特許第6404047号(P6404047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404047
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】保護シート
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/18 20060101AFI20181001BHJP
   G09F 13/20 20060101ALI20181001BHJP
   H01H 21/00 20060101ALI20181001BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01H9/18 Z
   G09F13/20 Z
   H01H21/00 320B
   H01H9/02 N
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-185550(P2014-185550)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-58321(P2016-58321A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514231262
【氏名又は名称】松尾 知寛
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 知寛
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−042438(JP,A)
【文献】 特開2014−046508(JP,A)
【文献】 特開2009−295365(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3105009(JP,U)
【文献】 特開2006−023837(JP,A)
【文献】 実開昭62−047022(JP,U)
【文献】 特開平10−228833(JP,A)
【文献】 特開2002−245888(JP,A)
【文献】 特開平11−066991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 − 9/28
H01H 13/00 − 13/88
H01H 89/00 − 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作により電流を断続する機能を有するスイッチ装置の押圧操作部に貼着する保護シートであって、前記押圧操作部に貼着剥離可能な粘着部を裏面に有する粘着性フィルムと、前記粘着性フィルムの表面に付設された遮光性フィルムと、前記遮光性フィルムの表面に付設された意匠用フィルムと、前記意匠用フィルムの表面に付設された透光性フィルムと、前記透光性フィルムの表面に付設された外面フィルムと、を備え
少なくとも前記遮光性フィルムに、前記スイッチ装置の押圧操作部に設けられた押圧位置表示用突起との接触を回避するための切欠き部を設け、前記外面フィルムの表面に前記スイッチ装置の押圧操作部の位置を表示する突起部を設けたことを特徴とする保護シート。
【請求項2】
少なくとも前記遮光性フィルムに、前記スイッチ装置の押圧操作部に設けられた発光部の光を通すための透光部を設けた請求項1記載の保護シート。
【請求項3】
少なくとも前記透光性フィルムに、ネームカードを収容するための開口部を設けた請求項1または2記載の保護シート。
【請求項4】
前記透光性フィルムの開口部に前記ネームカードを着脱するための出し入れ経路を、前記意匠用フィルム、前記遮光性フィルム及び前記粘着性フィルムに設けた請求項記載の保護シート。
【請求項5】
前記外面フィルムの表面に点字表示部を設けた請求項1〜のいずれかに記載の保護シート。
【請求項6】
少なくとも前記外面フィルムが抗菌作用を有する請求項1〜のいずれかに記載の保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅や公共建築物などに設けられている照明器具などを点灯・消灯するためのスイッチ装置の押圧操作部に貼着して使用する保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅や公共建築物などに設けられている照明器具などを点滅させるためのスイッチ装置や各種電気製品を使用する際にプラグを差し込む電源コンセントなどの配線器具はJIS規格(JIS C8304)に基づいて生産されているが、その外観デザインや色彩などの種類は決して豊富とは言えない。また、多くの一般住宅においては、新築時に設置されたスイッチ装置や電源コンセントなどの配線器具は、故障したり、破損したりすることがない限り、交換されることなく使用されている。
【0003】
ところが、スイッチ装置や電源コンセントなどの配線器具は、通常、室内の壁面の目立つ場所に取り付けられているので、居住者によっては、新築時に設定された配線器具のデザインや色彩が気に入らず、取り換えたいと思っている者も少なくない。しかしながら、配線器具の交換作業は電気工事士の資格を持つ者が行うべきことが法律で定められているので、資格を持たない一般人は安易に既設の配線器具の交換を行えず、デザインや色彩などの外観性が気にいらない配線器具をそのまま使い続けているのも実状である。
【0004】
そこで、既設の配線器具を交換することなく、例えば、スイッチ部分の外観性を変えるために、スイッチ操作部にシールを貼り付けることがあるが、シールに使用されている素材や粘着剤によっては貼り直しが困難な場合があるので、一旦、シールを貼ると、そのシールによって外観性が固定化されてしまう。また、シールの汚れが目立ってきたときにシールを貼り直そうとしても、粘着材が配線器具側に残ったり、シールが途中で破れたりして綺麗に剥がすことできないことがある。さらに、スイッチ操作部に直接シールを貼った場合、長期間使用するうちに、スイッチ操作部の隙間にシールの一部が入り込んで故障の原因となることもある。
【0005】
このような問題を解決するため、既設の壁面スイッチやコンセントの外観性を簡単に変える方法として、微細なミクロ吸盤を内面全体に設けた糊なし吸着シートの表面に癒し系、和み系、美粧系などの配色図柄をプリントした吸着カバーを既設の壁面スイッチの蓋やコンセントの蓋に吸着させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そのほか、病院や公共建築物などに配置されているスイッチ装置などの配線器具は不特定多数の人が触れ、雑菌が付着することが多いので、特に、病院などに配置される配線器具において、人の手が触れる箇所に用いられる部品を、抗菌剤を配合した樹脂の成形品で成形したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
一方、近年は、住宅のバリアフリー化が進められ、スイッチ操作部を大型化したワイドタイプのスイッチ装置が開発されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載されている「ピアノハンドル式スイッチ装置」などは、スイッチ操作部が大型化されているので、例えば、特許文献1の[図1]などに記載されている従来のスイッチに比べると視認性と操作性が大幅に向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3105009号公報
【特許文献2】特開平11−66991号公報
【特許文献3】特開2000−276973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、既設のスイッチ装置の外観性を変えたいという要望があるにもかかわらず、法律上の制約により、一般人は容易にスイッチ装置を交換することができないので、新築時に設置したスイッチ装置などをそのまま使用し続けているが実状である。
【0010】
一方、特許文献1記載の吸着カバーなどを使用すれば既設のスイッチ装置の外観性を変えることは可能であるが、近年のスイッチ装置は、特許文献3などに記載されているように、スイッチ操作部が大型化されているので、スイッチ操作部以外の部分(スイッチの蓋部分など)に前記吸着カバーを取り付けても、外観性を変える効果が乏しい。また、前記吸着カバーを既設のスイッチ装置に取り付ける場合、既設スイッチの蓋部分の表面が平滑でないと、当該吸着カバーのミクロ吸盤による吸着が困難な面がある。
【0011】
さらに、特許文献2記載の配線器具は抗菌機能を有しているので、菌の二次感染を防ぐ効果を有しているが、既設のスイッチ装置の外観性を変える目的で使用するには好適ではない。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、既設のスイッチ装置の押圧操作部に容易に貼着剥離可能であり、当該スイッチ装置の機能を阻害することなく、その外観性を変えることができる保護シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の保護シートは、押圧操作により電流を断続する機能を有するスイッチ装置の押圧操作部に貼着する保護シートであって、前記押圧操作部に貼着剥離可能な粘着部を裏面に有する粘着性フィルムと、前記粘着性フィルムの表面に付設された遮光性フィルムと、前記遮光性フィルムの表面に付設された意匠用フィルムと、前記意匠用フィルムの表面に付設された透光性フィルムと、前記透光性フィルムの表面に付設された外面フィルムと、を備え
少なくとも前記遮光性フィルムに、前記スイッチ装置の押圧操作部に設けられた押圧位置表示用突起との接触を回避するための切欠き部を設け、前記外面フィルムの表面に前記スイッチ装置の押圧操作部の位置を表示する突起部を設けたことを特徴とする。ここで、前記「意匠用フィルム」とは、絵柄部分や着色部分など任意のデザインが施された部分を有するフィルムであり、保護シートの外観上のデザイン性を発揮するフィルムを意味する。
【0014】
このような構成とすれば、当該保護シートの粘着性フィルムの粘着部を、既設のスイッチ装置の押圧操作部に密着させて張り付ければ、当該保護シートを構成する意匠用フィルムのデザインに基づいて、スイッチ装置の外観性を任意に変えることができる。粘着性フィルムの粘着部は、既設のスイッチ装置の押圧操作部に貼着され、保護シート全体は複数のフィルム材で形成され、比較的薄いものであるため、当該スイッチ装置の機能を阻害することもない。また、保護シートは、粘着性フィルムの粘着部を介して押圧操作部に貼着剥離可能であるため、貼着作業は容易であり、デザインの異なる他の保護シートへの取り換えも容易である。
【0015】
ここで、少なくとも前記遮光性フィルムに、前記スイッチ装置の押圧操作部に設けられた発光部の光を通すための透光部を設けることが望ましい。
【0016】
また、前述したように、本発明の保護シートにおいては、少なくとも前記遮光性フィルムに、前記スイッチ装置の押圧操作部に設けられた押圧位置表示用突起との接触を回避するための切欠き部を設け、前記外面フィルムの表面に前記スイッチ装置の押圧操作部の位置を表示する突起部を設けている
【0017】
さらに、少なくとも前記透光性フィルムに、ネームカードを収容するための開口部を設けることが望ましい。
【0018】
この場合、前記透光性フィルムの開口部に前記ネームカードを着脱するための出し入れ経路を、前記意匠用フィルム、前記遮光性フィルム及び前記粘着性フィルムに設けることが望ましい。
【0019】
一方、前記外面フィルムの表面に点字表示部を設けることもできる。
【0020】
また、少なくとも前記外面フィルムに抗菌作用を持たせることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、既設のスイッチ装置の押圧操作部に容易に貼着剥離可能であり、当該スイッチ装置の機能を阻害することなく、その外観性を変えることができる保護シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態である保護シートの使用状態を示す正面図である。
図2】スイッチ装置に対して図1に示す保護シートを着脱する状態を示す斜視図である。
図3図1に示す保護シートの分解斜視図である。
図4図1中のA−A線における一部省略断面図である。
図5】(a)は本発明のその他の実施形態である保護シートをダブル型スイッチ装置に使用した状態を示す正面図であり,(b)は本発明のその他の実施形態である保護シートをトリプル型スイッチ装置に使用した状態を示す正面図である。
図6】(a)は本発明のその他の実施形態である保護シートを示す正面図であり、(b)は前記保護シートの背面図であり、(c)は前記(a)中のB−B線における断面図である。
図7図6(c)の一部拡大図である。
図8】(a),(b),(c)はスイッチの押圧位置表示用の突起の形状がそれぞれ異なるスイッチ装置を示す正面図である。
図9】(a)は本発明のその他の実施形態である保護シートを図8(a)に示すスイッチ装置に貼着した状態を示す断面図であり、(b)は前記保護シートを図8(b)に示すスイッチ装置に貼着した状態を示す断面図であり、(c)は前記保護シートを図8(c)中に示すスイッチ装置に貼着した状態を示す断面図である。
図10】本発明のその他の実施形態である保護シートをスイッチ装置に使用した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態である保護シート1について説明する。図1図2に示すように、本実施形態の保護シート1は、押圧操作部S1を押圧操作することにより電流を断続する機能を有するスイッチ装置Sの押圧操作部S1に貼着して使用するものである。図2に示すように、スイッチ装置Sは、シングル型スイッチ装置とも呼ばれるものであり、その正面部分に一つのピアノハンドル式の押圧操作部S1が設けられ、左右側縁部の中央付近にそれぞれスイッチ押圧位置表示用の突起S2が設けられ、左側縁部寄りの突起S2の右側にスイッチ断続状態に応じて点灯・消灯する発光部S3が設けられている。
【0024】
図3に示すように、保護シート1は、押圧操作部S1に貼着剥離可能な粘着部N(図4参照)を裏面に有する粘着性フィルム1eと、粘着性フィルム1eの表面に積層状に付設された遮光性フィルム1dと、遮光性フィルム1dの表面に積層状に付設された意匠用フィルム1cと、意匠用フィルム1cの表面に積層状に付設された透光性フィルム1bと、透光性フィルム1bに開設された開口部3に収容されたネームカード4と、透光性フィルム1bの表面に付設された外面フィルム1aと、を備えている。
【0025】
粘着性フィルム1eは上下二枚のフィルム片1eu,1esからなり、二枚のフィルム片1eu,1esの間にスペース7を設けた状態で遮光性フィルム1dの裏面に貼着されている。スペース7は、遮光性フィルム1dが押圧操作部S1に貼着されたとき、二つの突起S2との接触を回避する機能と、発光部S3の光を通す透光機能とを有する。粘着性フィルム1eの粘着部Nは再剥離性粘着剤で形成されているので、一旦、貼り付けた後に剥がすときに、跡形を残すことなく綺麗に剥がすことができる。
【0026】
遮光性フィルム1dは、押圧操作部S1及び粘着性フィルム1eが保護シート1の外面側から見えないように遮る機能を有するものであり、白色若しくは有色のフィルム材で形成されている。遮光性フィルム1dの左右側縁部の中央付近にはそれぞれ突起S2との接触を回避するための切欠き部2が設けられ、二つの切欠き部2の間に、ネームカード4を着脱するための出し入れ経路6が開設されている。出し入れ経路6の上方には、遮光性フィルム1dの表裏方向の可撓性を有する垂下片6aが設けられている。なお、遮光性フィルム1dに蓄光機能を持たせれば、昼間のうちに太陽光や照明器具の光を吸収し、夜間になると発光可能となるので、暗闇の中でも容易にスイッチ装置Sの位置を発見することができるようになる。
【0027】
意匠用フィルム1cは、絵柄や図形などを印刷したり、着色したりすることによってデザインが施された透光性フィルムであり、保護シート1の外観性を発揮する部材である。意匠用フィルム1cにおいて、遮光性フィルム1dの切欠き部2に相当する位置に切欠き部2が設けられ、同じく、遮光性フィルム1dの出し入れ経路6の位置に相当する位置に出し入れ経路5が設けられている。後述するように、ネームカード4を使用しないときの出し入れ経路5は、意匠用フィルム1cの表裏方向の可撓性を有する透明な垂下片5aによって閉塞されている。
【0028】
ネームカード4は、スイッチ装置Sの押圧操作部S1の手動操作によって作動・停止する電気器具(図示せず)の名称が表示されている。本実施形態では電気器具の名称を文字で表示しているが、これに限定しないので、絵文字やピクトグラム(ピクトグラフ)などで表示することもできる。ネームカード4の下縁部分には可撓片4bが設けられ、その左寄りの部分には、スイッチ装置Sの発光部S3の光を通すための透光部4aが設けられている。ネームカード4の縦方向のサイズ4hは、後述する、透光性フィルム1bの開口部3の縦方向のサイズ3hより大である。
【0029】
透光性フィルム1bは、意匠用フィルム1cの表面に積層状に付設されたものであり、その中央付近にネームカード4を収容するための開口部3が開設され、その両側に切欠き部2が設けられている。開口部3は、意匠用フィルム1c、遮光性フィルム1dの出し入れ経路5,6と重なり合う位置に開設され、その縦方向のサイズ3hは出し入れ経路5,6の同方向のサイズより大きく設定されている。
【0030】
外面フィルム1aは、透光性フィルム1bの表面全体に積層状に付設された透明フィルムであり、保護シート1の表面層を形成するものである。外面フィルム1aの表面において、透光性フィルム1b及び意匠用フィルム1cなどの切欠き部2に相当する位置に、それぞれ突起部8が設けられている。突起部8は、スイッチ装置Sの押圧操作部S1の位置を表示するためのものである。また、外面フィルム1aの表面において、二つの突起部8の間のやや下方の領域に点字表示部9が設けられている。
【0031】
図1図2に示すように、保護シート1の表面には、二つの突起部8及び点字表示部9が存在し、外面フィルム1aを通してネームカード4の表示内容が表示部11に表示されている。また、スイッチ装置Sの発光部S3の光が、二枚のフィルム片1eu,1esの間のスペース7、遮光性フィルム1d及び意匠用フィルム1cの開口部5,6、ネームカード4の切欠き部4a、外面フィルム1aを通過して、発光部10に表れる。また、保護シート1の表面において、表示部11以外の領域には、意匠用フィルム1cに設けられたデザイン(絵柄や色彩など)が透光性フィルム1b及び外面フィルム1aを通して表現されている。
【0032】
図3に示すように、ネームカード4の縦方向のサイズ4hは、透光性フィルム1bの開口部3の縦方向のサイズ3hより大であるため、図4に示すように、透光性フィルム1bの開口部3に収容されたネームカード4の下縁の可撓片4bは開口部3の下方からはみ出し、押圧操作部S1方向に湾曲している。また、可撓片4bの湾曲に伴い、意匠用フィルム1cの出し入れ経路5の垂下片5aも可撓片4bに沿って同方向に湾曲している。可撓片4b及び垂下片5aの下縁部は、粘着性フィルム1eのスペース7内に収容されているので、押圧操作部S1に対する粘着フィルム1eの貼着性を妨げることはない。
【0033】
また、可撓片4b及び垂下片5aは透光性を有するので、スイッチ装置Sの発光部S3の光が透過可能である。さらに、垂下片5aの下縁部よりも可撓片4bの下縁部の方が、はみ出し量が大であるため、ネームカード4の下縁部を手指で摘み易くなっており、ネームカード4の脱着も容易である。
【0034】
保護シート1を使用する場合、図2に示すように、保護シート1の裏側に位置する粘着性フィルム1eの粘着部N(図4参照)を、既設のスイッチ装置Sの押圧操作部S1に密着させて張り付ければ、保護シート1を構成する意匠用フィルム1cに施されているデザインに基づいて、スイッチ装置Sの外観性を変えることができる。粘着性フィルム1eの粘着部Nは、既設のスイッチ装置Sの押圧操作部S1に貼着され、保護シート1全体は複数のフィルム材で形成され、比較的薄いものであるため、当該スイッチ装置Sの押圧操作性や機能性を阻害することもない。また、保護シート1は、粘着性フィルム1eの粘着部Nを介して押圧操作部S1に貼着するだけで良いので使い方は簡単であり、一旦、貼着した後も、粘着部Nは押圧操作部S1から剥離可能であるため、デザインの異なる他の保護シート1への取り換えも容易である。
【0035】
スイッチ装置SによってON/OFFされる電気器具(例えば、照明)の名称が記載されたネームカード4は保護シート1の表面の表示部11に表れるので、当該電気器具を容易に認識することができる。なお、スイッチ装置SによってON/OFFされる電気器具(例えば、照明)の名称が押圧操作部S1に表示されているか否かに関わらず、ネームカード4を透光性フィルム1bの開口部3にセットすることができる。
【0036】
スイッチ装置Sの発光部S3の光は保護シート1の表面の発光部10に表れるので、発光部S3の機能を阻害することなく、スイッチ装置Sによる電気器具のON/OFF状態を確実に把握することができる。
【0037】
また、スイッチ装置Sの押圧操作部S2の押圧位置を表示するための突起部8を外面フィルム1aの表面に設けているため、押圧位置を容易に認識することができる。なお、粘着性フィルム1eのフィルム片1eu,1esの間にスペースを設け、遮光性フィルム1d、意匠用フィルム1c及び透光性フィルム1bに切欠き部2を設けているので、スイッチ装置Sの押圧操作部S1に設けられた押圧位置表示用の突起S2と保護シート1との接触(干渉)を回避することができる。
【0038】
さらに、意匠用フィルム1c、遮光性フィルム1dに出し入れ経路5,6を設け、粘着性フィルム1eにスペース7設けているので、透光性フィルム1bの開口部3に対するネームカード4の着脱も容易である。
【0039】
一方、外面フィルム1aの表面に点字表示部9を設けているので、視覚障碍者が点字表示部9を手指でなぞることにより、押圧操作部S1の操作位置及び押圧操作部S1によってON/OFFされる電気器具の名称などを認識することができる。また、外面フィルム1aは抗菌作用を有しているので、清潔な状態を保持することができる。
【0040】
次に、図5図11に基づいて、本発明のその他の実施形態である保護シート20,30,40,50,60について説明する。なお、保護シート20,30,40,50,60の構成部分において前述した保護シート1と共通する部分については図1図4中に記載した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
図5に基づいて、その他の実施形態である保護シート20,30について説明する。図5(a)は二つの押圧操作部(図示せず)を有するダブル型のスイッチ装置2Sに保護シート20を使用した状態を示し、図5(b)は三つの押圧操作部(図示せず)を有するトリプル型のスイッチ装置3Sに保護シート30を使用した状態を示している。
【0042】
図5に示すように、それぞれスイッチ装置2S,3Sの押圧操作部(図示せず)のサイズに合わせたサイズの保護シート20,30を作成することにより、複数の押圧操作部(図示せず)を有するスイッチ装置2S,3Sであっても容易に対応することができる。この場合、複数の保護シート20(30)の間で互いに異なるデザイン(色彩、絵柄など)を採用すれば、スイッチ装置2S(3S)における複数の押圧操作部の位置や対応する電気器具の違いを明確にすることができる。
【0043】
次に、図6図7に基づいて、その他の実施形態である保護シート40について説明する。図6図7に示すように、保護シート40は、図3図4に示す保護シート1からネームカード4を省いた構成となっている。保護シート1におけるネームカード4は着脱可能であるため、ネームカード4が不要である場合、図6図7に示す保護シート40の構成とすることにより、容易に対応することができる。
【0044】
次に、図8図9に基づいて、その他の実施形態である保護シート50について説明する。図8(a),(b),(c)に示すように、スイッチ装置4S,5S,6Sは、それぞれ押圧操作部S1に設けられた押圧操作位置表示用の突起S2の個数や形状が異なっているが、図9(a),(b),(c)に示すように、保護シート50は、これらのスイッチ装置4S,5S,6Sに対して使用可能である。
【0045】
即ち、保護シート50の粘着性フィルム1eを構成するフィルム片1eu,1esの間に設けられたスペース7にそれぞれの突起S2を逃がすことより、それぞれの突起S2と保護シート50との接触を回避することができるので、保護シート50はいずれのスイッチ装置4S,5S,6Sに対しても使用可能である。なお、保護シート50は、ネームカードを使用しないので、透光性フィルム1bの開口部も省いた構成となっている。
【0046】
次に、図10に基づいて、その他の実施形態である保護シート60について説明する。図10に示すように、保護シート60は、図1図3に示す保護シート1からネームカード4及び点字表示部9を省いた構成となっている。保護シート60は、スイッチ装置7Sに発光部(図示せず)が存在せず、点字表示部9も不要である場合に好適に使用することができる。
【0047】
なお、前述した保護シートは本発明を例示するものであり、本発明の保護シートは前述した実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の保護シートは、一般住宅や公共建築物などに設けられている各種照明器具のスイッチ装置などに対して広く使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1,20,30,40,50,60 保護シート
1a 外面フィルム
1b 透光性フィルム
1c 意匠用フィルム
1d 遮光性フィルム
1e 粘着性フィルム
1eu,1es フィルム片
2 切欠き部
3 開口部
3h,4h 縦方向のサイズ
4 ネームカード
4a 透光部
4b 可撓片
5,6 出し入れ経路
5a,6a 垂下片
7 スペース
8 突起部
9 点字表示部
10 発光部
11 表示部
N 粘着部
S,2S,3S,4S,5S,6S,7S スイッチ装置
S1 押圧操作部
S2 突起
S3 発光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10