(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施態様に係るナビゲーションシステムについて、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0012】
なお、以下の説明において、進入レーンとは複数の車両通行レーンのうち現在走行中の走行レーンを基準としてレーン変更先の走行レーンを意味する。したがって、例えば、高速道路における本線に対する合流線を直接意味するものではない。同様に、退出レーンとは現在走行中の走行レーンを意味する。したがって、例えば、高速道路における本線に対する出口線や分岐線等を直接意味するものではない。
【0013】
また、区画線とは、走行レーンを他の走行レーン等(路肩や歩道等を含む)と区画するために路面に設けた白又は黄色の線(塗装・シート状物・各種センサ等)を意味するものとする。なお、広義の意味において、走行レーンを区画するものであれば、他の区画体、例えば、中央分離帯やガードレール等を含む場合もある。
【0014】
さらに、高度運転支援システム(先進運転支援システム等とも称される)とは、道路走行において、走行速度制御(定速走行制御を含む)、車間距離制御(所謂、自動ブレーキ制御を含む)、走行レーン逸脱防止制御(LKAS)等を用いて、車両の自動運転を支援するシステムを意味する。
【0015】
この際、完全自動化であるか否かは問わないが、上記各制御等を複合的に用いた運転制御システムであって、かつシステム上の電気/電子システムに故障が発生したときのリスクを低減するための安全設計(例えば、自動車用E/Eシステムの機能安全規格ISO26262)を備えた車両によるレーン変更等を含む自動走行であり、上記各制御の一つを用いた走行を意味するものではない。
【0016】
したがって、高度運転支援許容道路とは、車両走行に関する自動化のレベルに応じて変化するが、適正に車両の自動運転を許可又は許容する道路においてある程度の距離を有する場合で説明する。
【0017】
図1に示すように、ナビゲーションシステム100は、道路状況受信部101と、位置情報検出センサ102と、受信部103と、入力部104と、記憶部105と、高度運転支援システム106と、ECU107と、CPU108と、タッチパネル方式の液晶表示器等を用いた表示部109と、を含む。なお、ナビゲーションシステム100は、公知のナビゲーション装置(1つのユニット)で構成してもよいし、例えば、DVD−ROM形式で記憶部105を独立させたシステム等でもよい。また、少なくとも、CPU108と記憶部105(に記憶したプログラム)とは、本実施の形態に係るコンピュータを構成している。
【0018】
本実施の形態において、ナビゲーションシステム100は、高度運転支援システムを許容する車両に搭載され、現在位置から目的地までの経路を案内するようになっている。ナビゲーションシステム100は、通常の経路案内として、周辺の地図情報等に自車両の現在位置を示すマーク等と探索経路を示す表示ライン等とを重畳して現在位置に応じてこれらを変化させつつ表示部109に表示する。
【0019】
なお、ナビゲーションシステム100は、例えば、経路中の案内(レーン変更等の表示形態の変化や音声ガイド等)を実行するなど、通常の経路案内として公知のシステムを実行することができる。したがって、表示部109は、ナビゲーションシステム100の経路案内に関する出力部の一部として機能する。なお、他の出力部としては、上述した音声ガイドや報知音等を出力するスピーカ等がある。ナビゲーションシステム100は、このような通常の経路案内に加え、本実施の形態に係る高度支援システム用の経路案内を可能とする。
【0020】
道路状況受信部101は、道路交通網の状況に係るプローブ交通情報を、情報提供事業者等から適宜受信し、受信部103に伝達する機能を有する。道路状況受信部101は、無線通信により情報提供事業者等からプローブ交通情報を受信するものであり、情報提供事業者等との間で通信が成立するのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。プローブ交通情報には、公知の道路交通情報通信システム(VICS(登録商標))情報である道路の混雑状況や事故情報等の他、本実施の形態に係る高度支援システム用の情報を含む。
【0021】
なお、プローブ交通情報を提供する情報提供事業者等とは、公知の自動車製造業者等の他、例えば、高速道路のサービスエリアやガソリンスタンドなどから無線通信で受信することも可能である。これにより、道路状況受信部101は、最新のプローブ交通情報を取得することができ、取得したプローブ交通情報は記憶部105に記憶・更新することができる。また、プローブ交通情報は、例えば、カーナビゲーション装置の製造元が提供する地図情報の更新するときに、地図データに重畳してプローブデータを取得するようにすることも可能である。
【0022】
位置情報検出センサ102は、ナビゲーションシステム100に搭載されている車両の現在位置情報を取得するセンサである。具体的には、GPSやGNSS等の各種衛星電波を利用した測位システム、ジャイロスコープ等の自律航法システムを用いることによって実現される。この際、現在位置情報は、少なくとも自車両が存在する位置の緯度情報及び経度情報を含み、高度情報を含んでもよい。なお、位置情報検出センサ102は、例えば、走行道路上に設置されて設置位置情報を取得することができるビーコン等を用いるなど、上記に限定されるものではない。位置情報検出センサ102は、これらの外部からの位置情報を逐次(又は適時)取得し、取得した位置情報を受信部103に伝達する。
【0023】
受信部103は、道路状況受信部101から伝達されたプローブ交通情報、及び位置情報検出センサ102から伝達された位置情報を、CPU108に伝達する機能を有する。
【0024】
入力部104は、車両に搭乗するユーザからの入力を受け付ける。入力部104は、例えば、表示部109と併せてタッチパネルにより実現されてもよいし、ナビゲーションシステム100の筐体に備えられたハードキーにより実現されてもよい。入力部104は、ユーザから受け付けた入力内容をCPU108に伝達する。入力部104は、ユーザから車両の目的地に関する目的地情報を受け付けて、CPU108に伝達する。
【0025】
記憶部105は、ナビゲーションシステム100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び地図情報を含む各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部105は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)等の大容量記憶媒体により実現される。記憶部105は、地図情報やCPU108から書き込まれたプローブ交通情報を記憶している。地図情報は、少なくとも車道の位置情報と、車道において高度運転支援システムを利用した運転が可能となる高度運転支援区間の位置情報と、車道における車両通行レーンについての車両通行レーン情報とを含む。
【0026】
高度運転支援システム106は、CPU108から伝達された経路情報、位置情報、プローブ交通情報の他、自車両に備えられた各種センサ(超音波センサ、赤外センサ、距離センサ、車載カメラ)に基づいて、車両の運転制御を支援する。高度運転支援システム106は、車両の運転制御に係る制御情報をECU107に伝達する。
【0027】
ECU107は、車両の運転制御を電気的な補助装置を用いて行う際に、車両を総合的に制御するマイクロコントローラである。ECU107は、高度運転支援システム106からの指示に従って、車両の運転制御を実行する。
【0028】
CPU108は、記憶部105に記憶されているプログラム及び各種データを利用して、ナビゲーションシステム100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。CPU108は、ナビゲーションの過程において必要となる表示情報を生成して表示部109に表示させる。
【0029】
CPU108は、自車両の現在地から目的地までの経路を探索し、探索して得られる経路情報を、高度運転支援システム106と表示部109とに伝達する。CPU108は、受信部103から伝達された位置情報に基づく自車両の現在地から、ユーザにより入力部104に対して入力された目的地情報で示される目的地までの経路を探索する探索部として機能する。経路の探索には、例えば、ダイクストラ法やA−starアルゴリズムを用いることとする。CPU108は、探索により得られた経路を仮ルートとし、当該仮ルートに高度運転支援区間が含まれるか否かを判定し、高度運転支援区間が含まれる場合に、含まれている高度運転支援区間各々について、所定長以上のものが含まれるか否かを判定する。そして、所定長以上の高度運転支援区間が含まれる場合には、CPU108は、レーン単位での経路探索を実行する。また、CPU108は、車両が走行中においても、逐次経路探索を実行し、走行レーンが変更されるたび、又は、経路が変更されるたびに、高度運転支援システム106に伝達するとともに、表示部109に変更後の経路を表示させる。
【0030】
表示部109は、CPU108から伝達された表示情報を表示するモニタであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)、プラズマディスプレイ(PDP)などにより実現される。表示部109は、タッチパネル方式のものを用いることにより、入力部104の一部を構成している。
【0031】
次に、
図2に基づいて、ナビゲーションシステム100におけるCPU108のメインの処理動作について説明する。なお、以下のルーチンにおいては、記憶部105には、予め高度運転支援に関する情報及びプローブ交通情報を含む地図情報が記憶されており、必要に応じて更新されているものとして説明する。また、VICS(登録商標)情報に関しても、道路状況受信部101で逐次受信して道路の混雑状況や事故情報等を取得しているものとする。
【0032】
(ステップS1)
ステップS1において、CPU108は、ユーザによる入力部104からの目的地入力を受け付けてステップS2へと移行する。
【0033】
(ステップS2)
ステップS2において、CPU108は、位置情報検出センサ102で検出した現在位置情報を受信部103から受信してステップS3へと移行する。
【0034】
(ステップS3)
ステップS3において、CPU108は、ステップS1で受信した目的地とステップS2で受信した現在位置情報とに基づいて、記憶部105に記憶した地図情報から案内経路(案内ルート)を探索し、推奨する案内ルートを含め、複数の案内ルートを表示部109に出力する。
【0035】
ここで、ユーザは、推奨する案内ルートとその他の案内ルートとを比較し、どのルートを利用するかの選択が可能となっている。
【0036】
(ステップS4)
ステップS4において、CPU108は、ユーザが案内ルート変更の指示があったかを判定する。CPU108は、例えば、複数の案内ルートから推奨する案内ルート以外の案内ルートがあった場合や他のルートを探索する旨の操作が入力部104からあった場合には、変更ありと判定して(Yes)ステップS3へとループする。CPU108は、これにより、再び案内ルートを探索して推奨ルートを変更し、変更後の推奨する案内ルートを含め、複数の案内ルートを表示部109に出力する。一方、CPU108は、例えば、所定時間(例えば、5秒)経過しても変更指示がなかった場合や推奨した案内ルートを選択する操作が入力部104からあった場合には、変更ありと判定せず(No)ステップS5へと移行する。
【0037】
(ステップS5)
ステップS5において、CPU108は、決定した案内ルート中に、高度運転支援区間が含まれているか否かを、例えば、地図情報に含まれるフラグの有無等で判定する。CPU108は、高度運転支援区間が含まれていると判定した(Yes)場合には、ステップS6へと移行する。一方、CPU108は、高度運転支援区間が含まれていると判定しなかった(No)場合には、ステップS7へと移行し、公知の通常モードによる経路案内を開始する。
【0038】
(ステップS6)
ステップS6において、CPU108は、高度運転支援区間が所定距離以上継続したものであるか否かを、例えば、地図情報に含まれるフラグの有無等で判定する。CPU108は、高度運転支援区間が所定距離以上継続したものであると判定した(Yes)場合には、ステップS8へと移行し、高度運転支援モードによる経路案内を開始する。一方、CPU108は、高度運転支援区間が所定距離以上継続したものであると判定しなかった(No)場合には、ステップS7へと移行し、公知の通常モードによる経路案内を開始する。
【0039】
(ステップS7)
ステップS7において、CPU108は、公知の通常モードによる経路案内を開始し、逐次、道路状況受信部101及び位置情報検出センサ102から受信部103で受信した道路情報及び現在位置を反映しつつ、経路案内を実行する。そして、目的地へと到着したことを契機として、経路案内を終了する。
【0040】
なお、
図3に示すように、CPU108は、例えば、経路案内の途中で、右折等のために走行レーンを変更する必要がある場合には、表示部109の表示画面110を、通常地図表示画面110Aと、ガイド画面110Bとに分割して表示する。
【0041】
この際、ガイド画面110Bには、周辺の地図情報等に自車両の現在位置を示すマークMと探索経路を示す表示ラインLとを重畳して現在位置に応じてこれらを変化させつつ表示する。
【0042】
ガイド画面110Bには、例えば、右折案内の場合、右折する交差点の名称や、その交差点までの残り距離、右折専用レーンがあるか否かを認識させるレーンガイド等を表示する。なお、レーンガイドは、その交差点における道路走行レーンごとの走行区分情報(例えば、直進・左折レーン、直進レーン、右折専用レーン等)を表示する。なお、このガイド画面110Bの表示状態は公知の表示機能を利用することができ、上記に限定されるものではない。
【0043】
次に、
図4に基づいて、ナビゲーションシステム100におけるCPU108のサブの処理動作について説明する。なお、以下のルーチンにおいては、走行途中で高度運転支援区間に到達する所定距離(例えば、1km)手前に到達しているときを例に説明する。この際、所定距離手前までの経路案内は通常モードと同一となっている。また、プローブ交通情報及びVICS(登録商標)情報は、道路状況受信部101で逐次受信して道路の混雑状況や事故情報等を取得しているものとする。
【0044】
(ステップS11)
ステップS11において、CPU108は、位置情報検出センサ102で検出した現在位置情報を受信部103から受信してステップS12へと移行する。
【0045】
(ステップS12)
ステップS12において、CPU108は、ステップS11で取得した現在位置情報から、高度運転支援区間に到達する所定距離(例えば、1km)手前に到達したか否かを判定する。CPU108は、所定距離手前に到達したと判定した(Yes)場合にはステップS13へと移行する。一方、CPU108は、所定距離手前に到達したと判定しなかった(No)場合には、ステップS11へとループして、このルーチンを繰り返す。
【0046】
(ステップS13)
ステップS13において、CPU108は、表示部109の表示状態を、レーン単位の表情状態へと切り替える。この際、CPU108は、経路案内に関してもレーン単位に切り替えるとともに、運転モードを自動運転モードへと切り替え、ステップS14へと移行する。なお、ユーザが自動運転モードへの切り替えをキャンセルすることも可能であり、そのための音声出力等も任意に実行することができる。
【0047】
また、CPU108は、例えば、表示部109の表示画面110の全体表示状態を拡大(少なくとも幅方向)し、レーン単位の表示としてもよいし、例えば、
図5に示すように、表示部109の表示画面110を、通常地図表示画面110Aと、ガイド画面110Bとに所定の比率で分割して表示してもよい。
【0048】
これにより、ガイド画面110Bには、ユーザが認識し易い状態でレーン単位での経路案内をユーザに提示することができる。この際、例えば、高速道路走行である場合には、経路案内は走行レーンを基準として経路案内及び自動運転制御を実行するとともに、表示ラインLも走行レーン上に表示する。なお、ユーザが手動運転により、走行レーンから追越レーン等へとレーン変更した場合には、例えば、所定時間或は所定距離以上の走行をもって表示ラインLの表示状態を切り替える。なお、CPU108は、追越レーンの追い越し以外の継続走行であると判定した場合(例えば、走行距離で判定)には、走行レーンへと戻る旨の音声ガイド等を出力することができる。
【0049】
(ステップS14)
ステップS14において、CPU108は、例えば、分岐や出口等に向かうために、レーン変更が必要であるか否かを判定する。CPU108は、レーン変更が必要であると判定した(Yes)場合には、ステップS15へと移行する。一方、CPU108は、レーン変更が必要であると判定しなかった(No)場合には、ステップS11へとループして、このルーチンを繰り返す。
【0050】
(ステップS15)
ステップS15において、CPU108は、記憶部105に格納したプローブ交通情報(VICS(登録商標)情報を含む)を参照し、ステップS16へと移行する。
【0051】
(ステップS16)
ステップS16において、CPU108は、地図情報にレーン変更禁止区間が存在するか否かを判定する。CPU108は、レーン変更禁止区間が存在すると判定した(Yes)場合には、ステップS17へと移行する。なお、レーン変更禁止区間は、予め法律に基づいて設定された区間の他、例えば、VICS(登録商標)情報から事故等による進入禁止レーン情報が含まれていて、実質的にレーン変更できない場合を含む。一方、CPU108は、レーン変更禁止区間が存在すると判定しなかった(No)場合には、ステップS18へと移行する。なお、レーン変更禁止区間に関する情報は、基本的には予め地図情報に含まれる情報である。この際、CPU108は、例えば、事故や工事等によって時限的にレーン変更が禁止されているような場合、プローブ交通情報やVICS(登録商標)情報等から取得している場合には、これらの情報を判定要件に含ませることができる。
【0052】
(ステップS17)
ステップS17において、CPU108は、レーン変更禁止区間を考慮したレーン変更位置を探索して決定し、ステップS19へと移行する。
【0053】
(ステップS18)
ステップS18において、CPU108は、レーン変更禁止区間を考慮しない通常のレーン変更を実行し、ステップS19へと移行する。
【0054】
(ステップS19)
ステップS19において、CPU108は、ステップS17又はステップS18で決定したレーン変更に応じた制御となるように、表示部109を含む出力を実行する。この際、自動運転制御を実行している場合には、探索・決定したレーン変更ルートによる自動運転を実行する。
【0055】
以下、上述した基本構成に基づいて、CPU108による各種パターンを例示する。なお、これらの各種パターンは、高速道路等の高度運転支援許容道路である場合で説明するが、高度運転支援許容道路でなくても利用可能である。
【0056】
図6に示すように、レーン変更禁止区間を考慮しない通常のレーン変更の場合には、表示画面110のガイド画面110Bには、レーン変更位置を含む経路案内及び経路案内表示(表示ラインL)を実行する。
【0057】
すなわち、CPU108は、探索した経路案内ルートの少なくとも一部に高度運転支援を許容する高度運転支援許容道路が含まれ、かつ、レーン変更禁止区間を考慮しない通常のレーン単位の経路案内ルートを探索し、その結果をガイド画面110Bに表示する。
【0058】
このように、探索した経路案内ルートの少なくとも一部に高度運転支援を許容する高度運転支援許容道路が含まれている場合には、レーン単位の経路案内ルートを探索し、その探索結果に基づいた経路案内及び経路案内表示を実行することにより、高度運転支援システムに対応した経路探索を可能とすることができる。
【0059】
一方、
図7に示すように、レーン変更禁止区間を考慮したレーン変更の場合には、表示画面110のガイド画面110Bには、レーン変更禁止区間を考慮したレーン変更位置を含む経路案内ルートの探索結果に基づいて経路案内表示(表示ラインL)を実行する。
【0060】
すなわち、CPU108は、高度運転支援許容道路内にレーン変更禁止区間が存在する場合には、レーン変更禁止区間と経路案内ルートに対する現在自車位置との位置関係に基づいてレーン単位の経路案内ルートを探索し、その結果に応じた経路案内及び経路案内表示(表示ラインL)を実行する。
【0061】
これにより、予め定められた交通法に順規したレーン変更を実行することができるうえ、安全性をも向上することができる。
【0062】
さらに、
図8に示すように、レーン変更禁止区間を考慮したレーン変更の場合には、プローブ交通情報を参照して、例えば、過去のレーン変更位置に関する蓄積情報が多いルートを優先してレーン変更位置を含む経路案内ルートの探索結果に基づいて経路案内表示(表示ラインL)を実行してもよい。
【0063】
すなわち、CPU108は、高度運転支援許容道路内にレーン変更禁止区間が存在する場合には、予め入手したレーン変更禁止区間の前後におけるレーン変更に関するプローブ交通情報に基づいてレーン単位の経路案内ルートを探索し、その結果に応じた経路案内及び経路案内表示(表示ラインL)を実行する。
【0064】
これにより、
図7に示すように、レーン変更禁止区間の前側(上流側)でレーン変更するか、
図8に示すように、レーン変更禁止区間の後側(下流側)でレーン変更するか、をユーザが迷うことなくレーン変更することができ、安全性をも向上することができる。
【0065】
また、CPU108は、VICS(登録商標)情報を参照することができるので、例えば、出口レーンが空いている場合には
図8に示した位置での早めのレーン変更を推奨し、出口レーンが混雑している場合には
図7に示した位置でのレーン変更を推奨することも可能である。
【0066】
これにより、左レーンに滞在する時間(距離)を少なくするとともに割り込み等の発生原因を回避することができ、混雑緩和に貢献することができる。また、割り込み等を行う可能性が低くなるため、より安全性を向上したレーン変更を実現することができる。
【0067】
さらに、
図9に示すように、CPU108は、VICS(登録商標)情報を参照することができるので、例えば、事故車両(図の×印参照)が存在していることを認識したときには、その手前から事前にレーン変更を実行したうえで、プローブ交通情報を参照したレーン変更禁止区間を避けたレーン変更を実行するなどの回避策を講じることができる。
【0068】
なお、CPU108は、上述した各レーン変更を実行するにあたり、表示部109の表示画面110への表示出力に加え、音声ガイド等の出力を実行することができる。また、自動運転制御を実行している場合には、レーン変更を実現するためのE/E制御を実行させることができる。
【0069】
また、CPU108は、上述したように、探索した経路案内ルートにレーン変更を必要とするルートが存在している場合に、レーン変更の際にプローブ交通情報を参照して、レーン変更位置を決定することができる。このため、CPU108は、レーン変更区間において、プローブ交通情報に含まれるレーン変更前の退出レーンからレーン変更後の進入レーンへの過去のレーン変更位置蓄積情報に基づいてレーン変更位置を探索する。
【0070】
これにより、例えば、過去のレーン変更位置が最多である位置(例えば、
図10の位置P1,P2,P3のうちの位置P2)を基準としてレーン変更の経路案内を決定すれば、安全性が高いと推測することができるため、その安全性を考慮したレーン変更を実現することができる。なお、ここでの基準とは、ある程度の走行距離を必要とすることから、車両の中心と車線とが交わる点などを基準とする。
【0071】
この際、CPU108は、例えば、
図10に示すように、退出レーンとしての開始地点から進入レーンとしての終了地点までのレーン変更区間Fを走行方向に沿って複数に分割(例えば、均等に3等分した区域F1〜F3)したうえで、分割した各区域F1,F2,F3における過去のレーン変更位置蓄積情報に基づいてレーン変更位置を探索してもよい。
【0072】
例えば、CPU108は、各区域F1,F2,F3に対する過去のレーン変更位置蓄積情報が、F1:F2:F3=1:7:2であった場合、最大比率である区域F2でのレーン変更を決定する。
【0073】
これにより、CPU108は、
図11に示すように、ガイド画面110Bの表示が区域F2でのレーン変更となるように、表示部109を出力制御する。なお、
図11において、実際の表示に「出口レーン」や区域等は表示されない。したがって、推奨するレーン変更位置をユーザが容易に認識可能となるように、レーン変更部分の表示状態をその前後の他の表示状態と異ならせても良い。この際、表示状態は、例えば、表示ラインLのレーン変更位置の表示を点滅させたり、ライン色を異ならせたりすることができる。また、区域F2でのレーン変更を推奨するとしても、区域F2の長さ等によって変更開始から変更終了までの全てが区域F2に含まれなくてもよい。
【0074】
このように、レーン変更にはある程度の走行距離が必要となるため、その距離を考慮した区間ごとの過去の蓄積情報を利用することにより、安全性を向上したレーン変更に貢献することができる。
【0075】
なお、CPU108は、探索した経路案内ルートの少なくとも一部であるレーン変更区間Fが高度運転支援を許容する高度運転支援許容道路に含まれている場合には、レーン単位の経路案内ルートを探索したうえで、高度運転支援許容道路にレーン変更を必要とするルートが存在している場合に、レーン変更前の退出レーンからレーン変更後の進入レーンへの過去のレーン変更位置蓄積情報に基づいてレーン変更位置を探索するとともに、自動運転制御によるルート変更とすることができる。
【0076】
さらに、CPU108は、
図12に示すように、出口レーンが走行レーンに隣接する追越レーン側にある場合のように、走行レーンと進入レーンとの間に一つ以上の車両通行レーンが存在する場合には、退出レーンとしての開始地点を終了地点から離して走行距離を延長したうえで、隣接するレーン同士を退出レーンと前記進入レーンとしてレーン変更位置を探索する。
【0077】
これにより、通常時は走行レーンを基準に経路案内をし、例え、追越レーン側に出口レーンがあった場合であっても、安全性を確保するためにレーン変更を事前に行ったうえで、出口レーンへとレーン変更することができる。
【0078】
さらに、CPU108は、例えば、
図13に示すように、出口レーンの分岐直前で長期の工事(「×」印参照)等が行われている場合のように、何らかの要因によりレーン変更を必要とする所定区間であるレーン変更区間Fにおける過去のレーン変更蓄積情報に基づいてレーン変更履歴が他の区域(例えば、区域F1,F2)よりも少ない区域(例えば、区域F3)が存在している場合が想定される。
【0079】
このように、CPU108は、レーン変更を必要とする前記所定区間を複数に区切った区域単位における前記レーン変更履歴の多少から、レーン変更を回避する要因(工事)が存在すると推定して新たなレーン単位での経路案内ルートを探索する。
【0080】
すなわち、CPU108は、例え、レーン変更の実績がある区域F3であっても、工事の影響により区域F3でのレーン変更が(極端に)少ない場合には、より安全性の高い他の区域F1,F2を優先してレーン変更を行うよう、経路案内を実行する。
【0081】
なお、
図8及び
図9に示したように、車線変更禁止区間には、双方向の変更禁止区域の他、片側のみの変更禁止区域がある。
【0082】
したがって、CPU108は、所定区間に対して更新前の地図情報に双方向のレーン変更区域と片側からのレーン変更区域とが存在している場合には、レーン変更履歴の多少を各区域で区別してレーン変更を回避する要因が存在すると推定するものであってもよい。
【0083】
以上説明したように、本発明に係るナビゲーションシステムは、探索した経路案内ルートにレーン変更を必要とするルートが存在している場合に、レーン変更前の退出レーンからレーン変更後の進入レーンへの過去のレーン変更位置蓄積情報に基づいてレーン変更位置を探索することにより、より安全なレーン変更位置を含む経路探索を可能とすることができるという効果を有し、ユーザが入力した目的地までの経路案内ルートを地図情報に基づいて探索するナビゲーションシステム全般に有用である。