(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スルーレート調整信号と前記デューティ調整信号を不揮発的に記憶する記憶部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電圧駆動型のオープンドレイン出力回路は、その回路構成上、スルーレートの調整幅が必ずしも広くないので、アプリケーションから要求されるEMIスペックに対して、柔軟に対応することができないという課題があった。
【0006】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の問題点に鑑み、スルーレート調整幅の広い信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示された信号処理装置は、入力信号に応じた第1パルス信号を生成するパルス生成部と、前記第1パルス信号に応じて出力信号を出力するオープンドレイン出力部と、を有し、前記オープンドレイン出力部は、スルーレート調整信号に応じて前記出力信号の立下りスロープを調整し、前記パルス生成部は、デューティ調整信号に応じて前記第1パルス信号のデューティを調整する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
上記第1の構成から成る信号処理装置において、前記オープンドレイン出力部は、出力トランジスタと、前記出力トランジスタのゲート・ドレイン間に接続されたキャパシタと、前記第1パルス信号に応じて前記キャパシタの充放電を行うゲート駆動部とを含む構成(第2の構成)するとよい。
【0009】
また、上記第2の構成から成る信号処理装置において、前記ゲート駆動部は、前記スルーレート調整信号に応じて前記キャパシタの充放電電流量を調整する構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る信号処理装置は、前記スルーレート調整信号と前記デューティ調整信号を不揮発的に記憶する記憶部をさらに有する構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る信号処理装置において、前記第1パルス信号は、前記入力信号に応じた発振周波数を持つ周波数信号である構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第5の構成から成る信号処理装置は、前記入力信号に応じたエンコード値を持つ第2パルス信号を生成する一線式インタフェイス部と、出力切替信号に応じて前記第1パルス信号と前記第2パルス信号の一方を選択パルス信号として選択出力するセレクタ部と、をさらに有し、前記オープンドレイン出力部は、前記選択パルス信号に応じて前記出力信号を出力する構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第6の構成から成る信号処理装置において、前記記憶部は、前記出力切替信号を不揮発的に記憶する構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第6または第7の構成から成る信号処理装置において、前記第2パルス信号は、SENT[single edge nibble transmission]フォーマットでエンコードされる構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、本明細書中に開示された電子機器は、入力信号を生成する信号源と、前記入力信号から出力信号を生成する上記第1〜第8いずれかの構成から成る信号処理装置と、前記出力信号の入力を受け付ける制御装置と、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0016】
なお、上記第9の構成から成る電子機器において、前記信号源はセンサである構成(第10の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スルーレート調整幅の広い信号処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<電子機器>
図1は、電子機器の一構成例を示すブロック図である。本構成例の電子機器1は、信号処理装置10と、センサ20と、制御装置30と、プルアップ抵抗40と、を有する。なお、本発明の適用対象となる電子機器1には、情報端末や家電機器といった狭義の電子機器だけでなく、車両や産業機械なども含まれている。
【0020】
信号処理装置10は、センサ20からのセンサ入力信号Vi(アナログ電圧信号)に応じたセンサ出力信号So(センサ入力信号Viに応じた発振周波数を持つ周波数信号、または、入力信号Viに応じたエンコード値を持つデジタル信号)を生成する半導体集積回路装置である。
【0021】
センサ20は、信号処理装置10の入力信号Viを生成する信号源に相当する。センサ20の一例としては、エアフローセンサ、圧力センサ、及び、電流センサなどを挙げることができる。
【0022】
なお、信号処理装置10及びセンサ20は、各々単独で提供されるものであってもよいし、単一のセンサモジュールとして1パッケージで提供されるものであってもよい。
【0023】
制御装置30は、センサ出力信号Soの入力を受け付けることにより、センサ20の測定結果(空気流量、圧力、または、電流量など)を取得する。
【0024】
プルアップ抵抗40は、センサ出力信号Soが出力される信号処理装置10のオープンドレイン出力端子を電源ラインにプルアップする。
【0025】
<信号処理装置>
次に、同じく
図1を参照しながら信号処理装置10の内部構成について詳述する。本構成例の信号処理装置10には、フィルタ部11と、温度検出部12と、アナログ/デジタル変換部13a及び13bと、ロジック部14と、パルス生成部15と、一線式インタフェイス部16と、セレクタ部17と、オープンドレイン出力部18と、記憶部19が集積化されている。また、本図では明示されていないが、信号処理装置10には、上記回路ブロック以外にも、電源部、センサ駆動部、及び、メモリインタフェイス部などが集積化されている。
【0026】
フィルタ部11は、センサ入力信号Viに重畳するノイズ成分(高周波成分)を除去することにより、フィルタリング済みのアナログ入力信号S1を生成する。フィルタ部11としては、ローパスフィルタなどを好適に用いることができる。
【0027】
温度検出部12は、信号処理装置10の内部温度(pnジャンクション温度)に応じたアナログ温度信号S2を生成する。なお、温度検出部12に代えて、または、温度検出部12と共に、信号処理装置10の外部温度(センサ20の周囲温度)を検出する外部温度検出部を使用することも可能である。
【0028】
アナログ/デジタル変換部13aは、アナログ入力信号S1をデジタル入力信号S3に変換する。アナログ/デジタル変換部13bは、アナログ温度信号S2をデジタル温度信号S4に変換する。なお、アナログ/デジタル変換部13a及び13bは、多入力多出力型のアナログ/デジタル変換部に一元化してもよい。
【0029】
ロジック部14は、補正演算回路100とパルスカウント数設定回路200とを含み、デジタル入力信号S3及びデジタル温度信号S4の入力を受けて、デジタル出力信号S5及びパルスカウント数設定信号S6を生成する。なお、本図においては、説明の便宜上、補正演算回路100及びパルスカウント数設定回路200が各々独立の回路ブロックとしてハードウェア的に実装されているかのように描写されているが、補正演算回路100及びパルスカウント数設定回路200は、いずれも、ロジック部14でのデジタル処理によってソフトウェア的に実装されるものである。
【0030】
補正演算回路100は、デジタル入力信号S3に種々の補正処理(ゲイン温度特性補正処理、オフセット温度特性補正処理、及び、ゲイン/オフセット絶対値補正処理(電圧/周波数変換処理))を施すことにより、デジタル出力信号S5を生成する。なお、上記補正処理時には、デジタル温度信号S4や第1補正パラメータS10が適宜参照される。
【0031】
パルスカウント数設定回路200は、デジタル出力信号S5(センサ入力信号Viに応じた周波数値)に応じたパルスカウント数設定信号S6を生成する。その際、パルスカウント数設定回路200は、第1パルス信号S7の周波数温度特性をキャンセルするようにパルスカウント数設定信号S6を補正する。なお、上記補正処理時には、デジタル温度信号S4や第2補正パラメータS11が適宜参照される。
【0032】
パルス生成部15は、パルスカウント数設定信号S6に応じて基準クロック信号CLK(本図では不図示)のパルス数をカウントすることにより、第1パルス信号S7を生成する。なお、パルス生成部15は、デューティ調整信号S12に応じて第1パルス信号S7のデューティを調整する機能も備えている。
【0033】
一線式インタフェイス部16は、デジタル出力信号S5に応じて一線式の通信フォーマット(例えば1−wireやSENT[single edge nibble transmission]フォーマット)に準じた第2パルス信号S8を生成する。
【0034】
セレクタ部17は、出力切替信号S13に応じて第1パルス信号S7と第2パルス信号S8の一方を選択パルス信号S9として選択出力する。より具体的に述べると、センサ出力信号Soとして、センサ入力信号Viに応じた発振周波数を持つ周波数信号を出力する場合には、第1パルス信号S7が選択パルス信号S9として選択出力される。一方、センサ出力信号Soとして、入力信号Viに応じたエンコード値を持つデジタル信号を出力する場合には、第2パルス信号S8が選択パルス信号S9として選択出力される。
【0035】
オープンドレイン出力部18は、選択パルス信号S9に応じてセンサ出力信号Soを生成する。なお、オープンドレイン出力部18は、スルーレート調整信号S14に応じてセンサ出力信号Soの立上り/立下りスロープを調整する機能も備えている。
【0036】
記憶部19は、第1補正パラメータS10、第2補正パラメータS11、デューティ調整信号S12、出力切替信号S13、及び、スルーレート調整信号S14を不揮発的に記憶する。なお、記憶部19としては、OTPROM[one time programmable read-only memory]、EEPROM[electrically erasable programmable ROM]、ないしは、フラッシュメモリなどを好適に用いることができる。一般的な不揮発メモリ(EEPROMやフラッシュメモリ)は、フローティングゲートに電子を貯めることでデータ(0/1)を記憶するが、OTPROMは、サイドウォールに電子を貯めてデータ(0/1)を記憶する。サイドウォールは絶縁体なので、一旦電子が格納されると抜けにくく、フローティングゲートタイプと比較して保持特性に優れている。
【0037】
<オープンドレイン出力部(第1構成例)>
図2は、オープンドレイン出力部18の第1構成例を示すブロック図である。第1構成例のオープンドレイン出力部18は、出力トランジスタ181と、電圧駆動型のゲート駆動部182と、を含む。
【0038】
出力トランジスタ181は、ゲート信号G1に応じてオン/オフされるNチャネル型MOS[metal-oxide-semiconductor]電界効果トランジスタである。出力トランジスタ181のドレインは、センサ出力信号Soの出力端に相当し、プルアップ抵抗40を介して電源ラインに接続されている。出力トランジスタ181のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。出力トランジスタ181のゲートは、ゲート駆動部182の出力端(ゲート信号G1の印加端)に接続されている。
【0039】
ゲート駆動部182は、選択パルス信号S9に応じてゲート信号G1の電圧駆動を行う回路ブロックであり、デジタルローパスフィルタ部182aと、デジタル/アナログ変換部182bと、アナログローパスフィルタ部182cと、を含む。
【0040】
デジタルローパスフィルタ部182aは、セレクタ部17から入力される選択パルス信号S9に対してデジタルローパスフィルタ処理を施す。
【0041】
デジタル/アナログ変換部182bは、デジタルローパスフィルタ部182aで生成されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0042】
アナログローパスフィルタ部182cは、デジタル/アナログ変換部182bで生成されたアナログ信号に対してアナログローパスフィルタ処理を施すことにより、出力トランジスタ181のゲート信号G1を生成する。
【0043】
なお、上記一連のフィルタ処理によって生成されたゲート信号G1は、選択パルス信号S9の立上り/立下りスロープを鈍らせた電圧信号となる。
【0044】
第1構成例のオープンドレイン出力部18では、デジタルローパスフィルタ部182a及びアナログローパスフィルタ部182cの次数ないしはカットオフ周波数を可変制御することにより、ゲート信号G1(延いてはセンサ出力信号So)の立上り/立下りスロープを任意に調整することが可能である。
【0045】
ただし、第1構成例のオープンドレイン出力部18では、その回路構成上、スルーレートの調整幅が必ずしも広くないので、アプリケーションから要求されるEMIスペックに対して、柔軟に対応することができない場合があり、さらなる改善の余地を残している。
【0046】
<オープンドレイン出力部(第2構成例)>
図3は、オープンドレイン出力部18の第2構成例を示した回路図である。第2構成例のオープンドレイン出力部18は、第1構成例(
図2)で採用されていた電圧駆動型のゲート駆動部182に代えて、キャパシタ183と、電流駆動型のゲート駆動部184と、を含んでいる。
【0047】
キャパシタ183は、出力トランジスタ181のゲートとドレインとの間に接続されており、ゲート駆動部184で生成される充電電流I1と放電電流I2を用いて、その充放電が行われる。従って、ゲート信号G1は、充電電流I1及び放電電流I2の電流値と、キャパシタ183の容量値に応じて、その立上り/立下りスロープが鈍ったものとなる。
【0048】
ゲート駆動部184は、選択パルス信号S9に応じてキャパシタ185の充電電流I1及び放電電流I2を生成する回路ブロックであり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1〜P4と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1〜N3と、電流源CS1と、を含む。
【0049】
トランジスタP1及びN1のゲートは、いずれも選択パルス信号S9の入力端に接続されている。トランジスタP1及びN1のドレインは、いずれも出力トランジスタ181のゲートに接続されている。トランジスタP1のソース及びバックゲートは、いずれもトランジスタP4のドレインに接続されている。トランジスタN1のソース及びバックゲートは、いずれもトランジスタN3のドレインに接続されている。このように、トランジスタP1及びN1は、選択パルス信号S9を論理反転させてゲート信号G1を生成するインバータ段を形成している。
【0050】
トランジスタP2〜P4のソース及びバックゲートは、いずれも電源端に接続されている。トランジスタP2〜P4のゲートは、いずれもトランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタP2のドレインは、電流源CS1を介して接地端に接続されている。このように、トランジスタP2〜P4は、電流源CS1で生成されるバイアス電流Ibiasから、第1ミラー電流I0と第2ミラー電流I1(充電電流I1に相当)を生成する第1カレントミラーを形成している。
【0051】
トランジスタN2及びN3のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタN2及びN3のゲートは、いずれもトランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタN2のドレインは、トランジスタP3のドレインに接続されている。このように、トランジスタN2及びN3は、トランジスタP3に流れる第1ミラー電流I0(延いてはバイアス電流Ibias)から、第3ミラー電流I2(放電電流I2に相当)を生成する第2カレントミラーを形成している。
【0052】
第2構成例のオープンドレイン出力部18であれば、スルーレート調整信号S14に応じてバイアス電流Ibiasの電流量を可変制御することにより、ゲート駆動部184の電流出力能力(充電電流I1及び放電電流I2の電流量)を増減することができるので、ゲート信号G1(延いてはセンサ出力信号So)の立下りスロープを任意に調整することが可能となる。
【0053】
図4は、センサ出力信号Soの波形図である。なお、本図の(A)欄には周波数信号出力時(第1パルス信号S7の選択出力時)の波形が描写されており、本図の(B)欄にはSENT信号出力時(第2パルス信号S8の選択出力時)の波形が描写されている。
【0054】
本図で示したように、第2構成例のオープンドレイン出力部18であれば、スルーレート調整信号S14に応じてバイアス電流Ibiasを可変制御することにより、センサ出力信号Soの立下りスロープを任意に調整することが可能である。
【0055】
従って、電圧駆動型の第1構成例(
図2)と異なり、オープンドレイン出力部18に入力される選択パルス信号S9の高周波成分について何らケアする必要がなくなる。また、第1構成例(
図2)のデジタルローパスフィルタ部182a、デジタル/アナログ変換部182b、及び、アナログローパスフィルタ部182cがいずれも不要となるので、オープンドレイン出力部18の回路規模を縮小することが可能となる。また、第1構成例(
図2)と異なり、選択パルス信号S9がデジタル/アナログ変換部182bを通過しないので、デジタル/アナログ変換処理時に発生するノイズ成分を考慮する必要もなくなる。
【0056】
さらに、先にも少し触れたように、周波数信号出力時(第1パルス信号S7の選択出力時)に用いられるパルス生成部15は、デューティ調整信号S12に応じて第1パルス信号S7(延いてはセンサ出力信号So)のオンデューティDon(周期Tに占めるオン期間Tonの割合:Don=Ton/T)を調整する機能を備えている。
【0057】
例えば、第1パルス信号S7のオンデューティDonを小さく設定するほど、センサ出力信号Soのオフ期間Toffが相対的に延びる。従って、オープンドレイン出力部18では、センサ出力信号Soの立下りスロープをより緩やかに設定することができるようになるので、EMI対策の効果をさらに高めることが可能となる。
【0058】
このように、周波数信号出力時(第1パルス信号S7の選択出力時)には、オープンドレイン出力部18でのスルーレート調整と、パルス生成部15でのデューティ調整とを併用することにより、センサ出力信号Soの立下りスロープを極めて広い範囲で任意に調整することができる。従って、アプリケーション毎にプルアップ抵抗40の外付け条件(抵抗値)が大きく異なる場合であっても、アプリケーションから要求されるEMIスペックに対して柔軟に対応することが可能となる。
【0059】
また、周波数信号出力時(第1パルス信号S7の選択出力時)と、SENT信号出力時(第2パルス信号S8の選択出力時)では、センサ出力信号Soの発振周波数が大きく異なっている。具体的に述べると、第1パルス信号S7の発振周波数は10kHz程度であるが、第2パルス信号S8の発振周波数は30kHz程度であり、約3倍もの差がある。そのため、SENT信号出力時には、周波数信号出力時よりもバイアス電流Ibiasを多く流してセンサ出力信号Soの立下りスロープを急峻に設定する必要がある。
【0060】
例えば、周波数信号出力時にはバイアス電流Ibiasを1〜6μAで可変制御し、SENT信号出力時にはバイアス電流Ibiasを3〜8μAで可変制御すればよい。このように、センサ出力信号Soの発振周波数に応じてバイアス電流Ibiasの可変範囲をシフトさせることにより、単一のオープンドレイン出力部18を用いて周波数信号出力とSENT信号出力の両方に対応することができるので、回路面積の縮小に寄与することが可能となる。
【0061】
また、デューティ調整信号S12、出力切替信号S13、及び、スルーレート調整信号S14をいずれも記憶部19で不揮発的に格納しておくことにより、信号処理装置10の回路構成を何ら変更することなく、様々なアプリケーション(EMIスペックやセンサ出力形式など)への適用が可能となる。
【0062】
<SENTフォーマット>
一線式データ通信では、デジタルデータをそのまま制御装置30に転送することができるので、センサ出力信号Soの精度を高めることが可能となる。また、一線式データ通信は片方向通信なので、制御装置30との接続認証が必要なく、制御装置30の負荷が少ない。以下では、一例として、一線式データ通信で用いられるSENTフォーマットについて補足的に説明しておく。
図5は、SENTフォーマット(基本フォーマット)を示す図である。
【0063】
SENTフォーマットは、単位周期(1UT)が3μs±20%(f=333.3kHz)の基本クロック信号に同期して規定されるものであり、同期/較正パルス、ステータスニブル(4ビット)、データニブル(4ビット)×6パケット、及び、CRC[cyclic redundancy check]ニブル(4ビット)が各ニブル単位で順次送信される。
【0064】
同期/較正パルス(SYNC)は、そのロー区間が5クロック長(5UT=15μs)以上であり、トータルで56クロック長(56UT=168μs)となるように出力される。ホスト側では、同期/較正パルスが56クロック長(56UT)を超えている場合に通信NGの判定を下す。
【0065】
6パケット分のデータニブル(S1D1、S1D2、S1D3、S2D1、S2D2、S2D3)について、SENTフォーマットの規格では、前半3パケット(S1D1〜S1D3)を12ビットの第1データ信号とし、後半3パケット(S2D1〜S2D3)を同じく12ビットの第2データ信号としているが、データ信号の切り分けは任意である。
【0066】
例えば、前半4パケット(S1D1〜S2D1)を16ビットの第1データ信号とし、後半2パケット(S2D2〜S2D3)を8ビットの第2データ信号としてもよい。或いは、全6パケット(S1D1〜S2D3)を24ビットの単一データ信号としてもよい。若しくは、2パケットずつ3系統のデータ信号(8ビット)に切り分けてもよい。このように、データ信号の切り分けは、センサ30に応じて自由に変更することが可能である。
【0067】
図6は、ニブルのパルスフォーマットを示す図である。各ニブル(ステータスニブル、データニブル、及び、CRCニブル)は、5クロック長(5UT=15μs)以上のローパルスと12クロック目以降のデータパルスとで構成されている。データパルスの幅は、4ビットのニブル値N(N=0〜15)に応じて、0クロック長(0UT)〜15クロック長(15UT)の範囲で変化する。従って、各ニブルのトータル長は、(12+N)クロック長((12+N)UT)で表される可変値となる。
【0068】
次に、ホスト側のデータ受け取り方法について説明する。ホストは、データパルスの幅を監視してデータパルス長(ニブル値N)を決定する。このとき、ホストは、まず、同期/較正パルス長(SYNC)を理想値(=56UT)で除算して較正値Rcalを算出する。そして、データニブルのハイレベル長(=(12+N)UT)を較正値Rcalで除算することにより、理想クロック基準の正規化を行った後、12クロック長(12UT)を差し引いてデータパルス長(ニブル値N)を決定する。
【0069】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。