(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404067
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】液化水素移送システム
(51)【国際特許分類】
B67D 9/00 20100101AFI20181001BHJP
【FI】
B67D9/00 Z
B67D9/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-203108(P2014-203108)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-69064(P2016-69064A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】海野 峻太郎
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 智教
(72)【発明者】
【氏名】梅村 友章
(72)【発明者】
【氏名】川越 英司
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−321100(JP,A)
【文献】
特開平09−249190(JP,A)
【文献】
実開昭56−024700(JP,U)
【文献】
特開平10−030783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00−99/00
F16L 37/00−39/06
F16L 57/00−58/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化水素用ローディングアームの先端部の陸側継手を、液化水素輸送船側のマニホールドの船側継手に接続して低温流体を移送可能な液化水素移送システムにおいて、
陸側継手と船側継手を接続する際に、それら両継手の少なくとも上側近傍を覆うカバー機構であって、それら両継手に雨水がかからないようにするカバー機構を備えたことを特徴とする液化水素移送システム。
【請求項2】
前記カバー機構が、横向き姿勢のローディングアーム側配管に固定され且つ両継手の上側近傍に配設された第1屋根部材と、横向き姿勢のマニホールド側配管に固定され且つ前記第1屋根部材の下側において両継手の上側近傍に配設された第2屋根部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液化水素移送システム。
【請求項3】
前記カバー機構が、前記第1屋根部材の両端縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第1シート部材と、前記第2屋根部材の両端縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第2シート部材とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の液化水素移送システム。
【請求項4】
前記カバー機構が、立向き姿勢のローディングアーム側配管に固定された円形屋根部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液化水素移送システム。
【請求項5】
前記カバー機構が、前記円形屋根部材の外周縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の円筒状シート部材を備えたことを特徴とする請求項4に記載の液化水素移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化水素移送システムに関し、ローディングアームの先端の陸側継手を、液化水素輸送船側のマニホールドの船側継手に接続する際に両継手に雨水がかからないようにカバーするカバー機構を設けたものに関する。
【背景技術】
【0002】
原油やガソリンや軽油、天然ガス(LNG,LPG)等の化石燃料を輸送する輸送船と陸上の貯蔵タンクとの間で化石燃料をローディングしたり、アンローディングしたりする場合には通常ローディングアームが用いられる。一般的なローディングアームは、支持構造体として、陸上に立設されたアウタライザ、このアウタライザの頂部に揺動自在に枢支されたインボードブーム、このインボードブームの上端部に上端部が回動自在に連結されたアウトボートブーム、インボードブームの下端側に装備したカウンタウェイト等を備えている。
【0003】
前記ローディングアームにおける化石燃料輸送管として、アウタライザ内に配設されたインナライザ、このインナライザにスイベルジョイントを介して接続され且つインボードブームの内部に配設されたインボードアーム、このインボードアームの上端部にスイベルジョイントを介して上端部が接続され且つアウトボートブームで支持されるアウトボードアーム、このアウトボードアームの下端部にスイベルジョイントを介して接続されたERS(緊急離脱システム)、このERSにスイベルジョイントを介して接続された継手等を備えている。前記陸側継手を船側継手に接続した状態で、化石燃料のローディングやアンローディングが行われる。
【0004】
特許文献1には、液化ガス輸送船からローディングアームを介して陸上の液化ガス貯蔵タンクに液化ガスをアンローディングする液化ガス移送システムが開示されている。
陸上の液化水素タンクと船側の液化水素タンクとの間で、ローディングアームを介して液化水素をローディングやアンローディングする液化水素移送システムでは、高断熱の配管系統として一般に真空断熱二重管が採用され、継手としては例えばバイヨネット継手等の真空断熱二重管専用の継手が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2561667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記バイヨネット継手の雄継手と雌継手との間には、雄継手の挿入用の微小クリアランスが存在する。バイヨネット継手の接続の際、雄継手を雌継手に挿入する前には、一般に雄継手の表面から水分や油脂分を除去するための脱脂洗浄が必要である。
雨天時に、バイヨネット継手の雄継手や雌継手に雨滴が付着した状態で、バイヨネット継手の接続を行うと、雨滴の凍結や膨張によりシールが損傷して水素ガスのリークが生じたり、雄継手や雌継手が損傷したりする等の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、液化水素移送システムの継手の接続や分離の際に、継手に雨水が付着しないようにした液化水素移送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の液化水素移送システムは、液化水素用ローディングアームの先端部の陸側継手を、液化水素輸送船側のマニホールドの船側継手に接続して低温流体を移送可能な液化水素移送システムにおいて、陸側継手と船側継手を接続する際に、それら両継手の少なくとも上側近傍を覆うカバー機構であって、それら両継手に雨水がかからないようにするカバー機構を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の液化水素移送システムは、請求項1の発明において、前記カバー機構が、横向き姿勢のローディングアーム側配管に固定され且つ両継手の上側近傍に配設された第1屋根部材と、横向き姿勢のマニホールド側配管に固定され且つ前記第1屋根部材の下側において両継手の上側近傍に配設された第2屋根部材とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3の液化水素移送システムは、請求項2の発明において、前記カバー機構が、前記第1屋根部材の両端縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第1シート部材と、前記第2屋根部材の両端縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第2シート部材とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項4の液化水素移送システムは、請求項1の発明において、前記カバー機構が、立向き姿勢のローディングアーム側配管に固定された円形屋根部材を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項5の液化水素移送システムは、請求項4の発明において、前記カバー機構が、前記円形屋根部材の外周縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の円筒状シート部材を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、液化水素移送システムにおける、液化水素用ローディングアームの先端部の陸側継手と船側継手を接続する際に、それら両継手の少なくとも上側近傍を覆うカバー機構であって、それら両継手に雨水がかからないようにするカバー機構を備えたため、雨天時に陸側継手と船側継手を接続する際に両継手に雨がかからないため、両継手を接続する際の作業性を高めることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、前記カバー機構が、横向き姿勢のローディングアーム側配管に固定され且つ両継手の上側近傍に配設された第1屋根部材と、横向き姿勢のマニホールド側配管に固定され且つ前記第1屋根部材の下側において両継手の上側近傍に配設された第2屋根部材とを備えたため、請求項1の発明と同様に陸側継手と船側継手を接続する際の作業性を高めることができる上、両継手を分離した状態においても陸側継手は第1屋根部材で覆われ、船側継手は第2屋根部材で覆われるため、両継手に雨水がかかることがない。
【0015】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明において、前記カバー機構が、前記第1屋根部材の両端縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第1シート部材と、前記第2屋根部材の両端縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第2シート部材とを備えているため、1対の第1シート部材により両継手の両側の側面をカバーすることができ、1対の第2シート部材により両継手の両側の側面をカバーすることができるから、両継手に雨水がかからないようにカバーするカバー性能を一層高めることができる。しかも、第1,第2シート部材は可撓性のものであるので、両継手を接続したり、接続分離したりする際の作業性が低下することもない。
【0016】
請求項4の発明によれば、前記カバー機構が、立向き姿勢のローディングアーム側配管に固定された円形屋根部材を備えたため、雨天時に陸側継手と船側継手を接続する際に両継手に雨がかからないため、両継手を接続する際の作業性を高めることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、前記カバー機構が、前記円形屋根部材の外周縁から両継手より低いレベルまで垂設された可撓性の円筒状シート部材を備えているため、両継手に雨水がかからないようにカバーするカバー性能を一層高めることができる。しかも、円筒状シート部材は可撓性のものであるので、両継手を接続したり、接続分離したりする際の作業性が低下することもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1に係る液化水素輸送船と液化水素用ローディングアームの説明図ある。
【
図2】液化水素移送システムのバイヨネット継手とカバー機構の側面図である。
【
図3】
図2のバイヨネット継手とカバー機構の底面図である。
【
図7】実施例3のバイヨネット継手とカバー機構の一部縦断側面図である。
【
図9】実施例4のバイヨネット継手とカバー機構の一部縦断側面図である。
【
図10】
図9のバイヨネット継手とカバー機構の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1に示すように、この液化水素移送システム1は、液化水素運搬船2の液化水素タンク3から陸上の液化水素タンク(図示略)に液化水素をアンローディングしたり、陸上の液化水素タンクから船側の液化水素タンク3に液化水素をローディングするための液化水素移送システムであって、液化水素用ローディングアーム4が陸側に設けられている。この液化水素移送システム1の大部分は、真空断熱二重管で構成されている。
【0021】
このローディングアーム4を介して液化水素のローディングやアンローディングを行う場合、ローディングアーム4の先端の陸側継手5を液化水素運搬船2の液化水素配管のマニホールド6の船側継手7に接続してから液化水素の移送を行う。本実施例の場合、前記陸側継手5はバイヨネット継手の雄継手であり、前記船側継手7はバイヨネット継手の雌継手である。但し、バイヨネット継手以外の継手も採用可能である。
【0022】
ローディングアーム4の先端の陸側継手5をマニホールド6の船側継手7に接続した状態のとき、天候が悪化して液化水素運搬船2が激しく動揺すると、ローディングアーム4が破損する虞があるため、この液化水素用ローディングアーム4には緊急離脱システム8(ERS)が装備されている。
【0023】
図2〜
図4に示すように、陸側継手5と船側継手7を接続する際に、それら両継手5,7の少なくとも上側近傍を覆うカバー機構10であって、それら両継手5,7に雨水がかからないようにするカバー機構10が設けられている。
【0024】
このカバー機構10は、横向き姿勢のローディングアーム側配管11(陸側配管)に固定され且つ両継手5,7の上側近傍に配設された平板状の第1屋根部材13と、横向き姿勢のマニホールド側配管12(船側配管)に固定され且つ第1屋根部材13の下側において両継手5,7の上側近傍に配設された平板状の第2屋根部材14とを備えている。尚、
図2〜
図4に示す陸側継手5と船側継手7は接続途中状態を示すものである。
【0025】
第1屋根部材13は、ほぼ三角形状の第1連結板14と一体的に形成されている。第1連結板14は配管の軸心と直交状に配設され、基端部が陸側配管11に接合され、陸側配管11から上方へ延びている。第1屋根部材13と第1連結板14は薄手の鋼板又はステンレス鋼板製のものである。第1屋根部材13は陸側継手5と船側継手7の上方近傍及びその周辺部を覆うだけの大きさの平面視矩形(配管の長手方向に長い)に形成され、雨水の排水を促進する為、陸側継手5から遠ざかる方向へ向って下り勾配となっており、第1屋根部材13の下端部が第1連結板14の上端部と一体化されている。
【0026】
第2屋根部材14は、ほぼ三角形状の第2連結板15と一体的に形成されている。第2連結板15は配管の軸心と直交状に配設され、基端部が船側配管12に接合され、船側配管12から上方へ延びている。第2屋根部材14と第2連結板15は薄手の鋼板又はステンレス鋼板製のものである。第2屋根部材14は、第1屋根部材13の下側近傍に配設され、第2屋根部材14は、陸側継手5と船側継手7の上方近傍及びその周辺部を覆うだけの大きさの平面視矩形(配管の長手方向に長い)に形成され、雨水の排水を促進する為、船側継手7から遠ざかる方向へ向って下り勾配となっており、第2屋根部材15の下端部が第2連結板15の上端部と一体化されている。
【0027】
上記のようなカバー機構10を備えたので、雨天時に陸側継手5と船側継手7を接続する際に両継手5,7に雨がかからないため、両継手5,7を接続する際の作業性を高めることができる。しかも、陸側配管11に 第1屋根部材13を固定的に設け、船側配管12に第2屋根部材14を固定的に設けたため、バイヨネット継手の接続前に陸側継手5と船側継手7が離隔した状態のときにも、両継手5,7に雨がかからない。バイヨネット継手の側方が開放状になっているため、陸側継手5と船側継手7を接続する際の作業性が低下することもない。
【実施例2】
【0028】
実施例2の液化水素移送システムのカバー機構10Aについて
図5、
図6に基づいて説明する。このカバー機構10Aは、大部分が実施例1のカバー機構10と同様であるので、同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。 カバー機構10Aが、第1屋根部材13の両端縁から両継手5,7より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第1シート部材17と、第2屋根部材15の両端縁から両継手5,7より低いレベルまで垂設された可撓性の1対の第2シート部材18とを有する。
【0029】
第1,第2シート部材17,18は、例えば合成樹脂製の透明なシート材で構成され、雨天以外のときには、1対の第1シート部材17及び1対の第2シート部材18を第1屋根部材13及び/ 又は第2屋根部材15 の上に折り返すことができように構成されている。雨天の場合にはバイヨネット継手の接続や接続分離の作業を行う側の第1,第2シート部材17,18を第1屋根部材13及び/又は第2屋根部材15の上に折り返した状態で作業を行うこともできる。
【0030】
尚、第1,第2シート部材17,18の代わりにエアカーテンを装備してもよい。この場合、第1屋根部材13の両端縁にエアカーテン用エア吹き出し部が配設され、第2屋根部材15の両端縁にエアカーテン用エア吹き出し部が配設される。このエアカーテンに送る乾燥空気は、液化水素の冷熱で乾燥させた空気を採用することが望ましい。
バイヨネット継手の両側の側方が2重のエアカーテンで覆われるため、雨水の侵入を確実に防止することができる。第1シート部材17の代わりのエアカーテンの加圧エアはローディングアーム4に沿わせたエア配管から供給し、第2シート部材18の代わりのエアカーテンの加圧エアは、船側のエア配管から供給するものとする。
【実施例3】
【0031】
実施例3の液化水素移送システムのカバー機構10Bについて、
図7、
図8に基づいて説明する。このカバー機構10Bは、大部分が実施例1のカバー機構10と同様であるので、同様の構成要素に同様の符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。このカバー機構10Bにおいては、第1屋根部材13Bが部分円錐面の一部であって、例えば
図8に示す開角が約140°の部分円錐面の一部をなす薄手の鋼板又はステンレス鋼板で構成されている。第1連結板14Bの上端は第1屋根部材13Bの形状に応じて円弧形に形成され、第1連結板14Bの上端部に第1屋根部材13Bの下端部が接合されている。
【0032】
また、第2屋根部材15Bが部分円錐面の一部であって、例えば
図8に示す開角が約140°の部分円錐面の一部をなす薄手の鋼板又はステンレス鋼板で構成されている。
第2連結板16Bの上端は第2屋根部材15Bの形状に応じて円弧形に形成され、第2連結板16Bの上端部に第2屋根部材15Bの下端部が接合されている。尚、第1,第2屋根部材13B,15Bの幅(配管の軸心と直交する水平方向の幅)は、陸側継手5及び船側継手7の直径の約2倍であり、十分に広幅に形成されているため、雨天時のカバー性能に優れる。
【0033】
その他、実施例1のカバー機構10と同様の作用、効果を奏する。尚、実施例2と同様に、1対の第1,第2シート部材を設けたり、1対の第1,第2シート部材に代わるエアカーテンを設けてもよい。
【実施例4】
【0034】
実施例4の液化水素移送システムのカバー機構10Cについて、
図9、
図10に基づいて説明する。陸側継手5Cと船側継手7Cを接続する際に、それら両継手5C,7Cの少なくとも上側近傍を覆うカバー機構10Cであって、それら両継手5C,7Cに雨水がかからないようにするカバー機構10Cが設けられている。
【0035】
このカバー機構10Cは、立向き姿勢のローディングアーム側配管11C(陸側配管)のうち陸側継手5Cと船側継手7Cの上方近傍部位に固定された円形屋根部材20を備えている。円形屋根部材20は、薄手の鋼板又はステンレス鋼板をプレス成形して製作したものであり、陸側配管11Cに外嵌状に固定された短かい内側筒部20aと、この内側筒部20aの下端に一体形成された環状平板部20bと、この環状平板部20bの外周付近から立ち上がる短かい外周壁部20cとを備えている。環状平板部20bには、円形屋根部材20の上面側に溜まる雨水を排出する為の排水コック21が設けられている。
【0036】
上記のようなカバー機構10Cを備えたので、雨天時に陸側継手5Cと船側継手7Cを接続する際に両継手5C,7Cに雨がかからないため、両継手5C,7Cを接続する際の作業性を高めることができる。尚、前記カバー機構10Cは、2つの半環状に2分割した分割構造に構成し、ビスやボルト等で一体的に固定可能に構成してもよい。
【実施例5】
【0037】
実施例5の液化水素移送システムのカバー機構10Dについて、
図11に基づいて説明する。このカバー機構10Dは、大部分が実施例4のカバー機構10Cと同様であるので、同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
カバー機構10Dが、円形屋根部材20及び排水コック21の他に、円形屋根部材20の外周縁から両継手5C,7Cより低いレベルまで垂設された可撓性の円筒状シート部材22を備えている。この円筒状シート部材22は、例えば合成樹脂製の透明なシート材で構成されている。尚、排水コック21の排水管を両継手5C,7Cより下方まで延ばし、
両継手5C,7Cより下方の位置で排水するように構成することが望ましい。
【0038】
前記筒状シート部材22を設けるため、雨水に対するカバー性能を一層高めることができる。円筒状シート部材22が可撓性のある透明なシート材で構成されているため、陸側継手5Cと船側継手7Cを接続したり、分離したりする際の作業性を確保することができる。但し、必要に応じて、円筒状シート部材22を円周方向に2分割又は3分割した構造にしてもよい。尚、円筒状シート部材22の代わりに円筒状のエアカーテンを設けてもよい。
【0039】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)前記実施例ではバイヨネット継手を採用したが、バイヨネット継手以外の継手を採用する場合もある。
2)前記液化水素移送システムの大部分を真空断熱二重管で構成する場合を例にして説明したが、液化水素移送システムの大部分を真空断熱二重管以外の高断熱一重管で構成することも可能である。
3)その他、当業者ならば前記実施例に部分的な変更を付加して実施可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、液化水素移送システムの継手の接続や分離の際に、継手に雨水が付着しないようにした液化水素移送システムを提供する。
【符号の説明】
【0041】
1 液化水素移送システム
2 液化水素輸送船
4 ローディングアーム
5 陸側継手
7 船側継手
10〜10D カバー機構
13,15 第1,第2屋根部材
17,18 第1,第2シート部材
20 円形屋根部材
22 円筒状シート部材