特許第6403870号(P6403870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403870
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】電子蒸気供給装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20181001BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-506276(P2017-506276)
(86)(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公表番号】特表2017-523785(P2017-523785A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】GB2015052261
(87)【国際公開番号】WO2016020675
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】1413835.8
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513305995
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ニューンズ、デヴィッド
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0174914(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/058678(WO,A1)
【文献】 特表2014−512207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーによって吸引される液体を気化する気化器と、
気化器に電力を供給するための電池またはバッテリーを含む電力供給部と、ユーザーが吸引した結果として電子蒸気供給装置を通る空気流を検知するためのセンサーと、手動の作動装置と、コントロールユニットとを含み、
このコントロールユニットは、コントロールユニットが(i)センサーが電子蒸気供給装置を通る空気流を検知していて、且つ、(ii)手動の作動装置がユーザーによって手動で作動されたと判断した場合に液体を気化するために気化器に電力が供給されるようにし、
前記手動作動装置は、ユーザーからの継続した連続操作の間のみ作動した状態のままになるように構成され、ユーザーの操作が終了すると、手動作動装置は自動的に停止されるように構成されている電子蒸気供給装置。
【請求項2】
気化器はユーザーが吸引するための液体を加熱し、それによって気化するために電源から給電されるヒーターであることを特徴とする請求項1に記載の電子蒸気供給装置。
【請求項3】
液体はニコチンであることを特徴とする請求項1または2記載の電子蒸気供給装置。
【請求項4】
センサーは電子蒸気供給装置を通る空気流を検知するために圧力降下を検知することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の電子蒸気供給装置。
【請求項5】
手動作動装置はボタンを含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の電子蒸気供給装置。
【請求項6】
手動作動装置はタッチセンサーであることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の電子蒸気供給装置。
【請求項7】
手動作動装置は、手動作動装置が作動しない第1の位置と手動作動装置が作動する第2の位置との間で移動するためにスライド可能なまたは回転可能なスイッチであることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の電子蒸気供給装置。
【請求項8】
スイッチは手動作動装置が作動しない第の位置の方へと付勢されることを特徴とする請求項7記載の電子蒸気供給装置。
【請求項9】
ユーザーによって吸引される液体を気化する気化器を含む電子蒸気供給装置の操作方法であって、前記電子蒸気供給装置は、気化器に電力を供給するための電池またはバッテリーを含む電力供給部を含み、前記方法は、ユーザーが作動するための手動作動装置を供することと、ユーザーが吸引した結果として電子蒸気供給装置を通る空気流を検知するためのセンサーを供することと、
(i)センサーが電子蒸気供給装置を通る空気流を検知していて、且つ、(ii)手動の作動装置がユーザーによって手動で作動されたと判断した場合に液体を気化するために気化器に電力が供給されるようにすることとを含み、
前記手動作動装置は、ユーザーからの継続した連続操作の間のみ作動した状態のままであり、ユーザーの操作が終了すると、手動作動装置は自動的に停止される方法。
【請求項10】
手動作動装置はボタン、タッチセンサーまたはスイッチであることを特徴とする請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子ニコチン送出装置(例えば、電子タバコ)などの電子蒸気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子タバコなどの電子蒸気供給装置は、気化される、またはそうでなければエアロゾルに変換される通常ニコチンなどの液体容器を含む。このような装置には通常マウスピースから離れて位置する1つ以上の空気取り込み穴が設けられている。ユーザーがマウスピースで吸い込みを行うと、空気が取り込み穴に引き込まれ、そしてカートリッジからニコチンまたは他の液体が供給されるヒーターなどの蒸気源を通過する。
【0003】
一部の電子タバコにはヒーターを作動させるために使用されるボタンなどの特定の手動利器が設けられている。このような利器では、ヒーターはユーザーがボタンを押し下げている間のみ作動する。しかしながら、このような手動利器は、例えば装置がユーザーのポケットにあるときに何かがボタンを押した場合に誤作動してしまう場合がある。このことは時にはユーザーが知らずにヒーターの意図しない作動の原因になり、これはバッテリーの電力を無駄にし、ヒーターを損傷し、および/またはユーザーの怪我にもつながる場合がある。
【0004】
このような問題に対する既存の解決策は、偶然に作動しないようにより複雑な作動機構を有する装置を提供することである。例えば、装置は、ヒーターの作動を生じさせるためにユーザーが連続して押す特定の番号を必要とするボタンを有する場合がある。しかしながら、このような比較的複雑な機構は、一般にユーザーにとって不便であり、面倒である。
【0005】
意図しない作動を避けるために一部の装置で採用されている別の方法は、ユーザーが装置を介して吸引した際に装置を流れる空気流を検知する空気流センサー(圧力降下センサー)によって自動的に作動するヒーターを備えることである。より具体的にはユーザーが装置を吸引すると、ヒーターが作動して少量の液体を気化し、ユーザーによって吸引される。しかしながら、これはヒーター(従って電子タバコ)をそれを持って吸引のまねをする意図したユーザー以外の誰かが作動させてしまうことにもなる。
【0006】
ここで説明する方法は、上述の問題点に対処する補助をするものである。
【発明の概要】
【0007】
電子蒸気供給装置が提供され、この装置はユーザーによって吸引される液体を気化する気化器と、気化器に電力を供給するための電池またはバッテリーを含む電力供給部と、ユーザーが吸引した結果として電子蒸気供給装置を通る空気流を検知するためのセンサーと、手動の作動装置と、コントロールユニットとを含み、このコントロールユニットは、コントロールユニットが(i)センサーが電子蒸気供給装置を通る空気流を検知していて、且つ、(ii)手動の作動装置がユーザーによって手動で作動されたと判断した場合に液体を気化するために気化器に電力が供給されるようにする。
【0008】
本明細書に記載の方法は、下記の特定の実施態様に制限されないが、本明細書に示した特徴の任意の適切な組み合わせを含みかつ検討している。例えば、後述の種々の特徴の1つ以上を任意に適切に含む電子蒸気供給装置を本明細書記載の方法に従って提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで本発明の種々の実施態様を添付の図面を参照し例示として詳しく説明する。
図1】本発明の一部の実施態様による電子タバコなどの電子蒸気供給装置の略図(分解)である。
図2】本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコの本体の略図である。
図3】本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコの気化器部分の略図である。
図4】本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコの本体部の一端の特定の態様を示す略図である。
図5】本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコの本体の主機能部品の略図である。
図6】本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコの特定の態様を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述のように本開示は電子タバコのような電子蒸気供給装置に関する。以下の説明全体において「電子タバコ」なる用語を使用しているが、この用語は電子蒸気供給装置と同じ意味で使用される。
【0011】
図1は本発明の一部の実施態様による電子タバコ10などの電子蒸気供給装置の略図である(正確な縮尺ではない)。電子タバコはほぼ円筒状であり、破線LAで示す長手方向軸に沿って延び、2つの主要部材、即ち本体20とカトマイザー30とを含む。カトマイザーはニコチンの容器を含む内部チェンバーと、気化器(ヒーターなどの)とマウスピース35とを含む。カートリッジ内の容器は発泡体または任意の他の構造でよく、ニコチンを気化器に供給するまで保持する。気化器はニコチンを気化するためのものであり、カトマイザー30は、さらに容器から少量のニコチンを気化器上または気化器に隣接する気化する場に移送する芯またはそれに類似する手段を含む。以下の説明ではヒーターを気化器の具体例として使用する。しかしながら、当然のことながら他の形体の気化器(例えば超音波を利用したもの)も使用可能である。
【0012】
本体20は電子タバコ10に電力を供給する充電式電池またはバッテリーと、電子タバコ全体を制御する回路基板とを備える。ヒーターが回路板によって制御されながらバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターはニコチンを気化し、この蒸気はマウスピース35を介してユーザーに吸引される。本体には以下により詳しく説明する本体の外側に位置する手動で作動させる装置265、例えばボタン、スイッチ、または他のタッチセンサーがさらに設けられている。
【0013】
本体20とカトマイザー30は互いに長手方向軸LAに平行な方向に引き離すことによって図1に示す様に互いに分離可能である。しかしながら、装置10を使用するときは、本体20とカトマイザー30は図1に25Aと25Bで概略を示した接続部で互いに機械的かつ電気的に接続される。カトマイザーとの接続に使用される本体20の電気コネクターは、本体がカトマイザー30から外されると、充電装置(図示せず)を接続するソケットの役目も果たす。充電装置の他端をUSBソケットに差し込んで電子タバコの本体の電池を充電することができる。他の実行例では、本体の電気コネクターとUSBソケットを直接接続するケーブルを設けてもよい。
【0014】
電子タバコ10には空気取り入れ用の穴が1個以上設けられている(図1には示さず)。これらの穴は電子タバコ10内の空気通路からマウスピース35まで繋がっている。ユーザーがマウスピース35から吸引すると、電子タバコの外側に適切に配置された1つ以上の空気取り入れ穴から空気がこの空気通路に引き込まれる。この空気流(あるいはその結果である圧力変化)が圧力センサーで検知され、ヒーターが作動してカートリッジのニコチンを気化する。空気流はニコチン蒸気中を通過してそれと混ざり合い、この空気流とニコチン蒸気の混合物がマウスピース35からユーザーに吸引される。カトマイザー30は、ニコチンを供給し終わったら本体20から外して廃棄(必要なら他のカトマイザーと交換)してもよい。
【0015】
当然のことながら図1に示した電子タバコ10は例示であって、種々の他の実施例を採用することができる。例えば、一部の実施態様ではカトマイザー30は2つの分離可能な部材、即ちニコチン容器とマウスピースを含むカートリッジ(容器のニコチンを使い切ったら交換することができる)とヒーターを含む気化器(通常、交換されずに維持される)として設けられる。別の例として充電設備は追加のまたは別の電力源、例えば車のシガレットライターに接続してもよい。
【0016】
図2は本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコの本体20の概略(単純化した)図である。図2は全体に電子タバコの長手方向軸LAを通る断面と考えることができる。なお図2では、分かりやすくする目的で、種々の構成要素および本体の詳細、例えば配線およびより複雑な形状は省略されている。
【0017】
本体20は電子タバコ10に給電するためのバッテリーまたは電池210並びに電子タバコ10を制御するための特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコントローラーなどのチップ(図示せず)を含む。ASICはバッテリー210と並んでまたはその一端に配置されてもよい。ASICはマウスピース35での吸引を検知するためのセンサーユニット215に取り付けられる(またはこれとは別にセンサーユニット215をASIC自体に設けてもよい)。
【0018】
本体20はさらに電子タバコ10の遠い方(遠位にある)の端部を封止し、保護するキャップ225を含む。キャップ225にまたはこれに隣接して空気取り込み穴があり、これはユーザーがマウスピース35で吸引すると空気を本体20に入らせ、センサーユニット215を通過させる。従って、この空気流はセンサーユニット215にユーザーの吸引を検知させる。
【0019】
本体20のキャップ225と反対側は、本体20をカトマイザー30に接続するコネクター25Bである。コネクター25Bによって本体20とカトマイザー30の間の機械的接続および電気的接続が得られる。コネクター25Bは本体コネクター240を含む。本体コネクター240は金属製で(一部の実施態様では銀メッキされており)、カトマイザー30との電気的接続端子の一方(陽極または陰極)の役目を果たす。コネクター25Bはさらに電気接点250を含む。電気接点250はカトマイザー30との電気的接続のための第2の端子(上記第1の端子即ち、本体コネクター240と逆極性の端子)を提供する。電気接点250はコイルばね255に取り付けられている。本体20がカトマイザー30に取り付けられるとき、カトマイザーのコネクター25Aはコイルばねを軸方向即ち、長手方向軸LAと平行な方向(それに沿う方向)に圧縮するように電気接点250を押す。ばね255には弾性があるため、この圧縮によってばね255は付勢されて延びようとし、電気接点250をコネクター25Aにしっかり押し付ける効果が得られ、本体20とカトマイザー30の間の電気的接続が良好確実になる。本体コネクター240と電気接点250は非導電材料(プラスチックなど)で作られたトレッスル260で隔てられており、2つの電気接点の間の絶縁が良好になる。トレッスル260はコネクター25Aとコネクター25Bの相互の機械的結合を補助する形状をしている。
【0020】
上述したように手動の作動装置265の一つの形体を表すボタン265は本体20の外方ハウジングに位置している。ボタン265はユーザーによって手動で作動させるように操作可能ななんらかの適当な機構、例えば機械的ボタンまたはスイッチ、静電的または抵抗性タッチセンサーなどを使用して実行してもよい。当然のことながら手動の作動装置265は本体20の外方ハウジングではなく、カトマイザー30の外方ハウジングに配置してもよく、この場合、手動の作動装置265はコネクター25A、25Bを介してASICに取り付けられてもよい。ボタン265はキャップ225の代わりに(または加えて)本体20の端部に配置してもよい。
【0021】
図3は本発明の一部の実施態様による図1の電子タバコ10のカトマイザー30の略図である。図3は一般に電子タバコ10の長手方向軸LAの介した面の断面とみなすことができる。なお図3では、分かりやすくする目的で、種々の構成要素および本体の詳細、例えば配線およびより複雑な形状は省略されている。
【0022】
カトマイザー30は空気通路355を含む。空気通路355はカトマイザー30の中心軸(長手方向軸)に沿ってマウスピース35から、カトマイザー30を本体20に繋ぐコネクター25Aまで延びる。空気通路335の周りにニコチンの容器360が設けられている。この容器360は、例えば、ニコチンに浸したコットンまたは発泡体を供することによって実施してもよい。カトマイザーは容器360のニコチンを加熱するヒーター365も含み、ユーザーによる電子タバコ10の吸引に応答してニコチン蒸気を発生させて空気通路355に流し、マウスピース35から出す。ヒーターには配線366と367経由で電力が供給され、これらの配線の他方はバッテリー210の互いに逆極(陽極と陰極、またはその逆)にコネクター25Aを介して接続されている(図3では電源線366、367とコネクター25Aの間の配線の詳細は省略されている)。
【0023】
コネクター25Aは内部電極375を含む。内部電極375は銀メッキされていてもよく、あるいは何らかの他の適切な金属で作られていてもよい。カトマイザー30が本体20に接続されるとき、内部電極375は本体20の電気接点250と接触して、カトマイザーと本体の間の第1の電気経路を作る。具体的には、コネクター25Aとコネクター25Bが繋がると、内部電極375はコイルばね255を圧縮するように電気接点250を押し、内部電極375と電気接点250の間の電気的接触が良好確実になる。
【0024】
内部電極375は絶縁リング372に囲まれている。絶縁リング372はプラスチック、ゴム、シリコン、または任意の他の適切な材料で作られてもよい。絶縁リングはカトマイザーコネクター370で囲まれている。カトマイザーコネクター370は銀メッキされていてもよく、あるいは何らかの他の適切な金属即ち、導電材料でつくられていてもよい。カトマイザー30が本体20に接続されると、カトマイザーコネクター370は本体20の本体コネクター240に接触して、カトマイザーと本体の間の第2の電気経路を作る。言い換えると、内部電極375とカトマイザーコネクター370は陽極端子と陰極端子(あるいはその逆)の役目を果たし、本体内のバッテリー210の電力を供給用配線366および367経由でカトマイザー内のヒーター365に適切に供給する。
【0025】
カトマイザーコネクター370には、電子タバコの長手方向軸から遠ざかる互いに反対の方向に延びた2つのタブ380A、380Bが設けられている。これらを用いて本体コネクター240との差し込み式接続具を構成して、カトマイザー30を本体20に接続する。この差し込み式接続具により、カトマイザー30と本体20を互いに確実かつ堅牢に接続することができるため、カトマイザーと本体は互いに固定位置に保持され、ふらついたり曲がったりすることがなく、不意に外れるというような何らかの可能性は非常に低い。同時に差し込み式接続具によって、挿入、回転による簡単かつ瞬時の着脱と、(逆方向)回転と引き抜きによる分離ができる。なお、他の実施態様では本体20とカトマイザー30の間に異なる形態の接続、例えば嵌め込み式の接続あるいはネジ式の接続を用いてもよい。
【0026】
図4は本発明の一部の実施態様による本体20の端部のコネクター25Bの特定の詳細概略図である(ただし分かりやすくするため、図2に示すコネクターの内部構造の大部分、例えばトレッスル260は省略されている)。具体的には、図4は本体20の外部ハウジング201を示しており、全体に円筒管の形態をしている。この外部ハウジング201は、例えば、紙またはそれに類似するものからなる外方のカバーを有する金属からなる内方管を含んでもよい。外部ハウジング201は手動作動装置265(図4には示されていない)をユーザーが容易に手動作動装置265触れられるように含んでもよい。
【0027】
本体コネクター240は本体20のこの外部ハウジング201から延びている。図4に示すように本体コネクターは、本体20の外部ハウジング201の内側に嵌る大きさの中空の円柱管の形状のシャフト部分241および電子タバコの主長手方向軸(LA)から離れるように半径方向外方に向けられたリップ部分242の2つの主要部分を含む。シャフト部分が外部ハウジング201と重ならないところで本体コネクター240のシャフト部分241を囲んでいるのはカラーまたはスリーブ290であり、これも円柱管形状である。カラー290は本体コネクター240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201の間に保持され、これらは共にカラー290に軸方向の移動を妨げる(即ち軸LAに平行な)。しかしながら、カラー290はシャフト部分241の周囲を自由に回転する(従って軸LAの周囲で)。
【0028】
上記のように、キャップ225には空気取り入れ穴が設けられていて、ユーザーがマウスピース35を吸引すると空気が流れてセンサー215を通過できるようになっている。しかしながら、ユーザーが吸引する際に装置に入る空気の大部分は、カラー290および本体コネクター240を通過して図4の2つの矢印で示す様に流れる。
【0029】
図5は、本開示の一部の実施態様による図1の電子タバコ10の本体20の主な機能構成部材の概略図である。これらの構成部材は本体20内に設けられた回路基板に搭載されていてもよいが、一部の実施態様の具体的な構成によっては、これらの構成部材の1つ以上は物理的に回路基板自体に搭載されず、本体20に収容されて回路基板と連動してもよい。
【0030】
本体20は、その空気取り入れ口から空気出口(気化器)に通じる空気通路またはその近傍にセンサーユニット215を含む。センサーユニット215は圧力降下センサー562および温度センサー563を(同じく空気通路またはその近傍に)含む。しかしながら、当然のことながら、センサーユニット215は、温度センサー563を有する圧力降下センサー562を含んでもよく、または空気流(圧力降下ではなく)を直接測定する空気流モニターを含んでもよい。本体20は手動作動装置265も含む。本体はさらに小型スピーカー558と、電気ソケット即ち、コネクター5B(カトマイザー30またはUSB充電装置との接続用)とを含む。
【0031】
マイクロコントローラー(例えばASIC)555はCPU550を含む。CPU550および他の電子部品、例えば圧力センサー562などの操作の少なくとも一部は、一般にCPU(または他の部品)上で動作するソフトウェアプログラムで制御される。そのようなソフトウェアプログラムはROMなどの不揮発性メモリーに保存してもよく、マイクロコントローラー555自体に統合することも、あるいは独立要素として設けることもできる。CPUは、必要時にROMにアクセスして個別のソフトウェアプログラムを読み込んで実行すればよい。マイクロコントローラー555は、本体10の圧力センサー562および手動作動装置265などの他の装置と必要時に通信する適切な通信インターフェイス(および制御ソフトウェア)も含む。
【0032】
CPUはスピーカー558を制御して電子タバコのバッテリー不足警報などの状態を示す音声を出力する。異なる高さまたは長さあるいはその両方が異なる音を用いるか、それに加えてあるいはそれに代えて複数のそのような音を発して別の状況あるいは状態を知らせる種々の信号を提供してもよい。
【0033】
CPU550は手動作動装置265がユーザーによって作動されたか否かを判断するように動作可能である。さらに上述したように電子タバコ10は空気通路を含み、この空気通路は空気取り入れ口から電子タバコ内を通り、圧力降下センサー562およびヒーター(気化器またはカトマイザー30内)を通過してマウスピース35に至る。その結果、ユーザーが電子タバコのマウスピースで吸引すると、CPU550が圧力降下センサー562からの情報に基づいてその吸引を検知する。その吸引の検知および手動作動装置265が作動しているとの判断に応答してCPU550が電力をヒーターに供給して芯のニコチンを加熱、気化させ、それをユーザーが吸引する。
【0034】
言い換えれば、CPU550は、(i)センサーユニット215によるマウスピース35での吸引の検知および(ii)必要に応じて手動作動装置265をユーザーがそれを押すまたは触れることによる手動作動させることの両方に対して応答する。(i)および(ii)を共に(即ち、いずれか1つを個別にではなく、互いを組み合わせて)受信することに応答して、ASICまたはCPUはバッテリーまたは電池210からの電力をカトマイザー30のヒーターに供給して、ユーザーに吸引される空気流内に液体を気化させる。従って、ヒーターはASICがセンサーユニット215が電子タバコ10を通る空気流を検知し、また手動作動装置265がユーザーによって手動で作動させられたと判断した場合のみに作動する。この2段階制御機構は、ユーザーがマウスピースで吸引していないときに手動作動装置265が意図せずに押されたり、触れられてもヒーターは作動しないという点でヒーターが意図せずに作動してしまうというリスクを減少させる。逆に言うと、ユーザーがヒーターを作動させたいとき(液体蒸気を吸引するために)、ユーザーはマウスピース35で吸引し、手動作動装置265を押して(または触れる、スライドさせるまたは回転させるなど)ヒーターを作動させる。
【0035】
このように手動の作動装置265を押すことによって生じる作動時間は、ユーザーに所望の量の液体蒸気が提供されように予め設定された値、例えば2、3秒であってもよい。これとは別にユーザーがマウスピース35で吸引し、手動作動装置265を作動した状態に維持している限り、ヒーターは、作動したままで、従って液体を加熱してもよい。これは極めて使い勝手の良い機構であり、ユーザーが吸引期間中にどの程度の液体蒸気が供給されるかを制御することができる。
【0036】
図6は本発明の一部の実施態様による電子蒸気供給装置の作業を制御するためにマイクロコントローラー555によって行われるプロセスを例示したフローチャートである。
【0037】
このプロセスは工程600で始まる。工程602ではユーザーが手動作動装置265を手動で作動させたか否かを判断する。手動作動装置265を作動させていないと、本プロセスは工程602の最初に戻る。一方、作動装置265を作動させていると、本プロセスは、工程604に移動し、そこでセンサーユニット215が電子タバコ10を通る空気流を検知しているか否かを判断する。マイクロコントローラー555は、空気流が閾値以上になったときにセンサーユニット215が空気流を検知していることを判断する(例えば、圧力降下センサー562によって測定される閾圧力降下によって判断されるように)。センサーユニット215が空気流を検知しないと、本プロセスは工程602の最初に戻る。一方、センサーユニット215が空気流を検知すると、本プロセスは工程606に移動する。工程606では、マイクロコントローラー555が電力を気化器(ヒーター365などの)に供給する。これにより気化器を作動させ、カトマイザー30の液体をユーザーによる吸引用に気化させる。
【0038】
本プロセスは、それから工程608に移動し、そこで手動作動装置265を作動されているか否かが判断される。ボタンまたは他の手動作動装置の特定の設計によって、その停止は種々の状況で起こるようにしてもよく、例えば、ボタンが最後に押されてから(作動させてから)予め設定した時間が経過したら、ユーザーがそれ以上ボタンを押さないまたは触れない、またはユーザーがボタンを「オン」の位置から「オフ」の位置に戻す(またはボタンが戻される)などして停止させてもよい。
【0039】
工程608で手動作動装置265が作動させられたと判断されると、本プロセスは工程610へと移動する。工程610ではマイクロコントローラー555が気化器への給電を停止し、よって気化器の作動を停止する。本プロセスは工程612で終了する。一方、工程608で手動作動装置265が停止されていないと判断されたら、本プロセスは工程614に移動し、そこでセンサーユニット215が空気流の検知を停止しているか否かが判断される。マイクロコントローラー555は、一般に空気流が閾値より小さくなった際にセンサーユニット215が検知を止めると判断する。しかしながら、センサー215および/またはマイクロコントローラー555は、1つ以上の検知基準を適用してもよい。例えば、空気流の検知は、空気流が予め設定した時間の間に閾値を下回った場合、または空気流の減少速度が閾値と交わった時に特定のレベルを超えたら停止したとみなしてもよい。当業者はその他の検知基準(またはその組み合わせ)を認識しているはずである。
【0040】
センサーユニット215は工程614で空気流の検知を止めると、本プロセスは工程610へと移動し、気化器への給電を停止し、よって気化器の作動を停止する。本プロセスは工程612で終了する。一方、工程614でセンサーユニットが空気流の検知を止めていないと判断されると、本プロセスは工程608の最初に戻る。
【0041】
ここで留意すべきは、図6は2組の試験(工程602と604および工程608と614)が順に行われることを示しているが、実際にはこれら2組の試験の1つまたは両方を並列して行ってもよい、即ち工程602と共に工程604および/または工程608と共に工程614を行ってもよい。例えば、マイクロコントローラーはANDゲート(または同等の処理ロジック)を使用して組み合わせることができるセンサー215および手動作動装置265からの別個の(並列の)インプットを受信してもよい。従って、センサー215および手動作動装置265の両方がポジティブな検知/作動をした場合、ANDゲートからの出力は同様にポジティブになり、マイクロコントローラーは工程606に従って気化器に給電する。しかしながら、センサー215および手動作動装置265からインプットのいずれか(または両方)がポジティブでなくなると(即ち、それぞれ空気流が無い、または作動していないということ)、ANDゲートからの出力がネガティブに行き、よってマイクロコントローラーは工程610に従って気化器に給電するのを止める(または電力の供給を開始しない)。
【0042】
従って、図6からマイクロコントローラー555がセンサー215を電子タバコ10を通る空気流を検知している、そして手動作動装置265がユーザーによって手動で作動させられたと判断したときのみ気化器が給電されることが分かる。このことは手動作動装置265を誤ってユーザーが作動させたとしてもユーザーはマウスピース35で吸引しないので、気化器は作動せず、ユーザーが気化器を意図せずに作動させることの妨げに役立つ。同時にユーザーが(液体蒸気を吸引するために)気化器を作動させたい場合、ユーザーはマウスピース35で吸引して、手動作動装置265を作動させ、ユーザーに所望の量の液体蒸気が提供されるのに適した時間気化器を作動させる。
【0043】
大まかに言えば、ユーザーがマウスピース35で吸引し、手動作動装置265を作動させている限り、気化器は作動したままであり、従って液体を気化する。これは使い勝手が良く、ユーザーが直感的に使える機構であり、ユーザーが複雑な組み合わせのボタン265の操作を学ぶ必要がない。
【0044】
さらにユーザーはどれくらい液体蒸気が電子タバコ10のパフ中に供給されるかを制御することができてもよい。例えば、手動作動装置265がユーザーの指がボタンまたは類似の作動装置265に触れている限り作動したままの状態である場合、これによりユーザーがヒーターを作動させる時間、従って蒸気の送出の時間(期間)を直接制御することができるようになる。従って、蒸気の送出量を減らしたいユーザーは、ボタンを例えば吸引時間の半分だけ押して、減少した量の蒸気を受け取るようにしてもよい。当然のことながら他の形状の手動作動装置265も同等のユーザー制御の形体を供し得る。
【0045】
上述したように異なる実施態様は手動作動装置265の異なる実行例を採用してもよい。例えば、手動作動装置265は物理的なボタンまたはスイッチであってもよく、または単にユーザーによって触れられることによって作動するタッチセンサー(抵抗性または静電的タッチセンサーなどの)であってもよい。加えて、手動作動装置265を作動するまたは停止する方法は、一連の異なる方法を採用してもよい。例えば、一部の場合において手動作動装置は、ボタン265が押されたまたは触れられた後所定の時間作動させてもよく、その後手動作動装置を停止させる。そのような実行例は、ユーザーが気化器への給電全体に亘って完全(直接)に制御しないがユーザーが制御した後手動作動装置が停止するのを確実にするのに役立つ。
【0046】
一部の実施態様では手動作動装置265は、ユーザーが1回目に押して作動させ、その後2回目(連続して)に押して作動を停止させるボタンを含む。言い換えれば、ボタンを交互に押すことで手動作動装置を作動させ、停止させる。1回目から2回目に押すまでの期間中、マイクロコントローラーは手動作動装置265が作動しているとみなす。この方法は、ユーザーが2回目のプレスを忘れた場合、または怠った場合には手動作動装置は作動したままであるが、作動が継続している間に亘ってユーザーが直接制御できるという利点がある。別の例では手動作動装置265は、ボタンがユーザーによって連続的に押されている限り作動しているとみなされる。この方法もまた吸い込みしている間に気化器が作動している期間に亘ってユーザーが直接制御することができる。さらにユーザーが電子タバコの使用を終えた際にボタン265を押すのを止めるのはユーザーにとって当然のことであり、従って手動作動装置が意図せずに作動状態のままで維持されにくくなる。
【0047】
手動作動装置265がタッチセンサーを含む場合に類似の方法を適用してもよい。即ち、1つの例では手動作動装置265は、ユーザーが1回目にタッチセンサーに触れた後作動しているとみなされ、ユーザーが2回目にタッチセンサーに触れた後停止されたとみなされる。1回目に触れてから2回目に触れるまでの間に手動作動装置265は作動しているものとみなされる。別の例では手動作動装置265は、タッチセンサーがユーザーによって連続的に触れられている限り作動しているとみなされる。
【0048】
別の例では手動作動装置265がスライド可能なまたは回転可能スイッチなどの手動のスイッチを含む場合、手動作動装置265は、スイッチが「オン」の位置に入れられると作動し、スイッチが「オフ」の位置に入れられると停止される。このような実施態様ではユーザーは手動作動装置を作動させるためにスイッチを「オン」の位置に保持し続けなければならないようにスイッチは「オフ」の位置の方へと付勢させてもよい。この場合ユーザーがスイッチを「オン」の位置に保持するのを止めると、スイッチは自動的に「オフ」の位置へと戻る(バネまたはいくつかの他の弾性付勢機構などの影響によって)。これはスイッチが意図せずに「オン」(作動させた)の位置に維持されにくくするだけでなく、ユーザーは電子タバコの吸引後手動でスイッチを「オフ」の位置に戻す必要がないのでユーザーにとって簡単になる。
【0049】
ボタン、タッチセンサー、スイッチまたはなんらかの他の好適な装置である手動作動装置265は、一般にユーザーが電子タバコ10を保持して吸入する際にユーザーが触れやすいように配置される。例えば、手動作動装置265は電子タバコの遠位にある(キャップ)端部より電子タバコの近位にある(吸い口)端部に幾分近く配置してもよい。なぜならユーザーは電子タバコをその近位端に近い位置で保持する傾向があるからである(従来の燃焼性紙巻きタバコの場合のように)。従って、図1に示した例ではボタン265は本体部分25(カートリッジ 30は使い捨てなので)上でマウスピースに最も近い端部に配置される。ボタンは電子タバコがユーザーによって吸引されている間に適宜作動(押す、動かすまたは触れる)させてもよい。
【0050】
当然のことながらここで説明する手動作動装置は、ユーザーからの継続した連続操作を作動が実行された状態にするために必要とし、ユーザーが操作を終了すると、手動作動(自動的に)が終了、即ち作動が停止される。例えば、タッチボタンをユーザーがボタンに触れ続けているときだけ作動させてもよく、従って、ユーザーがボタンに触れるのを止めるとすぐに作動しなくなる。同様に押しボタンは、ユーザーがボタンを押し続けている限り作動したままであり、その後ボタンは作動を停止させる位置へと自動的に戻る。この種の手動作動装置ではユーザーがほぼ完全に電子タバコの操作全体を制御する。
【0051】
ここで説明した手動作動装置の別の例では、作動はユーザーの行為の後の限定された(通常は所定の)時間実行されたままになるようにしてもよい。一例として、手動作動装置はボタンを含み、ユーザーがこのボタンに触れた後またはそれを押した後、手動作動装置がボタンが触れられたまたは押された後所定の時間(例えば数秒)動作したままになる。その所定の時間が切れると、手動作動装置は自動的に作動が停止される。この方法は電子タバコが誤って作動状態のままにされるリスクを避けることができる。
【0052】
本明細書に記載の方法は、例えば米国特許出願公開第2011/0226236号公報に記載されている種類の吸入具などを含む広範な電子蒸気供給装置および同じように電子気化器を含む非燃焼加熱装置(何らかの植物または抽出物、例えばタバコ葉、を入れて加熱あるいは水蒸気を供給して、所望の蒸気を生成してもよい)に拡大することができる。
【0053】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践される。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0226236号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6