特許第6403815号(P6403815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403815
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/02 20060101AFI20181001BHJP
   E03B 7/07 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   F04B23/02 C
   E03B7/07 Z
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-15332(P2017-15332)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-123529(P2018-123529A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2017年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】中原 利博
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−151153(JP,A)
【文献】 特開2008−261276(JP,A)
【文献】 特開2001−164606(JP,A)
【文献】 特開2013−11254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/02
E03B 7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上水道配水管に接続される吸込口と、需要先に接続される吐出口と、を備えた、給水装置において、
前記吸込口から延びる吸込管の分岐箇所からそれぞれ延びる第1上流分岐管及び第2上流分岐管と、
前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の下流側にそれぞれ配置された、第1下流分岐管及び第2下流分岐管と、
吸込側連通管と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管の下流側から前記給水装置の吐出口まで延びる吐出管と、
前記第1上流分岐管に設けられた、第1開閉弁及びその下流側の第1逆流防止器と、
前記第2上流分岐管に設けられた、第2開閉弁及びその下流側の第2逆流防止器と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管にそれぞれ設けられた、第1ポンプ及び第2ポンプと、
前記第1ポンプの上流側で前記第1下流分岐管の上流端に接続された第1口と、前記吸込側連通管の一端に接続された第2口と、第3口とを有する、第1吸込側三方弁と、
前記第2ポンプの上流側で前記第2下流分岐管の上流端に接続された第1口と、前記吸込側連通管の他端に接続された第2口と、前記第2上流分岐管の下流端に接続された第3口とを有する、第2吸込側三方弁と、
前記第1下流分岐管の外部で、前記第1ポンプの上流側及び下流側どうしを連通する、第1バイパス管と、
前記第1バイパス管に設けられた第1逆止弁と、
を備えた、給水装置。
【請求項2】
吐出側連通管と、
前記第1ポンプの下流側で前記第1下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記吐出側連通管の一端に接続された第2口と、第3口とを有する、第1吐出側三方弁と、
前記第2ポンプの下流側で前記第2下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記吐出側連通管の他端に接続された第2口とを有する、三方弁又は二方弁からなる第2吐出側切替弁と、
をさらに備え、
前記第1バイパス管は、前記第1吸込側三方弁の第3口と前記第1吐出側三方弁の第3口とを連通しており、
前記吐出側連通管には、前記第1吐出側三方弁と前記第2吐出側切替弁との間で、前記吐出管の上流端が接続されている、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記第1上流分岐管の下流端が、前記第1吸込側三方弁と前記第2吸込側三方弁との間で、前記吸込側連通管に接続されており、
前記第1上流分岐管には、第1逆流防止器の下流側に、第3開閉弁が設けられている、請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記第1上流分岐管の下流端が、前記第1吸込側三方弁の第3口と前記第1バイパス管との接続箇所に接続されている、請求項2に記載の給水装置。
【請求項5】
前記第1逆流防止器及び前記第2逆流防止器より下流側の前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の上側で、前記第1吸込側三方弁、前記第2吸込側三方弁、前記第1吐出側三方弁、及び前記第2吐出側切替弁が、同一平面上に配置されており、
前記第1下流分岐管は、前記第1吸込側三方弁及び前記第1吐出側三方弁の上側に配置されており、
前記第2下流分岐管は、前記第2吸込側三方弁及び前記第2吐出側切替弁の上側に配置されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記第1吸込側三方弁及び前記第1吐出側三方弁を、操作部の操作により同時に切り替えられるように構成された、第1回転軸と、
前記第2吸込側三方弁及び前記第2吐出側切替弁を、操作部の操作により同時に切り替えられるように構成された、第2回転軸と、
をさらに備えた、請求項2〜5のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項7】
前記第1下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記第2下流分岐管の下流端に接続された第2口と、前記吐出管の上流端に接続された第3口とを有する、吐出側三方弁を、さらに備え、
前記第1吸込側三方弁の第3口が、前記第1上流分岐管の下流端に接続されており、
前記第1バイパス管は、前記第1吸込側三方弁と前記第1ポンプとの間の前記第1下流分岐管から分岐し、前記第1ポンプと前記吐出側三方弁との間の前記第1下流分岐管に合流している、請求項1に記載の給水装置。
【請求項8】
前記第2下流分岐管の外部で、前記第2ポンプの上流側及び下流側どうしを連通する、第2バイパス管と、
前記第2バイパス管に設けられた第2逆止弁と、
をさらに備えた、請求項4又は7に記載の給水装置。
【請求項9】
上水道配水管に接続される吸込口と、需要先に接続される吐出口と、を備えた、給水装置において、
前記吸込口から延びる吸込管の分岐箇所からそれぞれ延びる第1上流分岐管及び第2上流分岐管と、
前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の下流側にそれぞれ配置された、第1下流分岐管及び第2下流分岐管と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管の下流側から前記吐出口まで延びる吐出管と、
前記第1上流分岐管に設けられた、第1開閉弁及びその下流側の第1逆流防止器と、
前記第2上流分岐管に設けられた、第2開閉弁及びその下流側の第2逆流防止器と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管にそれぞれ設けられた、第1ポンプ及び第2ポンプと、
前記第1ポンプの上流側で、前記第1上流分岐管の下流端と前記第1下流分岐管の上流端との接続箇所から分岐し、前記第1ポンプの下流側で、前記第1下流分岐管に合流する、第1バイパス管と、
前記第2ポンプの上流側で、前記第2上流分岐管の下流端と前記第2下流分岐管の上流端との接続箇所から分岐し、前記第2ポンプの下流側で、前記第2下流分岐管に合流する、第2バイパス管と、
前記第1バイパス管及び前記第2バイパス管にそれぞれ設けられた第1逆止弁及び第2逆止弁と、
前記第1下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記第2下流分岐管の下流端に接続された第2口と、前記吐出管の上流端に接続された第3口とを有する、吐出側三方弁と、
を備えた、給水装置。
【請求項10】
前記第1逆流防止器及び前記第2逆流防止器の出口は、同一の水平方向に指向されており、
前記第1逆流防止器及び前記第2逆流防止器より下流側の前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の上側で、前記第1バイパス管、前記第2バイパス管、及び前記吐出側三方弁が、同一平面上に配置され、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管は、それぞれ前記第1バイパス管及び前記第2バイパス管の上側に配置されており、
前記吐出管は、前記吐出側三方弁から下側へ延びている、請求項9に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商業建造物や集合住宅等、上水を大量に消費する需要先に、充分な水を供給するために、上水道配水管と需要先との間に給水装置が設置されることがある。このような給水装置としては、複数のポンプを並列に配置し、ポンプの吸込側及び吐出側どうしを連通するバイパス管を設け、バイパス管に逆止弁を設け、さらに、ポンプの吸込側に逆流防止器を設けたものが、知られている(例えば、特許文献1)。このような給水装置は、例えば昼間等の使用水量が多く、水道配管の圧力では十分な給水が可能でないときは、上水道配水管からの水をポンプで昇圧して需要先に送るが、例えば夜間等の使用水量の少なく、水道配管の圧力で十分給水が可能なときは、全てのポンプを停止させ、上水道配水管の水圧を利用して、上水道配水管からの水をバイパス管を通じて需要先に送るようにされる。複数のポンプを並列に設けることで、ポンプの故障等による給水停止を回避できるようにされている。逆流防止器は、第1逆止弁、第2逆止弁及び逃し弁の組合せからなり、需要先の水が上水道配水管に逆流するのを確実に防止するように構成されている。逆流防止器は、日本水道協会によって、ポンプの吸込側または吐出側に設けることが義務付けられている。逆流防止器の故障や点検時の給水停止を招かないようにするためには、複数の逆流防止器をポンプの吸込側または吐出側に並列に配置することが効果的であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4434392号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給水装置では、例えば逆流防止器、バイパス管に設けられた逆止弁等の弁、ポンプ等の構成部品について、定期的あるいは必要時に、点検や部品交換等のメンテナンスが行われる。例えば、逆流防止器については、定期的(例えば1年に1度)にメンテナンスする必要がある。また、バイパス管に設けられた逆止弁については、仮にこれに故障が生ずれば、ポンプ吐出側の圧力が低下して給水不能になる可能性があることから、メンテナンスの対象となることがある。
給水装置の構成部品のメンテナンス時では、給水装置全体の断水、すなわち給水停止は、なるべく回避されることが望ましい。特に逆流防止器のメンテナンス時では、給水装置の給水停止は、回避される必要がある。そのための対策案としては、各メンテナンス対象部品の上流側及び下流側に、それぞれ個別の切替弁を設け、ある部品のメンテナンス時には、当該部品の上流側及び下流側の切替弁を閉鎖し、他の流路は通水可能にすることが考えられる。しかし、その場合は切替弁の数が非常に多くなるため、給水装置の大型化や高コスト化のおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためにされたものであり、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる、給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、次の通りである。
【0007】
本発明の給水装置は、
上水道配水管に接続される吸込口と、需要先に接続される吐出口と、を備えた、給水装置において、
前記吸込口から延びる吸込管の分岐箇所からそれぞれ延びる第1上流分岐管及び第2上流分岐管と、
前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の下流側にそれぞれ配置された、第1下流分岐管及び第2下流分岐管と、
吸込側連通管と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管の下流側から前記給水装置の吐出口まで延びる吐出管と、
前記第1上流分岐管に設けられた、第1開閉弁及びその下流側の第1逆流防止器と、
前記第2上流分岐管に設けられた、第2開閉弁及びその下流側の第2逆流防止器と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管にそれぞれ設けられた、第1ポンプ及び第2ポンプと、
前記第1ポンプの上流側で前記第1下流分岐管の上流端に接続された第1口と、前記吸込側連通管の一端に接続された第2口と、第3口とを有する、第1吸込側三方弁と、
前記第2ポンプの上流側で前記第2下流分岐管の上流端に接続された第1口と、前記吸込側連通管の他端に接続された第2口と、前記第2上流分岐管の下流端に接続された第3口とを有する、第2吸込側三方弁と、
前記第1下流分岐管の外部で、前記第1ポンプの上流側及び下流側どうしを連通する、第1バイパス管と、
前記第1バイパス管に設けられた第1逆止弁と、
を備えている。
本発明の給水装置によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0008】
本発明の給水装置においては、
吐出側連通管と、
前記第1ポンプの下流側で前記第1下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記吐出側連通管の一端に接続された第2口と、第3口とを有する、第1吐出側三方弁と、
前記第2ポンプの下流側で前記第2下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記吐出側連通管の他端に接続された第2口とを有する、三方弁又は二方弁からなる第2吐出側切替弁と、
をさらに備え、
前記第1バイパス管は、前記第1吸込側三方弁の第3口と前記第1吐出側三方弁の第3口とを連通しており、
前記吐出側連通管には、前記第1吐出側三方弁と前記第2吐出側切替弁との間で、前記吐出管の上流端が接続されていると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0009】
本発明の給水装置においては、
前記第1上流分岐管の下流端が、前記第1吸込側三方弁と前記第2吸込側三方弁との間で、前記吸込側連通管に接続されており、
前記第1上流分岐管には、第1逆流防止器の下流側に、第3開閉弁が設けられていると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0010】
本発明の給水装置においては、
前記第1上流分岐管の下流端が、前記第1吸込側三方弁の第3口と前記第1バイパス管との接続箇所に接続されていると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0011】
本発明の給水装置においては、
前記第1逆流防止器及び前記第2逆流防止器より下流側の前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の上側で、前記第1吸込側三方弁、前記第2吸込側三方弁、前記第1吐出側三方弁、及び前記第2吐出側切替弁が、同一平面上に配置されており、
前記第1下流分岐管は、前記第1吸込側三方弁及び前記第1吐出側三方弁の上側に配置されており、
前記第2下流分岐管は、前記第2吸込側三方弁及び前記第2吐出側切替弁の上側に配置されていると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、給水装置の大型化を抑制できる。
【0012】
本発明の給水装置においては、
前記第1吸込側三方弁及び前記第1吐出側三方弁を、操作部の操作により同時に切り替えられるように構成された、第1回転軸と、
前記第2吸込側三方弁及び前記第2吐出側切替弁を、操作部の操作により同時に切り替えられるように構成された、第2回転軸と、
をさらに備えていると、好適である。
この構成によれば、給水装置の大型化をより効果的に抑制でき、また、操作性を向上できる。
【0013】
本発明の給水装置においては、
前記第1下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記第2下流分岐管の下流端に接続された第2口と、前記吐出管の上流端に接続された第3口とを有する、吐出側三方弁を、さらに備え、
前記第1吸込側三方弁の第3口が、前記第1上流分岐管の下流端に接続されており、
前記第1バイパス管は、前記第1吸込側三方弁と前記第1ポンプとの間の前記第1下流分岐管から分岐し、前記第1ポンプと前記吐出側三方弁との間の前記第1下流分岐管に合流していると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0014】
本発明の給水装置においては、
前記第2下流分岐管の外部で、前記第2ポンプの上流側及び下流側どうしを連通する、第2バイパス管と、
前記第2バイパス管に設けられた第2逆止弁と、
をさらに備えていると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、メンテナンス時に給水停止を回避できる。
【0015】
本発明の他の給水装置は、
上水道配水管に接続される吸込口と、需要先に接続される吐出口と、を備えた、給水装置において、
前記吸込口から延びる吸込管の分岐箇所からそれぞれ延びる第1上流分岐管及び第2上流分岐管と、
前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の下流側にそれぞれ配置された、第1下流分岐管及び第2下流分岐管と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管の下流側から前記吐出口まで延びる吐出管と、
前記第1上流分岐管に設けられた、第1開閉弁及びその下流側の第1逆流防止器と、
前記第2上流分岐管に設けられた、第2開閉弁及びその下流側の第2逆流防止器と、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管にそれぞれ設けられた、第1ポンプ及び第2ポンプと、
前記第1ポンプの上流側で、前記第1上流分岐管の下流端と前記第1下流分岐管の上流端との接続箇所から分岐し、前記第1ポンプの下流側で、前記第1下流分岐管に合流する、第1バイパス管と、
前記第2ポンプの上流側で、前記第2上流分岐管の下流端と前記第2下流分岐管の上流端との接続箇所から分岐し、前記第2ポンプの下流側で、前記第2下流分岐管に合流する、第2バイパス管と、
前記第1バイパス管及び前記第2バイパス管にそれぞれ設けられた第1逆止弁及び第2逆止弁と、
前記第1下流分岐管の下流端に接続された第1口と、前記第2下流分岐管の下流端に接続された第2口と、前記吐出管の上流端に接続された第3口とを有する、吐出側三方弁と、
を備えている。
本発明の他の給水装置によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0016】
本発明の他の給水装置においては、
前記第1逆流防止器及び前記第2逆流防止器の出口は、同一の水平方向に指向されており、
前記第1逆流防止器及び前記第2逆流防止器より下流側の前記第1上流分岐管及び前記第2上流分岐管の上側で、前記第1バイパス管、前記第2バイパス管、及び前記吐出側三方弁が、同一平面上に配置され、
前記第1下流分岐管及び前記第2下流分岐管は、それぞれ前記第1バイパス管及び前記第2バイパス管の上側に配置されており、
前記吐出管は、前記吐出側三方弁から下側へ延びていると、好適である。
この構成によれば、より効果的に、給水装置の大型化を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる、給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る給水装置の概略的な配管回路図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る給水装置の一例の外観を示しており、図2(a)は左側の側面図、図2(b)は正面図、図2(c)は右側の側面図である。
図3図2の給水装置の一部を示す斜視図であり、図3(a)は左側から観た様子を示しており、図3(b)は右側から観た様子を示している。
図4図4(a)は図2の給水装置の一部を後側から観た様子を示す斜視図であり、図4(b)は図2の給水装置の一部を示す分解斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る給水装置の概略的な配管回路図である。
図6図5の給水装置が別の状態にあるときの様子を示す、概略的な配管回路図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る給水装置の概略的な配管回路図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る給水装置の一例の一部を示す斜視図であり、図8(a)は右側から観た様子を示しており、図8(b)は後側から観た様子を示している。
図9】本発明の第4実施形態に係る給水装置の概略的な配管回路図である。
図10図9の給水装置が別の状態にあるときの様子を示す、概略的な配管回路図である。
図11図9の給水装置がさらに別の状態にあるときの様子を示す、概略的な配管回路図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る給水装置の一例の一部を示す斜視図であり、図12(a)は右側から観た様子を示しており、図12(b)は後側から観た様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
本発明の給水装置は、商業建造物や集合住宅等、上水を大量に消費する需要先に、充分な水を供給するために、上水道配水管と需要先との間に設置されるように構成された、直結給水式の給水装置である。本発明の給水装置は、キャビネット型の給水装置として構成されると特に好適なものであるが、据置型の給水装置として構成されても好適なものである。
【0020】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態について、図1図4を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る給水装置1の概略的な配管回路図である。図2図4は、第1実施形態に係る給水装置1の一例の外観を示しており、図1を参照して後述する配管回路構成を備えるものである。ただし、第1実施形態に係る給水装置1は、図1を参照して後述する配管回路構成を備えるものである限り、任意の外観構成(三次元構成)を有してよい。
本実施形態の給水装置1は、高層集合住宅等の水の需要先に充分な給水をするために用いられる、直結給水式給水装置であり、キャビネット型の給水装置として構成されると特に好適なものであるが、据置型の給水装置として構成されても好適なものである。図2図4の例では、本実施形態の給水装置1は、キャビネット型の給水装置として構成されている。
【0021】
まず、図1を参照して、第1実施形態の給水装置1の配管回路について説明する。
図1において、本実施形態の給水装置1は、上水道配水管に接続される吸込口1aと、需要先に接続される吐出口1bと、を備えている。給水装置1は、吸込口1aと吐出口1bとの間の配管に、給水装置1の吸込口1aから延びる吸込管r0の分岐箇所からそれぞれ延びる第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2と、第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2の下流側にそれぞれ配置された、第1下流分岐管m1及び第2下流分岐管m2と、第1下流分岐管m1及び第2下流分岐管m2の下流側から給水装置1の吐出口1bまで延びる吐出管r3と、を備えている。なお、吸込管r0、第1上流分岐管r1、第2上流分岐管r2、第1下流分岐管m1、第2下流分岐管m2、吐出管r3は、それぞれ、図1のような配管回路を観たときの配管部分を指しているにすぎず、実際の外観構成においては、1本の管から構成されてもよいし、複数本の管を連結して構成されてもよいし、あるいは、互いに一体に構成されてもよい。
本実施形態の給水装置1は、2台のポンプP1、P2を並列に設けているとともに、各ポンプP1、P2の上流側で、2つの逆流防止器BP1、BP2を並列に設けている。
【0022】
吸込管r0には、圧力発信器PT1が設けられている。
第1上流分岐管r1には、第1開閉弁GV11と、その下流側のストレーナSTR1と、その下流側の第1逆流防止器BP1とが、設けられている。第2上流分岐管r2には、第2開閉弁GV12と、その下流側のストレーナSTR2と、その下流側の第2逆流防止器BP2とが、設けられている。すなわち、第1開閉弁GV11、ストレーナSTR1、及び第1逆流防止器BP1は、それぞれ第2開閉弁GV12、ストレーナSTR2、及び第2逆流防止器BP2に対して、並列に配置されている。
本明細書において、「開閉弁」とは、流路を開閉可能に構成された、切替弁である。
第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2は、それぞれ、図示しない第1逆止弁、第2逆止弁及び逃し弁の組合せからなり、需要先の水が上水道配水管に逆流するのを防止するように構成されている。
ただし、ストレーナSTR1、STR2は、本例とは異なる位置に配置されてもよい。
【0023】
第1下流分岐管m1には、第1ポンプP1と、その下流側(吐出側)の逆止弁CV11とが、設けられている。第2下流分岐管m2には、第2ポンプP2と、その下流側(吐出側)の逆止弁CV12とが、設けられている。すなわち、第1ポンプP1、逆止弁CV11は、それぞれ第2ポンプP2、逆止弁CV12に対して、並列に配置されている。
逆止弁CV11、CV12は、それぞれ、下流側への水の通過を許容するがその逆を許容しないように構成されている。
ただし、逆止弁CV11、CV12は、本例とは異なる位置に配置されてもよい。
【0024】
本実施形態の給水装置1は、さらに、第1ポンプP1の上流側で、第1上流分岐管r1の下流端と第1下流分岐管m1の上流端との接続箇所から分岐し、第1ポンプP1の下流側で、第1下流分岐管m1に合流する、第1バイパス管b1と、第2ポンプP2の上流側で、第2上流分岐管r2の下流端と第2下流分岐管m2の上流端との接続箇所から分岐し、第2ポンプP2の下流側で、第2下流分岐管m2に合流する、第2バイパス管b2とを、備えている。第1バイパス管b1、第2バイパス管b2には、それぞれ第1逆止弁CV21、第2逆止弁CV22が、設けられている。第1逆止弁CV21、第2逆止弁CV22は、それぞれ、下流側への水の通過を許容するがその逆を許容しないように構成されている。
【0025】
以下では、便宜のため、第1下流分岐管m1、第1バイパス管b1、及びこれらに設けられた各構成要素を、まとめて「第1ポンプ系統S1」と呼び、第2下流分岐管m2、第2バイパス管b2、及びこれらに設けられた各構成要素を、まとめて、「第2ポンプ系統S2」と呼ぶ。第1ポンプ系統S1は、第2ポンプ系統S2に対して、並列に配置されている。
【0026】
本実施形態の給水装置1は、さらに、第1ポンプ系統S1と第2ポンプ系統S2との合流箇所に設けられた、吐出側三方弁GV20を備えている。吐出側三方弁GV20は、第1下流分岐管m1の下流端に接続された第1口v1と、第2下流分岐管m2の下流端に接続された第2口v2と、吐出管r3の上流端に接続された第3口v3とを有する。
本例において、吐出側三方弁GV20は、第1口v1、第2口v2、及び第3口v3の全てを開放した状態と、第1口v1、第2口v2、及び第3口v3のいずれか1つを閉鎖して残り2つを開放した状態とを、切り替えることにより、流路の切り換えができるように構成された、切替弁である。
【0027】
図1の例において、吐出管r3には、上流側から下流側に向かう順番に、圧力発信器PT2、圧力タンクDPT、開閉弁GV30が、設けられている。ただし、圧力発信器PT2、圧力タンクDPT、開閉弁GV30は、それぞれ、本例とは異なる位置に配置されてもよい。
【0028】
本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、吐出側三方弁GV20、及び開閉弁GV30は、それぞれ、手動によって切り替えられるように構成されているが、電気制御によって切り替えられるように構成されてもよい。
【0029】
このように構成された給水装置は、例えば昼間等の使用水量が多く、水道配管の圧力では十分な給水が可能でないときは、第1ポンプP1及び第2ポンプP2を例えば交互に又は同時に運転させる等して、上水道配水管からの水を第1ポンプP1及び第2ポンプP2の少なくとも一方で昇圧して需要先に送るが、例えば夜間等の使用水量の少なく、水道配管の圧力で十分給水が可能なときは、両方のポンプP1、P2を停止させ、上水道配水管の水圧を利用して、上水道配水管からの水を第1バイパス管b1、第2バイパス管b2を通じて需要先に送るようにされている。2台のポンプP1、P2を並列に設けているので、いずれか一方のポンプが故障やメンテナンスによって運転できなくても、他方のポンプを運転させることで、給水装置1全体の給水停止を回避できるようにされている。また、2つの逆流防止器BP1、BP2を並列に設けているので、いずれか一方の逆流防止器が故障やメンテナンスによって使用できなくても、他方の逆流防止器を使用することで、給水装置1全体の給水停止を回避できるようにされている。
【0030】
つぎに、図1の給水装置1において、一部の構成部品について、点検や部品交換等のメンテナンスをする際の動作例を、説明する。図1において、白抜き矢印は、その流路が通水可能であることを表しており、ハッチは、その流路が閉鎖されていることを表している。
第1逆流防止器BP1をメンテナンスする場合は、例えば、図1に示すように、第1開閉弁GV11を閉鎖し、吐出側三方弁GV20の第1口v1を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第1開閉弁GV11から吐出側三方弁GV20までの流路は閉鎖されるので、第1逆流防止器BP1のメンテナンスが可能となる。この間、通水は、第2開閉弁GV12、第2ポンプ系統S2、吐出側三方弁GV20、吐出管r3を通る流路で可能であるため、給水装置1全体の断水ひいては給水停止は回避される。なお、この状態では、第1ポンプ系統S1側全体が閉鎖されるため、第1ポンプP1、逆止弁CV11、第1バイパス管b1に設けられた逆止弁CV21のメンテナンスも可能となる。
第2逆流防止器BP2をメンテナンスする場合は、例えば、図示は省略するが、第1開閉弁GV12を閉鎖し、吐出側三方弁GV20の第2口v2を閉鎖し、その他の各弁を開放する。この場合も、給水装置1全体の断水ひいては給水停止は回避される。なお、この状態では、第2ポンプ系統S2側全体が閉鎖されるため、第2ポンプP2、逆止弁CV12、第2バイパス管b2側の逆止弁CV22のメンテナンスも可能となる。
【0031】
このように、第1実施形態では、第1開閉弁GV11及び第2開閉弁GV12と吐出側三方弁GV20との間に、給水装置1の運転に必要な主要部品を、ポンプP1、P2毎に独立して設置している。よって、第1開閉弁GV11又は第2開閉弁GV12と吐出側三方弁GV20とを切り替えることにより、一方のポンプ側の流路を使用して給水を継続しつつ、他方のポンプ側の全部品のメンテナンスが可能となる。
また、切替弁(第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、吐出側三方弁GV20、開閉弁GV30)の総数は、4つと極めて少数にすることが可能となる。よって、その分、配管系統の設置スペースを削減でき、ひいては、給水装置1をコンパクト化できる。このことは、給水装置1が、コンパクト化への要望が高いキャビネット型の給水装置として構成されている場合に、特に有利である。また、切替弁の総数を少なくできる分、給水装置のコストを低減できる。
以上より、本実施形態の給水装置1によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0032】
図2図4に示す給水装置1は、キャビネット型に構成されており、図1を参照して説明した配管回路構成を備えるものである。
図2に示すように、この給水装置1は、吸込口1aから吐出口1bまでの配管が、縦長で薄いキャビネット2に収容されている。なお、図2では、便宜上、キャビネット2の枠部材のみを示しており、キャビネット2の外板及び扉の図示を省略している。
図3及び図4に示すように、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の出口は、同一の水平方向を向くように、同一の水平方向に指向されており、図の例では、給水装置1を正面視したときの右方向に指向されている。これにより、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2が、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の横側(図の例では、給水装置1を正面視したときの右側)に配置されている。そして、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2の上側では、第1バイパス管b1、第2バイパス管b2、及び吐出側三方弁GV20が、同一平面上に配置されている。また、第1下流分岐管m1及び第2下流分岐管m2(ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2)は、それぞれ第1バイパス管b1及び第2バイパス管b2の上側に配置されている。吐出管r3は、吐出側三方弁GV20から下側へ延びている。この構成によれば、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の配管が水平方向に広がるのを抑制でき、ひいては設置スペースの拡大を抑制できるので、給水装置の大型化を抑制できる。
【0033】
なお、図3に示すように、本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、吐出側三方弁GV20、開閉弁GV30は、それぞれ、ハンドル又は摘み等の操作部o11、o12、o20、o30の操作によって回転軸s11、s12、s20、s30が回転されることにより、切り替えられるように構成されている。
また、図4(b)に第2バイパス管b2について示すように、第1バイパス管b1及び第2バイパス管b2に設けられた第1逆止弁CV21、第2逆止弁CV22は、それぞれ第1バイパス管b1及び第2バイパス管b2の内部に収容されている。
【0034】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態について、図5図6を参照しながら、第1実施形態とは異なる点を中心に、説明する。図5図6は、第2実施形態に係る給水装置1の概略的な配管回路図であり、それぞれ別々の状態を表している。
本実施形態の給水装置1は、高層集合住宅等の水の需要先に充分な給水をするために用いられる、直結給水式給水装置であり、キャビネット型の給水装置として構成されると特に好適なものであるが、据置型の給水装置として構成されても好適なものである。
第1実施形態では、第1逆流防止器BP1又は第2逆流防止器BP2をメンテナンスする際に、第1ポンプ系統S1又は第2ポンプ系統S2の通水が閉鎖されてしまうため、その間、第1ポンプP1又は第2ポンプP2のいずれか1台のみでしか運転できない。第2実施形態は、その点を改善できるものである。
【0035】
第2実施形態の給水装置1は、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2と、第1ポンプ系統S1及び第2ポンプ系統S2との間に、吸込側連通管c10によって互いに連通された第1吸込側三方弁GV41及び第2吸込側三方弁GV42が設けられている点で、第1実施形態とは異なる。
【0036】
より具体的に、第1吸込側三方弁GV41は、第1ポンプP1の上流側で第1下流分岐管m1の上流端に接続された第1口v1と、吸込側連通管c10の一端に接続された第2口v2と、第1上流分岐管r1の下流端に接続された第3口v3とを有する。
第2吸込側三方弁GV42は、第2ポンプP2の上流側で第2下流分岐管m2の上流端に接続された第1口v1と、吸込側連通管c10の他端に接続された第2口v2と、第2上流分岐管r2の下流端に接続された第3口v3とを有する。
本例において、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42は、それぞれ、第1口v1、第2口v2、及び第3口v3の全てを開放した状態と、第1口v1、第2口v2、及び第3口v3のいずれか1つを閉鎖して残り2つを開放した状態とを、切り替えることにより、流路の切り換えができるように構成された、切替弁である。
【0037】
第1バイパス管b1は、第1下流分岐管m1の外部で、第1ポンプP1の上流側及び下流側どうしを連通しており、より具体的には、第1吸込側三方弁GV41と第1ポンプP1との間の第1下流分岐管m1から分岐し、第1ポンプP1と吐出側三方弁GV20との間の第1下流分岐管m1に合流している。
第2バイパス管b2は、第2下流分岐管m2の外部で、第2ポンプP2の上流側及び下流側どうしを連通しており、より具体的には、第2吸込側三方弁GV42と第2ポンプP2との間の第2下流分岐管m2から分岐し、第2ポンプP2と吐出側三方弁GV20との間の第2下流分岐管m2に合流している。
ただし、本実施形態では、第1バイパス管b1、第2バイパス管b2のいずれか一方を省略してもよい。
【0038】
本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、吐出側三方弁GV20、及び開閉弁GV30は、それぞれ、手動によって切り替えられるように構成されているが、電気制御によって切り替えられるように構成されてもよい。
上記以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0039】
つぎに、図5図6の給水装置1において、一部の構成部品について、点検や部品交換等のメンテナンスをする際の動作を、説明する。図1において、白抜き矢印は、その流路が通水可能であることを表しており、ハッチは、その流路が閉鎖されていることを表している。
第1逆流防止器BP1をメンテナンスする場合は、例えば、図5に示すように、第1開閉弁GV11を閉鎖し、第1吸込側三方弁GV41の第3口v3を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第1開閉弁GV11から第1吸込側三方弁GV41までの流路は閉鎖されるので、第1逆流防止器BP1のメンテナンスが可能となる。この間、通水は、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、第2ポンプ系統S2(第2下流分岐管m2及び第2バイパス管b2)、吐出側三方弁GV20、吐出管r3を通る流路で可能であるとともに、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、吸込側連通管c10、第1吸込側三方弁GV41、第1ポンプ系統S1(第1下流分岐管m1及び第1バイパス管b1)、吐出側三方弁GV20、吐出管r3を通る流路でも可能である。よって、給水装置1全体の断水は回避される。また、吸込側連通管c10によって第1吸込側三方弁GV41及び第2吸込側三方弁GV42が互いに連通されていることにより、第1ポンプ系統S1及び第2ポンプ系統S2の両方へ通水可能となり、ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。また、仮に第1バイパス管b1又は第2バイパス管b2のいずれか一方を省略した構成としても、他方のバイパス管に通水が可能であり、依然としてバイパス管を介した給水が可能である。
第2逆流防止器BP2をメンテナンスする場合は、例えば、図示は省略するが、第2開閉弁GV12を閉鎖し、第2吸込側三方弁GV42の第3口v3を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第2開閉弁GV12から第2吸込側三方弁GV42までの流路は閉鎖されるので、第2逆流防止器BP2のメンテナンスが可能となる。この場合も、給水装置1全体の断水は回避される。また、第1ポンプ系統S1及び第2ポンプ系統S2の両方へ通水可能となり、ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。また、仮に第1バイパス管b1又は第2バイパス管b2のいずれか一方を省略した構成としても、他方のバイパス管に通水が可能であり、依然としてバイパス管を介した給水が可能である。
【0040】
第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21をメンテナンスする場合は、例えば、図6に示すように、第1吸込側三方弁GV41の第1口v1を閉鎖し、吐出側三方弁GV20の第1口v1を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第1吸込側三方弁GV41から吐出側三方弁GV20までの流路(第1ポンプ系統S1の流路)は閉鎖されるので、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21のメンテナンスが可能となる。なお、この状態では、第1ポンプ系統S1側全体が閉鎖されるため、第1ポンプP1及び逆止弁CV11のメンテナンスも可能となる。この間、通水は、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、第2ポンプ系統S2、吐出側三方弁GV20、吐出管r3を通る流路で可能であるとともに、第1開閉弁GV11、第1吸込側三方弁GV41、吸込側連通管c10、第2吸込側三方弁GV42、第2ポンプ系統S2、吐出側三方弁GV20、吐出管r3を通る流路でも可能である。よって、給水装置1全体の断水は回避される。
第2バイパス管b2に設けられた第2逆止弁CV22をメンテナンスする場合は、例えば、図示は省略するが、第2吸込側三方弁GV42の第1口v1を閉鎖し、吐出側三方弁GV20の第2口v2を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第2吸込側三方弁GV42から吐出側三方弁GV20までの流路(第2ポンプ系統S2の流路)は閉鎖されるので、第2バイパス管b2に設けられた第2逆止弁CV22のメンテナンスが可能となる。なお、この状態では、第2ポンプ系統S2側全体の通水が閉鎖されるため、第2ポンプP2及び逆止弁CV12のメンテナンスも可能となる。この場合も、給水装置1全体の断水は回避される。
【0041】
このように、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、給水装置1の構成部品をメンテナンスする際に、断水ひいては給水停止を回避できる。
また、第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、第1逆流防止器BP1又は第2逆流防止器BP2をメンテナンスする際に、第1ポンプ系統S1及び第2ポンプ系統S2の両方に通水が可能であるため、その間、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。
また、切替弁(第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、吐出側三方弁GV20、開閉弁GV30)の総数は、6つとなり、第1実施形態よりはやや多いものの、仮に各メンテナンス対象部品の上流側及び下流側に、それぞれ切替弁を設ける場合に比べれば、依然として削減できている。よって、その分、配管系統の設置スペースが削減でき、ひいては、給水装置1をコンパクト化できる。このことは、給水装置1が、コンパクト化への要望が高いキャビネット型の給水装置として構成されている場合に、特に有利である。また、切替弁の総数を少なくできる分、給水装置のコストを低減できる。
以上より、本実施形態の給水装置1によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0042】
なお、第2実施形態の給水装置1の外観構成の一例については、図示は省略するが、第1実施形態に係る図2図4の例と大体同様とすることができる。
例えば、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の出口は、同一の水平方向に指向されており、これにより、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2が、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の横側に配置される。そして、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2の上側では、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、吐出側三方弁GV20が、同一平面上に配置されている。第1バイパス管b1、第2バイパス管b2は、それぞれ第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42の下側に配置される。また、第1下流分岐管m1及び第2下流分岐管m2(ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2)は、それぞれ第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42の上側に配置される。吐出管r3は、吐出側三方弁GV20から下側へ延びる。この構成によれば、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の配管が水平方向に広がるのを抑制でき、ひいては設置スペースの拡大を抑制できるので、給水装置の大型化を抑制できる。
なお、本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、吐出側三方弁GV20、開閉弁GV30は、それぞれ、操作部o11、o12、o41、o42、o20、o30(図示略)の操作によって回転軸s11、s12、s41、s42、s20、s30(図示略)が回転されることにより、切り替えられるように構成されている。
また、第1バイパス管b1及び第2バイパス管b2に設けられた第1逆止弁CV21、第2逆止弁CV22は、それぞれ第1バイパス管b1及び第2バイパス管b2の内部に収容されている。
その他の構成は、第1実施形態に係る図2図4の例と同様である。
ただし、第2実施形態に係る給水装置1は、図5図6を参照して説明した配管回路構成を備えるものである限り、任意の外観構成(三次元構成)を有してよい。
【0043】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態について、図7図8を参照しながら、第2実施形態とは異なる点を中心に、説明する。図7は、第3実施形態に係る給水装置1の概略的な配管回路図である。図8は、第3実施形態に係る給水装置1の一例の外観を示しており、図7を参照して後述する配管回路構成を備えるものである。ただし、第3実施形態に係る給水装置1は、図7を参照して後述する配管回路構成を備えるものである限り、任意の外観構成(三次元構成)を有してよい。
本実施形態の給水装置1は、高層集合住宅等の水の需要先に充分な給水をするために用いられる、直結給水式給水装置であり、キャビネット型の給水装置として構成されると特に好適なものであるが、据置型の給水装置として構成されても好適なものである。
第2実施形態では、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21、又は、第2バイパス管b2に設けられた第2逆止弁CV22をメンテナンスする際に、第1ポンプ系統S1又は第2ポンプ系統S2の通水が閉鎖されてしまうため、その間、第1ポンプP1又は第2ポンプP2のいずれか1台のみでしか運転できない。第3実施形態は、その点を改善できるものである。
【0044】
第3実施形態の給水装置1は、第2実施形態の吐出側三方弁GV20に代えて、吐出側連通管c20によって互いに連通された第1吐出側三方弁GV21及び第2吐出側切替弁GV22が設けられており、また、第1バイパス管b1が、第1吸込側三方弁GV41の第3口v3と第1吐出側三方弁GV21の第3口v3とを連通しており、第2バイパス管b2が、第2吸込側三方弁GV42の第3口v3と第2吐出側切替弁GV22の第3口v3とを連通している点で、第1実施形態とは異なる。
【0045】
より具体的に、第1吐出側三方弁GV21は、第1ポンプP1の下流側で第1下流分岐管m1の下流端に接続された第1口v1と、吐出側連通管c20の一端に接続された第2口v2と、第1バイパス管b1の下流端に接続された第3口v3とを有する。
第2吐出側切替弁GV22は、第2ポンプP2の下流側で第2下流分岐管m2の下流端に接続された第1口v1と、吐出側連通管c20の他端に接続された第2口v2とを有する。図7の例や図8の例において、第2吐出側切替弁GV22は、さらに第3口v3を有する三方弁からなるが、第3口を有しない二方弁(開閉弁)からなるものでもよい。図7の例において、第2吐出側切替弁GV22の第3口v3は、第2バイパス管b2の下流端に接続されている。
本例において、第1吐出側三方弁GV21、第2吐出側切替弁GV22は、それぞれ、第1口v1、第2口v2、及び第3口v3の全てを開放した状態と、第1口v1、第2口v2、及び第3口v3のいずれか1つを閉鎖して残り2つを開放した状態とを、切り替えることにより、流路の切り換えができるように構成された、切替弁である。
吐出側連通管c20には、第1吐出側三方弁GV21と第2吐出側切替弁GV22との間で、吐出管r3の上流端が接続されている。
【0046】
第1上流分岐管r1の下流端は、第1吸込側三方弁GV41の第3口v3と第1バイパス管b1との接続箇所に接続されている。いいかえれば、第1上流分岐管r1の下流端と第1バイパス管b1の上流端とが、合流して、第1吸込側三方弁GV41の第3口v3に接続されている。
第2上流分岐管r2の下流端は、第2吸込側三方弁GV42の第3口v3と第2バイパス管b2との接続箇所に接続されている。いいかえれば、第2上流分岐管r2の下流端と第2バイパス管b2の上流端とが、合流して、第2吸込側三方弁GV42の第3口v3に接続されている。
ただし、本実施形態では、第1バイパス管b1、第2バイパス管b2のいずれか一方を省略してもよい。その場合は、省略したバイパス管に対応するほうの第1吐出側三方弁GV21又は第2吐出側切替弁GV22の第3口v3を、キャップ又は筐体で覆う等して、常に閉状態に維持するとよい。
【0047】
本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、第1吐出側三方弁GV21、第2吐出側切替弁GV22、及び開閉弁GV30は、それぞれ、手動によって切り替えられるように構成されているが、電気制御によって切り替えられるように構成されてもよい。
上記以外の構成は、第2実施形態と同じである。
【0048】
つぎに、図7の給水装置1において、一部の構成部品について、点検や部品交換等のメンテナンスをする際の動作を、説明する。図7において、白抜き矢印は、その流路が通水可能であることを表しており、ハッチは、その流路が閉鎖されていることを表している。
第1逆流防止器BP1をメンテナンスする場合は、例えば、図7に示すように、第1開閉弁GV11を閉鎖し、第1吸込側三方弁GV41の第3口v3を閉鎖し、第1吐出側三方弁GV21の第3口v3を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第1開閉弁GV11から第1吸込側三方弁GV41、第1バイパス管b1を介して第1吐出側三方弁GV21までの流路が、閉鎖されるので、第1逆流防止器BP1のメンテナンスが可能となる。また、この状態において、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21のメンテナンスも可能である。この間、通水は、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、第2ポンプ系統S2(第2下流分岐管m2及び第2バイパス管b2)、第2吐出側切替弁GV22、吐出管r3を通る流路で可能であるとともに、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、吸込側連通管c10、第1吸込側三方弁GV41、第1下流分岐管m1、第1吐出側三方弁GV21、吐出管r3を通る流路でも可能である。よって、給水装置1全体の断水は回避される。また、吸込側連通管c10によって第1吸込側三方弁GV41及び第2吸込側三方弁GV42が互いに連通されていることにより、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の両方へ通水可能となり、ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。また、第2ポンプ系統S2の第2バイパス管b2を介した給水も可能となる。
なお、図7の例では、仮に第2バイパス管b2を省略した構成とした場合、第1逆流防止器BP1をメンテナンスする間、バイパス管を介した給水ができなくなる。それを回避したい場合は、第1逆流防止器BP1と第1バイパス管b1の上流端との間で、第1上流分岐管r1に、開閉弁GV51を追加するとよい。そして、第1逆流防止器BP1をメンテナンスする間、第1開閉弁GV11を閉鎖し、開閉弁GV51を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、通水は、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、吸込側連通管c10、第1吸込側三方弁GV41、第1ポンプ系統S1(第1下流分岐管m1、第1バイパス管b1)、第1吐出側三方弁GV21、吐出管r3を通る流路でも可能となる。よって、第1バイパス管b1を介した給水が可能となる。
ただし、バイパス管b1、b2は、両方設けるよりも、いずれか一方のみにするほうが、給水装置1のコンパクト性を向上できる。
第2逆流防止器BP2、第2バイパス管b2に設けられた第2逆止弁CV22をメンテナンスする場合についても、同様であるので、説明を省略する。
【0049】
このように、第3実施形態では、第2実施形態と同様に、給水装置1の構成部品をメンテナンスする際に、断水ひいては給水停止を回避でき、また、第1逆流防止器BP1又は第2逆流防止器BP2をメンテナンスする際に、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の両方に通水が可能であるため、その間、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。
また、第3実施形態では、第2実施形態とは異なり、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21、又は、第2バイパス管b2に設けられた第2逆止弁CV22をメンテナンスする際にも、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の両方に通水が可能であるため、その間、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。
また、切替弁(第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、第1吐出側三方弁GV21、第2吐出側切替弁GV22、開閉弁GV30)の総数は、7つとなり、第2実施形態よりはやや多いものの、仮に各メンテナンス対象部品の上流側及び下流側に、それぞれ切替弁を設ける場合に比べれば、依然として削減できている。よって、その分、配管系統の設置スペースが削減でき、ひいては、給水装置1をコンパクト化できる。このことは、給水装置1が、コンパクト化への要望が高いキャビネット型の給水装置として構成されている場合に、特に有利である。また、切替弁の総数を少なくできる分、給水装置のコストを低減できる。
以上より、本実施形態の給水装置1によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0050】
図8に示す給水装置1は、図7を参照して説明した配管回路構成を備えるものである。
図8に示すように、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の出口は、同一の水平方向に指向されており、図の例では、給水装置1を正面視したときの右方向に指向されている。これにより、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2が、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の横側(図の例では右側)に配置されている。そして、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1及び第2上流分岐管r2の上側では、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、第1吐出側三方弁GV21、及び第2吐出側切替弁GV22が同一平面上に配置されている。また、第1下流分岐管m1(ひいては第1ポンプP1)は、第1吸込側三方弁GV41及び第1吐出側三方弁GV21の上側に配置されており、第2下流分岐管m2(ひいては第2ポンプP2)は、第2吸込側三方弁GV42及び第2吐出側切替弁GV22の上側に配置されている。第1バイパス管b1は、第1吸込側三方弁GV41及び第1吐出側三方弁GV21の下側に配置されている。吐出管r3は、吐出側連通管c20から下側へ延びている。この構成によれば、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の配管が水平方向に広がるのを抑制でき、ひいては設置スペースの拡大を抑制できるので、給水装置の大型化を抑制できる。
図8の例では、第2バイパス管b2は省略されている。図4(b)の例と同様に、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21は、第1バイパス管b1の内部に収容されている。
【0051】
なお、図8に示すように、本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、開閉弁GV30は、それぞれ、操作部o11、o12、o30の操作によって回転軸s11、s12、s30が回転されることにより、切り替えられるように構成されている。
また、給水装置1は、第1吸込側三方弁GV41及び第1吐出側三方弁GV21を、操作部o71の操作により同時に切り替えられるように構成された、第1回転軸s71と、第2吸込側三方弁GV42及び第2吐出側切替弁GV22を、操作部o72の操作により同時に切り替えられるように構成された、第2回転軸s72とを、備えている。この構成によれば、給水装置の大型化をより効果的に抑制でき、また、操作性を向上できる。
その他の外観構成については、第1実施形態に係る図2図4の例と同様である。
【0052】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態について、図9図12を参照しながら、第3実施形態とは異なる点を中心に、説明する。図9図11は、第4実施形態に係る給水装置1の概略的な配管回路図であり、それぞれ別々の状態を表している。図12は、第4実施形態に係る給水装置1の一例の外観を示しており、図9図11を参照して後述する配管回路構成を備えるものである。ただし、第4実施形態に係る給水装置1は、図9図11を参照して後述する配管回路構成を備えるものである限り、任意の外観構成(三次元構成)を有してよい。
本実施形態の給水装置1は、高層集合住宅等の水の需要先に充分な給水をするために用いられる、直結給水式給水装置であり、キャビネット型の給水装置として構成されると特に好適なものであるが、据置型の給水装置として構成されても好適なものである。
【0053】
第4実施形態の給水装置1は、第1上流分岐管r1の下流端が、第1吸込側三方弁GV41と第2吸込側三方弁GV42との間で、吸込側連通管c10に接続されており、第1上流分岐管r1には、第1逆流防止器BP1の下流側に、第3開閉弁GV60が設けられている点で、第3実施形態とは異なる。バイパス管は、第1バイパス管b1のみであり、第2バイパス管b2は設けられていない。
第2吐出側切替弁GV22は、三方弁又は二方弁から構成されるが、図の例のように三方弁から構成される場合、その第3口v3を、キャップ又は筐体で覆う等して、常に閉状態に維持するとよい。
【0054】
本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第3開閉弁GV60、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、第1吐出側三方弁GV21、第2吐出側切替弁GV22、及び開閉弁GV30は、それぞれ、手動によって切り替えられるように構成されているが、電気制御によって切り替えられるように構成されてもよい。
上記以外の構成は、第3実施形態と同じである。
【0055】
つぎに、図9図11の給水装置1において、一部の構成部品について、点検や部品交換等のメンテナンスをする際の動作を、説明する。図9図11において、白抜き矢印は、その流路が通水可能であることを表しており、ハッチは、その流路が閉鎖されていることを表している。
第1逆流防止器BP1をメンテナンスする場合は、例えば、図9に示すように、第1開閉弁GV11を閉鎖し、第3開閉弁GV60を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第1開閉弁GV11から第3開閉弁GV60までの流路が、閉鎖されるので、第1逆流防止器BP1のメンテナンスが可能となる。この間、通水は、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、第2ポンプ系統S2(第2下流分岐管m2)、吐出側連通管20、吐出管r3を通る流路で可能であるとともに、第2開閉弁GV12、第2吸込側三方弁GV42、吸込側連通管c10、第1吸込側三方弁GV41、第1ポンプ系統S1(第1下流分岐管m1及び第1バイパス管b1)、吐出側連通管c20、吐出管r3に至る流路でも可能である。よって、給水装置1全体の断水は回避される。また、吸込側連通管c10によって第1吸込側三方弁GV41及び第2吸込側三方弁GV42が互いに連通されていることにより、第1ポンプ系統S1及び第2ポンプ系統S2の両方へ通水可能となり、ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。また、第1ポンプ系統S1の第1バイパス管b1を介した給水も可能となる。
【0056】
第2逆流防止器BP2をメンテナンスする場合は、例えば、図10に示すように、第2開閉弁GV12を閉鎖し、第2吸込側三方弁GV42の第3口v3を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第2開閉弁GV12から第2吸込側三方弁GV42までの流路の通水が、閉鎖されるので、第2逆流防止器BP2のメンテナンスが可能となる。この場合も、第1ポンプ系統S1及び第2ポンプ系統S2の両方へ通水可能となり、ひいては第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。また、第1ポンプ系統S1の第1バイパス管b1を介した給水も可能となる。
【0057】
第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21をメンテナンスする場合は、例えば、図11に示すように、第1吸込側三方弁GV41の第3口v3を閉鎖し、第1吐出側三方弁GV21の第3口v3を閉鎖し、その他の各弁を開放する。これにより、第1吸込側三方弁GV41から第1吐出側三方弁GV21までのバイパス管b1の流路は閉鎖されるので、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21のメンテナンスが可能となる。この間、通水は、第1下流分岐管m1及び第2下流分岐管m2の両方へ通水が可能となり、ひいては、断水を回避でき、また、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。
【0058】
このように、第4実施形態では、第3実施形態と同様に、給水装置1の構成部品をメンテナンスする際に、断水ひいては給水停止を回避でき、また、第1逆流防止器BP1、第2逆流防止器BP2、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21をメンテナンスする際に、第1ポンプP1及び第2ポンプP2の2台での運転が可能となる。
また、切替弁(第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第3開閉弁GV60、第1吸込側三方弁GV41、第2吸込側三方弁GV42、第1吐出側三方弁GV21、第2吐出側切替弁GV22、開閉弁GV30)の総数は、8つとなり、第3実施形態よりはやや多いものの、仮に各メンテナンス対象部品の上流側及び下流側に、それぞれ切替弁を設ける場合に比べれば、依然として削減できている。よって、その分、配管系統の設置スペースが削減でき、ひいては、給水装置1をコンパクト化できる。このことは、給水装置1が、コンパクト化への要望が高いキャビネット型の給水装置として構成されている場合に、特に有利である。また、切替弁の総数を少なくできる分、給水装置のコストを低減できる。また、第2バイパス管b2を設けない分でも、さらなるコンパクト化ができる。
以上より、本実施形態の給水装置1によれば、メンテナンス時に給水停止を回避できる一方、給水装置の大型化や高コスト化を抑制できる。
【0059】
図12に示す給水装置1は、図9図11を参照して説明した配管回路構成を備えるものである。
図12に示すように、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の出口は、同一の水平方向に指向されており、図の例では、給水装置1を正面視したときの右方向に指向されている。これにより、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1(ひいては第3開閉弁GV60)及び第2上流分岐管r2が、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2の横側(図の例では右側)に配置されている。そして、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の第1上流分岐管r1(ひいては第3開閉弁60)及び第2上流分岐管r2の上側では、第1吸込側三方弁41、第2吸込側三方弁42、第1吐出側三方弁21、及び第2吐出側切替弁22が同一平面上に配置されている。また、第1下流分岐管m1(ひいては第1ポンプP1)は、第1吸込側三方弁41及び第1吐出側三方弁21の上側に配置されており、第2下流分岐管m2(ひいては第2ポンプP2)は、第2吸込側三方弁GV42及び第2吐出側切替弁GV22の上側に配置されている。第1バイパス管b1は、第1吸込側三方弁41及び第1吐出側三方弁21の下側に配置されている。吐出管r3は、吐出側連通管c20から下側へ延びている。この構成によれば、第1逆流防止器BP1及び第2逆流防止器BP2より下流側の配管が水平方向に広がるのを抑制でき、ひいては設置スペースの拡大を抑制できるので、給水装置の大型化を抑制できる。
図4(b)の例と同様に、第1バイパス管b1に設けられた第1逆止弁CV21は、第1バイパス管b1の内部に収容されている。
【0060】
なお、図12に示すように、本例において、第1開閉弁GV11、第2開閉弁GV12、第3開閉弁60、開閉弁GV30は、それぞれ、操作部o11、o12、o60、o30の操作によって回転軸s11、s12、s60、s30が回転されることにより、切り替えられるように構成されている。
また、給水装置1は、第1吸込側三方弁GV41及び第1吐出側三方弁GV21を、操作部o71の操作により同時に切り替えられるように構成された、第1回転軸s71と、第2吸込側三方弁GV42及び第2吐出側切替弁GV22を、操作部o72の操作により同時に切り替えられるように構成された、第2回転軸s72とを、備えている。この構成によれば、給水装置の大型化をより効果的に抑制でき、また、操作性を向上できる。
その他の外観構成については、第1実施形態に係る図2図4の例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の給水装置は、例えば直結給水式のキャビネット型の給水装置や、直結給水式の据置型の給水装置に、好適に適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 給水装置
1a 吸込口
1b 吐出口
2 キャビネット
BP1 第1逆流防止器
BP2 第2逆流防止器
b1 第1バイパス管
b2 第2バイパス管
CV11、CV12 逆止弁
CV21 第1逆止弁
CV22 第2逆止弁
c10 吸込側連通管
c20 吐出側連通管
DPT 圧力タンク
GV11 第1開閉弁
GV12 第2開閉弁
GV20 吐出側三方弁
GV21 第1吐出側三方弁
GV22 第2吐出側切替弁
GV30、GV51 開閉弁
GV41 第1吸込側三方弁
GV42 第2吸込側三方弁
GV60 第3開閉弁
m1 第1下流分岐管
m2 第2下流分岐管
o11、o12、o20、o30、o60、o71、o72 操作部
P1 第1ポンプ
P2 第2ポンプ
PT1、PT2 圧力発信器
r0 吸込管
r1 第1上流分岐管
r2 第2上流分岐管
r3 吐出管
S1 第1ポンプ系統
S2 第2ポンプ系統
STR1、STR2 ストレーナ
s11、s12、s20、s30、s60、s71、s72、 回転軸
v1 第1口
v2 第2口
v3 第3口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12