開口するエア入口33aから取付ロッド51内を通してエアハンマー5のエアー導入口5aに至るエア送給路33を有すると共に、上端板30aの連結軸部31から外れた側方位置で開口するグラウト入口34aと、筒状ケーシング30の下端部外周面に開口するグラウト吐出口35との間にグラウト供給管34が配設されており、そのグラウト入口34aには中間ロッド部材2に使用したものと同様の接続アダプタ6が着脱可能に挿嵌されている。なお、グラウト供給管34は、筒状ケーシング30とハンマーケーシング50との間に配設するが、その配設位置よりもグラウト入口34aが半径方向の内側に位置するため、上部側に曲がり部34cを設けている。
【0030】
先端ロッド部材3の六角柱状の連結軸部31は、回転軸体1及び中間ロッド部材2の連結軸部11,21と同様に、径方向に対向する2側面に断面半円形の係止溝9aが形成されている。そして、中間ロッド部材2の連結孔部22と先端ロッド部材3の連結軸部31とは、相互に適嵌し得る寸法に設定され、その連結孔部22と連結軸部31との適正な嵌合状態において、相互の係止溝9a,9bが合わさって連続するピン挿入孔9を構成すると共に、中間ロッド部材2側のグラウト出口24bと先端ロッド部材3側のグラウト入口34aとが同心で対向配置するように設定されている。
【0031】
従って、
図7に示すように、先端ロッド部材23の連結軸部31を中間ロッド部材2の連結孔部22に挿嵌し、該中間ロッド部材2の外側から各ピン挿入孔9に固定ピン91を挿嵌することにより、該先端ロッド部材23と中間ロッド部材2とが同軸で一体回転可能に連結固定され、同時にグラウト入口34aに挿嵌された接続アダプタ6の上部6aが中間ロッド部材2側のグラウト出口24bに嵌入する。そして、この連結により、中間ロッド部材2側のエア送給管23内と先端ロッド部材3のエア送給路33とが連通すると共に、中間ロッド部材2側のグラウト送給管24内と先端ロッド部材3のグラウト供給管34内とが連通する。
【0032】
なお、先端ロッド部材3の連結孔部31bと取付ロッド51の連結軸部51aとの連結構造も同様であり、相互の適正な嵌合状態で構成されるピン挿入孔9が筒部31aを貫通する形になり、該ピン挿入孔9に筒部31aの外側から係止ピン91を挿嵌することで先端ロッド部材3に取付ロッド51が一体に連結固定される。
【0033】
上記構成の掘削装置では、
図1で示す地盤Gの掘削に際し、回転駆動装置10の下降に伴って掘削ロッドRの下端の掘削ビット4がエアハンマー5にて反復打撃されながら回転するから、該地盤Gが岩盤、礫層、転石、コンクリート等の存在する硬いものであっても容易に掘削できると共に、掘削終了後に、掘削ロッドRを引き上げつつ下端部のグラウト吐出口35から掘削孔内にグラウトCを注入して、孔壁の補強、場所打ち杭の形成、根固め等を行える。しかして、掘削ロッドRは、中間ロッド部材2とエアハンマー5内蔵の先端ロッド部材3とが前者の連結孔部22と後者の連結軸部31との凹凸嵌合で連結固定する構造であり、その凹凸嵌合部分で中間ロッド部材2側のエア出口23bと先端ロッド部材3側のエア入口33aとが連通するため、掘削中に連結部から圧縮エアAが漏れることはない。一方、中間ロッド部材2側のグラウト出口24bと先端ロッド部材3側のグラウト入口34aは該凹凸嵌合部分から外れた側方位置で連通するが、このグラウト出口24bとグラウト入口34aとの間に、両出入口24b,34aに上下部6a,6bを嵌入する短筒状の接続アダプタ6が介在するため、掘削終了後のグラウト注入時に該グラウトCが連結部から漏れる懸念がない。
【0034】
また、回転駆動装置10側の回転軸体1と該掘削ロッドRとの連結部においても、前記の中間ロッド部材2と先端ロッド部材3との連結部分と同様に、回転軸体1の下端の連結孔部12と中間ロッド部材2の上端の連結軸部21との凹凸嵌合で連結固定し、その凹凸嵌合部分で回転軸体1側のエア出口13bと中間ロッド部材2側のエア入口23aとが連通すると共に、該凹凸嵌合部から離れた側方位置で回転軸体1側のグラウト導出管15のグラウト出口14bと中間ロッド部材2側のグラウト入口24aとが前記同様の接続アダプタ6を介して連通する。これにより、掘削終了後の掘削ロッドRの引き上げ過程でグラウトCを注入する際、回転軸体1と中間ロッド部材2との連結部からのグラウトCの漏れも確実に防止される。
【0035】
従って、この掘削装置によれば、グラウト吐出口35からのグラウト放出量を充分に確保して、該グラウトCによる孔壁の補強、場所打ち杭の形成、根固め等の所期する作用を確実に発揮させることができる。また、この掘削装置の場合、掘削ロッドRの連結部からのグラウトCの漏れ防止のために上記の接続アダプタ6を介在させるだけでよく、既存の掘削ロッドRの構成を殆ど改変することなく利用でき、もって確実な漏れ防止対策を極めて低コストで実現できると共に、連結部のグラウト出入口24b,34aが凹凸嵌合部分から外れた側方に位置するから、グラウト出入口の面積(流路面積)を広くしてグラウト供給能力を大きく確保し、所定量のグラウトCを短時間で注入して施工効率を高めることが可能である。
【0036】
なお、接続アダプタ6としては、
図3〜
図7で例示した以外の種々の形態を採用でき、例えば
図8に示すように、軸方向中間部の外周のフランジ部61を境とする上部6a及び下部6bの外周を共に先細りテーパ面63とした形態も好適である。このような上下部6a,6bの外周が先細テーパ状をなす接続アダプタ6を用いる場合、
図8のグラウト入口24の内周のテーパ面26で代表して示すように、該接続アダプタ6を介在させる各部材のグラウト入口及びグラウト出口の内周を対応する奥細のテーパ面とする必要があるが、これらグラウト出入口に対する挿嵌がテーパ嵌合によって容易になる。また、接続アダプタ6は、軸方向中間部の外周にフランジ部61を有することで、精度よく上下の位置決めがなされると共に、上下部6a,6bの外周面に複数本のOリング62が嵌装されることで、グラウトCの漏出がより確実に防止されるという利点がある。
【0037】
掘削ロッドRは、第一実施形態では1本の中間ロッド部材2と先端ロッド部材3とからなるが、複数本の中間ロッド部材2と先端ロッド部材3とで構成してもよい。例えば、本発明の第二実施形態に係る掘削装置は、
図10に示すように、掘削ロッドRが長い第一中間ロッド部材2A及び短い第二中間ロッド部材2Bと先端ロッド部材3とで構成されている。この第二実施形態における第一中間ロッド部材2Aは既述の第一実施形態における中間ロッド部材2と全く同様であるが、先端ロッド部材3は筒状ケーシング30が第一中間ロッド部材2Aの筒状ケーシング20よりも径大であり、それだけ内蔵するエアハンマー5が大型になっている。ただし、該先端ロッド部材3の構造自体は第一実施形態と同様であるため、その各構成部分の説明は省略する。
【0038】
第二実施形態における掘削ロッドRの第二中間ロッド部材2Bは、
図9(a)(b)でも示すように、第一中間ロッド部材2A(第一実施形態における中間ロッド部材2)と同様に、上端の連結軸部21と下端の連結孔部22を備えるが、筒状ケーシング20が径小の上部ケーシング201と径大の下部ケーシング202とで2段状に構成されている。その上部ケーシング201は第一中間ロッド部材2Aの筒状ケーシング20と略同径に、下部ケーシング202は先端ロッド部材3の筒状ケーシング30と略同径に、それぞれ設定されている。また、該筒状ケーシング20内には、第一中間ロッド部材2Aと同様に、中央位置で縦貫するエア供給管23と、側部位置で縦貫するグラウト供給管24とが配設されている。そのエア供給管23は、連結軸部21の上端面中央に開口するエア入口23aと、連結孔部22の奥端中央に開口するエア出口23bとにそれぞれ連通している。一方、グラウト供給管24は、上端板20aの連結軸部21から外れた側方位置で開口するグラウト入口24aと、下端板20bの連結孔部22から外れた側方位置で開口するグラウト出口24bとにそれぞれ連通しており、グラウト入口24aには既述同様の接続アダプタ6が着脱可能に挿嵌している。
【0039】
しかして、第二中間ロッド部材2Bでは、グラウト入口24aが第一中間ロッド部材2Aのグラウト出口24bに対向し得る位置にあるのに対し、同グラウト出口24bは先端ロッド部材3のグラウト入口34aに対向させるために半径方向のより外側位置で開口しており、この半径方向の位置差に対応してグラウト供給管24の上部に曲がり部24cを形成している。
【0040】
第二実施形態における掘削ロッドRの第一中間ロッド部材2Aと第二中間ロッド部材2Bとの連結は、
図10に示すように、第一中間ロッド部材2Aの連結孔部22に第二中間ロッド部材2Bの連結軸部21を挿嵌し、その挿嵌部分に構成される各ピン挿入孔9に固定ピン91を挿嵌すればよい。これにより、両中間ロッド部材2A,2Bが同軸で一体回転可能に連結固定され、同時に第二中間ロッド部材2B側のグラウト入口24aに挿嵌されていた接続アダプタ6の上部が第一中間ロッド部材2A側のグラウト出口24bに嵌入し、もって両者2A,2Bのエア供給管23,23同士ならびにグラウト供給管24,24同士が連通する。また、第二中間ロッド部材2Bと先端ロッド部材3との連結も同様であり、第二中間ロッド部材2Bの連結孔部22に先端ロッド部材3の連結軸部31を挿嵌し、各ピン挿入孔9に固定ピン91を挿嵌することにより、第二中間ロッド部材2Bと先端ロッド部材3が同軸で一体回転可能に連結固定され、同時に先端ロッド部材3側のグラウト入口34aに挿嵌されていた接続アダプタ6の上部が第二中間ロッド部材2B側のグラウト出口24bに嵌入し、もって第二中間ロッド部材2Bと先端ロッド部材3のエア流路及びグラウト流路が連通する。
【0041】
この第二実施形態の掘削装置では、先端ロッド部材3の筒状ケーシング30が第一中間ロッド部材2Aの筒状ケーシング20よりも径大であるが、両者2A,3間に入る第二中間ロッド部材2Bによって掘削ロッドRの全体にエア流路及びグラウト流路が連通するから、先端ロッド部材3の筒状ケーシング30の径大設定によって内蔵するエアハンマー5を大型化でき、もって掘削ビット4に対する打撃力を高めて掘削効率を向上できるという利点がある。そして、第一中間ロッド部材2Aと第二中間ロッド部材2Bの連結部、ならびに第二中間ロッド部材2Bと先端ロッド部材3の連結部では、いずれもグラウト流路が接続アダプタ6を介して連通していることにより、掘削終了後の掘削ロッドRの引き上げ過程で注入されるグラウトCが漏れる懸念はない。
【0042】
本発明の掘削装置における掘削ロッドRのロッド部材同士の連結は、実施形態では上位側ロッド部材の下端の連結孔部に下位側ロッド部材の上端の連結軸部を挿嵌する構成としているが、その凹凸関係を逆にして、上位側ロッド部材の下端の連結軸部を下位側ロッド部材の上端の連結孔部を挿嵌する構成としてもよい。また、掘削ロッドRのグラウト吐出口35は、実施形態では先端ロッド部材3の筒状ケーシング30の下端部で外向きに開口しているが、下向きに開口させてもよい。更に、回転軸体1側のエアー送給機構及びグラウト送給機構についても例示以外の種々の方式を採用でき、例えばグラウト供給機構として、圧縮エアAを導入するエアスイベル機構8と同様に、回転軸体1にグラウト導入用のスイベル機構を設けてもよい。
【0043】
なお、回転駆動装置10の昇降方式として、実施形態では走行台車Mに搭載した伸縮式ブームBの伸縮及び傾動によるリーダレス方式を例示したが、走行台車から延出するバックステーを介して直立させたリーダに該回転駆動装置10を昇降自在に保持させ、ウインチのワイヤーによって昇降させるリーダ方式も採用可能である。その他、本発明の掘削装置においては、ロッド部材同士の凹凸嵌合部の形状と固定方式、掘削ビット4の形態、エアスイベル機構8の環体81の回転止め手段、走行台車Mの種類等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 回転軸体
10 回転駆動装置
13 エア送給路(エア送給部)
13b エア出口
14 グラウト送給路(グラウト送給路)
14b グラウト出口
15 グラウト導出管
2 中間ロッド部材
2A 第一中間ロッド部材
2B 第二中間ロッド部材
20 筒状ケーシング
201 上部ケーシング(上部側)
202 下部ケーシング(下部側)
21 連結軸部(上端嵌合部)
22 連結孔部(下端嵌合部)
23 エア供給管
23a エア入口
23b エア出口
24 グラウト供給管
24a グラウト入口
24b グラウト出口
24c 曲がり部
3 先端ロッド部材
30 筒状ケーシング
31 連結軸部(上端嵌合部)
33 エア送給路
33a エア入口
33b エア出口
34 グラウト供給管
34a グラウト入口
34b グラウト出口
35 グラウト吐出口
4 掘削ビット
5 エアハンマー
5a エアー導入口
6 接続アダプタ
6a 上部
6b 下部
61 フランジ部
62 Oリング
A 圧縮エア
C グラウト
R 掘削ロッド