(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403944
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】曲面の旋削方法
(51)【国際特許分類】
B23B 3/10 20060101AFI20181001BHJP
B23B 5/00 20060101ALI20181001BHJP
B23Q 1/48 20060101ALI20181001BHJP
B23Q 1/01 20060101ALI20181001BHJP
B23Q 5/28 20060101ALI20181001BHJP
B23B 5/36 20060101ALN20181001BHJP
【FI】
B23B3/10
B23B5/00 Z
B23Q1/48 C
B23Q1/01 W
B23Q5/28 B
!B23B5/36
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-150356(P2013-150356)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-18961(P2014-18961A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】201210252859.2
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513172652
【氏名又は名称】富鼎電子科技(嘉善)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】楊 明陸
(72)【発明者】
【氏名】張 天恩
(72)【発明者】
【氏名】張 亜東
(72)【発明者】
【氏名】賈 見士
(72)【発明者】
【氏名】彭 楊茂
(72)【発明者】
【氏名】張 衛川
(72)【発明者】
【氏名】隋 景双
(72)【発明者】
【氏名】瞿 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 封華
(72)【発明者】
【氏名】賈 建華
(72)【発明者】
【氏名】覃 学
(72)【発明者】
【氏名】田 振洲
(72)【発明者】
【氏名】李 宝鵬
(72)【発明者】
【氏名】▲ウィ▼ 建民
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0003689(US,A1)
【文献】
特開2008−246594(JP,A)
【文献】
特開2007−210096(JP,A)
【文献】
特開2009−083069(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19650360(DE,A1)
【文献】
特開2006−326740(JP,A)
【文献】
特開2002−346871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/10−3/12,5/00,
B23Q 5/28,1/00− 1/76,
B23P 23/00−23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋削用バイトが設けられた送り装置と、前記送り装置と協働して動作する作業台と、前記作業台の上方に位置し且つ第一方向に沿って運動する移動機構とを備え、前記送り装置は、スライド可能に前記移動機構に設置され、前記旋削用バイトは、前記移動機構によって前記第一方向と直交する第二方向に沿って運動する旋盤を準備するステップと、
ワークを前記作業台に位置決めするステップと、
前記作業台で前記ワークを連動して回転させるステップと、
前記送り装置で前記旋削用バイトをコントロールして、前記旋削用バイトを回転されている前記ワークに対して前記第一方向及び前記第二方向双方に対して垂直である第三方向に沿って高速で且つ往復に運動させることで、前記ワークの円周方向での加工を実現するステップと、
前記送り装置を前記作業台に対して平行移動させることで、前記ワークにおいて曲面を形成するステップと、
を備え、
前記旋盤は、台座と、前記台座に装着されている駆動部品と、をさらに備え、前記移動機構は、前記台座に設置され、前記作業台は、前記駆動部品により駆動されて回転しながら、前記ワークを連動して回転させ、
前記移動機構は、横梁、第一駆動アセンブリ及び第二駆動アセンブリを備え、前記横梁は、前記台座にスライド可能に装着され且つ前記第一駆動アセンブリにより駆動されて前記台座に対して前記第一方向に沿って移動し、前記送り装置は、前記移動機構にスライド可能に装着され且つ前記第二駆動アセンブリにより駆動されて前記移動機構に対して前記第二方向に沿って移動し、前記送り装置の前記作業台に対する平行移動は、前記第一方向に沿う平行移動及び前記第二方向に沿う平行移動を含み、
前記送り装置は、送り駆動機構をさらに備え、前記旋削用バイトは、前記送り駆動機構によりコントロールされて、前記第三方向に沿って、前記ワークへ高速で往復運動して、前記ワークに対して曲面を旋削加工し、
前記台座は、基底部と、前記基底部に間隔をあけて互いに平行に突設されている2つの支持体と、を備え、各支持体の前記基底部から離れている端面には、間隔をあけて且つ互いに平行な2つの第一レールが設置され、
前記移動機構は、前記横梁の両端に形成されているスライド台をさらに備え、各スライド台は、2つの第一スライド許容部を備え、前記2つの第一スライド許容部と前記2つの第一レールとがスライド可能に結合されることによって、前記移動機構は前記第一方向に沿って移動可能になり、
前記第一駆動アセンブリは、前記スライド台に固定される第一可動子及び前記支持体における前記スライド台に対向する面に固定される第一固定子を備え、前記第一可動子と前記第一固定子とが互いに作用して、前記スライド台を前記支持体に対して前記第一方向に沿って移動させるように推進することを特徴とする曲面の旋削方法。
【請求項2】
前記支持体の2つの前記第一レールの間には、第一スライド凹部が形成されており、前記第一固定子は、前記第一スライド凹部内に固定され、前記第一可動子は、前記第一スライド凹部の内部にスライド可能に収容される
ことを特徴とする請求項1に記載の曲面の旋削方法。
【請求項3】
前記第二駆動アセンブリは、前記送り装置に固定される第二可動子及び前記横梁に固定される第二固定子を備え、前記第二可動子と前記第二固定子とが互いに作用して、前記送り装置を前記横梁に対して前記第二方向に沿って移動させるように推進する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の曲面の旋削方法。
【請求項4】
前記送り装置は、固定座及び前記旋削用バイトを固定するためのバイトホルダをさらに備え、前記固定座は、前記移動機構にスライド可能に装着され、前記バイトホルダは、前記固定座にスライド可能に装着され、前記送り駆動機構は、前記固定座内に収容状態に装着され、且つ前記バイトホルダを前記固定座に対して移動するようにコントロールして、前記バイトホルダを前記第三方向に沿って移動させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の曲面の旋削方法。
【請求項5】
前記固定座は、筐体を備え、前記筐体は、互いに平行な第一側壁及び第二側壁を備え、前記第一側壁の前記第二側壁から離れている表面には、第一ガイドレールが設置されており、前記第二側壁における前記第一ガイドレールに対応する位置には、ガイド溝が設けられ、前記ガイド溝の両側には、第二ガイドレールが設置され、前記第二ガイドレールは、前記第二側壁の前記第一側壁から離れている表面に位置し、
前記バイトホルダは、主体及びスライド板を備え、前記主体は、前記第二ガイドレールとスライド可能に結合され、前記スライド板は、前記ガイド溝から前記筐体内に挿入されて前記第一ガイドレールとスライド可能に結合される
ことを特徴とする請求項4に記載の曲面の旋削方法。
【請求項6】
前記主体には、前記第二ガイドレールと結合するためのスライダーが設置され、前記スライド板の前記主体から離れている端面には、前記第一ガイドレールと結合するためのガイド部が形成され、前記主体の前記スライド板から離れている面には、前記旋削用バイトを固定するための2つの挟持部が間隔をあけて設置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の曲面の旋削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋削方法に関し、特に曲面を加工するための旋削方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の機械加工方法において、一般的にはフライスを用いて曲面加工を行なう。しかし、フライスにおける隣り合う切削刃が順次にワークの表面を切削するため、ワークの表面に不連続な切削刀痕が形成される問題がある。このため、より良好な表面平滑度を得るには、ワークに対して更に研磨する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、より良好な表面平滑度が得られるとともに三次元曲面に加工できる旋削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明に係る曲面の旋削方法は、旋削用バイトが設けられた送り装置及び前記送り装置と協力して動作する作業台を備える旋盤を用意するステップと、ワークを前記作業台に位置決めするステップと、前記作業台で前記ワークを連動して回転させるステップと、前記送り装置で前記旋削用バイトをコントロールして、前記旋削用バイトを回転されている前記ワークに対して高速で且つ往復運動させることで、前記ワークの円周方向での加工を実現するステップと、前記送り装置を前記作業台に対して平行移動させることで、前記ワークにおいて曲面を形成するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る曲面の旋削方法は、移動機構を備える旋盤を用いて、送り装置をX軸方向及びY軸方向に沿って移動させるとともに、送り装置をZ軸方向に沿って高速で且つ往復移動させて、Z軸方向におけるワークの円周方向に沿った切削量を異ならせることにより、3次元曲面を有するワークを加工する。つまり、本発明の曲面の旋削方法は、作業台の回転と送り装置の高速での往復運動との相互作用を利用するとともに、送り装置を作業台に対してY軸方向に沿って移動させて、ワークに対して連続的に旋削加工する。これにより、ワークにおいて旋削し得た曲面の平滑度もより高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る曲面の旋削方法を用いた旋盤の斜視図である。
【
図2】
図1に示された旋盤の一部分を取り除いた状態を示す図である。
【
図4】
図1に示された旋盤の送り装置及び作業台の斜視図である。
【
図5】
図1に示された旋盤の送り装置の分解図である。
【
図6】
図5に示された旋盤の送り装置を別の視点から見た分解図である。
【
図7】本発明の曲面の旋削方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る曲面の旋削方法を用いた旋盤100は、ワークに対して曲面加工を行なうために用いられ、且つ台座(machine support)10と、作業台(work table)20と、移動機構30と、送り装置(feeding device)40と、コントローラ(図示せず)と、を備える。作業台20は、台座10に装着されている。移動機構30は、台座10に移動可能に装着され且つ作業台20の上方に位置する。送り装置40は、移動機構30にスライド可能に装着されている。コントローラは、作業台20、移動機構30及び送り装置40にそれぞれ電気的に接続されている。移動機構30は、コントローラの指令に基づいて送り装置40を連動して移動させる。
【0008】
台座10は、基底部(base)11と、基底部11上に間隔をあけて平行に突設されている2つの支持体13と、を備える。各支持体13の基底部11から離れている端面には、2つの第一レール131が間隔をあけて平行に設置されている。各第一レール131は、X軸方向(第一方向)に沿って延伸している。2つの第一レール131の間には、第一スライド凹部133が形成されている。
【0009】
作業台20は、ほぼ円柱形であり、且つ駆動部品21を介して基底部11に回転可能に装着されている。なお、作業台20は、2つの支持体13の間に位置する。作業台20は、駆動部品21の回転によってワーク(図示せず)を回転させる。本実施形態において、駆動部品21は、ダイレクトドライブモータ(Direct Drive Motor)である。
【0010】
図3を併せて参照すると、移動機構30は、2つの支持体13上にスライド可能に装着されている。また、該移動機構30は、2つの支持体13に対して垂直であり且つ作業台20の上方に位置する。移動機構30は、横梁(cross beam)31と、横梁31の両端に形成されているスライド台33と、スライド台33に装着されている第一駆動アセンブリ35と、横梁31に装着されている第二駆動アセンブリ37と、を備える。横梁31は、細長い形状であり、且つ前記X軸方向に直交するY軸方向(第二方向)に沿って延在している。また、横梁31には、互いに平行な2つの第二レール311が形成されている。各スライド台33は、2つの第一スライド許容部331を備え、且つ第一スライド許容部331を介して第一レール131にスライド可能に取り付けられる。第一駆動アセンブリ35は、第一スライド凹部133内に収容され、且つ横梁31を駆動して前記X軸方向に沿って移動させる。第一駆動アセンブリ35は、第一可動子351及び第一固定子353を備える。第一可動子351はスライド台33に固定され、第一固定子353は第一スライド凹部133内に固定される。第一可動子351と第一固定子353とが互いに作用して推進されることによって、前記スライド台33は前記支持体13に対してX軸方向に移動する。第二駆動アセンブリ37は、横梁31の2つの第二レール311の間に固定され、且つ第二可動子371及び第二固定子373を備える。第二可動子371は送り装置40に固定され、第二固定子373は横梁31に固定される。第二可動子371と第二固定子373とが互いに作用して推進されることによって、送り装置40は横梁31に対してY軸方向に移動する。本実施形態において、第一駆動アセンブリ35及び第二駆動アセンブリ37は、ともに高性能のリニアモーター(linear motor)である。
【0011】
図4及び
図5を併せて参照すると、送り装置40は、滑動部41、固定座43、バイトホルダ45、送り駆動機構47及び旋削用バイト49を備える。滑動部41には、2つの第二スライド許容部411が設けられている。送り装置40は、第二スライド許容部411を介して第二レール311にスライド可能に取り付けられる。バイトホルダ45は、固定座43にスライド可能に装着される。送り駆動機構47は、固定座43内に収容して装着され、且つコントローラに電気的に接続されてバイトホルダ45の上下移動を制御する。旋削用バイト49は、バイトホルダ45に固定される。
【0012】
固定座43は、筐体431及び該筐体431の両側に装着された2つの装着板433を備える。筐体431は、互いに平行な第一側壁4311及び第二側壁4313を備える。第一側壁4311と第二側壁4313との間には、収容空間4315が形成されている。第一側壁4311における前記収容空間4315側の表面(つまり、筐体431の内側面)には、第一ガイドレール4317が設置されている。第二側壁4313の第一ガイドレール4317に対応する位置には、ガイド溝4318が設けられている。ガイド溝4318の両側には、第二ガイドレール4319がそれぞれ設けられている。この2つの第二ガイドレール4319は、第二側壁4313における収容空間4315の背面側(つまり、筐体431の外側面)に位置する。2つの装着板433が収容空間4315を密封するように筐体431の両側に装着された後、固定座43は滑動部41に固定される。
【0013】
図6を併せて参照すると、バイトホルダ45は、ほぼ「T」字状を呈し、且つ主体451と、主体451の長手方向に沿って主体451の短手方向の略中央部から主体451に対して垂直に突設されているスライド板453と、を備える。主体451は、ほぼシャトル形を呈し(即ち、主体451のZ軸方向(第三方向)前方の端部の幅は、Z軸方向前方に向かうに従って狭くなるようにテーパ状とされる)、且つスライド板453から離れている面には、2つの挟持部4511が間隔をあけて設置されている。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向である。主体451における挟持部4511の反対側の面には、4つのスライダー4513が設置されている。この4つのスライダー4513は、スライド板453の両側にそれぞれ2つずつ設置され、且つ第二側壁4313の第二ガイドレール4319にスライド可能に取り付けられる。スライド板453は、ガイド溝4318から収容空間4315内に挿入されて、収容空間4315を2つの空間に分割する。スライド板453の主体451から離れている端面には、ガイド部4531が形成されている。ガイド部4531が第一側壁4311の第一ガイドレール4317にスライド可能に取り付けられることによって、バイトホルダ45はZ軸方向に沿って往復運動することができる。
【0014】
送り駆動機構47は、2つの駆動モジュール471を備える。2つの駆動モジュール471は、収容空間4315のスライド板453によって分割された2つの空間内にそれぞれ収容される。各駆動モジュール471は、可動子4711及び固定子4713を備える。可動子4711は装着板433に固定され、固定子4713はスライド板453の側面に固定される。本実施形態において、駆動モジュール471は、高性能のリニアモーターである。
【0015】
旋削用バイト49は、2つの挟持部4511の間に固定される。
【0016】
旋盤100を組み立てる際、先ず、駆動部品21を2つの支持体13の間に装着して、作業台20を駆動部品21に固定する。次に、スライド台33を介して横梁31を2つの支持体13にスライド可能に設置する。次に、第一駆動アセンブリ35の第一可動子351を移動機構30のスライド台33に固定し、第一駆動アセンブリ35の第一固定子353を支持体13の第一スライド凹部133内に固定し、第二駆動アセンブリ37の第二可動子371を送り装置40の滑動部41に固定し、第二駆動アセンブリ37の第二固定子373を移動機構30の横梁31の2つの第二レール311の間に固定した後、第一駆動アセンブリ35及び第二駆動アセンブリ37をコントローラにそれぞれ電気的に接続させる。次に、バイトホルダ45を固定座43に装着し、2つの駆動モジュール471を、収容空間4315の分割された2つの空間にそれぞれ収容してバイトホルダ45の両側面に固定し、2つの装着板433を固定座43に装着して収容空間4315を密封する。次いで、滑動部41を固定座43に装着した後、旋削用バイト49をバイトホルダ45に固定する。最後に、第二スライド許容部411を第二レール311に係合固定させて、送り装置40を移動機構30にスライド可能に装着させる。
【0017】
図7に示すように、本発明の実施形態に係る曲面の旋削方法は、以下のステップを備える。
【0018】
ステップS1において、上記の旋盤100を準備する。
【0019】
ステップS2において、ワークを旋盤100の作業台20に位置決めする。
【0020】
ステップS3において、第二駆動アセンブリ37は、送り装置40を駆動して、送り装置40を前記Y軸方向に沿って前記ワークの上方に移動させる。
【0021】
ステップS4において、作業台20は、駆動部品21により駆動されて、ワークを動かして回転させる。
【0022】
ステップS5において、駆動モジュール471は、旋削用バイト49を駆動して、ワークに必要な切削量に基づいて、前記ワークに対してZ軸方向に沿って高速で且つ往復運動させて、回転されている前記ワークの円周方向での旋削加工を実現する。本工程において、旋削用バイト49は、送り装置40の駆動及び制御下で、切削量に基づいて、ワークに対して前記X軸方向(第一方向)及び前記Y軸方向(第二方向)への移動速度よりも速い速度で、往復移動して加工を行う。この往復運動によって、Z軸方向におけるワークの円周方向に沿った切削量は異なるようになる。
【0023】
ステップS6において、コントローラは、移動機構30を駆動して、この移動機構30を介して、旋削用バイト49を前記X軸方向に沿って移動させて、回転されている前記ワークの直径方向に沿って旋削加工を行なう。以上により、前記ワークにおいて3次元曲面を形成することができる。
【0024】
本発明に係る曲面の旋削方法は、移動機構30を備える旋盤100を用いて、送り装置40をX軸方向及びY軸方向に沿って移動させるとともに、送り装置40をZ軸方向に沿って高速で且つ往復移動させて、Z軸方向におけるワークの円周方向に沿った切削量を異ならせることにより、3次元曲面を有するワークを加工する。つまり、本発明の曲面の旋削方法は、作業台20の回転と送り装置40の高速での往復運動との相互作用を利用するとともに、送り装置40を作業台20に対してY軸方向に沿って移動させる。これにより、ワークに対して連続的に加工することができ、旋削し得た曲面の平滑度はより高い。
【0025】
また、変形例として、旋盤100の中の送り装置40を固定して、作業台20を送り装置40に対して往復に移動させるような構成を採用しても、本発明の曲面の旋削方法を実現できる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
100 旋盤
10 台座
11 基底部
13 支持体
131 第一レール
133 第一スライド凹部
20 作業台
21 駆動部品
30 移動機構
31 横梁
311 第二レール
33 スライド台
331 第一スライド許容部
35 第一駆動アセンブリ
351 第一可動子
353 第一固定子
37 第二駆動アセンブリ
371 第二可動子
373 第二固定子
40 送り装置
41 滑動部
411 第二スライド許容部
43 固定座
431 筐体
4311 第一側壁
4313 第二側壁
4315 収容空間
4317 第一ガイドレール
4318 ガイド溝
4319 第二ガイドレール
433 装着板
45 バイトホルダ
451 主体
4511 挟持部
4513 スライダー
453 スライド板
4531 ガイド部
47 送り駆動機構
471 駆動モジュール
4711 可動子
4713 固定子
49 旋削用バイト