(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404037
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】可動盤支持装置、可動盤、開閉装置および成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/64 20060101AFI20181001BHJP
B22D 17/26 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
B29C45/64
B22D17/26 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-171789(P2014-171789)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-43666(P2016-43666A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】木 下 征 士
(72)【発明者】
【氏名】橘 田 英 晃
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宜 之
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−125933(JP,A)
【文献】
特開2009−262514(JP,A)
【文献】
特開2009−101529(JP,A)
【文献】
特開2015−071278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
B22D 15/00−17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動金型が取り付けられる可動盤の移動方向に沿ってフレーム上に延びるレールに移動自在に係合する案内機構を備え、
前記案内機構は、複数のブロックを有し、前記移動金型を取り付けた前記可動盤から受ける荷重負荷の分布に応じて定格荷重の異なるブロックが配置されることを特徴とする可動盤支持装置。
【請求項2】
前記案内機構は、前記移動金型を取り付けた前記可動盤から受ける荷重負荷が大きい箇所には定格荷重が大きいブロックを配置し、前記移動金型を取り付けた前記可動盤から受ける荷重負荷が小さい箇所には定格荷重が小さいブロックを配置することを特徴とする請求項1に記載の可動盤支持装置。
【請求項3】
移動金型が取り付けられる本体部と、
案内機構を有し、前記本体部を支持する本体部支持装置と、を備え、
前記案内機構は、複数のブロックを有し、
前記移動金型を取り付けた前記本体部から受ける荷重負荷の分布に応じて定格荷重の異なるブロックが配置されることを特徴とする可動盤。
【請求項4】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる可動盤と、
金型の開閉を行う開閉機構と、
請求項1または2に記載の可動盤支持装置と、
を備えることを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉装置を備えることを特徴とする成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、射出成形機等の成形装置における型締装置等において、可動盤を支持し移動を案内する可動盤支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機やダイカストマシン等の成形装置は、固定金型と移動金型とを有する金型を取り付ける型締装置と、射出装置と、を備えている。型締装置は、固定金型が取り付けられる固定プラテンと、移動金型が取り付けられる移動プラテンと、を備えている。型締装置には、種々の形式のものがあるが、代表的なものとしては、電動駆動されるトグルリンク機構の屈伸によって、タイバーに沿って移動プラテンを進退動させ、金型の型閉じ、型締めおよび型開を行うトグル式型締装置が知られている。
【0003】
この種の型締装置では、移動プラテンは、タイバーに沿って円滑に進退動できるように、プラテン支持装置を介して成形装置のフレーム上に支持されている。移動プラテンに移動金型が取り付けられている状態では、タイバーには大きな荷重がかかり、タイバーは下方へわずかながら撓むことがある。この場合、取り付けられる移動金型の重量が金型交換によって変化すると、タイバーの下方への撓み量(以下、「沈込み量」という。)は変化する。
【0004】
このようなタイバーの撓みを防止するため、例えば、特許文献1では、プラテン支持装置としてガイドレールに沿ってスライドするリニアガイドを用いることによって、移動プラテンの重量を支えている。これによって、タイバーに荷重がかからないようにすることで、移動プラテンの円滑な進退運動を確保するとともに、タイバーの撓みを防止している。
【0005】
また、特許文献1のプラテン支持装置では、型締めの際にトグルリンク機構から大きな力を受けた移動プラテンに曲げモーメントが発生することの対策として、移動プラテンの下端部に弾性的に取り付けられた取付ブロックを介してリニアガイドを固定することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−71894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、移動プラテンに移動金型を取り付けた状態では、移動金型の重量によって移動プラテンには倒れる方向にモーメントが働く。リニアガイドを用いて移動プラテンを支持する従来のプラテン支持装置では、このモーメントが考慮されていなかった。このため、リニアガイドの剛性が足りない場合には、モーメントの作用によって、その走行寿命が損なわれてしまうという問題がある。
【0008】
また、リニアガイドは、移動プラテンの荷重を受けるところ、走行寿命を考慮すれば、定格荷重の大きな高価なリニアガイドを用いることが好ましい。しかし、1列のガイドレールに配置された複数のリニアガイドでは、一様な荷重がかかるわけでもないにもかかわらず、同一仕様のリニアガイドが用いられており、走行寿命向上の費用対効果の観点で問題があった。
【0009】
本発明は、前記従来技術に係る問題点に鑑みなされたものであって、リニアガイドの走行寿命の確保と、可動盤に作用するモーメントを考慮した必要十分な剛性の確保と、を必要最小限のリニアガイドで両立させることができる可動盤支持装置、可動盤、開閉装置および成形装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明による可動盤支持装置は、移動金型が取り付けられる可動盤の移動方向に沿ってフレーム上に延びるレールに移動自在に係合する案内機構を備え、 前記案内機構は、複数のブロックを有し、
前記移動金型を取り付けた前記可動盤から受ける荷重負荷の分布に応じて定格荷重の異なるブロックが配置されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明による可動盤は、移動金型が取り付けられる本体部と、案内機構を有し、前記本体部を支持する本体部支持装置と、を備え、前記案内機構は、複数のブロックを有し、
前記移動金型を取り付けた前記本体部から受ける荷重負荷の分布に応じて定格荷重の異なるブロックが配置されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明による開閉装置は、固定金型が取り付けられる固定盤と、移動金型が取り付けられる可動盤と、金型の開閉を行う開閉機構と、上記に記載の可動盤支持装置と、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明による成形装置は、上記に記載の開閉装置を備えることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による可動盤支持装置が適用される型締装置を示す側面図である。
【
図3】移動プラテンに金型を搭載した時の静荷重分布と、リニアガイド装置のガイドブロック配列との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による可動盤支持装置、可動盤、開閉装置および成形装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明が適用される射出成形機(成形装置)の型締装置を示す。この
図1において、参照番号10は、型締装置の全体を示している。
【0016】
型締装置(開閉装置、型開閉装置)10は、例えば、フレーム11の前方側に固定された固定プラテン12と、フレーム11の後方側に設置されているリンクハウジング(受圧盤)14と、固定プラテン12とリンクハウジング14の間に移動自在に設置されている移動プラテン(可動盤)16と、を備えている。参照番号17は金型を示している。このうち、固定プラテン12には固定金型(金型の他方、金型の一方)18が取り付けられ、移動プラテン16には固定金型18に対向するように移動金型(金型の一方、金型の他方)19が取り付けられている。
【0017】
固定プラテン12とリンクハウジング14とは、複数の(例えば、4本の)タイバー20によって連結されている。移動プラテン16は、後述するガイドレール41に沿って前進/後退をする。
【0018】
この実施形態では、型締装置10は、型締力をトグルリンク機構22によって発生するトグル式の型締装置として構成されている。
【0019】
図1において、参照番号25はクロスヘッドを示している。このクロスヘッド25の中心部には、トグルリンク機構22を駆動するボールネジ機構を構成しているナット部27が設けられている。このナット部27にはボールネジ28が螺合するようになっている。ボールネジ(駆動機構)28は、図示されないサーボモータ(駆動部)によって駆動される。
【0020】
トグルリンク機構(開閉機構)22では、リンク30の一端はクロスヘッド25に連結され、リンク31の一端はリンクハウジング14に連結され、リンク30、31とリンク32によって上下にトグルリンクが構成されている。リンク32の一端は、移動プラテン16の背面側にあるトグルリンク連結部34に連結されている。このようなトグルリンク機構22によって移動プラテン16の前進/後退が行われ、また型締力が移動プラテン16に伝えられるようになっている。よって、移動プラテン16は、図示されないサーボモータ(駆動装置、駆動部)の駆動によって、前進/後退(前後進)が行われる。
【0021】
本実施形態の型締装置10では、移動プラテン16の重量を支えるとともに、円滑な移動を実現するために、次のような移動プラテン支持装置(可動盤支持装置)40が設けられている。
ベース11上の左右両側には、タイバー20と平行にガイドレール(レール)41が敷設されており、このガイドレール41に移動自在に係合するリニアガイド(ガイド、案内機構)42として、複数のリニアガイドブロック(ガイドブロック、ブロック)42a乃至42dが、移動プラテン16の左右両側下部に取付ブロック44を介して取り付けられている。
【0022】
この実施形態では、1本のガイドレール41に対して、例えば、4つのリニアガイドブロック42a乃至42dを長さ方向に連結して1列のリニアガイド42が構成されている。ガイドレール41は、例えば、略I字形の横断面形状を有する公知のガイドレールである。リニアガイドブロック42a乃至42dには、それぞれガイドレール41の転動面にローラあるいは鋼球が転動するリニアベアリングが用いられている。なおリニアベアリングとしては、摺動面に潤滑油を介して摺動するリニアベアリングを用いることも可能である。
【0023】
図2に示されるように、リニアガイドブロック42a乃至42dには、定格荷重の異なるリニアベアリングが組み合わされている。この実施形態の場合、最前部のリニアガイドブロック42dと最後部のリニアガイドブロック42aは、定格荷重が小さい(定格荷重が比較的小さい)リニアガイドブロックである。その間のリニアガイドブロック42b、42cは、定格荷重が大きい(定格荷重が比較的大きい)リニアガイドブロックである。なお、
図2において、移動プラテン16に移動金型19を取り付けたときの重心をGとする。G0は、移動プラテン16に移動金型19が取り付けられていないときの重心位置を示している。
【0024】
このようなリニアガイドブロック42a乃至42dの組合せの態様は、例えば、移動プラテン16に搭載可能な最大重量の移動金型19を取り付けたときの荷重分布に基づいて、最適な組合せが選択される。
ここで、
図3は、最大重量の移動金型19を移動プラテン16に取り付けた時の静荷重分布と、リニアガイドブロック42a乃至42dの対応関係を示す図である。
【0025】
図3に示されるように、移動金型19を移動プラテン16に取り付けたとき、重心Gに近いリニアガイドブロック42b、42cには、大きな荷重が作用する。しかしながら、重心Gから離れているリニアガイドブロック42a、42dにかかる荷重は格段に小さくなる。
【0026】
このようなことから、リニアガイドブロック42b、42cには、想定される荷重を支えるのに十分な定格荷重が大きいリニアベアリング(軸受)が用いられる。すなわち、リニアガイドブロック42b、42cには、定格荷重が大きいリニアガイドブロックが用いられる。これに対して、リニアガイドブロック42a、42dには、必要最小限の荷重を支えるのに十分な定格荷重が小さいリニアベアリング(軸受)が用いられる。すなわち、リニアガイドブロック42a、42dには、定格荷重が小さいリニアガイドブロックが用いられる。
【0027】
以上のような移動プラテン支持装置40を備えていることにより、次のような作用並びに効果が得られる。
【0028】
図2において、移動プラテン16に移動金型19を取り付けると、移動金型19の重量により、移動プラテン16には倒れる方向に曲げモーメントMが作用し、曲げモーメントMによる力が移動プラテン16を支持するリニアガイドブロック42a乃至42dに加わることになる。
【0029】
このような曲げモーメントMに対しては、4個のリニアガイドブロック42a乃至42dのうち、曲げモーメントMの影響を最も受けるリニアガイドブロック42b、42cに対して、定格荷重が大きいリニアガイドブロックを用いることで、モーメントMに抗する剛性を強化している。これにより、リニアガイド42が剛性不足により損傷し、走行寿命が損なわれることを防止することができる。
【0030】
また、リニアガイド42を構成しているリニアガイドブロック42a乃至42dのうち、移動プラテン16が型閉、型開のたびに移動する間、大きな荷重のかかるリニアガイドブロック42b、42cには定格荷重が大きいリニアガイドブロックを用いる一方、荷重の負荷が比較的少ないリニアガイドブロック42a、42dには、定格荷重が小さいリニアガイドブロックを用いることで、各リニアガイドブロック42a乃至42dに定格荷重応分の荷重を負担させることができる。これにより、リニアガイドブロック42a乃至42dの各々がオーバースペックにならずに、全体として製造コストを低減することができ、また、リニアガイドブロック42a乃至42dの損耗を防止し、長期にわたる走行寿命を確保することが可能になる。
以上のようにして、移動プラテン16に作用する曲げモーメントを考慮したリニアガイド42の必要十分な剛性の確保と、走行寿命の確保と、を必要最小限のベアリングで両立させることができる。
【0031】
以上、本発明に係る可動盤支持装置について、射出成形機に適用した実施形態を挙げて説明したが、本発明は、射出成形機だけでなく、ダイカストマシン、トランスファー成形機、プレス成形機などの成形装置に用いられる型締装置にも適用することが可能である。
【0032】
また、上記の実施形態では、可動盤と可動盤支持装置とを別のものとして捉えたが、本発明はこれに限らない。例えば、上記の実施形態の可動盤支持装置を可動盤の一部として捉え、可動盤に本発明が適用されるようにしてもよい。すなわち、上記の実施形態の移動プラテン16を本体部、上記の実施形態の移動プラテン支持装置40を本体部支持装置とし、可動盤は本体部と本体部支持装置とを有するという構成にする。そして、本体部支持装置に本発明が適用されるようにしてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態では、4つのブロックによって案内機構を形成した場合で説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、2つ、3つおよび5つ以上のブロックを用いて案内機構を形成した場合でも本発明を適用することができる。つまり、複数のブロックを用いて案内機構を形成した場合には本発明を適用することができる。
【0034】
また、本発明での定格荷重は、案内機構が静止している状態、つまり移動可能な移動盤が静止している状態では静定格荷重を表し、案内機構が移動している(動作している)状態、つまり移動可能な移動盤が移動している状態では動定格荷重を表しているものとする。
【符号の説明】
【0035】
10…型締装置(開閉装置、型開閉装置)、11…フレーム、12…固定プラテン、14…リンクハウジング(受圧盤)、16…移動プラテン(可動盤)、18…固定金型、19…移動金型、20…タイバー、22…トグルリンク機構(開閉機構)、25…クロスヘッド、28…ボールねじ、40…移動プラテン支持装置(可動盤支持装置)、41…ガイドレール(レール)、42…リニアガイド(ガイド、案内機構)、42a〜42d…リニアガイドブロック(ガイドブロック、ブロック)