(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のフリップフロップから構成される前記第1カウンタ回路と、複数のフリップフロップから構成され前記パルス幅変調信号をカウントする第2カウンタ回路を備え、前記第1カウンタ回路と前記第2カウンタ回路を構成する最終段の前記フリップフロップはラッチ機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチングレギュレータ。
前記第1カウンタ回路および前記第2カウンタ回路を構成する前記複数のフリップフロップはDフリップフロップであることを特徴とする請求項3に記載のスイッチングレギュレータ。
前記第1カウンタ回路は、前記クロック信号が入力され前記パルス幅変調信号でリセットされる第1フリップフロップと、前記第1フリップフロップの出力が入力され前記第1フリップフロップと同じタイミングでリセットされる第2フリップフロップと、前記第2フリップフロップの出力が入力され前記第1フリップフロップおよび前記第2フリップフロップと同じタイミングでリセットされ前記最終段のフリップフロップにあたる第3フリップフロップとを備え、前記第2カウンタ回路は、前記パルス幅変調信号が入力され前記第3フリップフロップの出力でリセットされる第4フリップフロップと、前記第4フリップフロップの出力が入力され前記第4フリップフロップと同じタイミングでリセットされる第5フリップフロップと、前記第5フリップフロップの出力が入力され前記第4フリップフロップおよび前記第5フリップフロップと同じタイミングでリセットされ前記最終段のフリップフロップにあたる第6フリップフロップを備え、前記放電指示部は、前記第3フリップフロップの出力と前記第6フリップフロップの出力を論理回路で論理演算し、前記論理演算した出力信号によって前記放電回路をオンまたはオフさせることを特徴とする請求項4に記載のスイッチングレギュレータ。
前記入力電圧が供給される第1スイッチングトランジスタと接地電位との間に接続される第2スイッチングトランジスタの動作に同期し前記第2スイッチングトランジスタに流れる電流を検出する逆電流検出トランジスタが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のスイッチングレギュレータ。
前記逆電流検出トランジスタは逆電流の流れを検出し、前記検出した出力を逆電流検出回路に伝達し、前記逆電流検出回路は前記第2スイッチングトランジスタをオフとすることを特徴とする請求項6に記載のスイッチングレギュレータ。
前記第1スイッチングトランジスタと同期し前記第1スイッチングトランジスタの出力に生じる信号を帰還するスイッチング出力帰還トランジスタが前記PWMコンパレータへ結合されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のスイッチングレギュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明にかかるスイッチングレギュレータを示す回路図である。スイッチングレギュレータ100は、電流モード形式の降圧型スイッチングレギュレータを構成する。降圧型スイッチングレギュレータでは、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力端子VOUTに出力する。スイッチングレギュレータ100は、トランジスタとしては第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2、逆電流検出トランジスタQ3、スイッチング電圧帰還用トランジスタQ4、および放電用トランジスタQ5を有する。
【0020】
第1スイッチングトランジスタQ1はたとえばpチャンネル型MOSトランジスタで、第2スイッチングトランジスタQ2はたとえばnチャンネル型MOSトランジスタでそれぞれ構成される。第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2とは相補的なスイッチング動作を行う。すなわち、第1スイッチングトランジスタQ1がオンであるとき第2スイッチングトランジスタQ2はオフである。一方、第2スイッチングトランジスタQ2がオンであるとき第1スイッチングトランジスタQ1はオフとなる。なお、第2スイッチングトランジスタQ2は一般的に同期整流用トランジスタと称される。また、この種のスイッチングレギュレータでは、これら両者トランジスタが同時にオンしない、すなわち、両トランジスタが同時にオフとなるいわゆるデッドタイムを設定するのが一般的である。
【0021】
第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2は、入力端子VINと接地電位GNDとの間に互いに直列に接続され、入力端子VINには入力電圧Vinが供給される。第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2との共通接続点はスイッチング出力信号Vswが出力されるスイッチング出力端子VSWとして用意されている。スイッチング出力端子VSWと接地電位GNDにはインダクタLとキャパシタC1とが直列に接続され、それらの共通接続点は出力電圧Voutが出力される出力端子VOUTとして用意されている。負荷RLは出力端子VOUTに結合され、出力電圧Voutが負荷RLに供給される。負荷RLは各種の電子回路の総称として示している。負荷RLには負荷電流IRLが流れる。負荷電流IRLの大きさは負荷RLの動作状態すなわち負荷RLの軽重に応動する。軽負荷時には負荷電流IRLは小さくなり、重負荷時には負荷電流IRLは大きくなる。
【0022】
分圧抵抗R4,R5は互いに直列に接続され出力端子VOUTと接地電位GNDとの間に接続される。分圧抵抗R4,R5は出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutを分圧し、分圧した電圧を帰還電圧Vfbとして誤差増幅器ERRAMPのたとえば非反転入力端子に印加する。誤差増幅器ERRAMPの反転入力端子には基準電圧Vrefが印加されており、帰還電圧Vfbは基準電圧Vrefと比較され、その比較結果が誤差電圧Veとして誤差増幅器ERRAMPから出力される。
【0023】
誤差増幅器ERRAMPの出力は、抵抗R1,R3およびキャパシタC2が直列に接続された抵抗R1、R3との共通接続点に結合されている。抵抗R1は、誤差増幅器ERRAMPから出力される出力電流を電源端子VCCの電源電圧Vccを基準とする電圧に変換するために用意され、変換された誤差電圧VeはPWMコンパレータCpwmの非反転入力端子に印加される。なお、抵抗R1,R3およびキャパシタC2は、誤差増幅器ERRAMPのゲインを決定するとともに位相補償の作用を成し、併せて誤差電圧VeをPWMコンパレータCpwmの非反転入力端子に印加する誤差電圧印加手段の働きも成している。
【0024】
位相補償はスイッチングレギュレータ100の、いわゆる位相遅れ180度に対する差分すなわち位相余裕を高めるために行われる。スイッチングレギュレータ100のループゲインが0db(ゲイン1倍)のときの位相がたとえば120度であるとすると、位相余裕は、180度−120度=60度として表すことができる。この位相余裕はたとえば45度以上あれば十分であるとも言われている。また、位相遅れ180度のときのゲイン0dbに対するループゲイン差を「ゲイン余裕」と称する。たとえば、位相遅れ180度のときのループゲインが−20dbであるときにはゲイン余裕は20dbとなる。
【0025】
誤差電圧Veの大きさは負荷RLの軽重に応動する。一般的に軽負荷時とは、負荷RLに供給される負荷電流IRLが定格供給電流に対して少なく、特に負荷電流IRLがほぼ零である無負荷時も含め供給電流開始付近の領域を指す。一方、重負荷時とは定格供給電流付近の負荷電流の領域を指す。本発明では、こうした定義から逸脱するものではないが、さらに負荷の軽重の定義を明確にするために、第2スイッチングトランジスタQ2に流れる電流が本来の電流経路とは逆に流れる、いわゆる逆電流が検出されたときの動作状態を軽負荷時として定義する。第2スイッチングトランジスタQ2の順方向電流を符号i2fで、逆方向に流れる逆方向電流を符号i2rでそれぞれ示している。
【0026】
誤差電圧Veは、負荷RLが比較的重負荷のときには出力端子VOUTの出力電圧Voutは低くなり帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低くなるので増加する。一方、誤差電圧Veの大きさは比較的軽負荷のときには出力端子VOUTの出力電圧Voutは高くなり帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高くなるので増大する。
【0027】
スロープ電圧Vslはスロープ電圧生成回路SLOPEで生成される。スロープ電圧生成回路SLOPEは、クロック信号生成回路CLKで生成されるクロック信号Clkに同期し、図示しない定電流回路、抵抗等で図示しないキャパシタを充放電させることによって三角形状または鋸歯形状の傾斜状の電圧を生成する。
【0028】
スロープ電圧Vslには、第1スイッチングトランジスタQ1がオンしたときに生じるスイッチング出力信号Vswの変化量がスイッチング電圧帰還用トランジスタQ4および抵抗R2を介して重畳される。スイッチング出力信号Vswの大きさは第1スイッチングトランジスタQ1がオンしたときのオン抵抗値に応動する。すなわち、第1スイッチングトランジスタQ1のオン抵抗が高いときにはスイッチング出力信号Vswの振幅は小さくなる。さらに第1スイッチングトランジスタQ1に流れる電流が大きくなるにつれスイッチング出力信号Vswの振幅は小さくなる。したがって、スイッチング出力信号Vswの変化量をスロープ電圧Vslに帰還、加算させることによって、第1スイッチングトランジスタQ1に流れる電流を検出し、その大きさをPWMコンパレータCpwmに帰還している。してみれば、
図1に示したスイッチングレギュレータ100は電流モード形式であると言える。
【0029】
スロープ比較電圧Vsleは、スロープ電圧Vslにモニタリング電圧Vsweが抵抗R4を介して重畳された信号である。モニタリング電圧Vsweは、スイッチング出力信号Vswをスイッチング出力帰還トランジスタQ4のドレインDに取り出した電圧である。モニタリング電圧Vsweは抵抗R2を介してPWMコンパレータCpwmの反転入力端子に印加される。
【0030】
PWMコンパレータCpwmの反転入力端子には、スロープ電圧Vslにスイッチング出力信号Vswのモニタリング電圧Vsweが重畳されたスロープ比較電圧Vsleが印加される。PWMコンパレータCpwmの非反転入力端子には誤差電圧Veが印加される。PWMコンパレータCpwmでは、誤差電圧Veがスロープ電圧Vselよりも高いときにはPWM出力信号Spwnのパルス幅は広がるように、逆の場合すなわち誤差電圧Veがスロープ電圧Vselよりも低いときにはPWM出力信号Spwmのパルス幅が狭くなるようにそれぞれ調整される。PWM出力信号SpwmはドライバDRVに印加される。
【0031】
PWMコンパレータCpwmの非反転入力端子および反転入力端子の電圧の大きさは、抵抗R1,R3の抵抗値および電源端子VCCの電源電圧Vccの大きさに基づき決定される。
【0032】
PWMコンパレータCpwmでは、誤差電圧Veがスロープ電圧Vselよりも高いときにはPWM出力信号Spwnのパルス幅は広がるように、逆の場合、すなわち誤差電圧Veがスロープ電圧Vselよりも低いときにはPWM出力信号Spwmのパルス幅が狭くなるようにそれぞれ調整される。すなわち、比較的重負荷時のときはPWM出力信号Spwmのパルス幅は広くなり、比較的軽負荷時ではそのパルス幅は狭くなる。
【0033】
ドライバDRVは、第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2をそれぞれ駆動する第1駆動パルスsq1および第2駆動パルスsq2を生成する。すなわち、ドライバDRVは、クロック信号生成回路CLKで生成されたクロック信号Clkと、PWMコンパレータCpwmから出力されたPWM出力信号Spwmに基づきデューティ比が調整された第1駆動パルスsq1、第2駆動パルスsq2を生成する。
【0034】
第1駆動パルスsq1および第2駆動パルスsq2はそれぞれ第1スイッチングトランジスタQ1および第2スイッチングトランジスタQ2を相補的にオンオフさせる極性に設定される。たとえば、第1スイッチングトランジスタQ1がPMOSトランジスタであり、第2スイッチングトランジスタQ2がNMOSトランジスタであるときには、第1駆動パルスsq1および第2駆動パルスsq2は同じ極性に設定される。
【0035】
なお、ドライバDRVには第1駆動パルスsq1および第2駆動パルスsq2を生成するために図示しないフリップフロップや、デッドタイム生成回路などを内蔵するのが一般的である。デッドタイム生成回路はこの種のスイッチングレギュレータにはよく採用される。すなわち、第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2が同時にオンしない区間、すなわち両トランジスタが同時にオフする期間を設けることが少なくない。
【0036】
周波数検出回路FDは本発明の特徴の1つとして用意されている。周波数検出回路FDの詳細は後述するが、ここで回路構成を端的に述べるならば、周波数検出回路FDはカウンタおよび論理回路の組合せで構成される。周波数検出回路FDにはクロック信号ClkおよびPWM出力信号Spwmが入力される。PWM出力信号Spwmの1周期でのクロック信号の数が周波数検出回路FDでカウントされ、そのカウント結果が周波数に換算される。PWM出力信号Spwmの周波数は回路構成上、スイッチング出力端子VSWに出力されるスイッチング出力信号Vswの周波数に等しい。したがって、PWM出力信号Spwmの1周期におけるクロック信号Clkの数をカウントするならばスイッチングレギュレータ100の動作時の周波数を把握することができる。たとえばクロック信号Clkの周波数がたとえば500kHzに設定されたとき、PWM出力信号Spwmの1周期の間にたとえば5つのクロック信号がカウントされたときには、スイッチングレギュレータ100のその時点での作動周波数は100kHzということになる。
【0037】
周波数検出回路FDの出力には周波数検出信号Sdisが出力される。周波数検出信号Sdisは、PWM出力信号Spwmの周波数fspwmが可聴帯域の周波数以上の場合、たとえば、PWM出力信号Spwmの周波数fspwmが50kHz以上の場合にはたとえば、ローレベルになるように設定され、それよりも低い場合にはハイレベルになるようにそれぞれ設定される。
【0038】
放電回路DCは、周波数検出回路FDから出力される周波数検出信号Sdisのローレベルまたはハイレベルに応動する。放電回路DCは、放電用トランジスタQ5および放電用抵抗R6で構成されている。
【0039】
重負荷時には放電回路DCが動作しないようにするために、周波数検出信号Sdisはたとえばローレベルとなるように設定される。なお重負荷時において周波数検出信号Sdisをローレベルに設定するかハイレベルに設定するかは、設計事項の1つであり、その後段の回路構成に応じて決定される。本発明の一実施の形態では放電回路DCを、放電用トランジスタQ5と放電用抵抗R6の比較的シンプルな回路構成とし、かつ、周波数検出信号Sdisを直接nチャンネルMOSトランジスタで構成した放電用トランジスタQ5のゲートに印加するようにしたので、重負荷時には、放電用トランジスタQ5がオンしないように周波数検出信号Sdisはローレベルに設定される。当然のことではあるが放電用トランジスタQ5がオフであるときには放電用抵抗R6を介して接地電位GNDに向かって放電電流idは側路されない。なお放電電流idは負荷RLに流れる負荷電流IRLの一部であるとみることができる。
【0040】
軽負荷時には周波数検出信号Sdisの極性は重負荷時とは反転し、たとえばハイレベルとなるように設定され、放電回路DCが作動するように設定される。放電用トランジスタQ5をたとえば、nチャンネルMOSトランジスタで構成することによって、周波数検出信号Sdisがハイレベルのときに放電回路DCを作動状態に置くことができる。放電回路DCが作動状態に置かれると、放電用トランジスタQ5がオンとなるので、放電電流idはインダクタLおよびキャパシタC1側から放電用抵抗R6を介して接地電位GND側に向かって流れる。言い換えると、負荷電流IRLの一部とみなされる放電電流idは無負荷時には接地電位GND側に側路される。これによって、キャパシタC1からの放電周期は短くなり、スイッチング出力信号Vswのスイッチング周波数は、放電回路DCが作動する前のそれよりも高くなり可聴帯域の周波数から逸脱させることができる。なお、スイッチング出力信号Vswは、帰還電圧Vfbはスイッチング出力帰還トランジスタQ4、抵抗R2を介して、PWMコンパレータCpwmの反転入力端子に印加されているので、PWM出力信号Spwmの周波数を検知することで、スイッチング出力信号Vswの周波数を検知することができる。なおスイッチングレギュレータ100が作動しているときの周波数はPWM出力信号Spwmで検知せずに直接スイッチング出力信号Vswの周波数を検知するようにしてもよい。
【0041】
逆電流検出回路ZCは、逆電流検出トランジスタQ3および第2スイッチングトランジスタQ2に流れる逆電流を検出するために用意されている。逆電流検出トランジスタQ3および第2スイッチングトランジスタQ2を共にたとえばnチャンネル型MOSトランジスタで構成し、これら両者トランジスタのドレインDおよびゲートGを共通接続するならば両者トランジスタは同期してオンオフする。逆電流検出トランジスタQ3は、第2スイッチングトランジスタQ2の正規の電流i2fの方向とは逆の逆電流i2rが流れた状態を検出する。第2スイッチングトランジスタQ2に逆電流i2rが流れたとき逆電流検出トランジスタQ3には電流i3rが流れる。
【0042】
軽負荷時すなわち、第2スイッチングトランジスタQ2に逆電流i2rが流れたとき、逆電流検出トランジスタQ3のドレインDの電位は接地電位GNDよりも高くなり、逆電流検出トランジスタQ3はオフからオンに遷移する。
【0043】
逆電流検出回路ZCは、逆電流検出トランジスタQ3のオンオフに応動する。逆電流検出トランジスタQ3が逆電流i2rの流れを検出すると、その検出した出力を逆電流検出回路ZCに伝達する。伝達された信号によって逆電流検出回路ZCの非反転入力端子の電位は接地電位GNDよりも高くなるので、逆電流検出回路ZCの出力信号である逆流検出信号Zcはローレベルからハイレベルに遷移する。すなわち、逆電流検出回路ZCの逆電流検出信号Zcは、重負荷時はローレベルであり、軽負荷時すなわち、逆電流検出トランジスタQ3がオンしたときにはハイレベルとなる。なお逆電流検出信号Zcの極性をハイレベルにするかローレベルにするかの選択は設計事項の1つである。
【0044】
逆電流検出信号Zcは、第2スイッチングトランジスタQ2のオンオフを制御する。逆電流検出信号Zcがハイレベルすなわち軽負荷時になると、図示はしないが第2スイッチングトランジスタQ2は第1スイッチングトランジスタQ1がオンするまでの期間オフ状態にラッチする回路部がドライバDRVに内蔵されている。第2スイッチングトランジスタQ2がオフ状態にラッチされると、逆電流i2rの電流経路は遮断される。
【0045】
図2は
図1に示した本発明にかかるスイッチングレギュレータ100の主なノードの信号波形のタイミングチャートを示す。
図2(a)〜
図2(f)は重負荷時の信号波形を、
図2(g),(h)は、重負荷時および軽負荷時の両者の信号波形をそれぞれ示す。以下、
図1を参照しながら
図2について簡単に説明する。
【0046】
図2(a)は、クロック信号生成回路CLKで生成されるクロック信号Clkを示す。ドライバDRVの回路動作はクロック信号Clkに同期され、かつスイッチングレギュレータ100全体もクロック信号Clkに同期して作動する。クロック信号Clkの周波数はたとえば200kHz〜6MHzに選ばれる。
【0047】
図2(b)は、第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2を示し、これらの駆動パルスSq1,Sq2は、それぞれ第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2のゲートGに入力され、これらのトランジスタを相補的にオンオフさせる。駆動パルスSq1,Sq2はクロック信号Clkに同期しドライバDRVから出力される。第1スイッチングトランジスタQ1がたとえばp型MOSトランジスタで、第2スイッチングトランジスタQ2がたとえばn型MOSトランジスタであるとき、駆動パルスSq1,Sq2は同じ極性に設定される。
【0048】
図2(c)は、スイッチング出力端子VSWすなわち第1スイッチングトランジスタQ1のドレインDと第2スイッチングトランジスタQ2のドレインDに出力されるスイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswは、駆動パルスSq1,Sq2の極性とは反転されたものになる。重負荷時ではスイッチング出力信号Vswはクロック信号Clkと同じ周期となる。
【0049】
図2(d)は、インダクタLに流れるインダクタ電流ILを示す。インダクタ電流ILは、重負荷時にはスイッチング出力信号Vswに同期したほぼ三角波形状を示す。
【0050】
図2(e)は、誤差増幅器ERRAMPの出力である誤差電圧Ve、PWMコンパレータCpwmの反転入力端子に印加されるスロープ比較電圧Vsle、およびスイッチング出力帰還トランジスタQ4のドレインDに出力されるモニタリング電圧Vsweを模式的にそれぞれ示す。
【0051】
図2(f)は、PWMコンパレータCpwmから出力されるPWM出力信号Spwmを示す。PWM出力信号Spwmは、PWMコンパレータCpwmで、誤差電圧Veとスロープ比較電圧Vsleとの比較結果信号である。PWM出力信号Spwmのパルス幅Wpwmは負荷の軽重によって調整される。
【0052】
図2(g)は、逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zcを示す。逆電流検出信号Zcは、軽負荷時すなわち第2スイッチングトランジスタQ2に逆電流i2rが流れた場合にはハイレベルHiとなり、そうでない場合すなわち重負荷時の場合にはローレベルLoとなるように設定されている。なお本発明の一実施の形態では過電流検出信号ZcがハイレベルHiである場合には、第2スイッチングトランジスタQ2がオフ状態にラッチされるよう第2駆動パルスSq2が制御される回路部をドライバDRVに内蔵している。
【0053】
図2(h)は、周波数検出回路FDから出力される周波数検出信号Sdisを示す。周波数検出信号Sdisの電位レベルは、負荷RLの軽重に応じてハイレベルHiまたはローレベルLoに設定される。本発明の一実施の形態では、重負荷時の場合のそれはローレベルLoであり、軽負荷時の場合のそれはハイレベルHiとなるよう設定される。なお、周波数検出信号Sdisの極性は放電回路DCを構成する回路構成に基づき設定される。本発明では、周波数検出信号Sdisが印加される放電用トランジスタQ5をnチャンネルトランジスタで構成し、かつ、周波数検出信号Sdisがハイレベルのときに放電用抵抗R6に放電電流idが流れるような回路構成を採用したので、周波数検出信号Sdisの極性は軽負荷時にハイレベルになるように設定している。なお、周波数検出回路FDにおいても逆電流検出回路ZCと同様に負荷RLの軽重の判定を行うことになるが、本発明の一実施の形態では周波数検出回路FDは逆電流検出回路ZCからの逆電流検出信号Zcに基づき、軽負荷時と重負荷時の検知精度を高めるために用意されている。換言すれば、たとえば重負荷時が所定の時間継続したときに初めて重負荷時と判定するようにしている。なお、周波数検出回路FDの具体的な回路構成については後述する。
【0054】
図3は軽負荷時における
図1の主なノードの信号波形のタイミングチャートを示す。
図3(a)はスイッチング出力端子VSWに出力されるスイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswは、時刻t1〜t2までが最も高いレベルとなり、時刻t2から時刻t3までが接地電位GNDである0Vボルトよりも低いマイナスの電位に置かれる。時刻t3〜t4までは中間レベルMiとなり、時刻t4〜時刻t5までが再度最も高いレベルに置かれる。時刻t3〜t4の期間は第1スイッチングトランジスタQ1および第2スイッチングトランジスタQ2はオフに置かれる。
【0055】
図3(b)は、逆電流検出回路ZCの逆電流検出信号Zcを示す。逆電流検出信号Zcは、時刻t1〜t3まではローレベルLoであり、時刻t3〜t4までがハイレベルHiで、時刻t4〜t6までがローレベルLoであることを示す。逆電流検出信号ZcがローレベルLoであるということは、逆電流検出回路ZCが作動していない状態すなわち第2スイッチングトランジスタQ2には通常の電流である電流i2fが流れ、逆電流i2rが流れていないときである。逆電流検出信号ZcがハイレベルHiであるとき、すなわち時刻t3〜t4までが逆電流検出回路ZCが作動している期間である。
【0056】
図3(c)、(d)はそれぞれ第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2を示す。第1駆動パルスSq1は、時刻t1〜時刻t2および時刻t4〜t5の期間がローレベルLoであり、時刻t2〜t4までがハイレベルHiに置かれる。第2駆動パルスSq2は、時刻t2〜t3および時刻t5〜t6の期間がハイレベルHiであり、時刻t1〜t2および時刻t3〜t5までがローレベルLoに置かれる。
【0057】
図3全体を一見すると、スイッチング出力信号Vswは、第1駆動パルスSq1がローレベルLoのときにハイレベルHiとなり、第2駆動パルスSq2がハイレベルHiのときには0Vよりも低いマイナスレベルになっていることが分かる。そして、第1駆動パルスSq1がハイレベルHiであり、かつ、第2駆動パルスSq2がローレベルLoのときの時刻t3〜t4の期間は中間レベルMiになることが分かる。さらに、時刻t3〜t4までの期間すなわち逆電流検出信号ZcがハイレベルHiの期間にスイッチング出力信号Vswは中間レベルMiに置かれていることが分かる。時刻t3〜t4までの期間は、第1スイッチングトランジスタQ1および第2スイッチングトランジスタQ2が共にオフ状態に置かれる状態である。したがって、時刻t3〜t4までの期間ではスイッチング出力端子VSWはハイインピーダンス状態に置かれる。
【0058】
図3からさらに言えることはつぎのとおりである。すなわち、時刻t3〜t6における逆電流検出信号Zcの遷移状態から分かるように、逆電流検出信号Zcは時刻t3〜t4まではハイレベルHiすなわち軽負荷状態を検出した状態ではあるが、スイッチング出力信号VswがハイレベルHiの期間である時刻t4〜t5では逆電流検出回路ZCはオン状態からオフ状態となり、いわゆる軽負荷検知状態が一端リセットされるということである。そのリセット期間は第2スイッチングトランジスタQ2を制御する第2駆動パルスSq2がハイレベルHiを持続するまで継続される。
【0059】
図4は本発明にかかる周波数検出回路FDの一実施の形態を示す。周波数検出回路FDは、いわゆるカウンタ回路と称されるものである。本発明に用いるカウンタはよく知られたDフリップフロップを複数段で構成したものである。周波数検出回路FDは、大きく分けると3つの回路部で構成される。1つの回路部は第1カウンタ回路FD1であり、フリップフロップFF1〜FF3で構成される。2つの回路部は第2カウンタ回路FD2であり、フリップフロップFF4〜FF6およびインバータINV1で構成される。3つの回路部はインバータINV2と否定論理積回路NANDで構成される論理回路部FD3である。なお、本発明において否定論理積回路NANDは必須の構成要件ではない。たとえば、否定論理積演算を行うために否定論理積回路NANDを用いずに否定論理和回路NORだけ用いて構成できることは自明のことである。また当業者であれば、本書での否定論理積回路NANDと同等な回路機能を得るために否定論理積回路NANDの他に論理積回路AND、論理和回路OR、否定論理和回路NOR、否定回路NOT(インバータ)などの論理回路を種々組合せて論理演算を行うことは容易なことである。またインバータINV1,INV2は信号極性を反転させるために用意したものであって、必須の構成要件ではなく、また否定論理積回路NANDは論理積回路(AND)で構成してもよい。
【0060】
放電回路DCを作動させるか或いはさせないかの設定は、周波数検出回路FDの回路構成で決定される。すなわち、クロック信号ClkをカウントするフリップフロップFF1〜FF3の段数および、PWM出力信号SpwmをカウントするフリップフロップFF4〜FF6の段数に委ねられる。これらの段数を増やせば増やすほど放電回路DCを作動させる周波数は低くすることができる。フリップフロップFF1〜FF3およびフリップフロップFF4〜FF6の段数の設定はクロック信号Clkの周波数によっても変わってくる。たとえば、クロック信号Clkの周波数が高くなればなるほど可聴帯域との差は広がるのでフリップフロップの段数は増えることになる。
【0061】
第1カウンタ回路FD1を構成するフリップフロップFF1の入力端子CKにはクロック信号Clkが印加される。第1カウンタ回路FD1は所定期間におけるクロック信号Clkの数をカウントし、カウントした数に基づきスイッチング出力信号Vswの周波数を把握する。ここで所定期間とは具体的にはPWM出力信号Spwmの周期を指している。PWM出力信号Spwmは
図1に示したスイッチング出力信号Vswの周期と同じであるので、PWM出力信号Spwmのたとえば1周期でのクロック信号Clkの数をカウントすることでスイッチング出力信号Vswの周期すなわち周波数を把握することができ、その周波数と可聴帯域の周波数との差を知ることができる。
【0062】
第2カウンタ回路FD2は、フリップフロップFF4〜FF6で構成される。第2カウンタ回路FD2のフリップフロップFF4,FF5はPWM出力信号Spwmを分周し、フリップフロップFF6は、その分周した信号をラッチするために用意される。第2カウンタ回路FD2を設けた主旨は、第1カウンタ回路FD1の論理演算を的確に行うためである。仮に第2カウンタ回路FD2を設けないとすると、第1カウンタ回路FD1でのクロック信号Clkのカウント動作およびPWM出力信号Spwmが入力されるタイミングによって否定論理積回路NANDで行われる論理演算が切り替わってしまうという不具合が生じる。また、第2カウンタ回路FD2を構成するフリップフロップFF4,FF5の段数は第1カウンタ回路FD1のフリップフロップFF1,FF2の段数と合わせている。これは、否定論理積回路NANDから出力される周波数検出信号SdisがたとえばハイレベルHiからローレベルLoに解除されたときにPWM出力信号Spwmの周波数がずれるのを防止するためである。
【0063】
図5は、スイッチングレギュレータ100が重負荷で作動しているとき、すなわち放電回路DCが作動していないときの、
図4に示した周波数検出回路FDにおける主なノードの信号波形のタイミングチャートである。以下、
図4および
図1を参照して
図5について簡単に説明する。
【0064】
図5(a)は、クロック信号Clkを示す。周期Tckを有するクロック信号Clkは、周波数検出回路FDを構成するフリップフロップFF1の入力端子CKに印加される。
【0065】
図5(b)は、PWMコンパレータCpwmから出力されるPWM出力信号Spwm1を示す。重負荷時では、PWM出力信号Spwm1はクロック信号Clkが到来するごとにローレベルLoからハイレベルHiに遷移し、クロック信号Clkの周期Tckと同じ長さである周期Tpwm1を有する。
【0066】
図5(c)は、
図4に示した周波数検出回路FDのフリップフロップFF3から出力されるクロックカウント信号Cfre1を示す。クロックカウント信号Cfre1は重負荷時には、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm1のタイミングに関わらず常にローレベルLoとなる。
【0067】
図5(d)は、周波数検出回路FDのフリップフロップFF6から出力されるPWM出力信号Spwm1の数をカウントするPWMカウント信号Sp1を示す。PWMカウント信号Sp1は重負荷時には、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm1のタイミングに関わらず常にハイレベルHiとなる。
【0068】
図5(e)は、周波数検出回路FDの否定論理積回路NANDから出力される周波数検出信号Sdis1を示す。周波数検出信号Sdis1は、重負荷時には、クロックカウント信号Cfre1の反転信号とPWMカウント信号Sp1とが論理積演算され、その演算結果が反転された出力信号として出力される。したがって、周波数検出信号Sdis1は、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm1のタイミングに関わらず常にローレベルLoとなる。
【0069】
周波数検出信号Sdis1は、
図1に示した放電用トランジスタQ5のゲートGに印加される。nチャンネル型MOSトランジスタで構成された放電用トランジスタQ5は、周波数検出信号Sdis1がローレベルLoであるときはオフであり、ハイレベルHiであるときはオンとなる。したがって、重負荷時においては、放電用トランジスタQ5はオフに置かれるので、放電用トランジスタQ5および放電用抵抗R6で構成された放電回路DCは作動しないことになる。
【0070】
図6は、スイッチングレギュレータ100の作動状態が軽負荷の範疇ではあるが、どちらかというと重負荷に近い状態であるため放電回路DCが作動に至っていない状態を説明するタイミングチャートである。以下、
図1、
図4および
図5を参照して
図6について説明する。
【0071】
図6(a)は、クロック信号Clkを示す。クロック信号Clkの周期Tckは、負荷RLの軽重に関わらず常に一定である。クロック信号Clkは、周波数検出回路FDを構成するフリップフロップFF1の入力端子CKに印加される。クロック信号Clkには説明の便宜上、クロック信号番号n1〜n7を付した。クロック信号番号n1〜n7を用いた説明は後述する。
【0072】
図6(b)は、PWMコンパレータCpwmから出力されるPWM出力信号Spwm2を示す。軽負荷時では、PWM出力信号Spwm2の周期Tpwm2はクロック信号Clkの周期Tckとの大きさ(長さ)とは違ってくる。軽負荷時になると、PWM出力信号Spwm2の周期Tpwm2は、
図5に示した重負荷時の周期Tpwm1よりは大きく(長く)なる。すなわち軽負荷時は、スイッチングレギュレータ100が作動する周波数は、重負荷時よりは低くなる。
図6(b)には説明の便宜上、模式的にPWM出力信号Spwm2の周期Tpwm2の大きさ(長さ)がクロック信号Clkの周期Tckのほぼ3倍であるものを示している。
【0073】
図6(c)は、
図4に示した周波数検出回路FDのフリップフロップFF3から出力されるクロックカウント信号Cfre2を示す。クロックカウント信号Cfre2は軽負荷ではあるが、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm2のタイミングに関わらず常にローレベルLoとなる。軽負荷時でもあるのにクロックカウント信号Cfre2はなぜローレベルLoに設定されるのか、その理由は
図4に示した周波数検出回路FDの回路構成に関わってくる。端的にいうと、
図4に示した周波数検出回路FDは、PWM出力信号Spwm2の周波数がクロック信号Clkの4倍の数をカウントし、このカウント数4個を基準とし、それ以下であれば、PWM出力信号Spwm2の周波数は十分に高いとし、それ以下であるときにはPWM出力信号Spwm2の周波数は可聴帯域に近づいているか、または可聴帯域に突入していると判定し、放電回路DCを作動させるようにしているからである。
【0074】
ここで再度、
図6(a),(b),(c)に着目する。
図6(a)で、クロック信号Clkにはクロック信号番号n1〜n7を付し、さらにクロック信号番号n1,n4およびn7のポジティブエッジすなわちローレベルLoからハイレベルHiに遷移するタイミングにはそれぞれ時刻t2,t4およびt6を示した。
図6(b)で、ネガティブエッジすなわちハイレベルHiからローレベルLoに遷移するタイミングでそれぞれ時刻t1,t3およびt5を付している。ここで、PWM出力信号Spwm2の周期Tpwm2の期間すなわち時刻t1〜t3の期間でのクロック信号clkは、クロック信号番号n1,n2,n3の3個であることが分かる。また、時刻t3〜t5の期間におけるクロック信号clkはクロック信号番号n4,n5,n6の3個であることも分かる。
【0075】
図6(b)において時刻t1,t3およびt5は、PWM出力信号Spwm2のネガティブエッジのタイミングを示す。これらの時刻で、周波数検出回路FDを構成するフリップフロップFF1〜FF3がリセットされる。したがって、時刻t1から時刻t3までに存在するクロック信号番号n1,n2およびn3がカウントの対象となり、クロック信号番号n4は、時刻t1から時刻t3までのカウント対象外となり、時刻t3から時刻t5までのカウント対象となる。いずれにしても
図4に示す回路構成下ではクロック信号Clkのカウントを4個までカウントし、4個を数えたらカウントがリセットされ、カウント動作は振り出しに戻るで、
図6(a),(b)に示すようにPWM出力信号Spwm2の1周期内に存在するクロック信号の数が3個以下の場合には第1カウンタ回路FD1は
図6(c)に示すように重負荷時と同じローレベルLoのクロックカウント信号Cfre2を出力する。
【0076】
図6(d)は、
図4に示した周波数検出回路FDのフリップフロップFF6から出力されるPWM出力信号Spwm2の数をカウントするPWMカウント信号Sp2を示す。PWMカウント信号Spは軽負荷ではあるが、
図5(d)に示した重負荷時と同様にハイレベルHiとなる。
【0077】
図6(e)は、周波数検出回路FDの否定論理積回路NANDから出力される周波数検出信号Sdis2を示す。周波数検出信号Sdis2は、クロックカウント信号Cfreの反転信号とPWMカウント信号Spとが論理積演算され、その演算結果が反転された信号である。したがって、周波数検出信号Sdis2は、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm2のタイミングに関わらず常にローレベルLoとなる。この状態は
図5(e)に示した重負荷時と同じである。
【0078】
周波数検出信号Sdis2は、
図1に示した放電用トランジスタQ5のゲートGに印加される。nチャンネル型MOSトランジスタで構成される放電用トランジスタQ5は、周波数検出信号Sdis2がローレベルLoであるときはオフであり、ハイレベルHiであるときはオンとなる。したがって、軽負荷時の範疇ではあっても、周波数検出回路FDは、PWM出力信号Spwmの周波数が可聴帯域の周波数よりは十分に高いと判定することになり、放電用トランジスタQ5はオフに置かれ、放電回路DCは作動しないように設定されている。
【0079】
図7は、スイッチングレギュレータ100が軽負荷時であり、かつ放電回路DCが作動した場合の周波数検出回路FDにおける主なノードの信号波形のタイミングチャートである。以下、
図1、
図4および
図5を参照して
図7について簡単に説明する。
【0080】
図7(a)は、クロック信号Clkを示す。クロック信号Clkの周期Tckは、負荷RLの軽重に関わらず常に一定である。クロック信号Clkは周波数検出回路FDを構成するフリップフロップFF1の入力端子CKに印加される。
【0081】
図7(b)は、PWMコンパレータCpwmから出力されるPWM出力信号Spwm3を示す。軽負荷時では、PWM出力信号Spwm3の周期Tpwm3はクロック信号Clkの周期Tckの大きさとは大きく違ってくる。軽負荷時になると、PWM出力信号Spwm3の周期Tpwm3は重負荷時の周期Tpwm1(
図5参照)よりは大きく(長く)なる。すなわち、スイッチングレギュレータ100が作動する周波数は、重負荷時より低くなる。
図7(b)には、模式的にPWM出力信号Spwm3の周期Tpwm3の大きさ(長さ)がクロック信号Clkの周期Tckのほぼ5倍であるものを示している。なお、本発明の一実施の形態で周期Tpwm3を周期Tckの5倍として説明するのは、
図4に示した第1カウンタ回路FD1および第2カウンタ回路FD2の分周比を1/4に設定しているからであり、5倍という数値は分周比の逆数よりも少し大きい数値であるからである。
【0082】
図7(c)は、周波数検出回路FDのフリップフロップFF3から出力されるクロックカウント信号Cfre3を示す。クロックカウント信号Cfre3は軽負荷で、かつ、PWM出力信号Spwm3の周期Tspwm3がクロック信号Clkの周期Tckよりも所定以上大きい場合には、PWM出力信号Spwm3とクロック信号Clkとのタイミングによって決まる期間でハイレベルHiを出力するように周波数検出回路FDの回路構成が成されている。周波数検出回路FDは、PWM出力信号Spwm3の周波数がクロック信号Clkの4倍の数をカウントし、このカウント数4個を基準し、それ以下であれば、PWM出力信号Spwm3の周波数は十分に高いとし、それ以下であるときにはPWM出力信号Spwm3の周波数は可聴帯域に近づいているか、または可聴帯域に突入していると判定し放電回路DCを作動させることになる。
【0083】
ここで再度、
図7(a),(b),(c)に着目する。
図7(a)で、クロック信号Clkにはクロック信号番号n11〜n21を付し、さらにクロック信号番号n15およびn20のポジティブエッジすなわちローレベルLoからハイレベルHiに遷移するタイミングにはそれぞれ時刻t13およびt15を付している。
図7(b)で、ネガティブエッジすなわちハイレベルHiからローレベルLoに遷移するタイミングにはそれぞれ時刻t11,t14およびt16を付している。ここで、PWM出力信号Spwm3の周期Tpwm3の期間すなわち時刻t11〜t14の期間でのクロック信号Clkは、クロック信号番号n11,n12,n13,n14およびn15の5個であることを示す。また、時刻t14〜t16の期間におけるクロック信号Clkはクロック信号番号n16,n17,n18,n19およびn20の5個であることも分かる。
【0084】
時刻t11,t14およびt16は、PWM出力信号Spwm3のネガティブエッジのタイミングを示す。これらの時刻で、周波数検出回路FDを構成するフリップフロップFF1〜FF3がリセットされる。したがって、時刻t11から時刻t14までに存在するクロック信号番号n11〜n15がカウントの対象となり、クロック信号番号n16は、時刻t11から時刻t14までのカウント対象外となり、時刻t14から時刻t16までのカウント対象となる。いずれにしても
図4に示した回路構成下すなわちクロック信号Clkを4個までカウントし、4個を数えたらカウントがリセットされ、カウント動作が振り出しに戻る回路構成下では、
図7に示すようにPWM出力信号Spwm3の1周期内に存在するクロック信号の数が4個以上の場合には周波数検出回路FDは、放電回路DCが作動させるための周波数検出信号Sdisを放電用トランジスタQ5のゲートGに出力する。したがって、
図7に示すように負荷RLが軽負荷であり、周波数検出回路FDがPWM出力信号Spwm3の周波数fspwmが所定の大きさまで低下したと判定されたときには周波数検出信号Sdis3は所定期間ハイレベルHiとなる信号を出力する。
【0085】
図7(d)は、
図4に示した周波数検出回路FDのフリップフロップFF6から出力されるPWM出力信号Spwm3の数をカウントするPWMカウント信号Sp3を示す。PWMカウント信号Sp3は軽負荷である場合には、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm3のタイミングに関わらず常にローレベルLoとなる。
【0086】
図7(e)は、
図4に示した周波数検出回路FDの否定論理積回路NANDから出力される周波数検出信号Sdis3を示す。周波数検出信号Sdis3は、軽負荷時ではある場合には、クロックカウント信号Cfre3の反転信号とPWMカウント信号Sp3とが論理積演算され、その演算結果が反転された出力信号として出力される。したがって、周波数検出信号Sdis3は、クロック信号ClkまたはPWM出力信号Spwm3のタイミングに関わらず常にハイレベルHiとなる。
【0087】
周波数検出信号Sdis3は、
図1に示した放電用トランジスタQ5のゲートGに印加される。nチャンネル型MOSトランジスタで構成された放電用トランジスタQ5は、周波数検出信号Sdis3がハイレベルHiであるときはオンとなり、ローレベルLoであるときはオフとなる。したがって、周波数検出回路FDが、PWM出力信号Spwm3の周波数が可聴帯域の周波数に近づいているかまたは可聴帯域の範囲であると判定したときには、放電用トランジスタQ5および放電用抵抗R6で構成された放電回路DCが作動する。
【0088】
図8は、放電回路DCが作動状態に置かれたときのシミュレーション結果を示す。横軸は負荷RLに流れる負荷電流IRLを、縦軸はPWM出力信号Spwmの周波数fspwmをそれぞれ示す。放電用抵抗R6をたとえば100Ωとし、負荷電流IRLを軽負荷時であると見られる20mA以下をプロットしてみると、放電回路DCを未採用の場合には負荷電流IRLが10mA,20mAのときのPWM出力信号Spwmの周波数fspwmはそれぞれ120kHz,240kHz程度であった。負荷電流IRLが10mAのときの周波数120kHzは可聴帯域に突入しているとは言い難いが、負荷電流IRLがさらに小さくなるにつれて可聴帯域とされる周波数である30kHzに突入することが推測できる。
【0089】
一方、放電回路DCを設け、これを作動させた場合には負荷電流IRLが10mA,20mAのときのPWM出力信号Spwmの周波数fspwmはそれぞれ200kHz,275kHz程度であった。負荷電流IRLがゼロまたはそれに近づいたとしてもPWM出力信号Spwmの周波数fspwmを100kHz以上に維持できることが分かった。
【0090】
なお、PWM出力信号Spwmの周波数fspwmは放電回路DCを構成する放電用抵抗R6および放電用トランジスタQ5のオン抵抗に左右される。放電用抵抗R6は小さければ小さいほどPWM出力信号Spwmの周波数fspwmは可聴帯域の周波数から離れた領域に設定することができる。しかし、放電用抵抗R6を小さくすると、放電回路DCが作動したときの消費電流が増えるので実際の設定にあたっては、これらを考慮して放電用抵抗R6および放電用トランジスタQ5のサイズを決めるとよい。
【0091】
図9は本発明にかかる別のスイッチングレギュレータ100Aを示す。
図1のスイッチングレギュレータ100は、スイッチング出力帰還トランジスタQ4および抵抗R2を備えているが、スイッチングレギュレータ100Aはこれらの回路素子を備えていないことで異なる。
図1に示したスイッチングレギュレータ100はいわゆる電流モード形式であり、
図9に示したものは電圧モード形式である。このためスイッチング出力帰還トランジスタQ4および抵抗R2を設けていない。これらの回路素子以外については、スイッチングレギュレータ100Aは
図1に備えた回路素子をすべて備える。
図9に示した電圧モード形式のスイッチングレギュレータ100Aにおいても、本発明にかかる周波数検出回路FD、放電回路DCおよび逆電流検出回路ZCを採用することで
図1の電流モード形式のスイッチングレギュレータと同じ効果を奏する。