特許第6403946号(P6403946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミルボンの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403946
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】シャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20181001BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20181001BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61K8/67
   A61Q5/12
   A61Q5/02
   A61K8/46
   A61K8/73
   A61K8/41
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-199638(P2013-199638)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-111570(P2014-111570A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-239704(P2012-239704)
(32)【優先日】2012年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】計盛 創
(72)【発明者】
【氏名】水野 紗耶香
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 廉
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−013578(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0110650(US,A1)
【文献】 特開2006−151969(JP,A)
【文献】 特開2010−163377(JP,A)
【文献】 特開2002−029939(JP,A)
【文献】 特開2010−168335(JP,A)
【文献】 特開2002−068945(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/010958(WO,A1)
【文献】 特開2004−269430(JP,A)
【文献】 第十三改正日本薬局方解説書,1996年,C-741〜C-745
【文献】 FRAGRANCE JOURNAL,1992年 5月15日,第20巻,第5号,p.87-92
【文献】 FRAGRANCE JOURNAL,1999年12月15日,p.33-37
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンB6及び/又はその塩と、アニオン界面活性剤と、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムから選ばれる一種以上のカチオン化高分子が配合され、
pHが4.0以上7.0以下であり、
外観が透明又は半透明であるシャンプー組成物。
【請求項2】
ノニオン界面活性剤が配合された請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
70質量%以上の水が配合された請求項1又は2に記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
ビタミンB6及び/又はその塩の配合量が0.01質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャンプー組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシャンプー組成物と、カチオン界面活性剤が配合されたトリートメント組成物とを備える毛髪処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を洗浄するためのシャンプー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪の感触向上に関する要望は様々であり、その要望の一つとして毛髪のハリ、コシの向上がある。特許文献1には、毛髪のハリ、コシを改善するものとしてビタミンB6を含有する毛髪用化粧料が記載されており、当該化粧料のビタミンB6が毛髪・毛包の細胞を賦活化することで、毛髪のハリ、コシを改善できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−143649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する毛髪用化粧料のビタミンB6による毛髪のハリ、コシ改善は、細胞を賦活化するものであるから、その改善効果を実感するまでの期間をある程度要する。ハリ、コシを実感する期間を短縮するには、細胞の賦活化によらずともその実感が得られる提案が求められる。
【0005】
また、ビタミンB6によるハリ、コシ改善の開示があるものの、ビタミンB6を配合した毛髪用化粧料は、時間の経過と共に黄色くなることがあった。このような着色が品質上の問題を生じさせない場合であっても、消費者に不安を与える虞があるから、着色程度の抑制が望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、ビタミンB6配合による毛髪のハリ、コシ感触の向上に優れ、ビタミンB6による経時的な着色進行を抑えられる組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が、鋭意検討を行った結果、ビタミンB6を配合する対象をシャンプー組成物とし、当該組成物のpHを7.0以下に設定すれば、毛髪のハリ、コシの感触に優れ、ビタミンB6による着色進行を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る組成物は、ビタミンB6及び/又はその塩と、アニオン界面活性剤が配合され、pHが7.0以下であるシャンプー組成物であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシャンプー組成物は、カチオン化高分子が配合され、pHが4.0以上7.0以下であるものが良い。カチオン化高分子の配合により、シャンプー組成物を毛髪から洗い流す際の指と毛髪との絡まりを抑制できる。その絡まり抑制は、pH4.0以上が好ましい。
【0009】
本発明に係るシャンプー組成物は、外観が透明又は半透明のものであっても良い。ビタミンB6を配合したシャンプー組成物に光を照射すれば着色するから、この着色を抑えるためには、パール化剤などにより不透明にする方法があるが、pHを7.0以下に設定するから、透明又は半透明であることによる着色進行の程度が抑えられる。
【0010】
本発明に係る毛髪処理剤は、本発明に係るシャンプー組成物と、カチオン界面活性剤が配合されたトリートメント組成物とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、ビタミンB6をシャンプー組成物に配合したものであるから、毛髪のハリ、コシ感触の向上を優れるものとし、pHが7.0以下のものであるから、ビタミンB6による経時的な着色の進行を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態のシャンプー組成物(以下、「シャンプー組成物」を「シャンプー」と称することがある。)は、公知のシャンプーと同様、洗髪のために用いられる。また、公知のシャンプーによる処理後の処理と同様、シャンプーを洗い流した後の濡れた毛髪にトリートメント組成物(以下、「トリートメント組成物」を「トリートメント」と称することがある。)を塗布して洗い流すトリートメント処理を行っても良い。
【0013】
(シャンプー)
本実施形態のシャンプーは、ビタミンB6及び/又はその塩と、アニオン界面活性剤が水と配合されたものである(水の配合量は、例えば70質量%以上である。)。また、必要に応じて、公知のシャンプー用原料を、任意原料として本実施形態のシャンプーに配合しても良い。
【0014】
ビタミンB6及び/又はその塩
本実施形態のシャンプーに、ビタミンB6、ビタミンB6塩、又は、ビタミンB6及びビタミンB6塩を配合することで、毛髪のハリ、コシの感触が向上する。トリートメントにビタミンB6及び/又はその塩を配合しても、毛髪のハリ、コシの感触が向上するが、シャンプーにビタミンB6及び/又はその塩を配合する方が、ハリ、コシの感触がより向上する(トリートメントに配合されるカチオン界面活性剤は毛髪表面に吸着し、ビタミンB6又はその塩と毛髪との相互作用を大きく弱めてしまうと考えられる。一方のシャンプーは、カチオン界面活性剤が無配合又はトリートメントよりも少量配合なので、トリートメントのように上記相互作用を大きく弱めることはないと考えられる。このトリートメントとシャンプーとの相互作用の相違により、ビタミンB6又はビタミンB6塩の配合によるハリ、コシの感触の向上に差が出ると予想される。)。
【0015】
ビタミンB6及び/又はその塩によるハリ、コシ感触の向上は、毛髪内の構成アミノ酸であるトリプトファンとビタミンB6との相互作用によると考えられる。その相互作用は、カルボキシメチル化されたケラチンの溶液(I)におけるトリプトファンの蛍光強度(I)と、溶液(I)に更に被験原料としてビタミンB6が配合された溶液(II)におけるトリプトファンの蛍光強度(II)と、の差が大きいことから確認できる(ビタミンB6とトリプトファンの相互作用により、ビタミンB6がトリプトファンの励起光吸収を大きく阻害する。)。
【0016】
上記のトリプトファンとビタミンB6との相互作用が大きいとした根拠内容を、以下の溶液(I)、溶液(II)、蛍光強度の測定、消光率、表1に基づき示す。
【0017】
溶液(I)
pHが7.4の100mMトリス緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩緩衝液)と、カルボキシメチル化されたケラチンの水溶液(特開2012−121831号公報の段落0089〜0092に準じて製造した−S−S−CH−COOH基を有するケラチンの水溶液)を10質量%含有する水溶液とを、等量混合したものを溶液(I)とした。
【0018】
溶液(II)
トリス混合液に被験原料を配合した以外は、溶液(I)と同様に混合したものを溶液(II)とした。使用した被験原料及び各溶液(II)における被験原料の濃度は、下記表1の通りである。
【0019】
蛍光強度の測定
分光蛍光光度計F−4500(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を使用し、下記測定条件にて蛍光強度を測定した。
励起波長:295nm
蛍光波長:347.4nm
スキャンスピード:240nm/min
スリット幅:2.5nm
ホトマル電圧950V
【0020】
消光率
「消光率」とは、「蛍光波長の蛍光強度(II)/蛍光波長の蛍光強度(I)×100」により算出される値であり、値が小さなほど、被験原料により蛍光強度が低下した(トリプトファンと被験原料との相互作用が大きい)と考えられるものである。
【0021】
【表1】
上記表1において、ビタミンB6塩である塩酸ピリドキシンの消光率は、他に比して大幅に低い。これは、ピリドキシンとトリプトファンとの相互作用が大きいことを明らかにしている。
【0022】
上記ビタミンB6は、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンが挙げられる。また、ビタミンB6の塩の態様としては、例えば、塩酸塩などのハロゲン塩が挙げられる。
【0023】
本実施形態のシャンプーには、ビタミンB6及びその塩から選ばれた一種又は二種以上が配合される。本実施形態のシャンプーにおけるビタミンB6及びその塩の配合量は、適宜設定されるべきものであるが、0.01質量%以上0.5質量%以下が良く、0.03質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.03質量%以上0.1質量%以下がより好ましい。その配合量を0.01質量%以上にすることで、毛髪のハリ、コシの感触向上に好適であり、0.5質量%以下にすることで、シャンプーの着色進行の抑制に好適である。
【0024】
アニオン界面活性剤
本実施形態のシャンプーには、毛髪洗浄成分として公知のアニオン界面活性剤を配合すると良い。毛髪がアニオン界面活性剤により洗浄されるから、ビタミンB6及びその塩が毛髪内部のトリプトファンとも相互作用し易くなると考えられる。
【0025】
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸、アシル乳酸塩などのカルボン酸系アニオン界面活性剤;アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩などのスルホン酸系アニオン界面活性剤;アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩などの硫酸系アニオン界面活性剤;アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩などのリン酸系アニオン界面活性剤;が挙げられる。
【0026】
本実施形態のシャンプーには、一種又は二種以上のアニオン界面活性剤を配合すると良い。本実施形態のシャンプーにおけるアニオン界面活性剤の配合量は、特に限定されるものではなく、例えば5質量%以上15質量%以下である。
【0027】
任意原料
本実施形態のシャンプーに配合する任意原料は、公知のシャンプー用原料であると良く、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、無機化合物、香料、防腐剤である。なお、カチオン界面活性剤は毛髪表面に吸着しやすく、ビタミンB6又はその塩と毛髪との相互作用を弱めてしまうから、カチオン界面活性剤を配合する場合のシャンプーにおける配合量は、例えば0.4質量%未満である。
【0028】
シャンプーを洗い流す際の毛髪の絡まりを抑制するには、カチオン化高分子を配合すると良い。また、適度な粘性のシャンプーとするには、ノニオン界面活性剤を配合すると良い。
【0029】
上記カチオン化高分子としては、例えば、ポリクオタニウム−4(塩化ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム)、ポリクオタニウム−10(塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース)
等のカチオン化セルロース;グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等のカチオン化グアーガム;が挙げられる。一種又は二種以上のカチオン化高分子を本実施形態のシャンプーに配合すると良く、カチオン化高分子の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば0.1質量%以上2質量%以下である。
【0030】
上記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。一種又は二種以上のノニオン界面活性剤を本実施形態のシャンプーに配合すると良く、ノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば0.1質量%以上5質量%以下であり、ハリ、コシ感の向上のためには1質量%以下が良い。
【0031】
pH
本実施形態のシャンプーのpHは、7.0以下であり、6.5以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.5以下が更に好ましい。pHが7.0以下であることで、シャンプーの経時的な着色の進行が抑えられる(なお、ビタミンB6又はその塩が配合されたシャンプーの経時的な着色は、シャンプーが光を受けた場合や加温された場合に生じやすくなる。)。また、pHは、4.0以上が良く、4.5以上が好ましい。4.0以上にすることで、シャンプーを洗い流す際のカチオン化高分子による毛髪の絡まり抑制を有利にする。
【0032】
本実施形態のシャンプーは、上記の通りであり、公知のシャンプーで汎用されているポンプ式容器から吐出容易な粘度のものが良い。また、本実施形態のシャンプーの外観は、透明又は半透明であるか不透明であるかを問わない。ここで、「透明又は半透明」とは、直径4cmの有底円筒状ガラス容器内のシャンプーを正面から目視確認したときに、背景を確認可能である透明性をいう。
【0033】
(トリートメント)
本実施形態のトリートメントは、カチオン界面活性剤が水と配合されたものであり(水の配合量は、例えば70質量%以上95質量%以下。)、シャンプーで処理された濡れた毛髪に塗布・水洗されるものである。また、必要に応じて、公知のトリートメント用原料を、任意原料として本実施形態のトリートメントに配合しても良い。
【0034】
カチオン界面活性剤
本実施形態のトリートメントにカチオン界面活性剤を配合することで、毛髪の感触改善を行える。
【0035】
上記のカチオン界面活性剤としては、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。なお、ここでの「長鎖アルキル」とは、炭素数が8以上の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、その炭素数が16以上22以下であると皮膚への刺激の抑制や毛髪に付与する感触の観点から好ましい。
【0036】
本実施形態のトリートメントにおけるカチオン界面活性剤の配合量は、本実施形態のシャンプーにカチオン界面活性剤が配合される場合には、そのシャンプーへの配合量よりも多量とする。この配合量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば0.4質量%以上5質量%以下であり、1質量%以上3質量%以下が良い。0.4質量%以上にすることで、毛髪の感触改善に好ましく、5質量%以下にすることで、皮膚刺激の抑制に好ましい。
【0037】
任意原料
本実施形態のトリートメントに配合する任意原料は、公知のトリートメント用原料であると良く、例えば、高級アルコール、エステル油、油脂、炭化水素、ロウ、多価アルコール、低級アルコール、糖類、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、ビタミン、無機化合物、香料、防腐剤などである。高級アルコールは、トリートメントの粘度調整や毛髪の感触改善のために配合する原料として汎用的である。
【0038】
本実施形態のトリートメントに配合する高級アルコールは、炭素数数16以上22以下のものを用いると良く、当該高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。これらの高級アルコールの中でも、良好なハンドリング性及びトリートメントにおける油滴の分散安定性のバランスの観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。本実施形態のトリートメントにおける高級アルコールの配合量は、例えば3質量%以上10質量%以下である。
【0039】
剤型、pH
本実施形態のトリートメントは、毛髪に塗布しやすいクリーム状のものであると良い。また、当該トリートメントのpHは、例えば3.0以上6.0以下である。
【実施例】
【0040】
本発明を実施例に基づき以下に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例1a〜1cの透明のシャンプーを、水と、塩酸ピリドキシン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)共重合体、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グリチルリチン酸ジカリウム、エデト酸二ナトリウム、防腐剤、香料、及びクエン酸とを配合して製造した。シャンプーにおける水と配合した原料の配合量は、下記表1の通りである。
【0042】
実施例1a〜1cのシャンプーをガラス製の容器に封入して放置し、経時的な着色を確認した。この確認は、太陽光が差し込む室内に2週間放置(日光暴露試験)と、50℃の恒温槽内に2週間放置(高温経時試験)との2条件により行った。
【0043】
下記表2に、シャンプー製造のために水と配合した原料、シャンプーのpH、日光経時暴露試験後のシャンプーの着色、高温経時試験後のシャンプーの着色を示す。着色の確認においては、淡黄色透明の実施例1bを基準とし、試験毎に色の濃さの相対比較とした。pH7.0以下では、当該pHが低くなるにつれて着色が抑えられたことを表2は示す。
【表2】
【0044】
酸化染毛剤で処理した履歴がある長さ20cm、5g程度の毛束を、シャンプーで洗浄した後にトリートメント処理した。そして、乾燥させた毛束のハリ、コシ感触の評価を行った。ここで使用したシャンプーとトリートメントの組合せは、表3〜4に記載の組合せである。また、表3〜4におけるシャンプーSP1、SP2、SP3、SP4は、塩酸ピリドキシン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド、グリセリン、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)共重合体、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グリチルリチン酸ジカリウム、エデト酸塩、防腐剤、香料、クエン酸、リン酸水素二ナトリウムを、下記表5に記載の配合量で水と配合したものである。表3〜4におけるTR1、TR2は、塩酸ピリドキシン、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、クオタニウム−91、ステアリルアルコール、ミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル、キャンデリラロウ、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク、パントテン酸カルシウム、イソプロパノール、グリセリン、乳酸を、下記表6に記載の配合量で水と配合したものである。
【0045】
下記表3には、比較例2bの処理を行った毛束を基準として、実施例2a、実施例2b、比較例2aの処理を行った毛束のハリ、コシを評価した結果を示す。ここで、評価した評価者数は、3名であり、表中「〇」は、基準よりもやや良いとの評価、表中「◎」は、基準よりも良いとの評価であったことを意味する。
【0046】
【表3】
【0047】
下記表4には、実施例3aの処理を行った毛束を基準として、実施例3b、実施例3cの処理を行った毛束のハリ、コシを評価した結果を示す。ここで、評価した評価者数は、3名であり、表中「〇」は、基準よりもやや良いとの評価、表中「◎」は、基準よりも良いとの評価であったことを意味する。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】