特許第6403840号(P6403840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403840
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】通信コネクタ及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/33 20060101AFI20181001BHJP
   H01R 24/64 20110101ALI20181001BHJP
   H01R 13/6461 20110101ALI20181001BHJP
   H01R 13/6474 20110101ALI20181001BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01R13/33
   H01R24/64
   H01R13/6461
   H01R13/6474
   H01R12/58
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-125963(P2017-125963)
(22)【出願日】2017年6月28日
(62)【分割の表示】特願2015-560239(P2015-560239)の分割
【原出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-168461(P2017-168461A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年6月29日
(31)【優先権主張番号】61/771,600
(32)【優先日】2013年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/186,697
(32)【優先日】2014年2月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スレンドラ・チッティ・バーブ
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・アイ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・イー・フランセン
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−529764(JP,A)
【文献】 特開2000−003764(JP,A)
【文献】 特開2004−171878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6461−13/6471
H01R 24/60 −24/64
H01R 13/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグを受容するための開口部を備える筐体と、
垂直に配置されたプリント回路基板(PCB)と、
前記開口部に少なくとも部分的に受容される複数のプラグインターフェース接触子(PIC)であって、前記複数のプラグインターフェース接触子それぞれが前記開口部に近位する近位部分、前記開口部に遠位する遠位部分、及び、前記近位部分と前記遠位部分との間のプラグ接触ゾーンを有し、前記遠位部分は、第1の高さ、または、第2の高さの一方で前記プリント回路基板に固定されており、前記第1の高さが、前記第2の高さより高い、複数のプラグインインターフェース接触子と、
を備え、
前記第1の高さで前記プリント回路基板に固定される少なくとも1つのプラグインターフェース接触子が、前記第1の高さの上で延在する、前記遠位部分それぞれの上部を有し、前記第2の高さで前記プリント回路基板に固定される少なくとも1つの他のプラグインターフェース接触子が、前記第2の高さの下で延在する、前記遠位部分それぞれの下部を有し、
前記少なくとも1つのプラグインターフェース接触子の近位部分と、前記少なくとも1つの他のプラグインターフェース接触子の近位部分とは、互いに平行かつ近接して並列される、RJ45対応通信コネクタ。
【請求項2】
前記第1の高さの上で延在する前記遠位部分それぞれの前記上部を有する前記少なくとも1つのプラグインターフェース接触子が、前記プラグ接触ゾーンそれぞれの高さの下で延在する中間部をさらに有する、請求項1に記載のRJ45対応通信コネクタ。
【請求項3】
前記中間部の断面幅が、前記プラグ接触ゾーンそれぞれの断面幅より広く、かつ、前記中間部が、カットアウトを含む、請求項2に記載のRJ45対応通信コネクタ。
【請求項4】
前記中間部が円弧形状を備える、請求項2に記載のRJ45対応通信コネクタ。
【請求項5】
前記上部が、側面から見た際に逆さまのU字形状を備える、請求項1に記載のRJ45対応通信コネクタ。
【請求項6】
前記上部の断面幅が、前記プラグ接触ゾーンそれぞれの断面幅より広い、請求項1に記載のRJ45対応通信コネクタ。
【請求項7】
前記下部が円弧形状を備える、請求項1に記載のRJ45対応通信コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月1日出願の米国仮特許出願第61/771,600号の利益を主張し、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、概して、通信コネクタの分野に関し、より具体的には、プラグインターフェース接触子配置、及びこのようなプラグインターフェース接触子配置を採用する通信ジャックに関する。
【背景技術】
【0003】
RJ45ジャック等の通信コネクタは、通信業界において、これまで容易に採用されてきた上に、今後も容易に採用され続ける。これらのジャックは概して、一方の終端部に対応するプラグを受容するための開口部を有する筐体と、別の終端部に通信ケーブルを終端処理するための手段と、プラグと通信ケーブルとの間で電気信号を転送するための手段とを備える。
【0004】
RJ45ジャックにおいて、電気信号を転送するための手段は、典型的に、8つのプラグインターフェース接触子(PIC)を含む。8つのPICは、それぞれ、8極のRJ45プラグ内に位置決めされた8つのプラグ接触子とインターフェースするように設計される一方、6極のプラグ(例えば、RJ12、RJ25)、または4極のプラグ(例えば、RJ9)をRJ45ジャックに接続することも可能である。しかしながら、8極のプラグと比較すると、プラグ接触子1及び8は、6極のプラグには存在せず、プラグ接触子1、2、7、及び8は、4極のプラグには存在しない。したがって、プラグ接触子が存在しない場所では、ジャックのPICは、プラグ接触子が存在する場所と比較すると、ほぼ追加で0.027インチ屈折しなければならない。この追加の屈折は、外側のPICを塑性的に変形させ、変形が実質的に十分である場合はジャックに損傷を発生させる(またはその他、所定の仕様内の操作を妨害させる)可能性がある。加えて、いくつかの事例において、PICの位置決め/配置は、ジャック内で生成される所望されないクロストークの量、及び/または所望されないクロストークがどのように補正されるかに何らかの影響を及ぼす場合がある。
【0005】
このため、改善された設計を有する通信ジャックに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の実施形態は、通信コネクタ及び/またはその内部構成要素に関する。
【0007】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つのプラグインターフェース接触子が不均一の断面幅を有する、逆転プラグインターフェース接触子を有する通信ジャックである。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、プラグインターフェース接触子のうちの少なくとも2つが異なるビーム長を有する、逆転プラグインターフェース接触子を有する通信ジャックである。
【0009】
また別の実施形態において、本発明は、プラグインターフェース接触子のうちの少なくとも2つが屈折ゾーン内に対向する屈曲部を有する、逆転プラグインターフェース接触子を有する通信ジャックである。
【0010】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、プラグを受容するための開口部を有する筐体と、開口部内に少なくとも部分的に受容される複数のプラグインターフェース接触子(PIC)とを備える通信コネクタである。複数のプラグインターフェース接触子は、開口部に近位のそれぞれの終端部と、開口部に遠位の終端部とを含み、遠位終端部が、コネクタ内部に固定され、近位終端部が、遠位終端部に対して回転し、複数のプラグインターフェース接触子のうちの少なくともいくつかが、非均一の断面幅を有する。この実施形態の変形において、コネクタは通信システムに含まれる。
【0011】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、プラグを受容するための開口部を有する筐体と、開口部内に少なくとも部分的に受容される複数のプラグインターフェース接触子(PIC)とを備える通信コネクタである。複数のプラグインターフェース接触子は、開口部に近位のそれぞれの終端部と、開口部に遠位のそれぞれの終端部とを含み、遠位終端部が、コネクタ内部に固定され、近位終端部が、遠位終端部に対して回転し、近位終端部は、コネクタがプラグに係合されているとき、近位終端部のうちのいくつかが、近位終端部のうちの他よりも多く屈折するように構成される。
【0012】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、プラグを受容するための開口部を有する筐体と、開口部内に少なくとも部分的に受容される複数のプラグインターフェース接触子(PIC)とを備える通信コネクタである。複数のプラグインターフェース接触子は、開口部に近位のそれぞれの終端部と、開口部に遠位のそれぞれの終端部とを含み、遠位終端部が、コネクタ内部に固定され、近位終端部が、遠位終端部に対して回転し、遠位終端部にはヘムが作成される。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の図面、説明、及び以下に続くことができる任意の請求項を参照すると理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に従う通信システムを示す。
図2】本発明の実施形態に従うプラグ及びジャックの組み合わせを示す。
図3】本発明の実施形態に従う通信ジャックの分解図を示す。
図4】前面筐体を取り外した、図3のジャックを示す。
図5図4のジャックの側面図を示す。
図6図3のジャックのPICを示す。
図7A図3のジャックのプリント回路基板に組み立てられたPICのうちのいくつかを示す。
図7B】前面筐体を取り外し、プラグと係合された図3のジャックの側面図を示す。
図8図3のジャックのプリント回路基板へのPICの組み立てを示す。
図9図3のジャックの前面筐体の背面等角図を示す。
図10図2の前面等角部分区画図を示す。
図11】本発明の別の実施形態に従うPIC配置/形態を有するジャックを示す。
図12図11のジャックのPICを示す。
図13】本発明のまた別の実施形態に従う通信ジャックの分解図を示す。
図14】前面筐体を取り外し、PICを分解した、図13のジャックを示す。
図15】前面筐体を取り外した、図13のジャックを示す。
図16図15の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の例示的な実施形態は、通信システム30を示す図1に図示され、ジャック34及び対応するRJ45プラグ36を備えるパッチパネル32を含む。それぞれのケーブル38は、プラグ36で終端処理され、それぞれのケーブル40は、ジャック34で終端処理される。プラグ36がジャック34と係合すると、これらのコネクタを通じてデータを両方向に流すことができる。通信システム30は、図1ではパッチパネルを有するとして示されるが、代替の実施形態は、他のアクティブまたはパッシブ機器を含むことができる。パッシブ機器の例は、モジュラー式パッチパネル、パンチダウン式パッチパネル、カプラーパッチパネル、壁面ジャック等であり得るが、これらに限定されない。アクティブ機器の例は、イーサネット(登録商標)スイッチ、ルーター、サーバー、物理層管理システム、及びデータセンター及びまたは電話通信室に見出すことができるようなパワーオーバーイーサネット(登録商標)機器;セキュリティデバイス(カメラ及び他のセンサ等)及びドアアクセス機器;ならびに電話、コンピュータ、ファックス、プリンタ、及びワークステーション領域に見出すことができるような他の周辺機器であり得るが、これらに限定されない。通信システム30は、キャビネット、ラック、ケーブル管理及びオーバーヘッドルーティングシステム、ならびに他のこのような機器をさらに含むことができる。
【0016】
図1のジャック及びプラグの組み合わせは、図2にも示され、RJ45プラグ36と係合されたネットワークジャック34を示す。この図面において、ネットワークジャック34及びRJ45プラグ36の配向は、図1の配向と比較すると、ケーブル40の中心軸周囲で180°回転している。
【0017】
図3は、ネットワークジャック34の分解図を示し、前面筐体42と、プラグインターフェース接触子(PIC)44と、プリント回路基板(PCB)46(いくつかの実施形態では、その上にクロストーク補正構成要素を有することができる)と、絶縁被覆除去接続(IDC)サポート48と、IDC50と、背面筐体52と、ワイヤキャップ54とを含む。現在説明されている実施形態において、PICは、「逆転」と呼ばれてもよく、これは、PICが(PCB)に固定され、各それぞれのPICがPCBに接続する場所の周囲で概して屈曲することを暗示する。図4は、明確性のために前面筐体42が取り外されたネットワークジャック34のPCB46にPIC44が組み立てられた状態を示す。各PIC44の下付き数字は、ANSI/TIA−568−C.2により定義されるRJ45ピンの位置に対応する。図4の側面図は図5に表され、PIC44は図6に個別に示される。
【0018】
前記のように、RJ45ジャックが、6極または4極のプラグと係合すると、外側のPIC(6極のプラグの場合はPIC44及び44、及び4極のプラグの場合はPIC44、44、44、及び44)は、PIC44、44、44、及び44よりも追加の0.027″屈折することが可能でなければならず、6極または4極のプラグが取り外されると、未負荷の状態に戻るための十分な弾性を有すことが必要である。これによって、RJ45プラグの全ての対応するプラグ接触子56と係合するために、十分な垂直効力が存在することを保証することによって、適切な将来の機能性の提供を助けることができる(図10を参照)。PICの可塑性変形の少なくともいくらかの量を削減するために、屈折ゾーンの少なくともかなりの部分にわたって機械的応力を分散するために有利であり、本実施形態において、図6及び7Aに示されるように、プラグ接触ゾーン58とPCB46との間に及ぶ。これは、局地的な応力ピークを回避することができ、増加した原料歩留まりとなることができる。
【0019】
機械的応力の所望される分散を達成する1つの方式は、PICの幅を変動させることによる。この一例は、PIC44に示され、ポケット60を有し、これは、PIC44の断面幅を変動させることによって、応力分散を支援するように作用する。断面は、プラグ接触ゾーン58からの距離が増加すると、PIC44へより多くの材料を追加することによって、変動する。これは、プラグ接触ゾーン58からの距離が増加すると、PIC44の剛性を有効に増加させ、屈折ゾーンの増加部分にわたって、応力の分散となる。PIC44は例として示されるが、この変動する断面は、残りのPIC44、44、44、44、44、44、及び44にも適用される。しかしながら、PIC44、44、及び44は、それぞれの外表面62を調整することによって、断面幅が変動するが、一方、PIC44、44、44、44、及び44は、内部ポケット60によってその断面幅が変動する。
【0020】
PIC44は、クロストークの相対的量を制御し、ならびに屈折の全範囲を占めるようにさまざまに断面幅を変動する。例えば、4極のプラグが挿入された場合、PIC44、44、44、及び44は、PIC44、44、44、及び44よりも多く屈折する。このような屈折の違いは、PIC44と44との間、及び44と44との間の距離が、電気短絡または高電(Hipot)障害のリスクを生じるのに十分小さくなるようにすることができる。これらのリスクの潜在性を削減するために、PICの断面幅は、屈折のレベルが変動する場合であっても、隣接するPICの間に十分な距離が残るように変動させ得る。例えば、図6を参照すると、PIC44の外表面62及びPIC44の外表面62は、接触ゾーン58に向かってテーパー形状であることに気づくであろう。このようなテーパー形状は、これらのPICが異なって屈折するとき、それぞれのPICの間の最低距離を増加させることができる。
【0021】
変動する断面幅に加えて、PIC44は、異なる屈曲特性を採用する。これは、図5の側面図に見ることができる。PIC44及び44は、第1の屈曲特性を有し、PIC44及び44は、第2の屈曲特性を有し、PIC44、44、44、及び44は、第3の屈曲特性を有する。PIC44及び44は、4極のプラグと係合する場合、PIC44及び44より多く屈折する可能性があるため、PIC44及び44は、(PIC44及び44よりも)長い屈折ゾーンを有し、これによって、可塑性変形なく、追加の屈折を持続することを可能にすることができる。
【0022】
機械的弾力性を有することに加えて、所定の事例において、PIC配置の電気性能に注目することが重要であり得る。例えば、異なる信号ペア4:5と3:6との間で発生するクロストークの補正は、プラグペア組み合わせ4:5−3:6が、プラグ内の全てのペア組み合わせのうち最大規模のクロストークを有するようにANSI/TIA−568−C.2基準によって要求されるため、達成することが一般的により困難である。この理由は、ペア4:5は、RJ45プラグ36内で開始し、ジャック34内の第1の補正ゾーンで終了する距離にわたって、スプリットペア3:6の間で走行するからである。したがって、次の検討は、特に、信号ペア4:5及び3:6のために所望される電気性能を取得する際のPIC44の支援能力に重点を置く。
【0023】
RJ45プラグ36内の信号ライン3と信号ライン4との間で発生する容量性及び誘導性カップリングは、異なるペアの組み合わせ4:5と3:6の間のクロストークを付加する。同様に、信号ライン5と信号ライン6との間で発生する容量性及び誘導性カップリングも、異なるペアの組み合わせ4:5と3:6の間のクロストークを付加する。いくつかの方式で、クロストークのマイナス影響を削減することが可能である。第1に、3:4と5:6信号ラインの間で発生する容量性及び誘導性クロストークカップリングの初期量を削減することが有利である。これは、プラグ接触ゾーン58とPCB46との間で、PIC44及び44を(図7Aに示される配向に対して)下方へ屈曲させ、かつPIC44及び44を上方へ屈曲させることで達成することができる。PIC44が下方に屈曲し、PIC44が上方に屈曲するため、2つのPICの間の距離57(図5を参照)が増加し、クロストークカップリングの量が減少する。同等の関係は、PIC44と44との間に存在する。
【0024】
クロストークの初期の量を削減する別の例は、図7Bに示され、ネットワークジャック34(前面筐体を取り外した状態)は、それぞれの近位終端部47及び遠位終端部43を有するPIC44とともに示される。プラグ36がジャック34と係合すると、いくつかの近位終端部47(例えば、PIC44、44、44、及び44に対応する)は、他の近位終端部47(例えば、PIC44、44、44、及び44に対応する)よりも多く屈曲する。このために、隣接するPIC44の間の電気カップリングは、近位終端部47の近辺で削減することができる。
【0025】
第2に、補正信号を提供することが有利である。3:4及び5:6ペアの間の問題のあるクロストークを補正するために、それぞれ、信号ライン3と5との間、及び信号ライン4と6との間で、補正容量性カップリングが必要である。補正容量性カップリングが問題のあるクロストーク(例えば、RJ45プラグ接触子56)に近ければ近いほど、補正がより効果的であり、したがって、より優れた性能を得ることができる。所望される補正容量性カップリングのうち少なくともいくつかは、それぞれ、PIC44及び44の近接近内にPIC44及び44を位置付けることによって達成することができる。屈折ゾーン内の断面幅の増加によって、PIC44が均一の幅であるよりも、PIC44の外表面62が、PIC44の外表面62(網掛けで示される)により近くなることが可能になる。この相対的近接性によって、信号ライン4と6との間の増加した補正容量性カップリングとなる。同様に、PIC44及び44の増加した幅は、信号ライン3と5との間の増加した補正容量性カップリングとなる。
【0026】
信号ライン3:4と5:6との間の問題のあるクロストークをさらに削減するために、追加の補正が必要となる場合があるが(この追加の補正は、PCB46上で発生することができる)、PIC44によって提供される補正は、PCB46上で必要とされる場合がある補正量を減少させる。また、有効な補正域をプラグ接触子56により近似させ、これによって、より高い電気的潜在性能となり得る。
【0027】
図8を参照すると、PIC44とPCB46との間の機械的保持ならびに電気的結合を提供するために、PIC44上でコンプライアントピン64が使用される。コンプライアントピン64は、細長い楕円形のスリットを有する「針の穴」形状を有し、図8の詳細図に示されるように、材料の厚さを効果的に二重にするために、その上に戻ってヘムが作成される。PIC44は、可塑性変形を発生させずに必要な屈折を得るために十分に薄い材料から製造される。コンプライアントピン64にヘムを作成することで、ヘム領域の強度を増加し、PCB46に対するより強固な界面を提供する。図8は、PIC44だけを示すが、同じコンプライアントピン64は、残りのPICの任意で使用されてもよい。
【0028】
PIC44の適切な縦方向の移動及び弾力性を確保することに加えて、横方向の移動を少なくとも部分的に抑制するためにも利点であり得る。図9は、前面筐体42の背面等角図を示す。前面くし状部66は、PIC44の間の相対的な離間を制御し、PIC44の交差、電気的短絡、及び/または高電障害が発生し得るに十分相互に近接することを防止するために、前面筐体42に統合される。前面くし状部66は、4または6極プラグが挿入された場合のソリッドプラグ挿入を含めて、屈折の全状態でPIC44が櫛でとくように動かされることを確保するに十分大きい。図10は、図2の前面等角部分区画図を介する正常動作中のPIC44の屈折を示す。この図面において、例示的なRJ45プラグ筐体68は、明確性のために破線で示される。RJ45プラグ36がネットワークジャック34に挿入されると、プラグ接触子56は、示されるように、PIC44と接する。PIC44は、前面くし状部66内部で下方に屈折し、それぞれのプラグ接触子56とPIC44との間の界面で圧力を生じ、データが流れるに十分な電気的接合となる。
【0029】
ネットワークジャック34及びそのPICの説明中の実施形態の変形は、図11及び12に示される。図11は、PCB46に組み立てられた代替のPIC70を示し、図12は、代替のPIC70を個別に示す。これらの図面に見られるように、PIC70は、ポケット60を含まない。代わりに、少なくともいくつかの事例において、断面幅は、一方の側部から他方へ測定される、それぞれのPICの全体的な幅を調整することによって、異なる。ポケットの省略は、PIC70の製造を単純化することができるが、依然として、屈折ゾーン全体の屈曲応力を分散し、可塑性変形を削減する同様な効果を提供する。
【0030】
本発明の実施形態に従いPICを有するジャックの別の実施形態は、図13に示される。この図面は、ジャック134の分解図を示し、前面筐体142と、逆転PIC144と、PCB146(いくつかの実施形態では、その上にクロストーク補正構成要素を有することができる)と、IDCサポート148と、IDC150と、背面筐体152と、ワイヤキャップ154とを含む。
【0031】
図14及び15に示される斜視図、ならびに図16に示される側面図により明確に示されるように、PIC144は、4つの異なるタイプのPIC160、162、162、及び164からなる。これらのPIC144は、上部及び底部の列を介してPCB146に付設される。上部の列は、PIC162及び166を含み、底部の列はPIC160及び164を含む。
【0032】
図16に示されるように、PIC160及び162は、それぞれ、PCBへの付設点(該PICが係合中に屈折すると、ピボット点でもある)近辺に位置付けられる、下方に面する凹型ループ170及び172を含む。これらのループ170及び172は、ジャック134の機械的性能を増加することができる。具体的には、ジャック134が8極プラグと係合すると、PIC160は、プラグ接触子2及び8とインターフェースし、PIC162は、プラグ接触子1及び7とインターフェースし、PIC164は、プラグ接触子4及び6とインターフェースし、PIC166は、プラグ接触子3及び5とインターフェースする。しかしながら、ジャック134が4極のプラグと係合すると、PIC160及び162は、プラグ本体と接触し、プラグ接触子1、2、3及び4と係合するPIC164及び166よりも高程度の変形になる。ループ170及び172は、PIC160及び162に、増加したビーム長を提供し、追加の偏位に対応することを助け、少なくとも何らかの可塑性変形を潜在的に防止するために必要な垂直抗力を提供することを助ける。同様な利点は、最も外側のPICに最大程度の屈折を経験させる6極プラグの挿入中に実現することができる。
【0033】
PIC164及び166は、PIC160及び162と同程度の屈折に耐えることが予想されないため、これらのビーム長は、PIC160及び162のビーム長よりも短い可能性がある。より短いビーム長は、製造工程を簡素化することができ、PCB146上に存在するかもしれない任意のクロストーク補正構成要素を、何らかの問題のあるクロストークの発生源により近接させることを助ける場合があるため、ジャック134の電気的性能も改善することができる。
【0034】
本発明はいくつかの実施形態の面から説明されるが、これらの実施形態は(例示的として表記されている、されていないに関わらず)非限定であり、本発明の範囲内である、代替、変形、及び同等物が存在することに注意されたい。さらに、説明される実施形態は、相互に排他的として解釈されてはならず、そうではなく、このような組み合わせが許容される場合、潜在的に組み合わせ可能として理解されなければならない。また、本発明の方法及び装置を実装する多数の代替方式が存在することにも注意されたい。したがって、以下の請求項は、本発明の趣旨及び範囲内にあるとして、全てのこのような代替、変形、及び同等物を含むとして、解釈されなければならないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16