特許第6404025号(P6404025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404025
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】エレベータ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20181001BHJP
   B66B 1/42 20060101ALI20181001BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B66B5/00 A
   B66B1/42 Z
   B66B11/02 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-155919(P2014-155919)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33069(P2016-33069A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年1月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】柏木 亮一
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−297776(JP,A)
【文献】 特開2001−39652(JP,A)
【文献】 特開2012−184042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − 5/02
B66B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごと、
ロープが接続される上枠および前記上枠から下方に延びて設けられ高さ方向に伸縮可能な縦枠を有し、前記かごを支持するかご枠と、
前記縦枠を伸縮させる伸縮装置と
を備え、
前記縦枠が伸縮することによって、前記かごが前記上枠に対して高さ方向に移動し、
前記縦枠は、前記上枠に対して固定された上枠側固定部と、前記かごに対して固定され、前記上枠側固定部に対して高さ方向にスライド可能なかご側固定部とを有し、
前記伸縮装置は、前記上枠側固定部に固定され高さ方向に延びたラックと、前記かごまたは前記かご側固定部に設けられ、前記ラックと噛み合うギヤと、前記ギヤを回転させる回転装置とを有し、
前記回転装置は、前記ギヤの回転を規制する規制位置と前記ギヤの規制が解除される解除位置との間で変位するストッパと、前記ストッパを変位させる変位装置とを含み、
前記伸縮装置は、前記ストッパが前記規制位置から前記解除位置に変位する場合に、前記かごの自重により前記縦枠を伸長させることを特徴とするエレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かごが昇降路を昇降するエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かごと、かごに接続されたロープと、ロープが巻き掛けられ、回転することによって、かごを走行させる巻上機と、巻上機の駆動を制御する制御装置とを備え、かごが階間に停止した場合に、かご内の乗客がかご操作盤の操作釦を操作することによって、制御装置がかごを最寄階まで走行させるエレベータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−359405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、巻上機が駆動できない場合には、かごを最寄階まで走行させることができないという問題点があった。
【0005】
この発明は、かごが階間に停止した場合に、かごを最寄階までより確実に走行させることができるエレベータ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ装置は、かごと、ロープが接続される上枠および上枠から下方に延びて設けられ高さ方向に伸縮可能な縦枠を有し、かごを支持するかご枠と、縦枠を伸縮させる伸縮装置とを備え、縦枠が伸縮することによって、かごが上枠に対して高さ方向に移動し、縦枠は、上枠に対して固定された上枠側固定部と、かごに対して固定され、上枠側固定部に対して高さ方向にスライド可能なかご側固定部とを有し、伸縮装置は、上枠側固定部に固定され高さ方向に延びたラックと、かごまたはかご側固定部に設けられ、ラックと噛み合うギヤと、ギヤを回転させる回転装置とを有し、回転装置は、ギヤの回転を規制する規制位置とギヤの規制が解除される解除位置との間で変位するストッパと、ストッパを変位させる変位装置とを含み、伸縮装置は、ストッパが規制位置から解除位置に変位する場合に、かごの自重により縦枠を伸長させる。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ装置によれば、かご枠の縦枠を伸縮させることによって、かごが上枠に対して高さ方向に移動する。その結果、かごが階間に停止した場合に、かご枠の縦枠を伸縮させることによって、かごを最寄階により確実に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示す正面図である。
図2図1のエレベータ装置の要部を示す拡大図である。
図3図2のエレベータ装置を示す側面図である。
図4図1のかごが最寄階の乗場に到達した状態のエレベータ装置を示す正面図である。
図5】この発明の実施の形態2に係るエレベータ装置を示す正面図である。
図6図5のエレベータ装置の要部を示す拡大図である。
図7図5のかごの出入口を示す正面図である。
図8】この発明の実施の形態3に係るエレベータ装置を示すブロック図である。
図9図8のエレベータ装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示す正面図、図2図1のエレベータ装置の要部を示す拡大図、図3図2のエレベータ装置を示す側面図である。図において、エレベータ装置は、昇降路を昇降するかご1と、上枠21および一対の縦枠22を有し、かご1を支持するかご枠2と、縦枠22を伸縮させる伸縮装置3とを備えている。
【0010】
かご1は、かご床11と、かご床11に立てられた側壁12とを有している。
【0011】
上枠21は、かご1の上方に設けられている。上枠21には、かご1を昇降させるためのロープ(図示せず)が接続されている。上枠21は、かご1の幅方向に延びて配置されている。それぞれの縦枠22は、高さ方向に延びて配置されている。一対の縦枠22は、かご1の幅方向に離れて配置されている。また、それぞれの縦枠22は、上枠21とかご床11とに接続されている。
【0012】
縦枠22は、上枠21に対して固定された上枠側固定部221と、かご床11に対して固定されたかご側固定部222とを有している。かご側固定部222は、上枠側固定部221に対して高さ方向にスライド可能となっている。
【0013】
伸縮装置3は、上枠側固定部221に固定され高さ方向に延びたラック301と、かご1に回転可能に設けられ、ラック301と噛み合うギヤ302と、ギヤ302を回転させる回転装置303とを有している。なお、ギヤ302は、かご1に限らず、かご側固定部222に設けてもよい。
【0014】
回転装置303は、かご1内の乗客によって操作される無端状のチェーン304と、チェーン304の動力をギヤ302に伝達する動力伝達装置305とを有している。動力伝達装置305は、チェーン304の循環移動によって回転するシーブ306と、シーブ306と同軸上に設けられ、シーブ306とともに回転する第1歯車307と、ギヤ302と同軸上に設けられ、ギヤ302とともに回転する第2歯車308とを有している。第1歯車307および第2歯車308は、互いに噛み合っている。したがって、第1歯車307が回転することによって、第2歯車308が回転する。
【0015】
チェーン304は、かご1の外に配置されている。かご1には、操作口(図示せず)が形成されている。かご1は、操作口を開閉する開閉ドア(図示せず)を有している。操作口が開いている場合、かご1内の乗客は、チェーン304を操作することが可能となる。
【0016】
次に、エレベータ装置の動作について説明する。図4図1のかご1が最寄階の乗場に到達した状態のエレベータ装置を示す正面図である。かご1が階間に停止すると、かご1の操作口が開く。その後、かご1内の乗客は、チェーン304を循環移動させる。これにより、かご1が走行する。かご1が最寄階の乗場4に到達した場合に、かご1のかご操作盤に設けられた戸開釦(図示せず)が点灯する。その後、かご1内の乗客は、戸開釦を操作する。これにより、エレベータ出入口が開き、かご1内の乗客がかご1から乗場4に移動する。以上により、エレベータ装置の動作が終了する。
【0017】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置によれば、かご枠2の縦枠22を伸縮させることによって、かご1が上枠21に対して高さ方向に移動する。その結果、かご1が階間に停止した場合に、かご枠2の縦枠22を伸縮させることによって、かご1を最寄階により確実に走行させることができる。
【0018】
また、縦枠22は、上枠21に対して固定された上枠側固定部221と、かご1に対して固定され、上枠側固定部221に対して高さ方向にスライド可能なかご側固定部222とを有し、伸縮装置3は、上枠側固定部221に固定され高さ方向に延びたラック301と、かご1に設けられ、ラック301と噛み合うギヤ302と、ギヤ302を回転させる回転装置303とを有しているので、回転装置303がギヤ302を回転させることによって、かご1を簡単に走行させることができる。
【0019】
また、回転装置303は、かご1内の乗客によって操作されるチェーン304を有し、チェーン304が操作され、チェーン304の動力がギヤ302に伝達されることによって、ギヤ302が回転するので、停電が発生した場合であっても、かご1内の乗客がチェーン304を操作することによって、かご1を最寄階に走行させることができる。
【0020】
なお、上記実施の形態1では、回転装置303が、チェーン304を有する構成について説明したが、これに限らず、ギヤ302を回転させるモータを有する構成であってもよい。この場合、回転装置303は、モータと、モータの動力をギヤ302に伝達する動力伝達装置とを有する。
【0021】
また、上記実施の形態1では、かご1を下降させることによって、かご1を最寄階に走行させる場合について説明したが、かご1を上昇させることによって、かご1を最寄階に走行させてもよい。
【0022】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ装置を示す正面図、図6図5のエレベータ装置の要部を示す拡大図である。縦枠22は、上枠21に対して固定された一対の上枠側固定部221と、かご1に対して固定されたかご側固定部222と、上枠側固定部221の下端部に設けられたストッパ223とを有している。ストッパ223は、上枠側固定部221に対するかご側固定部222の下方への移動を規制する。
【0023】
伸縮装置3は、それぞれの上枠側固定部221に固定され高さ方向に延びた一対のラック301と、かご1に設けられ、ラック301と噛み合う複数のギヤ302と、ギヤ302を回転させる回転装置303とを有している。なお、ギヤ302は、かご1に限らず、かご側固定部222に設けてもよい。
【0024】
回転装置303は、ギヤ302の回転を規制する規制位置とギヤ302の規制が解除される解除位置との間で変位するストッパ309と、ストッパ309を変位させるストッパ変位装置310とを有している。ストッパ変位装置310は、ストッパ309を規制位置に付勢する圧縮ばね311と、一端部がストッパ309に接続されたワイヤ312とを有している。
【0025】
図7図5のかご1の出入口を示す正面図である。ストッパ変位装置310は、かご1のかご操作盤に設けられワイヤ312の他端部が接続されたワイヤ操作装置313をさらに有している。かご1内の乗客がワイヤ操作装置313を操作することによって、ワイヤ312が変位して、ストッパ309が規制位置から解除位置に変位する。
【0026】
伸縮装置3は、ストッパ309が規制位置から解除位置に変位する場合に、かご1の自重により縦枠22を伸長させる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0027】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ装置によれば、回転装置303は、ギヤ302の回転を規制する規制位置とギヤ302の規制が解除される解除位置との間で変位するストッパ309と、ストッパ309を変位させるストッパ変位装置310とを有し、伸縮装置3は、ストッパ309が規制位置から解除位置に変位する場合に、かご1の自重により縦枠22を伸長させるので、ストッパ変位装置310がストッパ309を規制位置から解除位置に変位させることによって、かご1を簡単に走行させることができる。
【0028】
また、ストッパ変位装置310は、ストッパ309を規制位置に付勢する圧縮ばね311と、一端部がストッパ309に接続されたワイヤ312と、かご1のかご操作盤に設けられワイヤ312の他端部が接続されたワイヤ操作装置313を有しているので、かご1内の乗客がワイヤ操作装置313を操作することによって、ストッパ309を簡単に変位させることができる。
【0029】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3に係るエレベータ装置を示すブロック図である。回転装置303は、ストッパ309を変位させるストッパ変位装置314と、ストッパ変位装置314の駆動を制御するストッパ制御装置315とを有している。ストッパ変位装置314は、モータ(図示せず)を有している。ストッパ制御装置315は、モータへの電力の供給を制御することによって、ストッパ変位装置314の駆動を制御する。ストッパ制御装置315は、エレベータ制御盤(図示せず)との間で通信が可能となっている。したがって、ストッパ制御装置315には、エレベータ制御盤から、かご1が階間に停止しているか否かの情報、安全装置が正常であるか否かの情報、地震感知器が地震を感知しているか否かの情報およびかご1がドアゾーンにあるか否かの情報を取得することが可能となっている。その他の構成は、実施の形態2と同様である。ここで、ドアゾーンとは、エレベータ出入口を開いても問題がないと考えらえるかご1の位置である。なお、かご1がドアゾーンにあるか否かの情報は、停電時自動着床装置から受信してもよい。停電時自動着床装置は、バッテリを備えている。停電時自動着床装置のバッテリは、ストッパ変位装置314にも接続されている。したがって、停電が発生した場合であっても、ストッパ変位装置314によるストッパ309の変位が可能である。
【0030】
次に、エレベータ装置の動作について説明する。図9図8のエレベータ装置の動作を示すフローチャートである。まず、ストッパ制御装置315は、かご1が階間に停止しているか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101でかご1が階間に停止していないと判定されると、ステップS101が繰り返される。
【0031】
一方、ステップS101で、かご1が階間に停止していると判定されると、ストッパ制御装置315は、安全装置が正常であるか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102で安全装置が正常ではないと判定されると、そのままエレベータ装置の動作が終了する。
【0032】
一方、ステップS102で安全装置が正常であると判定されると、ストッパ制御装置315は、地震感知器が地震を感知しているか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103で地震感知器が地震を感知していると判定されると、そのままエレベータ装置の動作が終了する。
【0033】
一方、ステップS103で地震感知器が地震を感知していないと判定されると、ストッパ制御装置315は、ストッパ309を規制位置から解除位置に変位させる(ステップS104)。これにより、かご1の走行が開始する。
【0034】
その後、ストッパ制御装置315は、かご1がドアゾーンに到達したか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105でかご1がドアゾーンに到達していないと判定されると、ステップS105が繰り返される。一方、ステップS105でかご1がドアゾーンに到達したと判定されると、ストッパ制御装置315は、ストッパ309を解除位置から規制位置に変位させる(ステップS106)。その後、エレベータ出入口が開き、かご1内の乗客がかご1から乗場4に移動する。以上により、エレベータ装置の動作が終了する。
【0035】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るエレベータ装置によれば、回転装置303は、ギヤ302の回転を規制する規制位置とギヤ302の規制が解除される解除位置との間で変位するストッパ309と、モータを有しストッパ309を変位させるストッパ変位装置314と、ストッパ変位装置314の駆動を制御するストッパ制御装置315とを有し、伸縮装置3は、ストッパ309が規制位置から解除位置に変位する場合に、かご1の自重により縦枠22を伸長させるので、ストッパ制御装置315がストッパ変位装置314にストッパ309を規制位置から解除位置に変位させることによって、かご1内の乗客が作業することなく、かご1を簡単に走行させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 かご、2 かご枠、3 伸縮装置、4 乗場、11 かご床、12 側壁、21 上枠、22 縦枠、221 上枠側固定部、222 かご側固定部、223 ストッパ、301 ラック、302 ギヤ、303 回転装置、304 チェーン、305 動力伝達装置、306 シーブ、307 第1歯車、308 第2歯車、309 ストッパ、310 ストッパ変位装置、311 圧縮ばね、312 ワイヤ、313 ワイヤ操作装置、314 ストッパ変位装置、315 ストッパ制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9