(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403903
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】湾曲制御装置及び湾曲制御装置を有する外科器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-548512(P2017-548512)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2017-536964(P2017-536964A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2015090208
(87)【国際公開番号】WO2016115918
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年6月6日
(31)【優先権主張番号】201510026528.0
(32)【優先日】2015年1月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517199880
【氏名又は名称】上海逸思医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YISI MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】517199891
【氏名又は名称】逸思(蘇州)医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】YISI(SUZHOU) MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】楊 光
(72)【発明者】
【氏名】聶 紅林
(72)【発明者】
【氏名】李 安華
(72)【発明者】
【氏名】張 析量
(72)【発明者】
【氏名】石 秀鳳
【審査官】
吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0245676(US,A1)
【文献】
特開2012−161606(JP,A)
【文献】
特開平10−043190(JP,A)
【文献】
特開2010−279694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向変換動力入力手段Aを構成するレバー(1)とレバー(1)に伴って同時に回転する昇降リング(8)、方向変換駆動手段Bを構成する中心軸(3)、ロック手段Cを構成するカムロック(9)、コイルばね(10)、回転ヘッド(7)、直線動力出力手段Dを構成するラック(5)を含み、
カムロック(9)は方向変換駆動手段Bに噛み合い、ラック(5)は中心軸(3)に設置される歯車(301)に噛み合い、
同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが前記相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過し、
方向変換動力入力手段Aが前記角度範囲II内に位置されている場合、コイルばね(10)の駆使により、カムロック(9)は回転ヘッド(7)に噛み込まれることにより方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させ、
方向変換動力入力手段Aが前記角度Iに位置されている場合、カムロック(9)は昇降リング(8)の駆使によって回転ヘッド(7)から離脱して方向変換駆動手段Bを解除し、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、
方向変換動力入力手段Aが前記角度IIIに位置されている場合、カムロック(9)は昇降リング(8)の駆使により回転ヘッド(7)から離脱して方向変換駆動手段Bを解除し、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、前記第一円周方向と前記第二円周方向とは反対であり、
レバー(1)にはカバープレート(104)が設置され、カムロック(9)にはコイルばね支持面(903)が設置され、コイルばね(10)はカバープレート(104)とコイルばね支持面(903)との間に接続される外科器具に用いられる湾曲制御装置。
【請求項2】
角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から前記角度範囲IIを構成する請求項1に記載の湾曲制御装置。
【請求項3】
回転ヘッド(7)の開口部には複数のロックポジションが円周方向に沿って設置され、カムロック(9)の回転に伴って、カムロック(9)は回転ヘッド(7)を対応する噛合ロックポジションに噛み合わせることができる請求項1または2に記載の湾曲制御装置。
【請求項4】
レバー(1)のダウエルホール(102)と中心軸(3)の扇形穴(303)とはダウエル(6)により配合され、扇形穴(303)の角度から前記相対的に回転可能な角度範囲を構成し、
レバー(1)は下向きに延長されてボス(105)を形成し、昇降リング(8)にはレバー配合溝(801)が設置され、ボス(105)はレバー配合溝(801)に噛み合う請求項1〜3のいずれか一項に記載の湾曲制御装置。
【請求項5】
ダウエル(6)が扇形穴(303)の一端に位置されている場合、前記レバー(1)は角度Iに位置し、ダウエル(6)が扇形穴(303)の他端に位置されている場合、前記レバー(1)は角度IIIに位置し、ダウエル(6)が扇形穴(303)の一端と他端との間の区域に位置されている場合、前記レバー(1)は角度範囲IIに位置する請求項4に記載の湾曲制御装置。
【請求項6】
昇降リング(8)には駆動斜面(802)が設置され、カムロック(9)には従動斜面(904)が設置され、従動斜面(904)は駆動斜面(802)に配合され、
昇降リング(8)がレバー(1)の駆動により角度範囲II内において回転する場合、昇降リング(8)とカムロック(9)とは相対的に回転され、
昇降リング(8)がレバー(1)の駆動により角度I及び角度IIIに回転された場合、駆動斜面(802)は従動斜面(904)を駆動してカムロック(9)を回転ヘッド(7)から離れさせて回転ヘッド(7)とのロック状態を解除する請求項1〜5のいずれか一項に記載の湾曲制御装置。
【請求項7】
回転ヘッド(7)の開口部には位置限定ボスが設置され、前記レバー(1)には位置限定ボスと配合する角度位置限定溝(101)が設置されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の湾曲制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の湾曲制御装置を含む外科器具。
【請求項9】
前記外科器具は外科用吻合器であって、前記湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは吻合器のジョーと接続する請求項8に記載の外科器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外科用吻合器に用いられる湾曲制御装置に関し、特に腔鏡用吻合器のジョーの湾曲およびロックの制御に用いられる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用吻合器の動作原理は、対応する二つのジョー(通常、アンビル構成要素とカートリッジ構成要素とも称する)がクローズすることにより組織をクリップし、その後、吻合器のカートリッジ内の金属縫合ピンを押し出し、組織を縫い合わせることである。一部の吻合器においては、さらにナイフが取り付けられ、縫い合わされた組織を切り離すことに用いられる。
【0003】
技術の進歩に伴い、伝統的な手術方法は腔鏡手術に変わりつつある。腔鏡手術といえば、腹部または胸部の異なる部位において直径が5〜12mmの小さな切り口を複数あけ、これらの小さな切り口を介して撮影レンズおよび各種特殊な手術器具を挿入し、腹腔内に挿入された撮影レンズにより撮影された各種臓器の画像をディスプレイに伝送し、外科医者が画像を観察しながら、各種の手術器具を操作して手術を完成することである。
【0004】
ここで、腔鏡用吻合器は手術において最も重要な役割を果たす。腹腔または胸腔内のスペースの制限により、伝統的な直線状の腔鏡用吻合器は一部の極端な状況において、有効に手術部位まで到達して組織をクリップ・貫通・縫合することができないため、吻合器のジョー(アンビル構成要素とカートリッジ構成要素を含む)が湾曲可能なアングルヘッド吻合器が必要となる。直線状態において、このような湾曲可能なアングルヘッド吻合器は、穿刺器を介して胸腔または腹腔に進入し、体外のレバーハンドルにある湾曲制御装置にてジョーを一定の角度に湾曲させることを制御し、かつ手術部位対するクリップ・貫通・縫合などの一連の操作を行わせる。手術完成後、このような湾曲可能なアングルヘッド吻合器は、再び直線状態に戻され、体外に退出される。
【0005】
上記のように、吻合器のジョーを必要な角度に回転させて手術の便宜を図れるとともに、吻合器のジョーを必要な角度にしっかりとロックさせて予測不可能な力に起因される安全面におけるリスクの発生を防止できる合理的な湾曲制御装置が非常に必要であることがわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は既存技術における問題に鑑みてなされたものであり、レバーを引くことにより吻合器のジョーを湾曲させるとともに、吻合器のジョーを選択された角度にロックさせることにより、胸腔または腹腔内において、吻合器のジョーが予測不可能な力を受けたとしても、ジョーが湾曲されず、潜在リスクを低減できる簡便な湾曲制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明に係る湾曲制御装置は、方向変換動力入力手段Aを構成するレバーとレバーに伴って同時に回転する昇降リング、方向変換駆動手段Bを構成する中心軸、ロック手段Cを構成するカムロック、コイルばね、回転ヘッド、直線動力出力手段Dを構成するラックを含み、カムロックは方向変換駆動手段Bに噛み合い、ラックは中心軸に設置される歯車に噛み合い、同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが前記相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過し、方向変換動力入力手段Aが前記角度範囲II内に位置されている場合、コイルばねの駆使により、カムロックは回転ヘッドに噛み込まれることにより方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させ、方向変換動力入力手段Aが前記角度Iに位置されている場合、カムロックは昇降リングの駆使により回転ヘッドから離脱して方向変換駆動手段Bを解除し、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、方向変換動力入力手段Aが前記角度IIIに位置されている場合、カムロックは昇降リングの駆使により回転ヘッドから離脱して方向変換駆動手段Bを解除し、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、前記第一円周方向と前記第二円周方向とは反対である。
【0008】
好ましくは、角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から前記角度範囲IIを構成する。
【0009】
好ましくは、回転ヘッドの開口部には複数の噛合ロックポジションが円周方向に沿って設置され、カムロックの回転に伴って、カムロックは回転ヘッドを対応する噛合ロックポジションに噛み合わせることができる。
【0010】
好ましくは、レバーのダウエルホールと中心軸の扇形穴とはダウエルにより配合され、扇形穴の角度から前記相対的に回転可能な角度範囲を構成し、レバーは下向きに延長されてボスを形成し、昇降リングにはレバー配合溝が設置され、ボスはレバー配合溝と噛み合う。
【0011】
好ましくは、ダウエルが扇形穴の一端に位置されている場合、前記レバーは角度Iに位置し、ダウエルが扇形穴の他端に位置されている場合、前記レバーは角度IIIに位置し、ダウエルが扇形穴の一端と他端との間の区域に位置されている場合、前記レバーは角度範囲IIに位置する。
【0012】
好ましくは、昇降リングには駆動斜面が設置され、カムロックには従動斜面が設置され、従動斜面は駆動斜面に配合され、昇降リングがレバーの駆動により角度範囲II内において回転する場合、昇降リングとカムロックとは相対的に回転され、昇降リングがレバーの駆動により角度I及び角度IIIに回転された場合、駆動斜面は従動斜面を駆動してカムロックを回転ヘッドから遠く離れさせて回転ヘッドとのロック状態を解除する。
【0013】
好ましくは、レバーにはカバープレートが設置され、カムロックにはコイルばね支持面が設置され、コイルばねはカバープレートとコイルばね支持面との間に接続される。
【0014】
好ましくは、回転ヘッドの開口部には位置限定ボスが設置され、前記レバーには位置限定ボスと配合する角度位置限定溝が設置されている。
【0015】
本発明に係る湾曲制御装置を有する外科器具であって、上述の湾曲制御装置を含む。
【0016】
好ましくは、前記外科器具は外科用吻合器であって、前記湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは、吻合器のジョーと接続する。
【発明の効果】
【0017】
既存技術と比較すれば、本発明は以下のような有益な効果を有する。
1、本発明によれば、手術中において一つまたは複数の位置をロックし、吻合器のジョーを湾曲させて必要とされる位置に固定させることで、手術を完成することができる。
2、本発明を達成するための手段の構造は簡単で、部品が少なく、部品のほとんどはプラスチック射出形成技術により製造され、簡単に製造でき、コストが低い。
3、本発明に係る湾曲制御装置はその他のメカニカルハンドリング部品において幅広く応用でき、制御し易くて接続し易い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、図面を参照しながら非限定的な実施例について詳細に説明することにより、本発明のその他の特徴、目的およびメリットを更に明らかにする。
【0019】
【
図1】湾曲制御装置を含む外科用吻合器を主観的に示す図である。
【
図3】湾曲制御装置の分解構造を詳細に示す図である。
【
図4】湾曲制御装置の回転ヘッド部分の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施例により本発明について詳しく説明する。以下の実施例は、当業者が本発明をより理解しやすくするためのものだけであって、如何なる形態により本発明を限定するものではない。当業者ならば、本発明の技術的思想から逸脱しないことを前提に、各種の変形や改良を行うことができるが、これらも本発明の保護範囲に属することに注意されたい。
【0021】
本発明に係る湾曲制御装置を有する外科器具は、湾曲制御装置を含み、該外科器具は外科用吻合器であって、湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは、吻合器のジョーと接続する。
【0022】
図1に示すように、本発明においては腔鏡に用いられる湾曲制御装置を有する外科用吻合器を提供する。該腔鏡外科用吻合器は、管状構造を含み、管状構造の遠端は吻合器のジョーを有し、近端は湾曲制御装置と接続されている。
【0023】
図2には本発明に係る湾曲制御装置が示され、該湾曲制御装置は、レバー1、回転ヘッド上部7を含み、レバー1は、回転ヘッド上部7に取り付けられている。
【0024】
より具体的には、湾曲制御装置は、方向変換動力入力手段Aを構成するレバーとレバーに伴って同時に回転する昇降リング、方向変換駆動手段Bを構成する中心軸3、ロック手段Cを構成するカムロック9、コイルばね10、回転ヘッド上部7、直線動力出力手段Dを構成するラック5を含み、カムロック9は方向変換駆動手段Bに噛み合い、ラック5は中心軸3に設置される歯車301に噛み合う。同軸に設置されている方向変換動力入力手段Aと方向変換駆動手段Bとは、周方向において相対的に回転可能な角度範囲を有し、方向変換動力入力手段Aが相対的に回転可能な角度範囲の一端の角度から他端の角度まで方向変換駆動手段Bに相対して回転する過程において、方向変換動力入力手段Aは順次に相対角度として、角度I、角度範囲II、角度IIIを通過し、方向変換動力入力手段Aが角度範囲IIに位置されている場合、コイルばね10の駆使により、カムロック9は回転ヘッドに噛み込まれることにより方向変換駆動手段Bをロックし、方向変換駆動手段Bと直線動力出力手段Dとの間の相対静止状態を維持させ、方向変換動力入力手段Aが角度Iに位置されている場合、カムロック9は昇降リング8の駆使により回転ヘッドから離脱して方向変換駆動手段Bを解除し、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第一円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、方向変換動力入力手段Aが角度IIIに位置されている場合、カムロック9は昇降リング8の駆使により回転ヘッドから離脱して方向変換駆動手段Bを解除し、方向変換駆動手段Bは方向変換動力入力手段Aに伴って角度範囲IIから遠く離れる第二円周方向に回転できると共に直線動力出力手段Dを駆動して変移を発生させ、第一円周方向と第二円周方向とは反対である。
【0025】
図3に示すように、本発明の第一実施例に係る湾曲制御装置は、レバー1、中心軸3、昇降リング8、カムロック9、回転ヘッド上部7、コイルばね10を含み、回転ヘッド上部7は、開口部701を有し、内部には一連の位置決め歯溝702を有する。中心軸3の軸上には歯車301を有し、ラック5と接続し、更に管状構造内部に設置される接続装置により、吻合器のジョーと接続される。昇降リング8は、中心軸3と同軸に配置され、駆動斜面802を含む。カムロック9は、中心軸3と同軸に配置され、接続ボス901を含み、中心軸3と接続されると同時に、従動斜面904を含み、昇降リング8の駆動斜面802と配合し、さらに別の位置決め歯902を含む。レバー1は、ボス105により昇降リング8と配合され、ダウエル6により中心軸3と接続される。コイルばね10は、レバー1と昇降リング8との間に位置される。
【0026】
好ましくは、角度Iと角度IIIとの間の角度範囲から角度範囲IIを構成する。
【0027】
好ましくは、回転ヘッドの開口部には複数の噛合ロックポジションが円周方向に沿って設置され、カムロック9の回転に伴って、カムロック9は回転ヘッドを対応する噛合ロックポジションに噛み合わせることができる。
【0028】
より具体的には、本実施例に係る外科器具は外科用吻合器であって、上記湾曲制御装置の直線動力出力手段Dは、吻合器のジョーと接続する。ここで、回転ヘッドの位置決め歯溝702は中間位置を有し、吻合器のジョーを直線状態に維持させる。
【0029】
好ましくは、レバー1のダウエルホール102と中心軸3の扇形穴303とはダウエル6により配合され、扇形穴303の角度から相対的に回転可能な角度範囲を構成する。レバー1は下向きに延長されてボス105を形成し、昇降リング8にはレバー配合溝801が設置され、ボス105はレバー配合溝801と噛み合う。
【0030】
好ましくは、ダウエル6が扇形穴303の一端に位置されている場合、レバー1は角度Iに位置し、ダウエル6が扇形穴303の他端に位置されている場合、レバー1は角度IIIに位置し、ダウエル6が扇形穴303の一端と他端との間の区域に位置されている場合、レバー1は角度範囲IIに位置する。
【0031】
好ましくは、昇降リング8には駆動斜面802が設置され、カムロック9には従動斜面904が設置され、従動斜面904は駆動斜面802に配合される。昇降リング8がレバー1の駆動により角度範囲II内において回転する場合、昇降リング8とカムロック9とは相対的に回転される。昇降リング8がレバー1の駆動により角度I及び角度IIIに回転された場合、駆動斜面802により従動斜面904を駆動してカムロック9を回転ヘッドから遠く離れさせて回転ヘッドとのロック状態を解除する。
【0032】
好ましくは、レバー1にはカバープレート104が設置され、カムロック9にはコイルばね支持面903が設置され、コイルばね10はカバープレート104とコイルばね支持面903との間に接続される。
【0033】
好ましくは、回転ヘッドの開口部には位置限定ボスが設置され、レバー1には位置限定ボスと配合する角度位置限定溝が設置されている。
【0034】
図4に示すように、回転ヘッドにおける位置決め歯溝702は円周に配列分布され、各位置決め歯溝702の角度分布は等距離ではない。このほか、回転ヘッドの開口部には位置限定ボスが設置され、レバーが一定の角度内において回転することを確保し、回転オーバーを防止する。
【0035】
本発明に係る第一実施例の変形例として、上記各位置決め歯溝の角度分布は等距離でもよい。
【0036】
より具体的には、本発明の第一実施例に係る腔鏡用吻合器の湾曲制御装置は、レバー1、コイルばね10、カムロック9、昇降リング8、中心軸3、回転ヘッド上部7、ラック5、ダウエル6を含む。ここで、回転ヘッド上部7は開口部を有し、レバー1、コイルばね10、カムロック9、昇降リング8、中心軸3を収納できる。レバー1、コイルばね10、カムロック9、昇降リング8、中心軸3の五つの部品と回転ヘッドの開口部とは同軸に沿って配置されている。開口部内には一連の位置決め歯溝702を有する。中心軸3、昇降リング8、カムロック9の三つの部品は内側から外側に向けて配置され、カムロック9の接続ボス901と中心軸3の接続溝304とが配合され、従動斜面904と昇降リング8の駆動斜面802とが配合され、位置決め歯902は回転ヘッドの一連の位置決め歯溝702内に設置されている。レバー1のボス105と昇降リング8のレバー配合溝801とが配合され、コイルばね10は、カムロック9のコイルばね支持面903とレバー1のカバープレートとの間に設置されている。レバー1のダウエルホール102は、ダウエル6により中心軸3の扇形穴と配合されている。ラック5は、回転ヘッド上部7内に設置され、中心軸3の歯車301と噛み合う。
【0037】
レバーを回転する場合、レバー1のボス105は昇降リング8を動かして一定の角度に回転させ、昇降リング8は駆動斜面802によりカムロック9の従動斜面904を駆動させることによって、カムロック9を上昇させ、位置決め歯902と回転ヘッド上部7の位置決め歯溝702とを噛合状態から離脱させる。続いてレバーを回転すると、ダウエル6は扇形穴303を介して中心軸3を回転させ、中心軸3はカムロック9を回転させると同時に、ラック5を前後に運動させて、湾曲の役割を実現する。
【0038】
レバー1が次の位置に回転された場合、レバー1を緩めると、コイルばね10はカムロック9を動かし、位置決め歯902を回転ヘッド上部7の他の一つの位置決め歯溝702に噛み込ませる。この場合、カムロック9は中心軸3をロックでき、自由に回転できないようにできる。カムロック9の位置決め歯902と回転ヘッド上部7の位置決め歯溝702の線分部とが噛み合うため、ラック5が歯車301を回転させてもカムロック9を回転させることができなく、ロックの目的が達成される。
【0039】
回転ヘッド上部の開口部は、位置限定ボスを有し、レバーの回転角度を限定でき、回転オーバーを回避できる。
【0040】
上記の通り、本発明の具体的な実施例について説明した。しかしながら、本発明は上述の特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。当業者ならば、特許請求の範囲内において各種の変形または修正を行うことができ、これらは本発明の実質内容に影響を与えない。
【符号の説明】
【0041】
1 レバー、
102 ダウエルホール、
104 カバープレート、
105 ボス、
3 中心軸、
301 歯車、
303 扇形穴、
304 接続溝、
5 ラック、
501 ラック構造、
6 ダウエル、
7 回転ヘッド上部、
701 開口部、
702 位置決め歯溝、
8 昇降リング、
801 レバー配合溝、
802 駆動斜面、
9 カムロック、
901 接続ボス、
902 位置決め歯、
903 コイルばね支持面、
904 従動斜面、
10 コイルばね。