(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、グラファイトラケットの中空性状のため、例えば、テニスラケットのフープ部またはヘッド部には、テニスラケットに、通常の試合での強いストロークに耐える、十分な強度を発現させるための最小断面幅が必要となる。例えば、プロのテニス選手では、サーブの際のボール速度は、150mphに至る。
【0010】
一方、スイング速度、ヘッド速度、制御性、および感覚を高める上では、薄いフレームが好ましい。現在の空気圧力処理法を用いて製造されるラケットフレームを構成する材料の品質では、得られる中空フレームとして、通常約19mmの最小幅が限界である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
テニスラケットを構成する材料の強度とは別に、本発明では、既存のグラファイトラケットの中空性状では、初期の世代の稠密木製ラケットに比べて、振動および衝撃のため、特に、中心からずれた位置でのショットにおいて、肩や肘の障害が増加する傾向にあると考えられる。これは、中空フレームおよびハンドルでの開放端部シャフトは、プレイの間、手、さらには腕に結合されるからである。
【0012】
本発明では、シャフトの底部での空気噴射の開口は、ラケットのハンドルで共振する衝撃を悪化させ、これが、プレーヤの手、腕および肩への伝播につながると考えられる。
【0013】
これまでの産業の発達は、プレーヤの手に対するラケットのハンドルからの振動の伝達を弱める各種方法を実施することにより、これらの伝播する振動および衝撃の問題を最小限に抑制することに注力してきた。
【0014】
本発明では、強度および信頼性を高めた炭素複合材フレーム構造を提供し、発泡プラスチックの内部コアを有するフレームヘッドおよびハンドルを提供することにより、また必要な場合、ラケットハンドルのベース部に、完全な閉止端を提供することにより、これらの問題に対処する。
【0015】
本発明では、ラケットの端部の閉止によって、スポーツラケットの特性の面でのさらなる改善が得られると考えられる。
【0016】
グラファイトラケットに比べて、稠密木製ラケットは、衝撃を吸収し、その結果、前の世代の木製ラケットでは、中空グラファイトラケットのような肩および腕に障害がそれほど発生しなかった。本発明では、ラケットの製造における空気噴射グラファイトの時代は、従来の中空状グラファイトラケット技術の他、ハンドルの端部の開放端シャフトによっても、相当に高い腕および肩の障害事故率を発生させてきたと考えられる。
【0017】
また、従来の中空ラケットでは、「ミスフィット」からのエネルギーが中空フレームに供給されるため、特に、非中心でのショットに関連した振動および衝撃が伝播する傾向にある。一方、本発明の稠密フレームは、この衝撃を抑制し、フレーム上の「スイートスポット」の寸法を広げる。これは、非中心ショットのエネルギーは、本発明のフレームを介しては、十分に伝播しないためである。本発明では、薄く、稠密なラケットの組み合わせにより、大きな「スイートスポット」を形成し、衝撃の伝播を減衰する。その結果、非中心ショットの「許容性」に驚くべき増大が生じる。
【0018】
発泡コアを有するスポーツラケットの実施は、知られていない。Ceckaの米国特許第4129634号(1978年)には、発泡プラスチック材料を使用して、スポーツラケットのヘッドのコア内に、内部フィラー部材を形成することが開示されている。しかしながら、グラファイトラケット製造の分野では、本願発明者らの間で、何年にもわたって、ガットを支持するラケットのヘッドを取り囲む臨界構造内での、そのような発泡技術における実質的な工業例は、見られていない。
【0019】
本発明では、発泡タイプの材料を用いて、グラファイトが加圧され、成形される。しかしながら、発泡の使用は、グラファイトの加圧および成形だけでは十分ではない。例えば、炭素樹脂の硬化温度は、通常、130℃の範囲である。発泡剤は、硬化に必要な温度に達する前に、例えば、最大6層の炭素繊維まで、実質的に膨脹しないタイプである必要がある。同様に、膨脹は、比較的迅速である必要があると考えられる。膨脹が遅いと、モールドにおける硬化の間、フレーム構造内で繊維のピッチングが生じるからである。
【0020】
また、層の積層圧力が不十分な場合、ラケットには満足する特性が得られない。同様に、発泡材料密度が十分に高い場合、仮に膨脹速度が必要なレベルに達していても、特定の炭素繊維製品向けの軽量化の目標に合致しない。本発明に使用される発泡プラスチック形成材料の膨張係数は、Expancell152の場合、約60:1であると考えられる。約2:1の範囲の膨脹比を有する稠密発泡材料において、十分な強度のラケットを製造することは確認されていない。膨脹比が約10:1の範囲のゼリー状発泡材料も、測定上の改善は認められるものの、理想に到達しない。驚くべきことに、マイクロカプセル状発泡プラスチック材料は、最終製品において、良好な強度を呈し、優れた使用上特性を有する。これは、おそらく、セル状プラスチック構造と印加圧力の組み合わせによるものである。
【0021】
本発明の実施は、特定用途の仕様に応じて変更しても良い。いくつかの用途では、これは、許容重量(例えばあるテニスラケットは、より重いラケットを好むプレーヤ向きにされる)であり、他の用途では、強度は、あまり要求されないが、より少ない量の炭素繊維を用いたコスト競争力があるものである(例えば、バドミントンラケットでは、臨界的用途は少ない)。
【0022】
また、本発明では、膨脹温度が極めて高い場合、成形が難しくなることが見出されている。膨脹速度があまり大きくない場合、これは、ピッチングのため、炭素繊維部材の強度に悪影響を及ぼし得る。
【0023】
このように、発泡プラスチック材料を用いてスポーツラケットフレームを形成する際(形成の間、炭素繊維および樹脂レイアップを加圧し、形成の後、振動を抑制する)、幅広い材料を用いる広い範囲の条件下で、競技に使用可能なラケットフレームが得られ、前述のパラメータに従うと、優れた特性を有するラケットが得られる。
【0024】
数年来、空気圧力を加えるノズルの使用は、グラファイトラケットの製造において、産業上の慣行となっている。空気ノズルは手動で取り付ける必要があり、空気ノズルを適合させる際の不一致のため、このプロセスは、十分に機械化することができない。
【0025】
本発明では、ラケットを製造するプロセスは、粉末状材料の形態の発泡剤を含むマイクロカプセル化されたプラスチック材料を使用し、発泡プラスチックを形成する。この材料は、管状レイアップ空気袋に入れられ、この空気袋の両端がシールされる。次に、空気袋は、鉄モールドに配置され、その後加熱される。この結果、材料が加熱され、そこに含まれる発泡剤の圧力下で、溶融し膨脹する。
【0026】
ノズルから空気が噴射されないため、この接続を行う作業員が不要となり、製造プロセスは、実質的に統一され、時間的節約が可能となる。この本発明の態様は、例えば、完全な自動化プロセスにおける、ラケットフレームの量産の可能性を提供する。
【0027】
本発明では、ラケットの発泡プラスチック内部コアを形成するプラスチックの発泡は、おおよそ、レイアップ空気袋を形成する炭素繊維/熱可塑性樹脂シートの層の溶融、および硬化に必要な温度で生じることに留意する必要がある。ただし、これよりも幾分高い温度は許容される。特定の温度は、発泡プラスチックを構成する際に使用される材料の関数であり、日々の同様のトライアル、および温度が過度ではないときの最終製品の変動チェックによって得られても良い。
【0028】
本発明では、レイアップは、粉末状のマイクロカプセル化された発泡プラスチック材料で充填され、これは、以下に示す例では、温度が120〜130℃、例えば130℃に達するまで膨脹しない。同時に、マイクロカプセル化された材料の空気袋内での発泡動作のため、両端でシールされたレイアップ空気袋の中のガス発生圧力が高まる。これにより、最終製品状態のラケットフレームを形成する繊維層が積層され、これが、モールドの孔の形状を呈するように、モールドの内面に押し付けられる。
【0029】
熱を加えた際に、マイクロカプセル化された発泡剤は、膨脹し、それを覆うカプセルが変形し、加圧下で発泡プラスチックが形成されることが理解される。この結果、十分な圧力が生じ、グラファイト炭素繊維の層が、モールド壁に押し付けられ、炭素繊維がモールドの孔の形状に成形される。熱と圧力の組み合わせの結果、層が溶融し、ラケットフレームを構成する複合材料が形成される。これは、約120〜130℃の温度で生じる。この温度範囲は、炭素繊維シートを構成する熱可塑性材料の特性に応じて変更しても良い。
【0030】
好適実施例では、マイクロカプセルが膨脹して、発泡剤により発泡プラスチックが形成される温度は、約130〜135℃である。ただし、良好な結果は、前記レベルを超える温度で得ることができる。同様に、炭素繊維が組み込まれたシート内の熱可塑性樹脂が、十分に低い軟化点を有する場合、より低い温度を使用しても良い。
【0031】
粉末状マイクロカプセル化発泡プラスチック材料が加熱された際に形成される発泡プラスチックは、冷却時に、実質的に、体積が保持され、収縮しない。冷却後、プラスチック材料は、モールドの孔の内側の形状に固化される。
【0032】
発泡プラスチック材料を使用する本発明の方法では、加熱の際に、発泡プラスチックが形成され、これは、グラファイト繊維に組み込まれたプラスチック材料が硬化し溶融する温度に近づくと、あるいは温度を超えると膨脹することが見出された。これは、空気ノズルの取り付けの際の手作業の必要性(さらには、関連する問題およびこれによる不均一性の問題)がなくなり、複合ガラス繊維材料において、優れた強度対重量比が得られる。
【0033】
従って、本発明の方法では、従来のフレームに比べて、同強度の(例えば断面が)より広いラケットフレームの形成が可能となるとともに、ノズルから供給される空気圧力を使用する製造方法に関する問題を解消することが可能となる。
【0034】
本発明では、同様の等価な技術を使用し得ることに留意する必要がある。例えば、マイクロカプセル化された発泡剤は、崩壊性のシェルに入れ、マイクロカプセルが崩壊して、発泡剤が放出される前に溶融する粉末状プラスチックと混合しても良い。あるいは、マイクロカプセルは、所望の温度でそれ自身のみが溶融して、プラスチック粉末の粒子と融合しても良い。プラスチックとマイクロカプセルの各種組み合わせを用いることにより、強度、可撓性、減衰性、重量剛性、圧縮性、および密度等の様々なプラスチックの特性を得ることができる。例えば、衝撃および振動の吸収を高めるため、ゴム状材料をマイクロカプセルと組み合わせても良い。あるいは、マイクロカプセルとして、ゴム状材料を使用しても良い。
【0035】
あるいは、製法は、細長いプラスチック粒子を含んでも良い。これは、剛性で選定され、炭素繊維の複数の層を使用する目的で、発泡過程における圧力発生の間、溶融しない特性を有しても良い。任意で製法に含まれるゴム状材料は、衝撃および振動を吸収し、所望の剛性は、細長いプラスチック粒子によって提供されても良い。
【0036】
さらに別の態様では、配向された細長い粒子を取り入れても良い。例えば、グラファイトラケットの形成に必要な温度で、溶融せずあるいは極性を失わない、細長いエレクトレット粒子を、マイクロカプセルの混合物に入れても良い。これは、溶融状態を維持したまま、電場によって配向され、この結果、強度、減衰等に関して、特定に要望に合致した配向が得られる。例えば、この技術を用いて、自転車フレームを形成しても良い。この場合、フレームの異なる部分への、対応する配向の電場の印加により、粒子エレクトレットの異なる配向が得られ、使用の際にフレームのこれらの部分に形成される応力に対処することができる。
【0037】
従来のテニスラケットには、各種グリップサイズ、グリップ形状、重量、バランスおよびスイングおもり構成がある。構成の異なるラケットは、通常、製造レベルで調整される。この分野では、消費者による変更は、難しいからである。その結果、店舗は、各種タイプのテニスラケットの多くの品揃えを搬送する必要がある。これは、分配システムが非効率的であり、供給プロセスに余分なコストが生じることを意味する。本発明のラケットのモジュール式の態様では、各種構成に容易にカスタマイズすることが可能であり、この現在の製品の問題に対処することができる。
【0038】
本発明の樹脂と繊維の複合材は、孔を定める外側シェルを有しても良い。外側シェルは、複数の繊維の層を有する。第1の樹脂材料は、繊維同士の間に配置され、繊維を相互に固定化する。第2の樹脂は、孔の内側に配置され、第2の樹脂材料は、第2の樹脂材料の部分同士の間の孔内に、ボイドを定めるように構成され、寸法化される。ボイド内には、気体材料が収容され、気体材料は、加圧下で20psiを超え、より好ましくは30ポンド/平方インチであり、最も好ましくは40psiを超える。
【0039】
発泡剤は、孔内に配置される。発泡剤および第2の樹脂材料は、固化の間に、反応しないように適合され、第2の樹脂材料の部分の間の孔内に、ボイドを定めるように配置され寸法化された樹脂構造が形成される。
【0040】
本発明の樹脂と繊維のレイアップは、密閉空気袋として構成された繊維の複数の層を有し、この空気袋は、空気袋内に、内部孔を定める。多くの第1の樹脂材料が繊維の間に配置され、繊維を相互に固定し硬化するように適合される。第2の樹脂材料は、孔の内部に配置される。発泡剤は、孔の内部に配置される。発泡剤および第2の樹脂材料は、配置され寸法化されて樹脂構造が形成される硬化の間、反応しないように適合され、第2の樹脂材料の部分の間の孔内にボイドが形成される。ボイドは、独立気泡のボイドであっても、開放気泡のボイドであっても良い。
【0041】
繊維は、2つの異なる配向で、層内にあっても良い。第2の樹脂材料と繊維の複数の層との間に設けられた孔内に、空気不透過材料の層が配置されても良い。
【0042】
孔は、密閉孔であっても良い。気体材料は、5kg/cm
2を超える圧力であっても良い。例えば、20ポンド/平方インチを超えても良く、好ましくは30psiよりも大きく、最も好ましくは40または50psiを超えても良く、あるいは以下の実施例において、25gのExpancell152を含むテニスラケットの主フレームレイアップに関連して形成された圧力と同程度であっても良い。多くの用途では、5〜15kg/cm
2の範囲の圧力で、優れた結果が得られる。
【0043】
レイアップが巻き付けられたスリーブの一端または両端の部分は、結び目または織り目として構成されても良い。
【0044】
繊維の間に設置される樹脂材料は、熱によって硬化されるように適合されても良い。第2の樹脂材料は、熱によって硬化されるように適合されても良い。第2の樹脂材料は、発泡剤を取り囲んでも良い。
【0045】
第2の樹脂材料は、発泡剤を取り囲み、第1の樹脂材料が硬化する温度とほぼ同じ温度で、膨脹が生じても良い。
【0046】
第2の樹脂材料および発泡剤は、剛性形態ではなく、粉末形態であっても良い。
【0047】
第2の樹脂材料および発泡剤は、膨脹比が30より大きくても良く、膨脹比は、約50〜70の範囲、例えば60であることが好ましい。
【0048】
本発明の繊維複合部材を製造する方法は、樹脂材料が含浸された繊維の平坦部材を形成するステップと、前記平坦部材をコアの周囲に巻き回すステップと、を有する。巻き回された平坦部材内には、発泡プラスチック形成材料が配置される。その後、巻き回された平坦部材の端部が実質的に密閉され、実質的に密閉された空気袋が形成される。その後、密閉空気袋がモールドに配置され、発泡プラスチック形成材料によって、発泡プラスチックが形成される。次に、例えば熱により、樹脂材料が硬化される。
【0049】
硬化されたレイアップは、モールドから取り外される。あるいは、モールドは、繊維複合部材の一部の恒久部分を形成する部材となる。
【0050】
コアは、繊維層で巻き回す前に、スリーブで覆うことが好ましい。接着剤を用いて、コアの周囲にスリーブが強固に固定されても良い。コアは、2つの部分を有するコアであっても良い。
【0051】
繊維は、グラファイト繊維であっても良い。発泡プラスチック形成材料は、熱印加により、樹脂材料が硬化する温度に十分に近い温度に晒された際に、発泡プラスチックを形成しても良い。この場合、発泡プラスチックは、樹脂材料の硬化の間、繊維の層に対して押し圧を加える。
【0052】
従って、本発明の目的は、複合材料で構成されたラケットフレームを製造する方法を提供することである。本発明では、ラケットフレームの形成のための複合材料の膨脹に、ガス噴射は不要であり、フレームは、製造プロセスの間、密閉モールドで完全に取り囲むことができる。
【0053】
本発明の別の目的は、許容可能なラケット重量の範囲の下限内にありながら、競技に要求される条件下で、プレイに必要な強度を有するラケットフレームを製造する方法を提供することである。これは、本発明の単一のラケットは、プレーヤのおもりおよび分布に関する嗜好の範囲内で、実質的に、改変することができることを意味する。本発明では、これは、フレームの製造後、例えばフレームにガットを張った後であっても、フレームに取り付けられる物体を導入することにより、例えばフレームの内側におもりを導入することにより、達成することができる。
【0054】
また、フレームの各位置に、おもりを取り付けることもできる。これらの位置は、プレイの際のラケットの特性を最適化するように選定されても良い。これは、ガットを支持するため、ヘッドの周囲に、しばしばグラファイト/高分子複合材のおもりが必要となる従来のラケットと比較される。また、重りを取り付けた構造は、それらが意図されたものである場合、従来の空気流路の製造方法における製造の際に、空気通路がブロックされる可能性が高まる限り、従来の製造プロセスに複雑性を提供する。
【0055】
本発明の別の目的は、極めて薄い稠密ラケットフレームを提供することである。このラケットフレームは、従来の中空フレーム以上に衝撃を弱め、スイング速度およびヘッド速度により、また大きなヒットゾーンまたは「スイートスポット」を有するため、特性を高める。
【0056】
本発明の別の目的は、本分野のオリジナルの消費者によって、完全にカスタマイズされたモジュラーラケットを提供することである。
【0057】
この方法は、グラファイトの剛性および強度を大きく高め、スポーツの際に、より強いストロークおよびショットを行うことができる。また、密閉稠密製品を形成することにより、テニスの肘および肩の障害につながる衝撃および振動が低減することが期待される。本発明では、管の反対の端部は、密閉されているため、そのような構造が得られる。任意で、管全体が、完全に密閉されたモールドに入れられても良い。これは、モールドから突き出たノズルおよびカップを使用するため、樹脂硬化の前に、ノズルおよびカップを適合させる追加の手作業、および樹脂が硬化した後のフレームハンドルのベース部の切断作業が必要となる、従来の製造方法と対比される。
【0058】
本発明の別の目的は、グラファイト繊維部材を形成する方法、および従来の空気圧成形法では達成されない、各種形状のグラファイト繊維素子を製造するため、単一の硬化ステップを有する製造動作を提供することである。特に、これは、製造される部分の形状で、空気流の連続経路を提供する必要がないため、有意である。代わりに、多くの皿が組み立てられ、組み立てられた空気袋は、所望の構成で組み合わされ、加熱および硬化される。
【0059】
本発明の別の目的は、炭素繊維/樹脂レイアップを介した空気のリークを防ぐため、発泡プラスチックの粘度に応じて、内部ナイロン空気袋のない、グラファイト繊維複合部材を製造する方法を提供することである。
【0060】
本発明の別の目的は、ノズル空気噴射プロセスに関する不均一性、および他の問題のため、不十分なラケットの特性の課題を解決する方法を提供することである。
【0061】
本発明の別の目的は、人の労力を最小限にし、あるいは排除し、機械を用いて、グラファイトラケットを製造することである。
【0062】
本発明の別の目的は、複合材繊維樹脂ラケットの製造のフレームワークを提供することである。これは、おもりを容易に配置することができ、ラケットの重量およびバランスを調節することができる。
【0063】
本発明の別の目的は、ホールを有するラケットフレームを成形することである。この場合、フレーム製造後の孔あけ加工の必要性が排除される。これは、2つのハーフラケットレイアップを組み合わせ、ハーフラケットレイアップの一方を、モールドの底部ハーフに配置し、ホールが位置する部分に配置された複数のピンを、モールドに提供されたスロットに配置し、その後他方のハーフラケットレイアップを、第1のハーフラケットレイアップの上に配置し、モールドの他の半分を用いてモールドを密閉することによって行われても良い。
【0064】
本発明のある実施例では、現在のグラファイトラケットの開放端シャフトを有するラケットに比べて、衝撃および振動による障害を抑制する目的で、ラケットは、密閉ラケットハンドルベース構造で使用される。
【0065】
本発明の動作は、添付図面を参照した以下の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】従来のグラファイトテニスラケットを示した図である。
【
図2】Ceckaの米国特許出願第4129634号に記載の、炭素グラファイトラケットの製造のため、発泡剤を使用した従来の試みにおける、未カプセル化剛性発泡プラスチックを用いたテニスラケットの断面図である。
【
図3】Hsuによるグラファイトラケットを形成する米国特許第4511523号に記載の、空気噴射を用いてグラファイトラケットフレームの主部を構成する、産業上普及している実施法を示した図である。
【
図4】Hsuによるグラファイトラケットを形成する米国特許第4511523号に記載の、空気噴射を用いてグラファイトラケットフレームの主部を構成する、産業上普及している実施法を示した図である。
【
図5】Hsuによるグラファイトラケットを形成する米国特許第4511523号に記載の、空気噴射を用いてグラファイトラケットフレームの主部を構成する、産業上普及している実施法を示した図である。
【
図6】本発明の実施に有益なレイアップの構成を示した図である。機械製造されたマイクロカプセル化発泡剤を含む、密閉セロハン管の斜視図である。
【
図7】本発明の実施に有益なレイアップの構成を示した図である。
図7は、cell152に、マイクロカプセル化発泡剤を含む、セロハン管で構成された密閉管状シェルである。管は、樹脂含浸繊維の密閉多層化シートによって覆われる。本発明では、管は、人の労力ではなく、機械によって形成される。
【
図8】本発明に使用される、EXPAN-CELL152という商標で販売されている、発泡剤を含むマイクロカプセルを含む発泡プラスチック形成複合材を用いた、テニスラケットの硬化を示す図である。機械によってモールドに配置することができるラケットの形成のため成形された繊維管である。
【
図9】本発明に使用される、EXPAN-CELL152という商標で販売されている、発泡剤を含むマイクロカプセルを含む発泡プラスチック形成複合材を用いた、テニスラケットの硬化を示す図である。
【
図9a】繊維管内のExpancell152を示す、
図8のフレームヘッドを通る水平断面図である。熱成形前の状態(熱印加の前であり、物理的軟化およびマイクロカプセル化発泡剤の膨脹の前である)。
【
図9b】予備熱成形と比較して、繊維管内のExpancell152を示す、
図8のフレームヘッドを通る水平断面図である。熱成形後の状態(その後熱印加され、マイクロカプセルが膨脹し、発泡剤が作動し、発泡剤が膨脹し、炭素繊維が、ラケット形成用モールドの内壁に押し付けられる)。
【
図10】本発明の別の実施例の断面図である。熱成形後のマイクロカプセル化グラファイト管は、管内での管の形成のため繊維管内に配置される。
【
図11】本発明の別の実施例の断面図である。第2の管に巻き回す前に形成された2つの管が示されている。この管により、テニスラケットのガット支持フープ部またはヘッド部が形成される。
【
図12a】ラケットのハンドル部の成形法を示す図である。
【
図14】バドミントンラケットの構成を示した図である。
【
図15】ラケット重量分布に関する、本発明の別の実施例を示した図である。
【
図16】ラケット重量分布に関する、本発明の別の実施例を示した図である。
【
図17】完成したカスタマイズ化ラケット14を示す分解平面図である。
【
図18】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図19】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図20】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図21】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図22】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図23】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図24】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図25】本発明のフレームの製造に使用され、本発明の方法の実施に利用される、炭素繊維パッチの製造方法を示した図である。
【
図26】バドミントンラケットのレイアップの巻き回しの際に使用されるグラファイト組立体の構成図である。
【
図27】バドミントンラケットのレイアップの巻き回しの際に使用されるグラファイト組立体の構成図である。
【
図28】本発明のレイアップを巻き回すための、2つの部分からなるコアを示した図である。
【
図29】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図30】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図31】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図32】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図33】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図34】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図35】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図36】本発明のバドミントンラケットの被覆を示した図である。
【
図37】マイクロカプセルでレイアップを充填するツールを示した図である。
【
図38】バドミントンラケットヘッドを形成するための、木製モールドを示した図である。
【
図39】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図40】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図41】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図42】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図43】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図44】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図45】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図46】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図47】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図48】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図49】本発明のバドミントンラケットの別の被覆を示した図である。
【
図50】本発明のバドミントンラケットの硬化用のモールドを示した図である。
【
図51】本発明のテニスラケットの部分を示した図である。
【
図52】本発明のテニスラケットのレイアップの構成を示した図である。
【
図53】本発明のテニスラケットのレイアップの構成を示した図である。
【
図54】本発明のテニスラケットのレイアップの構成を示した図である。
【
図55】本発明のテニスラケットのハンドル形成用の別の熱硬化モールドを示した図である。
【
図56】本発明のテニスラケットのハンドル形成用の別の熱硬化モールドを示した図である。
【
図57】本発明のテニスラケットのレイアップの形成の完成を示した図である。
【
図58】本発明のテニスラケットのレイアップの形成の完成を示した図である。
【
図59】本発明のテニスラケットのレイアップの形成の完成を示した図である。
【
図60】本発明のテニスラケットのレイアップの形成の完成を示した図である。
【
図61】本発明のテニスラケットのレイアップの形成の完成の際の、熱硬化モールドを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1には、従来の普遍的なラケット形状の、グラファイトラケットフレーム11を示す。空気噴射グラファイト製造技術を用いた加工では、強度対重量比が以前の木製ラケットを超えるという利点がある。ラケットフレーム11は、ヘッド部12、喉部13、ハンドルまたはシャフト部14、およびハンドル14上に配置されたグリップ15を有する。ラケットフレーム11のこれらの部分は、単一の、一体化された連続部材として形成される。二又の喉部13は、ヘッド部12およびシャフト部14と連続化される。喉部13の両側には、クロスピース部またはヨーク部16が提供される。ヨーク部16およびヘッド部12は、ほぼ楕円形のガット伸張部17を形成し、この部分は、ボールヒット面18を取り囲む。ヘッド部12の外表面には、凹状のガット溝19が形成される。
【0068】
図2には、Ceckaの米国特許第4129634号に記載の、従来のテニスラケットフレーム構造を示す。ここで、フレーム11’は、グラファイト繊維20の層によって形成された外表面と、内側発泡コア22とを有する。この製品は、炭素繊維の複数の層を、中央パテ状コアに巻き回すことにより構成される。通常、コアは、コルク、樹脂(熱硬化性樹脂など)、および樹脂の発泡を助長する吹き出し剤のようなフィラー材料を含み、さらに、加速剤、硬化剤を含む。製造の間、ラケットレイアップは、ツール鉄モールドに入れられ、加熱される。発泡コアの形成の間、吹き出し剤によって生じた圧力は、レイアップの外側形状を形成する圧力を提供し、冷却の後、モールドの形に適合される。前述のように、この技術は、好ましくないラケット特性のため、産業上使用されていないと思われる。発泡プラスチックコアの単純な封入では、本発明において見出されたような、改善されたプレイ特性が得られないからである。
【0069】
本発明では、発泡プラスチックの膨脹は、実質的にプラスチックの軟化と同時に、あるいはその後に生じる。これにより、本発明のラケットの発泡コアが形成される。硬化の前に、グラファイト繊維に含浸された樹脂は、粘着性軟化材料である。従って、膨脹のタイミングを注意深く調整しないと、硬化の前に、同様のことが生じ、その後硬化が生じ、おそらく圧力が損失する。
【0070】
本発明では、発泡コアは、開放セル(open cell:開放気泡)または閉止セル(closed cell:独立気泡)の発泡プラスチックを有しても良い。好適実施例に使用される材料は、Expancell(登録商標)であり、これは、発泡プラスチックの形成の間、液体であるという利点を有する。また、独立気泡の発泡は、リーク時において、リークを速やかに充填する点、および空気に対する粘性のため、より効果的に空気の漏洩を防ぎ、圧力ロスを防ぐ点において、より有意な利点を提供する。
【0071】
炭素樹脂の硬化温度は、例えば、130℃であっても良い。モールドに対して炭素層を押し付け、樹脂が硬化する前に、シート炭素繊維樹脂層を相互に接合するための、130℃で使用される内部圧力は、少なくとも約7kg/cm
2(約100psi)から15kg/cm
2(約215psi)であるが、いくつかの用途では、約5kg/cm
2も使用できる。選定される発泡プラスチックは、硬化の間に、この圧力に到達することが好ましい。これは、樹脂がその硬化温度を超えてから、発泡が開始され、圧力ロスが生じる前に冷却される場合に、最も容易に得ることができる。
【0072】
また、多くの発泡の膨脹は、寸法で2〜3倍であり、このサイズでは、所望のモールド形状の外側で、繊維が切り取られる。グラファイト繊維ヤーンの切断は、構成に損傷を与え、構成および強度を損なう。
【0073】
適当なタイミングで膨脹が生じない場合も、ラケットは、適切な状態に見えることに留意する必要がある。グラファイト層の間の接着、および発泡コアとグラファイト層の間の接着は、良好である可能性がある。しかしながら、グラファイト層同士の接着は、ラケットフレームにおいて、優れたおよび/または長寿命な特性を選るのに十分ではない可能性がある。従って、樹脂が重合化した後の発泡および冷却の準備段階において、十分に高い圧力を印加することが重要である。当然のことながら、十分なレベルで重合化が生じる場合、そのような圧力は、重合前に形成することも可能である。
【0074】
重合化後に圧力ロスが生じた場合、これが重大な問題ではないことは明らかである。なぜなら、圧力は、グラファイト層に印加され、グラファイト層が相互に強固に結合され、熱可塑性フレームが軟化状態であっても、圧力ロスは、冷却された製品のフレーム特性には影響しないからである。
【0075】
また、粉末状発泡プラスチック材料、例えばカプセル化発泡の使用により、樹脂飽和炭素繊維が加熱硬化される前に、モールドが密閉されると、平坦に圧縮されるレイアップにより、モールド内でグラファイトのクリッピングが防止されることに留意する必要がある。膨脹が遅い場合、モールド孔の外側で、繊維のピッチングが形成される。
【0076】
積層圧力が不十分となり、低炭素繊維膨脹速度となるため、グラファイトを加圧し成形する発泡タイプの材料を使用することは、好ましくない。発泡材料密度が高すぎると、膨脹速度が必要レベルであっても、炭素繊維補強製品に必要な軽量性がなくなる。
【0077】
図3乃至5には、現在の製造技術で製造されている、普遍的な空気圧ラケットを示す。レイアップを製造するため使用される炭素繊維は、グラファイトシートの形態を取る。グラファイトシートは、シームレススリーブに巻き回され、レイアップが製造される。
【0078】
空気圧は、膨脹組立体31を介して付加される。
図3に示すように、膨脹組立体31は、空気圧源を受けるためのノズル32によって結合されたバルブ30を有する。膨脹組立体31は、一端が圧縮空気源に結合され、他端がレイアップ33のスリーブ管に結合される。内側管状部材および樹脂含浸されたグラファイト材料の層で構成されたレイアップ33は、空気圧の印加の下、モールド60のモールドハーフ61、62によって定められた、レイアップを加熱硬化するための孔59に配置され、成形、硬化されたフレームが形成される。
図4参照。
【0079】
炭素繊維および未硬化樹脂で構成された、予備加工された軟炭素管レイアップ33は、クラムシェルが密閉された際に、モールド60の鋼モールドハーフ61、62によって定められる孔59に配置される。空気ノズル31は、メスノズルカップリング32によって、圧縮空気源に結合され、このは、メスノズルカップリング32は、適合するオスノズルによってシールされる。
【0080】
完成したレイアップは、底部モールド区画61に配置され、その後、上部モールド区画62によって覆われる。
図5参照。
【0081】
ノズルは、シームレススリーブの一端に取り付けられ、スリーブ内に必要な空気圧が形成され、硬化温度において、モールド孔59に炭素が形成される。硬化温度は、通常、130℃である。シームレススリーブの他端は、シールされても良いが、一端を通る空気に応じて、モールド内で吹き付けが行われ、シームレススリーブの反対の端部が、モールドの単一の管状部において、スリーブ2つの端部を相互にブリッジすることにより、シールされても良い。
【0082】
グラファイト複合材は、硬化した後、冷却される。次に、余分な材料を除去する工程、ハンドルのベースまたはラケットのシャフトのサンディングおよび除去、例えば切断を含む、ラケットの仕上げが行われる。
【0083】
このように、シャフトの底部は、開放状態で中空状であることが理解される。また、従来の製造方法を実施するには、加熱の間、炭素管に空気を噴射することが必要である。従って、このプロセスで得られるラケットは、開放端シャフトを有することになる。
【0084】
好適実施例では、プラスチック中空マイクロ球を有する材料が、発泡プラスチック形成のために使用される。マイクロ球は、球状に形成された粒子であり、ガスを覆う熱可塑性シェルを有する。マイクロ球が加熱されると、熱可塑性シェルが軟化し、ガス圧力が高まる。その結果、球の膨脹が生じる。発泡剤を含むマイクロ球またはマイクロカプセルは、約10〜30μmの直径であり、厚さは、5〜15μmであり、密度は、1.03g/cm
3である。
【0085】
好適実施例では、樹脂の硬化温度は、約150〜150℃である。ラケットフレームまたは他の複合材部品は、この温度に約20〜35分間、保持される。
【0086】
本発明において選定される発泡プラスチック材料(Expancel152)の膨脹比は、約60:1であると思われる。本発明では、使用されるマイクロカプセル発泡形成材料は、約105〜115℃またはより高温から膨脹し始める。温度が約105℃に低下するまで、膨脹が継続する。しかしながら、前述の温度は、使用される粒子状発泡プラスチック製品に応じて変化する。ここで大きな因子は、使用樹脂、発泡剤、およびマイクロカプセルの性質である。
【0087】
従って、マイクロカプセルは、温度が硬化に必要な温度、およびグラファイト繊維複合材料の溶融温度に近づくまで、実質的に膨脹を開始しない。カプセルのシェルは、アクリル共重合樹脂で構成されることが理解される。膨脹の後、シェル材料は、グラファイトラケットの最終発泡コアの材料を形成する。あるいは、グラファイトウィスカのような追加材料が、粉末形態で導入され、マイクロカプセル粉末と混合されて、異なる特性が発現されても良い。発泡剤は、ペンタン、または例えばテニスラケットフレームのような、マイクロカプセルの構成および適用に適した、いかなる他の発泡剤であっても良い。
【0088】
本発明では、レイアップに設置される特定の発泡プラスチック材料は、Expancel152であり、これは、Akzo Noble社から市販されている。所定量のExpancel152がシームレス管に配置され、材料が均一に分散するように、レイアップが巻き回される。
【0089】
充填レイアップの反対端部は、例えば、シームレス管の端部を縛ることによりシールされ、この上には、樹脂含浸炭素繊維ストリップが巻き回される。次に、充填レイアップは、例えば、テニスラケットのようなおおまかな製品の形状に形成され、モールドの底部のモールド孔に配置される。モールドの上部は、同様のまたは実質的に等しい孔があり、レイアップは、孔内に注意深く配置される。孔に隣接するモールドの表面によって、レイアップの噛み込みが回避される。
【0090】
その後、モールドが加熱される。所望の温度に達すると、マイクロカプセルが軟化し、Expancel152に関する発泡剤の寸法が膨脹する。冷却の際には、この段階で発泡プラスチックコアを形成している、膨脹したマイクロカプセルにおいて、その体積が実質的に維持される。
【0091】
従って、本発明では、単に、発泡剤を含む粉末状高分子ビードをレイアップに配置し、レイアップを密閉し、レイアップをモールド内に配置し、所望の温度に加熱するステップのみが必要となる。
【0092】
本発明は、加熱後に、物理的シール特性を維持するマイクロ球、および加熱の際に、開放され、壊れやすく、物理的に崩壊し、もしくは劣化するマイクロ球においても作動することに留意する必要がある。
【0093】
原理上、Expancel152に、他の高分子材料、例えば微細プラスチック粉末または他の適当な材料を加え、最終ラケットの内側に充填される発泡剤の特性を変化させることも可能である。
【0094】
これは、
図6を参照することにより、より明確に把握される。
図6には、炭素繊維層42、44で覆われ、Expancel152のマイクロカプセル21が充填された管状シームレススリーブ40が示されている。スリーブ40は、手作業の代わりに、例えば、シームレススリーブの端部を結ぶことにより閉止され、あるいはクランプもしくはステープルを用いて、あるいは熱シール法により、機械的プロセスを用いて閉止される。
【0095】
図7には、例えば、グラファイト製の柔らかい繊維で、繊維で覆われたレイアップ管33を製造する際の態様を概略的に示す。これは、樹脂含浸炭素繊維の多層シートで覆われた、開放端の、例えば透明な管状シームレススリーブシェル40から形成される。原理上、樹脂含浸されたガラス繊維またはグラファイト繊維を使用しても良い。例えば、6つの異なる繊維の層21〜27は、別の繊維である(あるいは同じ繊維)。例えば、層22、24、26は、異なる特性を有し、および/または異なる樹脂、および/または異なる配向を有する。これらの層は、柔らかい未加熱炭素管レイアップ33を形成する。
【0096】
図8に示すように、コアスリーブ40にマイクロカプセルを含む、密閉完成形の軟繊維管状レイアップ33は、底部モールド区画61の凹部43に適合される。コアスリーブ40は、両端がシールされる。スリーブ40は、モールド60の底部モールド区画61における凹部43に配置されるラケットの一般的な形状に湾曲している。これは、手動または機械で行われる。
【0097】
図9aに示すように、熱成形の前のレイアップ33の処理では、適当な量のマイクロカプセル21を完成形の管10内に含有させることが重要である。中間層フィルムまたはコアスリーブ40は、レイアップ33の第1の繊維層とマイクロカプセル21の間に配置されることが好ましい。熱印加によって膨脹し、発泡プラスチック30(
図9b)を形成した後、コアスリーブ40は、モールドの加熱中および繊維の固化中に、マイクロカプセル21がリークすることを有効に防止するように機能する。また、これは、空気圧を維持し、完成品の品質に悪影響を及ぼす、オーバーフローを防止する。本発明の好適実施例では、Expan-cell-l52Aが使用され、マイクロカプセル化発泡プラスチックは、中間温度で処理される。また、管の全長にわたって、Expan-cell-l52Aの実質的に均一な分布が得られると考えられる。例えば、管の回転および傾斜によって、優れた結果が得られる。
【0098】
前述のように、レイアップ33は、平坦グラファイトラケット複合材料で構成され、密閉されても良い。これは、コアスリーブ40の端部をねじり、結ぶことによって行われ、あるいは単に管の端部を機械的に折り曲げて、圧縮することによって行われても良い。あるいは、小クリップのような機械的な装置を使用しても良い。クリップは、例えば、グラファイト繊維含有プラスチック材料で構成され、これは、溶融し、最終ラケットの部品となる。または、例えばアセトンのような溶媒を介して、ドープにより軟化されたプラスチックのような、比較的少量の接着剤を使用しても良い。必要な場合、ドープは、ドープに使用されるプラスチックを溶かす材料であって、熱可塑性/グラファイト繊維複合材を溶かさない材料を用いて形成される。さらに別の方法では、グラファイト繊維が含有された、熱可塑性材料の溶媒が使用される。
【0099】
完成された充填繊維管10にマイクロカプセルを分散させる、多くの方法がある。例えば、マイクロカプセルを有する透明プラスチック管を予備成形した後、これをレイアップ状に引き延ばす。あるいは、予備充填管を、繊維で覆い、完成した繊維管10を形成する。第2の方法は、予備ロッドまたはコアを用いて巻き回された後、マイクロカプセルを繊維管に、注入、射出、または配置する方法である。予備ロッドまたはコアは、繊維管から動かされる。第3の方法は、これらの方法を用いて、マイクロカプセル含有繊維管を使用して、管内に、第2および第3の充填管等を形成することである。
【0100】
モールドは、130℃で炭素繊維が固化する時間の間、加熱される。硬化時間は、20分から35分の間であることが好ましい。マイクロカプセル21は、樹脂を含む繊維の固化に必要な温度で、熱が安定化するまでは、膨脹せず、発泡プラスチック30を形成しない。
図9a、9bに示すように、加熱プロセスで硬化された結果、マイクロカプセルの熱膨張により、繊維管内から内部圧力が発生し、モールド孔の壁に対して隆起する。通常、マイクロカプセルの製造者の取扱の観察が必要となる。
【0101】
本発明では、マイクロカプセルのシェルは、プラスチックであるため、マイクロカプセルが適当な温度に加熱されると、これらは膨脹する。コアプラスチックを形成するマイクロカプセルは、膨脹を続け、その結果、コアスリーブ40に、圧力が印加され、今度は、グラファイト材料に圧力が印加される。同時に、モールドに加わる熱、さらにはマイクロカプセルに加わる熱は、グラファイト/高分子樹脂シートを加熱し、これらが硬化する。マイクロカプセルが膨脹するため、これらは、スリーブ40および炭素繊維高分子シート管を引き延ばし、これらはモールドの内壁に移動し、モールドの形状に押し付けられるとともに、炭素繊維材料の層は、相互に押し付けられる。プラスチックが硬化するため、層は相互に溶融し、多層化層は、単一の厚い構造となる。
【0102】
図10および11には、第2の実施例を示す。この例では、繊維管は、マイクロカプセルか充填管内に配置され、加熱され、多層管に固化し、ラケットに追加強度および剛性を提供する。
【0103】
管12および12’に発泡プラスチックおよびマイクロカプセル化発泡剤を充填して、2つの管の形成し、2つの管を第3の管16で覆うことは、プラスチックを加熱して発泡させる前に行われても良いことに留意する必要がある。
【0104】
あるいは、マイクロカプセル化発泡材料は、2つの異なる形態で発泡プラスチックを構成しても良い。個々の管は、前述のように(任意で、第1および第2の管状スリーブの上に)形成され、得られるテニスラケットのハンドルは、前述のような(任意で、第3の管状スリーブ上に)熱可塑性炭素繊維シートの第2の層16で覆われ、その後、組立体が低温で2回加熱される。第1のラケット形成ステップの高温では、高温で発泡するように設計されたマイクロカプセルが使用される。他のマイクロカプセルは、より低温で発泡し、テニスラケットの形成時に、第2の熱および圧力の印加が可能となる。
【0105】
また、二重管を有するテニスラケット全体を、形成することが可能であることに留意する必要がある。この場合、通常密閉形態の、2つの管で構成された内部構造が得られ、内部構造は、例えば、これを2つに分割し特定の強度を提供する平坦壁を有する。
【0106】
本発明では、
図11に示すように、平坦壁は、ラケットの平面に対して垂直であることが考えられる。しかしながら、平坦壁は、プレーヤが望むプレイの特性に応じて、ラケットの平面と平行であっても良い。これに関して、本発明は、スポーツラケット以外の製品、例えば自転車に使用され得ることに留意する必要がある。自転車の異なる部品にとって、管の全長に沿って伸びる分割壁の異なる構成が望ましい場合がある。スポーツ用品以外の製品では、例えば、野球用バットがあり、この場合、相互に垂直に伸びる複数の分割壁を有することが有益である。これは、4つの個々の管状区画を使用する際に有意である。
【0107】
また、本発明では、単一の構造部材において、5個以上のレイアップを含むことが望ましい場合がある。
【0108】
2つの他の管を覆う管のさらに別の例では、他の2つの管で充填され、2つの内側管の外側と外側管の内壁の間に、プラスチックおよびマイクロカプセル化発泡剤が配置される。全組立体が加熱され、マイクロカプセルが発泡し、圧力および発泡プラスチックが形成される。この代替例では、発泡剤が充填されたマイクロカプセルは、既に形成された2つの内側管の外側と、外側管の内側の間に配置され、発泡は低温で生じ、低温で発泡プラスチックを構成する材料においては、製造工程の第1の部分の間に形成されたプラスチックが再溶融するほど、熱が高くはならない。
【0109】
最後に、2つの小さな管の内側と、被覆管の内側の両方で、同時に発泡が行われる。
【0110】
繊維管12、12’は、手動または機械で巻かれても良い。その後、別の充填繊維管16が形成される。最後に、両方の繊維管に、マイクロカプセルが配置され、管の内部に管が得られ、あるいは予備加工プロセスにおいて、管の群が得られる。この予備管システムでは、一つの外側管内に、複数壁の形成が可能となる。
【0111】
完成グラファイト複合部品内での追加支持のため、そのような2ステップの工程の実施により、または繊維管の群により、実質的に、多くの完成品の強度および特性が高まる。
【0112】
そのような複数管は、本発明の一例に過ぎないことを理解する必要がある。本発明は、単一の管構造で、または前述のテニスラケットのような、複数および単数の管部分を有するハイブリッド構造で、実施されても良いことが理解される。また、複数管またはハイブリッド構造は、自転車フレームや自動車のボディ部品など、比較的高い要求がなされる用途において、特に重要である。特に、本発明では、グラファイト繊維複合部材は、テニスラケットおよび自転車フレームのような2次元配置の他、構成要素の軸が3次元に伸びる構成、例えば、いす、自動車のキャビン、またはトラクター式芝刈り機フレームのような配置で構成することが考えられる。
【0113】
前述の記載から明らかなように、複数管プロセスでは、モールドを使用しなくても、さらに様々な形状の構成が可能であり、これらは、外管に予備形成された、例えば、モールドを用いてまたは用いずに構成されたグラファイト繊維複合材管であり、モールドの代わりに孔壁として機能する。これは、コンベアベルトを用いて炉まで運搬され、モールドを使用せずに加熱硬化される。この結果、高い製造効率および低い作動コストが得られる。この実施例では、初期の管の組または他のモールドでは、レイアップに、従来の鉄製モールドと同じ強度を与える必要がなく、単に、本発明による高強度グラファイト複合材を形成するのに必要な圧力に対する強度があればよいことが理解される。この実施例は、完全に機械で実施され、人力は最小限に抑制され、または不要である。
【0114】
図12aには、モールド40を示す。この中には、さらなる硬化のため、ラケット10aのハンドル部41が配置され、フレーム20で定められたボイド空間11内に、第2のハンドル補強部材30が形成される。
【0115】
図12bには、管20内の管構造30の別の例の断面を示す。
【0116】
図13には、別個の第2のフレームへの成形に使用される、ヘッド18を製造するための孔21を定めるモールド60の一例を示す。
【0117】
図14には、ヘッド部10、発泡プラスチック加圧材料30、およびヘッド10の端部73を受けるT型サポート部材72を有するバドミントンラケットの構成を示す。T型支持部材72の中央支持部材71は、ハンドル部材20内で受容される。端部を含むハンドル部材20およびハンドル部10は、炭素繊維レイアップによって定められ、T型支持部材72の周囲に強固に配置される。
【0118】
図15および16には、ラケット重量の分配が必要な、本発明のさらに別の実施例を示す。配置内に、ラケット重量分布バランスおもり50が追加され、これは、マイクロカプセル30に熱を印加する固化および硬化プロセスの前に、繊維複合管10となる。従来の空気噴射技術では、これは難しく、または不可能である。なぜなら、おもりは、ラケット部分への圧力の結合を妨害するからである。おもりは、各種材料で構成され、ゴム、シリコン、プラスチック、金属、または他の材料であっても良い。
【0119】
本発明では、発泡プラスチック材料の量は、所望の体積を満たし、所望の圧力が提供されるように選定される。他の因子は、発泡が構造に寄与する際のおもりの量、および発泡コアが形成された後の全部分の構造特性である。複数管は、熱、モールド体積、および発泡プラスチックマイクロカプセルの量が均一であると仮定した場合、実質的に等しい体積であっても良い。モールド孔は、均一に加熱されるため、モールドは、レイアップを均一に加熱すると予想される。
【0120】
ラケットのおもりとバランスの必要性は、本分野では良く知られている。しかしながら、これまで、これらのおもりは、グラファイト繊維複合材の固化の後にのみ、追加されている。第3の実施例では、例えばスリーブ40の配置によって(
図6)、またはモールド孔内の配置によって、製造プロセス中に、ラケットヘッド自身におもりを加えることができる。あるいは、製造プロセスの間に、おもりを受容することを組み込んでも良い。製造プロセスの間にこれを行うことの利点は、整合性および容易性であり、例えばラケットヘッドのバランスのため、おもり構造が大量生産の間に追加され、製造後のカスタマイズが容易となることである。
【0121】
また、この実施例では、空気が管内の対象を通過できないため、従来技術では不可能な、複数構造の形成が可能となる。
【0122】
図17には、完成後のカスタマイズされたラケット14の分解平面図を示す。図には、ハンドル部15、おもりを保持できるヘッドおもりストリップ25a、25b、ハンドル部14a、およびハンドルおもり16a、16b、16cが示されている。別のハンドル部14b、14cが示されている。ハンドルおもり16a、16b、169cは、それぞれ、2g、5g、10gであっても良い。バットカップ5b、5cは、カスタマイズ可能であり、相互交換可能である。
【0123】
異なる形状および寸法の相互交換可能なハンドル14、異なるおもり16、異なるバットカップ5、および異なるヘッドおもり25を有するラケット12により、ユーザは、所望の重量、バランス、および正確な特注部分を形成することができる。
【0124】
本発明の方法の主要な概念は、圧縮空気を用いる従来の方法に変わって、発泡プラスチック材料、例えばExpancel152のような、マイクロカプセル化発泡プラスチックの力を利用して、レイアップの繊維管内に高圧を形成し、レイアップをモールド孔壁に対応した熱硬化形状に成形することである。本発明のシステムは、多くに利点を有する。まず、一ステップで、熱硬化および発泡プロセスを用いる本発明の製造方法では、製造プロセスが簡単になり、製造動作の効率が高まる。
【0125】
第2に、本発明の製造方法では、マイクロカプセルによって生じるような、発泡プラスチックの圧力を使用するため、空気漏れを回避することができ、空気を用いる際の不明瞭な製造パラメータを回避することができる。これは、製造欠陥率を低下させるという効果を有する。
【0126】
第3に、本発明の方法では、孔開け加工が不要な、おもりの全く新しい導入方法が提供され、例えばヘッドに取り付けられた内部フレームに、おもりを直接配置することができる。
【0127】
本発明では、手作業によって取り付けられる空気管が存在せず、ラケットの製造の十分な自動化が可能となる。本発明は、a)マイクロカプセルのスリーブへの充填、b)グラファイト繊維への樹脂含浸、c)グラファイトのスリーブ周囲の巻き付け、d)レイアップを所望の形状にするためのグラファイト繊維の曲げ、e)曲げ加工されたレイアップのモールドへの設置、f)モールドの加熱、g)モールドの冷却、h)モールドの開放および完成ラケットフレームの取り出し、を含む一連の製造ステップを有し、この中には、人力によるものは含まれない。
【0128】
本発明では、任意で、ラケットフレームの成形の間、ガットのホールを形成しても良い。ホールは、ラケットのヘッドにそれらを形成することにより得られても良い。あるいは、ハーフレイアップ組を使用して、ラケットフレームのヘッド部を形成し、モールド孔を横断して延在し、ハーフモールドの一方または両方に提供されたスロットに支持された金属柱によって、ハーフの間にホールを形成しても良い。
【0129】
図18を参照すると、この図には、グラファイト複合部材、例えばバドミントンラケットフレームのようなスポーツラケットフレームの本発明の製造が、詳しく示されている。特に、スポーツラケットは、多くの異なる態様がある東レのTorayca商品のグラファイト繊維を用いた、第1のグラファイト繊維の製造によって、製造されても良い。この材料を用いて形成されるフレームの剛性の観点から、軸方向に整列された繊維の平坦リボンに、12000のグラファイトフィラメントを取り入れたToraycaT1000GBは、テニスまたはバドミントンラケットのフレームとして好適であると考えられる。しかしながら、最終ラケットにより可撓性が必要な場合、ToraycaT700SCを使用しても良い。これらの製品のいずれの場合も、グラファイトは、数千の繊維を横方向に引き延ばされたリボンの形態を取る。リボンの形態でもたらされるため、以下に示すような、機械処理によるハンドリングが容易となる。
【0130】
ToraycaT1000GBを含むグラファイト繊維リボン100は、スプール102から開繊され、回転取り付け棒104によって、バット106に誘導される。バット106は、液体樹脂108を有する。樹脂108は、十分な熱の印加により、硬化するタイプのものである。本発明の好適実施例では、液体樹脂108は、熱硬化エポキシ樹脂であり、これは、台湾のWah Hong Industrial Corporation of Kaoh Siungから、WH-2370Aの名称で、販売されている。繊維リボン100は、回転取り付け棒110によって、液体樹脂108の方に誘導される。リボン100の液体樹脂108の通過は、約1乃至2m/秒の速度で行われ、液体樹脂は、グラファイト繊維リボン100を構成する繊維同士の空間に含浸される。
【0131】
次に、含浸されたリボンは、回転取り付け棒112も周囲に供給される。含浸リボン114は、回転取り付けドラム118の表面に取り付けられた、リリースペーパー層116に巻き取られる。好適実施例では、リボン114は、ドラム118に巻き回され、相互にわずかに重なり合うコイル120を形成する。
【0132】
従来のテニスラケットの製造の場合、ラケットを構成するグラファイト繊維は、様々な方向に配向される。従って、略円筒状構造を有するコイル120は、異なる角度で切断され、例えば、ドラム118の軸に垂直に配向された接線方向に対して、垂直な線に沿って切断される。そのような線での切断は、前述のように、適当な方向に配向されたドラム上の溝、すなわちグラファイト繊維を切断するブレードの先端を受ける溝により、容易化される。各種角度が選定され、コイル120によって形成された平坦材料の多層化層の組み立てが容易となる。レイアップの組み立てに使用される、例えば、3つのグラファイト平坦部材を製造する際、繊維の一つの層を水平に配向し、繊維の他の2層を±19゜で配向した場合、ドラム118の外面に適正に配向された第2の溝を用いることにより、繊維を所望の19゜の配向で切断することが容易化される。
【0133】
各々が異なる配向を有する2層のグラファイト繊維平坦部材を製造するためには、単に、前述のプロセスを用いて製造された、背面シート116および露出グラファイト繊維層120を有する一つのグラファイト平坦部材を用いて、これを、適当な配向で、別のリリース部材上に残されたグラファイト繊維上に配置すれば良い。樹脂含浸され、単一のリリースシート上に支持されたグラファイトを用い、その後、各ハンドリングのため、リリースシートを除去することが好ましい。当然のことながら、同じ配向を有する2つの平坦グラファイト部材を、相互に対して所望の角度で配置し、必要なら切断しても良い。3層が必要な場合、背面シート116の一つは、除去され、別のグラファイト平坦部材が、組立体のグラファイト繊維層120と接する、露出グラファイト繊維層120を有する2層の組立体上に配置される。
【0134】
グラファイトラケットの標準的な製造では、複数の層を、異なる方向に配向し、最終フレーム構造に、強度を与える必要があることに留意する必要がある。本発明は、従来のいかなるグラファイト組立体構造に適用されても良く、配向、全長、および幅等が調整され、優れた競技特性を有するラケットが得られる。しかしながら、本発明の技術および方法では、加工業者は、断面を減らし、風抵抗の効果を抑制し、ラケットを軽量化することも可能である。ラケットフレームのフープを形成する素子の幅は、狭小化され、フレームのフープ部の断面(テニスラケットの場合)において、厚さおよび/または幅は、2mmから5mmの間よりも小さくなるが、高張力において、ラケットのガットに対して、十分な高強度が得られる。
【0135】
図19には、多層グラファイト繊維構造122が示されている。必要な場合、
図20に示すように、これは、
図21に示すようにストリップ24を切断して、配向されても良い。同様に、
図22に示すように、繊維は、相互に対して比較的鋭角に配向されても良い。これにより、
図23に示すように、材料からのストリップの加工が可能となる。
【0136】
本発明のバドミントンラケットは、以下のプロセスを用いて構成されても良い。通常、グラファイト複合材フレームを製造する本発明に使用される、樹脂含浸されたグラファイト繊維の各ストリップの寸法および繊維配向は、従来のグラファイトフレームの製造に使用されるものと同じであるが、幅は減少する。ラケットのヘッドの面に垂直な方向のラケットの厚さは、例えば、2または3mmだけ減少するものの、少なくとも十分な強度が得られるためである。また、本発明では、ヘッドの面方向でのフレームの厚さを減少することができ、そのような好適構成は、ラケットの動きに対する風抵抗を抑制する効果を有する。
【0137】
図24に示されている樹脂含浸された複数のグラファイト材料のストリップ126は、29cm×6cmの寸法を有する。全長は29cmであり、これは、製造されるバドミントンラケットのヘッドの周囲と実質的に整合するように選定される。
図25に概略的に示されているように、ストリップ126は、ストリップ126の全長に対して±19゜である層を有する。
図26に示すように、第2のストリップ127は、ストリップ126と実質的に等しく、ストリップ126上に配置される。その後、ストリップの全長に対して垂直に配向されたグラファイト繊維を有する狭小ストリップ128が、2つのストリップ上に配置され、実質的に
図26に示すように、ストリップ126-128の上部長さ全体が揃えられる。その後、例えば、±30゜で配向された、2つの層を有するキーストーン状ピース130が追加され、追加の強度が付与され、ガットを抗張力に配置することが可能となる。一般に、樹脂は、比較的粘着性のため、未硬化状態でも、ストリップ126-130の組立体132は、幾分接着しており、従って、組立体のハンドリングは、比較的容易である。
【0138】
本発明の好適実施例では、コア部134、136を有する2つのコア部分を用いて、巻き回しが行われる。コア部134、136は、
図28に示すように、管状ナイロンスリーブ138内に配置される。スリーブ138は、熱印加の際に溶融しないという特性を有する。従って、コア部分134、136の上部に配置された場合、
図29に細線で示すように、これは、幾分大なサイズにされる。
図29の太線で示すように、スリーブの余分な部分は、コア部分を丁度、強固に含むように、二重スチックテープの長さにわたって折り曲げられる。また、スリーブの余分な部分は、それが樹脂含浸グラファイト繊維の層に対して押し付けられた際に、スリーブの膨脹を収容する役割を果たす。このプロセスの間、樹脂層は、相互に対してスライドしても良い。
【0139】
コア部分134、136は、約8mmの幅と、約1.5mmの厚さを有し、例えば、鋼で構成される。コアは、2つのコア部分134、136で提供され、以下に詳しく示すように、巻き回されたレイアップの妨害を最小限に抑制した状態で、容易にレイアップからのコアの除去が可能となる。
【0140】
次に、組立体132は、例えば
図30に示すようなローリング法により、コア部分134、136上のナイロンスリーブ138の周囲に巻き回される。ローリング法は、
図31に示すように継続される。ローリングが完了する前に、
図32に示す1組の端部ストリップ142(従来の典型的な例では、全長に対してある角度に配向された多数の層状に、繊維が構成される)と、
図33に示す全長ストリップ144(従来の全長、幅、繊維配向、および層数)とが、
図34に示すように、組立体132上に配置される。その後、ローリングは、
図35に示すように、グラファイト層がコアに巻き付けられるまで継続される。端部ストリップ142は、全長に平行に配向されたグラファイト繊維を有するが、全長ストリップ144は、ストリップの全長に対して垂直に配向されたグラファイト繊維で構成される。全長、幅、繊維配向、および繊維の層の数は、従来から知られており、本発明の一部ではない。
【0141】
次に、グラファイトストリップの追加層が巻き回され、レイアップが完成する。特に、例えば配向および寸法が端部ストリップ142と等しい、別の端部ストリップの組、およびストリップ144と同じ別の全長ストリップが、
図35に示す組立体の上に配置される。次に、±30゜で配向された繊維を有し、約4.5から7cmの幅を有する2層のグラファイト繊維の最終巻き回しシートが、
図35に示す組立体上に覆われ、
図36に示す組立体が得られる。
【0142】
図36に示すようなレイアップが完成すると、それがレイアップから引き寄せられることにより、レイアップからコア部分134が除去されるが、ナイロンスリーブ138の反対端部は、他の部分によって把持される。反対の動きにより、レイアップからコア部分136が除去され、スリーブ138の内側が開放状態にされる。
【0143】
次に、参照符号146で表された1gのExpancel152が、スプーン150(
図37)の円筒状ハーフスプーン部分148に配置される。発泡プラスチック形成材料146は、スプーン部148の全長に均一に広げられる。スプーン部148は、ナイロンスリーブ138の長さのほぼ半分に等しい長さを有する。次に、スプーン部148は、レイアップ152(
図36)に挿入される。次に、スプーン150は、軸方向に回転され、レイアップ152のハーフ部に沿って、発泡プラスチック形成材料146が放出され、これが実質的に均一に分布される。次に、このプロセスは、別の1gのExpancel152を用いて繰り返され、レイアップ152の他のハーフ部が充填される。
【0144】
その後、ナイロンスリーブ138の端部は、密閉され、レイアップは、手動で回転、巻き回され、発泡プラスチック形成材料146の分布がより均一になる。次に、レイアップ152は、木製モールド(
図38)に巻き回され、ほぼバドミントンラケットフレームの形状が形成される。
図39を再度参照すると、グラファイト複合材または他の材料である管状部材156は、次に、切断され、図に示すように、のり付けされたクロスピース160を受けるスロット158が形成される。部品は、その後、
図40のように配置される。
【0145】
次に、
図41に示すように、レイアップ152の端部は、クロスピース160の端部に、矢印162の方向から押し付けられる。次に、フレーム部材に対して、それぞれが10cmの全長を有し、1.5cmの幅を有するストリップ164、166、168が配置され、それらの適当な位置での結合機能が提供される。ストリップ164、166、168は、全て、2層のグラファイト部材であっても良く、この1層は、全長に対して+45゜に整列され、他の層は、ストリップの全長に対して-45゜に整列される。
【0146】
次に、
図42乃至49に概略的に示すように、追加のストリップ170-184がバドミントンフレームのレイアップに適用される。
【0147】
ストリップ170は、
図42に示すように、u型で適用される。ストリップ172は、左側からヘッドの周囲に巻き回され、中心を通り、ヘッドの右側に巻き回される。ストリップ174は、ラケットフレームのハンドルの周囲にコイル状に巻き回される。ストリップ176は、バーベル状にされる。ストリップ176は、ハンドルとヘッドまたはフープの間の接合部に中心化され、その後、隣接する楕円状ヘッド部の両側に、張力のある状態で、螺旋状に巻き回される。
図46を参照すると、ヘッドには、細長いダイアモンド状パッチ178が貫通され、パッチ178がハンドル上に中心化され、パッチ178の両端は、ハンドルに巻き回され、ハンドルと接触する。次に、細長い平行四辺形状パッチ180は、ダイアモンド状パッチ178上に配置され、ラケットのハンドルおよび他の部分に対して押し付けられる。
【0148】
通常、樹脂含浸グラファイト繊維パッチの全ての覆いは、隙間なくなされ、フレーム構造の既存の組立部とほぼ適合することに留意する必要がある。これは、樹脂飽和グラファイト繊維パッチの粘性により、容易となる。
図48に示すように、第2の平行四辺形パッチ182が、第1の平行四辺形パッチ180の上に配置される。
図49に示すように、パッチ184、186は、その後、半ラケットの円弧状部分の外側に取り付けられる。
【0149】
図50に示すように、バドミントンラケットフレームのレイアップは、モールド底部190の孔188に配置される。次に、モールド底部190の上に、モールドの対応上部が配置される。グラファイト繊維を挟まないように注意する必要がある。これは、孔188内にレイアップを収容し、配置することよって行われる。次に、組立体は、加熱され、樹脂が硬化する。加熱は、モールドをオーブンに入れることにより、あるいはモールドに設けられた溝に、水もしくは油のような高温液体を循環させることにより、行っても良い。レイアップを構成するグラファイト/樹脂部材を硬化するため、レイアップは、約145℃±5℃の誤差で加熱する必要がある。しかしながら、この温度は、使用される特定の発泡プラスチック形成材料に依存し、プラスチックの発泡、硬化および膨脹が得られる温度、ならびに十分な圧力によって、優れたフレームが製造される。
【0150】
加熱は、約25分間継続されるが、これより長い時間行っても、最終製品に悪影響は見られない。熱印加の結果、レイアップのグラファイト層に対して圧力が生じ、強度のある構造が形成され、おそらく、このプロセスの間、他の層に対する幾分のずれが形成される。
【0151】
加熱が完了すると、例えば、加熱および冷却用にモールドに設けられた通路に冷却水を循環させることにより、モールドが冷却されることが好ましい。これは、Expancel152で形成された発泡プラスチック材料を十分に硬化する上で必要となる。これにより、モールドからラケットフレームを取り出す際に生じ得る、フレーム材料のさらなる膨脹が回避される。10-15℃までの冷却により、優れた特性のフレームが製造されることが見出されている。ただし、この特定の温度範囲は、それ程重要ではない。次に、ラケットは、従来の方法で仕上げられ、孔開け、ガット張り、および適当なハンドルグリップの適用が行われる。
【0152】
原理上、合わせモールドハーフは、加熱および冷却用の通路を有するが、モールドは、そのような通路を有する金属板の組の間に配置された、そのような通路を有さなくても良い。これは、金属板の間に固定された2つの部分を有するクラムシェルモールドを加熱および冷却する、高温および低温液体を受容する際に使用されても良い。
【0153】
以下、テニスラケットの製造について示す。フレームは、前述のように、二重スチックテープを用いてコアの周囲に固定された、ナイロン管を用いて構成される。テニスラケットフレームを製造するプロセスステップは、バドミントンラケットを製造する場合と同様であるが、炭素繊維および発泡プラスチックの量が実質的に多いという点が異なる。
【0154】
図51に示すように、多くのグラファイト繊維ストリップを使用するテニスラケットに関する本発明の製造方法では、ラケットに成形される際、レイアップ210は、
図52に示すように、ラケットのハンドルのベースから、ハンドルの全長を介して延伸し、ラケットのヘッドの周囲を周り、ハンドルの全長に沿って、ラケットのハンドルのベースに戻る。喉部は、クロスピース212で形成され、これは、ラケットのヘッドの周囲で終わる。クロスピース212は、本発明のプロセス用いて製造されても良いが、この特性は、重要ではない。なぜなら、これは、十分に支持され、全長が短いからである。クロスピース212は、螺旋状に巻き回された横道によって支持され、または前述のバドミントンラケットの製造プロセスの場合のように、他のグラファイト樹脂繊維のストリップによって支持される。レイアップが形成された後、これは、木製のモールドの周囲に形成された、通常のテニスラケットの形状にされる。次に、クロスピース212は、前述の樹脂含浸された炭素繊維のストリップと固定される。次に、繊維構造は、ハンドルを、異なる配向を有するグラファイト繊維のいくつかの層で覆うことにより完成し、全ての方向に強度が付与される。
【0155】
図51を参照すると、テニスフレームの複数の部品の概略的な分解平面図が示されている。
図51には、テニスラケットフレームの喉部を定めるクロスピースの部分は、示されていないが、クロスピースの構成は、
図51の配置の記載の後に示される。この分解図では、以下に明らかとなるように、いくつかのケースにおいて、同じ部品は、一回しか示されていないことに留意する必要がある。
【0156】
スリーブが巻き回され、捻れたコアの周囲に固定された後、155cmの長さを有する第1のストリップ216は、ナイロンスリーブの上に中心化され、ぴったり巻き回される。ストリップ216は、グラファイト繊維の2つの層を有し、これらは、全長に対して+30゜および-30゜で配向される。ストリップは、7.2cmの幅を有する。グラファイト/樹脂材料の各種ストリップは、以下に示すように、これらがコアを被覆するナイロンスリーブで、順番に覆われる。次に、レイアップの中心線222から74cmの位置に、ストリップ218、220が配置される。ストリップ218、220は、台形状であり、グラファイト繊維の2つの層を有する。一方は、ストリップの全長に対して+30゜であり、他方は、-30゜である。ストリップ218、220が配置された後、ストリップ218、220と等しい第2組のストリップ(幅7.2cmであり、全長11cmであり、短長9cmである)が配置される。図に示すように、任意で、これらは、上下反対の配向に配置されても良い。これらのストリップは、フレームの外側にあるものの上に配置される。
【0157】
図51には、レイアップの中心線222から炭素繊維ストリップの各種端部までの距離が示されていることが理解される。すなわち、ストリップ216は、レイアップの中心に配置され、155cmの全長を有し、中心線222から各端部までは、77.5cmである。同様に、ストリップ218は、11cmの全長、9cmの短長を有し、中心線222から距離74cmの位置に配置される。レイアップの中心線からストリップの各種端部およびコーナー部までの距離は、
図51にcm単位で示されている。
【0158】
ストリップ224は、台形状であり、中心線222から82cmの位置(左側)から、中心線222から5cmの位置(右側)まで延伸する。ストリップ226は、ストリップ224の鏡像となっている。ストリップ226は、台形状であり、中心線222から82cmの位置(右側)から、中心線222から5cmの位置(左側)まで延伸する。ストリップ224、226は、87cmの全長であり、2層のグラファイト繊維ストリップを有し、各層は、ストリップの全長に対して+10゜および-10゜で延伸する。ストリップ224、226が配置された後、上部に同様のストリップ組が配置される。
【0159】
全長が130cmのストリップ228は、2層グラファイト繊維で構成され、各層は、全長に対して+30゜および-30゜の傾斜を有する。そのようなストリップは、2回設置され、必要に応じて、第2の設置の間、上下が反対に配置される。ストリップ216-226とは異なり、ストリップ228は、ラケットフレームの内側となるように設置されても良い。ストリップ224、226、228は、全て7.2cmの幅を有する。
【0160】
92cm全長および2cmの幅を有するストリップ230は、ラケットヘッドの外側に配置され、ストリップ230の全長に対して横方向に伸びる繊維を有する。グラファイト繊維ストリップが設置される際、これらは、リリースペーパーに付いた状態で処理されることに留意する必要がある(全てのグラファイト繊維ストリップが本発明の方法で使用される場合が好ましい)。これは、特に、ストリップ230の場合、重要である。これらがレイアップに設置されると、リリースペーパーが剥がされる。
【0161】
幅0.5cmのストリップ232は、全長に平行な繊維を有する2層を有する。これは、ラケットレイアップの外側で覆われる。ストリップ232は、レイアップのラケットの面となる部分に配置される。ストリップ232と同じ第2のストリップが設置され、ラケットの反対面となる。
【0162】
幅2cm、全長12cmのストリップ234は、グラファイト繊維の2つの層を有する。一つの層は、ストリップの全長に平行な繊維を有し、他方は、ストリップの全長に垂直な繊維を有する。第1のストリップ234がレイアップの内側に設置されると、レイアップの外側に、第2の同じストリップ234が設置される。
【0163】
ストリップ236は、3cmの幅を有し、2つの層で構成され、各層は、ストリップの全長に対して+10゜および-10゜に配向されたグラファイトを有する。レイアップの外側に、第1組のストリップ236が配置された後、レイアップの内側に、第2組のストリップ236が配置される。
【0164】
ストリップ238は、2cmの幅および90cmの全長を有し、レイアップの内側に配置される。ストリップ240は、7.5cmの幅を有し、レイアップの内側に設置される。ストリップ240は、2層構造であり、各層は、全長に対して+30゜および-30゜に配向される。2つのストリップ240は、レイアップの内側に設置される。
【0165】
ストリップ242は、7.9cmの幅および122cmの全長を有し、ストリップ242の全長に対して+10゜および-10゜に配向された繊維を有する2層で構成される。そのような2つのストリップ242は、レイアップの外側に配置される。
【0166】
ストリップ244は、155cmの全長および8cmの幅を有し、2層構造であり、各層は、それぞれ、ストリップ244の全長に対して、+30゜および-30゜に配向されたグラファイト繊維を有する。そのような2つのストリップ244は、レイアップの外側に配置される。
【0167】
各ストリップ246は、7.5cmの幅および11cmの全長を有する。ストリップ246は、2層構造であり、繊維は、ストリップの全長に対して+30゜および-30゜に配向される。そのようなストリップ246の4つの組は、レイアップの外側の周囲に巻き付けられる。
【0168】
ストリップ248は、2cmの幅および10cmの全長を有し、繊維が+10゜および-10゜に配向された2層構造を有する。そのような2つのストリップ248は、レイアップの内側に配置される。他の台形および平行四辺形状のストリップと同様に、図に示すように、上部から底部までを逆にし、ストリップの第2組を構造対称にしても良い。2つのそのようなストリップ248が使用される。
【0169】
ストリップ250は、3cmの幅を有し、4層構造を有し、グラファイト層は、+10゜-10゜、+30゜、および-30゜に配向される。
【0170】
これに関連して、外部空気圧源を使用する従来の空気圧縮システムを用いて構成されるいかなる構造も、本発明の方法に同様に使用することができ、材料必要量の低減に適合させることができることに留意する必要がある。
【0171】
図51に示すストリップを用いて、フレームレイアップの主要部が完成した後、ナイロンスリーブに25gのExpancel152が設置され、この上に、グラファイト/樹脂ストリップが巻き回される。これは、2回にわたって行われ、各々12.5gがコアに対応するレイアップの各ハーフに挿入され、レイアップが覆われる。Expancel152の導入後、ナイロンスリーブの端部は、結ばれ、またはプラスチックコアの発泡の間、圧力が維持されるように密閉される。
【0172】
次に、例えば、オフィスの事務用に使用されるような、通常の二重スチックテープにより、管状ナイロン部材をコアに強固に巻き回すことにより、レイアップクロスピース212が構成される。前述のバドミントンラケットの例のように、グラファイト/樹脂材料の各種ストリップが使用され、これが2つのコアを覆うナイロンスリーブに巻き付けられる。
【0173】
まず、6cmの幅および12cmの全長の第1のストリップがナイロンスリーブに巻き回される。繊維は、ストリップの全長に対して+30゜および-30゜に配向される。次に、全長11cmおよび幅11cmの、ストリップの全長に対して+10゜および-10゜に配向された繊維の別のストリップが使用される。次に、21cmの幅および11cmの幅を有し、約2.5cmの距離にわたってテーパー化された端部を有し、全長に対して+30゜および-30゜に配向された繊維を有するストリップが、前の層に巻き付けられる。
【0174】
次に、全長10cmおよび幅2cmで、ストリップの全長に対して+10゜および-10゜に配向された繊維を有する2つの層を有する別のストリップが組み立てに追加される。このストリップは、ラケットのヘッドの内側になる部分に巻き回される。
【0175】
次に、全長10cm、幅2cmで、ストリップの全長に対して90゜および0゜に配向された繊維を有する2層を有する別のストリップが、組み立てに追加される。このストリップは、ラケットのヘッドの外側となる部分で中心化され、ここに巻き付けられる。
【0176】
次に、全長に対して+30゜および-30゜に配向された繊維を有し、全長21cm、幅4.5cmであり、端部が約2cmの距離にわたってテーパー化されたストリップが、前の層に巻き付けられる。その後、全長に対して+30゜および-30゜に配向された繊維を有し、全長10cm、幅7cmのストリップが、前の層に巻き付けられる。
【0177】
クロスピース212のレイアップが形成され、コアが除去された後、ナイロンスリーブに2gのExpancel152が導入され、この上に、クロスピース212のレイアップが巻き付けられる。ナイロンスリーブの端部は、密閉され、好ましくは、クロスピースレイアップのグラファイト層によって定められる管内に、結び目を設けることにより密閉される。これにより、レイアップの形成が完了する。必要な場合、クロスピースレイアップにおいて、ナイロンスリーブの端部を結ぶステップを省略しても良く、モールド、および主要レイアップのヘッド部の隣接する部分からの圧力によって、押し圧が加わり(発泡膨脹のため)、加熱および硬化の間に、クロスピースレイアップの端部が密閉される。
【0178】
図52に示すように、レイアップ214は、クロスピース212およびメインフレーム部210を有する。これらは、
図53に示すように、追加のストリップおよび樹脂含浸ガラス繊維のパッチを受ける前に、木製フォームを用いて所望の形状にされ、
図54に示すように、鉄モールド底部部材216に入れられる。木製フォームは、ヘッドサポート218および喉サポート220を有する。その後、以下に示すように、追加のストリップおよびパッチがレイアップに加えられる。その後、完成したレイアップは、
図54に示すように、鉄モールド底部部材216内に配置される。
【0179】
図55を参照すると、結び目218を有するナイロンスリーブの結ばれた端部は、鉄モールドから飛び出しても良い。あるいは、
図56に示すように、結び目222は、充填レイアップの間に押し込められ、モールドは、平坦底部を形成するように構成され、この場合、
図55の実施例に示すように、ハンドルのベースで切断する必要性がなくなる。
【0180】
図57を参照すると、前述の追加ストリップおよびパッチを覆うことによる、クロスピース212の取り付けプロセスがより良く理解される。
【0181】
特に、
図57を参照すると、クロスピースレイアップ224は、第2の管状グラファイト/樹脂支持部材を受ける。この第2の管状グラファイト/樹脂支持部材は、樹脂含浸された2層のグラファイトストリップを、管状に巻き付けることにより構成され、ストリップは、10cmの全長および21cmの幅を有し、テーパ化された端部を有し、その層は、ストリップの全長に対して+30゜および-30゜に配向される。管は、支持部材226が平坦化された際に、直径を有するようになり、幅は、完成後のラケットフレームの厚さよりも僅かに小さい必要がある。
【0182】
この第2の管状グラファイト/樹脂支持部材は、2層の樹脂含浸グラファイトストリップを、管状に巻き付けることにより構成され、このストリップは、全長10cmで幅7cmであり、その層は、ストリップの全長に対して+30゜および-30゜に配向される。管は、支持部材226が平坦化された際に、直径を有するようになり、幅は、完成後のラケットフレームの厚さよりも僅かに小さい必要がある。
【0183】
別のグラファイト/樹脂ストリップ228は、クロスピースレイアップ224および支持部材226の周囲に巻き付けられる。ストリップ228は、樹脂含浸された2層グラファイトストリップであり、10cmの全長および7cmの幅を有し、各層は、ストリップの全長に対して+30゜および-30゜に配向される。
図58に示すように、ストリップ228は、クロスピースレイアップ224と支持部材226の組み合わせの中心部の周囲に巻き付けられる。
【0184】
クロスピースレイアップ224が構成された後、これは、ラケットフレームの主要部210とともに、
図53の木製フォーム上に配置され、固定される。
図59に示すように、クロスピースレイアップ224および支持部材226の端部230、232は、それぞれ、相互に遠ざかるように曲げられる。主要部210、およびクロスピースレイアップ224と支持部材226の組み合わせは、次に、
図53の木製フォーム上に配置される。フレーム素子の相対位置は、
図60から確認でき、この図では、明確化のため、木製フォームの図示が排除されている。4つの全ての端部230、232は、その後、樹脂含浸されたグラファイト繊維のストリップによって結合され、このストリップの全長は、約12cmであり、幅は、約1cmである。これらは、単一層のグラファイト繊維ストリップであり、繊維は、ストリップの全長に沿って配向されても良い。多少の重なり合いは許容されるが、これを平滑な螺旋状に巻き回すことにより、
図60において、概略的に螺旋234で示されたストリップの端部の間で、結合が行われる。他の端部に螺旋は示されていないが、これらは同様に巻き付けられる。
【0185】
フレームのハンドル部は、炭素繊維の2つのストリップによって巻き回され、各々のストリップは、繊維がストリップの全長に対して+30゜および-30゜に配向された2層構造を有する。ストリップは、何れも、17cmの全長と4cmの幅を有する。
【0186】
次に、完成したレイアップは、木製フォームから除去され、鉄モールドの底部ハーフに配置され、加熱される。
図61に示すような密閉ハンドル鉄モールドが使用される場合、レイアップの主要部210を形成するため、ナイロンスリーブの端部を結ぶことが省略されても良い。ナイロンスリーブの端部は、単に折り曲げられ、レイアップの主要部の2つの端部の間に配置される。そのような単純な折り曲げは、任意で、クロスピースのナイロンスリーブの端部に対して行われても良く、これは、クロスピースを形成するため巻き回されたグラファイト層によって形成された管に、注意深く押し込まれる。
【0187】
また、本発明では、グラファイト複合部材は、例えば管状ナイロンスリーブのような、いかなる不浸透性部材をも使用せずに製造することも可能である。この場合、グラファイトストリップは、コアに直接巻き付けられ、おそらく、グラファイトストリップは、片側が不活性粉末のような剥離剤でコーティングされた第1の樹脂含浸グラファイトの層を有し、これにより、層がコアに付着することが防止される。次に、管状レイアップは、追加グラファイト/樹脂ストリップの連続的な巻き付けにより形成されても良い。レイアップの巻き付けが完了した際、完成後のレイアップは、自身に重なるように折り曲げられた端部を有し、これらが実質的にシールされても良い。次に、例えば
図56に示すように、例えばテニスラケットの部品が密閉モールドに入れられる。また、レイアップの巻き付け前に、例えば、スプーン150の構成を有し、スプーン部148にプラスチック発泡材料(Expancel152)を含む、開放された半円筒状コアを使用しても良い。また、スプーン部148は、正方形または他の形状の断面を有するように形成することが望ましい。レイアップが巻き付けられた後、そのようなスプーンコアを使用する際、レイアップには回転のみが必要になり、これにより、プラスチック形成材料は、レイアップの内面に落ちる。その後、スプーンが除去され、
図56に示すように、これらをモールドに配置し、加熱硬化する前に、これらをシールするため、端部が折り曲げられる。
【0188】
本発明の一例としての実施例について説明したが、当業者には、前記記載および説明に基づいて、本発明の方法および使用材料の各種変更が明らかであることが理解される。これらの明らかな変更に加えて、本発明は、他の分野に適用しても良い。例えば、本発明の技術は、自転車フレームの形成に使用することができ、この場合、フレームの異なる部分に、異なる配向が適用され、使用の際に、フレームのこれらの部分に形成される応力に対処できる。そのような変更は、本発明の思想および範囲に含まれ、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。