特許第6404098号(P6404098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 吉田 一雄の特許一覧 ▶ 株式会社カレアコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000002
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000003
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000004
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000005
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000006
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000007
  • 特許6404098-屋内事故回避システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404098
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】屋内事故回避システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20181001BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20181001BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20181001BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20181001BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20181001BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61B5/00 102A
   A61B5/11 110
   A61B5/11 120
   A61B5/11 200
   A61B5/107 300
   A61G12/00 Z
   G08B25/04 K
   G08B21/02
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-238470(P2014-238470)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-97219(P2016-97219A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】513299328
【氏名又は名称】吉田 一雄
(73)【特許権者】
【識別番号】514116671
【氏名又は名称】株式会社カレアコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一雄
(72)【発明者】
【氏名】横田 敏之
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−106636(JP,A)
【文献】 特開2014−188158(JP,A)
【文献】 特開平8−50692(JP,A)
【文献】 特開平8−7188(JP,A)
【文献】 特開2005−249441(JP,A)
【文献】 特開2011−216026(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0055146(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に設置し体動を含む生体情報を検出する人体情報検出センサと、
前記生体情報又はそれらの変化から検出した生体の様態を推定する生体診断手段と、
前記体動の変化から立位、座位又は臥位を含む体位の起伏変化又は生体の移動を導く起伏判定手段と、
前記起伏判定手段が体位の起伏変化又は生体の移動と判定した時に前記生体診断手段の推定結果に則して注意喚起又は生体情報の通知を行う介入手段を備える屋内事故回避システムであって、
温度環境が異なる複数の領域を有する守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、
前記人体情報検出センサの守備領域の温度分布を検出する温度分布センサと、
前記温度分布の変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する前記生体診断手段と、
前記変化の時期が一致すると判定した場合に注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える屋内事故回避システム。
【請求項2】
屋内に設置し体動を含む生体情報を検出する人体情報検出センサと、
前記生体情報又はそれらの変化から検出した生体の様態を推定する生体診断手段と、
前記体動の変化から立位、座位又は臥位を含む体位の起伏変化又は生体の移動を導く起伏判定手段と、
前記起伏判定手段が体位の起伏変化又は生体の移動と判定した時に前記生体診断手段の推定結果に則して注意喚起又は生体情報の通知を行う介入手段を備える屋内事故回避システムであって、
体動の検出期に連結性を有する複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、
前記人体情報検出センサの守備領域の温度分布を検出する温度分布センサと、
前記人体情報検出センサが検出した生体情報の変化の時期と生体の温度分布の変化を伴う守備領域の移動の時期とを照合する前記生体診断手段と、
前記変化の時期が一致すると判定した場合に注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える屋内事故回避システム。
【請求項3】
前記体位の起伏変化又は生体の移動の時期と生体情報の変化の時期を照合する前記生体診断手段と、
前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の体位の維持を促す前記介入手段を備える請求項1又は請求項2のいずれかに記載の屋内事故回避システム。
【請求項4】
前記生体情報が危険領域に達した時に予め定められた連絡先へ報知する通報手段を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の屋内事故回避システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内において心疾患や脳疾患などの発作及びそれらに伴う転倒事故や溺水事故を回避する屋内事故回避システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭内における不慮の死は、部屋毎又は領域毎で温度差などの環境変化が存在し、居住者の身体がそれに対応できなかったことによるものであって、疾患発作や、それらに伴う転倒事故や溺水事故等によるものが多い。
人体にかかるストレスは、屋内にあっても種々存在し、殊に、布団から外へ出た際、入浴前の脱衣時、脱衣後浴室へ入り浴槽へ入る際若しくは浴槽から浴室の外へ出た際、又は排泄前後及び排泄中に、比較的強いストレスが人体にかかるといわれている。
そして、それらに急激な温度変化や姿勢の変化などが加われば、老人や病人等はもとより潜在的に疾患要因を持つ者の体調が悪化する引き金となる。
【0003】
これまで、様々なセンサを用いて心拍、呼吸、血圧、体温又は体動などの生体情報を検出し、トイレや浴室など一定の場所や領域における人体の異常を検出しようとする試みは、数多く紹介されている(例えば下記特許文献参照)。
しかしながら、いずれも、異常事態を検出することによって最悪の事態を防止するに留まるものであって、異常事態において更に体調が悪化しないように支援する手法とは言えず、ましてや、異常事態となる前に予防や警告を行う域にまで体系的・機械的に支援する手法とは到底言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−101502号公報
【特許文献2】特開平2012−125281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、屋内における生体の健康状態若しくはそれが変化する予兆又は屋内環境を事前に察知し危険を回避する方向へ環境が整うように支援する屋内事故回避システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明による屋内事故回避システムは、屋内に設置し体動を含む生体情報を検出する人体情報検出センサと、前記生体情報又はそれらの変化から検出した生体の様態を推定する生体診断手段と、前記体動の変化から立位、座位又は臥位を含む体位の起伏変化又は生体の移動を導く起伏判定手段と、前記起伏判定手段が体位の起伏変化又は生体の移動と判定した時に前記生体診断手段の推定結果に則して注意喚起又は生体情報の通知を行う介入手段を備えることを特徴とする。
【0007】
より具体的な構成の例としては、以下の構成を挙げることができる。
例えば、前記体位の起伏変化又は生体の移動の時期と生体情報の変化の時期を照合する生体診断手段と、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の体位の維持を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0008】
例えば、温度環境が異なる複数の領域を有する守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、前記体位の起伏変化又は生体の移動の時期と生体情報の変化の時期を照合する生体診断手段と、前記変化の時期が一致すると判定した場合に、変化前の温度環境の維持を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0009】
例えば、体動の検出期に連結性を有し且つ温度環境が異なる複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、体動を検出した守備領域の変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する生体診断手段と、前記変化の時期が一致すると判定した場合に、変化前の温度環境の維持を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0010】
例えば、体動の検出期に連結性を有し且つ障害域を挟む複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、体動を検出した守備領域の変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する生体診断手段と、前記変化の時期が一致すると判定した場合に安静を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0011】
例えば、体動の検出期に連結性を有する複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、前記人体情報検出センサの守備領域の気温を検出する温度センサと、前記人体情報検出センサが検出した生体情報の変化の時期と気温の変化を伴う守備領域の移動の時期とを照合する生体診断手段と、前記生体情報の変化の時期が気温の変化を伴う守備領域の移動の時期と一致すると判定した場合に変化前の温度環境の維持を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0012】
例えば、温度環境が異なる複数の領域を有する守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、前記人体情報検出センサの守備領域の温度分布を検出する温度分布センサと、前記温度分布の変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する生体診断手段と、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の生体が置かれた温度環境の維持を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0013】
例えば、体動の検出期に連結性を有する複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサと、前記人体情報検出センサの守備領域の温度分布を検出する温度分布センサと、前記人体情報検出センサが検出した生体情報の変化の時期と生体の温度分布の変化を伴う守備領域の移動の時期とを照合する生体診断手段と、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の温度環境の維持を促すなどの注意喚起又は生体情報の通知を行う前記介入手段を備える構成を持つ屋内事故回避システム。
【0014】
これらのいずれかの構成に加え、更に、前記生体情報が危険領域に達した時に予め定められた連絡先へ報知する通報手段を備える構成を持つ屋内事故回避システムとすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による屋内事故回避システムによれば、前記人体情報検出センサで導いた、体位の起伏変化、生体の移動、守備領域の変化、気温の変化、生体の温度分布の変化などからなる警戒フラグAが発生する時期を基準として、その前後における前記人体情報検出センサで導いた心拍、呼吸若しくは血圧又はそれらの変化などからなる警戒フラグBを検出し、前記警戒フラグAを構成する行動や環境の発生を事前に抑制し又は解消し、前記警戒フラグBに相当する症状(心拍や呼吸の異常又は停止・身体状況の異常など)の発生を回避し若しくは緩和し又は通知若しくは通報することによって、屋内で生じる不慮の事故の発生を合理的に抑制することができる。
【0016】
本発明による屋内事故回避システムによれば、様々な場面でバイタルチェックや気温・温度分布のチェックが行われ、様々な行動について習慣を検出し比較することができる。
その結果、事故予防の面では、屋内又は室内における適切な温度管理システムや体位検出による行動(意識朦朧から転倒に亘る動作を含む)管理システム又は浴室内などの個室における体調変化の検知システムなどについて合理的且つ効果的な具体化が可能となり、事故対応の面では、浴室内における溺死防止システム、低体温防止(保温)システム又は種々の事故発生時の通報及び救急体制構築システムについて合理的且つ効果的な具体化が可能となり、安心で安全な在宅ライフの実現に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による屋内事故回避システムで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図2】本発明による屋内事故回避システムの一例を示すハードウエア構成及び具体的手段の構成のブロック図である。
図3】本発明による屋内事故回避システムの実施例を示す説明図である。
図4】本発明による屋内事故回避システムの実施例を示す説明図である。
図5】本発明による屋内事故回避システムの実施例を示す説明図である。
図6】本発明による屋内事故回避システムの実施例を示す説明図である。
図7】本発明による屋内事故回避システムの実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による屋内事故回避システムの実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図2に示す例は、各種センサ、各種入出力装置、CPU、タイマー(カレンダー)、ROM、RAM、ハードディスク等の記録媒体、入出力インターフェース、通信インターフェースなどのハードウエア資源を備え、前記記録媒体にオペレーションシステムOS及びアプリケーションプログラムAPなどのプログラムがインストールされたコンピュータシステムとして前記屋内事故回避システムを実現した例である(図2(A)参照)。
【0019】
この例は、屋内に設置し心拍、呼吸、血圧又は体動(頭部、胴部、手足部の動き)などの生体情報を検出する人体情報検出センサ1と、前記生体情報又はそれらの変化から検出した生体の様態を推定する生体診断手段2と、前記体動の変化から立位、座位又は臥位を含む体位の起伏変化又は生体の移動を導く起伏判定手段3と、前記起伏判定手段3が体位の起伏変化又は生体の移動と判定した時に前記生体診断手段2の推定結果に則して警告、忠告、助言などの注意喚起又は生体情報の通知を行う介入手段4を備える(図2(B)参照)。
【0020】
前記人体情報検出センサ1は、マイクロ波ドップラーセンサなどのマイクロ波センサ(例えば特開2002−71825号公報参照)、CCDなどのイメージセンサ又は赤外線センサ(例えば特開2002−279428号公報参照)又はそれらの組み合わせなどである。
【0021】
前記マイクロ波センサは、検波部で受信したマイクロ波を検波し、そのなかから成分検出部で動点のベクトル(動きの方向及び量)及び位置座標を導くと共に、それらから、心拍、呼吸及び血圧並びに生体の体位と移動ベクトルを導く(前記特許文献2参照)。それらを数値で導く場合には、相対値又は絶対値のいずれでも良い。
前記イメージセンサは、生体の外観及び動きを画像で検出するものである。
生体のプライバシーを保護すべく、生体の詳細を認識できない程度の低解像度のものが望ましい。例えば、撮影した動体の重心を演算することによって当該生体の体位と移動を導くことができる(前記特許文献1参照)。
前記赤外線センサは、生体の有無、生体の形状及び生体とその周囲の温度分布を検出するものであって、生体の形状から前記イメージセンサと同様に生体の体位と移動を導き、前記生体の温度分布から生体が曝されている環境の温度及び体表温度の変化を導くことができる。
【0022】
前記生体診断手段2は、前記生体情報を、前記タイマーが出力する日時に関連付けて記録手段に保存する。
前記生体診断手段2は、例えば、生体に関する様々な様態を導くコンパレータ群を備え、各コンパレータで前記生体情報のそれぞれ又はそれらの変化の閾値に対する前記人体情報検出センサ1の出力を評価し、前記閾値に対する偏差値に基づいて生体の様態に関する推定結果を出力する。
また、前記生体診断手段2は、前記人体情報検出センサ1で導いた心拍、呼吸又は血圧の変化(警戒フラグB)の時期と、前記人体情報検出センサ1で導いた、体位の起伏変化、守備領域の変化、気温の変化、生体の温度分布の変化(警戒フラグA)との時期的関係を当該システムが具備するタイマーの出力に基づいて評価する。
【0023】
前記起伏判定手段3は、前記体動のベクトル及び当該体動のベクトルの組み合わせから立位、中腰位、座位、中腰位又は臥位の体位を導く一般情報を備えたテーブルと照合し、それらの体位間における体位変更となるか否かを判定し、体位変化を超える体動については移動と判定する。
大きな体位変更が行われる前に介入を行うべく、それらの前駆動作となり得る側臥位若しくは腹臥位から座位への変更、座位から中腰への変更又は中腰位から直立位への変更を検出し、大事に至る前にその後の行動を抑制する構成とすることが望ましい。殊に、側臥位から腹臥位への移行は、一気に中腰位から立位に至る体位変更を行う可能性が高いのでできる限り正確に検出することが望ましい。
【0024】
前記介入手段4は、前記起伏判定手段3によって、同じ体位である範疇を超えたと判定した時などに、前記生体診断手段2の出力を参照し、前記コンパレータで導かれた推定結果に則して、例えば、「命に危険が及ぶ可能性があります。」、「今は動かないで下さい。」、「もとの姿勢(又は場所)にお戻り下さい。」、「ゆっくり時間をかけて起き上がり下さい。」などの注意喚起又は「血圧(心拍数)が150(又は頻脈状態若しくは除脈状態)です。」生体情報の通知を行う。
また、前記介入手段4は、各人体情報検出センサ1の守備領域について、温度環境(気温など)や居住環境(段差や障害物など)を設定し保持するための記録テーブルを保持し、通知事項を決定する際の参照要件とする。
【実施例1】
【0025】
この例は、前記人体情報検出センサ1が導いた体動の変化から前記起伏判定手段3により生体の移動(前記警戒フラグA)を導くと共に、前記介入手段4は、前記記録テーブルに照らして前記人体情報検出センサ1の守備領域に段差などの障害域を有し、又は当該生体の移動が障害域を挟む複数の守備領域に亘る可能性がある場合に、「段差(障害域)があります。気をつけてください。」などの注意喚起の出力を行うものである。
特に、前記生体の移動を検出した際に前記生体診断手段2で導かれた生体の様態が、ふらつきや歩幅のばらつきを伴うものと推定された場合(前記警戒フラグB)には、「静かに座ってしばらくお待ち下さい。」などの注意喚起の出力を音声又は画像等で行い転倒事故や転落事故を防止する。
【実施例2】
【0026】
この例は、前記起伏判定手段3による判定から立位、座位、中腰位又は臥位を含む体位の起伏変化を導き、前記体位の起伏変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する前記生体診断手段2と、前記生体診断手段2が、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の体位の維持を促す前記介入手段4を備える。
前記生体診断手段2における照合は、例えば、前記体位の起伏変化時を基準として、その後、一定の時間内に前記生体情報に変化が生じた場合に時期が一致すると判定する。
【0027】
この例は、体位を起伏変化させたことに伴う体調の悪化(バイタルサインの急変など)を早期に察知し、当該体調の悪化をできる限り和らげる体位に移行し又は戻るよう働きかける構成を採用するものである。
これは、例えば、仰臥位から立位などへ急に立ち上がった時に、血液が重力の作用で胴体に移動する結果、短時間、脳に血液が流れ難くなることによって生じる起立性低血圧など血圧の急変による立ち眩み、意識朦朧若しくは失神又はそれに伴う転倒事故を防止できる例である。
殊に、高齢者や高血圧治療中の生体は、夜トイレに立った時(図3参照)若しくは排尿後に立った時(図4参照)又は比較的温度が低い浴室おいて暖かい浴槽から立ち上がった時(図5参照)にこの様な事故に見舞われ易いと言われている。
【0028】
前記生体診断手段2は、生体情報の心拍、呼吸、血圧又は体動の変化を常時評価し(図1(B)参照)、前記起伏判定手段3が体位の起伏変更と判定したところで前記心拍、呼吸又は血圧が警戒レベルに至っている場合に前記介入手段4へ通知する(図1(C)参照)。
この様な時、前記介入手段4は、「お座り下さい。」又は「頭を低くして下さい。」などの注意喚起を音声又は画像等で出力する。
【実施例3】
【0029】
この例は、温度環境が異なる複数の領域を有する守備領域に設置した前記人体情報検出センサ1と、体位の起伏変化又は生体の移動の時期と生体情報の変化の時期を照合する前記生体診断手段2と、前記生体診断手段2が、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の温度環境の維持を促す前記介入手段4を備える。
【0030】
前記生体診断手段2における照合は、例えば、前記体位の起伏変化時を基準として、その後、一定の時間内に前記生体情報に変化が生じた場合に時期が一致すると判定する。
この例は、前記体位の起伏変化によって生体が温度環境の異なる領域に属することとなる守備領域として、暖かい浴槽内と比較的気温が低い浴槽外を有する浴室(図5参照)や、暖かい布団内又はコタツ内と比較的気温が低い室内(図3参照)などを想定し、体位の起伏変化が温度環境の変化に直結する場合に機能する屋内事故回避システムとして構成した例である。
【0031】
この例は、前記人体情報検出センサ1が導いた体動の変化から前記起伏判定手段3により体位の起伏変化及び生体の移動(前記警戒フラグA)を導くと共に、体位が起伏変化し又は生体が移動したことに加えて、同時に温度環境が変化することに伴う体調の悪化を早期に察知し、当該体調の悪化をできる限り和らげる位置又は体位に移行し又は戻るよう働きかける構成を採用するものである。
これは、前記実施例2で記した体調の変化に加え、温度環境の差が短時間に生じると、血圧が急激に上下し、心臓や血管に一時的に大きな負担がかかり心筋疾患などの引き金となることを同じ室内(領域)で防止する構成である。
【0032】
この時、前記生体診断手段2は、生体情報の心拍、呼吸及び血圧の変化を早期に察知し、警戒レベルに至ったところで前記介入手段4へ通知する(図1(B)参照)。
この様な時、前記介入手段4は、前記記録テーブルに照らして、当該人体情報検出センサ1の守備領域に温度格差が存在することを判断要件に盛り込んで通知内容を決定し、「立ち上がる前にシャワーを出して下さい。」、「浴槽に入る前にシャワーを浴びて下さい。」、「立ち上がる前に何かを羽織ってください。」又は「お部屋が寒いようです。」などの注意喚起を音声又は画像等で出力する。
【実施例4】
【0033】
この例は、温度環境が異なる複数の領域を有する守備領域に設置した前記人体情報検出センサ1と、前記人体情報検出センサ1の守備領域に存在する生体及びその周囲の温度分布を検出する温度分布センサと、前記温度分布の変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する前記生体診断手段2と、前記生体診断手段2が、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の生体が置かれた温度環境の維持を促す前記介入手段4を備えるものである。
【0034】
この例は、前記人体情報検出センサ1が導いた体動の変化から前記起伏判定手段3により体位の起伏変化及び生体の移動(前記警戒フラグA)を導くと共に、体位を起伏変化し又は生体が移動し、生体の温度分布と当該生体を取り巻く領域の温度分布との格差が変化することに伴う体調の悪化を早期に察知し、当該体調の悪化をできる限り和らげる体位に移行し又は戻るよう働きかける構成を採用するものである。
これも、前記実施例3と同様に、温度環境の差が短時間に生じると、血圧が急激に上下し、心臓や血管に一時的に大きな負担がかかり心筋疾患などの引き金となることを同じ室内(領域)で防止する構成である。
【0035】
この時、前記生体診断手段2は、生体情報の心拍、呼吸及び血圧の変化を早期に察知し、警戒レベルに至ったところで前記介入手段4へ通知する(図1(B)参照)。
この様な時、前記介入手段4は、「お湯が熱すぎます。お湯の温度は40度以下にしましょう。」、「胸を浴槽から出して下さい。」、「立ち上がる前にシャワーを出して下さい。」、「浴槽に入る前にシャワーを浴びて下さい。」、「何かを羽織ってください。」又は「お部屋が寒いようです。」などの注意喚起を音声又は画像等で出力する。
【0036】
これらの実施例において、前記生体診断手段2は、前記体位の起伏変化又は生体の移動に伴う前記温度分布の格差が生じる前に前記生体情報が警戒領域に達している時には、前記変化の時期が一致するか否かを判定するまでもなく、前記起伏判定手段3による体位の起伏変化又は生体の移動を契機に前記介入手段4に対して当該生体診断手段2の判定(警戒フラグB)を通知する(図1(A)(C)参照)。
更に、前記体位の起伏変化又は生体の移動が生じる前に前記生体情報が危険領域に達している時には、前記起伏判定手段3による体位の起伏変化を待たずに、予め定められた連絡先へ報知する通報手段を備えることもできる(図1(B)参照)。
【実施例5】
【0037】
この例は、体動の検出期に連結性を有し温度環境が異なる複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサ1と、守備領域の変化の時期と生体情報の変化の時期を照合する前記生体診断手段2と、前記生体診断手段2が、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の温度環境の維持を促す前記介入手段4を備える。
【0038】
前記生体診断手段2における照合は、例えば、前記守備領域の変化時を基準として、その後、一定の時間内に前記生体情報に変化が生じた場合に時期が一致すると判定する。
ここで体動の検出期に連結性を有し温度環境が異なる複数の守備領域とは、特に移動を伴う体動において滞在時期と滞在時期との間を繋ぐ一連の移動範囲(動線)を含む複数の守備領域であって、当該複数の守備領域間に気温に一定の格差(以下「温度格差」と記す)が一つ以上存在するものである。当該複数の守備領域間に前記温度格差が存在すれば、当該複数の守備領域が隣接しているか否か又は連続しているか否かは問わない。
【0039】
この例は、体動の検出期に連結性を有し温度環境が異なる複数の守備領域として、暖かいリビング又は寝室と寒いトイレ又は廊下などとの間(図6参照)、そして寒い脱衣所と浴室又はその浴槽の熱いお湯との間など(図7参照)を想定し、急激な温度環境の変化に生体が曝される場合に機能する屋内事故回避システムの構成例である。
【0040】
この例は、前記人体情報検出センサ1が導いた体動の変化から前記起伏判定手段3により生体の移動(前記警戒フラグA)を導くと共に、生体の移動と同時に温度環境が変化することに伴う体調の悪化を早期に察知し、当該体調の悪化をできる限り和らげる措置を採るよう働きかける構成を採用するものである。
これは、前記実施例3と同様に、温度環境の差が短時間に生じると、血圧が急激に上下し、心臓や血管に一時的に大きな負担がかかり心筋疾患などの引き金となることを同じ屋内の異なる部屋間を移動する際に防止する構成である。
【0041】
この時、前記生体診断手段2は、生体情報の心拍、呼吸及び血圧の変化を早期に察知し、警戒レベルに至ったところで前記介入手段4へ通知する(図1(B)参照)。
この様な時、前記介入手段4は、前記記録テーブルに照らして、当該人体情報検出センサ1の守備領域に温度格差が存在することを判断要件に盛り込んで通知内容を決定し、「何かを羽織ってください。」、「お部屋が寒いようです。」、「血圧が高いようです。」、「本日は入浴されない方が安全かと思います。」又は「そのまま動かずに人を呼んで下さい。」などの注意喚起を音声又は画像等で出力する。
【実施例6】
【0042】
この例も、体動の検出期に連結性を有する複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサ1を備える例であるが、各人体情報検出センサ1の守備領域に、それぞれの守備領域の気温を検出する温度センサと、前記人体情報検出センサ1が検出した生体情報の変化の時期と気温の変化を伴う守備領域の移動の時期とを照合する前記生体診断手段2と、前記生体診断手段2が、前記生体情報の変化の時期が気温の変化を伴う守備領域の移動の時期と一致すると判定した場合に変化前の温度環境の維持を促す前記介入手段4を備えるものである。
【0043】
この例は、夏季や冬季における換気を目的とした窓などの開放や、空調機器の停止など、屋内における様々な温度環境の変化に適応できるように、各守備領域の気温を検出し、実際の温度格差と、その温度格差が存在する環境を横断する生体の生体情報との関係を検出する例である。
前記生体診断手段2における照合は、前記、温度格差が存在する前記守備領域の変化時を基準として、その後、一定の時間内に前記生体情報に変化が生じた場合に時期が一致すると判定する。
【0044】
この例は、前記実施例4と同様に、前記人体情報検出センサ1が導いた体動の変化から前記起伏判定手段3により生体の移動(前記警戒フラグA)を導くと共に、生体の移動と同時に温度環境が変化することに伴う体調の悪化を早期に察知し、当該体調の悪化をできる限り和らげる措置を採るよう働きかける構成を採用するものであるが、体動の検出期に連結性を有し温度環境が異なる複数の守備領域として、前記実施例4に記載の想定に留まらず、実際に温度格差が予期せず発生する様々な動線に、漏れなく適応できる構成を有する屋内事故回避システムの構成例である。
【0045】
この例では、前記生体診断手段2は、生体情報の心拍、呼吸及び血圧の変化を早期に察知し、警戒レベルに至ったところで前記介入手段4へ通知する(図1(B)参照)。
この様な時、前記介入手段4は、「静かに暖かい部屋へお戻り下さい。」、「身体を温めて下さい。」、「何かを羽織ってください。」、「お部屋が寒いようです。」、「窓をお閉め下さい。」、「そのまま動かずに人を呼んで下さい。」又は「アラームを鳴らして下さい。」などの注意喚起を音声又は画像等で出力する。
【実施例7】
【0046】
この例は、体動の検出期に連結性を有する複数の守備領域に設置した前記人体情報検出センサ1と、各人体情報検出センサ1の守備領域の温度分布を検出する温度分布センサと、前記人体情報検出センサ1が検出した生体情報の変化の時期と生体の温度分布の変化を伴う守備領域の移動の時期とを照合する前記生体診断手段2と、前記生体診断手段2が、前記変化の時期が一致すると判定した場合に変化前の温度環境の維持を促す前記介入手段4を備える。
【0047】
この例は、屋内において生体を取り囲む温度環境の様々な変化に適応できるように、各守備領域の温度分布を検出し、実際に生じている生体と生体を取り囲む領域の温度分布の変化と、その温度格差が存在する環境を横断する生体の生体情報の変化との関係を検出する例である。
前記生体診断手段2における照合は、前記温度分布の規定値以上の変化時を基準として、その後一定の時間内に前記生体情報に変化が生じた場合に時期が一致すると判定する。
【0048】
この例は、前記実施例3と同様に、前記人体情報検出センサ1が導いた体動の変化から前記起伏判定手段3により生体の移動(前記警戒フラグA)を導くと共に、生体の移動と同時に生体自体又は生体とそれを取り巻く領域の温度分布が変化することに伴う体調の悪化を早期に察知し、当該体調の悪化をできる限り和らげる措置を採るよう働きかける構成を採用するものであるが、体動の検出期に連結性を有し温度環境が異なる複数の守備領域として、前記実施例3に記載の想定に留まらず、実際に温度分布に変化が生じる様々な動線に適応できる構成を有する屋内事故回避システムの構成例である。
【0049】
この例では、前記生体診断手段2は、生体情報の心拍、呼吸及び血圧の変化を早期に察知し、警戒レベルに至ったところで前記介入手段4へ通知する(図1(B)参照)。
この様な時、前記介入手段4は、「静かに暖かい部屋へお戻り下さい。」、「身体を温めて下さい。」、「何かを羽織ってください。」又は「お身体が冷えてきたようです。」、「そのまま動かずに人を呼んで下さい。」又は「アラームを鳴らして下さい。」などの注意喚起を音声又は画像等で出力する。
【0050】
これらの実施例において、前記生体診断手段2は、前記生体を検出する守備領域を担当する人体情報検出センサ1が温度格差を伴う守備領域間で交替する前に前記生体情報が警戒領域に達している時には、前記変化の時期が一致するか否かを判定するまでもなく、前記生体を検出する守備領域を担当する人体情報検出センサ1が温度格差を伴う守備領域間で交替することを契機に、前記介入手段4に対して当該生体診断手段2の判定(警戒フラグB)を通知する(図1(A)(C)参照)。
【0051】
更に、前記生体を検出する守備領域を担当する人体情報検出センサ1が温度格差を伴う守備領域間で交替する前に前記生体情報が危険領域に達している時には、前記生体を検出する守備領域を担当する人体情報検出センサ1が温度格差を伴う守備領域間で代わることを待たずに、予め定められた連絡先へ報知する通報手段を備えることもできる(図2(B)参照)。
【0052】
以上示した実施例において、前記介入手段4が行う注意喚起又は生体情報の通知は、見守られる本人に対してのみならず、「声をかけてください。」、「いつもより入浴時間が長いようです。」など、スピーカー、テレビ画面或いは携帯端末へのメール送信などを通じた出力で、その家族に確認を促したり、注意を喚起することで未然に防止することもできる。例えば、テレビ画面では、連絡先、通報先、措置の手順、薬、介助内容や方法などを、必要な時間だけ表示させることもできる。
【0053】
また、前記警戒フラグA(体位など)又は前記警戒フラグBに基いて、浴槽の強制排水などの溺死対策、保温制御などの保温対策若しくはサウナ停止などの脱水対策を採ることも可能である。
更に、前記生体情報の通知内容や、常時計測しているバイタルサインを時系列にそって生活日誌などとして記録することによって、生活環境や体調管理・改善に用い、更には、介護機関や医療機関との連携データとして活用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 人体情報検出センサ,2 生体診断手段,3 起伏判定手段,4 介入手段,
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7