(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<測定システム100の構成>
図1は、本実施形態による測定システム100の概略構成の一例を示す構成図である。この測定システム100は、プラント内を定常的に監視するために測定を行うシステムである。プラントとしては、例えば、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。また、測定システム100は、プラント内の各種の物理量を測定するフィールド機器40(測定機器)を備えている。フィールド機器40は、例えば、流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器である。この
図1に示す例では、測定システム100は、フィールド機器40として、伝送器5と、差圧伝送器6と、センサ10a、10b、10cと、を備えている。
【0009】
図1に示すように、プラント内に配管されている管路1には、ポンプ2と、ポジショナーおよびバルブ3と、圧力、温度、流量などを測定する伝送器5と、オリフィスプレート4と、オリフィスプレート4を用いて流量測定を行う差圧伝送器6とが接続されている。
【0010】
例えば、差圧伝送器6は、管路1内の圧力の揺らぎを測定し時系列データとして内部で収集する。これにより、管路1のつまりや異常を検出することが可能である。このとき、時系列データのサイズとしては、例えば、数kbyteから数10kbyteのものが用いられる。
【0011】
センサ10a、10b、10cは、マイクロフォンなどを搭載した騒音センサや管路1の振動を測定する振動センサであり、複数の周波数帯における音や振動のピーク値の測定、または時間領域や周波数領域における振動の波形データを取得する。このとき、波形データのサイズとしては、サンプリング数にもよるが、例えば、数kbyteから数Mbyteのものが用いられる。
【0012】
ここでは、センサ10a、10bは、騒音センサ(以下、騒音センサ10a、10bとも称する)であるとし、例えば、労働環境の改善や騒音公害防止を目的として、騒音量の測定または騒音源の推定に用いられる。騒音センサ10a、10bは、例えば、プラント内に常時設置されている。また、センサ10cは、振動センサ(以下、振動センサ10cとも称する)であるとする。
【0013】
騒音源としては、例えば、管路1やポンプ2などがある。管路1が騒音になる場合とは、管路1以外の騒音源からの音が管路1および管路1内の流体を伝搬してくる場合と、管路1内の流体自体の乱れ(例えば、オリフィスプレート4の下流の圧力損失やポジショナーおよびバルブ3のバルブで発生するキャビテーションなど)から騒音が発生するものがある。振動センサ10cは、例えば、管路1に直接取り付けられており、管路1の振動を測定し、管路1の異常監視や傾向監視をする。なお、この
図1では、振動センサ10cが管路1に取り付けられている例を示しているが、振動センサ10cは、他の設備や機器など(例えば、ポンプ2)に取り付けられて振動を測定してもよい。
【0014】
また、測定システム100は、測定管理装置20を備えている。この測定管理装置20は、通信ネットワーク7を介して、ポジショナーおよびバルブ3、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、及び振動センサ10cに接続される。
【0015】
通信ネットワーク7は、伝送器5及び差圧伝送器6から伝送される4−20mAの電流信号、その電流信号に重畳したデジタル信号、フィールドバス通信などのデジタル信号、またはISA100.11aやWireless HART(登録商標)などの工業用無線通信、などによる通信路を示している。ここでは、通信ネットワーク7は、例えば、フィールドバス通信またはISA100.11aなどの工業用無線通信による通信路であるとして説明する。
【0016】
測定管理装置20は、通信ネットワーク7を介して、ポジショナーおよびバルブ3、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、及び振動センサ10cと測定データや制御情報を送受信する。
【0017】
なお、測定管理装置20は、プラントを制御する中央制御装置(例えば、DCS(Distributed Control System)やPAM(Plant Asset Management System))の一部として構成されてもよい。例えば、測定管理装置20を含む中央制御装置が、通信ネットワーク7を介して通信可能に接続される機器と測定データや制御情報を送受信してもよいし、プロセス量の異常や機器の異常を示すアラーム情報の伝達を行ってもよい。
【0018】
また、測定システム100は、通信ネットワーク7を介して、ポジショナーおよびバルブ3、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、及び振動センサ10cに接続される携帯型のハンドヘルドターミナル(HHT:Hand Held Terminal)またはPC(Personal computer)などの機器管理ツールを備えてもよい。この機器管理ツールは、通信ネットワーク7を介して通信可能に接続される機器に対して測定レンジやタグなどの設定を行うとともに、上述の中央制御装置と同様に、通信ネットワーク7を介して通信可能に接続される機器と測定データや制御情報を送受信してもよいし、プロセス量の異常や機器の異常を示すアラーム情報の伝達を行ってもよい。
【0019】
また、騒音センサ10a、10bまたは振動センサ10cの測定データは、測定管理装置20(または、測定管理装置20を含む中央制御装置)とは別に、装置管理ツールや騒音モニタツールなどで収集されて傾向監視されてもよい。なお、騒音センサ10a、10bの他に携帯型の騒音センサを用いて、例えば1年に1度作業員が巡回して測定したデータを収集し騒音マップを作成することで、公害防止や、労働改善環境のための装置見直しや防音壁設置などに利用してもよい。
【0020】
測定管理装置20は、複数のフィールド機器40(例えば、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、または振動センサ10c)のそれぞれから通信ネットワーク7を介して、連続的または断続的に圧力、温度、流量などの測定データを取得することができる。例えば、測定管理装置20は、測定対象であるプラントの定常的な監視を目的とした場合には、数秒から数分、または数時間から数日といった周期で測定された測定データを取得してもよい。
【0021】
ここで、仮に、各フィールド機器40による測定が、それぞれ非同期で異なる時刻に行われた場合には、各フィールド機器40の測定データの関連性や相関、時刻同期をとることは困難であるため、騒音や設備不良などの異常が発生したことを精度よく検出できないとともに、その異常が発生した箇所の推定は容易ではない。例えば、ポンプ2に異常があって騒音や管路1内の流体の乱れがある場合、騒音センサ10a、10bの付近のどこかで騒音が発生していることがわかるが、騒音源がどこにあるかまでは特定することが困難である。騒音センサ10a、10bに騒音が到達するまでの距離及び時間差がわかれば騒音源を推定することができるが、騒音センサ10a、10bが、仮に携帯型の騒音センサである場合には、プロセス内の位置や騒音センサ間の相対位置が定まらないため騒音源の推定は困難である。また、騒音センサ10a、10bが設置型の場合でも、騒音源を推定するためには、騒音センサ10a、10bに騒音が到達するまでの正確な時間差の情報が必要となる。また、管路1に設置された振動センサ10cが振動の異常を検知したとしても、それがポンプ2の問題によるものか、振動センサ10cの下流にあるバルブ3の異常振動によるものかは不明である。差圧伝送器6も同様であり、管路1内の流体の乱れ自体は検出できたとしても、それがポンプ2の問題によるものか、オリフィスプレート4の下流における異常圧力損失によるものかまでは特定することが困難である。
【0022】
そこで、本実施形態の測定システム100では、通信ネットワーク7上に接続されている複数のフィールド機器40のそれぞれの時刻を同期させ、プラント内の複数の箇所で同一時刻の測定、またはプラント内の複数の箇所ごとに一定時間の遅延時間を持たせた測定を可能とし、複数のフィールド機器40のそれぞれから、それぞれにおいて測定された時刻(測定時刻)が同期した測定データを取得するようにした。
これにより、プラント内の複数の箇所の測定データの関連性や相関、時刻同期をとることが容易となるため、騒音や設備不良などの異常やその異常が発生した箇所などの特定の事象の推定を、高速化、高精度化、且つ簡易化することができる。
【0023】
以下、本実施形態による測定システム100の構成について詳しく説明する。
図1に示す本実施形態による測定管理装置20は、フィールドバス通信やISA100.11aなどの工業用無線による通信維持のために複数のフィールド機器40のそれぞれに対して時刻の同期を行い、測定時刻が同期した測定データを、複数のフィールド機器40のそれぞれから通信ネットワーク7を介して取得する。また、
図1に示す複数のフィールド機器40(伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、振動センサ10c)のそれぞれは、測定管理装置20からの時刻の同期によって同期した時刻を計時しており、同期した測定時刻に測定が可能である。
【0024】
<測定管理装置の構成>
図2は、本実施形態による測定管理装置20の概略構成の一例を示す構成図である。
この
図2を参照して、測定管理装置20の構成について説明する。
測定管理装置20は、時刻情報取得部21と、位置情報取得部22と、通信部23と、ユーザインターフェース部24と、測定管理部25と、推定部26と、分布情報生成部27と、機器管理部28と、作業履歴管理部29と、を備えている。
【0025】
時刻情報取得部21は、時刻情報を取得し、取得した時刻情報を測定管理部25に供給する。例えば、時刻情報取得部21は、インターネットを介して時刻情報が供給されるNTP(Network Time Protocol)サーバ、またはGPS(Global Positioning System)衛星から受信する電波に基づいて時刻情報を取得するGPS受信ユニットなどを含んで構成される。なお、NTPサーバやGPS受信ユニットが、時刻情報取得部21の外部に設けられている場合には、時刻情報取得部21は、外部に設けられたNTPサーバやGPS受信ユニットから通信により時刻情報を取得する。
【0026】
位置情報取得部22は、例えば、GPS受信ユニットなどを含んで構成され、GPS衛星から受信する電波に基づいて測定管理装置20の位置情報を取得する。
通信部23は、フィールドバス通信やISA100.11aなどの工業用無線通信などを用いて、通信ネットワーク7に接続される各フィールド機器40と通信を行う。
【0027】
ユーザインターフェース部24は、ユーザの操作により入力される測定開始時刻や測定開始遅延時間などの入力情報を受け付ける入力部と、測定結果、または異常やその異常が発生した箇所などの特定の事象を示す情報をユーザに通知するために表示する表示部と、を備えている。例えば、ユーザインターフェース部24は、入力部と表示部とが一体となったタッチパネルとして構成されている。
【0028】
測定管理部25は、通信ネットワーク7に接続される各フィールド機器40に対して測定時刻を指示し、各フィールド機器40から測定データを取得する。なお、測定管理部25は、フィールドバス通信またはISA100.11aなどの工業用無線通信のネットワーク管理機能を有する構成としてもよい。例えば、測定管理部25は、通信維持のために、定期的に時刻情報を通信ネットワーク7に接続される各フィールド機器40に送信する機能を有する。
【0029】
具体的には、測定管理部25は、同期時刻送信部251と、測定時刻指示部252と、測定データ取得部253と、を備えている。
同期時刻送信部251は、各フィールド機器40が計時する時刻が同期するように、時刻情報取得部21から供給された時刻情報に基づいて、通信ネットワーク7に接続されるフィールド機器40のそれぞれに対して時刻同期用の共通の時刻情報(例えば、同一の時刻情報)を送信する。
【0030】
測定時刻指示部252は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して、それぞれのフィールド機器40が測定を行う測定時刻に関する情報を、通信ネットワーク7を介して送信する。例えば、測定時刻指示部252は、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、または振動センサ10cに対して、それぞれが測定を行う測定時刻を指示する情報を送信する。
【0031】
なお、測定時刻指示部252は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して、それぞれのフィールド機器40で同一の測定時刻に測定が行われるように指示する情報を送信してもよい。また、測定時刻指示部252は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して、それぞれのフィールド機器40の間で所定の時間差を設けた測定時刻に測定が行われるように指示する情報を送信してもよい。
【0032】
ここで、測定時刻に関する情報とは、例えば、瞬時の測定値を得る場合には、その瞬時の測定時刻を示す情報が含まれてもよいし、ある時刻から所定の時間幅での測定結果を得るためには、少なくとも測定開始時刻を示す情報が含まれてもよい。なお、所定の時間幅を示す情報は、測定時刻に関する情報に含まれてもよいし、フィールド機器40に設定されていてもよい。
【0033】
測定データ取得部253は、複数のフィールド機器40のそれぞれから、通信ネットワーク7を介して測定データを取得する。例えば、測定データ取得部253は、測定時刻指示部252が送信した測定時刻に関する情報により示される測定時刻に基づいて複数のフィールド機器40のそれぞれが測定した測定データを、複数のフィールド機器40のそれぞれから取得する。
すなわち、測定データ取得部253は、複数のフィールド機器40のそれぞれから、測定時刻が同期した測定データを取得する。
ここで、測定データ取得部253が取得する測定データには、騒音や振動の瞬時値、または時間領域や周波数領域における騒音や振動の波形データなどが含まれる。
【0034】
推定部26は、測定データ取得部253が取得した複数のフィールド機器40が測定した測定時刻が同期した測定データに基づいて、測定対象における特定の事象を推定する。なお、測定対象における特定の事象とは、例えば、騒音や設備不良などの異常またはその異常が発生した箇所などである。例えば、推定部26は、測定データ取得部253が取得した複数の測定データの関連性や相関を取ることにより、根本的な騒音源や設備の不良現象やその発生箇所、すなわち異常やその異常が発生した箇所などの特定の事象の推定を行う。
【0035】
分布情報生成部27は、プラント内の各フィールド機器40の位置情報または位置を示す地図情報と、測定データ取得部253が取得した各フィールド機器40の測定データとに基づいて、騒音や振動などの分布情報、異常箇所の分布情報などを生成する。
【0036】
機器管理部28は、プラント内の各フィールド機器40の状態や測定データを、通信ネットワーク7を介して収集し、各フィールド機器40の状態またはそれらの測定値に基づいて、各フィールド機器40(例えば、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、または振動センサ10c)の状態や管路1、ポンプ2、ポジショナーおよびバルブ3、などの機器の状態を、ユーザインターフェース部24の表示部に表示したり、データベース(不図示)に保存したりする。
【0037】
作業履歴管理部29は、分布情報生成部27が生成した騒音や振動などの分布情報または異常箇所の分布情報により示される環境下で、作業員が何時間作業したかなどの作業履歴を記録する。
【0038】
<フィールド機器40の構成>
次に
図3を参照して、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、振動センサ10cなどのフィールド機器40の構成について説明する。
図3は、本実施形態によるフィールド機器40の概略構成の一例を示す構成図である。この
図3では、伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、および振動センサ10cの各構成が同様の構成であるものとして説明するが、これに限られるものではない。
【0039】
フィールド機器40(伝送器5、差圧伝送器6、騒音センサ10a、10b、および振動センサ10c)は、通信部41と、測定部42と、測定制御部43と、記憶部44と、電源供給部45と、位置情報取得部46と、タイマ47(計時部)と、を備えている。
【0040】
通信部41は、フィールドバス通信やISA100.11aなどの工業用無線通信などを用いて、通信ネットワーク7に接続される測定管理装置20(外部装置)と通信を行う。
【0041】
測定部42は、測定対象を測定する。例えば、測定部42は、各フィールド機器40の測定仕様に対応するセンサ(マイクロフォンなどの音響センサ、振動センサ、または振動式の圧力センサなど)を含んで構成される。
【0042】
測定制御部43は、測定部42から測定結果を取得し、取得した測定結果に基づいて圧力値などのプロセス値や音量などの測定データを生成し、生成した測定データを通信部41を介して測定管理装置20に送信する。例えば、測定制御部43は、測定部42から測定結果を取得して測定データを生成する測定結果取得部431と、生成した測定データを通信部41を介して送信する測定データ送信部432とを備えている。
【0043】
また、測定制御部43は、時刻同期部433と、測定時刻制御部434と、をさらに備えている。
時刻同期部433は、測定管理装置20から送信された時刻同期用の共通の時刻情報を、通信部41を介して取得する。そして、時刻同期部433は、取得した時刻情報に基づいてタイマ47の時刻を合わせる。これにより、タイマ47は、測定管理装置20から取得した時刻情報に同期した時刻を計時する。
【0044】
なお、タイマ47は、時刻を計時するタイマの他に、時間を計時するタイマが含まれた構成としてもよい。また、タイマ47は、図示するように測定制御部43の外部に備えられてもよいが、内部に備えられてもよい。測定制御部43は、このタイマ47が計時する時刻や時間に基づいて、測定のタイミングを制御したり、省電力化のためにフィールド機器40が備える各部の動作時間を制御したりする。
【0045】
測定時刻制御部434は、測定管理装置20から送信された測定部42が測定する測定時刻に関する情報を、通信部41を介して取得する。そして、測定時刻制御部434は、タイマ47が計時する時刻と、取得した測定時刻とに基づいて、当該測定時刻に測定部42が測定するように制御する。
【0046】
例えば、測定時刻制御部434は、測定管理装置20から通信部41を介して測定開始時刻を取得すると、タイマ47の計時を行い、測定開始時刻に到達したときに測定部42に測定を行わせる。そして、測定結果取得部431は、測定部42から測定結果を取得し、取得した測定結果に基づく測定データ(騒音や振動の瞬時値、または時間領域や周波数領域における騒音や振動の波形データなど)と測定時刻を示す情報とを記憶部44に記憶させる。また、測定終了後に、測定データ送信部432は、通信部41を介して測定管理装置20に測定データを送信する。なお、測定データには、当該測定データに対応した測定時刻を示す情報が関連付けられて送信されてもよい。また、測定データには、位置情報取得部46が取得した位置情報が含まれてもよい。
なお、測定制御部43は、測定部42を常時起動し測定を行わせておき、測定開始時刻に到達したときのみ測定結果を取得してもよい。
【0047】
記憶部44は、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、フラッシュROM、HDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体またはこれらの組合せを用いて構成され、測定部42に備えられたセンサ固有の情報、測定部42が測定した測定結果に基づく測定データ(騒音や振動の瞬時値、または時間領域や周波数領域における騒音や振動の波形データなど)などを記憶する。
【0048】
電源供給部45は、測定制御部43に制御されるとともに、外部電源から供給された電力、または内部に搭載された電池から供給された電力を、通信部41と、測定部42と、測定制御部43と、記憶部44と、電源供給部45と、位置情報取得部46と、タイマ47と、に供給する。なお、電源供給部45は、フィールド機器40が備える各部に対して、測定制御部43を介して給電してもよいし、直接的に給電してもよい。
【0049】
位置情報取得部46は、例えば、GPS受信ユニットなどを含んで構成され、GPS衛星から受信する電波に基づいて自身の位置情報を取得する。なお、位置情報取得部46は、通信部41を介して測定管理装置20から供給される位置情報に基づいて、自身の位置情報を算出して取得してもよい。
【0050】
<通信処理の説明>
次に、
図4を参照して、フィールド機器40と測定管理装置20との間で通信ネットワーク7を介して行われる測定に関する通信処理について説明する。
図4は、本実施形態による測定に関する通信処理の一例を示すシーケンス図である。ここでは、測定管理装置20がフィールド機器40のそれぞれで同一の測定時刻に測定された測定データを取得する場合の通信処理を例として説明する。
【0051】
測定管理装置20は、ネットワーク管理のための時刻同期用の共通の時刻情報(例えば、同一の時刻情報)を、通信ネットワーク7に接続されるフィールド機器40のそれぞれに対して定期的に送信する(ステップS101:時刻同期)。各フィールド機器40は、取得した時刻情報に基づいてタイマ47の時刻を合わせる。これにより、フィールド機器40のそれぞれのタイマ47は、測定管理装置20から取得した時刻情報に同期した時刻を計時するようになる。
【0052】
ユーザの操作により測定開始時刻を指定する入力をユーザインターフェース部24が受け付けた場合、測定管理装置20は、当該測定開始時刻を示す情報(当該測定時刻に測定が行われるように指示する情報)を、通信ネットワーク7に接続されるフィールド機器40のそれぞれに送信する(ステップS110:測定開始時刻送信)。例えば、測定管理装置20は、ユーザに指示された同一の測定開始時刻を示す情報を各フィールド機器40に送信する。各フィールド機器40は、測定開始時刻を示す情報を取得すると、取得した旨を測定管理装置20に応答する(ステップS120:測定開始時刻取得応答)。
【0053】
また、各フィールド機器40は、測定開始時刻を示す情報を取得すると、フィールド機器40のそれぞれで同期している時刻情報と、ステップS120において取得した測定開始時刻を示す情報に基づいて、タイマ47による計時を開始させ、測定開始時刻に到達するまでの時間を計時する(ステップS130)。
【0054】
タイマ47による計時が満了して測定開始時刻に到達すると、各フィールド機器40は、測定部42による測定を開始し、測定結果を記憶部44に記憶させる(ステップS140)。
【0055】
次に、各フィールド機器40の測定が終了すると、測定管理装置20は、所定の時間が経過した後、各フィールド機器40に対して、測定データの送信要求を示す情報を送信する(ステップS150:測定データ送信要求)。このときの所定の時間は、各フィールド機器40において測定が終了するまでに必要な時間である。各フィールド機器40は、測定管理装置20から測定データの送信要求を示す情報を取得すると、測定結果に基づく測定データを測定管理装置20に送信する(ステップS160:測定データ送信)。これにより、測定管理装置20は、各フィールド機器40から同一の測定時刻に測定された測定データを取得する。なお、測定管理装置20は、測定データに測定時刻を示す情報が関連付けられた測定データを各フィールド機器40から取得してもよい。
【0056】
なお、測定データが、例えば波形データのように比較的大きなデータで、一回の通信では送りきれない場合、各フィールド機器40は、測定データを分割し、分割した測定データを複数回に分けて送信し(すなわち、ステップS160の処理を複数回行い)、分割された測定データが測定管理装置20で結合されるようにしてもよい。
【0057】
なお、測定管理装置20がフィールド機器40のそれぞれで同一の測定時刻に測定された測定データを取得する場合を例として説明したが、測定管理装置20は、それぞれのフィールド機器40の間で所定の時間差(遅延時間)を設けた測定時刻に測定された測定データを取得してもよい。この場合、測定管理装置20は、
図4に示すステップS110の処理において、それぞれのフィールド機器40の間で所定の時間差(遅延時間)を設けた測定時刻に測定が行われるように指示する情報を、それぞれのフィールド機器40に対して送信すればよい。また、所定の時間差(遅延時間)は、それぞれのフィールド機器40に設定されていてもよい。その場合には、測定管理装置20は、
図4に示すステップS110の処理において基準となる測定時刻を示す情報を送信し、送信した測定時刻に対して所定の時間差(遅延時間)が加味された測定時刻に測定された測定データを、それぞれのフィールド機器40から取得してもよい。
【0058】
また、
図4に示す例では、フィールド機器40がステップS110において取得した測定開始時刻を示す情報に基づいて、タイマ47が測定開始時刻に到達するまでの時間を計時する例を説明したが、フィールド機器40は、測定開始時刻に到達するまでの時間の計時を行なわずに、タイマ47の時刻が測定開始時刻と一致したと判定したときに、測定を開始してもよい。
【0059】
<測定管理装置20及びフィールド機器40の動作状態の説明>
次に、上述した
図4に示す通信処理における測定管理装置20及びフィールド機器40の動作状態について説明する。
まず、
図5を参照して、測定管理装置20の動作状態について説明する。
図5は、本実施形態による測定管理装置20の動作状態を示す状態遷移図である。
【0060】
State101は、「測定開始時刻入力待ち」の状態であって、測定管理装置20が、ユーザの操作により測定開始時刻を指定する入力がされるのを待機している状態である。測定管理装置20の測定管理部25は、ネットワーク管理のための共通の時刻情報(例えば、同一の時刻情報)を通信ネットワーク7に接続されるフィールド機器40のそれぞれに対して定期的に送信する(
図4のステップS101参照)。
【0061】
State101の「測定開始時刻入力待ち」の状態において、ユーザの操作により測定開始時刻を指定する入力をユーザインターフェース部24が受け付けた場合、測定管理部25は、測定開始時刻を示す情報をフィールド機器40のそれぞれに送信し(
図4のステップS110参照)、フィールド機器40のそれぞれから、測定開始時刻を示す情報を取得した旨の応答(
図4のステップS120参照)を受信し、測定管理装置20の状態がState102の状態に遷移する(ステップST11)。
【0062】
State102は、「測定終了待ち」の状態であって、測定管理装置20が、フィールド機器40のそれぞれの測定が終了するのを待機している状態である。測定管理部25は、フィールド機器40のそれぞれにおいて測定に必要な時間が経過した後、各フィールド機器40に対して、測定データの送信要求を示す情報を送信し、(
図4のステップS150参照)、測定管理装置20の状態がState103の状態に遷移する(ステップST12)。
【0063】
State103は、「測定データ受信中」の状態であって、測定管理装置20が、フィールド機器40のそれぞれから送信された測定データ(
図4のステップS160参照)を受信している状態である。測定管理部25は、測定データの受信を完了して測定データを取得すると、取得した測定データを推定部26、分布情報生成部27、機器管理部28、または作業履歴管理部29に供給し、測定管理装置20の状態がState101の「測定開始時刻入力待ち」の状態に遷移する(ステップST13)。なお、測定管理装置20は、受信した測定データが分割されている場合には結合を行ってから供給する。
【0064】
なお、State101の「測定開始時刻入力待ち」の状態において、ユーザインターフェース部24に対して測定開始時刻を指定する入力がない場合には、測定管理部25は、測定開始時刻を指定する入力の有無を監視し、State101の状態が継続される(ステップST14)。
【0065】
また、State102の「測定終了待ち」の状態において、フィールド機器40のそれぞれにおいて測定に必要な時間が経過していない場合には、測定管理部25は、フィールド機器40のそれぞれの測定時間の経過を監視し、State102の状態が継続される(ステップST15)。
【0066】
また、State103の「測定データ受信中」の状態において、測定データの受信が継続中の場合には、測定管理部25は、測定データの受信を継続し、State103の状態が継続される(ステップST16)。
【0067】
なお、測定管理装置20が電源オフの状態から電源オンされた場合(または再起動の場合)、測定管理装置20は、装置内の各部を起動して、State101の「測定開始時刻入力待ち」の状態に遷移する(ステップST17)。
【0068】
次に、
図6を参照して、フィールド機器40の動作状態について説明する。
図6は、本実施形態によるフィールド機器40の動作状態を示す状態遷移図である。
【0069】
State201は、「測定開始時刻指定待ち」の状態であって、フィールド機器40が、測定管理装置20から測定開始時刻が指定されるのを待機している状態である。フィールド機器40の測定制御部43は、測定管理装置20から送信された時刻同期用の時刻情報を定期的に取得し(
図4のステップS101参照)、取得した時刻情報に基づいてタイマ47の時刻を合わせる。
【0070】
State201において、測定制御部43は、測定管理装置20から送信された測定開始時刻を示す情報(
図4のステップS110参照)を取得すると、取得した旨を測定管理装置20に応答し(
図4のステップS120参照)、タイマ47の計時を開始させて(
図4のステップS130参照)、フィールド機器40の状態がState202の状態に遷移する(ステップST20)。
【0071】
State202は、「測定開始時刻待ち」の状態であって、フィールド機器40が、測定管理装置20から送信された測定開始時刻を示す情報により示される測定開始時刻(すなわち、指定された測定開始時刻)に到達するのを待機している状態である。測定制御部43は、タイマ47の計時が満了して、指定された測定開始時刻に到達すると(
図4のステップS140参照)、測定部42に測定を開始させ、フィールド機器40の状態がState203の状態に遷移する(ステップST21)。
【0072】
State203は、「測定中」の状態であって、フィールド機器40が、測定を行っている状態である。測定制御部43は、測定部42に測定を行わせるとともに、測定部42が測定した測定結果を記憶部44に記憶させる。測定制御部43は、測定部42による測定が完了し、測定管理装置20から測定データの送信要求を示す情報(
図4のステップS150参照)を取得すると、測定結果に基づく測定データの送信を開始し(
図4のステップS160参照)、フィールド機器40の状態がState204の状態に遷移する(ステップST22)。
【0073】
State204は、「測定データ送信中」の状態であって、フィールド機器40が、測定データを測定管理装置20に送信している状態である。測定制御部43は、測定データの送信を完了すると、タイマ47をクリアして、フィールド機器40の状態がState201の状態に遷移する(ステップST23)。
【0074】
なお、State201の「測定開始時刻指定待ち」の状態において、測定管理装置20から測定開始時刻を示す情報を取得できない場合には、測定制御部43は、測定開始時刻を示す情報の取得の有無を監視し、State201の状態が継続される(ステップST24)。
【0075】
また、State202の「測定開始時刻待ち」の状態において、タイマ47の計時が満了しておらず、指定された測定開始時刻に到達していない場合には、測定制御部43は、タイマ47の計時が満了するまでの間、測定を開始させないで待機し、State202の状態が継続される(ステップST25)。
【0076】
また、State203の「測定中」の状態において、測定部42による測定が完了していない場合(すなわち、測定中の場合)には、測定制御部43は、測定部42による測定を継続し、State203の状態が継続される(ステップST26)。
【0077】
また、State204の「測定データ送信中」の状態において、測定データの送信が完了しておらず送信中である場合には、測定制御部43は、測定データの送信を継続し、State204の状態が継続される(ステップST27)。なお、測定制御部43は、測定データが大きくて1回の送信では送りきれない場合には、測定データを分割し、分割した測定データを複数回に分けて送信する。
【0078】
なお、フィールド機器40が電源オフの状態から電源オンされた場合(または再起動の場合)、フィールド機器40は、装置内の各部を起動してState201の「測定開始時刻指定待ち」の状態に遷移する(ステップST28)。
【0079】
<特定の事象(異常現象及び異常箇所)の推定>
次に、本実施形態による測定管理装置20が行うプラント内における特定の事象(異常現象及び異常箇所)の推定処理について説明する。測定管理装置20の推定部26は、複数のフィールド機器40のそれぞれから取得した測定時刻が同期した測定データに基づいて、測定システム100の測定対象となるプラント内における異常及びその発生箇所(特定の事象)を推定する。例えば、推定部26は、複数のフィールド機器40のそれぞれから取得した測定時刻が同期した測定データの相関を取ることにより、異常及びその発生箇所を推定する。
【0080】
以下に、プラント内における特定の事象(異常及びその発生箇所)の推定方法について、2つの例を説明する。
(特定の事象の推定方法の第1例)
まず、管路1内の圧力を測定する伝送器5および差圧伝送器6の測定データに基づいて、特定の事象(異常及びその発生箇所)を推定する例を説明する。
【0081】
例えば、伝送器5において測定されるオリフィスプレート4の上流でのライン圧力の時間信号をp5(t)とし、差圧伝送器6において測定されるオリフィスプレート4の下流でのライン圧力の時間信号をp6(t)とすると、p5(t)とp6(t)との相関を表す相関係数Cを算出する相互相関関数は、以下の数式1により与えられる。
【0083】
ここで、管路1内の流体の速度をvとし、伝送器5の設置位置から差圧伝送器6の設置位置までの距離をLとすると、伝送器5と差圧伝送器6との間に異常がなければ、遅延時間τ
1が以下の数式2の値となる場合に相関係数Cが最大値をとる。
【0085】
ここで、管路1に設けられている伝送器5と差圧伝送器6との設置位置は、固定されているため既知の値とすることができる。また、管路1内の流体の速度vは、差圧伝送器6により測定可能であり、あらかじめ測定しておくことができる。測定管理装置20が、伝送器5に対して時刻「T1」(第1の時刻)を測定開始時刻として指定し、差圧伝送器6に対して時刻「T1+τ
1」(第2の時刻)を測定開始時刻として指定すると、伝送器5と差圧伝送器6とから取得する測定データに基づいて数式1により求められる相関係数Cが最大値となれば、伝送器5と差圧伝送器6との間に異常がないことになる。
【0086】
管路1のそれぞれの箇所に伝送器5および差圧伝送器6を設置することで、測定管理装置20は、それぞれの箇所のライン圧力信号のデータ列を取得することができる。推定部26は、取得したデータ列を相関係数Cの計算に用い、相関係数Cの値が小さければ、伝送器5と差圧伝送器6との間になんらかの異常、例えば管路1の腐食や損傷などによって管路1内の流体の流れに乱れが生じているという特定の事象を推定することができる。一般的に蒸気の流速(速度v)が20〜30m/secであり、伝送器5と差圧伝送器6との間の距離Lが2〜3mであれば、数式2に従って、遅延時間τ
1=0.1sec程度となる。一般的にフィールドバス通信やISA100.11aの工業用無線のネットワーク管理のための時刻同期精度は0.001sec程度であり、遅延時間τ
1は、本実施形態による測定システム100において指定が十分可能な値である。
【0087】
なお、伝送器5及び差圧伝送器6に代えて複数の振動センサ10cとした場合であっても同様に、管路1内の流体の速度または振動の配管伝搬速度の情報などが事前にあれば、その情報を「v」とすることで、上述の数式1及び数式2が適用可能であり、例えば、管路1の腐食や損傷などの異常及びその発生個所の推定が可能である。
【0088】
(特定の事象の推定方法の第2例)
次に、騒音センサ10a、10bの測定データに基づいて、騒音源(異常箇所)の方位を推定する例を説明する。
騒音センサ10a、10bがマイクロフォンなどを有する騒音センサであって、騒音センサ10aの設置位置と騒音センサ10bの設置位置との間の距離をd、音源方位をθ、音速をcとする。騒音センサ10a、10bに対する音の到来時間差をδTとすると、音源方位θは、以下の数式3により表すことができる。
【0090】
例えば、騒音センサ10aで測定される音の時間信号をp10a(t)とし、騒音センサ10bで測定される音の時間信号をp10b(t)とすると、p10a(t)とp10b(t)との相関を表す相関係数Csを算出する相互相関関数は、以下の数式4により与えられる。
【0092】
ここで、到来時間差δTは、相関係数Csが最大となる時間によって与えられる。そこで、測定管理装置20から騒音センサ10a、10bに対して複数の測定開始時刻及び遅延時間τ
1を指定し、指定した複数の測定開始時刻及び遅延時間τ
1ごとに測定された測定データに基づいて推定部26が数式4の計算を行うことにより、相関係数Csが最大となる遅延時間τ
1を漸次的に求めることができる。これにより、推定部26は、相関係数Csが最大となる遅延時間τ
1を到来時間差をδTとして、上述の数式3により音源方位θを推定することができる。
【0093】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態による測定システム100は、測定対象内の複数の箇所のそれぞれを測定する複数のフィールド機器40(測定機器の一例)と、複数のフィールド機器40のそれぞれが測定した測定データを通信ネットワーク7を介して取得する測定管理装置20と、を備えている。ここで、複数のフィールド機器40のそれぞれは、時刻が同期しており、該同期した時刻に基づいて測定した測定データを送信する。また、測定管理装置20は、複数のフィールド機器40のそれぞれから測定データを取得する測定データ取得部253、を備えている。
【0094】
例えば、測定管理装置20は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して共通の時刻情報を送信する同期時刻送信部251、をさらに備えている。そして、複数のフィールド機器40のそれぞれは、同期時刻送信部251から送信された時刻情報に同期した時刻を計時するタイマ47(計時部)を備えている。
【0095】
これにより、本実施形態による測定システム100(測定管理装置20)は、例えば、フィールドバス通信やISA100.11aなど工業用無線通信の通信ネットワーク7に接続されている複数のフィールド機器40に対して通信同期を行うために送信される時刻情報を用いて、プラント内の複数個所にある複数のフィールド機器40のそれぞれの測定時刻を同期させることができる。よって、測定システム100(測定管理装置20)は、複数のフィールド機器40のそれぞれから測定時刻が同期した測定データを取得することができるため、これらの測定データの相関を取ることが可能となる。よって、測定システム100(測定管理装置20)は、複数のフィールド機器40のそれぞれから、有効に活用することが可能な測定データを取得することができる。
また、測定管理装置20は、測定データ取得部253が取得した複数の測定データに基づいて、測定対象における特定の事象(異常またはその異常の発生箇所)を推定する推定部26を備えてもよい。
これにより、測定システム100(測定管理装置20)は、複数のフィールド機器40のそれぞれから取得した測定データの相関を取ることにより、プラント内における異常やその異常が発生した箇所を推定することができる。したがって、本実施形態による測定システム100(測定管理装置20)は、測定対象(例えば、プラント内)における異常やその異常が発生した箇所を容易に推定することができる。
【0096】
また、測定管理装置20は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して、それぞれのフィールド機器40が測定を行う測定時刻(例えば、測定開始時刻)に関する情報を送信する測定時刻指示部252をさらに備えている。そして、測定データ取得部253は、測定時刻指示部252が送信した測定時刻に関する情報により示される測定時刻に基づいて複数のフィールド機器40のそれぞれが測定した測定データを、複数のフィールド機器40のそれぞれから取得する。
【0097】
これにより、測定システム100(測定管理装置20)は、複数のフィールド機器40のそれぞれの測定時刻を指定することができる。よって、測定管理装置20は、複数のフィールド機器40のそれぞれから、同期した任意の測定時刻に測定された測定データを取得することができる。
【0098】
例えば、測定時刻指示部252は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して、それぞれのフィールド機器40で同一の測定時刻に測定が行われるように指示する情報を、測定時刻に関する情報として送信してもよい。また、測定時刻指示部252は、複数のフィールド機器40のそれぞれに対して、それぞれのフィールド機器40の間で所定の時間差を設けた測定時刻に測定が行われるように指示する情報を、測定時刻に関する情報として送信してもよい。
【0099】
これにより、測定システム100(測定管理装置20)は、複数のフィールド機器40のそれぞれで同一時刻の測定を可能とすること、または、複数のフィールド機器40のそれぞれで測定時刻に一定時間の遅延を持たせることが可能となる。
【0100】
例えば、従来は、それぞれのフィールド機器40でばらばらの測定時刻に測定された測定データを取得していたため、それぞれの測定データに測定時間の相関がなく、異常を精度よく検出できないことがあるとともに、その異常が発生した箇所を特定することが困難であった。これに対し、本実施形態の測定システム100では、複数のフィールド機器40のそれぞれは、通信ネットワーク7において定期的に時刻同期が行われるとともに、指定された測定時刻に従って同時、または指定した時間だけ遅延した時刻に測定を行うため、測定された測定データの相関を取ることが可能となる。
【0101】
つまり、推定部26は、測定データ取得部253が取得した複数の測定データの相関に基づいて、測定対象における特定の事象(異常またはその異常が発生した箇所)を推定してもよい。
【0102】
このように、測定システム100(測定管理装置20)では、プラント内の複数の箇所の測定データの関連性や相関、時刻同期をとることが容易となるため、騒音や設備不良などの異常やその発生箇所の推定を、高速化、高精度化、且つ簡易化することができる。
【0103】
具体的には、測定管理装置20の推定部26は、測定データ取得部253が取得した複数の測定データのうち、少なくとも同一の測定時刻に測定された複数の測定データに基づいて、測定対象における特定の事象(異常またはその異常が発生した箇所)を推定してもよい。また、推定部26は、測定データ取得部253が取得した複数の測定データのうち、少なくとも所定の時間差がある測定時刻に測定された複数の測定データに基づいて、測定対象における特定の事象(異常またはその異常が発生した箇所)を推定してもよい。
【0104】
例えば、推定部26は、測定データ取得部253が取得した複数の測定データのうち、少なくとも第1の時刻(例えば、上述の「異常箇所の推定方法の第1例」で説明した時刻「T1」)に測定された測定データと、第1の時刻より所定時間遅延した第2の時刻(例えば、上述の「異常箇所の推定方法の第1例」で説明した時刻「T1+τ
1」)に測定された測定データとに基づいて、測定対象における特定の事象(異常またはその異常が発生した箇所)を推定してもよい。
【0105】
これにより、測定システム100(測定管理装置20)は、複数のフィールド機器40のそれぞれで同一時刻に測定された測定データ、または、複数のフィールド機器40のそれぞれで一定時間の時間差(遅延時間)のある測定時刻に測定された測定データの相関を取ることにより、例えば、管路1の腐食や損傷などの異常やその発生箇所または騒音源の方位などを容易に推定することができる。
【0106】
なお、上記実施形態では、測定管理装置20が複数のフィールド機器40のそれぞれに対して測定時刻を指定する例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、複数のフィールド機器40のそれぞれにおいて、互いに同一の測定時刻または所定の時間差のある測定時刻が予め設定されていて、その設定された測定時刻に測定が行われてもよい。そして、測定管理装置20は、複数のフィールド機器40のそれぞれから、測定時刻を示す情報が関連付けられた測定データを取得することにより、取得した複数の測定データ(同一の測定時刻に測定された測定データ、または所定の時間差のある測定時刻に測定された測定データ)に基づいて、異常またはその発生個所の推定を行ってもよい。
【0107】
また、フィールド機器40(測定機器の一例)は、測定対象を測定する測定部42と、外部装置(例えば、測定管理装置20)から取得した時刻情報に同期した時刻を計時するタイマ47(計時部の一例)と、タイマ47が計時する時刻が所定の測定時刻となったときに測定部42が測定するように制御する測定制御部43と、測定部42が測定した測定データを通信ネットワーク7を介して通信可能に接続される外部装置(例えば、測定管理装置20)に対して送信する測定データ送信部432とを備えている。ここで、所定の測定時刻とは、測定管理装置20から送信されたフィールド機器40が測定を行う時刻として指定された測定時刻であってもよいし、複数のフィールド機器40のそれぞれに予め設定された同一の測定時刻または所定の時間差がある測定時刻であってもよい。
【0108】
このように、フィールド機器40は、他のフィールド機器40と同期した測定時刻に測定を行った測定データを測定管理装置20に対して送信することができる。よって、測定システム100は、複数のフィールド機器40のそれぞれから測定時刻が同期した測定データに基づいて、測定対象における異常やその発生箇所を容易に推定することができる。
【0109】
例えば、フィールド機器40が、通信ネットワーク7を介して測定管理装置20に接続される測定機器であって、タイマ47は、測定管理装置20から取得した時刻情報に同期した時刻を計時してもよい。測定制御部43は、測定部42が測定する測定時刻に関する情報を測定管理装置20から取得するとともに、タイマ47が計時する時刻と、取得した測定時刻に関する情報により示される測定時刻とに基づいて、当該測定時刻に測定部42が測定するように制御してもよい。そして、測定データ送信部432は、測定部42が測定した測定データを通信ネットワーク7を介して通信可能に接続される測定管理装置20に対して送信してもよい。
【0110】
これにより、フィールド機器40は、例えば、フィールドバス通信やISA100.11aなど工業用無線通信の通信ネットワーク7に接続されている測定管理装置20から通信同期を行うために送信される時刻情報に時刻同期することができるとともに、測定管理装置20から指定された測定時刻に測定を行い、測定した測定データを測定管理装置20に対して送信することができる。よって、測定システム100は、複数のフィールド機器40のそれぞれから測定時刻が同期した測定データに基づいて、測定対象における異常やその発生箇所を容易に推定することができる。
【0111】
なお、上記実施形態で説明した、フィールド機器40のそれぞれから測定時刻が同期した測定データを取得する測定処理は、測定システム100において常時行われてもよいし、異常が発生した場合の異常時のみ行われるようにしてもよい。例えば、測定システム100は、異常が発生していない通常時には、フィールド機器40のそれぞれにおいて非同期に測定された測定データに基づいて簡易的に異常が発生しているか否かを判定して(やや精度の低い簡易判定)、異常が発生している異常時には、フィールド機器40のそれぞれから測定時刻が同期した測定データを取得して、精度よく異常またはその発生箇所を推定してもよい(精度の高い判定(推定))。
【0112】
また、上記実施形態では、測定管理装置20が複数のフィールド機器40のそれぞれに対して時刻同期用の時刻情報を送信して、その時刻情報に基づいてフィールド機器40のそれぞれが時刻同期する例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、測定管理装置20および複数のフィールド機器40のそれぞれが、インターネットを介して時刻情報が供給されるNTPサーバ、またはGPS衛星から受信する電波に基づいて時刻情報を取得するGPS受信ユニットなどを含んで構成され、それぞれが供給された時刻情報または受信した時刻情報に基づいて同じ時刻を計時する構成としてもよい。また、時刻同期に用いる時刻情報は、NTPサーバに供給される時刻情報やGPS衛星から受信する時刻情報に限らず、他の時刻情報であってもよい。例えば、標準電波を放送する無線局から受信する時刻情報、テレビやラジオの放送電波に重畳された時刻情報、携帯電話の基地局からの制御信号に重畳された時刻情報、などを時刻同期に用いてもよい。
【0113】
なお、上述した実施形態における測定管理装置20が備える各部の一部または全部の機能、または、フィールド機器40が備え各部の一部または全部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、上述の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって上述の機能を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、測定管理装置20またはフィールド機器40に内蔵されたコンピュータシステムであってOSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0114】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0115】
また、上述した実施形態における測定管理装置20またはフィールド機器40の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。測定管理装置20またはフィールド機器40の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0116】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各機能は、任意に組み合わせることができる。