【実施例】
【0037】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
<光透過性導電材料1>
光透過性支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。なおこの光透過性基材の全光線透過率は91%であった。
【0039】
次に下記処方に従い、物理現像核層塗液を作製し、上記光透過性支持体上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
【0040】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0041】
<物理現像核層塗液の調製>銀塩感光材料の1m
2あたりの量
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコールEX−830 50mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%SP−200水溶液 0.5mg
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
【0042】
続いて、光透過性支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、及び保護層を上記物理現像核液層の上に塗布、乾燥して、銀塩感光材料を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
【0043】
<中間層組成>銀塩感光材料の1m
2あたりの量
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1 50mg
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
<ハロゲン化銀乳剤層1組成>銀塩感光材料の1m
2あたりの量
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0047】
<保護層1組成>銀塩感光材料の1m
2あたりの量
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
【0048】
このようにして得た銀塩感光材料に、
図1のパターンの画像を有する透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。なお透過原稿におけるセンサー部11の周期Lは5.3mm、センサー部11のダイヤモンドパターンの絞り部分の周期Mは5.0mmである。
図7は実施例で用いた透過原稿の拡大図である。
【0049】
図1および
図7のパターンの画像を有する透過原稿において、センサー部11並びにダミー部12が有する金属パターンは
図4に示した母点から形成されるボロノイ図形である。
図4は、x方向の一辺の長さが0.26mm、y方向の一辺の長さが0.26mmである正方形を原多角形とし、この原多角形をx方向、y方向に並べて平面充填してあり、
図4に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の60%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図4に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の80%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した図を示している。その後、任意の母点に最も近い領域と、他の母点に最も近い領域とを輪郭線で区切る作業を全ての母点に対して繰り返し行い透過原稿に用いるボロノイ図形を作成した。ボロノイ図形の線幅は5μmである。センサー部分とダミー部分との境界には幅20μmの断線部を設け、センサー部とダミー部の全光線透過率は共に、89.0%である。
【0050】
その後、下記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。この処理を100回繰り返し、光透過性導電層として、
図1および
図7の形状を有する金属銀画像を有する光透過性導電材料1を100枚得た。得られた光透過性導電材料が有する光透過性導電層の金属銀画像は、
図1および
図7の形状を有する透過原稿と同じ形状、同じ線幅であった。また金属銀画像の膜厚は共焦点顕微鏡で調べ、0.1μmであった。
【0051】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000ml
pH=12.2に調整する。
【0052】
<光透過性導電材料2>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図4に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の100%の位置を結んでできる拡大縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図4に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の80%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料2を得た。
【0053】
<光透過性導電材料3>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図4に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の80%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図4に示した領域IIに属する原多角形に対しても、原多角形の重心から各頂点までの距離の80%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料3を得た。
【0054】
<光透過性導電材料4>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図4に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の80%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図4に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の60%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料4を得た。
【0055】
<光透過性導電材料5>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図4に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の60%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図4に示した領域IIに属する原多角形に対しても、原多角形の重心から各頂点までの距離の60%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料5を得た。
【0056】
<光透過性導電材料6>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図5に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の60%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図5に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料6を得た。
【0057】
<光透過性導電材料7>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図5に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の80%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図5に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料7を得た。
【0058】
<光透過性導電材料8>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図5に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図5に示した領域IIに属する原多角形に対しても、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料8を得た。
【0059】
<光透過性導電材料9>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図5に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図5に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の50%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料9を得た。
【0060】
<光透過性導電材料10>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図5に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の50%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図5に示した領域IIに属する原多角形に対しても、原多角形の重心から各頂点までの距離の50%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料10を得た。
【0061】
<光透過性導電材料11>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図6に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の50%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図6に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料11を得た。
【0062】
<光透過性導電材料12>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図6に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の90%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図6に示した領域IIに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料12を得た。
【0063】
<光透過性導電材料13>
図1のパターンを有する透過原稿であるが、網目図形の作製において、
図6に示した領域Iに属する原多角形に対しては、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置し、
図6に示した領域IIに属する原多角形に対しても、原多角形の重心から各頂点までの距離の70%の位置を結んでできる縮小多角形の中に母点を1つランダムに配置した以外は光透過性導電材料1と同様にして光透過性導電材料13を得た。
【0064】
得られた光透過性導電材料1〜13について、以下の手順に従って視認性、及びセンサー抵抗値のバラツキについて評価した。
【0065】
<視認性>
得られた光透過性導電材料1〜13を、全面白画像を表示したAOC社製I2267FWH 21.5型ワイド液晶モニタの上に載せ、モアレ、あるいは砂目がはっきり出ているものを×、よく見ればわかるものを△、全くわからないものを○とした。
【0066】
<センサー抵抗値のバラツキ>
図1のパターンでは、センサー部11が10本存在する。得られた光透過性導電材料1〜13の各100枚について、それぞれ10本のセンサー部両端間の抵抗値をデジタルマルチメーターで測定した。得られた測定値から各光透過性導電材料毎に10本のセンサーの最大値と最小値の差を求め100枚について平均して、バラツキとして<視認性>の結果と共に表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1の結果から、本発明によって、液晶ディスプレイに重ねてもモアレが発生せず、かつ抵抗値のバラツキが圧縮された光透過性導電材料が得られることがわかる。