(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の電話機のようにある程度大きな電子機器であれば、1枚のカードにある程度の情報を記載することができるが、スマートフォンなどのように小さな電子機器では、カードなどの表示部材を設けるスペースの確保が難しく、必要な情報量を記載することができない場合がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、限られたスペースであってもできるだけ多くの情報を記載できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、表示部材に折畳み可能なベースシートを設けた。
【0008】
具体的には、本発明では、出し入れ可能な表示部材と、該表示部材を出し入れするための表示部材用開口が形成された筐体とを備える電子機器において、
上記表示部材は、
一端が上記表示部材用開口の奥側に連結されると共に、折り畳まれた状態で筐体内に収容されるベースシートと、
上記ベースシートの他端側に連続すると共に、上記表示部材用開口から引出可能な引出部とを有しており、
上記ベースシートを引き出した状態で、上記表示部材に記載した情報が上記表示部材用開口よりも外側に露出可能に構成されている。
【0009】
上記の構成によると、表示部材は、ベースシートが折り畳まれて筐体内に収容されるので、筐体内に必要な収容スペースが小さくて済む。ベースシートを引き出した状態では、表示部材用開口から露出する部分に必要な情報を記載できるので、記載量を増やすことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、一端が筐体内部に連結され、他端側が引出部に連続する、情報を記載可能なベースシートを表示部材用開口の内部に折り畳んで収容するようにしたので、限られたスペースであってもできるだけ多くの情報を記載できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の実施形態1に係るスマートフォンを示す斜視図であり、コネクタカバーを取り外した状態の上端の一部を拡大して示す。
【
図3】本発明の実施形態1に係るスマートフォンを示す分解斜視図である。
【
図4】サブ基板及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図5(A)が表示シートを背面側から見た拡大斜視図であり、
図5(B)が表示シートを正面側から見た拡大斜視図である。
【
図6】
図6(A)が表示シートを完全に引き出したときの拡大断面図であり、
図6(B)が表示シートを挿入し始めた状態を示す拡大断面図であり、
図6(C)が表示シートをさらに挿入した状態を示す拡大断面図である。
【
図7】実施形態1の変形例にかかる引出部の一部を拡大して示す正面図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る
図1相当図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る表示シート及びその周辺を示す拡大断面図である。
【
図10】
図10(A)は、本発明の実施形態3に係る表示シートの延長部を開いた状態を示す正面図であり、
図10(B)は、
図10(A)のXB−XB線拡大断面図である。
【
図11】
図11(A)は、本発明の実施形態3に係る表示シートの延長部を閉じた状態を示す正面図であり、
図11(B)は、
図11(A)のXIB−XIB線拡大断面図である。
【
図12】実施形態3の変形例にかかる
図10(A)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
【0013】
図2及び
図3は本発明の実施形態1に係る電子機器としてのスマートフォン1を示し、このスマートフォン1は、ユーザーから見て正面となる正面側に例えばタッチパネルを含む液晶表示部2を収容する、筐体としてのと、この正面側キャビネット3の背面側を覆う背面側キャビネット4とを備え、その背面がリアカバー5で覆われている。これら正面側キャビネット3と背面側キャビネット4との間の収容空間に充電池6(
図1に示す)と、スマートフォン1の全体を制御するメイン基板7とが収容されている。なお、背面側キャビネット4がリアカバー5と一体である場合のように、リアカバー5はなくてもよい。
【0014】
図1及び
図4に示すように、例えば、メイン基板7は、SIMカードトレイ11及びSDカード12を装着可能なサブ基板13を備えている。サブ基板13の正面側には、SDカード12を出し入れ可能なSDソケット12aが取り付けられている。SIMカードトレイ11は、サブ基板13のSDソケット12aの反対側の面に設けたSIMソケット11aに対して出し入れ可能となっている。なお、サブ基板13ではなく、メイン基板7にこれらSIMソケット11a、SDソケット12a等を設けてもよい。
【0015】
図4に示すように、例えば樹脂製の、SIMソケット11aを包むサブ基板ホルダー14が設けられている。このサブ基板ホルダー14の背面側に、表示部材としての表示シート20がスライド可能に収容されている。
【0016】
図2に例えば左右に長いコネクタカバー10を外した状態を拡大して示すように、正面側キャビネット3の上端に開口した例えば長円形状の表示シート用開口3aからSIMカードトレイ11、SDカード12及び表示シート20のいずれも出し入れ可能となっている。表示シート用開口3aは、例えば矩形状のコネクタカバー10によって塞がれて防水及び防塵されている。なお、この表示シート用開口3aの位置は、スマートフォン1の上端ではなく、下端、左右側面のいずれに設けられていてもよい。
図1に示すように、表示シート用開口3aは、正面側キャビネット3のみで構成しているが、正面側キャビネット3、背面側キャビネット4及びリアカバー5のいずれの部分に構成してもよい。これらを組み合わせて開口を形成してもよい。
【0017】
図5(A),(B)及び
図6(A),(B)に示すように、表示シート20は、一端21a(下端)が表示シート用開口3aの奥側(正面側キャビネット3の内部)に連結されると共に、折り返されて折り畳まれた状態で表示シート用開口3aに収容されるベースシート21を備えている。ベースシート21は、例えば、PET樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド等のシートよりなる。その長さは長すぎず、
図6(A),(B)に示すように、二つ折りにして表示シート用開口3a内に収まる長さがよい。
【0018】
ベースシート21の他端21b側には、表示シート用開口3aから引出可能な引出部22が連続している。本実施形態では、ベースシート21の他端21b側は、引出部22が連続していることで、ベースシート21の他の部分よりも剛性が高くなっている。引出部22は、例えば、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等よりなるが、ステンレス等の金属部材を使用してもよい。ベースシート21と引出部22とは、一体成形してもよいし、互いに接着されていてもよい。UV硬化樹脂でベースシート21と一体に形成してもよい。また、ベースシート21を樹脂成形にて作成する場合、ベースシート21の成形時にベースシート21の一部として引出部22を成形してもよい。この場合、引出部22は、ベースシート21の厚肉部として成形することで剛性を高めている。
【0019】
ベースシート21の一端21a側は、例えば、サブ基板ホルダー14に対して両面テープ23によって接着されている。
【0020】
引出部22には、表示シート用開口3aよりも外側に配置され、この表示シート用開口3aの内部に引出部22全体が入り込むのを防止する例えば矩形状の突起部22aが形成されている。この突起部22aの形状は特に限定されない。
【0021】
また、引出部22における突起部22aの奥側には、表示シート用開口3aの内部のサブ基板ホルダー14に形成された係合凹部14aに係合する一対の抜止め凸部22bが円弧状に突出するように一体形成されている。抜止め凸部22bは、左右いずれかのみに設けられていてもよい。そして、表示シート20を引き出すときには、この円弧状の抜け止め凸部22bが係合凹部14aを乗り越えてその係合を解除可能となっている。一方で、この抜止め凸部22bにより、引出部22を強めに引っ張らない限り、意図せず引出部22が出てきてしまうことはない。また、引出部22を強めに引けば、抜止め凸部22bは丸まっているので、容易に係合凹部14aとの係合を解除できるようになっている。
【0022】
そして、表示シート20の引き出し方向手前側(上側)には、例えば爪を掛けて引き出すために形成された長円形状の爪掛け用孔部22cが形成されている。
【0023】
さらに、
図6(B)等に示すように、ベースシート21の他端21b側の引出部22の最も奥側端部との連結部(折り返し点21c)において、ベースシート21が折り返し可能となっている。このため、ベースシート21が常に同じ折り返し点21cで折り返されるので、ベースシート21の取り回しが容易である。
【0024】
図5(B)に示すように、引出部22とベースシート21とを跨ぐように、ラベル24が貼り付けられている。ラベル24は、例えばシール状のもので、IMEI、製造番号等の重要情報が記載されている。ラベル24自体の長さは、引出部22の長さよりも長くなっている。なお、ラベル24はベースシート21の反対面に貼り付けてもよい。また、ラベル24を貼り付けるのではなく、印刷、刻印等によって引出部22及びベースシート21の少なくとも一方の表面に直接に重要情報を記載するようにしてもよい。
【0025】
そして、
図6(A)に示すように、表示シート20を引き出した状態で、ラベル24の全てが表示シート用開口3aよりも外側に露出し、目視で確認できるようになっている。
【0026】
本実施形態では、表示シート20は、ベースシート21が折り畳まれて正面側キャビネット3内に収容されるので、正面側キャビネット3内に表示シート20を収容するために必要なスペースが小さくて済む。
【0027】
図6(A)に示すように、ベースシート21を引き出した状態では、比較的剛性の高い(折り返されない)引出部22よりも長さの長いラベル24が表示シート用開口3aから露出し、このラベル24に必要な情報を記載できるので、従来のベースシート21のないものに比べて記載量を増やすことができる。
【0028】
また、突起部22aがストッパの役割をするので、引出部22が表示シート用開口3aへ入り込んで引き出せなくなることはない。
【0029】
本実施形態では、表示シート20を出し入れするときには、毎回同じ折り返し点21cで折り返されて折れ曲がるので、収納動作がやりやすく、ベースシート21が傷みにくい。
【0030】
ベースシート21を折り返し可能にして、ラベル24を引出部22だけでなく、ベースシート21側にも貼り付けたので、表示シート20を収容するのに必要なスペースを増やすことなく、ベースシート21の表示可能な領域が増え、より多くの情報を記載することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るスマートフォン1によれば、一端21aが正面側キャビネット3内部に連結され、他端21bが引出部22に連結された、情報を記載可能なベースシート21を表示シート用開口3aの内部に折り畳んで収容するようにしたので、限られたスペースであってもできるだけ多くの情報を記載できる。
【0032】
−実施形態1の変形例−
図7は本発明の実施形態1の変形例を示し、爪掛け用孔部22c’の形状が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各変形例及び各実施形態では、
図1〜
図6(A),(B)と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0033】
すなわち、本変形例では、爪掛け用孔部22c’は、貫通孔ではなく、切欠で構成されている。この場合、上記実施形態1よりも剛性は劣るが、爪が掛けやすくなっている。
【0034】
(実施形態2)
図8は本発明の実施形態2を示し、ベースシート21の一端21aの固定方法が異なる点で上記実施形態1と異なる。
【0035】
すなわち、本実施形態では、上記実施形態1の両面テープ23のような接着ではなく、挟み込みによってベースシート21の一端21aを正面側キャビネット3に固定している。
図8に拡大して示すように、背面側キャビネット4から押さえ部30が延びている。この押さえ部30の先端には、ローレット状の凸部30aが形成されている。なお、この凸部30aの形状は、これに限定されない。
【0036】
この凸部30aが確実にベースシート21の一端21aを押さえ付けることができるので、引出部22を引っ張っても、ベースシート21が抜けにくくなっている。こうすることで、両面テープ23の貼付作業や接着剤の塗布作業を省略することができる。
【0037】
−実施形態2の変形例−
図9は本発明の実施形態2の変形例を示し、挟持したときの引っ掛け構造が異なる点で上記実施形態2と異なる。なお、
図9は、
図1等と直交する断面を示す。
【0038】
図9に示すように、サブ基板ホルダー14から抜け止め突起14a’が突出している。ベースシート21の一端21aには、抜け止め突起14a’に合わせて貫通孔21dが形成されている。押さえ部30の先端に凹部30bを設けておけば、抜け止め突起14a’が出っ張っていても押さえ部30と干渉しない。このように構成しても、ベースシート21が抜けにくくなる。
【0039】
(実施形態3)
図10(A),(B)及び
図11(A),(B)は本発明の実施形態3の表示シート120を示し、ラベル124の形状が異なる点で上記各実施形態と異なる。
【0040】
すなわち、本実施形態の表示シート120は、引き出された状態で、さらに引出方向と垂直の方向にラベル124を開くことができるように展開部124bが形成されている。このため、表示シート120の表示可能な領域が増え、より多くの情報を記載することができる。
【0041】
具体的には、引出部22に貼り付けたラベル124自体が引出部22の幅方向に折畳み開閉可能となっている。なお、
図10(B)に拡大して示すように、ベースシート21は、両面テープ21eで引出部22に貼り付けられている。
【0042】
本実施形態のラベル124は、引出部22に両面テープ124cで貼り付けられており、それ自体がある程度の厚さと強度を持っている。
【0043】
図10(A),(B)に示すように、ラベル124は、左右に表示シート120の引出方向に延びる折曲部124aが形成されており、その折曲部124aの左右外側に展開部124bがそれぞれ設けられている。ラベル124は、引出部22に貼り付けた部分だけでなく、一対の展開部124bにも情報を記載することができるので、記載できる情報量を増やすことができる。なお、展開部124bは、左右いずれか一方のみに形成されていてもよい。
【0044】
図11(A),(B)に示すように、展開部124bを折曲部124aで折り畳むことで、ラベル124を収容することができる。その状態で、上記実施形態1の
図6(A),(B)に示した手順で表示シート120が収容される。
【0045】
このように、ラベル124を折畳み開閉自在に構成することで、表示シート120の収容のために必要なスペースを増やすことなく、ラベル124に記載できる情報をさらに増やすことができる。
【0046】
−実施形態3の変形例−
図12は本発明の実施形態3の変形例を示し、ラベル124の形状が異なる点で上記実施形態3と異なる。
【0047】
すなわち、本変形例では、ラベル124が上記実施形態1のように、折り畳まれるベースシート21側にも延びる延長部124dを有するので、表示シート120の収容のために必要なスペースを増やすことなく、記載できる情報量を増やすことができる。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0049】
すなわち、上記各実施形態では、表示シート20,120をサブ基板ホルダー14においてスライド可能且つ収容可能にしているが、サブ基板ホルダー14ではなく、正面側キャビネット3や背面側キャビネット4などの筐体の一部にスライド可能且つ収容可能にしてもよい。
【0050】
上記実施形態では、表示シート20,120にIMEI、製造番号等の重要情報を表示したが、それに限定されず製品の取扱注意事項など他の事項を表示するようにしてもよい。
【0051】
上記実施形態では、電子機器は、スマートフォン1としたが、タブレット端末、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(PersonalDigital Assistant)、パソコン、モバイルツール、ウェアラブル端末、電子辞書、電卓、ゲーム機等であってもよく、小型の液晶ディスプレイ、液晶テレビ、ブルーレイディスクレコーダ、DVDレコーダ等であってもよい。つまり、本発明は、情報を表示する表示部材を引き出す構造を有するものであれば広く適用可能である。
【0052】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、各実施形態に記載された技術的特徴は、互いに組合せ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。