特許第6404039号(P6404039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404039
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ショットブラスト装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 3/24 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   B24C3/24
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-178017(P2014-178017)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-49617(P2016-49617A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】592148155
【氏名又は名称】株式会社サンポー
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸三
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−036513(JP,B1)
【文献】 実公昭46−013659(JP,Y1)
【文献】 実公昭46−018554(JP,Y1)
【文献】 特開2002−346917(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00476905(GB,A)
【文献】 国際公開第2012/066809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/20 − 3/24
B24C 9/00
B22D 29/00
B23Q 1/00 − 1/66
B24B 41/06
B24B 7/17
B24B 31/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研掃エリアで水平に回転するターンテーブル装置に載置された被加工物に投射機が研掃材を投射するショットブラスト装置において、
前記ターンテーブル装置は、
被加工物を直接載置可能であり、大径の円弧と、前記大径の円弧よりも小さい径を有する小径の円弧とにより形成される第1のターンテーブルと、
被加工物を直接載置可能であり、該第1のターンテーブルの前記小径の円弧と略同一の径を有する円形であり、前記第1のターンテーブルの前記大径の円弧の直径の範囲内に位置するように前記小径の円弧の内側に設けられ、前記第1のターンテーブル同一面をなすように配置される第2のターンテーブルとから構成され、
前記第1のターンテーブルと第2のターンテーブルは互い独立して回転駆動されることを特徴とするショットブラスト装置。
【請求項2】
第1のターンテーブルを駆動する回転軸をその表面下方に配設する中空の円筒形状とし、その内側に第2のターンテーブルを回転駆動する機構を回転自在に挿通することを特徴とする請求項1記載のショットブラスト装置。
【請求項3】
第2のターンテーブルは、その下方に配設した中心軸と第1のターンテーブルの回転軸を挿通する機構とを歯車を介して第1のターンテーブルに対して偏芯させることを特徴とする請求項2記載のショットブラスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に研掃材を投射して酸化皮膜やバリ等を除去するショットブラスト装置に係り、特に、大径な被加工物についてその全面を効率よく満遍なく研掃することができるショットブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のショットブラスト装置における従来の研掃作業の手順としては、ターンテーブルに載せた被加工物を研掃エリアにおいて投射機により研掃材を投射しつつ、ターンテーブルを回転することにより、被加工物のほぼ全面について効率よく研掃するものである(特許文献1参照)。このショットブラスト装置は、ターンテーブルに載せた被加工物を、ターンテーブルにより回転させながら、上方や側方から研掃材を投射することにより平均した研掃が行えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭48−40540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された研掃装置にあっては、ターンテーブルに載せた被加工物を回転させながら、上方や側方から研掃材を投射するとはいっても、投射機から研掃材を投射する投射範囲及び投射角は固定されおり、またターンテーブル上の被加工物も常に回転中心が同じ位置で同じ回転状態で研掃され続けることから、被加工物の凹部や影になる部分について満遍なく研掃されるとはいえず、そのため手作業にて被加工物を何度も位置替えする必要があった。
【0005】
そこで本発明は、前述の事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、被加工物を何度も位置替えすることなく、その全面をより一層満遍なく自動的に研掃することができるショットブラスト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のショットブラスト装置は、研掃エリアで水平に回転するターンテーブル装置に載置された被加工物に投射機が研掃材を投射するショットブラスト装置において、前記ターンテーブル装置は、円形の第1のターンテーブルと、該第1のターンテーブルの外径よりも小径でかつ第1のターンテーブルの外周縁に内接するかもしくはその内側の同一面に配置される円形の第2のターンテーブルとから構成され、前記第1のターンテーブルと第2のターンテーブルは互い独立して回転駆動されることを特徴とする。
これにより、被加工物の全面をより一層満遍なく自動的に研掃することができるショットブラスト装置が可能となる。
【0007】
本発明のショットブラスト装置は、第1のターンテーブルを駆動する回転軸をその表面下方に配設する中空の円筒形状とし、その内側に第2のターンテーブルを回転駆動する機構を回転自在に挿通することを特徴とする。
【0008】
本発明のショットブラスト装置は、第2のターンテーブルは、その下方に配設した中心軸と第1のターンテーブルの回転軸を挿通する機構とを歯車を介して第1のターンテーブルに対して偏芯させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のショットブラスト装置を示す平面図である。
図2】本発明のショットブラスト装置を示す側面図である。
図3】本発明のショットブラスト装置を示す正面図である。
図4】本発明のショットブラスト装置のターンテーブルを示す説明図である。
図5】本発明のショットブラスト装置のターンテーブルを示す説明図である。
図6】本発明のショットブラスト装置のターンテーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のショットブラスト装置を実施するための形態を詳細に説明する。図1図6は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0011】
図1図6は、本実施形態のショットブラスト装置1を示し、被加工物を載せて水平に回転するターンテーブル装置2と、このターンテーブル装置2上の被加工物に研掃材を投射する2機の投射機3と、ターンテーブル装置2を覆って研掃エリア4を遮蔽するキャビネット5とを備えている。6は、キャビネット5の手前側の縦半分を観音開きで左右に開閉する開閉扉であり、開いた状態で被加工物の搬入・搬出を行う。2機の投射機3は、それぞれ異なる高さに設置され、ターンテーブル装置2上の被加工物に対して異なる投射方向から研掃材を投射する。
上記ターンテーブル装置2は、図1及び図4に示すように、第1のターンテーブル7と、その内部にそれより小径な第2のターンテーブル8を配置する2重構造となっている。
第1のターンテーブル7と第2のターンテーブル8とは、その下面においてそれぞれの円の中心である回転軸を偏芯した状態で配置しており、より具体的には、第2のターンテーブル8は第1のターンテーブル7の外周縁の1点を共有する内接円のようにして位置している。
【0012】
上記第1のターンテーブル7と第2のターンテーブル8とは、独立したモータによりそれぞれ独立して回転する構造としている。
その具体的な構造は、第1のターンテーブル7に対して第2のターンテーブル8を偏芯させるために、図6に示すように、第1のターンテーブル7を回転駆動する第1のモータ11が中空の筒状回転軸12を駆動するとともに、第2のターンテーブル8を回転駆動する第2のモータ13が、筒状回転軸12の内側を挿通する回転軸14を駆動し、その回転軸14上部に配設された一対の平歯車15が咬合して、第2のターンテーブル8の中心軸16を駆動するものである。
【0013】
このような構造とすることにより、第1のモータ11と第2のモータ13とを駆動制御する制御装置(図示せず)は、第1のモータ11を停止して、第2のモータ13を駆動することにより、第2のターンテーブル8だけを回転させることができる。
これにより、第1のターンテーブル7を回転させて、第2のターンテーブル8を研掃エリア4内の適宜な位置に設定したうえで、その位置で第2のターンテーブル8を回転させながら被加工物に研掃材を一定時間投射し、次に第1のターンテーブル7を例えば90度回転させて停止すると、研掃エリア4における第2のターンテーブル8の位置(中心位置)が変化し、その位置で第2のターンテーブル8を回転させながら被加工物に研掃材を一定時間投射する。
このようにして、研掃エリア4内の第2のターンテーブル8を例えば90度ずつ位置を変えながら、回転する第2のターンテーブル8上の被加工物に研掃することにより、大径な被加工物であっても全面を満遍なく自動的に研掃することができるものである。この研掃エリア4における第2のターンテーブル8の位置の段階的変位は、図5に示す通りであり、研掃エリア4内で大きく変位することがわかる。
【0014】
また、第1のターンテーブル7と第2のターンテーブル8の使用方法としては、上述した方法に限られることはなく、第2のモータ13による第2のターンテーブル8の回転駆動を停止(または第2のモータ13を第2のターンテーブル8から切り離し)した状態で、第2のターンテーブル8を第1のターンテーブル7に一体的に固定して1つのターンテーブル装置2とすることにより、研掃エリア4内に広くより多くの被加工物を載置することができる。
【0015】
さらに、第1のターンテーブル7と第2のターンテーブル8の他の使用方法としては、第1のモータ11と第2のモータ13とを同時に駆動することにより、第1のターンテーブル7と第2のターンテーブル8をそれぞれ独立して同時に回転させるものである。各ターンテーブルの回転方向、回転速度は、図示しない制御装置により適宜設定されるものである。
【0016】
なお、上述した実施例にあっては、第1のターンテーブル7に対する第2のターンテーブル8の直径の比率が約0.75、面積の比率が約56%として図示して説明したが、この比率に限定されることはなく、他のいかなる比率で構成してもよいものである。
また、上述した実施例にあっては、2機の投射機を用いる場合について説明したが、これについても2機に限られることはなく、1機もしくは3機以上であってもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のショットブラスト装置は、ブラストマシンを製造する産業において利用することができるものである。
【符号の説明】
【0018】
1…ショットブラスト装置
2…ターンテーブル装置
3…投射機
4…研掃エリア
5…キャビネット
6…開閉扉
7…第1のターンテーブル
8…第2のターンテーブル
11…第1のモータ
12…筒状回転軸
13…第2のモータ
14…回転軸
15…平歯車
16…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6