(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403902
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】外科器具及びその湾曲制御装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-548511(P2017-548511)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2018-501928(P2018-501928A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】CN2015090207
(87)【国際公開番号】WO2016115917
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年6月6日
(31)【優先権主張番号】201510026576.X
(32)【優先日】2015年1月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517199880
【氏名又は名称】上海逸思医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YISI MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】517199891
【氏名又は名称】逸思(蘇州)医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】YISI(SUZHOU) MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】楊 光
(72)【発明者】
【氏名】聶 紅林
(72)【発明者】
【氏名】李 安華
(72)【発明者】
【氏名】張 析量
(72)【発明者】
【氏名】石 秀鳳
【審査官】
吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−161606(JP,A)
【文献】
特開平10−043189(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0245676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向変換動力入力手段A、方向変換駆動手段B、ロック手段Cおよび直線動力出力手段Dを含み、
同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが前記相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過し、
方向変換動力入力手段Aが前記角度範囲II内に位置されている場合、ロック手段Cは方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させ、
方向変換動力入力手段Aが前記角度Iに位置されている場合、ロック手段Cは方向変換動力入力手段Aに駆使されて方向変換駆動手段Bを解除し、且つ、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、
方向変換動力入力手段Aが前記角度IIIに位置されている場合、ロック手段Cは方向変換動力入力手段Aに駆使されて方向変換駆動手段Bを解除し、且つ、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、前記第一円周方向と前記第二円周方向とは反対であり、
前記方向変換動力入力手段Aはレバー(1)であり、方向変換駆動手段Bは中心軸(3)と中心軸(3)に設置されたロックプレート(2)とを含み、ロック手段Cはスライダ(4)であり、直線動力出力手段Dはラック(5)であり、
レバー(1)のダウエルホール(102)と中心軸(3)の扇形穴(303)とはダウエル(6)により配合され、扇形穴(303)の角度から前記相対的に回転可能な角度範囲を構成し、
レバー(1)には複数の開閉歯溝(103)が周方向に沿って設置され、
ロックプレート(2)には複数のロック溝(202)が周方向に沿って設置され、
スライダ(4)には開閉歯溝(103)と配合する押出斜面(403)、ロック溝(202)と配合するロックボス(404)、及びスライダ(4)の押出斜面(403)を駆使して開閉歯溝(103)のスペースを推進させるコイルばね(401)が設置され、
中心軸(3)に設置されている歯車(301)は前記ラック(5)に噛み合う、
外科器具に用いられる湾曲制御装置。
【請求項2】
角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から前記角度範囲IIを構成する請求項1に記載の湾曲制御装置。
【請求項3】
方向変換駆動手段Bに複数のロックポジションが円周方向に沿って設置され、方向変換駆動手段Bの回転に伴って、ロック手段Cは方向変換駆動手段Bを対応するロックポジションにロックすることができる請求項1に記載の湾曲制御装置。
【請求項4】
ダウエル(6)が扇形穴(303)の一端に位置されている場合、前記レバー(1)は角度Iに位置し、ダウエル(6)が扇形穴(303)の他端に位置されている場合、前記レバー(1)は角度IIIに位置し、ダウエル(6)が扇形穴(303)の一端と他端との間の区域に位置されている場合、前記レバー(1)は角度範囲IIに位置する請求項1〜3のいずれか一項に記載の湾曲制御装置。
【請求項5】
前記ロックボス(404)は、前記ロックポジションのロック溝(202)のスペース内に噛み込まれることによりロックプレート(2)をロックし、前記ロック溝(202)のスペースから引っ込むことによりロックプレート(2)を解除する請求項3に記載の湾曲制御装置。
【請求項6】
前記ロック溝(202)は線分部を含み、前記ロックボス(404)は前記線分部と噛み合うことにより前記ロックプレートをロックする請求項5に記載の湾曲制御装置。
【請求項7】
回転ヘッド(7)をさらに含み、
前記レバー(1)は回転ヘッド(7)の開口部に取り付けられ、
回転ヘッド(7)の開口部には位置限定ボスが設置され、前記レバー(1)には位置限定ボスと配合する角度位置限定溝(101)が設置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の湾曲制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の湾曲制御装置を含む外科器具。
【請求項9】
前記外科器具は外科用吻合器であって、前記湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは、吻合器のジョーと接続する請求項8に記載の外科器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外科用吻合器に用いられる湾曲制御装置に関し、特に腔鏡用吻合器のジョーの湾曲およびロックの制御に用いられる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用吻合器の動作原理は、対応する二つのジョー(通常、アンビル構成要素とカートリッジ構成要素とも称する)がクローズすることにより組織をクリップし、その後、吻合器のカートリッジ内の金属縫合ピンを押し出し、組織を縫い合わせることである。一部の吻合器においては、さらにナイフが取り付けられ、縫い合わされた組織を切り離すことに用いられる。
【0003】
技術の進歩に伴い、伝統的な手術方法は腔鏡手術に変わりつつある。腔鏡手術といえば、腹部または胸部の異なる部位において直径が5〜12mmの小さな切り口を複数あけ、これらの小さな切り口を介して撮影レンズおよび各種特殊な手術器具を挿入し、腹腔内に挿入された撮影レンズにより撮影された各種臓器の画像をディスプレイに伝送し、外科医者が画像を観察しながら、各種の手術器具を操作して手術を完成することである。
【0004】
ここで、腔鏡用吻合器は手術において最も重要な役割を果たす。腹腔または胸腔内のスペースの制限により、伝統的な直線状の腔鏡用吻合器は一部の極端な状況において、有効に手術部位まで到達して組織をクリップ・貫通・縫合することができないため、吻合器のジョー(アンビル構成要素とカートリッジ構成要素を含む)が湾曲可能なアングルヘッド吻合器が必要となる。直線状態において、このような湾曲可能なアングルヘッド吻合器は、穿刺器を介して胸腔または腹腔に進入し、体外のレバーハンドルにある湾曲制御装置にてジョーを一定の角度に湾曲させることを制御し、かつ手術部位対するクリップ・貫通・縫合などの一連の操作を行わせる。手術完成後、このような湾曲可能なアングルヘッド吻合器は、再び直線状態に戻され、体外に退出される。
【0005】
上記のように、吻合器のジョーを必要な角度に回転させて手術の便宜を図れるとともに、吻合器のジョーを必要な角度にしっかりとロックさせて予測不可能な力に起因される安全面におけるリスクの発生を防止できる合理的な湾曲制御装置が現在において非常に必要であることがわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は既存技術における問題に鑑みてなされたものであり、レバーを引くことにより吻合器のジョーを湾曲させるとともに、吻合器のジョーを選択された角度にロックさせることにより、胸腔または腹腔内において、吻合器のジョーが予測不可能な力を受けたとしても、ジョーが湾曲されず、潜在リスクを低減できる簡便な湾曲制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的と達成するための本発明に係る湾曲制御装置は、方向変換動力入力手段A、方向変換駆動手段B、ロック手段Cおよび直線動力出力手段Dを含み、 同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが前記相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過し、
方向変換動力入力手段Aが前記角度範囲II内に位置されている場合、ロック手段Cは方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させ、
方向変換動力入力手段Aが前記角度Iに位置されている場合、ロック手段Cは方向変換動力入力手段Aに駆使されて方向変換駆動手段Bを解除し、且つ、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、
方向変換動力入力手段Aが前記角度IIIに位置されている場合、ロック手段Cは方向変換動力入力手段Aに駆使されて方向変換駆動手段Bを解除し、且つ、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、前記第一円周方向と前記第二円周方向とは反対である。
【0008】
好ましくは、角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から前記角度範囲IIを構成する。
【0009】
好ましくは、方向変換駆動手段Bに複数のロックポジションが円周方向に沿って設置され、方向変換駆動手段Bの回転に伴って、ロック手段Cは方向変換駆動手段Bを対応するロックポジションにロックすることができる。
【0010】
好ましくは、前記方向変換動力入力手段Aはレバーであり、方向変換駆動手段Bは中心軸と中心軸に設置されたロックプレートとを含み、ロック手段Cはスライダであり、直線動力出力手段Dはラックであり、
レバーのダウエルホールと中心軸の扇形穴とはダウエルにより配合され、扇形穴の角度から前記相対的に回転可能な角度範囲を構成し、
レバーには複数の開閉歯溝が周方向に沿って設置され、
ロックプレートには複数のロック溝が周方向に沿って設置され、
スライダには開閉歯溝と配合する押出斜面、ロック溝と配合するロックボス、及びスライダの押出斜面を駆使して開閉歯溝のスペースを推進させるコイルばねが設置され、
中心軸に設置されている歯車は前記ラックに噛み合う。
【0011】
好ましくは、ダウエルが扇形穴の一端に位置されている場合、前記レバーは角度Iに位置し、ダウエルが扇形穴の他端に位置されている場合、前記レバーは角度IIIに位置し、ダウエルが扇形穴の一端と他端との間の区域に位置されている場合、前記レバーは角度範囲IIに位置する。
【0012】
好ましくは、前記ロックボスは、前記ロックポジションのロック溝のスペース内に噛み込まれることによりロックプレートをロックし、前記ロック溝のスペースから引っ込むことによりロックプレートを解除する。
【0013】
好ましくは、前記ロック溝は線分部を含み、前記ロックボスは前記線分部と噛み合うことにより前記ロックプレートをロックする。
【0014】
好ましくは、回転ヘッドをさらに含み、
前記レバーは回転ヘッドの開口部に取り付けられ、
回転ヘッドの開口部には位置限定ボスが設置され、前記レバーには位置限定ボスと配合する角度位置限定溝が設置されている。
【0015】
上記のいずれかの湾曲制御装置を含む外科器具は、外科用吻合器であって、前記湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは、吻合器のジョーと接続する。
【発明の効果】
【0016】
既存技術と比較すれば、本発明は以下のような有益な効果を有する。
1、本発明によれば、手術中において一つまたは複数の位置をロックし、吻合器のジョーを湾曲させて必要とされる位置に固定させることで、手術を完成することができる。
2、本発明を達成するための手段の構造が簡単で、部品が少なく、部品のほとんどはプラスチック射出形成技術により製造され、簡単に製造でき、コストが低い。
3、本発明に係る湾曲制御装置はその他のメカニカルハンドリング部品において幅広く応用でき、制御し易くて接続し易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面を参照しながら非限定的な実施例について詳細に説明することにより、本発明のその他の特徴、目的およびメリットを更に明らかにする。
【0018】
【
図1】湾曲制御装置を含む外科用吻合器を主観的に示す図である。
【
図3】第一実施例に係る湾曲制御装置の分解構造を詳細に示す図である。
【
図4】第一実施例に係る湾曲制御装置の底面図である。
【
図5】第一実施例に係るロックプレートの底面図である。
【
図8】第一実施例に係るレバーが角度Iに位置される際の湾曲制御装置の縦断面図である。
【
図11】第一実施例に係るレバーが角度範囲IIに位置される際の湾曲制御装置の縦断面図である。
【
図14】第一実施例に係るレバーが角度IIIに位置される際の湾曲制御装置の縦断面図である。
【
図15】第二実施例に係る湾曲制御装置の分解構造を詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体的な実施例により本発明について詳しく説明する。以下の実施例は、当業者が本発明をより良く理解しやすくするためのものだけであって、如何なる形態により本発明を限定するものではない。当業者ならば、本発明の技術的思想から逸脱しないことを前提に、各種の変形や改良を行うことができるが、これらも本発明の保護範囲に属することに注意されたい。
【0020】
本発明に係る湾曲制御装置は、方向変換動力入力手段A、方向変換駆動手段B、ロックスダンCおよび直線動力出力手段Dを含み、 同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過する。
方向変換動力入力手段Aが角度範囲II内に位置されている場合、ロック手段Cは方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させる。
方向変換動力入力手段Aが角度Iに位置されている場合、ロック手段Cは方向変換動力入力手段Aに駆使されて方向変換駆動手段Bを解除し、且つ、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させる。
方向変換動力入力手段Aが角度IIIに位置されている場合、ロック手段Cは方向変換動力入力手段Aに駆使されて方向変換駆動手段Bを解除し、且つ、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させる。ここで、第一円周方向と第二円周方向とは反対である。
【0021】
好ましくは、角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から角度範囲IIを構成する。
【0022】
図1に示すように、本発明においては腔鏡外科用吻合器を提供する。該腔鏡外科用吻合器は、管状構造と湾曲制御装置を含み、管状構造の遠端は吻合器のジョーを有し、近端は湾曲制御装置と接続されている。
【0023】
図2には本発明に係る湾曲制御装置が示され、該湾曲制御装置は、レバー1、回転ヘッド上部7を含み、レバー1は、回転ヘッド上部7に取り付けられている。
【0024】
好ましくは、方向変換駆動手段Bに複数のロックポジションが円周方向に沿って設置され、方向変換駆動手段Bの回転に伴って、ロック手段Cは方向変換駆動手段Bを対応するロックポジションにロックすることができる。
【0025】
好ましくは、方向変換動力入力手段Aはレバー1であり、方向変換駆動手段Bは中心軸3と中心軸3に設置されたロックプレート2とを含み、ロック手段Cはスライダ4であり、直線動力出力手段Dはラック5である。
レバー1のダウエルホール102と中心軸3の扇形穴303とはダウエル6により配合され、扇形穴303の角度から相対的に回転可能な角度範囲を構成する。
レバー1には複数の開閉歯溝103が周方向に沿って設置されている。
ロックプレート2には複数のロック溝202が周方向に沿って設置されている。
スライダ4には開閉歯溝103と配合する押出斜面403、ロック溝202と配合するロックボス404、及びスライダ4の押出斜面403を駆使して開閉歯溝103のスペースを推進させるコイルばね401が設置されている。
中心軸3に設置されている歯車301はラック5に噛み合う。
【0026】
好ましくは、ダウエル6が扇形穴303の一端に位置されている場合、レバー1は角度Iに位置し、ダウエル6が扇形穴303の他端に位置されている場合、レバー1は角度IIIに位置し、ダウエル6が扇形穴303の一端と他端との間の区域に位置されている場合、レバー1は角度範囲IIに位置する。
【0027】
好ましくは、ロックボス404は、ロックポジションのロック溝202のスペース内に噛み込まれることによりロックプレート2をロックし、ロック溝202のスペースから引っ込むことによりロックプレート2を解除する。
【0028】
好ましくは、ロック溝202は線分部を含み、ロックボス404は線分部と噛み合うことによりロックプレート2をロックする。
【0029】
図3には湾曲制御装置の具体的な構造が示され、湾曲制御装置は、ロックプレート2、レバー1、スライダ4、コイルばね401を含み、ロックプレート2は中心軸3に固定され、表面には一連のロック溝202を有する。
【0030】
レバー1と中心軸3とはダウエル6により接続され、レバー1には一連の開閉歯溝が設置されている。スライダ4の遠端には押出斜面403、ロックボス404が設置されている。コイルばね401は、スライダ4と回転ヘッド上部7との間に設置されている。レバー1の開閉歯溝103とロックプレート2のロック溝202はともに中間位置を有し、この場合、吻合器のジョーは直線状態である。
【0031】
より具体的には、回転ヘッド上部7は開口部を有し、中心軸3、ロックプレート2、レバー1を収納できる。三つの部品である中心軸3、ロックプレート2、レバー1と回転ヘッドの開口部とは同軸に沿って配置されている。ロックプレート2は方形穴201により中心軸3上の方形平面302と緊密に配合し、場合によっては、ロックプレート2と中心軸3との二つの部品を一体化に形成することもできる。レバー1におけるダウエルホール102と中心軸3における扇形穴303とは、ダウエル6によって配合されている。スライダ4は、回転ヘッド上部7の内部に配置され、回転ヘッド上部7と同じ方向に配置されている。スライダ4の押出斜面403は、レバー1の開閉歯溝103と配合し、ロックボス404は、ロックプレート2のロック溝202内に配置されている。コイルばね401は、スライダ4のコイルばね溝402内に配置され、回転ヘッド上部7のボスとスライダ4との間に配置されている。中心軸3は、中心軸3における歯車301によりラック5のラック構造501と噛み合い、回転運動を直線運動に変換させ、最終的には吻合器の前端の湾曲を制御する役割を果たす。このほか、
図4に示すように、レバー1には角度位置限定溝101が設置され、回転ヘッド上部7の開口部には位置限定ボスを有し、レバーの回転角度を限定することにより、回転オーバーを回避できる。
【0032】
好ましくは、回転ヘッド7をさらに含み、レバー1は回転ヘッド7の開口部に取り付けられている。回転ヘッド7の開口部には位置限定ボスが設置され、レバー1には位置限定ボスと配合する角度位置限定溝101が設置されている。
【0033】
図4および
図5に示すように、ロックプレート2のロック溝202は、線分部を有し、ロックプレート2のロック溝202は、円周に配列分布され、各ロック溝の角度分布は同じであり、ロックプレート2のロック溝202とレバー1の開閉歯溝103とは1対1で対応する。レバー1に設置される角度位置限定溝101は、レバーが一定な角度内で回転することを確保し、回転オーバーを防止する。
【0034】
本発明に係る第一実施例の変形例として、上記各ロック溝の角度分布は、等距離でなくてもよく、または、ロックプレート2のロック溝202とレバー1の開閉歯溝103とは、1対1に対応しなくてもよい。
【0035】
上記のいずれかの湾曲制御装置を含む外科器具は、外科用吻合器であって、湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは、吻合器のジョーと接続する。
【0036】
図6から14は、湾曲制御装置の動作原理を説明するための図である。湾曲制御装置の動作原理は、具体的には、以下の通りである。
図6から
図8に示すように、ダウエル6が扇形穴303の一端に位置されている場合、レバー1は角度範囲Iに位置し、コイルばね401はスライダ4を押してレバーの開閉歯溝103に進入させる。この場合、スライダ4のロックボス404はロックプレート2のロック溝202に進入し、ロックプレート2をロックすることにより、中心軸3をロックし、回転角度を固定する。スライダ4におけるロックボス404とロックプレート2におけるロック溝202の線分部とが噛み合い、ラック5が歯車301を回転させてもスライダ4を動かすことができないため、ロックの目的が達成される。
【0037】
図9から
図11に示すように、ダウエル6が扇形穴303の両端の間に位置されている場合、レバー1は角度範囲Iと角度範囲IIIとの間に位置し、即ち角度範囲IIに位置する場合、レバー1はダウエル6を動かして一定な角度に回転させ、レバー1の開閉歯溝103とスライダ4の押出斜面403とが配合することにより、スライダ4を押し出す。この場合、スライダ4のロックボス404とロックプレート2のロック溝202との配合は解除される。続いてレバー1を回転すると、ダウエル6は扇形穴303を介して中心軸3を回転させるとともに、ラック5が前後運動するように動かして、湾曲させる役割を果たす。
【0038】
図12から
図14に示すように、ダウエル6が扇形穴303の他端に位置されている場合、レバー1は次の位置まで回転され、コイルばね401はスライダ4がレバーの他の一つの開閉歯溝103に滑り込まれるように動かせる。この場合、スライダ4のロックボス404はロックプレート2のロック溝202に進入し、ロックプレート2をロックすることにより、中心軸3をロックし、回転角度を固定する。スライダ4のロックボス404とロックプレート2のロック溝202の線分部とが噛み合い、ラック5が歯車301を回転させてもスライダ4を動かすことができないため、ロックの目的が達成される。
【0039】
図15に示すように、本発明の第二実施例に係る湾曲制御装置は、レバー1、回転ヘッド上部7を含み、レバー1は回転ヘッド上部7に取り付けられている。
【0040】
より具体的には、該湾曲制御装は、方向変換動力入力手段Aを構成するレバーおよびレバーに伴って回転する昇降リングと、方向変換駆動手段Bを構成する中心軸3と、ロック手段Cを構成するカムロック9と、コイルばね10と、回転ヘッド上部7と、直線動力出力手段Dを構成するラック5と、を含む。また、カムロック9は方向変換駆動手段Bに噛み合い、ラック5は中心軸3に設置される歯車301に噛み合う。更に、同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過する。方向変換動力入力手段Aが角度範囲II内に位置されている場合、コイルばね10の駆使により、カムロック9は回転ヘッドに噛み込まれることにより方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させる。方向変換動力入力手段Aが角度Iに位置されている場合、カムロック9は昇降リング8の駆使により回転ヘッドから離脱して方向変換駆動手段Bを解除する。また、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させる。方向変換動力入力手段Aが角度IIIに位置されている場合、カムロック9は昇降リング8の駆使により回転ヘッドから離脱して方向変換駆動手段Bを解除する。また、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させる。ここで、第一円周方向と第二円周方向とは反対である。
【0041】
回転ヘッド上部7は、開口部701を有し、内部には一連の位置決め歯溝702を有する。中心軸3の軸上には歯車301を有し、ラック5と接続し、更に管状構造内部に設置される接続装置により、吻合器のジョーと接続される。昇降リング8は、中心軸3と同軸に配置され、駆動斜面802を含む。カムロック9は、中心軸3と同軸に配置され、接続ボス901を含み、中心軸3と接続されると同時に、従動斜面904を含み、昇降リング8の駆動斜面802と配合し、さらに別の位置決め歯902を含む。レバー1は、ボス105により昇降リング8と配合され、ダウエル6により中心軸3と接続される。コイルばね10は、レバー1と昇降リング8との間に位置される。
【0042】
角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から角度範囲IIを構成する。回転ヘッドの開口部には複数の噛合ロックポジションが円周方向に沿って設置され、カムロック9の回転に伴って、カムロック9は回転ヘッドを対応する噛合ロックポジションに噛み合わせる。
【0043】
より具体的には、本実施例に係る外科器具は外科用吻合器であって、上記湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは吻合器のジョーと接続する。ここで、回転ヘッドの位置決め歯溝702は中間位置を有し、吻合器のジョーを直線状態に維持させる。
【0044】
レバー1のダウエルホール102と中心軸3の扇形穴303とはダウエル6により配合され、扇形穴303の角度から相対的に回転可能な角度範囲を構成する。レバー1は下向きに延長してボス105を形成し、昇降リング8にはレバー配合溝801が設置され、ボス105はレバー配合溝801に噛み込まれる。
【0045】
ダウエル6が扇形穴303の一端に位置されている場合、レバー1は角度Iに位置し、ダウエル6が扇形穴303の他端に位置されている場合、レバー1は角度IIIに位置し、ダウエル6が扇形穴303の一端と他端との間の区域に位置されている場合、レバー1は角度範囲IIに位置する。
【0046】
昇降リング8には駆動斜面802が設置され、カムロック9には従動斜面904が設置され、従動斜面904は駆動斜面802に配合される。昇降リング8がレバー1の駆動により角度範囲II内において回転する場合、昇降リング8とカムロック9とは相対的に回転される。昇降リング8がレバー1の駆動により角度I及び角度IIIに回転された場合に、駆動斜面802により従動斜面904を駆動してカムロック9を回転ヘッドから遠く離れさせて回転ヘッドとのロック状態を解除する。
【0047】
レバー1にはカバープレート104が設置され、カムロック9にはコイルばね支持面903が設置され、コイルばね10はカバープレート104とコイルばね903との間に接続される。
【0048】
回転ヘッドの開口部には位置限定ボスが設置され、レバー1には位置限定ボスと配合する角度位置限定溝が設置されている。回転ヘッドにおける位置決め歯溝702は円周に配列分布され、各位置決め歯溝702の角度分布は等距離ではない。このほか、回転ヘッドの開口部には位置限定ボスが設置され、レバーが一定の角度内において回転することを確保し、回転オーバーを防止する。
【0049】
本発明に係る第二実施例の変形例として、上記各位置決め歯溝の角度分布は等距離でもよい。
【0050】
より具体的には、本発明の第二実施例に係る腔鏡用吻合器の湾曲制御装置は、レバー1、コイルばね10、カムロック9、昇降リング8、中心軸3、回転ヘッド上部7、ラック5、ダウエル6を含む。ここで、回転ヘッド上部7は開口部を有し、レバー1、コイルばね10、カムロック9、昇降リング8、中心軸3を収納できる。レバー1、コイルばね10、カムロック9、昇降リング8、中心軸3の五つの部品と回転ヘッドの開口部とは同軸に沿って配置されている。開口部内には一連の位置決め歯溝702を有する。中心軸3、昇降リング8、カムロック9の三つの部品は内側から外側に向けて配置され、カムロック9の接続ボス901と中心軸3の接続溝304とが配合され、従動斜面904と昇降リング8の駆動斜面802とが配合され、位置決め歯902は回転ヘッドの一連の位置決め歯溝702内に設置されている。レバー1のボス105と昇降リング8のレバー配合溝801とが配合され、コイルばね10は、カムロック9のコイルばね支持面903とレバー1のカバープレートとの間に設置されている。レバー1のダウエルホール102は、ダウエル6により中心軸3の扇形穴と配合されている。ラック5は、回転ヘッド上部7内に設置され、中心軸3の歯車301と噛み合う。
【0051】
レバーを回転する場合、レバー1のボス105は昇降リング8を動かして一定の角度に回転させ、昇降リング8は駆動斜面802によりカムロック9の従動斜面904を駆動させることによって、カムロック9を上昇させ、位置決め歯902と回転ヘッド上部7の位置決め歯溝702とを噛合状態から離脱させる。続いてレバーを回転すると、ダウエル6は扇形穴303を介して中心軸3を回転させ、中心軸3はカムロック9を回転させると同時に、ラック5を前後に運動させて、湾曲の役割を実現する。
【0052】
レバー1が次の位置に回転された場合、レバー1を緩めると、コイルばね10はカムロック9を動かし、位置決め歯902を回転ヘッド上部7の他の一つの位置決め歯溝702に噛み込ませる。この場合、カムロック9は中心軸3をロックでき、自由に回転できないようにできる。カムロック9の位置決め歯902と回転ヘッド上部7の位置決め歯溝702の線分部とが噛み合うため、ラック5が歯車301を回転させてもカムロック9を回転させることができなく、ロックの目的が達成される。
【0053】
回転ヘッド上部の開口部は、位置限定ボスを有し、レバーの回転角度を限定でき、回転オーバーを回避できる。
【0054】
上記の通り、本発明の具体的な実施例について説明した。しかしながら、本発明は上述の特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。当業者ならば、特許請求の範囲内において各種の変形または修正を行うことができ、これらは本発明の実質内容に影響を与えない。
【符号の説明】
【0055】
1 レバー、
101 角度位置限定溝、
102 ダウエルホール、
103 開閉歯溝、
104 カバープレート、
105 ボス、
2 ロックプレート、
201 方形穴、
202 ロック溝、
3 中心軸、
301 歯車、
302 方形平面、
303 扇形穴、
304 接続溝、
4 スライダ、
401 コイルばね、
402 コイルばね溝、
403 押出斜面、
404 ロックボス、
5 ラック、
501 ラック構造、
6 ダウエル、
7 回転ヘッド上部、
701 開口部、
702 位置決め歯溝、
8 昇降リング、
801 レバー配合溝、
802 駆動斜面、
9 カムロック、
901 接続ボス、
902 位置決め歯、
903 コイルばね支持面、
904 従動斜面、
10 コイルばね。