【実施例1】
【0017】
[係留ロープ用継手の構造]
図1は、本発明の実施例1に係る係留ロープ用継手を示す斜視図、
図2は、係留用ロープの端部を示す概略平面図である。なお、一対の係留ロープは、形状がほぼ同一であるため、
図2において一方のみを示し、他方については括弧書きで符号のみを示す。
【0018】
本実施例の係留ロープ用継手1は、
図1のように、一対の係留ロープ3a,3bの相互間を接続するものである。一方の係留ロープ3aは、ブイ等の浮体側から伸び、他方の係留ロープ3bは、アンカー等の沈設物から伸びるものである。
【0019】
これら係留ロープ3a,3bの材質は、特に限定されるものではないが、麻、ビニロン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等である。本実施例では、浮体側の係留ロープ3aがポリプロピレン製であり、沈設物側の係留ロープ3bがポリアミド製である。
【0020】
係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baは、
図2のように環状になっており、
図1のように係留ロープ用継手1を介して鎖状に連結される。なお、鎖状の連結は、環状の端部3aa,3baの一方の開口に他方が挿通し、同時に端部3aa,3baの他方の開口に一方が挿通することをいう。
【0021】
端部3aa,3baの環状形状は、本実施例において編み込みによって形成されているが、例えば、スリーブを用いた圧着等によって形成することも可能である。
【0022】
図3〜
図6は、それぞれ
図1の係留ロープ用継手の側面図、平面図、正面図、及び背面図である。
【0023】
本実施例の係留ロープ用継手1は、本体部5と、第1及び第2案内路7,9とで構成されている。
【0024】
本体部5は、一対の係留ロープ3a,3bと同等の比重を有する材料によって形成されている。本実施例の本体部5は、比重が1以下の材料からなり、このような材料としては、例えば、超高分子量ポリエチレン等の樹脂を用いることが可能である。
【0025】
本体部5の比重は、係留ロープ3a,3bの比重と同一にするのが好ましいが、係留ロープ3a,3bの比重に対する一定の許容幅内で設定された同程度のものであればよい。この比重の許容幅は、係留ロープ3a,3bの比重の5%程度であることが好ましい。
【0026】
本実施例では、異なる材料の係留ロープ3a,3bを接続する関係上、何れか一方の比重と同一にするか或は双方の比重の間の比重とするのが好ましい。ただし、相対的に比重が大きい係留ロープ3b(ポリアミドの比重1.14)よりも大きくしたり、或は相対的に比重が小さい係留ロープ3a(ポリプロピレンの比重0.91)よりも小さくすることも可能である。
【0027】
かかる本体部5の形状は、全体として球状となっている。本実施例の本体部5は、長球状に形成されている。ただし、完全な長球状ではなく、端部が平坦な形状となっている。ただし、本体部5は、単純な球状としたり、或は立方体や他の立体形状にすることも可能である。本体部5の外周には、長球状の短軸Yに沿って周回状の凹部11が形成されている。
【0028】
第1及び第2案内路7,9は、本体部5に対して一対の係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3baを沿わせて、これら端部3aa,3baを鎖状に連結した状態で保持するためのものである。これら第1及び第2案内路7,9は、穴部7a,9a及び溝部7b,9bを備えている。
【0029】
第1及び第2案内路7,9の穴部7a,9aは、それぞれ長球状の中心Oに対して長軸Xに沿った方向の両側に位置する。これら穴部7a,9aは、本体部5を短軸Yに沿った方向において長軸Xを通って貫通して設けられている。ただし、穴部7a,9aは、同一の方向に伸びているのではなく、正面視又は背面視において相互に交差する。
【0030】
なお、長軸Xを通る短軸Yに沿った方向を「径方向」と称し、長軸Xに沿った方向を「長手方向」と称する。両穴部7a,9aには、係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baがそれぞれ挿通している。
【0031】
穴部7a,9aの中心O1と本体部の中心Oとの間の長手方向の距離D1及びD2は同一となっている。ただし、距離D1及びD2は、異なっていてもよいが、バランスを考慮すると同一にするのが好ましい。
【0032】
溝部7b,9bは、各穴部7a,9aの両端から本体部5の外周に倣って設けられている。溝部7b,9bには、それぞれ穴部7a,9aを挿通した係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baが這っている。
【0033】
第1案内路7の溝部7bは、第1案内路7の穴部7aから本体部5の中心Oを越えて、穴部7aに対して相対的に遠い本体部5の端部へ渡り、長手方向に沿って設けられている。穴部7aの両側の溝部7bは、その端部が本体部5の端部において不連続部13を介して径方向に相互に対向している。
【0034】
同様に、第2案内路9の溝部9bは、第2案内路9の穴部9aから本体部5の中心Oを越えて、穴部9aに対して相対的に遠い本体部5の端部へ渡り、長手方向に沿って設けられている。穴部9aの両側の溝部9bは、その端部が本体部5の端部において不連続部15を介して径方向に相互に対向している。
【0035】
各溝部7b,9bの深さは、係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baの線径d以上の深さを有し、係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baが本体部5の外周から突出しないようになっている。溝部7b,9bの内面は、係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baに応じて弧状面になっている。
【0036】
[係留ロープ用継手の作用]
本実施例の係留ロープ用継手1を用いる際は、アンカー等の沈設物を海底等に沈設する前に、予めブイ等の浮体側から伸びる係留ロープ3a及び沈設物側から伸びる係留ロープ3bの端部3aa,3ba間を係留ロープ用継手1によって結合しておく。
【0037】
沈設物を海底等に沈設すると、係留ロープ3b、係留ロープ用継手1、係留ロープ3aを介して浮体を沈設物に係留することができる。
【0038】
このとき、係留ロープ用継手1は、一対の係留ロープ3a,3bと同等の比重を有する材料によって形成された球状の本体部5に、一対の係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3baを沿わせ鎖状に連結した状態を保持する第1案内路7及び第2案内路9を設けた構成であるため、係留ロープ3a,3b間に大きく沈んだ関節部分を形成することがない。
【0039】
しかも、係留ロープ用継手1は、係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3ba間に対し、球体の本体部5を圧縮する方向において介在させるため、十分な強度を確保できる。
【0040】
さらに、係留ロープ用継手1は、本体部5が長球状であるため、比重が1以下であることとも相まって、水中抵抗を抑えることができる。
【0041】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例の係留ロープ用継手1は、一対の係留ロープ3a,3bと同等の比重を有する材料によって形成された本体部5と、この本体部5に対して一対の係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3baを沿わせて、これら端部3aa,3baを鎖状に連結した状態で保持する第1案内路7及び第2案内路9とを備える。
【0042】
従って、本実施例では、係留ロープ3a,3bと同等の比重を有する本体部5に一対の係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3baを沿わせて鎖状に連結した状態を保持することができるため、十分な強度を確保しつつ係留中に大きく沈んだ関節部分の形成を抑制することができる。
【0043】
本実施例では、本体部5の比重が1以下であり、水に浮くため、同等の比重である係留ロープ3a,3b間で関節部分を形成することを確実に抑制できる。
【0044】
しかも、本体部5は、長球状であるため、水中抵抗を抑制できる。しかも、長球形状と比重が1以下であることとも相まって、より確実に水中抵抗を抑制することが可能となる。
【0045】
また、第1案内路7及び第2案内路9は、本体部5を貫通する穴部7a,9aと、この穴部7a,9aの両端から本体部5の外周に倣って設けられた溝部7b,9bとをそれぞれ備えている。
【0046】
このため、本実施例では、確実に本体部5に対して一対の係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3baを沿わせて、これら端部3aa,3baを鎖状に連結した状態で保持することができる。
【0047】
また、係留ロープ用継手1は、穴部7a,9aにより係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baの抜けを防止でき、係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baの確実な接続を実現する。
【0048】
さらに、第1案内路7及び第2案内路9の穴部7a,9aは、本体部5の中心に対して長球状の長軸Xに沿った方向の両側に位置し、第1案内路7及び第2案内路9の溝部7b,9bは、それぞれ穴部7a,9aの両端から本体部5の中心Oを越えて長軸Xに沿って延設されている。
【0049】
従って、本実施例の係留ロープ用継手1では、係留ロープ3a,3bの環状の端部3aa,3ba間で圧縮する方向に球体の本体部5を介在させるが、その介在部分の長さを確保でき、より確実に強度を確保することができる。
【0050】
また、第1案内路7及び第2案内路9の溝部7b,9bは、係留ロープ3a,3bの線径d以上の深さを有するので、係留ロープ3a,3bの突出を抑え、水中抵抗をより確実に抑制することができる。
【0051】
[その他]
係留ロープ用継手1は、実施例1に対し、第1及び第2案内路7,9を穴部7a,9aを省略して溝部7b,9bで構成してもよい。
【0052】
この場合、第1案内路7の溝部7bは、本体部5の外周面に周回形状に設け、第2案内路9の溝部9bは、第1案内路7の溝部7bと交差するように本体部5の外周面に周回形状に設ければよい。
【0053】
このように、溝部7b,9bを周回状に設けた構造であっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、係留ロープ3a,3bの端部3aa,3baをタイトに溝部7b,9bに沿った環状とすれば、抜けを防止できる。