(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ラグビーといったタックルをするような競技では、肩の受傷が多いといわれている。通常、タックルをする際に、選手は相手を掴む姿勢をとり、自らの肩を相手へと接触させる。全力走で相手に向かっていき、非常に速いスピードのまま相手に接触することも多い。このため、肩部に非常に大きな負荷がかかりやすく、これが受傷となる大きな要因のひとつである。
【0003】
装着時の動作のし易さを確保しつつ、関節部分に対する外部からの衝撃を緩和するラグビー用衣類が特許文献1に提案されている。このラグビー用衣類は、
図21に示すように、衣類本体120と、衣類本体120に取り付けられ、装着者の関節部を覆うように関節部の両側に設けられた保護部151、152とを備え、保護部151と保護部152とは互いに対して可動であり、保護部151と保護部152との一部同士が重なるように配置されている。
【0004】
図21に示すように、保護部151の周縁部のうち、保護部152と対向する部分は、衣類本体120に縫着されず、保護部151と衣類本体120とによって、保護部152の少なくとも一部を受け入れ可能な袋部150が形成されている。
【0005】
そして、装着者が腕を上げた場合には、保護部152の先端部が袋部150内に入り込むことで、保護部152と保護部151とが衝突することが抑制されている。これにより、装着者が腕を上げる際に、保護部151および保護部152が腕を上げる動作を阻害することが抑制されている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1のものは、保護部151、保護部152が衣類本体120の表側に設けられているために、保護部152の先端部が袋部150内に入り込まずに、保護部151に上に乗り上げてしまう虞がある。
【0007】
保護部152の先端が保護部151の上に乗り上げてしまうと、保護部152を袋部150内に収容する必要があり、その作業が煩わしい。特に、試合中においては、このような事態が生じることは避ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施形態に係る上衣の正面図である。
【
図2】この発明の実施形態に係る上衣の背面図である。
【
図3】この発明の実施形態に係る上衣において、肩部分を拡大した正面図である。
【
図4】この発明の実施形態に係る上衣において、外皮部と肩パッドを外した状態を示す模式図である。
【
図5】この発明の実施形態に係る上衣において、肩生地の裏側に配置される袋部内に収容された肩パッド部を示すために、肩生地を取り除いた状態を示す模式図である。
【
図6】この発明の実施形態に係る上衣において、肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。
【
図7】この発明の実施形態に係る上衣において、肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。
【
図8A】選手が腕を下げている状態を示す模式図である。
【
図9】この発明の第2の実施形態に係る上衣において、肩部分を拡大した正面図である。
【
図10】選手が腕を横に上げた時の皮膚の縮む方向を示す模式図である。
【
図11】この発明の第2の実施形態に係る上衣において、皮膚の縮む方向と直交する線と肩パッドの関係を示す模式図である。
【
図12】肩生地に、肩パッドを固定する他の態様を示す模式図である。
【
図13】肩生地に、肩パッドを固定する他の態様を示す模式図である。
【
図14】肩生地に、肩パッドを固定する他の態様を示す模式図である。
【
図15】肩生地に、肩パッドを固定する他の態様を示す模式図である。
【
図16】この発明の第3の実施形態に係る上衣において、肩部分を拡大した正面図である。
【
図17】この発明の第3の実施形態に係る上衣において、肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。
【
図18】肩生地に、肩パッドを固定する他の態様を示す模式図である。
【
図19】比較例の肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。
【
図20】比較例の肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態の上衣について図面を参照しながら詳細に説明する。この実施形態の上衣は、例えば、ラグビー用上衣である。
図1は、この実施形態の上衣の正面図、
図2は、同背面図、
図3は、肩部分を拡大した正面図である。
【0020】
この
図1から
図3に示すように、ラグビー用上衣1は、伸縮可能な衣類本体2に、首元から肩先に向かって複数の肩パッドが設けられており、この実施形態では、2個の肩パッド31、32が並列して設けられている。肩パッド31、32は、衝撃を吸収する材料、例えば、ラバー、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ウレタン等の発泡体が用いられる。なかでもポリエチレンの発泡体を用いれば、肩パッドの厚みを薄くしつつ衝撃を十分に吸収でき、耐久性にも優れる。よって肩パッドの材料としてはポリエチレンの発泡体を用いることが好ましい。肩パッドの厚みは、例えば、5mm〜10mmである。肩パッド31、32は、例えば、胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節などの関節を覆うように、その大きさ、形状、位置などが設定される。これにより外部から衝撃力が加えられたとしても、装着者に伝達される衝撃力を低減することができる。また、肩パッド31、32の断面形状は、例えば、長方形などの矩形状である。肩パッド31、32の断面形状が矩形状など角部を有する形状である場合、その角部を面取り処理するか、丸みを帯びるように加工処理しておくことが好ましい。後述するように肩パッド31と肩パッド32とはスライドして重なるが、上記のように角部を処理することで、スライドの際に両者の引っかかりを抑制してスムーズにスライドさせやすくなる。
【0021】
2個の肩パッド31、32は、衣類本体2の肩生地21により表側と裏側に区分けされている。
【0022】
2個の肩パッド31、32が並列する方向の肩生地21には、肩パッド31、32が並列する方向への折り畳みを許容する折り畳み領域5が設けられる。
【0023】
この実施形態においては、肩先(肩峰)側に位置する肩パッド31が肩生地21の表側に配置され、首元側に位置する肩パッド32が肩生地21の裏側に配置される。
【0024】
表側に配置される肩パッド31は、衣類本体2と同質材料からなる外皮部25と肩生地21との間に設けられた袋部41内に収容される。外皮部25は、肩生地21の表側に肩パッド31を配置し、この肩パッド31を被覆した後、外皮部25の全周囲が肩生地21に固定される。
【0025】
図4は、外皮部25と肩パッド31を外した状態を示している。
図4に示すように、肩パッド31を肩生地21の表側に配置し、破線23aで示す位置に、外皮部25の外周を合わせて、外皮部25の周囲を縫い合わせる。この実施形態では、外皮部25の周囲を縫合部23で肩生地21に縫い合わせて固定している。この外皮部25と肩生地21とで形成される袋部41内に収容された肩パッド31は、肩生地21に対して離反不能に固定されることになる。ここで、離反不能とは、肩パッド31が直接肩生地21に固定された状態だけでなく、肩パッド31が肩生地21から浮き上がらずに、外皮部25と肩生地21との間に形成される袋部41に収容された状態で、一体に動く状態を含む。
【0026】
図6、
図7は、この実施形態の肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。肩生地21の表側に縫い付けられる袋部41は、外皮部25の全周囲が肩生地21に縫い合わされ、その縫合部23が固定部41aとなる。この固定部41aは、肩生地21に固定されればよく、縫い合わせる以外に、面ファスナーなどの他の固定方法を適用することができる。
【0027】
一方、裏側に配置される肩パッド32は、袋部42内に収容され、肩生地21に対して離反可能に固定される。
図5は、肩生地の裏側に配置される袋部内に収容された肩パッド部を示すために、肩生地を取り除いた状態で記載している。
【0028】
この実施形態では、この袋部42は、一側端が首元の襟22の近傍において肩生地21に縫い合わされて、袋部42の一部が肩生地21に固定される。すなわち、袋部42は、首元の襟22の近傍の縫合部24で縫い合わされ、肩生地21に対して離反可能に固定される。この結果、袋部42は、肩生地21からはぶら下がった状態で固定されている。ここで、離反可能とは、肩生地21に固定した箇所以外は、肩生地21から自由に離れることができることを意味している。肩生地21に一部が縫い付けられた袋部42の縫合部24が袋部42の固定部42aとなる。この固定部42aは、肩生地21に固定されればよく、縫い合わせる以外に、面ファスナーなどの他の固定方法を適用することができる。
【0029】
肩生地21の袋部42が固定された固定部42aから袋部41が固定された固定部41aまでの間が折り畳み領域5になる。すなわち相対する固定部42aと固定部41aとの間の領域が折り畳み領域5である。
【0030】
図8Aは、選手7が腕73を下げている状態を示し、
図8Bは、肩関節外転時、すなわち、腕73を横に上げる時を示している。
図8Aで示す状態では、
図6に示すように、肩パッド31、32は、肩に沿って配設されている。そして、
図8Bで示すように、肩関節外転時、すなわち、腕を横に上げる時には、
図7に示すように、隣り合う肩パッド31、32が肩生地21を介してスライドし、折り畳み領域5が折り畳まれ、肩パッド31、32が重なり合う重なり領域51が形成される。
【0031】
このように、この実施形態では、隣り合う肩パッド31、32が肩生地21を介してスライドすることになり、滑らかに肩パッド31、32がスライドして重なり合うことができる。
【0032】
ここで本実施形態の効果を
図19、
図20の模式図に示した比較例と対比して説明する。
図19、
図20は、装着者7の首元72から肩先(肩峰)71に向かって、複数の肩パッド101、101を肩生地の表側又は裏側の一方の面(ここでは表側の面)のみに並列に設けた例である。なお、
図19は腕を下げている状態(
図8A参照)であり、
図20は腕を横に上げた状態(
図8B参照)である。
【0033】
肩は人体で最も大きな自由度を持っており、肩の動作に伴う皮膚の伸縮および形状変化が大きい。しかしながら、
図19に示すように同じ面側に複数の肩パッド101、101を並べて配置した場合、皮膚の伸縮および形状変化にこれらの肩パッドが追従しきれない。具体的には、皮膚の圧縮に比べて肩パッドが十分に圧縮しない、または圧縮するために大きな力が必要となる。これにより生地と皮膚のずれや、肩パッドの人体への圧迫を引き起こしやすくなる。
【0034】
例えば、腕を下げている状態(
図19)では、肩パッド101、101は肩に沿って配設されているが、腕を横に上げる状態(
図20)では、図中矢印Cで示すように肩上部の皮膚は圧縮し、肩先71と首元72の距離が短くなる。しかし、肩パッド101は素材の特性上、圧縮に限界があるため皮膚に比べて圧縮が小さい。そうすると、図中矢印Bで示すように肩パッド101のずれが生じたり、首元72において矢印A方向への力が加わるといったことが起こり、並列する肩パッド同士がぶつかって反発し合うこととなる。このことが装着者の肩または腕の動かしにくさを感じる要因となる。
【0035】
これに対して、この実施形態の上衣では、隣り合う肩パッド31、32が肩生地21を介してスライドすることになり、隣り合う肩パッド同士のぶつかりが抑制され、肩パッドを滑らかにスライドさせることができる。これにより、肩の広範な動きによる皮膚の伸縮や筋の隆起に対する肩パッド31、32の追従が可能となり、身体へのストレスとなる圧迫も軽減することができる。
【0036】
折り畳み領域5を含む肩生地21の繊維としては、一般的な衣服に使用される繊維であればどの繊維を用いてもよく、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどの化学繊維、綿、麻、絹などの天然繊維を使用することができる。なかでもナイロンを用いれば、折り畳み領域5における生地同士の摩擦が比較的小さく、肩パッド31と肩パッド32とがよりスムーズにスライドしやすくなる。また肩生地21の生地の種類としては編物、織物のいずれも使用できる。
【0037】
肩パッド31、32の主目的は、タックルする際の肩部の保護である。更に、保護が必要となるタックル時には相手を掴む必要があるため、腕を上げた姿勢となる。すなわち、身体保護の観点では、腕を下ろした状態における肩パッド31、32の重要度は低く、腕を上げた状態における重要度が高いと言える。そこで、この実施形態の構造では、腕を上げる動作によって肩パッド31と肩パッド32がスライドして、両肩パッド31、32が重なり合うため、個々の肩パッド31、32の厚みを抑えながらも、従来例と同等あるいはそれ以上の衝撃緩衝性を確保することが可能となる。換言すれば、肩パッドの衝撃緩衝性を維持または向上させながら、その厚みを抑えることができ、軽量かつ衝撃緩衝性に優れた肩パッド付の上衣を提供できる。
【0038】
図9は、この発明の第2の実施形態を示す上衣において、肩部分を拡大した正面図である。上述の通り、腕を下ろした際の肩パッド31、32の重要度は低い。そのため、この第2の実施形態においては、肩パッド31、32の厚さを薄くして、肩生地21が折り畳まれる前の状態において、すなわち、腕を下ろした際に、肩パッド31、32が互いに重なる重なり領域37が形成されている。このように、肩生地21が折り畳まれる前の状態において、重なり領域37を予め設けておくことによって、腕を上げたときに肩パッド31と肩パッド32とがよりスムーズにスライドしやすくなる。
【0039】
更に、腕を下ろした際に、隣り合う肩パッド31、32の間に隙間36を形成している。この隙間36は、隣り合う肩パッド31、32の中で少なくとも1つの肩パッドに設けた凹部によって形成すればよく、この実施形態では、肩パッド31、32の対向する位置にそれぞれ凹部34、35を設けてその間に隙間36を設けている。そして、この隙間36により、通気性の低い素材からなる肩パッド31、32を用いたとしても通気性を確保することが可能となり、例えば、汗による蒸れを抑えて着用者の着心地向上に寄与する。さらに、この第2の実施形態では、肩パッド31に複数の通気孔38を設けて通気性を上げている。もちろん肩パッド32にも通気孔を設けてもよい。通気孔の形状は、円状、多角形状など任意の形状が可能である。また、通気孔の数は1つでもよい。
【0040】
図10は、選手が腕を横に上げた時の皮膚の縮む方向を示す模式図である。この
図10に示すように、腕を横に上げる時には、肩上部の皮膚は図中矢印方向に皮膚が縮み、肩先(肩峰)71と首元72の距離が短くなる。この皮膚が縮む方向と直交する方向を繋ぐと
図10に示すように、首元から肩先に向かって外側にやや張り出すように緩やかに湾曲した線75のようになる。この線75を中心として皮膚が双方から縮む。そこで、肩パッド31、32をその中心軸(肩の前後方向に延びる中心軸)が首元から肩先に向かって外側に張り出すように湾曲した形状とすれば、腕を上げたときに線75に沿って肩パッド31、32が効率よく重なりやすくなる。したがって、肩パッド31、32の形状は、肩の前後方向に延びる中心軸が首元から肩先に向かって外側に張り出すように湾曲していることが好ましい。ここで、肩の前後方向に延びる中心軸とは、肩パッドの首元側の縁と肩先側の縁とから等距離に位置する点同士を繋いで形成される線に沿った軸である。なお、
図11には、肩パッド31、32の配置状態を分かりやすくするために、肩生地21に肩パッド31、32だけを配置した様子を表している。
【0041】
次に、肩生地に肩パッドを固定する他の態様につき、
図12〜
図15を参照して説明する。
【0042】
図12の模式図で示したものは、首元側に位置する肩パッド32が肩生地21の表側に配置され、この肩パッド32が袋部42内に収容される。袋部42の全周囲が肩生地21に固定部42aに固定される。袋部42内に収容された肩パッド32は、肩生地21に対して離反不能に固定されることになる。
【0043】
ところで肩生地21の表側に配置された袋部42は、例えば、ラグビー競技において相手選手から掴まれるなど外部の影響を受けやすく、裏側に配置された袋部41に比べ破損がおきやすい。そこで、
図12に示すように表側に配置された袋部42を肩生地21に対して離反不能に固定しておけば、相手選手から捕まれにくくなり、表側に配置された袋部42の破損を抑制することができる。
【0044】
一方、裏側に配置される肩パッド31は、袋部41内に収容され、この袋部42は、肩先側の一側端が肩生地21に固定された固定部41aとなる。この袋部41は、肩生地21に対して離反可能に固定され、肩生地21からはぶら下がった状態で固定されている。すなわち、
図12に示した上衣は肩生地21の表側に配置された袋部42が肩生地21に対して離反不能に固定され、裏側に配置された袋部41が肩生地21に対して離反可能に固定されている。
【0045】
肩生地21の袋部42が固定された固定部42aから袋部41の固定された固定部41aまでの間が折り畳み領域5になる。
【0046】
図13の模式図で示したものは、肩先側に位置する肩パッド31を肩生地21より表側に配置し、この肩パッド31は、袋部41内に収容され、この袋部41は、肩先側の一側端が肩生地21に固定された固定部41aとなる。この袋部41は、肩生地21に対して離反可能に固定されている。
【0047】
一方、首元側の肩パッド32は、肩生地21の裏側に配置され、肩パッド32は袋部42内に収容され、この袋部42は、首元側の一側端が肩生地21に固定された固定部42aとなる。この袋部42は、肩生地21に対して離反可能に固定され、肩生地21からはぶら下がった状態で固定されている。
【0048】
肩生地21の袋部42が固定された固定部42aから袋部41の固定された固定部41aまでの間が折り畳み領域5になる。
【0049】
図14の模式図で示したものは、首元側に位置する肩パッド32を肩生地21の表側に配置している。この肩パッド32は、袋部42内に収容されている。この袋部42は、首元側の一側端が肩生地21に固定された固定部42aとなる。この袋部41は、肩生地21に対して離反可能に固定され、肩生地21からはぶら下がった状態で固定されている。
【0050】
一方、肩先側の肩パッド31は、肩生地21の裏側に配置されている。肩パッド31は袋部41内に収容されている。この袋部41は、肩先側の一側端が肩生地21に固定された固定部41aとなる。この袋部41は、肩生地21に対して離反可能に固定されている。
【0051】
肩生地21の袋部42が固定された固定部42aから袋部41の固定された固定部41aまでの間が折り畳み領域5になる。
【0052】
図15の模式図で示したものは、肩先側に位置する肩パッド31を肩生地21より表側に配置し、この肩パッド31は、袋部41内に収容され、この袋部42は、中央部が肩生地21に固定された固定部41aとなる。この袋部41は、肩生地21に対して離反可能に固定されている。
【0053】
一方、首元側の肩パッド32は、肩生地21の裏側に配置され、肩パッド32は袋部42内に収容され、この袋部42は、中央部が肩生地21に固定された固定部42aとなる。この袋部42は、肩生地21に対して離反可能に固定されている。
【0054】
肩生地21の固定部42aから固定部41aまでの間が折り畳み領域5になる。
【0055】
次に、この発明の第3の実施形態につき、
図16および
図17を参照して説明する。上記した実施形態では、2個の肩パッドを用いたが、肩パッドは2個以上であればよい。この第3の実施形態では、3個の肩パッド31、32、33が配置されている。
【0056】
3個の肩パッド31、32、33は、衣類本体2の肩生地21により、隣り合う肩パッドが表側と裏側に区分けされている。
【0057】
3個の肩パッド31、32、33が並列する方向の肩生地21には、肩パッド31、32、33が並列する方向への折り畳みを許容する折り畳み領域5が設けられる。
【0058】
この実施形態においては、中央に位置する肩パッド31が肩生地21の表側に配置され、肩先(肩峰)側に位置する肩パッド33と首元側に位置する肩パッド32が肩生地21の裏側に配置される。
【0059】
中央に配置される肩パッド31は、衣類本体2と同質材料からなる外皮部25と肩生地21との間に設けられた袋部41内に収容される。外皮部25は、肩生地21の表側に肩パッド31を配置し、この肩パッド31を被覆した後、外皮部25の全周囲が肩生地21に固定される。
【0060】
この実施形態では、外皮部25の周囲を縫合部23で肩生地21に縫い合わせて固定している。この外皮部25と肩生地21とで形成される袋部41内に収容された肩パッド31は、肩生地21に対して離反不能に固定されることになる。
【0061】
図17は、この実施形態の肩パッドと肩生地の関係をわかりやすく単純化した模式図である。肩生地21の表側に縫い付けられる袋部41は、外皮部25の全周囲が肩生地21に縫い合わされ、その縫合部23が固定部41aとなる。この固定部41aは、肩生地21に固定されればよく、縫い合わせる以外に、面ファスナーなどの他の固定方法を適用することができる。
【0062】
一方、裏側に配置される肩パッド32は、袋部42内に収容され、肩生地21に対して離反可能に固定される。この実施形態では、この袋部42は、一側端が、首元の襟22の近傍において、肩生地21に縫い合わされて、袋部42の一部が肩生地21に固定される。すなわち、袋部42は、首元の襟22の近傍の縫合部24で縫い合わされ、肩生地21に対して離反可能に固定される。
【0063】
裏側に配置される肩先側の肩パッド33は、袋部43内に収容され、肩生地21に対して離反可能に固定される。この実施形態では、この袋部43は、一側端が、肩先側において、肩生地21に縫い合わされて、袋部43の一部が肩生地21に固定される。すなわち、袋部43は、肩先側で縫い合わされ、肩生地21に対して離反可能に固定される。
【0064】
中央部に位置する肩パッド31は、肩生地21の表側に配置される。この肩パッド31が袋部41内に収容され、袋部42の全周囲が肩生地21に固定部41aで固定される。袋部41内に収容された肩パッド32は、肩生地21に対して離反不能に固定されることになる。
【0065】
肩生地21の中央部の袋部41が固定された固定部41aから袋部42の固定された固定部42aと、袋部43の固定された固定部43aまでの間がそれぞれ折り畳み領域5になる。
【0066】
このように肩パッドの数を増やすことによって、例えば、保護する部分の面積を増やすなど着用者のニーズにより合った場所に肩パッドを配置しやすくなるといった利点がある。
【0067】
次に、肩生地に、肩パッドを固定する他の態様につき、
図18を参照して説明する。
【0068】
図18の模式図で示すように、中央部に位置する肩パッド31は、肩生地21の裏側に配置される。この肩パッド31が袋部41内に収容され、袋部42の中央部が肩生地21に固定部41aに固定される。袋部41内に収容された肩パッド32は、肩生地21に対して離反可能に固定されることになる。
【0069】
首元側に位置する肩パッド32は肩生地21の表側に配置されている。肩パッド32は、袋部42内に収容され、この袋部42の全周囲が肩生地21に固定部42aに固定される。袋部42内に収容された肩パッド32は、肩生地21に対して離反不能に固定されることになる。
【0070】
肩先側に位置する肩パッド33は肩生地21の表側に配置されている。肩パッド33は、袋部43内に収容され、この袋部43の全周囲が肩生地21に固定部43aに固定される。袋部41内に収容された肩パッド33は、肩生地21に対して離反不能に固定されることになる。
【0071】
肩生地21の中央部の袋部41が固定された固定部41aから袋部42の固定された固定部42aと、袋部43の固定された固定部43aまでの間がそれぞれ折り畳み領域5になる。
【0072】
上記した実施形態においては、肩パッドを袋部内に収容して、肩生地に固定しているが、袋部を用いずに、直接、肩パッドを肩生地に離反不能または離反可能に固定してもよい。
【0073】
また、上記の実施形態ではラグビー用の上衣を例に説明したが、ラグビー用以外の上衣にも本発明は適用可能である。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。