特許第6403818号(P6403818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403818
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/274 20110101AFI20181001BHJP
   B60R 21/272 20060101ALI20181001BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B60R21/274
   B60R21/272
   B01J7/00 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-22294(P2017-22294)
(22)【出願日】2017年2月9日
(62)【分割の表示】特願2015-544431(P2015-544431)の分割
【原出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-114485(P2017-114485A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】12/03286
(32)【優先日】2012年12月4日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509186177
【氏名又は名称】オートリブ ディベロプメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アデルム, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】スヴェードイェネス, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ナビング, マグナス
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, ミーケル
(72)【発明者】
【氏名】ホルンクヴィスト, ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】アバジュー, グザヴィエ
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−509870(JP,A)
【文献】 特表2008−509834(JP,A)
【文献】 特表2005−520734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−第1の排出オリフィス(13)を有する第1の加圧ガスリザーブ(10)と、
−第2の排出オリフィス(23)を有する第2の加圧ガスリザーブ(20)と、
−前記第1及び第2の加圧ガスリザーブ(10、20)を開放するように設けられた第1のアクチュエータを備える第1の機構(30)と、
−前記第1及び第2の排出オリフィス(13、23)を介して排出ガスをエアバッグに向かって拡散させるように設けられた拡散チャンバ(40)と
を備えるエアバッグ用のガス発生器において、
−前記第1の排出オリフィス(13)及び前記第2の排出オリフィス(23)と直接連通し、前記拡散チャンバ(40)との少なくとも1つの第1の連通面(51)を備える混合チャンバ(50)と、
−前記拡散チャンバ(40)との前記混合チャンバ(50)の第2の連通面(52)を閉鎖する第1の閉鎖位置と前記第2の連通面(52)が自由である第2の通路位置との間に第2のアクチュエータ及び可動閉鎖部(61、610)を備え、前記第2のアクチュエータが作動時に前記可動閉鎖部(61、610)を前記第1又は第2の位置のうちの一方から他方の位置まで移動させるように設けられた第2の機構(60)と
をさらに備え、
前記第1のオリフィス(13)が第1の蓋(16)によって閉鎖され、
前記第2のオリフィス(23)が第2の蓋(26)によって閉鎖され、前記第1の機構(30)が、第1の可動支持部(32、320)が前記加圧ガスの圧力を受ける前記第1及び第2の蓋(16、26)を支持する第1の支持位置から前記第1の支持部(32、320)がもはや前記第1及び第2の蓋(16、26)を支持しない第2の開放位置に向かって移動可能な前記第1の可動支持部(32、320)を備え、
前記第1のアクチュエータが前記第1の支持位置から前記第2の開放位置へと前記第1の可動支持部(32、320)を移動させるように設けられており、
前記加圧ガスの圧力が、前記第1及び第2の蓋(16、26)が支持されていないときに前記第1及び第2の蓋(16、26)を開放させるように予め規定されている
ことを特徴とするガス発生器。
【請求項2】
前記第2のアクチュエータが前記第1の支持位置から前記第2の開放位置へと前記第1の可動支持部(32、320)を移動させるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記第1の可動支持部(32、320)が、前記第1の支持位置から前記第2の開放位置へと移動するために前記混合チャンバ内を摺動するように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記第1の可動支持部(320)が、自由端(325)と前記第1の可動支持部(320)に接合された折返端(326)とをそれぞれ有する2つのタブ(324、327)を備え、
前記第1の可動支持部(320)の前記第1の支持位置において、前記タブ(324、327)の前記自由端(325)が前記混合チャンバ(50)を圧迫し、各タブ(324、327)が、前記加圧ガスの圧力を受ける前記第1又は第2の蓋(16、26)によって加えられる力に抵抗することによって前記第1又は第2の蓋(16、26)を支持し、
前記第1の可動支持部(320)の前記第2の開放位置において、前記タブ(324、327)の前記自由端(325)が、各タブ(324、327)が前記第1又は第2の蓋(16、26)によって加えられる力の作用下で前記折返端(326)に変形するように前記混合チャンバ(50)の圧迫から解放されること
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記第1の可動支持部(32、320)が、前記発生器に接続された変形可能部を備え、前記変形可能部を変形させることによって前記第1の支持位置から前記第2の開放位置まで移動することを特徴とする請求項1または2に記載のガス発生器。
【請求項6】
前記可動閉鎖部(61、610)は、前記混合チャンバ(50)の管腔内に案内され、前記可動閉鎖部(61、610)が前記第2の通路位置にあるときに前記混合チャンバ(50)の前記管腔と協働して前記第2の連通面(52)を規定するように設けられた管腔(611)を含むことを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のガス発生器。
【請求項7】
前記可動閉鎖部(61、610)が、前記第1の閉鎖位置から前記第2の通路位置まで移動するために前記混合チャンバ(50)内を摺動するように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のガス発生器。
【請求項8】
前記第1の連通面(51)が少なくとも1つの調整オリフィスによって規定され、前記第2の連通面(52)が前記少なくとも1つの第1の調整オリフィスとは異なる少なくとも1つの第2の調整オリフィスによって規定されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のガス発生器。
【請求項9】
少なくとも1つの膨張可能バッグと、請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の少なくとも1つのガス発生器とを備える安全モジュール。
【請求項10】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の少なくとも1つのガス発生器を含む自動車の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車の車両に搭載されたエアバッグを膨張させるためのガス発生器に関し、特に、車両の衝撃の程度に合わせてガス量をエアバッグに拡散させることが可能なガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ用の適応ガス発生器が知られている。特許文献1は、それらのそれぞれがエアバッグに拡散されるガス量を規定するように、互いに独立して作動させることができる2つの点火器を備える適応ガス発生器を記載している。一方、このガス発生器は、特に、それらのそれぞれが各加圧ガスリザーブの排出オリフィスを開放するために二重にレイアウトされた機構を有する複雑な内部構造を有する。この結果は、一方ではこれらの多数の部品による製造コストが高いということである。一方、これらの機構は、貯蔵中に薄蓋を支持し且つ蓋を開放するためにこの支持を抑制するという原理に基づいているということに留意されたい。その後、第2の蓋の開放は、リザーブにおける残留圧力が低減するようにガスの一部が第1のオリフィスを通って既に逃げた場合に問題を引き起こすことがあり、支持力は、支持部の押圧及び蓋の開放に十分ではないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2229296号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した先行技術の文献の欠点を解決することであり、特に、まず第1に、エアバッグに拡散されるガスの流量を適応させる可能性を提供しながら、簡便且つ信頼性のある開放機構を有するガス発生器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、本発明の第1の態様にかかるエアバック用のガス発生器は、
第1の排出オリフィスを有する加圧ガスの第1のリザーブと、
第2の排出オリフィスを有する第2の加圧ガスリザーブと、
第1及び第2の加圧ガスリザーブを開放するように配置された第1のアクチュエータを備える第1の機構と、
第1及び第2の排出オリフィスを介して排出ガスをエアバッグに向かって拡散させるように配置された拡散チャンバとを備え、
第1の排出オリフィス及び第2の排出オリフィスと直接連通し、拡散チャンバとの少なくとも1つの第1の連通面を備える混合チャンバと、
拡散チャンバとの混合チャンバの第2の連通面を閉鎖する第1の閉鎖位置と第2の連通面が自由である第2の通路位置との間に第2のアクチュエータ及び可動閉鎖部を備え、第2のアクチュエータがその作動時に可動閉鎖部を第1又は第2の位置のうちの一方から他方の位置へと移動させるように配置された第2の機構とをさらに備えることを特徴とする。
【0006】
本願にかかるガス発生器の混合チャンバは、第2の連通面及び第2のアクチュエータを備え、それが作動又は点火されたとき、エアバッグに向かって拡散されるガス量を変更するのを可能とする第2の連通面を開放するように配置されている。ガス流量を変更する機能は、混合チャンバ上に移送され、各ガスリザーブにおける第2のオリフィスを開放する必要性を抑制する。第2の連通面の開放はガスリザーブにおける圧力には依存しないことから、信頼性が向上する。また、双方のガスリザーブからのガスの流量の調整が(第2の機構の)単一のアクチュエータによって可能となっている点も見逃せない。換言すれば、ガスリザーブを開放するための機能は、流量を調整する機能とは無関係である。両機能は、互いに独立しており、別個の要素によって行われることから設計に柔軟性が加わり、例えば、発生器が細長い円筒形状を有する場合には両機構を発生器の軸上に配置することが可能となる。
【0007】
蓋を閉鎖部として、第1の閉鎖位置で第2の連通面を遮断することが考えられる。この場合、第2のアクチュエータは、強制的に蓋を破損することにより、第2の通路位置内へと移動するが、逆には行うことができない。すなわち、蓋は破壊されているため、第2の通路位置から第1の閉鎖位置まで蓋を移動させることができない。
【0008】
有利なことに、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは、火工品点火器であって電気的な制御が可能である。
【0009】
実施形態によれば、第1の機構は、第1及び第2の加圧ガスリザーブの外側に配置されている。
【0010】
実施形態によれば、第1の連通面は、少なくとも1つの第1の調整オリフィスによって規定され、第2の連通面は、前記少なくとも1つの第1の調整オリフィスとは異なる少なくとも1つの第2の調整オリフィスによって規定される。互いに異なるオリフィスは、互いにシフトされるのが可能であって、第1及び第2の機構の設計自由度を高めることができる。
【0011】
実施形態によれば、第1の連通面は、少なくとも1つの調整オリフィスの第1の位置によって規定され、第2の連通面は、前記少なくとも1つの調整オリフィスの残りによって規定される。本願によれば、同じオリフィスによって第1及び第2の連通面を規定するすることで製造コストを削減できる。
【0012】
実施形態によれば、第1の排出オリフィス及び第2の排出オリフィスは、それぞれ、排出面を有し、第1の連通面の面積は、排出面の面積の合計よりも小さく、後者は第1及び第2の連通面の面積の合計よりも小さい。本願によれば、発生器へのガスの通過のための最小面積は、第2の連通面が閉鎖している場合には第1の連通面であり、第2の連通面が開放している場合には実際の排出オリフィスである。換言すれば、最小の通過部は、第2の連通面が開放している場合には、最大流量を規定する排出オリフィスのままであり、それにより、混合チャンバへの過大な加圧は防止され、ガスは第1及び第2の連通面を通って逃げる。
【0013】
実施形態によれば、第1のオリフィスは、第1の蓋によって閉鎖され、第2のオリフィスは、第2の蓋によって閉鎖されており、第1の機構は、第1の可動支持部を備え、第1の可動支持部は、第1の支持位置から第2の開放位置へと移動可能であり、第1の支持位置では、加圧ガスからの圧力にさられる第1及び第2の蓋を第1の可動支持部で支持し、第2の開放位置では、第1の可動支持部はもはや第1及び第2の蓋を支持することはなく、第1のアクチュエータは、第1の支持位置から第2の開放位置まで第1の可動支持部を移動させるように設けられており、加圧ガスの圧力は、予め規定されていて、第1及び第2の蓋が支持されていないときにこれらの蓋が開放されるようになっている。第1及び第2のガスリザーブにおけるガスの圧力は、第1及び第2の蓋が支持されなくなっているときにこれらの蓋を破壊できるように算出される。ここに、蓋を穿孔するための突出部や可動部は必要でない。したがって、蓋は、必ずしも可動支持部と直接接触する必要はなく、可動支持部と蓋との間に挿入される接合部やタブに蓋を実装するようにしてもよい。
【0014】
実施形態によれば、第2のアクチュエータは、第1の支持位置から第2の開放位置まで第1の可動支持部を移動させるように設けられている。
【0015】
本願によれば、第1のアクチュエータを作動させる必要はない。ガスリザーブを開放させるのは第2のアクチュエータである。これは、第1の可動支持部を移動させて、これと同時に閉鎖部を移動させることによって第2の連通面を解放することによってなされる。単一のコマンドにより、ガスリザーブの開放と第2の連通面の解放の両方が実施されて、最大のガス流量が得られる。
【0016】
実施形態によれば、第1の可動支持部は、混合チャンバ内を摺動して第1の支持位置から第2の開放位置まで移動するように設けられている。混合チャンバは、部品数を規制する案内機能を提供する。
【0017】
実施形態によれば、第1の可動支持部は、自由端と第1の可動支持部に接合された折返端とをそれぞれ有する2つのタブを備え、第1の可動支持部の第1の支持位置において、タブの自由端は混合チャンバを圧迫し、各タブは、加圧ガスの圧力を受ける第1又は第2の蓋によって加えられる力を吸収することによって第1又は第2の蓋を支持し、第1の可動支持部の第2の開放位置において、タブの自由端は、各タブが第1又は第2の蓋によって加えられる力の作用下で折返端に変形するように混合チャンバの圧迫から解放される。
【0018】
本願によれば、混合チャンバは、第1の支持部が第1の支持位置にあるときにタブの支持体となって、タブ設計を簡素化している。
【0019】
実施形態によれば、第1の可動支持部は、混合チャンバの管腔内を摺動する第1の引き出しによって制御され、第1の引き出しは、第1の可動支持部が第2の開放位置にあるときに、混合チャンバの管腔と協働して第1の連通面を規定するように設けられた管腔を含む。混合チャンバの案内管腔は、有利には、ガスについての連通オリフィスとして使用されるためにも利用される。
【0020】
実施形態によれば、第1の可動支持部は、回転移動することによって、第1の支持位置から第2の開放位置まで移動可能である。混合チャンバに対する第1の可動支持部の回転運動は、簡便な運動学である。
【0021】
実施形態によれば、第1の可動支持部は、発生器に接続された変形可能部を備え、変形可能部を変形させることによって第1の支持位置から第2の開放位置まで移動する。換言すれば、本願にかかる第1の可動支持部は、蓋を支持する自由端を有するタブであり、その他端は、発生器の本体に取り付けられている。自由端の動きは、第1の可動支持部を折り返すか又は変形させることによって行うことができるにすぎない。
【0022】
実施形態によれば、可動閉鎖部は、混合チャンバの管腔内に案内される。それは、可動閉鎖部が第2の通路位置にあるときに混合チャンバの管腔と協働して第2の連通面を規定するように配置された管腔を含む。混合チャンバの案内管腔は、有利には、ガスの連通オリフィスとして使用されるためにも利用される。
【0023】
実施形態によれば、可動閉鎖部は、混合チャンバ内を摺動して、第1の閉鎖位置から第2の通路位置まで移動するように設けられている。
【0024】
実施形態によれば、可動閉鎖部は、回転移動して、第1の閉鎖位置から第2の通路位置まで移動可能である。混合チャンバに対する可動閉鎖部の回転運動は、簡便な運動学である。
【0025】
本発明の第2の態様は、少なくとも1つの膨張可能バッグと、本発明の第1の態様にかかる少なくとも1つのガス発生器とを備える安全モジュールである。
【0026】
本発明の最後の態様は、本発明の第1の態様にかかる少なくとも1つのガス発生器を含む自動車の車両である。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面において、単なる例として非限定的に提示した本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによってさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明にかかるガス発生器の概略断面図を図示している。
図2図2は、図1の詳細を図示しており、貯蔵段階における図1の発生器の混合チャンバ及び機構である。
図3図3は、作動された開放機構及び開放したガスリザーブを図示している。
図4図4は、第2の作動された機構を図示している。
図5図5は、ガスの貯蔵段階において可動支持部を形成する代替例を図示している。
図6図6は、第1のアクチュエータの作動後における図5の可動支持部を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、2つのガスリザーブ10及び20を有するガス発生器を図示している。これら2つのガスリザーブは、プラグを有する一端11及び21において閉鎖され、他端12及び22においてそれ自体が混合チャンバ50を含む拡散チャンバ40に取り付けられた円筒形状からなる。
【0030】
拡散チャンバ40は、ガスリザーブが開放しているときにガスリザーブ10及び20からのガスをエアバッグに向かって拡散させるためのオリフィス41を有する。この目的のために、各ガスリザーブ10及び20は、拡散チャンバ40の側面に配置され且つ薄い厚さの蓋によって封止された排出オリフィス(第1のガスリザーブについては13、第2のガスリザーブについては23)を備える。
【0031】
ガスリザーブ10及び20は、それぞれ、加圧ガスを含んでいる。特に、ガスリザーブのうちの一方は、可燃性ガスを含むガスの混合物を含むことができ、他方のガスリザーブは、酸化ガスを含む混合物を含むことができる。ガスリザーブ10及び20の同時開放中において、可燃性ガスは、混合チャンバ50において酸化ガスと衝突し、ガス発生器の膨張力を増大させるために燃焼が開始されることができる。特に可燃性ガスとしての二水素及び酸化ガスとしての酸素を使用することが可能である。
【0032】
図2から図4において説明されるように、火工品点火器31を備える第1の機構30は、双方のガスリザーブを開放するように配置され、火工品点火器62を備える第2の機構60は、エアバッグに向かって拡散されるガスの流量を調整するように配置されている。
【0033】
図2は、拡散チャンバ40における図1のガス発生器を図示している。明確性のために、ガスリザーブ10及び20は図示されていない。しかしながら、第1のガスリザーブ10の第1の排出オリフィス13を貫通して壁14がみられる。タブ15はまた、第1のガスリザーブ10を封止する蓋(壁14の後方に位置することからみえない)を支持するために壁14に埋め込まれている。第2のガスリザーブ20について同じアーキテクチャが使用される。
【0034】
拡散チャンバ40は、開放されたオリフィス51と可動閉鎖部61によって閉鎖されたオリフィス52とを備える壁53及び54によって形成された混合チャンバ50を含む。第2の機構60の動作は、図4において説明される。
【0035】
さらに、混合チャンバ50は、ここでは端部32aがタブ15を支持し且つ端部32bが第2のガスリザーブ20の壁の図示しないタブを支持する第1の位置に図示されている可動支持部32を含む。第1の機構は、点火器31と可動支持部32との間にピストン33を備え、第1の機構の動作は、図3において説明される。
【0036】
図3は、ガスリザーブ10及び20からガスを解放するために作動される第1の機構を有する、拡散チャンバ40における図1のガス発生器を図示している。この目的のために、第1の火工品点火器31が作動され、(図2)における第1の位置から図示された第2の位置まで可動支持部32を駆動するピストン33が下方に押圧されるように加圧ガスを解放し、タブ15及び第2のガスリザーブの第2の壁のもの(図示しない)は、もはや端部32a及び32bによって支持されず、そのため、それらは混合チャンバに向かって折り返し、もはや支持されていない蓋の破損を引き起こす。そして、ガスリザーブ10及び20のそれぞれに含まれるガスは、混合チャンバ50内に流入し、混合チャンバ50と拡散チャンバ40との間に連通面を形成するオリフィス51を介してそこから逃げることができる。
【0037】
ガスリザーブ10及び20に貯蔵された反応ガスの場合、第1の火工品点火器31によって生成される高温の粒子は、それらが混合チャンバ50内で混合したとき、それらが拡散チャンバ40内にあるとき又はそれらがエアバッグ内にあるとき、これらのガスの燃焼を開始することができる。
【0038】
図4は、第2の機構の作動による拡散チャンバ40における図1のガス発生器を図示している。ガスリザーブ10及び20からエアバッグに向かうガスの流量を増加させるために、この必要性がある場合には、第2の機構60は、混合チャンバ50と拡散チャンバ40との間の通過面の面積を増加させるために作動させることができる。この目的のために、第2の火工品点火器62が燃やされ、下向きに離れるようにピストン63を押圧することによって可動閉鎖部61を押圧する。このように、オリフィス52は、可動閉鎖部61の肩部を空けて見出され、混合チャンバ50から拡散チャンバ40までの追加の通路を提供する。
【0039】
なお、可動支持部32は、混合チャンバの壁53及び54の開口内を摺動するが、可動閉鎖部61の溝64内も摺動する。さらに、図2において、可動支持部32は可動閉鎖部61に当接しており、そのため、可動閉鎖部61を下降させるという効果を有する第2の点火器62の作動がまた、図2に図示されているような第1の位置から図4に図示されているような第2の位置へと可動支持部32を下降させるという効果も有するということに留意しなければならない。換言すれば、溝64は、可動支持部32が第2の位置へと事前に押圧されていない場合には、可動閉鎖部61が可動支持部32と接合されるのを可能とする。したがって、第2の点火器62のみを作動させることによって双方のガスリザーブ10及び20を開放し、オリフィス52によって形成された第2の通過面を同時に開放することが可能である。
【0040】
図5は、可動支持部についての代替的な実施形態を図示している。常に拡散チャンバ40に含まれ且つパーティション54及び53によって拡散チャンバ40から分離されている混合チャンバ50は、ガスリザーブ10及び20の双方の蓋16及び26をそれぞれ支持する可動支持部320を備える。各蓋16及び26は、それぞれ、矢印によって図示されるように押圧力P1及びP2を受ける。可動支持部320は、支持位置において、2つのタブ324及び327を備える。タブ327のみが以下に詳細に記載される。このタブは、2つの端部325及び326を備える。端部326は、可動支持部320の本体に接続され、端部325は自由であるが、パーティション54の切り欠きに嵌合されており、そのため、蓋26によってタブ327に加えられる圧力P2の押圧力がパーティション54によって少なくとも部分的に吸収される。この負荷拡散は、ガス発生器に良好な堅牢性を与え、温度又はガス負荷の変動による圧力変動が蓋16及び26の不適時の開放を引き起こすことはない。
【0041】
可動閉鎖部610及び可動支持部320は、パーティション53及び54の管腔内に案内される。さらに、可動支持部320は、パーティション54におけるその被案内部において管腔321を含む。また、可動閉鎖部610は、パーティション54におけるその被案内部において管腔611を備える。管腔611及び321は、図示されたような位置において、それらは混合チャンバ50内に開放しないことから、これらの管腔611及び321をガスが通過し得ないように配置されている。
【0042】
図6は、図示しない火工品点火器によってその開放位置に押圧されている図5の可動支持部320を図示している。この開放位置において、可動支持部320のタブ324及び327の自由端は、もはやパーティション54に嵌合されておらず、そのため、蓋16及び26によって加えられる押圧力P1及びP2は、図示されるように各タブ324及び327の折り返しを引き起こし、矢印によって示されるように、排出オリフィスを開放させてガス流路を空ける。
【0043】
可動支持部320がその開放位置になると、管腔321は、ガスがパーティション54を横断して拡散チャンバ50に入るためにその内部を通過することができるように、混合チャンバ内に及び拡散チャンバ40内に開口する。
【0044】
様々な変更及び/又は当業者にとって明らかな改善が、添付した特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本願明細書に記載された本発明の異なる実施形態に対して行われることができることが理解されるであろう。特に、反応ガスとしての二水素及び酸素について言及されるが、例えば、炭化水素の使用を考えることが可能である。拡散チャンバとの第2の連通面を閉鎖する第1の閉鎖位置と第2の連通面が自由である第2の通路位置との間における可動閉鎖部についても言及される。第2の連通面を閉鎖し且つ第2のアクチュエータによって破壊されるであろう蓋は、この定義に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6