(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力電圧が供給されオンオフのスイッチング動作を行う第1スイッチングトランジスタと、該第1スイッチングトランジスタと相補的にオンオフ動作を行う第2スイッチングトランジスタと、クロック信号に同期し前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタを各別に駆動する第1駆動パルス及び第2駆動パルスを生成するドライバと、前記第1駆動パルス及び前記第2駆動パルスのパルス幅を調整し前記ドライバにパルス幅変調信号を供給するPWMコンパレータと、前記第2スイッチングトランジスタに流れる電流を検出する逆電流検出回路と、前記逆電流検出回路の出力で制御される負荷判定回路と、前記負荷判定回路の出力で制御され前記PWMコンパレータの一方の入力端子の電位を補正するオフセット電圧生成回路を備え、
前記負荷判定回路は前記パルス幅変調信号を入力信号とし、前記逆電流検出回路から出力される逆電流検出信号でリセットされるフリップフロップの出力と前記クロック信号との論理演算回路を備えていることを特徴とするスイッチングレギュレータ。
前記逆電流検出回路が前記第2スイッチングトランジスタに流れる電流が正規の方向とは逆方向に流れたことを検出したとき、前記第2スイッチングトランジスタをオフとすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングレギュレータ。
前記スイッチングレギュレータは、さらに前記第1スイッチングトランジスタと前記第2スイッチングトランジスタの共通接続点に結合されたインダクタと該インダクタに直列に接続されたキャパシタと、前記インダクタと前記キャパシタとの共通接続点に設けられた出力端子と、該出力端子に接続され前記出力端子に生じた出力電圧を分圧する分圧回路と、前記分圧回路で生成された帰還電圧が一方の入力端子に印加されその他方の入力端子に基準電圧が印加される誤差増幅器と、前記誤差増幅器から出力される誤差電圧を前記PWMコンパレータの他方の入力端子に印加する誤差電圧印加手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングレギュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明にかかるスイッチングレギュレータを示す回路図である。スイッチングレギュレータ100は、電流モード形式の降圧型スイッチングレギュレータを構成する。降圧型スイッチングレギュレータは、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力端子VOUTに出力する。スイッチングレギュレータ100は、トランジスタとしては第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2、逆電流検出トランジスタQ3、スイッチング信号帰還用トランジスタQ4、およびオフセットトランジスタQ5を有する。
【0021】
第1スイッチングトランジスタQ1はたとえばpチャンネル型MOSトランジスタで、第2スイッチングトランジスタQ2はたとえばnチャンネル型MOSトランジスタでそれぞれ構成される。第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2とは相補的なスイッチング動作を行う。すなわち、第1スイッチングトランジスタQ1がオンであるとき第2スイッチングトランジスタQ2はオフである。一方、第2スイッチングトランジスタQ2がオンであるとき第1スイッチングトランジスタQ1はオフとなる。なお、第2スイッチングトランジスタQ2は一般的に同期整流用トランジスタと称される。また、この種のスイッチングレギュレータでは、これら両者トランジスタが同時にオンしない、すなわち、両トランジスタが同時にオフとなるいわゆるデッドタイムを設定するのが一般的である。
【0022】
第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2は、入力端子VINと接地電位GNDとの間に互いに直列に接続され、入力端子VINには入力電圧Vinが供給される。第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2との共通接続点はスイッチング出力信号Vswが出力されるスイッチング出力端子VSWとして用意されている。スイッチング出力端子VSWと接地電位GNDにはインダクタLとキャパシタC1とが直列に接続され、それらの共通接続点は出力電圧Voutが出力される出力端子VOUTとして用意されている。負荷RLは出力端子VOUTに結合され、出力電圧Voutが負荷RLに供給される。負荷RLは各種の電子回路の総称として示している。負荷RLには負荷電流IRLが流れる。負荷電流IRLの大きさは負荷RLの動作状態すなわち負荷RLの軽重に応動する。軽負荷時には負荷電流IRLは小さくなり、重負荷時には負荷電流IRLは大きくなる。
【0023】
抵抗R4,R5は互いに直列に接続され出力端子VOUTと接地電位GNDとの間に接続される。抵抗R4,R5は出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutを分圧する分圧回路を構成し、分圧した電圧を帰還電圧Vfbとして誤差増幅器ERRAMPのたとえば非反転入力端子に印加する。誤差増幅器ERRAMPの反転入力端子には基準電圧Vrefが印加されており、帰還電圧Vfbは基準電圧Vrefと比較され、その比較結果が誤差電圧Veとして誤差増幅器ERRAMPから出力される。
【0024】
誤差増幅器ERRAMPの出力は、抵抗R1,R3およびキャパシタC2が直列に接続された抵抗R1、R3との共通接続点に結合されている。抵抗R1は、誤差増幅器ERRAMPから出力される出力電流を電源端子VCCの電源電圧Vccを基準とする電圧に変換するために用意され、変換された誤差電圧VeはPWMコンパレータCpwmの非反転入力端子に印加される。なお、抵抗R1,R3およびキャパシタC2は、誤差増幅器ERRAMPのゲインを決定するとともに位相補償の作用を成し、併せて誤差電圧VeをPWMコンパレータCpwmの非反転入力端子に印加する誤差電圧印加手段の働きも成している。
【0025】
位相補償はスイッチングレギュレータ100の、いわゆる位相遅れ180度に対する差分すなわち位相余裕を高めるために行われる。スイッチングレギュレータ100のループゲインが0db(ゲイン1倍)のときの位相がたとえば120度であるとすると、位相余裕は、180度−120度=60度として表すことができる。この位相余裕はたとえば45度以上あれば十分であるとも言われている。また、位相遅れ180度のときのゲイン0dbに対するループゲイン差を「ゲイン余裕」と称する。たとえば、位相遅れ180度のときのループゲインが−20dbであるときにはゲイン余裕は20dbとなる。
【0026】
誤差電圧Veの大きさは負荷RLの軽重に応動する。一般的に軽負荷時とは、負荷RLに供給される負荷電流IRLが定格供給電流に対して少なく、特に負荷電流IRLがほぼ零である無負荷時も含め供給電流開始付近の領域を指す。一方、重負荷時とは定格供給電流付近の負荷電流の領域を指す。本発明では、こうした定義から逸脱するものではないが、さらに負荷の軽重の定義を明確にするために、第2スイッチングトランジスタQ2に流れる電流が本来の電流経路とは逆に流れる、いわゆる逆電流が検出されたときの動作状態を軽負荷時として定義する。第2スイッチングトランジスタQ2の順方向電流を符号i2fで、逆方向に流れる逆方向電流を符号i2rでそれぞれ示している。
【0027】
誤差電圧Veは、負荷RLが比較的重負荷のときには出力端子VOUTの出力電圧Voutは低くなり帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低くなるので増加する。一方、誤差電圧Veの大きさは比較的軽負荷のときには出力端子VOUTの出力電圧Voutは高くなり帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高くなるので増大する。
【0028】
スロープ電圧Vslはスロープ電圧生成回路SLOPEで生成される。スロープ電圧生成回路SLOPEは、クロック信号生成回路CLKで生成されるクロック信号Clkに同期し、図示しない定電流回路、抵抗等で図示しないキャパシタを充放電させることによって三角形状または鋸歯形状の傾斜状の電圧を生成する。
【0029】
スロープ電圧Vslには、第1スイッチングトランジスタQ1がオンしたときに生じるスイッチング出力信号Vswの変化量がスイッチング信号帰還用トランジスタQ4および抵抗R2を介して重畳される。スイッチング信号帰還用トランジスタQ4を第1スイッチングトランジスタQ1と同期してオンオフさせるためにpチャンネル型MOSトランジスタを用いる。スイッチング出力信号Vswの大きさは第1スイッチングトランジスタQ1がオンしたときのオン抵抗値に応動する。すなわち、第1スイッチングトランジスタQ1のオン抵抗が高いときにはスイッチング出力信号Vswの振幅は小さくなる。さらに第1スイッチングトランジスタQ1に流れる電流が大きくなるにつれスイッチング出力信号Vswの振幅は小さくなる。したがって、スイッチング出力信号Vswの変化量をスロープ電圧Vslに帰還、加算させることによって、第1スイッチングトランジスタQ1に流れる電流を検出し、その大きさをPWMコンパレータCpwmに帰還している。してみれば、
図1に示したスイッチングレギュレータ100は電流モード形式であると言える。
【0030】
スロープ比較電圧Vsleは、スロープ電圧Vslにモニタリング電圧Vsweが抵抗R2を介して重畳された信号である。モニタリング電圧Vsweは、スイッチング出力信号Vswをスイッチング信号帰還用トランジスタQ4のドレインDに取り出した電圧である。モニタリング電圧Vsweは抵抗R2を介してPWMコンパレータCpwmの反転入力端子に印加される。
【0031】
PWMコンパレータCpwmの反転入力端子には、スロープ電圧Vslにスイッチング出力信号Vswのモニタリング電圧Vsweが重畳されたスロープ比較電圧Vsleが印加される。PWMコンパレータCpwmの非反転入力端子には誤差電圧Veが印加される。PWMコンパレータCpwmでは、誤差電圧Veがスロープ電圧Vselよりも高いときにはPWM出力信号Spwnのパルス幅は広がるように、逆の場合すなわち誤差電圧Veがスロープ電圧Vselよりも低いときにはPWM出力信号Spwmのパルス幅が狭くなるようにそれぞれ調整される。PWM出力信号SpwmはドライバDRVに印加される。
【0032】
PWMコンパレータCpwmの非反転入力端子および反転入力端子の電圧の大きさは、抵抗R1,R3の抵抗値および電源端子VCCの電源電圧Vccの大きさに基づき決定される。
【0033】
ドライバDRVは、第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2をそれぞれ駆動する第1駆動パルスSq1および第2駆動パルスSq2を生成する。すなわち、ドライバDRVは、クロック信号生成回路CLKで生成されたクロック信号Clkと、PWMコンパレータCpwmから出力されたPWM出力信号Spwmに基づきデューティ比が調整された第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2を生成する。
【0034】
第1駆動パルスSq1および第2駆動パルスSq2はそれぞれ第1スイッチングトランジスタQ1および第2スイッチングトランジスタQ2を相補的にオンオフさせる極性に設定される。たとえば、第1スイッチングトランジスタQ1がpチャンネル型MOSトランジスタであり、第2スイッチングトランジスタQ2がnチャンネル型MOSトランジスタであるときには、第1駆動パルスSq1および第2駆動パルスSq2は同じ極性に設定される。
【0035】
ドライバDRVには第1駆動パルスSq1および第2駆動パルスSq2を生成するために図示しないフリップフロップや、デッドタイム生成回路などを内蔵するのが一般的である。デッドタイム生成回路はこの種のスイッチングレギュレータにはよく採用される。すなわち、第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2が同時にオンしない区間、すなわち両トランジスタが同時にオフする期間を設けることが少なくない。
【0036】
負荷判定回路FHは本発明の特徴の1つとして用意されている。負荷判定回路FHの詳細は後述するが、ここで回路構成を端的に述べる。負荷判定回路FHはカウンタ、ラッチ回路等の論理回路で構成されている。負荷判定回路FHにはPWM出力信号Spwm、クロック信号Clk、及び逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zcが印加される。逆電流検出信号Zcは主にカウンタをリセットするために用いられる。
【0037】
オフセット電圧生成回路OFFSETはたとえばnチャンネル型MOSトランジスタで構成したオフセットトランジスタQ5及び定電流回路CCで構成される。オフセットトランジスタQ5は、負荷判定回路FHから出力される負荷判定信号Vfhがハイレベルのときにオンし、ローレベルのときにオフする。オフセットトランジスタQ5がオンすると定電流回路CCで生成される定電流とほぼ同じ大きさの電流が電源端子VCCから抵抗R2を介しオフセットトランジスタQ5のドレインDからソースSに向かって流れる。オフセットトランジスタQ5がオンするとスロープ比較電圧Vsleが印加されるPWMコンパレータCpwmの反転入力端子(−)の直流電位は下がる。このときPWMコンパレータCpwmの非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)との間に差電圧がもたらされ、併せて両入力端子間の差電圧が補正される。こうした補正がオフセットであり、このとき与えられる差電圧がオフセット電圧である。
【0038】
オフセット電圧生成回路OFFSETを構成するオフセットトランジスタQ5を軽負荷時にオンさせることは必須の条件ではない。すなわち、軽負荷時にオフセットトランジスタQ5をオフさせるという選択肢もあり、また重負荷時にオフセットトランジスタQ5をオンまたはオフさせるという選択肢もあり得る。こうした選択肢の使い分けはPWMコンパレータCpwmの2つの入力端子に印加する電圧やスロープ電圧Vslを生成するスロープ電圧生成回路SLOPEの回路構成などで変わってくる。
【0039】
図2は
図1に示した本発明にかかるスイッチングレギュレータ100の主なノードの信号タイミングチャートである。
図2(a)〜
図2(f)は重負荷時の信号波形を、
図2(g)は、重負荷時及び軽負荷時の両者の信号波形をそれぞれ示す。以下、
図1を参照しながら
図2の信号波形について簡単に説明する。
【0040】
図2(a)は、クロック信号生成回路CLKで生成されるクロック信号Clkを示す。ドライバDRVの回路動作はクロック信号Clkに同期される。またスイッチングレギュレータ100の回路動作もクロック信号Clkに同期して作動される。クロック信号Clkの周波数はたとえば、200kHz〜6MHzに選ばれる。クロック信号Clkはスイッチングレギュレータ100を作動させるときの基準信号とも言える。
【0041】
図2(b)は、第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2を示し、これらの駆動パルスSq1,Sq2は、それぞれ第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2のゲートGに印加され、これらのトランジスタを相補的にオンオフさせる。第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2はクロック信号Clkに同期しドライバDRVから出力される。第1スイッチングトランジスタQ1がたとえばpチャンネル型MOSトランジスタで、第2スイッチングトランジスタQ2がたとえばnチャンネル型MOSトランジスタであるとき、第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2の極性は同じに設定される。
【0042】
図2(c)は、スイッチング出力端子VSWすなわち第1スイッチングトランジスタQ1と第2スイッチングトランジスタQ2のドレインDに出力されるスイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswの信号波形は、第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2の極性とは反転されたものになる。
【0043】
図2(d)は、インダクタLに流れるインダクタ電流ILを示す。インダクタ電流ILは、重負荷時にはスイッチング出力信号Vswに同期し、ほぼ三角波形状を成している。
【0044】
図2(e)は、誤差増幅器ERRAMPの出力である誤差電圧Ve、PWMコンパレータCpwmの反転入力端子に印加されるスロープ比較電圧Vsle、及びスイッチング信号帰還用トランジスタQ4のドレインDに出力されるモニタリング電圧Vsweを模式的にそれぞれ示す。
【0045】
図2(f)は、PWMコンパレータCpwmから出力されるPWM出力信号Spwmを示す。PWM出力信号Spwmは、PWMコンパレータCpwmからの出力信号であり、誤差電圧Veとスロープ比較電圧Vsleとの比較結果信号である。PWM出力信号Spwmのパルス幅Wpwmは負荷の軽重に応じて制御される。
【0046】
図2(g)は、逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zcを示す。逆電流検出信号Zcは、軽負荷時すなわち第2スイッチングトランジスタQ2に逆電流i2rが流れた場合にはハイレベルHiとなり、そうでない場合すなわち重負荷時の場合にはローレベルLoとなるように設定されている。逆電流検出信号ZcがハイレベルHiであるときには、第2スイッチングトランジスタQ2がオフ状態にラッチされるよう第2駆動パルスSq2が制御される。
【0047】
図3は軽負荷時における、
図1の主なノードの信号波形のタイミングチャートを示す。
図3(a)はスイッチング出力端子VSWに出力されるスイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswは、時刻t1〜t2までが最も高いレベルとなり、時刻t2から時刻t3までが接地電位GNDである零ボルトよりも低いマイナスの電位に置かれる。時刻t3〜t4までは中間レベルMiとなり、時刻t4〜t5では再び最も高いレベルに置かれる。時刻t3〜t4では第2スイッチングトランジスタQ2に逆電流i2rが流れたことを検知して逆電流検出回路ZCが軽負荷状態を検知し、スイッチング出力信号Vswは中間レベルMiに保持され、第2スイッチングトランジスタQ1及び第1スイッチングトランジスタQ2が共にオフに置かれる。
【0048】
図3(b)は、逆電流検出回路ZCの逆電流検出信号Zcを示す。逆電流検出信号Zcは、時刻t1〜t3ではローレベルLoであり、時刻t3〜t4ではハイレベルHiとなり、時刻t4〜t6では再びローレベルLoになることを示す。逆電流検出信号ZcがローレベルLoであるということは、逆電流検出回路ZCが作動していない状態すなわち第2スイッチングトランジスタQ2には通常の電流経路である電流i2fが流れ、逆電流i2rが流れていないことを示す。逆電流検出信号ZcがハイレベルHiである時刻t3〜t4は逆電流検出回路ZCが作動している期間である。
【0049】
図3(c)、(d)はそれぞれ第1駆動パルスSq1、第2駆動パルスSq2を示す。第1駆動パルスSq1は、時刻t1〜t2及び時刻t4〜t5ではローレベルLoであり、時刻t2〜t4ではハイレベルHiに置かれる。第2駆動パルスSq2は、時刻t2〜t3及び時刻t5〜t6ではハイレベルHiであり、時刻t1〜t2及び時刻t3〜t5までがローレベルLoに置かれる。
【0050】
図3を一見すると、スイッチング出力信号Vswは、第1駆動パルスSq1がローレベルLoのときハイレベルHiとなり、第2駆動パルスSq2がハイレベルHiのときにはマイナスレベルになることが分かる。そして、第1駆動パルスSq1がハイレベルHiであり、かつ第2駆動パルスSq2がローレベルLoのときの時刻t3〜t4の間は中間レベルMiになる。さらに、時刻t3〜t4までの期間すなわち逆電流検出信号ZcがハイレベルHiの期間にスイッチング出力信号Vswは中間レベルMiに置かれる。時刻t3〜t4までは、第1スイッチングトランジスタQ1及び第2スイッチングトランジスタQ2が共にオフに置かれる状態である。したがって、時刻t3〜t4までにおいては、スイッチング出力信号Vswが出力されるスイッチング出力端子VSWはハイインピーダンス状態に置かれる。なお第1スイッチングトランジスタQ1及び第2スイッチングトランジスタQ2を共にオフする回路部は図示しないがドライバDRVに内蔵されている。
【0051】
図3を見てさらに言えることは次のとおりである。すなわち、時刻t3〜t6における逆電流検出信号Zcの遷移状態から分かるように、逆電流検出信号Zcは時刻t3〜t4まではハイレベルである。時刻t4〜t5に移行するとスイッチング信号Vswは再びハイレベルとなり、逆電流検出回路ZCはオンからオフとなり、いわゆる軽負荷検知状態が一端リセットされる。リセットされる期間は第2スイッチングトランジスタQ2を制御する第2駆動パルスSq2がハイレベルHiを持続するまで継続される。
【0052】
図4は本発明にかかる負荷判定回路FHの一実施例を示す。負荷判定回路FHは、PWM出力信号Spwmと逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zc及びクロック信号Clkを用いて論理演算を行い、その演算結果に基づき軽負荷または重負荷の判定を行う。軽負荷であるか重負荷での判定は負荷判定回路FHが行う前に逆電流検出回路ZCで既に行われるが、負荷判定回路FHでは負荷状態が両者のいずれであるのかを確定させる。
【0053】
図4にはフリップフロップFF3のD入力端子をたとえば電源端子VCCすなわちハイレベルHiに固定したものを示す。D入力端子のレベル設定はフリップフロップFF3のQ出力、Qバー出力にそれぞれ取り出すレベルをハイレベルとするかそれともローレベルに設定するかによって決定される。なお、フリップフロップFF1,FF2を用意しないで、PWM出力信号Spwmを直接フリップフロップFF3でラッチさせてもよい。この場合には軽負荷時から重負荷時への切替わるマージン時間は零となり、負荷状態の切替わり時にオフセット電圧生成回路OFFSETが切替わりに要する時間を短縮することができる。しかし、マージン時間を零に設定すると、軽負荷時と重負荷時との間での切替わり感度が高くなり、負荷状態が十分に確定されない状態でオフセット電圧生成回路OFFSETが作動するということが起こり得る。いずれにしても負荷の切替わり時のマージン時間の設定はクロック信号Clkの周波数や負荷RLの規模や回路機能にも鑑み決めるとよい。
【0054】
図4に示した負荷判定回路FHについて、
図1〜
図3を参照して説明する。負荷判定回路FHを設ける目的は、先に述べたように、スイッチングレギュレータ100が軽負荷時及び重負荷時のいずれの状態で作動しているかを確実に判定するためである。また、負荷判定回路FHを用意する目的は軽負荷から重負荷に、または重負荷から軽負荷に負荷状態が遷移したときに、その遷移したタイミングを検知して、PWMコンパレータCpwmの回路動作点を補正して、軽負荷時での応答性の低下を抑制し、かつ重負荷時の特に出力電圧Voutの安定性を確保することにもある。
【0055】
負荷判定回路FHは第1フリップフロップFF1、第2フリップフロップFF2、第3フリップフロップFF3、インバータINV1,INV2、及び否定論理積回路NANDなどの各種論理回路で構成される。本発明にかかる負荷判定回路FHに用いる論理回路は否定論理積回路NANDに限定されない。たとえば否定論理和回路NOR、論理和回路OR、論理積回路AND、否定回路NOT(インバータ)の組み合わせで構成することもできる。否定論理積回路NANDは、ノードN4に出力される信号の極性やクロック信号Clkの極性に応じて、否定論理和回路NORや論理和回路ORなどで構成することもできる。こうした論理回路の選択と組合せは当業者には比較的容易なことであり設計事項の1つであると言える。
【0056】
フリップフロップFF1〜FF3はDフリップフロップで構成される。フリップフロップFF1の入力端子CKにはPWM出力信号Spwmが印加される。PWM出力信号Spwmの周期は軽負荷時と重負荷時では異なってくる。したがって、PWM出力信号Spwmの周期を検出することは負荷状態を把握することにつながる。PWM出力信号SpwmはPWMコンパレータCpwmから出力され、ドライバDRVに印加されるパルス幅変調信号である。フリップフロップFF1,FF2は、PWM出力信号Spwmの数をカウントする分周器でありカウンタでもある。フリップフロップFF3は、フリップフロップFF1,FF2でカウントしたPWM出力信号Spwmの数をラッチする。フリップフロップFF1,FF2は、必須の構成要件ではないが、フリップフロップFF3はPWM出力信号Spwmをラッチさせるために用意される。したがって、負荷判定回路FHは少なくとも1段のフリップフロップを用意すれば足りる。フリップフロップFF1,FF2の段数は、軽負荷から重負荷への遷移時または重負荷から軽負荷への遷移時にどの程度の時間をもって切り替えるかに基づき決定する。すなわち、負荷切替え時のマージン時間に基づき決めることになる。仮にフリップフロップFF1,FF2を用意せずにフリップフロップFF3だけで負荷判定回路FHを構成した場合には,軽負荷から重負荷または重負荷から軽負荷への切り替わりに要する時間は論理演算上では零となる。
【0057】
負荷の軽重の変化に対するその応答性及び安定性を確保するために要する時間すなわちマージン時間を比較的短く設定すると、負荷状態が確実に重負荷状態あるのか或いは軽負荷状態あるのか確実に認定できなくなるという不具合が生じる。また、負荷の切替わりに要する時間を比較的長く設定すると応答性が遅くなるという不具合が生じる。そこでマージン時間を設定するにあたっては信号Clkの周波数をたとえば1MHzとし、切り替えに用いる時間をクロック信号Clkの4個分とすると、負荷の切り替わりに要する時間は約4μsとなる。もし負荷判定回路FHをフリップフロップFF1,FF2の2段ではなく、3段、4段で構成すると、切り替わりに要する時間はそれぞれ8μs,16μsとなる。
【0058】
負荷判定回路FHにはインバータINV1,INV2が含まれている。これらのインバータは必須の構成要件ではない。インバータINV1はフリップフロップFF1〜FF3のRバー端子に印加するリセット信号の極性を合わせるために、また、インバータINV2はオフセット電圧生成回路OFFSETを構成するオフセットトランジスタQ5をハイレベルでオンさせる或いはローレベルでオンさせるかの極性合せのために用意されている。
【0059】
インバータINV1の入力側には逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zcが印加される。逆電流検出回路ZCの非反転入力端子には逆電流検出トランジスタQ3で検出した逆電流検出入力信号Zciが印加される。逆電流検出信号ZcがローレベルLoからハイレベルHiに遷移するタイミングで負荷判定回路FHはPWM出力信号Spwmをカウントする。
【0060】
負荷判定回路FHの出力側すなわち否定論理積回路NANDから負荷判定信号Vfhが出力されると、オフセット電圧生成回路OFFSETを構成するオフセットトランジスタQ5はオンまたはオフに置かれる。負荷判定信号Vfhは本発明で定義するオフセット電圧の範疇に入る。
【0061】
オフセット電圧生成回路OFFSETを構成するオフセットトランジスタQ5がオンすると、定電流回路CCもオンしPWMコンパレータCpwmの反転入力端子の直流電位はオフセットトランジスタQ5がオフのときの電位よりも低くなるように補正される。
【0062】
図5は、
図1に示すスイッチングレギュレータ100を考案するにあたり検討に供したスイッチングレギュレータが重負荷で作動しているときの主なノードの信号波形のタイミングチャートを示す。検討に供した回路は要約すると、
図1において負荷判定回路FHを採用せずに、オフセット電圧生成回路OFFSETを採用しオフセットトランジスタQ5のゲートGにクロック信号Clkを印加するようにした回路構成である。したがって、PWMコンパレータCpwmにオフセット電圧が印加される回路構成下であることでは本発明の一実施の形態と変わりはない。以下、
図5について簡単に説明する。
【0063】
図5(a)は、クロック信号Clkを示す。クロック信号Clkはクロック信号生成回路CLKで生成される。クロック信号Clkに同期してスイッチングレギュレータ100は作動する。クロック信号Clkの周波数が大きい(高い)ほどスイッチングレギュレータ100の動作スピードは速くなる。クロック信号Clkの周波数はたとえば200kHz〜6MHzの範囲で設定される。本発明の一実施の形態ではクロック信号Clkの周波数は1MHzである。
【0064】
図5(b)は、スイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswは
図1に示す第1スイッチングトランジスタQ1及び第2スイッチングトランジスタQ2のドレインDに出力される。重負荷時は、スイッチング出力信号Vswの周期はクロック信号Clkと同じである。
【0065】
図5(c)は、
図1に示すPWMコンパレータCpwmの非反転入力端子に印加される誤差電圧Ve及び反転入力端子に印加されるスロープ比較電圧Vsleをそれぞれ示す。
誤差電圧Veは時刻t1〜t4に関わらずほぼ同じレベルであることを示す。スロープ比較電圧Vsleの振幅は、時刻t1,t2,t3及びt4のタイミングでクロック信号Clkが印加される期間において急激に下がる状態を示している。これは、
図1に示すオフセット電圧生成回路OFFSETを構成するオフセットトランジスタQ5及び定電流回路CCを作動させ、PWMコンパレータCpwmの反転入力端子の直流電位を低くなるように制御しているからである。こうした制御は、PWMコンパレータCpwmにクロック信号Clkの到来期間PWMコンパレータCpwmにオフセット電圧を与え、
図5(b)に示すスイッチング出力信号Vswの立ち上がりのスルーレートが大きくなるようにしてノイズの発生を抑止するためである。なお、本発明の一実施の形態では回路構成上、PWMコンパレータCpwmの反転入力端子の直流電位が低くなるように制御したが、この制御方法には限定されない。すなわちPWMコンパレータCpwmの反転入力端子の直流電位を高くするという制御方法もあり得る。こうした制御方法はオフセット電圧生成回路OFFSETの回路構成や、その制御方法によって変わってくる。またPWMコンパレータCpwmの反転入力端子ではなく非反転入力端子にオフセット電圧を与える制御方法もあり得る。また、定電流回路CCは1段ではなく並列に2段用意し、軽負荷時、重負荷時にこれらの定電流回路を切替えるという制御方法もあり得る。またPWMコンパレータCpwmの出力側に取り出すパルス幅変調信号の極性によってもPWMコンパレータCpwmの2つの入力端子側に印加する各種信号とその制御方法は当業者には種々考えられることを申し添える。
【0066】
図5(d)は、PWMコンパレータCpwmに出力されるPWM出力信号Spwmを示す。PWM出力信号Spwmは負荷RLの軽重に応じてパルス幅が制御される。PWM出力信号Spwmは、
図5(c)に示す誤差電圧Veとスロープ比較電圧Vsleの電圧レベル差に応じて出力され、誤差電圧Veはスロープ比較電圧Vsleよりも大きくなるレベルではたとえばハイレベルHiとなり、スロープ比較電圧Vsleが誤差電圧Veよりも高いレベルではローレベルLoとなる。
【0067】
図5を用いて説明したように、重負荷時にクロック信号Clkを利用してオフセット電圧をPWMコンパレータCpwmに与えることはノイズの発生を抑止することでは効果があることが分かった。しかし、こうした制御方法だけでは重負荷時及び軽負荷時に必ずしも十分でないことを知見したのでその点について述べる。
【0068】
図6は
図1に示した本発明にかかるスイッチングレギュレータ100及び
図4に示した負荷判定回路FHの主なノードの信号波形のシミュレーション結果を示す。
図6は大きく2つの領域で分けられている。すなわち時刻tsを境界として軽負荷時は符号KFで、重負荷時はJFでそれぞれ示されている。以下
図1、
図4を参照して
図6について説明する。
【0069】
図6(a)は軽負荷時KFと重負荷時JFとを区別するために用いる負荷電流IRLを示す。負荷電流IRLは時刻t1,t2及びtsは電流ikで、時刻ts,t3,t4,t5,t6,t7及びt8は電流ijでそれぞれ示されている。シミュレーション上、電流ikは零であり、電流ijは500(mA)としている。
【0070】
図6(b)はクロック信号Clkを示す。クロック信号Clkはクロック信号生成回路CLKで生成される。クロック信号Clkの周波数はたとえば200kHz〜6MHzに選ばれる。クロック信号Clkの周期Tclkは負荷の軽重に関わらず一定である。
【0071】
図6(c)はスイッチング出力端子VSWに出力されるスイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswは、軽負荷時KFと重負荷時JFでは信号波形及びその周期Tsw1,Tsw2は異なる。すなわち軽負荷時KFの周期Tsw1はクロック信号Clkのそれよりも大きくなる。このことはスイッチング出力信号Vswの周波数はクロック信号Clkのそれよりも低くなっていることを示す。重負荷時JFでのスイッチング出力信号Vswの周期Tsw2はクロック信号Clkの周期Tclkと同じであることを示す。
【0072】
図6(d)は、出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutを示す。出力電圧Voutは破線で示した平均レベルを中心にして上下に微小に変動するリップル電圧成分を有する。このリップル電圧成分は負荷の軽重に関わらず生じるが、スイッチング出力信号Vswの周期に連動して生じる。
【0073】
図6(e)は、逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zcを示す。逆電流検出信号Zcは、軽負荷時KFではスイッチング出力信号Vswの周期に応じて生じ、時刻t1〜t2でローレベルLoとなり、時刻t2〜tsではハイレベルHiとなる。逆電流検出信号Zcは時刻ts〜t8の期間すなわち重負荷時JFではローレベルLoに保持される。なお、重負荷時JFで逆電流検出信号Zcの極性をハイレベルHiに設定するかローレベルLoに設定するかは逆電流検出回路ZCの前段及び後段に結合される回路部によって適宜選択するとよい。
【0074】
図6(f),(g),(h)及び(i)は、
図4に示した負荷判定回路FHのノードN1,N2,N3及びN4に生じる信号をそれぞれ示す。
図6(f)に示すノードN1の信号は、負荷判定回路FHを構成するフリップフロップFF1〜FF3のリセット信号として生成されている。ノードN1の信号は本発明の一実施の形態では逆電流検出信号Zcの極性が反転された信号と同じである。ノードN1の信号の極性はフリップフロップFF1〜FF3を構成する回路の種類に応じて適宜設定される。
【0075】
図6(g)に示すノードN2の信号はフリップフロップFF1のQバー出力に生じる。ノードN2に生じる信号はPWM出力信号Spwmをカウントした信号である。軽負荷時KFではローレベルLoを、重負荷時JFではクロック信号Clkを2分の1に分周した信号となる。時刻t3〜t8ではクロック信号Clkを2分の1に分周した信号になる。
【0076】
図6(h)に示すノードN3の信号はフリップフロップFF2のQバー出力に生じる。ノードN3に生じる信号はフリップフロップFF1のQバーに生じた信号を分周した信号であるので、軽負荷時KFではローレベルLoのままであり、重負荷時JFではノードN2の信号を2分の1に分周する信号となる。ノードN3の信号は時刻t5でローレベルLoからハイレベルHiに遷移し、このタイミングはノードN2の信号の立上がりタイミングである時刻t3より遅れる。
【0077】
図6(i)に示すノードN4の信号はノードN3に生じる信号のハイレベルHiをラッチしたものとなる。したがって、時刻t5〜t8まではハイレベルHiを保持する。
【0078】
図6(j)に示すPWM出力信号Spwmは、PWMコンパレータCpwmから出力されるパルス幅変調信号である。PWM出力信号Spwmは誤差電圧Veとスロープ比較電圧Vsleとが交わるタイミングでハイレベルHiまたはローレベルLoとして表れ、パルス幅のデューティ比は軽負荷時KFと重負荷時JFで制御される。
【0079】
図6(k)に示す負荷判定信号Vfhは負荷判定回路FHから出力される。負荷判定信号Vfbを所定のタイミングと所定のレベルで出力するために
図6(e)〜(k)の各種電圧または信号のタイミングで極性が設定される。負荷判定信号Vfhは、負荷判定回路FHを構成する否定論理積回路NANDに入力されるノードN4の信号とクロック信号Clkとを否定論理積演算した結果の信号である。負荷判定信号Vfhの極性は本発明の一実施の形態では軽負荷時KFではハイレベルHiに設定される。また、重負荷時JFにおいても時刻tsから時刻t8まではハイレベルHiを保持するよう設定されている。すなわち負荷判定信号VfhがハイレベルHiに保持されるのは本来、軽負荷時KFであるが、負荷RLが重負荷時JFに移ったときでも所定の時間は軽負荷時KFと同じレベルに保持される。これは、負荷判定回路FHの回路構成で一意的に決定しているからである。
【0080】
重負荷時JFにおいて、時刻tsからt7までの時間は
図4に示した負荷判定回路FHで設定されている。すなわちフリップフロップFF1,FF2によってPWM出力信号Spwmを4分の1に分周している。重負荷時JFではPWM出力信号Spwmの周期はクロック信号Clkの周期Tclkに等しい。したがって、時刻ts〜t7の時間はクロック信号Clkの周期Tclkのほぼ4倍に設定される。
【0081】
時刻ts〜t7までの時間は負荷RLが軽負荷から重負荷に変化したときにオフセット電圧生成回路OFFSETを作動させるまでの待機時間でありマージン時間として用意される。このマージン時間はあえて設ける必要もなく、すなわち時刻tsで直ちにオフセット電圧生成回路OFFSETの動作を切替えるようにしてもかまわない。しかしマージン時間の設定は負荷RLの変化が明らかに変化したものであるかそれともノイズ等によってたとえば誤動作したものなのかを区別するために有用である。言い換えれば、負荷の軽重の切替わり時のマージン時間は軽負荷時KFから重負荷時JF及び重負荷時JFから軽負荷時KFへの切替え精度を高めるために有用である。
【0082】
図7は
図1に示した本発明にかかるスイッチングレギュレータ100及び
図4に示した負荷判定回路FHの主なノードの信号波形のシミュレーション結果を示す。前に述べた
図6は負荷が軽負荷から重負荷に変化する状態を示した。
図7はこの逆のケースである重負荷から軽負荷に変化する場合を模式的に示している。
図7は
図6と同様に大きく2つの領域で分けられている。以下
図1、
図4及び
図6を参照して
図7について説明する。
【0083】
図7(a)は軽負荷時と重負荷時とを区別するために用いる負荷電流IRLを示す。負荷電流IRLの大きさは時刻tsを境界にして異なる。時刻t1〜tsは重負荷時JFであり、そのときの負荷電流IRLは電流ijで示す。電流ijはシミュレーション上では500(mA)である。時刻ts〜t8は軽負荷時KFであり、そのときの電流ikはシミュレーション上では零としている。
【0084】
図7(b)はクロック信号Clkを示す。クロック信号Clkはクロック信号生成回路CLKで生成される。クロック信号Clkの周波数はたとえば200kHz〜6MHzに選ばれる。クロック信号Clkの周期Tclkは負荷の軽重に関わらず一定である。
【0085】
図7(c)はスイッチング出力端子VSWに出力されるスイッチング出力信号Vswを示す。スイッチング出力信号Vswは、重負荷時JFと軽負荷時KFでは信号波形及びその周期Tsw2,Tsw1はそれぞれ異なる。すなわち重負荷時JFの周期Tsw2はクロック信号Clkの周期Tclkと同じであるが、軽負荷時KFでの周期Tsw1は周期Ts2よりは大きくなっていることが分かる。
【0086】
図7(d)は、出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutを示す。出力電圧Voutは破線で示した平均レベルを中心にして上下に微小に変動するリップル電圧成分を有する。このリップル電圧成分は負荷の軽重に関わらず生じる。
【0087】
図7(e)は、逆電流検出回路ZCから出力される逆電流検出信号Zcを示す。逆電流検出信号Zcは、重負荷時JFではローレベルLoに保持される。なお、重負荷時JFで逆電流検出信号Zcの極性をローレベルLoに設定するか或いはハイレベルHiに設定するかは逆電流検出回路ZCの前段及び後段に結合される回路部によって設定する。軽負荷時KFでの逆電流検出信号Zcは、スイッチング出力信号Vswの周期に応じてローレベルLoとハイレベルHiとが繰り返されるパルス信号となる。
【0088】
図7(f),(g),(h)及び(i)は、
図4に示した負荷判定回路FHのノードN1,N2,N3及びN4に生じる信号をそれぞれ示す。
図7(f)に示すノードN1の信号は、負荷判定回路FHを構成するフリップフロップFF1〜FF3のリセット信号として生成されている。ノードN1の信号は本発明の一実施の形態では逆電流検出信号Zcの極性が反転された信号に等しい。ノードN1の信号の極性はフリップフロップFF1〜FF3を構成する回路の種類に応じて適宜選択する。
【0089】
図7(g)に示すノードN2の信号はフリップフロップFF1のQバー出力に生じる。ノードN2に生じる信号はPWM出力信号Spwmをカウントした信号である。重負荷時JFではクロック信号Clkを2分の1に分周した信号であり、軽負荷時KFに入り時刻t7〜t8はハイレベルHiを保持する。
【0090】
図7(h)に示すノードN3の信号はフリップフロップFF2のQバー出力に生じる。ノードN3に生じる信号はフリップフロップFF1のQバーに生じた信号を分周した信号であるので、重負荷時JFではノードN2の信号を2分の1に分周する信号となり、軽負荷時KFでは時刻t7以降はハイレベルHiを保持する。
【0091】
図7(i)に示すノードN4の信号は重負荷時JFではノードN3に生じる信号のハイレベルHiをラッチしたものと等しく成り、軽負荷時KFではローレベルLoを保持する。
【0092】
図7(j)に示すPWM出力信号Spwmは、PWMコンパレータCpwmから出力されるパルス幅変調信号である。PWM出力信号Spwmは誤差電圧Veとスロープ比較電圧Vsleとが交わるタイミングでハイレベルHiまたはローレベルLoとして表れ、パルス幅のデューティ比は軽負荷時KFと重負荷時JFで制御される。誤差電圧Veとスロープ比較電圧Vsleが交わるタイミングでPWMコンパレータCpwmの出力側にPWM出力信号として取り出される。
【0093】
図7(k)に示す負荷判定信号Vfhは、負荷判定回路FHから出力される。負荷判定信号Vfhは、負荷判定回路FHを構成する否定論理積回路NANDに入力されるノードN4の信号とクロック信号Clkとを否定論理積演算した結果の信号である。負荷判定信号Vfhの極性は重負荷時JFすなわち時刻t1〜tsはクロック信号Clkが出力され、軽負荷時KFで時刻t6以降はハイレベルHiになる。したがって、時刻t6以降はオフセット電圧生成回路OFFSETが常時オンされる。
【0094】
図7(k)に示すように負荷RLが重負荷時から軽負荷時に変化したときの負荷判定信号Vfhは、クロック信号ClkからハイレベルHiに切替えられるように制御される。これによって、オフセット電圧生成回路OFFSETは、重負荷時ではクロック信号Clkでオンオフされ、軽負荷時KFでは常時オンされる。こうした制御方法によって、PWMコンパレータCpwmに与えられるオフセット電圧は重負荷時と軽負荷時では異ならせしめスイッチングレギュレータ100全体の応答性と出力電圧Voutの安定性を確保している。
【0095】
なお、
図7(k)に示すように時刻tsで負荷RLが重負荷時JFから変化したときに負荷判定信号Vfhの切替わりは時刻tsと同時ではなく時刻t6で切替わる。したがって重負荷時JFから軽負荷時KFに変化する場合のマージン時間は時刻ts〜t6の時間と成り、クロック信号Clkの周期Tclkとほぼ同じ大きさになる。このマージン時間は前に説明した
図6でのマージン時間に比べると短いことが分かる。両者のマージン時間に違いが生じるのは
図4に示した負荷判定回路FHに入力される、PWM出力信号Spwm、逆電流検出信号Zc、ノードN4の信号及びクロック信号Clkのオンオフのタイミング、並びに否定論理積回路NANDの論理演算が関わってくるからである。
【0096】
図8は負荷判定回路FHを採用しないときと採用したときに、負荷RLが軽負荷から重負荷に切替わったときにPWMコンパレータCpwmに印加される電圧、信号と出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutの遷移を比較したシミュレーション結果である。
図8(a1)〜(a3)は負荷判定回路FHを採用しないときを、
図8(b1)〜(b3)はそれを採用したときをそれぞれ示す。以下、
図1を参照して両者について説明する。
【0097】
図8(a1)は、負荷判定回路FHを採用しないときに負荷RLに流れる負荷電流IRLを示す。電流ik,ijはそれぞれ軽負荷時及び重負荷時に負荷RLに流れる電流である。電流ikはシミュレーション上では零とし、電流ijは500(mA)としている。
図8(a1)は、時刻t1で負荷の大きさは急峻に軽負荷から重負荷に、または重負荷から軽負荷に切替わった状態を模式的に示す。このとき負荷電流IRLは電流ikから電流ijに、または電流ijから電流ikに急峻に切替わる状態を示す。
【0098】
図8(a2)は、PWMコンパレータCpwmの2つの入力端子に印加される誤差電圧Ve及びスロープ比較電圧Vsleを示す。時刻tsで負荷RLが軽負荷から重負荷に切替わったとき、誤差電圧Veの電圧レベルは軽負荷時では4.8V程度であったが、重負荷に切替わり、時刻tsから時間Δt1経過した時点での電圧レベルは4.4Vまで大きく下がり、その後の電圧レベルは少し上昇し時刻tsから時間Δt2経過し時点で電圧レベルは4.5Vでほぼ安定した。
図8(a2)に示した誤差電圧Veは軽負荷時から重負荷時に切替わると大きく変動することを表す。
【0099】
また
図8(a2)に示すように、スロープ比較電圧Vsleの上限値及び下限値は軽負荷時と重負荷時では少し異なり、かつその周期は軽負荷時では比較的粗く、すなわちその周波数は低くなるが、重負荷時での周期は一定になり、このときの周期はクロック信号Clkと同じである。
【0100】
図8(a3)は出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutを示す。出力電圧Voutは、
図8(a2)に示した誤差電圧Veに追随し大きく変動する。出力電圧Voutのレベルは、軽負荷時で1.85V程度であったが軽負荷から重負荷に切替わる時刻tsから経過時間Δt3が16μs経過したときに出力電圧Voutは1.15Vとなり軽負荷時に比べると0.7V低下し、その後は軽負荷時の1.85Vを超える1.95V程度まで上昇し続け、その後は急峻に下がり時刻t1からの経過時間Δt4が30μs経過した後にようやく軽負荷時の1.85Vと同じレベルで安定するという遷移を示した。出力電圧Voutの最大変動量は1.85Vから1.15Vまでの変動であるので変動率は40%程度であり極めて大きいものとなった。こうした事象は軽負荷時から重負荷時に負荷状態が切替わるときにスイッチングレギュレータ100の応答性及び安定性に不具合が生じていることにほかならない。
【0101】
図8(b1)は、負荷判定回路FHを採用したときに負荷RLに流れる負荷電流IRLを示す。電流ik,ijはそれぞれ軽負荷時及び重負荷時に負荷RLに流れる電流である。電流ikはシミュレーション上では零とし、電流ijは500(mA)としている。こうした条件は
図8(a1)〜(a3)に示す負荷判定回路FHを採用しないときと同じである。
図8(b1)は、
図8(a1)とまったく同じであり、時刻tsで負荷の大きさは急峻に軽負荷から重負荷に、または重負荷から軽負荷に切替わる状態を模式的に示す。このとき負荷電流IRLは電流ikから電流ijに、または電流ijから電流ikに急峻に切り替わる。
【0102】
図8(b2)は、PWMコンパレータCpwmの2つの入力端子に印加される誤差電圧Ve及びスロープ比較電圧Vsleを示す。時刻tsで負荷RLが軽負荷から重負荷に切替わったとき、誤差電圧Veの電圧レベルは軽負荷、重負荷に関わりなくほぼ4.5V程度であった。こうした状態は
図7(a2)に示した誤差電圧Veの電圧レベルの遷移とは大きく異なる。スロープ比較電圧Vsleは時刻tsからマージン時間tm遅れて生じる。マージン時間tmは負荷判定回路FHのフリップフロップFF1〜FF3で設定される。
【0103】
図8(b3)は、出力端子VOUTに出力される出力電圧Voutを示す。出力電圧Voutは、マージン時間tmである約4μsの間は0.04V程度低下したが、その後は軽負荷時である電圧レベルに瞬間に戻ることが確認できた。
【0104】
図8(b1)〜(b3)は負荷判定回路FHの特性を示したが、それを採用しない特性を示す
図8(a1)〜(a3)との比較から明らかなように、出力電圧Voutの変動量及び変動時間はそれぞれ0.04V,4μsであり、負荷判定回路FHを採用しないときの0.7V,30μsに比べていずれも小さな値を示し、スイッチングレギュレータ100の応答性及び出力電圧Voutの安定性が良化することが分かった。
【0105】
図9は本発明にかかる別のスイッチングレギュレータ100Aを示す。
図1に示したスイッチングレギュレータ100は、スイッチング信号帰還用トランジスタQ4及び抵抗R2を備えているが、スイッチングレギュレータ100Aはこれらの回路素子を備えていないことで異なる。
図1に示したスイッチングレギュレータ100はいわゆる電流モード形式であり、
図9に示したスイッチングレギュレータ100Aは電圧モード形式である。このためスイッチング信号帰還用トランジスタQ4用及び抵抗R2を設けていない。これらの回路素子以外については、スイッチングレギュレータ100Aは
図1に示した回路素子をすべて備える。
図9に示した電圧モード形式のスイッチングレギュレータ100Aにおいても、本発明にかかる負荷判定回路FH、逆電流検出回路ZC、及びオフセット電圧生成回路OFFSETを採用することで
図1に示した電流モード形式のスイッチングレギュレータと同じ効果を奏する。